JP2857741B2 - コーティングされた薬剤内包架橋キトサン組成物、その製造方法および薬剤徐放制御システムとしての用途 - Google Patents

コーティングされた薬剤内包架橋キトサン組成物、その製造方法および薬剤徐放制御システムとしての用途

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コーティングした薬剤
内包架橋キトサン組成物、その製造方法およびそれを用
いた薬剤徐放制御システムとしての用途に関し、更に詳
細には、特に抗ガン剤などの医薬品、農薬などの薬剤が
架橋キトサン組成物に均一に分散内包されている薬剤内
包架橋キトサン組成物を液晶物質にてコーティングした
薬剤内包架橋キトサン組成物、その製造方法およびそれ
を用いた薬剤徐放制御システムとしての用途に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】医薬品や農薬などの薬剤を従来の形態ま
たは手段で投与した場合には、その薬剤の有効成分濃度
は投与してから一定時間後に急激に上昇し、その有効濃
度を相当超えた値まで達した後、―定時間経過すればそ
の有効成分濃度がその有効濃度以下に急速に低下してし
まう場合が多々見受けられる。従って、薬剤の有効成分
濃度をその有効濃度以上にできるだけ長期間維持するた
めには、その投与量を多くしたり、投与回数を増やした
りする必要が生じてくる。
【0003】しかしながら、薬剤の投与量を増やしたり
または投与回数を増やしたりすれば、当然のことなが
ら、副作用の原因になる恐れが生じてくる。かかる不都
合を解消するために、薬剤の投与量も投与回数も増やす
ことなく、薬剤の有効成分がその有効濃度以上にできる
だけ長期間維持することができる持続型薬剤徐放制御技
術が種々提案されている。かかる持続型薬剤徐放制御技
術としては、例えば、その薬剤そのものを改良して持続
型にする徐放制御技術と、その薬剤の投与方法を持続型
に改良したいわゆるドラッグデリバリシステムといわれ
る徐放制御技術とがある。
【0004】医薬品の分野では、例えば、医薬品を粉
剤、錠剤、カプセル剤などを経口役与したり、液剤など
を点滴や注射で軽皮投与する場合などには、その医薬品
の有効成分の濃度が投与後に一時的に上昇してしまい、
その薬剤の効果を発揮するのに必要な一定量だけを持続
的に維持させることはできない。例えば、医薬品を経口
投与した場合には、その薬剤は通常消化器粘膜から吸収
され、血液によって全身の標的部位に運ばれていくこと
になる。しかしながら、吸収された薬剤の―部は第一循
環で肝臓の代謝作用によって分解される。このため、標
的部位で薬剤の薬効を発現させるためには、必要とする
量よりもはるかに過剰の薬剤を投与しなければならない
こともある。また、医薬品の多くは消化器管内で比較的
速やかに吸収されてしまい、その有効成分の血中濃度は
一般にはパルス状になり、通常の治療でその薬剤が薬理
学的に効果的なレベルを維持するためには、繰り返しそ
の薬剤投与が必要とされる場合も多い。このことは、当
然に投与薬剤の総量が多くなり、副作用の危険性をも増
加させることになる。
【0005】例えば、特にガン治療に適用される抗ガン
剤のうち実際の臨床に応用されているものは、その数も
限られていると言える。更に、ガン細胞だけに特異的に
作用し、正常な細胞には作用しない抗ガン剤の開発には
まだまだ時間が掛かると考えられる。また、現在臨床に
応用されている抗ガン剤の中でも、特に強い効果を持つ
抗ガン剤は、その毒性も強く、患者にとって激しい副作
用を呈するものが多い。かかる抗ガン剤の効果を最大限
に利用する一方、患者に苦痛を与える激しい副作用はで
きるだけ軽減するために、その抗ガン剤の有効成分だけ
を標的腫瘍にできるだけ大量にかつその効力をできるだ
け長時間にわたって持続させ、他方腫瘍部位以外の他の
部位への薬剤の拡散を防止できると共に、治療に有効に
かつ安全に投与できる投与方法、つまリドラッグ・デリ
バリ・システムを開発することは、新規な抗ガン剤の開
発と並んで、現在での非常に重要な抗ガン剤開発課題の
一つである。また、農薬分野においては、生産量向上の
目的で使用される殺虫剤などの農薬や肥料の大量投与に
よって、土壌汚染や地下水、河川の水質汚染などの環境
問題を引き起こしている。
【0006】そこで、かかる農薬や肥料などの薬剤を―
定量づつ長期間に亙って投与することができれば、現在
のような過剰量を実際に投与する必要がなくなり、薬剤
による汚染などに起因する環境問題を相当程度軽減する
ことができると同時に、薬剤投与の手間も削減すること
ができるので、減農薬・減肥料農業と同時に省力農業を
実践することができることになり、極めて有用である。
【0007】これらの問題点を解決できる1つとして、
薬剤投与法、つまリドラッグ・デリバリ・システムとし
て、コントロール・リリース・デリバリー・システム(C
ont-rolled Release Delivery System: CRDS薬剤徐放制
御システム) が採用されている。この薬剤徐放制御シス
テムは、広範囲の種類の薬剤、例えば医薬品、農薬、肥
料、芳香剤などの有効成分を、所望の徐放連度で所望の
期間、そして所望の位置、部位に投与することができる
ように設計されている。この薬剤徐放制御システムによ
れば、所望するように、例えば、指定した少量の薬剤の
有効成分を定常的に長期間徐放させることも、または指
定した量の薬剤の有効成分を指定した間隔で短期間にバ
ーストさせて放出させることもできるようになってい
る。この薬剤徐放制御システムを用いることによって、
薬剤を徐々に長期間放出させることができ、それによっ
てその薬剤が化学分解または物質代謝によって損失され
ることが少なくなり、その薬剤の有効成分を一定かつ過
不足ない必要量を、またその薬剤の毒性を予防できる量
を長期間放出させて、所望の部位に投与することができ
る。したがって、この薬剤徐放制御システムによって、
その薬剤の効果をより長い期間維持することができる。
更には、薬剤の有効成分をその徐放期間内に早い速度で
不連続にバーストやパルスで投与することもできる。他
方、薬剤の有効成分をその最適量でゆっくりした定常速
度で所望の期間内に所望の位置に投与することも可能で
ある。
【0008】上記の薬剤徐放制御システムを医療用およ
び農業用の分野で分類すると以下のようになる。
【0009】薬剤徐放制御システムの医療用分野におい
ては、例えば、TTS(TransdermalTherapeutic System)
と呼ばれる経皮吸収用薬剤徐放制御システム、生体内埋
没式薬剤徐放制御システム、微粒子による薬剤徐放制御
システム、医薬結合体による薬剤徐放制御システムなど
が挙げられる。
【0010】経皮吸収用薬剤徐放制御システムは、薬剤
を担持させた膜状の担体から薬剤を皮膚を通して放出
し、体内に吸収させることができるように設計されてい
る。この薬剤徐放制御システムはその構成が比較的簡単
であることから、皮膚を透過しやすい薬剤の多くが、こ
のシステムで投与されている。
【0011】生体内埋没式薬剤徐放制御システムでは、
針状、ペレット状、錠剤など種々の形態のものが作製さ
れているが、通常は薬剤とポリマーとの複合成形物から
なっていて、体内に埋設する形式のものである。
【0012】微粒子による薬剤徐放制御システムは、薬
剤をマイクロカプセルやリボソームなどに内包させた形
態の微粒子を血管内に投与して、血管末梢から細胞内に
取り込ませる形式のものであって、通常末梢血菅を閉鎖
して機能を発揮するものが多い。
【0013】また、医薬結合体による薬剤徐放制御シス
テムは、プロドラッグや高分子医薬のような分子状の高
分子と医薬品との結合体の形態でもって投与する形式の
ものである。次に、薬剤徐放制御システムの農業用分野
においては、例えば、微粒子による薬剤徐放制御システ
ムとテープ型薬剤徐放制御システムなどが挙げられる。
【0014】農業用分野における微粒子による薬剤徐放
制御システムでは、農薬、殺虫剤、肥料などの薬剤を内
包した担体などを田畑に投与して、その担体などから薬
剤が徐放されるように設計されている。このシステムで
は、数週間程度その薬剤の効力を持続させることができ
る。また、テープ型薬剤徐放制御システムでは、農薬、
殺虫剤、肥料などの薬剤をテープに侵み込ませて、その
テープを田畑に張り巡らせて、害虫を忌避することを目
的にしたものが多く、数カ月間程度その効果を持続させ
ることができる。
【0015】かかる薬剤徐放制御システムを効果的に構
築するために、生態学的にも、生物学的にも害を及ぼさ
ない膜が使用されていて、その膜によって薬剤の膜透過
を制御しながら徐放させるようになっている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、医薬品、
農薬、肥料などの薬剤をその有効濃度で持続的にかつ効
果的に徐放させることが可能な薬剤複合組成物を種々検
討した結果、薬剤を均一に分散内包させた架橋キトサン
組成物、たとえばキトサン微粒子などを液晶物質でコー
ティングして得られた薬剤内包架橋キトサン組成物が、
本発明の所期目的を達成することができることを見出し
て、本発明を完成した。従って、本発明は、コーティン
グされた薬剤内包架橋キトサン組成物を提供することを
目的としている。
【0017】本発明の別の目的は、医療用または農業用
に適したコーティングされた薬剤内包架橋キトサン組成
物を提供することである。
【0018】また、本発明の別の目的は、コーティング
された薬剤内包架橋キトサン組成物の製造方法を提供す
ることである。
【0019】更に、本発明の別の目的は、コーティング
された薬剤内包架橋キトサン組成物を用いた薬剤徐放制
御システムとしての用途を提供することである。
【0020】かかる目的を達成するために、本発明は、
薬剤が架橋キトサン組成物に均一に分散内包されている
薬剤内包架橋キトサン組成物、たとえば架橋キトサン微
粒子などを更に液晶物質にてコーティングした薬剤内包
架橋キトサン組成物を提供している。
【0021】本発明によって提供される薬剤内包架橋キ
トサン組成物は医療用または農業用薬剤徐放制御システ
ムとして有効である。更に詳細には、本発明に係るコー
ティングされた薬剤内包架橋キトサン組成物は、TTS
(Transdermal TherapeuticSystem) と呼ばれる経皮吸収
用薬剤徐放制御システム、生体内埋没式薬剤徐放制御シ
ステム、微粒子による薬剤徐放制御システム、医薬結合
体による薬剤徐放制御システムなどの医療用薬剤徐放制
御システムとして、または、微粒子による薬剤徐放制御
システムとテープ型薬剤徐放制御システムなどの農業用
薬剤徐放制御システムとして有用である。
【0022】なお、本明細書で使用する用語「薬剤内包
架橋キトサン組成物」は、特記なき場合でもまたは文脈
より明らかな場 合には、薬剤内包架橋キトサン組成物
を更に液晶物質にてコーティングして得た薬剤内包架橋
キトサン組成物を意味する場合もあることを理解すべき
である。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明に係る薬剤内包架
橋キトサン組成物は、薬剤が均一に分散内包された架橋
キトサン微粒子などの薬剤内包架橋キトサン組成物を液
晶物質にて更にコーティングした構成からなっている。
【0024】キトサンは、カニ、エビなどの甲殻類の
殻、外皮などや、カビ、キノコなどの菌類の細胞膜に多
量に存在するキチンを脱アセチル化することによって得
ることができ、種々の機能的特性、特に生体分解性、生
体適合性に優れている。また、キトサンは、キチンと同
様に、N―アセチルグルコサミンまたはグルコサミンを
構成分子とする巨大分子であって、本発明において使用
することができるキトサンは、キチンを約50ないし100%
脱アセチル化したものが好ましい。本発明に使用される
キトサン微粒子は、キチンを脱アセチル化して得られた
キトサンを常法によって所望の粒経に微粉化した微粒子
であって、その粒経は通常1μmないし100 μm、好ま
しくは約10μmないし50μmである。更に、本発明に用
いられるキトサン微粒子は、種々の脱アセチル化度を有
するものの混合物であってもよい。
【0025】他方、本発明に使用することができる薬剤
としては、特に何等限定されるものではなく、その薬剤
の有効成分の有効濃度をある一定の期間ある一定の位置
で持続させることが要請されるものであって、本発明に
係る薬剤徐放制御システムに適用することができるもの
であればいずれでもよい。かかる薬剤としては、例え
ば、シスプラチンなどの抗ガン剤、ニコチンなどを含む
医薬品、性誘引物質フェロモン、スミチオン、マラソン
などの殺虫剤などを含む農薬、肥料、芳香剤などが挙げ
られる。
【0026】本発明において出発物質として使用され
る、その表面に液晶物質がコーティングされる、薬剤が
均一に分散内包された架橋キトサン微粒子などの薬剤内
包架橋キトサン架組成物はたとえば次のようにして製造
することができる。
【0027】つまり、微粒子状の薬剤内包架橋キトサン
組成物は、例えば、キトサンと薬剤との混合物を乳化剤
を用いてエマルジョンにした後、架橋剤によってキトサ
ンを架橋させ、その内部に薬剤を均一に分散内包させる
ことによって得ることができる。
【0028】まず、例えばキトサン微粒子を適当な溶
媒、例えば、塩酸などの鉱酸または酢酸などの有機酸に
溶解し、得られた水溶液に所定量の薬剤を溶解する。こ
のようにして得られたキトサン微粒子と薬剤との溶液
に、トルエンなどの有機溶媒と、乳化剤を添加して撹拌
器などで急激に撹拌して油中水滴型エマルジョンが得ら
れる。また、超音波で処理することによっても同様にエ
マルジョンを得ることができる。
【0029】本発明に使用できる乳化剤としては、例え
ば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタンモノオレエ
ートなどのソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリ
コール脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤などが
挙げられる。かかる乳化剤を使用することにより、キト
サン微粒子と薬剤との溶液を十分に混合して、薬剤をキ
トサン微粒子中に均一に分散させて両溶液を乳化させる
ことができる。これによって、W/O型エマルジョンが
得られる。
【0030】この場合、ホモジナイザーなどの撹拌器を
用いて激しく撹神するのがよい。
【0031】次に、得られたエマルジョンに架橋剤を加
えて、キトサンの架橋ゲル化と、薬剤の包埋固定化を行
うことにより薬剤内包架橋キトサン組成物を得ることが
できる。使用できる架橋剤としては、例えば、グルタル
アルデヒドなどのアルデヒド類、エピクロロヒドリンな
どが挙げられる。
【0032】また、膜状の薬剤内包架橋キトサン組成物
は、例えば、キトサンと薬剤との混合物をバットなどに
膜状に流し込み、これに架橋剤を添加してキトサンを架
橋させて膜状の薬剤内包架橋キトサン組成物を得ること
ができる。このようにして得られたキトサン組成物の内
部には薬剤が均一に分散内包されている。
【0033】このようにして得られた薬剤内包架橋キト
サン組成物においては、薬剤が組成物1g当たり通常約0.
015 重量%ないし0.15重量%、好ましくは約0.05重量%
ないし0.1重量%に範囲内に含まれているのがよい。こ
れに対して、キトサンは、組成物1g当たり通常約0.5
重量%ないし5重量%、好ましくは約1重量%ないし4
重量%の範囲内にあるのがよい。これら薬剤ならびにキ
トサンの量は、キトサン組成物の種類、用途などによっ
て適宜増減させることができることは当然である。
【0034】更に、本発明に係るコーティングされた薬
剤内包架橋キトサン組成物は、次のようにして製造する
ことができる。
【0035】つまり、本発明に係るコーティングされた
薬剤内包架橋キトサン組成物は、上記のような方法で薬
剤が均一に分散内包された薬剤内包架橋キトサン組成物
に液晶物質をコーティングすることによりて得ることが
できる。 本発明に使用できる液晶物質は、目的物質で
あるコーティング薬剤内包架橋キトサン組成物の用途に
応じて適宜選択しなければならないことは当然であっ
て、医療用分野に使用する場合には、薬理学的に人体に
許容できるものでなければならない。他方、農業分野に
使用する場合には、その液晶物質は、作物に対して悪影
響を及ぼすことがないばかりでなく、田畑などの環境に
対しても悪影響を及ぼすものであってはならない。更
に、使用された液晶物質がコーテイングに残留して作物
に悪影響を及ぼすものであってはならず、また収穫物に
残留するものであってもいけないけないことも当然であ
る。かかる液晶物質としては、例えば、ビスオレイルリ
ン酸、ビスオレイルスルホコハク酸、ジパルミトイルホ
スファチジルコリンもしくはジミリストイルホスファジ
ルセリンなどのジアルキルリン脂質などが挙げられる。
【0036】本発明において、薬剤内包架橋キトサン組
成物に上記液晶物質をコーティングする方法としては、
特に限定されるものではなく、常法に従って行うことが
できる。例えば、薬剤内包架橋キトサン組成物を上記液
晶物質の溶液に浸漬したり、または上記液晶物質の溶液
を薬剤内包架橋キトサン組成物に噴霧することによって
コーティングを行うことができる。
【0037】上記のようにして得られたコーティングさ
れた薬剤内包架橋キトサン組成物は、常法によって乾燥
される。
【0038】以下、本発明を製造例、実施例および試験
例により更に詳細に説明する。
【0039】
【製造例】以下に示す製造例は、本発明に係るコーティ
ングされた薬剤内包架橋キトサン組成物の出発物質とな
る薬剤内包架橋キトサン組成物を製造する例を示す。
【0040】(製造例1)1重量%のキトサン( 脱アセ
チル化度:97% )を希塩酸に溶解して、この希塩酸水溶
液にニコチンを1mol/lになるように添加した。この
混合溶液30m1に同量のトルエンと、5mlのソルビタンモ
ノオレエートとを添加した。この混合液をホモジナイザ
ーで激しく撹拌して乳化させて油中水滴型エマルジョン
を得た。このエマルジョンに、撹拌しながら5m1の50%
グルタルアルデヒドの硫酸水溶液を滴下した後、24時間
撹拌した。次いで、溶媒をろ別して、蒸留水で洗浄した
後、真空乾燥してニコチン内包架橋キトサン微粒子を得
た。得られたキトサン微粒子の平均粒径は約10μmであ
った。また、得られた微粒子には、微粒子1g当たり70mg
のニコチンが含有されていた。
【0041】(製造例2)5重量%のキトサン(脱アセ
チル化度:50%)を希塩酸に溶解して、この希塩酸水溶液
にニコチンを5mol/1 になるように添加した。この混合
溶液60m1に同量のトルエンと、10 m1 のソルビタンモノ
オレエートとを添加した。この混合液をホモジナイザで
激しく撹拌して乳化させて油中水滴型エマルジョンを得
た。このエマルジョンに、撹拌しながら10m1の50%グル
タルアルデヒドの硫酸水溶液を滴下した後、24時間撹拌
した。次いで、溶媒をろ別して、蒸留水で洗浄した後、
真空乾燥してニコチン内包架橋キトサン微粒子を得た。
得られたキトサン微粒子の平均粒経は約100 μmであっ
た。また、得られた微粒子には、微粒子1g当たり約10
0 mgのニコチンが含有されていた。
【0042】(製造例3)1重量%のキトサン(脱アセ
チル化度:100%)を希塩酸に溶解して、この希塩酸水溶
液にシスプラチンを1mol/1 になるように添加した。こ
の混合溶液30m1に同量のトルエンと、5mlのソルビタン
モノオレエートとを添加した。この混合液をホモジナイ
ザーで激しく撹拌して乳化させて油中水滴型エマルジョ
ンを得た。
【0043】このようにして得られたエマルジョンに、
撹拌しながら5m1の50%エピクロロヒドリンの水酸化ナ
トリウム水溶液を滴下した後、24時間撹拌をした。次い
で、溶媒をろ別して、蒸留水で洗浄した後、真空乾燥し
てシスプラチン内包架橋キトサン微粒子を得た。得られ
たキトサン微粒子の平均粒径は約10μmであった。ま
た、得られた微粒子には、微粒子1g当たり70mgのシス
プラチンが含有されていた。
【0044】(製造例4)5重量%のキトサン(脱アセ
チル化度:70%)を希塩酸に溶解して、この希塩酸水溶液
にシスプラチンを5mol/1 になるように添加した。この
混合溶液60mlに同量のトルエンと、10m1のソルビタンモ
ノオレエートとを添加した。この混合液をホモジナイザ
ーで激しく撹拌して乳化させて油中水滴型エマルジョン
を得た。
【0045】このようにして得られたエマルジョンに、
撹拌しながら10m1の50%エピクロロヒドリンの水酸化ナ
トリウム水溶液を滴下した後、24 時間撹拌した。次い
で、溶媒をろ別して、蒸留水で洗浄した後、真空乾燥し
てシスプラチン内包架橋キトサン微粒子を得た。得られ
たキトサン微粒子の平均粒経は約100 μm であった。ま
た、得られた微粒子には、微粒子1g当たり100 mgの
シスプラチンが含有されていた。
【0046】(製造例5)1重量%のキトサン(脱アセ
チル化度:100%)を希塩酸に溶解して、この希塩酸水溶
液にフェロモンを1mol/1 になるように添加した。この
混合溶液30mlに同量のトルエンと、5mlのソルビタンモ
ノオレエートとを添加した。この混合液をホモジナイザ
ーで激しく撹拌して乳化させて油中水滴型エマルジョン
を得た。このエマルジョンに、撹拌しながら5mlの50
%エピクロロヒドリンの水酸化ナトリウム水溶液を滴下
した後、24時間撹拌をした。次いで、溶媒をろ別して、
蒸留水で洗浄した後、真空乾燥してフェロモン内包架橋
キトサン微粒子を得た。
【0047】得られたキトサン微粒子の平均粒径は約10
μmであった。また、得られた微粒子には、微粒子1g
当たり70mgのフェロモンが含有されていた。
【0048】(製造例6)1重量%のキトサン(脱アセ
チル化度:70%)を希塩酸に溶解して、この希塩酸水溶液
にフェロモンを1mol/1 になるように添加した。この混
合溶液30m1に同量のトルエンと、5mlのソルビタンモノ
オレエートとを添加した。この混合液をホモジナイザー
で激しく撹拌して乳化させて油中水滴型エマルジョンを
得た。
【0049】このようにして得られたニマルジョンに、
撹拌しながら5mt の50% エビクロロヒドリンの水酸化ナ
トリウム水溶液を滴下した後、24時間撹拌した。次い
で、溶媒をろ別して、蒸留水で洗浄した後、真空乾燥し
てフェロモン内包架橋キトサン微粒子を得た。得られた
キトサン微粒子の平均粒径は約10μmであった。また、
1g当たり70mgのフェロモンが含有されていた。
【0050】(製造例7)5重量%のキトサン(脱アセ
チル化度:70%)を希塩酸に溶解して、この希酸水溶
液に殺虫剤マラソンを5mo1/1 になるように添加した。
この混合溶液60m1に同量のトルエンと、10 m1
のソルビタンモノオレエートとを添加した。この混合
液をホモジナイザーで激しく撹拌して乳化させて油中水
滴型エマルジョンを得た。
【0051】このエマルジョンに、撹拌しながら10 m1
の50%グルタルアルデヒドの硫酸水溶液を滴下した後、
24時問撹拌をした。次いで、溶媒をろ別して、蒸留水で
洗浄した後、真空乾燥してマラソン内包架橋キトサン微
粒子を得た。得られたキトサン微粒子の平均粒経は約10
0 μmであった。また、得られた微粒子には、微粒子1
g当たり100 mgのマラソンが含有されていた。
【0052】(製造例8)10重量%のキトサン(脱ア
セチル化度:70 %)を希塩酸に溶解して、この希塩酸水
溶液に殺虫剤スミチオンを10 mol/1 になるように添加
した。この混合溶液100 mlに同量のトルエンと、20m1の
ソルビタンモノオレエートとを添加した。
【0053】この混合物をホモジナイザーで激しく撹拌
して乳化させて油中水滴型エマルジョンを得た。
【0054】このようにして得られたエマルジョンに、
撹拌しながら20m1の50%エピクロロヒドリンの水酸化ナ
トリウム水溶液を滴下した後、24時間撹拌をした。次い
で、溶媒をろ別して、蒸留水で洗浄した後、真空乾燥し
てスミチオン内包架橋キトサン微粒子を得た。得られた
キトサン微粒子の平均粒径は約150 μmであった。ま
た、得られた微粒子には、微粒子1g当たり150 mgのス
ミチオンが含有されていた。
【0055】(製造例9)キトサン1.5 重量%を含む0.
1 塩酸溶液30m1と、シスプラチン濃度0.015 重量%の0.
1N塩酸溶液30m1とを混合し、この混合液をトルエン50m1
に添加した。この混合液を撹拌しながら0.5 時間超音波
照射をしてW/0 型工マルジョンを形成させた。
【0056】次いで、得られたエマルジョンにグルタル
アルデヒド5ml を添加して反応させて架橋させることに
よってシスオプラチンをキトサンに固定化した。その
後、得られたキトサンミクロスフェアを水で十分に洗浄
した後、真空乾燥した。得られたキトサンミクロスフェ
アには、1g当たり11.86 mgのシスプラチンが含有され
ていた。また、得られたキトサンミクロスフェアの平均
粒径は約20μmであった。 (製造例10)キトサン1.5 重量%を含む0.1N塩酸溶液
30m1と、シスプラチン濃度0.015 重量%の0.1N塩酸溶液
30m1とを混合し、 この混合液を膜状にバットに流し込
んで自然乾燥した。これにグルタルアルデヒド5mlを
添加して反応させて膜状に架橋させたキトサン組成物を
得た。得られたキトサン膜状組成物には、1g当たり12
mgのシスプラチンが含有されていた。
【0057】(製造例11)1重量%のキトサン(脱アセ
チル化度:97%)を希塩酸に溶解して、この希塩酸水溶
液にニコチンを1mol/1 になるように添加した。この混
合溶液30m1を膜状にバットに流し込んだ後自然乾燥させ
た。その乾燥したキトサン膜に5mlの50%グルタルア
ルデヒドの硫酸水溶液を滴下した。次いで、蒸留水で洗
浄した後、真空乾燥してニコチンが均一に分散内包され
た架橋キトサン膜を得た。得られたキトサン膜には、膜
1g当たり約70mgのニコチンが含有されていた。
【0058】
【実施例】上記製造例で得られた薬剤内包架橋キトサン
組成物を液晶物質でコーティングした例を示している。
【0059】(実施例1)製造例1で得たニコチン内包
架橋キトサン組成物10gに対して、ビスオレイルリン酸
の2重量%エタノール溶液を噴霧した後乾燥して、コー
ティングされたニコチン内包架橋キトサン組成物を微粒
子状で得た。この微粒子の平均粒径は約10μmであっ
た。
【0060】(実施例2)製造例2で得たニコチン内包
架橋キトサン組成物10gに対して、ビスオレイルスルホ
コハク酸の2重量%エタノール溶液を噴霧した後乾燥す
ると、コーティングされたニコチン内包架橋キトサン組
成物の微粒子が得られた。この微粒子の平均粒径は約20
μmであった。
【0061】(実施例3)製造例1で得たニコチン内包
架橋キトサン組成物10gに対して、ジパルミトイルホス
ファジルコリンの2重量%エタノール溶液を噴霧した後
乾燥すると、コーティングされたニコチン内包架橋キト
サン微粒子が得られた。この微粒子の平均粒径は約30μ
mであった。
【0062】(実施例4)製造例3で得たシスプラチン
内包架橋キトサン組成物10gに対して、ビスオレイルリ
ン酸の2重量%エタノール溶液を噴霧した後乾燥する
と、コーティングされたシスプラチン内包架橋キトサン
組成物が微粒子状で得られた。この微粒子の平均粒径は
約10μmであった。
【0063】(実施例5)製造例4で得たシスプラチン
内包架橋キトサン組成物10gに対して、ビスオレイルス
ルホコハク酸の2重量%エタノール溶液を噴霧した後乾
燥すると、コーティングされたシスプラチン内包架橋キ
トサン微粒子が得られた。この微粒子の平均粒径は約20
μmであった。
【0064】(実施例6)製造例3で得たシスプラチン
内包架橋キトサン組成物10gに対して、ジミリストイル
ホスファジルセリンの2重量%エタノール溶液を噴霧し
た後乾燥して、コーティングされたシスプラチン内包架
橋キトサン微粒子を得た。この微粒子の平均粒径は約30
μmであった。
【0065】(実施例7)製造例5で得たフェロモンン
内包架橋キトサン組成物10gに対して、ビスオレイルリ
ン酸の2重量%エタノール溶液を噴霧した後乾燥する
と、コーティングされたフェロモン内包架橋キトサン微
粒子が得られた。この微粒子の平均粒径は約10μmであ
った。 (実施例8)製造例6で得たフェロモン内包架橋キトサ
ン組成物10gに対して、ビスオレイルスル ホコハク酸
の2重量%エタノール溶液を噴霧した後乾燥して、コー
ティングされたフエロモン内包架橋キトサン微粒子を得
た。この微粒子の平均粒径は約20μmであった。
【0066】(実施例9)製造例7で得たマラソン内包
架橋キトサン組成物10gに対して、ジパルミトイルホス
ファジルコリンの2重量%エタノール溶液を噴霧した後
乾燥すると、コーティングされたマラソン内包架橋キト
サン微粒子が得られた。この微粒子の平均粒径は約30μ
mであった。
【0067】(実施例10)製造例8で得たスミチオン
内包架橋キトサン組成物10gに対して、ビスオレイルリ
ン酸の2重量%エタノール溶液を噴霧した後乾燥する
と、コーティングされたスミチオン内包架橋キトサン微
粒子が得られた。この微粒子の平均粒径は約lOμmであ
った。
【0068】(実施例11)製造例9で得られたシスプ
ラチン内包架橋キトサンミクロスフェアを、上記と同様
な方法で、液晶物質ビスオレイルリン酸(2重量%)のエタ
ノール溶液を用いてコーティングして、コーティングさ
れたシスプラチン内包架橋キトサンミクロスフェアを得
た。 (実施例12)製造例10で得られたシスプラチン内包架
橋キトサン膜を、上記と同様な方法で、液晶物質ビスオ
レイルスルホコハク酸酸(2重量%)のエタノール溶液を用
いてコーティングして、コーティングされたシスプラチ
ン内包架橋キトサン膜を得た。
【0069】(実施例13)製造例11で得られたニコチ
ン内包架橋キトサン膜を、上記と同様な方法で、液晶物
質ビスオレイルスルホコハク酸酸(2重量%)のエタノール
溶液を用いてコーティングして、コーティングされたニ
コチン内包架橋キトサン膜を得た。
【0070】以下の試験例は、上記実施例で得られたコ
ーティングされた薬剤内包架橋キトサン組成物の徐放効
果を調べることを目的としている。
【0071】(試験例1)本発明に係るコーティングさ
れた薬剤内包架橋キトサン組成物について、その経皮吸
収用薬剤徐放制御システムとしての徐放効果を図1に示
すような経皮吸収システム実験用拡散セルを用いて調べ
た。
【0072】本試験例に用いた経皮吸収システム実験用
拡散セルは、図1に示すように、縦型拡散セル1からな
っていて、ピンチクランプ3で挟んだプロピレン膜2の
上側に供給槽4が配置され、その下側に受容槽5が配置
された構造になっている。受容槽5の上部にはサンプリ
ングボート8が設けられていて、サンプリングができる
ようになっている。また、上記のような構造をした拡散
セル1はその下部が恒温槽6中に漬けられて受容槽5中
の液体の温度を所定の温度に維持できるようになってい
る。
【0073】試験は次のようにして行った。供給槽4に
サンプルとして実施例1で得たニコチン内包架橋キトサ
ン組成物0.05gを含むリンゲル溶液10m1を仕込み、受容
槽5にはリンゲル溶液のみ128 m1を仕込んだ。受容槽5
中にはマグネチックスターラチップ7を入れてリンゲル
溶液を撹拌した。なお、試験は、サンプルをそれぞれ2
0℃、 25℃、 30℃、 32℃、 34℃、 35℃、 37
℃、 40℃、 45℃に3時間維持し、10分毎にサンプ
リングして、有効成分の濃度を測定した。
【0074】上記試験の結果は表1〜3に示すとおりで
ある。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】上記表1〜3の結果をグラフで示すと図2
のとおりである。
【0079】これらの結果から、本発明に係るコーティ
ングされたニコチン内包架橋キトサン組成物は、徐放速
度が一定になる0次放出されることが判明し、体内への
投与も時間に依存せず一定速度で行うことが可能である
ことが確認された。
【0080】使用したサンプルの徐放速度と温度との関
係は表4のとおりであった。
【0081】
【表4】
【0082】表4の結果をグラフで示すと図3のとおり
である。
【0083】上記表1〜表4の結果から、薬剤の徐放速
度は温度の上昇に伴い増加し、温度が32℃ないし37
℃の範囲になると急激に透過速度が増加することが判明
した。このことは、温度の低い領域、つまり体温よりか
なり低い領域では、薬剤の有効成分はほとんど放出され
ず組成物内に留まっているが、温度の高い領域、つまり
体温またはその近傍領域では、薬剤の有効成分が放出さ
れることを示している。換言すれば、薬剤が皮膚などに
接触すれば、その有効成分の徐放を開始し、適切な温度
範囲内で適切な量を放出できることになる。したがっ
て、薬剤が接触する面積を変えることによって薬剤の徐
放量を適切に変化させることも可能である。
【0084】(試験例2)本発明に係る薬剤内包架橋キ
トサン組成物について、その体内埋込用微粒子型システ
ムとしての徐放効果を図4に示すような体内埋込式シス
テム実験用拡散セルを用いて調べた。
【0085】サンプルとして実施例4で得られたコーテ
ィングされたシスプラチン内包架橋キトサン組成物を用
いた。
【0086】本試験例で用いた徐放セル1は、図4に示
すように、恒温槽2中に漬けられて徐放セル1の温度を
所定の温度に維持できるようになっている。なお、徐放
セル1にはサンプリングポート4が設けれていて、そこ
からサンプリングできるようになっている。
【0087】この徐放セル1にサンプル0.lgを含むリン
ゲル溶液30m1を仕込み、セル中に入れたマグネチックス
ターラチップ3でリンゲル溶液を撹拌した。なお、試験
は、サンプルをそれ35℃、37℃、39℃、41℃、
43℃に20時間維持し、所定時間毎にサンプリングし
て、有効成分の濃度を測定した。
【0088】上記試験の結果は表5で示すとおりであっ
た。
【0089】
【表5】
【0090】上記表5の結果をグラフで示すと図5のと
おりである。
【0091】上記表5の結果から、本発明に係るコーテ
ィングされたキトサン組成物は、徐放速度が一定になる
0次放出されることが判明し、体内への投与も時間に依
存せず一定速度で行うことが可能であることが確認され
た。
【0092】使用したサンプルの徐放速度と温度との関
係は表6に示す通りであった。
【0093】
【表6】
【0094】上記表6で得られた結果をグラフで示すと
図6のとおりである。
【0095】これらの結果から、薬剤の徐放速度は温度
の上昇に伴い増加し、温度が37℃ないし39℃の範囲
になると急激に透過速度が増加することが判明した。こ
のことは、ガン 胞は正常細胞よりも温度が1℃ないし
2℃程度高いことが知られているので、人体の体温付近
に相転移温度を有する液晶物質でコーティングすること
によって、得られたキトサン組成物が正常細胞の温度領
域では抗ガン剤を放出せず、ガン細胞の温度領域で抗ガ
ン剤を徐放することができる薬剤徐放制御システムを作
製できることを示している。つまり、このような薬剤徐
放制御システムは、体温またはその近傍領域では、薬剤
の有効成分が放出され、つまり、薬剤が皮膚などに接触
すれば、その有効成分の徐放を開始し、適切な温度範囲
内で適切な量を放出できることを示している。
【0096】(試験例3)本発明に係る薬剤内包架橋キ
トサン組成物について、農業用薬剤徐放制御システムと
しての薬剤の空気中への徐放効果を図7に示すような徐
放セルを用いて調べた。サンプルとしては、実施例6で
得られたコーティングされたフェロモン内包架橋キトサ
ン組成物を用いた。 本試験例で用いた徐放セル1は、
図7に示すように、恒温槽2中に漬けられて徐放セル1
の温度を所定の温度に維持できるようになっている。な
お、徐放セル1にはサンプリングポート4が設けれれて
いて、そこからサンプリングできるようになっている。
この徐放セル1にサンプル0.lgを仕込み、セル中に入
れたマグネチックスターラチップ3でサンプルを撹拌し
た。なお、試験は、サンプルをそれ15℃、17℃、2
0℃、23℃、25℃、30℃に16、時間維持し、所定
時間毎にサンプリングして、有効成分の濃度を測定し
た。
【0097】上記試験の結果は、表7で示すとおりであ
った。
【0098】
【表7】
【0099】上記表7の結果をグラフで示すと図8のと
おりである。
【0100】これらの結果から、本発明に係るコーティ
ングされたキトサン組成物は、徐放速度が一定になる0
次放出されることが判明し、体内への投与も時間に依存
せず一定速度で行うことが可能であるが確認された。
【0101】このサンプルの徐放速度と温度との関係は
表8のとおりである。
【0102】
【表8】
【0103】上記表8の結果をグラフで示すと図9のと
おりである。
【0104】これらの結果から、薬剤の徐放速度は温度
の上昇に伴い増加し、温度が17℃ないし20℃の範囲
になると急激に透過速度が増加することが判明した。こ
のことは、害虫の生殖活動が活発になる春期ないし夏期
にかけて害虫の性誘引ホルモンや殺虫剤を徐放すことが
でき、これによって害虫のオスの生殖活動を撹乱し、か
つ殺虫剤で駆除をすることもできることを示している。
【0105】試験例7、8および9実施例10ないし12で
それぞれ得られた薬剤内包架橋キトサン組成物を用い
て、それぞれ試験例1と同様に試験をした結果、その試
験例とほぼ同等の効果を示した。
【0106】
【発明の効果】本発明に係るコーティングされた薬剤内
包架橋キトサン組成物は、その薬剤の有効成分を一定の
所定量で所定の期間所定の部位または位置に放出するこ
とができる。更に、本発明に係る薬剤内包架橋キトサン
組成物は、薬剤とキトサンとの混合物に、架橋剤を作用
させて得ることができ、その製法は極めて簡単であり、
工業的に生産する場合に特に有用である。
【0107】更にまた、本発明において出発物質として
使用される薬剤内包架橋キトサン組成物に、ビスオレイ
ルリン酸、ビスオレイルスルホコハク酸などの液晶物質
でコーティングすることによって製造することができ、
その製法も極めて簡単であり、工業的に生産する場合に
特に有用である。
【0108】上記の製造方法において、特定の薬剤、乳
化剤、架橋剤又は液晶物質を使用することは、本発明に
係るコーティングされた薬剤内包架橋キトサン組或物を
製造するのに特に有用である。
【0109】上記のような方法で製造された薬剤内包架
橋キトサン組成物は、薬剤徐放制御システムとして使用
するのに特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薬剤内包架橋キトサン組成物の徐
放効果を調べるための実験用セルの概略図である。
【図2】試験例1での試験結果を示すグラフである。
【図3】試験例1での試験結果を示すグラフである。
【図4】本発明に係る薬剤内包架橋キトサン組成物の徐
放効果を調べるための実験用セルの概略図である。
【図5】試験例2での試験結果を示すグラフである。
【図6】試験例2での試験結果を示すグラフである。
【図7】本発明に係る薬剤内包架橋キトサン組成物の徐
放効果を調ペるための実験用セルの概略図である。
【図8】試験例3の試験結果を示すグラフである。
【図9】試験例3の試験結果を示すグラフである。

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薬剤が架橋キトサンに均一に分散されて
    いる薬剤内包架橋キトサン組成物が液晶物質でコーティ
    ングされていることを特徴とするコーテイングされた薬
    剤内包架橋キトサン組成物。
  2. 【請求項2】 請求項第1項に記載の薬剤内包架橋キト
    サン組成物において、前記液晶物質がビスオレイルリン
    酸、ビスオレイルスルホコハク酸又はジアルキルリン脂
    質であること。
  3. 【請求項3】 請求項第1項または第2項に記載の薬剤
    内包架橋キトサン組成物において、前記薬剤内包架橋キ
    トサン組成物が微粒子状または膜状であること。
  4. 【請求項4】 薬剤とキトサンとの混合物に架橋剤を反
    応させて前記キトサンを架橋させて得られた架橋キトサ
    ン組成物に前記薬剤を均一に分散させた薬剤内包架橋キ
    トサン組成物を得、次いで得られた薬剤内包架橋キトサ
    ン組成物を液晶物質でコーティングしてコーティングさ
    れた薬剤内包架橋キトサン組成物を得ることを特徴とす
    るコーティングされた薬剤内包架橋キトサン組成物の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 請求項第4項に記載の製造方法におい
    て、薬剤とキトサンとの前記混合物をエマルジョンと
    し、得られたエマルジョンに架橋剤を反応させて前記キ
    トサンを架橋させて、前記薬剤が前記架橋キトサンに内
    包された薬剤内包架橋キトサン組成物を微粒状で得るこ
    と。
  6. 【請求項6】 請求項第4項に記載の製造方法におい
    て、薬剤とキトサンとの前記混合物に架橋剤を反応させ
    て薬剤が均一に分散された状態で内包された薬剤内包架
    橋キトサン組成物を膜状で得ること。
  7. 【請求項7】 請求項第6項に記載の製造方法におい
    て、前記エマルジョンが前記薬剤と前記キトサンとの前
    記混合物を乳化剤で処理することによって得られるこ
    と。
  8. 【請求項8】 請求項第7項に記載の薬剤内包架橋キト
    サン組成物の製造方法において、前記乳化剤がグリセリ
    ン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルまたはプ
    ロピレン脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤であ
    ること。
  9. 【請求項9】 請求項策4項ないし第8項のいずれか1
    項に記載の製造方法において、前記薬剤が医薬品、農
    薬、肥料又は芳香剤であること。
  10. 【請求項10】 請求項第4項ないし第8項のいずれか
    1項に記載の製造方法において、前記架橋剤がアルデヒ
    ド類またはクロロヒドリン類であること。
  11. 【請求項11】 請求項第4項ないし第8項のいずれか
    1項に記載の製造方法において、前記液晶物質がビスオ
    レイルリン酸、ビスオレイルスルホコハク酸又はジアル
    キルリン脂質であること。
  12. 【請求項12】 請求項第1項ないし第3項のいずれか
    1項に記載のコーティングされた薬剤内包架橋キトサン
    組成物を薬剤徐放制御システムとして用いることを特徴
    とする薬剤徐放制御システムとして薬剤内包架橋キトサ
    ン組成物の用途。
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