JP2858969B2 - ジューサ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はカッタによって切削した
材料から遠心分離籠の回転によって生じる遠心力によっ
てジュースを絞り出すジューサに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来この種のジューサは特開昭63-24916
(A47J19)に示すように、遠心分離籠内に装着した内籠の
多数の縦方向に設けたリブの外側の溝と、内籠上部の環
状鍔部に設けた溝部によって遠心分離籠の遠心力によっ
てジュースを効率よく絞り出していた。

【０００３】この時のジュースを絞り出す状態を詳しく
説明すると、遠心分離籠の底面に取り付けられたカッタ
によって切削された材料は、電動機によって回転する遠
心分離籠の遠心力によって内籠の内壁に付着し、その材
料内に含まれるジュースだけが内籠のリブの溝部を通り
抜け、内籠を下から上に向かって上がっていき、鍔部に
設けられた溝部を通って遠心分離籠外に放出される。こ
のように、切削された材料はジュースと粕分に分けられ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述するジューサに於
ては、ジュース流出時に複数個の溝部に流れ込んだ粕分
が蓄積し、時間の経過とともにジュースの流れが悪くな
ることがある。

【０００５】また、内籠は複数の突起を設けたリブによ
って形成されているため、切削した材料の繊維質がリブ
に巻き付き、内籠を洗浄するときに粕分が非常に取れに
くい。また、内籠のリブは垂直方向になっているため
に、ジュースを生成するときに生じる内籠の回転力に影
響されてジュースが垂直方向に上がりにくく、ジュース
生成のための時間がかかるという問題があった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記の問題点を
鑑みなされたもので、電動機を内蔵する本体と、本体上
に載置される容器と、該容器の上面を覆う容器蓋と、前
記容器内で内底面にカッタ−を備え前記電動機によって
回転する円筒状の遠心分離籠と、該遠心分離籠の内側壁
に着脱自在に装着される筒状で縦方向の回転方向に上方
が遅れるように形成したスリットを有するフィルム状の
フィルタとを備え、前記フィルタ上部に外方へ向かう環
状の鍔部を形成し、遠心分離籠上部内壁には前記鍔部を
載置し水平方向に遊嵌する顎部を設け、該顎部と前記鍔
部との接触面の少なくとも一方の前記スリット間毎にジ
ュース排出溝を設けた。

【０００７】

【作用】遠心分離籠の内底面にあるカッタが、遠心分離
籠の内部に投入した材料を切削し、切削された材料が遠
心分離籠の内側壁に装着したフィルタに付着して、遠心
分離籠の遠心力によってジュースだけをフィルタ外部に
出し、そして遠心分離籠内側壁にそって上方へと上がっ
ていく。次に、遠心分離籠に設けた顎部とフィルタに設
けた鍔部との間に設けたジュース排出溝を通って遠心分
離籠外部にジュースは排出され、ジュースを生成する。

【０００８】この時、ジュースを絞り出した粕分は、フ
ィルタに付着してフィルタに設けたスリットにそって遠
心分離籠上方に上がっていき、フィルタ上部から蓄積し
ていく。

【０００９】また、回転と共にフィルタは水平方向に微
動し、ジュース排出溝に蓄積した少しの粕分を排出す
る。

【００１０】

【実施例】本発明の一実施例を図１乃至図４に基づき以
下に詳述する。

【００１１】１は電動機(図示せず)を内蔵する合成樹脂
製の本体で、該本体１上には容器２を着脱自在に載置し
ており、該容器２は生成されたジュースを受けるために
上面開口で下面にはジュースを取り出すための排出口
(図示せず)を形成している。該容器２の上面には該容器
２の上面開口を覆うように、略中央部に上面から後述す
るカッタ近傍まで略円筒状の投入筒３を設けた樹脂製の
容器蓋４が着脱自在に載置してあり、前記本体１に設け
たクランプ機構(図示せず)によって前記容器２を挟持し
て前記容器蓋４を固定している。

【００１２】また、前記本体１には、前記容器２に形成
した前記排出口から絞り出されたジュースを受けるため
のコップ(図示せず)が着脱自在に設置されている。

【００１３】５は前記本体１の上面より突出させ、前記
電動機の出力軸６の上端に固定されている高速用駆動コ
ネクタで、ミキサ用アタッチメント(図示せず)の下面に
備えられるコネクタ(図示せず)が着脱自在に連結され
る。７は前記高速用駆動コネクタ５と同心軸状で低速回
転する低速用駆動コネクタで、プ−リ−、ベルト(いず
れも図示せず)等の減速機構を介して出力軸６の回転が
減速されて伝達される。

【００１４】８は前記容器２と前記容器蓋４によって形
成された空間内で、前記低速用駆動コネクタ７に着脱自
在に取り付けられ、前記電動機によって駆動される遠心
分離籠である。該遠心分離籠８外周上方には外周壁を囲
むように空間を有し、空間には食塩水などの液体９を35
〜50％封入した前記遠心分離籠８の回転中のバランスを
とるための流体バランサ10が配設してある。

【００１５】12は前記遠心分離籠８の内側壁上方に、後
述するフィルタを係止するための顎部で、前記遠心分離
籠８の内側壁の径よりも大きくして環状に形成してい
る。

【００１６】また、前記遠心分離籠８の内底部には円盤
状のカッタ13を備えており、遠心分離籠８の回転と共に
回転する。

【００１７】14は遠心分離籠８の最下端に設けた内側壁
から外側壁に貫通する孔で、８ケ所に該孔14を設けてい
る。該孔14は遠心分離籠８の回転中に空気を取り入れて
上方まで空気とともにジュース分を送ったり、回転を止
めたときにジュース分を排出したり、また、洗浄すると
きに水を早く排出したりする等の役目をする。

【００１８】15はシート状のフィルムによって形成され
ているフィルタであり、該フィルタ15は前記遠心分離籠
８内側壁に設けられた環状の顎部12に係止するように該
フィルタ15上部にフィルムの部分より径の大きい鍔部16
を一体形成している。また、該鍔部16は内側にも環状の
出っ張りを一体形成している。該フィルタ15のフィルム
の部分には縦方向のスリット17を設けており、該スリッ
ト17の傾斜角度は上方が回転方向に対して遅れるように
傾斜させて設定している。前記鍔部16の下面には、隣り
合うスリット17とスリットの間ごとに放射状に前記鍔部
16の外周面に至るジュース排出溝18が形成してある。

【００１９】次に、前記フィルタ15と前記遠心分離籠８
との装着状態について説明する。前記遠心分離籠８の顎
部12に前記フィルター15の鍔部16を係止させ、この時、
前記孔14がフィルタ15のフィルムによって覆われるよう
に装着する。

【００２０】19は前記投入筒３から投入した材料をカッ
タ13近傍まで押し込むための投入棒である。

【００２１】次に動作について説明をする。電動機によ
って回転している遠心分離籠８に、投入筒３から果物や
野菜を投入し、投入棒19によってカッタ13近傍まで押さ
え込み、遠心分離籠８に設けられたカッタ13の回転によ
って材料を切削する。切削された材料はおろし状にな
り、回転する遠心分離籠８の遠心力によってフィルタ15
内部に付着する。付着した材料はスリット17に沿って上
方へ上がっていき、遠心力によって鍔部16に凝縮されて
堆積していく。

【００２２】この時、フィルタ15からはジュース分だけ
がスリット17を通してフィルタ15の外に流出し、ジュー
ス分は遠心分離籠８とフィルタ15との間を通って遠心分
離籠８上方へ上がっていき、フィルタ15に設けたジュー
ス排出溝18を通って遠心分離籠８外部に放出される。放
出されたジュースは容器２に溜り、排出口を経てコップ
に入る。

【００２３】時間の経過と共にフィルタ15に設けたジュ
ース排出溝18にはジュースに混ざり込んだ粕分が蓄積し
ていき、次第にジュースの流出量は少なくなっていく。
しかし、フィルタ15は遠心分離籠８に対して水平方向に
遊嵌しているため、遠心分離籠８の回転や振動によって
フィルタ15が左右に微動し、ジュース排出溝18内の粕分
を取り除き、常に多くのジュースの流出量を得ることが
できる。

【００２４】次に、ジュース生成後にフィルタ15を洗浄
する場合、遠心分離籠８からフィルタ15を外し水道等の
水によって洗浄する。この時、水によって洗いながらフ
ィルム状のフィルタ15を変形させながら粕分を洗い流
す。

【００２５】また、遠心分離籠８を洗浄する場合には、
遠心分離籠８を取り外して水道等の水によって洗浄を行
う。

【００２６】上述するようにフィルタ15のスリット17の
角度を回転方向に対して上方が遅れるように設定してい
るため、粕分が遠心分離籠８の遠心力によってスムーズ
に上がり、凝縮して堆積するため、粕分の洗浄が非常に
楽になると共に、ジュースの絞り率が向上する。また、
スリット17の方向が縦方向のため、切削材料の繊維質が
フィルタ15に巻き付いても粕分を洗い流すときに非常に
簡単に洗い流すことができる。そして、フィルタ15がシ
ート状のフィルムでできているため粕分が落ちやすく洗
浄しやい。

【００２７】尚以上の実施例では、ジュース排出溝18を
フィルタ15の鍔部16に設けたが、ジュース排出溝18を遠
心分離籠８の顎部12にスリット17間毎に設けてもよい。

【００２８】

【発明の効果】以上の如く本発明によれば、フィルタの
スリット角度を回転方向に対して上方を遅れるように形
成したため、ジュースの絞り効率が向上し、粕分も遠心
力を利用して堆積され、また、スリット方向が縦方向の
ため、洗浄が簡単に行えるという効果がある。

【００２９】また、顎部と鍔部との接触面の少なくとも
一方のスリット間毎にジュース排出溝を設け、遠心分離
籠にフィルタを水平方向に遊嵌するように装着している
ため、ジュースが早く絞れ、ジュースの絞り効率が向上
するという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】全体の縦断側面図である。

【図２】要部の側面断面図である。

【図３】フィルタの斜視図である。

【図４】要部の一部を断面した斜視図である。

【符号の説明】

１ 本体 ２ 容器 ４ 容器蓋 13 カッタ ８ 遠心分離籠 17 スリット 15 フィルタ 16 鍔部 12 顎部 18 ジュース排出溝

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電動機を内蔵する本体と、本体上に載置
   される容器と、該容器の上面を覆う容器蓋と、前記容器
   内で内底面にカッタを備え前記電動機によって回転する
   円筒状の遠心分離籠と、該遠心分離籠の内側壁に着脱自
   在に装着される筒状で縦方向の回転方向に上方が遅れる
   ように形成したスリットを有するフィルム状のフィルタ
   とを備え、前記フィルタ上部に外方へ向かう環状の鍔部
   を形成し、遠心分離籠上部内壁には前記鍔部を載置し水
   平方向に遊嵌する顎部を設け、該顎部と前記鍔部との接
   触面の少なくとも一方の前記スリット間毎にジュース排
   出溝を設けたことを特徴とするジューサ。