JP2018508444A - 沈降炭酸カルシウムの製造 - Google Patents

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Abstract

本発明は、沈降炭酸カルシウム水性懸濁物の製造方法における少なくとも1つのカチオン性ポリマーの使用であって、水、酸化カルシウム含有材料、前記少なくとも1つのカチオン性ポリマー、場合により少なくとも1つの消和添加剤を混合することによって石灰乳を調製し、次いで前記石灰乳を炭酸塩化して沈降炭酸カルシウム水性懸濁物を形成する、少なくとも1つのカチオン性ポリマーの使用に関する。

Description

本発明は、沈降炭酸カルシウムの製造方法におけるカチオン性ポリマーの使用に関し、前記カチオン性ポリマーは場合により、少なくとも1つの消和添加剤と組合せて使用される。このため本発明は、場合により少なくとも1つの消和添加剤と組合せたカチオン性ポリマーの使用を含む、沈降炭酸カルシウムの製造方法に関する。
炭酸カルシウムは、製紙、塗料およびプラスチック産業において最もよく使用される添加剤の1つである。天然型粉砕炭酸カルシウム(GCC)は通常、多くの用途で無機フィラーとして使用されるのに対し、合成沈降炭酸カルシウム(PCC)は、これの形態および粒径に関してテーラーメードされ得るので、これらの材料は他の機能を実現することができる。
偏三角面体状沈降炭酸カルシウム(S−PCC)は特に、湿式最終用途においてセルロース系繊維と組合せて無機フィラーとして使用される。
生石灰を水によって消和するステップ、続いて生じた水酸化カルシウム懸濁物に二酸化炭素を通過させることによって炭酸カルシウムを沈降させるステップを含む、よく知られたPCC製造方法によって、乾燥固体含有率の低いPCCスラリーのみが製造される。従って、これらの方法は、通例、PCCスラリーの輸送に重要である、さらに濃縮されたPCCスラリーを得るための後続の濃縮ステップを含む。しかし、このような追加の濃縮ステップは、エネルギーを消費し、コストがかかり、高額で高度の保守を要する、遠心分離機などの装置が必要となる。さらに、遠心分離機を使用する機械的脱水法は、例えばクラスター化偏三角面体状PCCの場合、形成されたPCCの構造を破壊し得る。
各種の添加剤の存在下でPCCを調製する方法は、文献に記載されている。
文献US2011/158890A1は、PCCの炭酸塩化時間を短縮するコームポリマーの使用を包含する、PCCの製造方法について記載している。
文献WO2005/000742A1は、板状PCCを調製する方法であって、水酸化カルシウムの懸濁物を提供するステップ、前記懸濁物を炭酸塩化するステップおよび炭酸塩化の完了前にポリアクリル酸塩を懸濁物に添加して板状炭酸カルシウムを沈降させるステップを含む方法に関する。
文献EP0281134は、カチオン性顔料分散物であって、特に紙コーティング組成物の調製に好適であり、(a)粉砕および/または沈降炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、繻子白、アルミニウムハイドロシリケートまたはこれの混合物で構成される顔料化合物、
(b)顔料粒子を保護コロイドとして包囲し、親水性ポリアクリレートもしくはポリメタクリレート、分解デンプンもしくは分解加工デンプン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、分解アルギネート、タンパク質および/またはポリビニルアルコールから得られ、包囲した顔料粒子を含有する分散物のゼータ電位を等電点またはカチオン範囲内とする、カチオン化ポリマー、ならびに場合により
(c)コロイドで包囲されカチオン化された顔料粒子の分散剤としての、カチオン性ポリマーまたは第4級アンモニウム化合物
を含有する、カチオン性顔料分散物に関する。
文献US2006/0137574A1は、菱面体炭酸カルシウムおよび粉砕炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1つの炭酸カルシウム、少なくとも1つの炭酸カルシウムを過分散させるのに十分な量で存在する少なくとも1つのアニオン性分散剤、ならびに少なくとも1つのカチオン性ポリマーを含む顔料組成物に関する。
文献WO06/109171A1は、特にインクジェット用途のための、コーティングされた高品質マット紙を製造するための紙コーティング配合物中に使用されるPCC顔料に関する。PCC炭酸塩化ステップにおいて二酸化炭素含有ガスの流量を減少させて使用する、これらのPCC顔料を調製する方法により、独自の特性および構造を有するPCCの安定な多孔性凝集体が生成され、このステップの後に、分散助剤を使用せずにまたはカチオン性分散助剤を用いて実施される、乾燥固体含有率を上昇させる濃縮ステップが続く。
文献US2005/0221026A1は、脱水粉砕沈降炭酸カルシウム(PCC)を包含するサーマルインクジェット記録紙に関する。沈降炭酸カルシウムを脱水し、両性またはアニオン性分散剤の存在下で粉砕して、乾燥固体含有率の高いPCC組成物を製造する。
本出願人名義で出願された未公開特許出願EP14166751.9は、沈降炭酸カルシウムの水性懸濁物を製造する方法における、少なくとも1つの水溶性ポリマーと少なくとも1つの消和添加剤との組合せの使用に関する。
文献FR2934992は、沈降鉱物質の製造のための、少なくとも1つの特定のコポリマーの使用に関する。このコポリマーは炭酸塩化時間を短縮し、従って製造方法の収率を上昇させる。
文献WO2007/067146A1は、水酸化カルシウムの炭酸塩化中にデンプンまたはカルボキシメチルセルロースを使用してPCCを調製する方法を開示している。
文献WO2010/093092A1には、アミンポリマーの存在下での炭酸カルシウムの沈降によるCO捕捉の方法が記載されている。
米国特許出願公開第2011/158890号明細書 国際公開第2005/000742号 欧州特許第0281134号明細書 米国特許出願公開第2006/0137574号明細書 国際公開第2006/109171号 米国特許出願公開第2005/0221026号明細書 欧州特許第14166751.9号明細書 仏国特許発明第2934992号明細書 国際公開第2007/067146号 国際公開第2010/093092号
本発明の目的は、追加の熱的または機械的濃縮ステップを用いずに、例えば高い乾燥固体含有率を有するPCCスラリーを製造するための解決策を提供することである。
本発明の別の目的は、容易に取り扱い可能な粘度を有する高い乾燥固体含有率のPCCスラリーを製造するための解決策、即ちスラリーの粘度上昇を防止しながら、PCCスラリーの乾燥固体含有率を上昇させることができる解決策を提供することである。
前記解決策が、炭酸塩化ステップの反応速度に悪い方向に影響を及ぼさない、および/またはPCCの結晶学的構造を損なわないことも望ましい。
本発明の別の目的は、アルカリ性pHにおいてさえもカチオン表面電荷を有するPCCスラリーを調製するための解決策を提供することである。
本発明の別の目的は、製紙方法において無機フィラーとして直接使用されるPCCスラリーを調製するための解決策を提供することである。
本発明は、沈降炭酸カルシウムの水性懸濁物を製造する方法における少なくとも1つのカチオン性ポリマーの使用に関し、前記方法は、
i)水、酸化カルシウム含有材料および前記少なくとも1つのカチオン性ポリマーを混合することによって石灰乳を調製することであって、酸化カルシウム含有材料および水を1:1から1:6の重量比で混合する、ことに存するステップ、ならびに
ii)ステップi)から得た石灰乳を炭酸塩化して、沈降炭酸カルシウムの水性懸濁物を形成することに存するステップ
を含む。
このため、本発明は、場合により少なくとも1つの消和添加剤と組合せたカチオン性ポリマーの使用を含む、沈降炭酸カルシウムの製造方法に関し、前記方法は、
i)水、酸化カルシウム含有材料および前記少なくとも1つのカチオン性ポリマーを混合することによって石灰乳を調製することであって、酸化カルシウム含有材料および水を1:1から1:6の重量比で混合する、ことに存するステップ、ならびに
ii)ステップi)から得た石灰乳を炭酸塩化して、沈降炭酸カルシウムの水性懸濁物を形成することに存するステップ
を含む。
本発明によるカチオン性ポリマーの使用によって得た沈降炭酸カルシウムを含む製品は、紙、紙製品、インク、塗料、コーティング、プラスチック、ポリマー組成物、接着剤、建築用製品、食品、農業製品、化粧製品または医薬製品であってよい。
本発明は、沈降炭酸カルシウムの水性懸濁物を製造する方法における、少なくとも1つのカチオン性ポリマーと少なくとも1つの消和添加剤との組合せの使用にも関する。
本発明の目的のために、以下の用語が以下の意味を有することを理解すべきである:
本発明の意味における「酸化カルシウム含有材料」は、酸化カルシウム含有材料の全重量に対して、少なくとも50重量%、好ましくは75重量%、より好ましくは90重量%、最も好ましくは95重量%の酸化カルシウムの含有率を有する鉱物または合成材料であり得る。本発明の目的では、「鉱物材料」は、一定の無機化学組成ならびに特徴的な結晶構造および/または非晶質構造を有する固体物質である。
本発明の意味における「粉砕炭酸カルシウム」(GCC)は、天然源、例えば石灰石、大理石またはチョークから得られ、例えばサイクロンまたはソーターにより、粉砕、ふるい分けおよび/スプリッティングなどの湿式および/または乾式処理に供された炭酸カルシウムである。
本文書を通じて、沈降炭酸カルシウムまたは他の微粒子材料の「粒径」は、これの粒径分布によって説明される。値dは、粒子のx重量%がd未満の径を有する径を表す。このことは、d20値は全粒子の20重量%がd値より小さい径を有する粒径であり、d98値は全粒子の98重量%がd値より小さい径を有する粒径であることを意味する。d98値は、「トップカット」とも呼ぶ。d50値はこのため重量中央粒径であり、即ちすべての粒子の50重量%がこの粒径より大きいまたは小さい径を有する。本発明の目的のために、別途指摘しない限り、粒径は重量中央粒径d50として示す。重量中央粒径d50値またはトップカット粒径d98値を測定するために、米国、マイクロメリティックス社(Micromeritics)のセディグラフ5100または5120装置が使用され得る。
本発明の意味における「沈降炭酸カルシウム」(PCC)は、水性環境における二酸化炭素と水酸化カルシウム(水和石灰)との反応後の沈降によってまたは水中でのカルシウム源およびカーボネート源の沈降によって一般に得られる合成材料である。さらに、沈降炭酸カルシウムは、水性環境への例えばカルシウム塩およびカーボネート塩、塩化カルシウムおよび炭酸ナトリウムの導入を可能にする生成物でもあり得る。PCCは、ファーテライト形態、カルサイト形態またはアラゴナイト形態であってよい。PCCは、文献EP2447213A1、EP2524898A1、EP2371766A1に記載されている。
本発明の目的のために、液体組成物の「乾燥固体含有率」は、すべての溶媒または水が蒸発した後に残存する材料の量の測定値である。
本発明の意味において、沈降炭酸カルシウムの水性懸濁物を製造する方法で使用する「カチオン性ポリマー」は、正味正電荷を有する少なくともモノマー単位を有し、0mVを超えるゼータ電位、例えば0mVから50mVの間のゼータ電位を有するPCCスラリーの生成を可能にする、ポリマーまたはコポリマーとして定義される。一実施形態によれば、本発明で使用するカチオン性ポリマーは、第4級アミンを有するモノマー単位、例えば第4級アミンを有する少なくとも50モル%のモノマー単位から成る。
本発明の方法において使用する「カチオン性ポリマー」に関して、「比粘度」ηspという用語は、所定の温度で測定した相対粘度から1を引いた差として定義される。
本発明の意味における「BET比表面積」(SSA)は、PCC粒子の質量で割った沈降炭酸カルシウム粒子の表面積として定義される。本明細書で使用する場合、比表面積は、BET等温線を使用してN吸着により測定され(ISO 9277:1995)、m/gで示す。
本発明の意味において、「12のpHおよび95℃の温度を有する水性懸濁物中で安定な」は、12のpHおよび95℃の温度を有する水性懸濁物に添加する場合に、ポリマーがこれの物性および化学構造を維持することを意味する。例えば該ポリマーはこれの分散品質を維持し、前記条件下で解重合または分解されない。
本発明の目的のために、用語「粘度」または「Brookfield粘度」は、Brookfield粘度を示す。Brookfield粘度は、Brookfield(RVT型)粘度計によって25℃±1℃、100rpmにて、適切なスピンドルを使用して測定し、mPa・sで示す。
本出願の目的のために、「水溶性」材料は、脱イオン水と混合して、0.2μm孔径を有するフィルタで20℃にて濾過して濾液を回収する場合に、前記濾液100gを95℃から100℃の間で蒸発させた後に、0.1g以下の質量の回収固体材料が得られる材料として定義される。「水溶性」材料は、前記濾液100gを95℃から100℃の間で蒸発させた後に、0.1gを超える質量の回収固体材料を生じる材料として定義される。
「懸濁物」または「スラリー」は本発明の意味において、不溶性固体および水ならびに場合により他の添加剤を含み、通常、大量の固体を含有するため、これから形成される液体よりも粘性であり、高密度であり得る。
別途規定しない限り、用語「乾燥」は、120℃において得られた「乾燥」材料の恒量に達するように、少なくとも一部の水が乾燥される材料から除去される方法を示す。さらに、「乾燥」材料は、該乾燥材料の全重量に対して、別途規定しない限り、1.0重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下、および最も好ましくは0.03重量%から0.07重量%の間であるこれの全含水率によってさらに定義してよい。
材料の「全含水率」は、220℃までの加熱時に試料から脱着され得る水分(即ち水)のパーセンテージを示す。
「含む(comprising)」という用語を本明細書および特許請求の範囲において使用する場合、これは他の要素を排除しない。本発明の目的のために、「から成る(consisting of)」という用語は、用語「含む(comprising)」の好ましい実施形態であると見なされる。以下で群が少なくとも幾つかの実施形態を含むと定義される場合、これはまた、好ましくはこれらの実施形態のみから成る群を開示すると理解されるものとする。
単数名詞を指すときに不定冠詞または定冠詞、例えば「1つの(a)」、「1つの(an)」または「この(the)」を使用する場合、何か他のことが特に示されない限り、これはこの名詞の複数を含む。
「得られる(obtainable)」または「定義できる」および「得られる(obtained)」または「定義される」などの用語は、互換的に使用される。例えばこのことは、文脈が別途明確に示さない限り、用語「得られた」は例えば、実施形態を例えば、用語「得られた」の後の一連のステップによって得なければならないことを、このような限定された認識が好ましい実施形態として用語「得られた」または「定義した」によって常に含まれるとしても、示さない。
本発明は、沈降炭酸カルシウム(PCC)の製造方法におけるカチオン性ポリマーの使用に関する。
PCCの水性懸濁物の製造方法は、(i)水、酸化カルシウム含有材料、少なくとも1つのカチオン性ポリマーおよび場合により少なくとも1つの消和添加剤を混合することによって石灰乳を調製することに存するステップ、ならびに(ii)ステップ(i)から得た石灰乳を炭酸塩化して、沈降炭酸カルシウムの水性懸濁物を形成することに存するステップを含む。
少なくとも1つのカチオン性ポリマーは、正味正電荷を有するモノマー単位、例えば第4級アミンを有するモノマー単位から少なくとも成り、0mVを超えるゼータ電位、例えば0mVから50mVの間のゼータ電位を有するPCCスラリーを製造することを可能にする。一実施形態によれば、本発明で使用するカチオン性ポリマーは、第4級アミンを有するモノマー単位、例えば第4級アミンを有する少なくとも50モル%のモノマー単位から成る。
少なくとも1つの消和添加剤は、有機酸、有機酸塩、糖アルコール、単糖類、二糖類、多糖類、グルコネート、ホスホネート、リグノスルホネート、およびこれの混合物から成る群から選ばれ得る。
方法ステップ(i)において、酸化カルシウム含有材料および水は、1:2.5から1:6、例えば1:2.5から1:4の重量比で混合され得る。
PCC、特にS−PCCの製造方法におけるカチオン性ポリマーの本発明による使用は、湿式最終用途に有利である。実際にカチオン性ポリマーは、PCCスラリーにカチオン電荷をもたらし、PCCスラリーは、紙パルプのアニオン性セルロース系繊維と組合されて、無機フィラーの保持を改善する。
本発明による使用の詳細および好ましい実施形態は、以下で詳細に述べる。
酸化カルシウム含有材料
沈降炭酸カルシウムの水性懸濁物の製造方法のステップi)において、酸化カルシウム含有材料が提供される。
前記酸化カルシウム含有材料は、炭酸カルシウム含有材料をか焼することによって得られ得る。か焼は、酸化カルシウムおよびガス状二酸化炭素の形成をもたらす熱分解を引き起こすために、炭酸カルシウム含有材料に適用される熱処理方法である。このようなか焼方法で使用され得る炭酸カルシウム含有材料は、沈降炭酸カルシウム;天然炭酸カルシウム含有鉱物、例えば大理石、石灰石およびチョークならびに炭酸カルシウムを含む混合アルカリ土類カーボネート鉱物、例えばドロマイトまたは他の源からの炭酸カルシウムに富んだ画分を含む群から選ばれる材料である。酸化カルシウム含有材料を得るために、炭酸カルシウム含有廃棄材料をか焼方法に供することも可能である。
炭酸カルシウムは、約1,000℃にて酸化カルシウム(普通、生石灰として知られる。)に分解する。か焼ステップは、当業者に周知の条件下で装置を使用して行ってよい。一般に、か焼は、高炉、ロータリー窯、多段床炉および流動床反応装置を含む、各種の設計の炉または反応装置(場合により、窯と呼ぶ)内で行ってよい。
か焼反応の終了は、例えば密度の変化、例えばX線回折による残留カーボネート含有率または一般の方法による消和反応性の監視によって判定され得る。
本発明の一実施形態によれば、酸化カルシウム含有材料は、好ましくは沈降炭酸カルシウム、天然炭酸カルシウム鉱物、例えば大理石、石灰石およびチョーク、炭酸カルシウムを含む混合アルカリ土類カーボネート鉱物、例えばドロマイトならびにこれの混合物から成る群から選ばれる炭酸カルシウム含有材料をか焼することによって得られる。
効率上の理由で、酸化カルシウム含有材料は、酸化カルシウム含有材料の全重量に対して、少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは95重量%の最小酸化カルシウム含有率を有することが好ましい。一実施形態によれば、酸化カルシウム含有材料は、酸化カルシウムから成る。
酸化カルシウム含有材料は、1種のみの酸化カルシウム含有材料から成り得る。代替的に、酸化カルシウム含有材料は、少なくとも2つの酸化カルシウム含有材料の混合物から成り得る。
酸化カルシウム含有材料は、本発明の方法において、これの元の形態で、即ち原材料として、例えばより小型およびより大型のチャンクの形態で使用され得る。代替的に、酸化カルシウム含有材料は使用前に粉砕され得る。本発明の一実施形態によれば、炭酸カルシウム含有材料は、0.1μmから1,000μm、好ましくは1μmから500μmの重量中央粒径d50を有する粒子の形態である。
カチオン性ポリマー
本発明は、PCCの製造方法における、より正確にはその後に炭酸塩化される石灰乳を調製するステップにおける、少なくとも1つのカチオン性ポリマーの使用に関する。カチオン性ポリマーは、本発明の文脈において、少なくとも正味正電荷を有するモノマー単位、例えば第4級アミンを有するモノマー単位を有するとして定義される。さらに前記ポリマーにより、0mVを超える大きいゼータ電位、例えば0mVから50mVの間のゼータ電位を有するPCCスラリーの生成が可能となる。
一実施形態によれば、本発明で使用するカチオン性ポリマーは、少なくとも第4級アミンを有するモノマー単位、例えば第4級アミンを有する少なくとも50モル%のモノマー単位から成る。
本発明の一態様によれば、カチオン性ポリマーは、ポリマー性アミン、例えば第4級アミンのポリマーもしくは第4級アミンに変換され得るアミンのポリマーまたはこれらの組合せであってよい。
カチオン性ポリマーは、少なくとも2つの異なるカチオン性モノマーを含有してもよく、またはカチオン性モノマーおよび他の非イオン性モノマーもしくはアニオン性モノマーを含有してもよい。
カチオン性ポリマーの好適なモノマーは、ポリマー鎖中に存在し得る第4級アンモニウム基を含有する水溶性ポリオレフィン、例えばエピクロロヒドリン/ジメチルアミンコポリマー(EPI/DMA)、アルキルもしくはジアルキルジアリルアンモニウムハライド、例えばジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DMDAC)、ジエチルジアリルアンモニウムクロリド(DEDAC)、ジメチルジアリルアンモニウムブロミド(DMDAB)およびジエチルジアリルアンモニウムブロミド(DEDAB)、メチルアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(METAC)、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(AETAC)、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトサルフェート(METAMS)、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトサルフェート(AETAMS)、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)またはアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)から選ばれる1つ以上のモノマーを含む。
他のさらなる例示的モノマーは、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートおよびジメチルアミノプロピルメタクリルアミドを含む。例示的なポリマーは、上に挙げたカチオン性モノマーのいずれかとアクリルアミド、メタクリルアミドまたはN,N−ジメチルアクリルアミドなどの非イオン性モノマーとの重合の生成物も含む。
例示的なカチオン性ポリマーは、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(pDADMAC)、ポリ(2−(トリメチルアミノ)エチルメタクリレート)(pMADQUAT)、第4級ジメチルアミノエチルアクリレートのコポリマー、第4級ジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマーおよびエピクロロヒドリン/ジメチルアミンのコポリマー(EPI/DMA)を含む。
他のカチオン性ポリマーは、ホルムアルデヒドとメラミン、尿素またはシアノグアニジンとの縮合物を含む。本発明で有用なカチオン性ポリマーは、上述のカチオン性モノマーと、非イオン性モノマー、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、ビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミドもしくはジアセトンアクリルアミドおよび/またはアニオン性モノマー、例えばアクリル酸、メタクリル酸、AMPSもしくはマレイン酸とのコポリマーも含む。
このようなコポリマーが本明細書においていわゆる「カチオン性」であるのは、部分またはこれらのモノマー単位が正味の正電荷、例えば少なくとも40モル%または少なくとも50モル%を与えるためである。一実施形態によれば、これらのポリマーの総正味電荷は正である。
本発明の一態様によれば、少なくとも1つのカチオン性ポリマーは、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(pDADMAC)またはポリ(2−(トリメチルアミノ)エチルメタクリレート)(pMADQUAT)である。
本発明の別の態様によれば、少なくとも1つのカチオン性ポリマーは、メチルアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(METAC)、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(AETAC)、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)および2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(MADQUAT)から成る群から選ばれる少なくとも1つの第4級アンモニウム基を有するモノマーを含有する。
本発明の別の態様によれば、少なくとも1つのカチオン性ポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレートおよびアルキル置換を有するまたは有さないアクリルアミドまたはメタクリルアミドのモノマーを含有する。
本発明の別の態様によれば、少なくとも1つのカチオン性ポリマーは、メチルアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(METAC)、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(AETAC)、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)および2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(MADQUAT)から成る群から選ばれる少なくとも1つの第4級アンモニウム基を有するモノマーのみから成る。
本発明の一態様によれば、少なくとも1つのカチオン性ポリマーは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定されるように、約1,000g/モルから約5,000,000g/モルの範囲に及ぶ重量平均分子量(Mw)を有し得る。本発明の別の態様によれば、少なくとも1つのカチオン性ポリマーは、少なくとも約1,000g/モルの分子量、例えば少なくとも約2,000g/モル、少なくとも約5,000g/モル、少なくとも約10,000g/モル、少なくとも約25,000g/モル、少なくとも約50,000g/モル、少なくとも約100,000g/モル、少なくとも約250,000g/モル、少なくとも約500,000g/モルまたは少なくとも約1,000,000g/モルの分子量を有し得る。異なるカチオン性部分を含むカチオン性ポリマーの物理的混合物または異なる平均分子量および分布を有するカチオン性ポリマーの混合物も検討される。
少なくとも1つのカチオン性ポリマーの比粘度も、これの重量平均分子量を反映し得る。本発明の一態様によれば、少なくとも1つのカチオン性ポリマーの比粘度は、1から20の間、例えば1.5から10の間で変化する。
本発明の一実施形態によれば、カチオン性ポリマーは、生成されたPCCの水性懸濁物に0mVより高いゼータ電位を与える。
別の実施形態によれば、カチオン性ポリマーを使用して得られるPCCの水性懸濁物は、0mVより高いゼータ電位、例えば0mVから+50mVの間、例えば0mVから+40mVの間のゼータ電位を有することを特徴とする。
一実施形態によれば、少なくとも1つのカチオン性ポリマーは、生成されたPCCの水性懸濁物に対して0μeq/gより高いMutek電荷を与える。
別の実施形態によれば、カチオン性ポリマーを使用して得られるPCCの水性懸濁物は、0μeq/gより高い、例えば0μeq/gから+8μeq/gの間のMutek電荷を示すことを特徴とする。
本発明によれば、上で定義した少なくとも1つのポリマーを、PCCを製造するための本方法のステップの間に添加する、即ちポリマーを消和工程の前または間に添加する。当業者に公知であるように、酸化カルシウム含有材料を水で消和することによって得た石灰乳は通常、石灰乳中の酸化カルシウム含有材料の濃度に応じて、25℃の温度において11から12.5の間のpHを有する。消和反応は発熱性であるため、石灰乳の温度は通例、80から99℃の間の温度に達する。本発明の一実施形態によれば、本発明による使用の少なくとも1つのポリマーは、12のpHおよび95℃の温度を有する水性懸濁物中で安定であるように選ばれる。本発明の意味において、「12のpHおよび95℃の温度を有する水性懸濁物中で安定な」は、12のpHおよび95℃の温度を有する水性懸濁物に添加する場合に、ポリマーがこれの物性および化学構造を維持することを意味する。例えば該ポリマーはこれの分散品質を維持し、前記条件下で解重合または分解されない。ポリマーの解重合または分解が存在しないことは、石灰乳中の遊離モノマーおよび/または得られたPCCの水性懸濁物の量を測定することによって求められ得る。本発明の一実施形態によれば、石灰乳中の遊離モノマーの量は、ステップi)で提供される少なくとも1つのポリマーの全量に対して、0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満、最も好ましくは0.005重量未満である。
本発明の一実施形態によれば、本方法のステップi)で使用される少なくとも1つのカチオン性ポリマーは、1種のポリマーのみから成る。代替的に、ステップi)の少なくとも1つのポリマーは、少なくとも2種のポリマーの混合物から成り得る。
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つのカチオン性ポリマーを、酸化カルシウム含有材料の全重量に対して、0.01重量%から0.5重量%、好ましくは0.02重量%から0.4重量%、より好ましくは0.05重量%から0.35重量%の量で添加する。
少なくとも1つのカチオン性ポリマーは、溶液の形態で、または乾燥材料として提供され得る。一実施形態によれば、ステップi)の少なくとも1つのカチオン性ポリマーは、水溶液の全重量に対して、1重量%から70重量%、好ましくは2重量%から60重量%のポリマー濃度を有する水溶液の形態で提供される。
本発明のカチオン性ポリマーは、既知の触媒系および移動剤の存在下での、溶液中、直接エマルジョンもしくは逆エマルジョン中、懸濁物中もしくは適切な溶媒中での沈殿による既知のラジカル重合法によって、または媒介ラジカル重合法によって、優先的にはニトロキシド媒介重合(NMP)もしくはコバロキシム媒介重合、原子移動ラジカル重合(ATRP)もしくは硫黄誘導体媒介ラジカル重合によって得られ、前記硫黄誘導体は、カルバメート、ジチオエステルまたはトリチオカーボネート(RAFT)またはキサンテートから選ばれる。
消和添加剤
PCCの製造方法のステップi)において、カチオン性ポリマーに加えて、少なくとも1つの消和添加剤が使用され得る。
この場合、一実施形態によれば、ステップi)による石灰乳の調製は、少なくとも1つの消和添加剤を混合することにさらに存する。
少なくとも1つの消和添加剤は、有機酸、有機酸塩、糖アルコール、単糖類、二糖類、多糖類、グルコネート、ホスホネート、リグノスルホネート、およびこれの混合物から成る群から選ばれ得る。
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの消和添加剤は、ナトリウムシトレート、カリウムシトレート、カルシウムシトレート、マグネシウムシトレート、単糖類、二糖類、多糖類、スクロース、糖アルコール、メリトール、クエン酸、ソルビトール、ジエチレントリアミンペンタ酢酸のナトリウム塩、グルコネート、ホスホネート、ナトリウムタートレート、ナトリウムリグノスルホネート、カルシウムリグノスルホネートおよびこれの混合物から成る群から選ばれる。好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの消和添加剤は、ナトリウムシトレートおよび/またはサッカロースである。
本発明の一実施形態によれば、ステップi)の少なくとも1つの消和添加剤は、1種の消和添加剤のみから成る。代替的に、ステップi)の少なくとも1つの消和添加剤は、少なくとも2種の消和添加剤の混合物から成り得る。
該少なくとも1つの消和添加剤を、酸化カルシウム含有材料の全量に対して、0.01重量%から2重量%の量で、好ましくは0.05重量%から1重量%の、より好ましくは0.06重量%から0.8重量%の、最も好ましくは0.07重量%から0.5重量%の量で添加してよい。
消和添加剤の添加は、PCC粒子のサイズおよびこれの結晶形態を、水性懸濁物の粘度に影響を及ぼすことなく制御するのに有用であり得る。
方法ステップi)
PCCの製造方法のステップi)において、水、酸化カルシウム含有材料、少なくとも1つのカチオン性ポリマーおよび場合により少なくとも1つの消和添加剤を混合することにより石灰乳を調製する。
本発明によれば、ステップi)において、酸化カルシウム含有材料および水を1:1から1:6の重量比で混合する。好ましい様式において、酸化カルシウム含有材料および水は、ステップi)において1:2.5から1:4の重量比で混合する。
一実施形態によれば、酸化カルシウム含有材料および水は、ステップi)において1:2.5から1:6の重量比で混合する。
該酸化カルシウム含有材料と水との反応によって、石灰乳としてよりよく知られる、乳状水酸化カルシウム懸濁物が形成される。前記反応は高度に発熱性であり、当分野において「石灰消和」とも呼ばれる。
本発明の一実施形態によれば、混合ステップi)で使用する水の温度、即ち酸化カルシウム含有材料の消和に使用する水の温度は、0℃から100℃、例えば1℃から70℃または2℃から50℃または30℃から50℃または35℃から45℃の範囲となるよう調整される。水の初期温度が、消和反応の高い発熱特性のために、および/または異なる温度を有する物質の混合のために、ステップi)で調製した混合物の温度と必ずしも同じでないことが、当業者に明らかであろう。
本発明の一実施形態によれば、方法ステップi)は、
a1)少なくとも1つのカチオン性ポリマーを水、場合により少なくとも1つの消和添加剤と混合することに存するステップ、および
a2)ステップa1)の混合物に酸化カルシウム含有材料を添加することに存するステップ
を含む。
一実施形態によれば、ステップa1)は、0℃から99℃の間、例えば1℃から70℃の間または2℃から50℃の間または30℃から50℃の間または35℃から45℃の間の温度で行う。
本発明の別の実施形態によれば、方法ステップi)は、
b1)酸化カルシウム含有材料、少なくとも1つのカチオン性ポリマーおよび場合により少なくとも1つの消和添加剤を混合することに存するステップ、ならびに、
b2)ステップb1)の混合物に水を添加することに存するステップ
を含む。
本発明のなお別の実施形態によれば、方法ステップi)において、酸化カルシウム含有材料、少なくとも1つのポリマー、場合により少なくとも1つの消和添加剤および水を同時に混合する。
本発明のなお別の実施形態によれば、少なくとも1つの消和添加剤は、方法のステップi)の前または後に添加される。
少なくとも1つのポリマーは、ステップi)において一度にまたは数回に分けて添加してよい。一実施形態によれば、ステップi)において、少なくとも1つのカチオン性ポリマーは、該少なくとも1つのカチオン性ポリマーを一度にまたは2回、3回、4回、5回以上に分けて加えることによって、水、酸化カルシウム含有材料および少なくとも1つの消和添加剤と混合される。
方法ステップi)は、室温、即ち20℃±2℃の温度、または30℃から50℃の間または35℃から45℃の間の初期温度で実施され得る。反応は発熱性であるため、温度は通例、ステップi)の間に85℃から99℃の間の温度まで、好ましくは90℃から95℃の間の温度に達する。好ましい一実施形態によれば、方法ステップi)は、例えば機械的撹拌下で混合または撹拌することによって実施する。混合または撹拌に好適な方法装置は、当業者に既知である。
消和反応の進捗は、反応混合物の温度および/または伝導率を測定することによって観察してよい。進捗は、濁度制御によっても監視され得る。代替的にまたは加えて、消和反応の進捗は目視で検査され得る。
本発明者らは驚くべきことに、上で定義したようなカチオン性ポリマーおよび場合により上で定義したような消和添加剤の組合せを、PCCを製造する方法の消和工程の前または間に添加することによって、低い乾燥固体含有率を有するだけでなく、高い乾燥固体含有率も有する石灰乳が調製され得ることを見出した。本発明の一態様によれば、前記高濃度の石灰乳を炭酸塩化することにより、高い乾燥固体含有率をも有するPCCの水性懸濁物が得られ得ることは、確かに興味深い。結果として、本発明の方法は、高い乾燥固体含有率を有するPCC懸濁物を得るために、追加の濃縮ステップを必要としない。
本発明によれば、酸化カルシウム含有材料および水を1:1から1:6、例えば1:2.5から1:6または1:2.5から1:4の重量比で混合する。好ましい一実施形態によれば、ステップi)において、酸化カルシウム含有材料および水を1:3から1:5の重量比で混合する。
本発明の一実施形態によれば、ステップi)の石灰乳は、石灰乳の全重量に対して、少なくとも15重量%、好ましくは15重量%から45重量%、より好ましくは20重量%から40重量%、最も好ましくは25重量%から37重量%の乾燥固体含有率を有する。
本発明の一実施形態によれば、ステップi)の石灰乳は、25℃にて1mPa・sから1,000mPa・sの、より好ましくは25℃にて5mPa・sから800mPa・sの、最も好ましくは25℃にて10mPa・sから500mPa・sのBrookfield粘度を有する。一実施形態によれば、Brookfield粘度は、100rpmにて測定する。
本発明の文脈において、石灰乳の所望の乾燥固体含有率またはBrookfield粘度を制御および/または維持および/または達成するために、消和反応中に追加の水が導入され得る。
方法ステップi)は、バッチ法、半連続法または連続法の形態で実施され得る。
方法ステップii)
PCCの製造方法のステップii)において、ステップi)から得た石灰乳を炭酸塩化して、沈降炭酸カルシウムの水性懸濁物を形成する。
炭酸塩化は、当業者に周知の手段により、当業者に周知の条件下で行う。二酸化炭素の石灰乳中への導入により、カーボネートイオン(CO 2−)濃度が急速に上昇して、炭酸カルシウムが形成される。特に、炭酸塩化反応は、炭酸塩化方法に関与する反応を考慮して、ただちに制御され得る。二酸化炭素はこれの分圧に従って溶解し、炭酸(HCO)の形成を介してカーボネートイオンを形成し、水素カーボネートイオン(HCO )はアルカリ性溶液中で不安定である。二酸化炭素の連続溶解時に、水酸化物イオンが消費され、カーボネートイオンの濃度は、溶解した炭酸カルシウムの濃度が溶解度積を超えて、固体炭酸カルシウムが沈降するまで上昇する。
本発明の一実施形態によれば、ステップii)において、炭酸塩化は、純粋なガス状二酸化炭素または少なくとも10体積%の二酸化炭素を含有する産業用ガスを石灰乳中に包含することによって行う。
炭酸塩化反応の進捗は、伝導率、濁度および/またはpHを測定することによってただちに観察され得る。この点で、二酸化炭素の添加前の石灰乳のpHは、10より高く、通常は11から12.5の間となり、約7のpHに達するまで絶えず低下する。この時点で、反応を停止させてよい。
伝導率は、炭酸塩化反応中にゆっくりと低下して、沈殿が完了すると急速に低レベルまで低下する。炭酸塩化の進捗は、反応混合物のpHおよび/または伝導率を測定することによって監視され得る。
PCCの製造方法の一実施形態によれば、ステップii)で使用するステップi)から得た石灰乳の温度を、20℃から60℃の、好ましくは30℃から50℃の範囲に調整する。石灰乳の初期温度が、発熱炭酸塩化反応特性のために、および/または異なる温度を有する物質の混合のために、ステップii)で調製した混合物の温度と必ずしも同じでないことが、当業者に明らかであろう。
PCCの製造方法の一実施形態によれば、ステップii)は、5℃から95℃、好ましくは30℃から70℃、より好ましくは40℃から60℃の温度で実施する。
方法ステップii)は、バッチ法、半連続法または連続法の形態で実施され得る。一実施形態によれば、方法のステップi)およびii)を含むPCCの製造方法は、バッチ法、半連続法または連続法の形態で実施される。
本発明の一実施形態によれば、PCCの製造方法は、方法のステップi)からii)によって得た沈降炭酸カルシウムの水性懸濁物を濃縮するステップを一切含まない。
すでに上述したように、本発明者らは驚くべきことに、PCCを製造する方法の消和ステップの前または間の、場合により消和添加剤の添加と組合せた、上で定義したようなカチオン性ポリマーの添加によって、高い乾燥固体含有率を有するPCC懸濁物を調製することができ得ることを見出した。濃縮ステップの省略によって、濃縮ステップ中に発生し得る粒子の表面損傷が回避されるため、製造されたPCC粒子の品質が改善されることも考えられる。前記PCC懸濁物を許容できる粘度、例えば25℃および100rpmで1,000mPa.s以下のBrookfield粘度において、52重量%を超える固体含有率までさらに濃縮され得ることも見出された。一般に、濃縮ステップを含む在来のPCC製造方法によって得られるPCC懸濁物では、前記懸濁物の粘度が圧送できない範囲に達するため、このことは行われ得ない。
PCCの製造方法の一実施形態によれば、得られた沈降炭酸カルシウムは、0.1μmから100μm、好ましくは0.25μmから50μm、より好ましくは0.3μmから5.0μm、最も好ましくは0.4μmから3.0μmの重量平均粒径d50を有する。
沈降炭酸カルシウムは、アラゴナイト、カルサイトもしくはファーテライト結晶構造またはこれの混合物を有し得る。本発明の別の利点は、沈降炭酸カルシウムの結晶構造および形態が、例えば種結晶または他の構造改質化学製品の添加によって制御され得ることである。好ましい一実施形態によれば、本発明の方法によって得た沈降炭酸カルシウムは、クラスター化偏三角面体状結晶構造を有する。
本発明による方法によって得た沈降炭酸カルシウムのBET比表面積は、窒素およびISO 9277規格によるBET法を使用して測定して、1m/gから100m/g、好ましくは2m/gから70m/g、より好ましくは3m/gから50m/g、とりわけ4m/gから30m/gであり得る。本発明の方法によって得た沈降炭酸カルシウムのBET比表面積は、小さい粒径だけでなく、高いBET比表面積も生じる高い機械剪断率における剪断を沈降ステップ中または沈降ステップの後に含む、添加剤、例えば界面活性剤の使用によって制御してよい。
本発明の一実施形態によれば、得られた沈降炭酸カルシウムの懸濁物は、懸濁物の全重量に対して、少なくとも10重量%、好ましくは20重量%から50重量%、より好ましくは25重量%から45重量%、最も好ましくは30から40重量%の乾燥固体含有率を有する。
本発明の一実施形態によれば、ステップii)のPCCの懸濁物は、25℃にて1,000mPa・s以下、より好ましくは25℃にて800mPa・s以下、最も好ましくは25℃にて600mPa・s以下のBrookfield粘度を有する。Brookfield粘度は、100rpmにて測定してよい。
本発明の別の態様は、沈降炭酸カルシウムの水性懸濁物の製造方法における、少なくとも1つの水溶性ポリマーと1つの消和添加剤との組合せの使用に関し、
−少なくとも1つのカチオン性ポリマーは、正味正電荷を有するモノマー単位、例えば第4級アミンを有し、0mVを超えるゼータ電位を有するPCC懸濁物を生成することができるモノマー単位から少なくとも成り、ならびに
−消和添加剤が有機酸、有機酸塩、糖アルコール、単糖類、二糖類、多糖類、グルコネート、ホスホネート、リグノスルホネートおよびこれの混合物から成る群から選ばれる。
方法の追加ステップ
本発明の方法は、追加ステップを含み得る。
石灰乳は、大きすぎる粒子を除去するためにふるい分けしてよい。適切なふるいは、例えば、700μmから100μm、例えば約100μmまたは約300μmのふるいサイズを有するふるいを含み得る。本発明の一実施形態によれば、石灰乳をステップi)の後およびステップii)の前に、好ましくは100μmから300μmのふるいサイズを有するふるいを用いてふるい分けする。
沈降炭酸カルシウムの製造方法は、ステップii)で得た水性懸濁物から沈降炭酸カルシウムを分離するステップiii)をさらに含んでもよい。
本発明の目的のために、表現「分離する」は、PCCが本方法のステップii)から得た水性懸濁物から除去または単離されることを意味する。当業者に既知のいずれの従来の分離手段も、例えば機械的および/または熱的に使用され得る。機械的分離法の例は、例えば、ドラムフィルタもしくはフィルタプレスによる濾過、ナノ濾過または遠心分離である。熱分離法の一例は、例えば蒸発器中で熱を加えることによる濃縮方法である。
得られたPCCは変換されてもよく、例えば脱凝集され得るか、または乾式粉砕ステップに供され得る。得られたPCCは、懸濁物の形態で湿式粉砕されてもよい。PCCを脱水、分散および/または粉砕ステップに供する場合、これらのステップは当分野で公知の方法によって実施してよい。湿式粉砕は、粉砕助剤の非存在下でまたは存在下で実施してよい。所望ならば、分散剤を含めて分散物を調製してもよい。
沈降炭酸カルシウムの製造方法は、ステップiii)で得た分離した沈降炭酸カルシウムを乾燥するステップiv)をさらに含んでよい。
一般に、乾燥ステップiv)は、いずれの好適な乾燥装置も使用して行ってよく、例えば蒸発器、フラッシュ乾燥機、オーブン、スプレー乾燥機などの装置を使用する熱乾燥および/もしくは減圧乾燥ならびに/または真空チャンバ内での乾燥を含んでよい。
乾燥ステップiv)により、乾燥した沈降炭酸カルシウムの全重量に対して1.0重量%以下の低い全含水率を有する乾燥沈降炭酸カルシウムがもたらされる。
本発明の方法によって得た沈降炭酸カルシウムは、例えば乾燥ステップの間および/または後に追加成分を用いて後処理され得る。一実施形態によれば、沈降炭酸カルシウムを脂肪酸、例えばステアリン酸、シランまたは脂肪酸のリン酸エステルによって処理する。
最後に、本発明は、本発明によって得られる沈降炭酸カルシウムの水性懸濁物の製造方法における少なくとも1つのカチオン性ポリマーの使用にも関する。
1.測定方法
以下では、実施例で使用した測定方法について説明する。
Brookfield粘度
Brookfield粘度を、製造1時間後および25℃±1℃、100rpmにて1分撹拌した後に、適切なディスクスピンドル、例えばスピンドル2から5を装備したRVT型Brookfield粘度計を使用して測定した。
pH測定
懸濁物または溶液のpHは、メトラートレド(Mettler Toledo)セブンイージー(Seven Easy)pH計およびメトラートレドInLab(登録商標)エキスパートプロ(Expert Pro)pH電極を使用して、25℃にて測定した。機器の(セグメンテーション法による)3点較正を、20℃にて4、7および10のpH値を有する市販の緩衝溶液(米国のシグマ−アルドリッチ社(Sigma−Aldrich Corp.))を使用して、最初に行った。報告したpH値は、機器によって検出した終点値である(終点は、測定した信号の平均からの差が最後の6秒間にわたって0.1mV未満である場合であった。)。
粒径分布
調製したPCC粒子の粒径分布は、米国のマイクロメリティックス社(Micromeritics)のセディグラフ(Sedigraph)5100装置を使用して測定した。方法および機器は当業者に公知であり、鉱物フィラーおよび顔料の粒径を決定するためによく使用されている。測定は、0.1重量%のNaを含む水溶液中で行った。高速撹拌機および超音波を使用して試料を分散させた。分散した試料の測定には、他の分散剤を添加しなかった。
水性懸濁物の乾燥固体含有率
懸濁物乾燥固体含有率(「乾燥重量」としても公知)は、スイスのメトラートレド社(Mettler−Toledo)による水分分析装置MJ33を以下の設定で使用して決定した:乾燥温度160℃、質量が30秒の期間にわたって1mgを超えて変化しない場合、自動スイッチオフ、5gから20gの懸濁物の標準乾燥。
比表面積(SSA)
比表面積は、窒素を使用してISO 9277規格によるBET法により測定し、続いて250℃にて30分の期間にわたって加熱して試料を調整した。このような測定の前に、試料をブフナー漏斗内で濾過して、脱イオン水ですすぎ、オーブンで90℃から100℃の温度にて一晩乾燥させる。続いて、乾燥濾過ケーキを乳鉢で完全に粉砕し、生じた粉末を恒量に達するまで130℃の湿度分析秤に配置する。
比炭酸塩化時間
炭酸塩化反応中にゆっくり低下し、迅速に最低レベルまで低下して反応の終了を示す伝導率の監視を使用して、完全沈降を行うために必要な時間を評価した。比炭酸塩化時間(Ca(OH)の分/kg)を以下の式によって求めた:
Figure 2018508444
式中:
−Tf(分)は、伝導率を監視することによって求められる、石灰乳の炭酸塩化を完了するために必要な時間であり、
−M(g)は、炭酸塩化反応装置に導入された石灰乳の重量であり、および
−SCMoL(%)は、石灰乳の重量乾燥固体含有率である。
ポリマーの比粘度
本発明の意味における「比粘度」という用語は、所与の温度で測定した相対粘度から1を引いた差として定義される。
ηsp=ηrel−1
本明細書で使用する相対粘度は、溶液粘度ηおよび溶媒粘度ηの商である。
Figure 2018508444
式中、溶媒粘度ηは、所与の温度(例えば20℃または25℃)における純溶媒の粘度として定義し、溶液粘度ηは、所与の温度および所与のポリマー濃度(例えば50g/L)で純溶媒に溶解したポリマーの粘度として定義する。
しかし、相対粘度を求めるためには、境界条件が一定である場合、所与の温度(例えば20℃または25℃)での溶出時間(ポリマー溶液の)tおよび(溶媒の)tを測定することで十分である。従って、相対粘度は
Figure 2018508444
と定義され得て、従って比粘度は
Figure 2018508444
と定義され得る。
より正確には、ポリマーの比粘度は、NaCl溶液(120g/L)中のポリマー濃度が50g/Lのポリマー水溶液から得られ、該ポリマー溶液のpHは、アンモニアによって6から7の範囲内にできるだけ限り調整する。溶出時間tおよびtは、25℃±0.2℃で、粘度測定管USA KIMAX(参考:サイズ100 n°46460B2)を用いて測定した。
:tを求めるために、120g/Lの濃度のNaCl溶液である逆浸透水を用いて、NaCl水溶液を調製した。
t:tを求めるために、2.5gの乾燥ポリマーを、50gの逆浸透水および6gのNaClと合わせて、均質な溶液を得た。
溶出時間tおよびtは、25℃±0.2℃で測定し、ηspは上記の式に従って計算した。
電荷測定−Mutek
電荷測定は、Mutek PCD滴定装置を装備したMutek PCD 03装置を使用して行った。
乾燥PCC 0.5gから1gをプラスチック製測定セルで秤量し、脱イオン水20mLで希釈する。容量形ピストンを装着する。セル内でピストンが振動している間、2個の電極間のストリーミング電流が安定するまで待機する。
ディスプレイに表示された測定値の符号は、試料の電荷が正(カチオン)であるか、または負(アニオン)あるかを示す。既知の電荷密度を有する逆荷電高分子電解質を、滴定剤(ナトリウムポリオキシエチレンサルフェート0.001NまたはpDADMAC 0.001Nのどちらか)として試料に添加する。滴定剤は、試料の現在の電荷を中和する。ゼロ電荷点(0mV)に達したら、滴定をただちに中止する。
滴定剤消費量(mL)は、さらなる計算の基準となる。比電荷量q[eq/gスラリー]は、以下の式に従って算出される:
q=(Vc)/m
V:滴定剤消費量[L]
c:滴定剤濃度[eq/L]または[μeq/L]
m:秤量したスラリーの質量[g]
q:比電荷量[eq/gスラリー]または[μeq/gスラリー]
ゼータ電位
ゼータ電位の測定では、やや濁ったコロイド状懸濁物を得るために、前記懸濁物の機械的濾過によって得た十分な量の血清中に2、3滴のPCC懸濁物を分散させる。
この懸濁物を、PCC懸濁物のゼータ電位の値(mV)を直接表示するマルバーン(Malvern)製のゼータサイザ(Zetasizer)Nano−ZS装置の測定セルに導入する。
2.実施例
機械撹拌下で、50℃から51℃の間の初期温度にて、水をカチオン性ポリマーP1からP5(利用可能な場合)および/または消和添加剤(例えば無水クエン酸ナトリウム、NaCi)(利用可能な場合)と混合することによって、石灰乳を調製した(消和添加剤およびポリマーの量を下の表2に示す。)。続いて、酸化カルシウム(オーストリア、Golling産の生石灰原料)を添加した。得られた混合物を25分間撹拌して、次いで200μmふるいでふるい分けした。
得られた石灰乳をステンレス鋼反応装置に移し、ここで石灰乳を50℃まで冷却した。次いで、空気/CO混合物(26体積%CO)を流速23分/Lで導入することにより、石灰乳を炭酸塩化した。炭酸塩化ステップの間、反応混合物を1,400rpmの速度で撹拌した。反応の速度をオンラインpHおよび伝導率測定によって監視した。
例示ポリマー添加剤:
P1=MADQUAT(本発明による)
比粘度:2.66
P2=70%Madquat/30%Maptac(本発明による)
比粘度:2.19
P3=70%Madquat/30%Maptac(本発明による)
比粘度:1.68
P4=50%Madquat/50%アクリル酸(本発明による)
比粘度:2.87
P5=pDADMAC(本発明による)
比粘度:9.98
P6=ポリアクリル酸ナトリウム(本発明以外)−Mw=4,270g/モル、PDI=2.3(未公開特許出願EP14166751.9に従って求めたMwおよびPDI)。
Figure 2018508444
調製した石灰乳および水性PCC懸濁物の特徴を下の表2に記載する。
Figure 2018508444
表2にまとめた結果は、消和添加剤の単独の使用により、Brookfield粘度が高い石灰乳(試料1)がもたらされることと、スラリー粘度の上昇を防止すると同時に石灰乳の固体含有率(重量%)を上昇させることは不可能であること(試料1と試料2の比較)を示している。
これに対して、本発明の試料3から7および9によって、得られた石灰およびPCC懸濁物、即ち25℃にて1,500mPa・s以下、より好ましくは試料3から6および9では25℃で1,000mPa・s以下、最も好ましくは試料3から5および9では25℃で600mPa・s以下のBrookfield粘度を有するPCCの懸濁物の粘度が、このように得られたPCCの初期の用途と完全に合致することが確認される。
さらに、炭酸塩化の速度および調製したPCCの結晶学的構造(結果は示さず)は、アニオン性ポリマー(比較のためのみ、本発明以外のP6ポリマー)の使用を含む方法で得られたものと同様である。

Claims (12)

  1. 少なくとも1つのカチオン性ポリマーの使用を含む沈降炭酸カルシウムの水性懸濁物を製造する方法であって、
    i)水、酸化カルシウム含有材料および前記少なくとも1つのカチオン性ポリマーを混合することによって石灰乳を調製することであって、前記酸化カルシウム含有材料および水を1:1から1:6の重量比で混合する、ことに存するステップ、ならびに
    ii)ステップi)から得た前記石灰乳を炭酸塩化して、前記沈降炭酸カルシウムの水性懸濁物を形成することに存するステップ
    を含む、方法。
  2. 少なくとも1つのカチオン性ポリマーが正味正電荷を有するモノマー単位、例えば第4級アミンを有するモノマー単位から成る、請求項1に記載の方法。
  3. ステップi)において、酸化カルシウム含有材料および水を、1:2.5から1:6または1:2.5から1:4の重量比で混合する、請求項1から2の一項に記載の方法。
  4. ステップi)による石灰乳の調製が、少なくとも1つの消和添加剤を混合することにさらに存する、請求項1から3の一項に記載の方法。
  5. 少なくとも1つの消和添加剤がナトリウムシトレート、カリウムシトレート、カルシウムシトレート、マグネシウムシトレート、単糖類、二糖類、多糖類、スクロース、糖アルコール、メリトール、クエン酸、ソルビトール、ジエチレントリアミンペンタ酢酸のナトリウム塩、グルコネート、ホスホネート、ナトリウムタートレート、ナトリウムリグノスルホネート、カルシウムリグノスルホネートおよびこれの混合物から成る群から選ばれる、請求項1から4の一項に記載の方法。
  6. ステップi)の石灰乳が、25℃、100rpmで1mPa.sから1,000mPa.sのBrookfield粘度を有する、請求項1から5の一項に記載の方法。
  7. ステップii)のPCCの懸濁物が25℃、100rpmで1,000mPa.s以下のBrookfield粘度を有する、請求項1から6の一項に記載の方法。
  8. 沈降炭酸カルシウムの得られた懸濁物が、前記懸濁物の全重量に対して少なくとも10重量%の乾燥固体含有率を有する、請求項1から7の一項に記載の方法。
  9. 少なくとも1つの消和添加剤が、酸化カルシウム含有材料の全量に対して0.01重量%から2重量%の量で添加される、請求項1から8の一項に記載の方法。
  10. 混合ステップi)において使用する水の温度を0℃から100℃(上限値および下限値を除く)の範囲に調整する、請求項1から9の一項に記載の方法。
  11. ステップii)で使用するステップi)から得た石灰乳の温度を20℃から60℃の範囲に調整する、請求項1から10の一項に記載の方法。
  12. 請求項1から11の一項に記載の沈降炭酸カルシウムの水性懸濁物を製造する方法における、少なくとも1つのカチオン性ポリマーの使用。
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