JP2859026B2 - 形状データ作成方法 - Google Patents

形状データ作成方法

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JP2859026B2
JP2859026B2 JP4107824A JP10782492A JP2859026B2 JP 2859026 B2 JP2859026 B2 JP 2859026B2 JP 4107824 A JP4107824 A JP 4107824A JP 10782492 A JP10782492 A JP 10782492A JP 2859026 B2 JP2859026 B2 JP 2859026B2
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広 松原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、数値制御(NC)装置
付き工作機械のNCデータとして必要な形状データ作成
方法に関し、特に金型を開くときに金型を抜き易くする
ために抜き勾配を付けた金型加工用の形状データ作成方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】金型は、一般的に、ダイカスト機械ある
いはプラスチック射出成形機械等のような機械に取り付
けられる。そして、ダイカスト機械ではアルミニウムま
たは亜鉛を、プラスチック射出成形機械ではプラスチッ
ク原料を、それぞれ加圧溶融してそれぞれの機械に取り
付けられた金型の内部の空洞部に射出注入し、その溶融
したアルミニウムまたは亜鉛あるいはプラスチック原料
を所定時間冷却固化してから後に前記金型を開き、金型
内部の空洞部の形状に応じた所望の形状のダイカスト製
品あるいはプラスチック製品を製造する。金型はこの様
な目的に使用される。しかるに、金型の深さが深く垂直
部分が長いと前記冷却固化したダイカスト製品あるいは
プラスチック製品が金型から離れ難く金型が抜きにくい
という問題がある。また、前記射出注入時に金型形状不
良のためバリが発生するという問題がある。
【0003】このようなことを考慮して、金型を製造す
る分野の専門家は、金型を抜き易くかつ前記バリを少な
くするために、通常金型に抜き勾配を付けている。そし
てこの抜き勾配の角度は、できるだけ大きいことが望ま
しいことも経験的に知られている。しかしながら、従来
技術においては抜き勾配を付けた金型の形状を自動的か
つ一義的に作成する方法はなく、金型を製造する分野の
専門家により経験的に推測して抜き勾配を付けた金型の
形状を決定していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように作成された
抜き勾配を付けた金型の形状は、金型を製造する分野の
専門家の経験や個人差によりその形状精度にバラツキが
生じ、最適な抜き勾配とならず金型が上手く開かなかっ
たり、金型により成形される製品形状に多くの不良が発
生したりする問題がある。さらに、最適な形状を完成で
きてもそれまでに多大な時間と労力を費やすという問題
がある。
【0005】したがって、本発明の目的は、上述の問題
点のない、すなわち金型が上手く開き金型により成形さ
れる製品形状に不良の発生の少ない、さらに最適な形状
を完成するのに多大な時間と労力を費やすことのない抜
き勾配を付けた金型の形状を自動的に求める形状データ
作成方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成する本発
明の抜き勾配を付けた金型の形状データ作成方法は、S
M(サーフェスモデル)の形状データと基準となる金型
の分割線(パーティングライン)の形状データとをコン
ピュータに記憶させ、そのSM形状のデータから所定の
抜き勾配角と所定の抜き勾配長を有する抜き勾配面を自
動的に求めるものである。
【0007】図1は本発明による方法の基本処理ルーチ
ンの流れ図である。本発明の形状データ作成方法は、与
えられたモデルの表面SM形状から該モデルを製作する
ための金型の抜き勾配面の形状データを作成する形状デ
ータ作成方法において、予め与えられた金型のモデル表
面SMの形状データおよび前記金型の基準分割線SCP
の形状データを相互に直交する3次元直交座標系X,
Y,Zにおけるデータとして記憶し、抜き勾配角α°、
抜き勾配長lを決定する第1段階と、基準分割線SCP
上に任意の点Pを決定し、点Pにおける接線ベクトルの
3次元直交座標系X,Y,Zにおける所定軸Z方向成分
0の平面XY上のベクトル方向に垂直であり点Pを通る
モデル形状切断平面PLnを求め記憶する第2段階と、
【0008】モデル形状切断平面PLnとモデルの表面
SMとの交線SCSを求め記憶する第3段階と、交線S
CS上に抜き勾配角α°を有する接線を引き、その接線
上の接点Q’を求め、接点Q’から抜き勾配角α°を有
し抜き勾配長l離れた点R’を求め、接点Q’と点R’
とを基準分割線SCPの回りに1周して求め3次元直交
座標系X,Y,Zにおけるデータとして記憶する第4段
階と、求めた各接点Q’の全点列から所定の補間曲線S
CQ’を求めた各点R’の全点列から所定の補間曲線S
CR’をそれぞれ求め記憶する第5段階と、前記補間曲
線SCQ’と対応する前記補間曲線SCR’との間を所
定の補間曲線で補間して抜き勾配面SFQ’を求め記憶
する第6段階と、から成る。
【0009】本発明による形状データ作成方法は、さら
に、前記第4段階において、交線SCSを3次元直交座
標系X,Y,Zから平面座標系HL−VLに座標変換
し、平面座標系HL−VL上における原点の回りに交線
SCSを抜き勾配角α°だけ時計方向に回転して得られ
た交線SCS’において、平面座標系HL−VL上の所
定軸HL方向の最大値を有する点Qを求め、点Qから平
面座標系HL−VL上の他の軸VLの方向に抜き勾配長
lだけ減じた点Rを求め、さらに平面座標系HL−VL
における原点の回りに交線SCS’を抜き勾配角α°だ
け反時計方向に回転して戻して得られた点Qと点Rのそ
れぞれの点を点Q”と点R”として求め、点Q”と点
R”を3次元直交座標系X,Y,Zに座標変換してそれ
ぞれ点Q’と点R’を求めることを特徴とする。
【0010】本発明による形状データ作成方法は、さら
に、前述の方法で求めた金型の抜き勾配面SFQ’の形
状データと予め与えられた金型の分割面SFPの形状デ
ータとから金型の新たな分割線の形状データを作成する
方法において、前述の方法で求めた点R”と点Q”を通
る交線SCSの接線と、点Pを通り平面座標系HL−V
LにおけるHL軸と平行な直線との交点P’を求め、基
準分割線SCPの回りに1周して分割線SCP’を求
め、金型の新たな分割線SCP’とすることを特徴とす
る。
【0011】本発明による形状データ作成方法は、さら
に、上型および下型からなる一対の金型において、各金
型の抜き勾配面を前述の方法で求め、求めた一方の抜き
勾配面SFQ1 ’の形状データと求めた他方の抜き勾配
面SFQ2 ’の形状データとから金型の新たな分割線の
形状データを作成する方法において、前述の方法で求め
た一方の金型のモデル形状切断平面PLn上の点R1
と点Q1 ”を通る交線SCS1 への接線と、他方の金型
のR2 ”と点Q2 ”を通る交線SCS2 への接線との交
点P’を求め、基準分割線SCPの回りに1周して分割
線SCP’を求め、金型の新たな分割線SCP’とする
ことを特徴とする。
【0012】本発明による形状データ作成方法は、さら
に、前述のいずれかの方法で求めた金型の分割線の形状
データから金型の分割面の形状データを作成する形状デ
ータ作成方法において、求められた金型の新たな分割線
SCP’の線上に任意の点P’を決定し、該点P’の各
々に対応して所定の法線方向に所定幅w離れた各点R’
を求め、各点R’の点列として連続的に接続して所定の
補間曲線SCR’を求め、前記新たな分割線SCP’と
対応する前記補間曲線SCR’との間を所定の補間曲線
で補間して金型の分割面SFPを求めることを特徴とす
る。
【0013】
【作用】本発明の形状データ作成方法は、金型の抜き勾
配面の形状データを作成する形状データ作成方法におい
て、予め与えられたモデルの表面SMの形状および金型
の基準分割線SCPの形状をデータとして記憶し、抜き
勾配角α°、抜き勾配長lを決定し、基準分割線SCP
上に任意の点Pを決定し、点Pにおける接線ベクトルの
3次元直交座標系X,Y,Zにおける所定軸Z方向成分
0の平面XY上のベクトル方向に垂直である点Pを通る
モデル形状切断平面PLnを求め記憶し、モデル形状切
断平面PLnとモデルの表面SMとの交線SCSを求め
記憶し、交線SCS上に抜き勾配角α°を有する接線を
引きその接線上の接点Q’および接点Q’から抜き勾配
角α°を有し抜き勾配長l離れた点R’を基準分割線S
CPの回りに1周して求め、3次元直交座標系X,Y,
Zに記憶し、求めた接点Q’の全点列から所定の補間曲
線SCQ’および求めた点R’の全点列から所定の補間
曲線SCR’をそれぞれ求め記憶し、前記補間曲線SC
Q’と対応する前記補間曲線SCR’との間を所定の補
間曲線で補間することにより抜き勾配面SFQ’の形状
データが求められる。
【0014】本発明による形状データ作成方法は、さら
に、交線SCSを3次元直交座標系X,Y,Zから平面
座標系HL−VLに座標変換し、平面座標系HL−VL
上における原点の回りに交線SCSを抜き勾配角α°だ
け時計方向に回転して得られた交線SCS’における平
面座標系HL−VL上の所定軸HL方向の最大値を有す
る点Qを求め、点Qから平面座標系HL−VL上の他の
軸VLの方向に抜き勾配長lだけ減じた点Rを求め、さ
らに平面座標系HL−VLにおける原点の回りに交線S
CS’を抜き勾配角α°だけ反時計方に回転して戻して
得られた点Qと点Rのそれぞれの点を点Q”と点R”と
して求め、点Q”と点R”を3次元直交座標系X,Y,
Zに座標変換してそれぞれ点Q’と点R’を求める。
【0015】
【実施例】図2は、SMの形状データから金型の抜き勾
配面を求める方法の処理ルーチンの流れ図である。以下
図2、および他の図面を参照しながら本発明の金型の抜
き勾配面を求める方法の実施例について説明する。な
お、図中Sに続く数字はステップ番号を示す。
【0016】図3は、表面が複数の面パッチからなるモ
デルを一部破断した斜視図である。図3における面パッ
チの各々の形状は、一般的に3次元のベジェ曲線、また
はスプライン曲線等の所定の補間曲線で表現される。本
発明の実施例においては、相互に直交する3次元座標系
X,Y,Zに変換されるu,vパラメータによる関数f
(u,v)で表現する。また、モデルの表面を以降SM
(サーフェス・モデル)と簡略して表現する。
【0017】第1段階において、例えば図3に示すSM
形状データ、および基準分割線SCPの形状データを記
憶し、後述する抜き勾配角α°、抜き勾配長lを設定す
る(ステップS1)。すなわち、 (1)複数の面パッチで構成されるSM形状について、
各面パッチの3次元直交座標系X,Y,Zを、u,vパ
ラメータの関数によるデータとして記憶する(このよう
な形状の記憶をモデリングと言う)。 (2)所定の補間曲線で補間した基準分割線SCPの形
状データを3次元直交座標系X,Y,Zのデータとして
記憶する。 (3)金型のSMへの抜き勾配角α°および抜き勾配長
lの各データを設定する。
【0018】図4は、基準分割線上の点で切断した平面
を示す図であり、図5は、図4に示す図をXY平面に投
影した図である。第2段階において、図4および図5に
示す基準分割線SCP上に任意の点Pを決定し(ステッ
プS2)、点Pにおける基準分割線SCPの接線ベクト
ルVi(x,y,z)の3次元直交座標系X,Y,Zに
おける所定軸Z方向成分0のXY平面(図5に示す)上
のベクトルViz0 、すなわち接線ベクトルVi(x,
y,z)のZ成分を0としたベクトルの方向に垂直な点
Pを通るモデル形状切断平面PLnを求め記憶する(ス
テップS3)。このモデル形状切断平面PLnはZ軸に
平行となる。
【0019】第3段階において、モデル形状切断平面P
Lnとモデルの表面SMとの交線SCSを求め記憶する
(ステップS4)。すなわち、交線SCSは形状モデル
SMの面パッチをモデル形状切断平面PLnで切って得
られる。
【0020】図6は、抜き勾配面を特徴づけるモデル上
の点とその対応点の求め方の説明図である。第4段階に
おいて、交線SCSから抜き勾配角α°を有するモデル
の表面SM上の接点Q’および接点Q’から抜き勾配角
α°を有し抜き勾配長l離れた点R’を基準分割線SC
Pの回りに1周して求め3次元直交座標系X,Y,Zに
おけるデータとして記憶する。具体的には、図6に示す
ように、モデル形状切断平面PLn上の交線SCSはH
L−VL座標系に表現され、 (1)交線SCSをHL−VL座標系に座標変換し、H
L−VL座標軸の原点を中心にして交線SCSを抜き勾
配角α°回転し交線SCS’を求める(ステップS
5)。 (2)交線SCS’上のHL(X)座標の最大値を有す
る点Qを求める(ステップS6)。 (3)点QのVL(Y)座標を抜き勾配長lだけ減じて
点Rを求める(ステップS7)。 (4)求めたQ、RをHL−VL座標軸の原点を中心に
して交線SCS’を抜き勾配角α°回転して戻し、
Q”、R”をHL−VL座標系で求め、求めたQ”、
R”を3次元直交座標系X,Y,Zに座標変換しQ’、
R’を求め記憶する(ステップS8)。
【0021】基準分割線SCP上の他の点Pに点Pを移
動し(ステップS9)、基準分割線SCPの回りに1周
完了したか否かを判別する(ステップS10)。判別し
た結果がNOのときはステップS2に戻り、判別した結
果がYESとなるまでステップS2からステップS10
を繰り返し実行し、判別した結果がYESとなったとき
はステップS11に移行する。
【0022】図7は、抜き勾配面の特徴点から抜き勾配
面を作成する過程を示す図である。第5段階において、
図7に示すように、求まった各接点Q’の全点列から所
定の補間曲線である接点曲線SCQ’を求め記憶し(ス
テップS11)、求まった各点R’の全点列から所定の
補間曲線である接点延長対応曲線SCR’を求め記憶す
る(ステップS12)。
【0023】第6段階において、前記接点曲線SCQ’
と対応する前記接点延長対応曲線SCR’を所定の補間
曲線で補間して抜き勾配面SFQ’を求め(ステップS
13)、求まった抜き勾配面SFQ’を最終的な抜き勾
配面(図7に示す)として記憶する(ステップS1
4)。
【0024】以上説明した本発明の実施例は、金型のモ
デルの形状に即した特徴線である金型の分割線(基準分
割線SCP)を基準にして金型の抜き勾配面の形状デー
タを作成する方法であるが、本発明の他の形状データを
作成する方法として、前述の方法で求めた抜き勾配面S
FQ’と予め与えられた所定の方法で得られた分割面S
FPとの交線を求め、その交線を金型の分割線SCP’
とし、その分割線SCP’の上に任意の点P’を決定
し、その点P’の各々に対応して所定の法線方向に所定
幅w離れた各点R’を求め、その各点R’の点列として
連続的に接続して所定の補間曲線SCR’を求め、前記
分割線SCP’と対応する前記補間曲線SCR’との間
を所定の補間曲線で補間して金型の分割面SFPを求め
て金型の分割面とする形状データを作成する方法があ
る。
【0025】図8は、抜き勾配面に連続する分割面を求
める方法の処理ルーチンの流れ図である。以下図8、お
よび他の図面を参照しながら抜き勾配面に連続する分割
面を求める方法について説明する。なお、図中Sに続く
数字はステップ番号を示す。SM形状データ、および基
準分割線SCPの形状データを記憶させ、抜き勾配角α
°および所定の分割面の幅w(オフセット幅)を設定す
る(ステップS21)。すなわち、 (1)複数の面パッチで構成されるSM形状について、
各面パッチの3次元直交座標系X,Y,Zを、u,vパ
ラメータの関数によるデータとして記憶する。 (2)所定の補間曲線で補間した基準分割線SCPの形
状データを3次元直交座標系X,Y,Zのデータとして
記憶する。 (3)金型のSMへの抜き勾配角α°のデータを設定す
る。 (4)所定の分割面の幅wのデータを設定する。
【0026】次に、金型のSMへの抜き勾配角α°を有
する接線上の点Q’と分割対応点R’(後述する)のデ
ータテーブルを初期化する(ステップS22)。次に、
基準分割線SCP上に任意の点Pを決定し(ステップS
23)、点Pを通り基準分割線SCPのXY投影曲線に
垂直なHL−VL平面(X,Y,Z座標系における点P
における接線ベクトルのZ成分を0としたベクトルに垂
直な点Pを通る平面)、すなわちモデル形状切断平面P
Lnを求める(ステップS24)。次に、モデル形状切
断平面PLnとモデルの表面SMとの交線SCSを求め
記憶する(ステップS25)。すなわち、交線SCSは
形状モデルSMの面パッチをモデル形状切断平面PLn
で切って得られる。
【0027】図9は、抜き勾配面から新分割線を求める
方法の説明図である。図に示すように、交線SCSから
抜き勾配角α°を有するモデルの表面SM上の接点Q’
を求める(ステップS26)。そして、前記点Pを通り
HL軸に平行な直線と接点Q’から抜き勾配角α°を有
する交線SCSへの接線との交点P’を求める(ステッ
プS27)。この点P’が新たな分割線SCP’をなす
分割点となる。次に、基準分割線SCP上の全ての点P
の回りに1周したか否かを判別し(ステップS28)、
判別した結果がNOのときは、ステップS23に戻り、
判別した結果がYESとなるまでステップS23からS
28を繰り返し実行し、判別した結果がYESとなった
ときは、ステップS29へ移行する。
【0028】図10は、抜き勾配面と連続する分割面を
示す図である。図は、抜き勾配曲線SCQ’、分割線S
CP’、分割対応曲線SCR’、抜き勾配面SFQ’、
分割面SFPを示す。ステップS28の次に、求まった
各接点Q’の全点列から所定の補間曲線である抜き勾配
曲線SCQ’を求め記憶し(ステップS29)、求まっ
た各点P’の全点列から所定の補間曲線SCP’、すな
わち新たな分割線を求め記憶する(ステップS30)。
前記抜き勾配曲線SCQ’と対応する前記新たな分割線
SCP’との間を所定の補間曲線で補間して抜き勾配面
SFQ’を求め(ステップS31)、新たな分割線SC
P’を所定長wだけXYオフセットして分割対応曲線S
CR’を求め(ステップS32)、ここで、前記交点
P’の所定長wだけXYオフセットした対応点はR’で
ある。所定長wは分割面幅に相当する。新たな分割線S
CP’と分割対応曲線SCR’とより新たな分割面SF
Pを求め(ステップS33)、抜き勾配面SFQ’と分
割面SFPを記憶する(ステップS34)。
【0029】本発明の他の形状データを作成する方法と
して、上型および下型からなる1対の金型において各金
型の抜き勾配面SFQ1 ’とSFQ2 ’を本発明による
前述の方法により求め、求まった2つの抜き勾配面SF
1 ’とSFQ2 ’の交線を求め、その交線を金型の新
たな分割線SCP’とし、求めた金型の分割線SCP’
の線上に任意の点P’を決定し、その各点P’に対応し
て所定の法線方向に所定幅w離れた各点R’を求め、そ
の各点R’の点列として連続的に接続して所定の補間曲
線SCR’を求め、前記分割線SCP’と対応する前記
補間曲線SCR’との間を所定の補間曲線で補間して金
型の分割面SFPを求めて金型の新たな分割面とする形
状データを作成する方法がある。
【0030】図11は、一対の金型の抜き勾配面に連続
する分割面を求める方法の処理ルーチンの流れ図であ
る。以下図11、および他の図面を参照しながら一対の
金型の抜き勾配面に連続する分割面を求める方法につい
て説明する。なお、図中Sに続く数字はステップ番号を
示す。SM形状データ、および基準分割線SCPの形状
データを記憶させ、上側抜き勾配角α1 °、下側抜き勾
配角α2 °および所定の分割面の幅w(オフセット幅)
を設定する(ステップS41)。すなわち、 (1)複数の面パッチで構成されるSM形状について、
各面パッチの3次元直交座標系X,Y,Zを、u,vパ
ラメータの関数によるデータとして記憶する。 (2)所定の補間曲線で補間した基準分割線SCPの形
状データを3次元直交座標系X,Y,Zのデータとして
記憶する。 (3)金型のSMへの上側抜き勾配角α1 °、下側抜き
勾配角α2 °の各データを設定する。 (4)所定の分割面の幅wのデータを設定する。
【0031】次に、金型のSMへの上側抜き勾配角α1
°を有する接線上の点Q1 ’と下側抜き勾配角α2 °を
有する接線上の点Q2 ’および分割対応点R’(後述す
る)のデータテーブルを初期化する(ステップS4
2)。次に、基準分割線SCP上に任意の点Pを決定し
(ステップS43)、点Pを通り基準分割線SCPのX
Y投影曲線に垂直なHL−VL平面(X,Y,Z座標系
における点Pにおける接線ベクトルのZ成分を0とした
ベクトルに垂直な点Pを通る平面)、すなわちモデル形
状切断平面PLnを求める(ステップS44)。次に、
モデル形状切断平面PLnとモデルの表面SMとの交線
SCSを求め記憶する(ステップS45)。すなわち、
交線SCSは形状モデルSMの面パッチをモデル形状切
断平面PLnで切って得られる。
【0032】図12は、一対の金型の抜き勾配面から新
分割線を求める方法の説明図である。図に示すように、
交線SCSから上側抜き勾配角α1 °を有するモデルの
表面SM上の接点Q1 ’を求める(ステップS46)。
交線SCSから下側抜き勾配角α2 °を有するモデルの
表面SM上の接点Q2 ’を求める(ステップS47)。
そして、接点Q1 ’から上側抜き勾配角α1 °を有する
交線SCSへの接線と接点Q2 ’から下側抜き勾配角α
2 °を有する交線SCSへの接線との交点P’を求める
(ステップS48)。この点P’が新たな分割線SC
P’をなす分割点となる。次に、基準分割線SCP上の
全ての点Pの回りに1周したか否かを判別し(ステップ
S49)、判別した結果がNOのときは、ステップS4
3に戻り、判別した結果がYESとなるまでステップS
43からS49を繰り返し実行し、判別した結果がYE
Sとなったときは、ステップS50へ移行する。
【0033】図13は、一対の金型の抜き勾配面と連続
する分割面を示す図である。図は、上側抜き勾配曲線S
CQ1 ’、下側抜き勾配曲線SCQ2 ’、新たな分割線
SCP’、分割対応曲線SCR’、上側抜き勾配面SF
1 ’、下側抜き勾配面SFQ2 ’、分割面SFPを示
す。ステップS49の次に、求まった各接点Q1 ’の全
点列から所定の補間曲線である上側抜き勾配曲線SCQ
1 ’を求め記憶し(ステップS50)、求まった各接点
2 ’の全点列から所定の補間曲線である下側抜き勾配
曲線SCQ2 ’を求め記憶し(ステップS51)、求ま
った各点P’の全点列から所定の補間曲線SCP’、す
なわち新たな分割線を求め記憶する(ステップS5
2)。前記上側抜き勾配曲線SCQ1 ’と対応する前記
新たな分割線SCP’との間を所定の補間曲線で補間し
て上側抜き勾配面SFQ1 ’を求め(ステップS5
3)、前記下側抜き勾配曲線SCQ2 ’と対応する前記
新たな分割線SCP’との間を所定の補間曲線で補間し
て下側抜き勾配面SFQ2 ’を求め(ステップS5
4)、新たな分割線SCP’を所定長wだけXYオフセ
ットして分割対応曲線SCR’を求める(ステップS5
5)。ここで、前記交点P’の所定長wだけXYオフセ
ットした対応点はR’である。新たな分割線SCP’と
分割対応曲線SCR’より新たな分割面SFPを求め
(ステップS56)、上側抜き勾配面SFQ1 ’、下側
抜き勾配面SFQ2 ’および分割面SFPを記憶する
(ステップS57)。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の形状デー
タ作成方法によれば、金型を製造する分野の専門家の経
験や個人差によらないで、金型の抜き勾配面の形状デー
タが自動生成できるので、金型を抜き易くし金型により
成形される製品形状の不良の発生を少なくすることがで
きる。さらに、本発明の形状データ作成方法によれば、
モデルが垂直面を含む如何なる形状であっても、金型の
抜き勾配面の形状データを一義的に自動生成できる。さ
らに、本発明の形状データ作成方法によれば、金型のモ
デルの形状に即した特徴線である金型の分割線を基本と
して金型の抜き勾配面の形状データを作成するので金型
のモデルの形状に即した抜き勾配面が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による方法の基本処理ルーチンの流れ図
である。
【図2】SMの形状データから金型の抜き勾配面を求め
る方法の処理ルーチンの流れ図である。
【図3】表面が複数の面パッチからなるモデルを一部破
断した斜視図である。
【図4】基準分割線上の点で切断した平面を示す図であ
る。
【図5】図4に示す図をXY平面に投影した図である。
【図6】抜き勾配面を特徴づけるモデル上の点とその対
応点の求め方の説明図である。
【図7】抜き勾配面の特徴点から抜き勾配面を作成する
過程を示す図である。
【図8】抜き勾配面に連続する分割面を求める方法の処
理ルーチンの流れ図である。
【図9】抜き勾配面から新分割線を求める方法の説明図
である。
【図10】抜き勾配面と連続する分割面を示す図であ
る。
【図11】一対の金型の抜き勾配面に連続する分割面を
求める方法の処理ルーチンの流れ図である。
【図12】一対の金型の抜き勾配面から新分割線を求め
る方法の説明図である。
【図13】一対の金型の抜き勾配面と連続する分割面を
示す図である。
【符号の説明】 SCP…基準分割線 SCP’…新たな分割線 PLn…モデル形状切断平面 SCS…交線 SCQ’…接点曲線 SCR’…接点延長対応曲線 SFQ’…抜き勾配面 SM…モデルの表面形状(サーフェスモデル) SFP…分割面 l…抜き勾配長 w…分割面幅 α…抜き勾配
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−277971(JP,A) 特開 昭63−165971(JP,A) 特開 昭63−165970(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G05B 19/4097 G05B 19/4103

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 与えられたモデル形状から該モデルを製
    作するための金型の抜き勾配面の形状データを作成する
    形状データ作成方法において、 予め与えられた前記モデル表面SMの形状データおよび
    前記金型の基準分割線SCPの形状データを相互に直交
    する3次元直交座標系X,Y,Zにおけるデータとして
    記憶し、抜き勾配角α、抜き勾配長lを決定する第1段
    階と、 前記基準分割線SCP上に任意の点Pを決定し、該点P
    における接線ベクトルの前記3次元直交座標系X,Y,
    Zにおける所定軸Z方向成分0の平面上のベクトル方向
    に垂直であり前記点Pを通るモデル形状切断平面PLn
    を求め記憶する第2段階と、 該モデル形状切断平面PLnと前記モデルの表面SMと
    の交線SCSを求め記憶する第3段階と、 前記交線SCS上に前記抜き勾配角αを有する接線を引
    き該接線上の接点Q’を求め、該接点Q’から前記抜き
    勾配角αを有しかつ前記抜き勾配長l離れた点R’を求
    め、前記接点Q’と前記点R’とをそれぞれ前記基準分
    割線SCPの回りに1周して求め前記3次元直交座標系
    X,Y,Zにおけるデータとして記憶する第4段階と、 前記各接点Q’の全点列から所定の補間曲線SCQ’
    を、前記各点R’の全点列から所定の補間曲線SCR’
    をそれぞれ求め記憶する第5段階と、 前記補間曲線SCQ’と対応する前記補間曲線SCR’
    との間を所定の補間曲線で補間して抜き勾配面SFQ’
    を求め記憶する第6段階と、からなることを特徴とする
    形状データ作成方法。
  2. 【請求項2】 前記第4段階は、前記交線SCSを前記
    3次元直交座標系X,Y,Zから平面座標系HL−VL
    に座標変換し、該平面座標系HL−VL上における原点
    の回りに前記交線SCSを前記抜き勾配角αだけ時計方
    向に回転して得られた交線SCS’において、前記平面
    座標系HL−VL上の所定軸HL方向の最大値を有する
    点Qを求め、該点Qから前記平面座標系HL−VL上の
    他の軸VLの方向に前記抜き勾配長l減じた点Rを求
    め、さらに前記平面座標系HL−VLにおける原点の回
    りに前記交線SCS’を前記抜き勾配角αだけ反時計方
    向に回転して戻して得られた前記点Qと前記点Rのそれ
    ぞれの点を点Q”と点R”としてそれぞれ求め、該点
    Q”と該点R”を前記3次元直交座標系X,Y,Zに座
    標変換してそれぞれ点Q’と点R’を求め、前記点Q’
    と前記点R’とをそれぞれ前記基準分割線SCPの回り
    に1周して求め前記3次元直交座標系X,Y,Zにおけ
    るデータとして記憶する請求項1記載の形状データ作成
    方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の方法で求めた金型の抜き
    勾配面SFQ’の形状データと予め与えられた金型の分
    割面SFPの形状データとから金型の新たな分割線の形
    状データを作成する方法において、 前記点R”と前記点Q”を通る前記交線SCSの接線
    と、前記点Pを通り前記平面座標系HL−VLにおける
    HL軸と平行な直線との交点P’を求め、前記基準分割
    線SCPの回りに1周して分割線SCP’を求め、金型
    の新たな分割線SCP’とすることを特徴とする形状デ
    ータ作成方法。
  4. 【請求項4】 上型および下型からなる一対の金型の各
    金型の抜き勾配面を請求項2記載の方法で求め、求めた
    一方の抜き勾配面SFQ1 ’の形状データと求めた他方
    の抜き勾配面SFQ2 ’の形状データとから金型の新た
    な分割線の形状データを作成する方法において、 一方の金型の前記モデル形状切断平面PLn上の点
    1 ”と点Q1 ”を通る交線SCS1 への接線と、他方
    の金型のR2 ”と点Q2 ”を通る交線SCS2 への接線
    との交点P’を求め、前記基準分割線SCPの回りに1
    周して分割線SCP’を求め、金型の新たな分割線SC
    P’とすることを特徴とする形状データ作成方法。
  5. 【請求項5】 請求項3または請求項4記載の方法で求
    めた金型の分割線の形状データから金型の分割面の形状
    データを作成する形状データ作成方法において、 求め
    られた金型の新たな分割線SCP’の線上に任意の点
    P’を決定し、該点P’の各々に対応して所定の法線方
    向に所定幅w離れた各点R’を求め、該各点R’の点列
    として連続的に接続して所定の補間曲線SCR’を求
    め、前記新たな分割線SCP’と対応する前記補間曲線
    SCR’との間を所定の補間曲線で補間して金型の分割
    面SFPを求めることを特徴とする形状データ作成方
    法。
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