JP2857291B2 - チタン、アルミニウム、ニオブ、クロムおよびケイ素からなるチタン・アルミニウム合金の鋳造品およびその製法 - Google Patents

チタン、アルミニウム、ニオブ、クロムおよびケイ素からなるチタン・アルミニウム合金の鋳造品およびその製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、広くチタンとアルミニ
ウムの合金一般に係る。特に、本発明は、化学量論比に
関して、及びケイ素、クロムおよびニオブの添加に関し
て改良されたチタンとアルミニウムのガンマ合金に係
る。
【0002】
【発明の背景】アルミニウムをチタン金属に添加する際
アルミニウムの割合を次第に多くしていくと、得られる
チタン・アルミニウム組成物の結晶形が変化することが
知られている。アルミニウムの割合が小さいとアルミニ
ウムがチタンに固溶した固溶体となり、結晶形はαチタ
ンの結晶形のままである。アルミニウムの濃度が高くな
ると(たとえば、約25〜35原子%)、金属間化合物
Ti3 Alが形成される。このTi3 Alはα−2とい
われる規則的な六方晶の結晶形をもっている。さらにア
ルミニウム濃度が高くなると(たとえば、アルミニウム
が50〜60原子%の範囲)、γといわれる規則的な正
方晶の結晶形を有する別の金属間化合物TiAlが形成
される。このγ化合物の改良型が本発明の主題である。
【0003】γ結晶形と約1という化学量論比を有する
チタン・アルミニウム合金は、高いモジュラス(弾性
率)、低い密度、高い熱伝導率、有利な耐酸化性および
良好な耐クリープ性を有する金属間化合物である。Ti
Al化合物および他のチタン合金ならびにニッケル基超
合金のモジュラスと温度の関係を図3に示す。図から明
らかなように、TiAlはチタン合金の中で最高のモジ
ュラスをもっている。TiAlはそのモジュラスが高温
で他のチタン合金より高いばかりでなく、温度の上昇に
よるモジュラスの低下率はTiAlの方が他のチタン合
金より小さい。さらに、TiAlは、他のチタン合金が
有用でなくなるような温度より高い温度でも有用なモジ
ュラスを保持している。TiAl金属間化合物を基材と
する合金は、高温で高いモジュラスが必要とされ、かつ
環境に対する良好な保護も要求される用途に対して重要
な軽量材料である。
【0004】TiAlの特性のうち、上記のような用途
に実際に応用する際の制限となるのは、室温で見られる
脆性である。また、このTiAl金属間化合物がある種
の構造部材用途に利用できるようになるには、この金属
間化合物の室温での強度を改善する必要もある。すなわ
ち、γTiAl金属間化合物が適している高温で使用で
きるようになるには、この金属間化合物を改良してその
延性および/または室温での強度を高めることが極めて
望ましい。
【0005】軽量で、しかも高温で使用できる可能性と
共に、使用しようとするTiAl組成物に最も望まれる
ものは室温での強度と延性の組合せである。金属組成物
の用途によっては1%程度の最小の延性でも許容できる
が、より高い延性がずっと望ましい。また、組成物が有
用であるための最低の強度は約50ksiすなわち約3
50MPaである。しかし、この程度の強度を有する材
料はある種の用途に対しては充分であるとはいえず、用
途によってはより高い強度が好ましいことが多い。
【0006】γTiAl化合物の化学量論比は結晶構造
を変えることなくある範囲に渡って変化させることがで
きる。すなわち、アルミニウム含量は約50原子%から
約60原子%まで変えることができる。しかし、チタン
とアルミニウム成分の化学量論比が比較的少しだけ(1
%またはそれ以上)変化してもγTiAl組成物の性質
は非常に大きく変化し易い。また、これらの性質は、同
様に比較的少量の第三元素、第四元素およびその他の元
素を添加しても同じように大きな影響を受ける。
【0007】本発明者は、このたび、鋳造した形態の組
成物に望ましい特性を付与するために添加元素を一定に
組合せて、特にクロム、ニオブおよびケイ素を組合せて
γTiAl金属間化合物に配合することによって、この
金属間化合物をさらに改良することが可能であることを
発見した。
【0008】さらにまた、本発明者は、そのような添加
元素を含む組成物が、実質的に改善された強度および鋳
造状態で望ましく高い延性を含めて独特の望ましい組合
せの特性を有することを発見した。
【0009】
【従来の技術】Ti3 Al金属間化合物、TiAl金属
間化合物およびTiAl3 金属間化合物を始めとするチ
タン・アルミニウム組成物に関する文献は豊富である。
「TiAl型チタン合金(TITANIUM ALLOYS OF THE TiAl
TYPE)」と題する米国特許第4,294,615号で
は、TiAl金属間化合物を始めとするアルミ化チタン
型合金が包括的に論じられている。この特許の第1欄の
第50行以降には、Ti3Alと比較してTiAlの利
点と欠点を論じる際に、次のように指摘されている。
【0010】「TiAlγ合金系はアルミニウムを多く
含有しているのであるから、より軽い可能性があること
は明らかである。1950年代の実験研究により、アル
ミ化チタン合金は約1000℃までの高温で使用できる
可能性があることが示された。しかし、これらの合金を
用いてその後得られた工学的経験・知識によると、これ
らの合金は充分な高温強度をもってはいたが、室温およ
び中程度の温度、すなわち20〜550℃で延性がほと
んどまたはまったくなかった。脆性に過ぎる材料は容易
に製造することができないし、めったにないことだが避
けることのできない使用中のちょっとした損傷をうけた
際に、亀裂を起こしてその後機能を停止してしまうこと
なくもちこたえることもできない。したがってそのよう
な材料は他のベース合金の代替となる有用な工学材料と
はならない。」
【0011】基本的に、合金系TiAlもTi3 Alも
規則的なチタン・アルミニウム金属間化合物ではある
が、TiAlは(Tiの固溶体合金とはもちろん)Ti
3 Alとは実質的に異なっているということは公知であ
る。前記の米国特許第4,294,615号の第1欄で
は次のような指摘がなされている。
【0012】「充分な知識をもっている当業者には、こ
れら2種の規則相の間に実質的な違いがあることが分か
っている。Ti3 Alとチタンの六方晶の結晶構造は極
めてよく似ているので、それらの合金化および変態の様
子は似ている。しかし、化合物TiAlは原子が正方晶
の配列をとっており、したがって合金化特性もかなり違
っている。このような違いは先行文献では認識されてな
いことが多い。」
【0013】この米国特許第4,294,615号に
は、得られる合金の性質を改良するためにTiAlをバ
ナジウムおよび炭素と合金化することが記載されてい
る。
【0014】しかしこの米国特許第4,294,615
号には、TiAlをケイ素もしくはクロムまたはケイ素
とクロムの組合せと合金化することが開示されていない
し、特にケイ素、クロムおよびニオブの組合せが開示さ
れていない。
【0015】チタン・アルミニウム化合物およびこれら
の化合物の特性に関する技術文献をいくつか以下に挙げ
る。
【0016】1.バンプス(E.S. Bumps)、ケスラー(H.
D. Kessler)およびハンセン(M. Hansen) 著、「チタン
−アルミニウム系(Titanium-Alminum System) 」、金属
雑誌(Journal of Metals) 、1952年6月、第609
〜614頁、米国機械学会誌(TRANSACTIONS AIME) 、第
194巻。
【0017】2.オグデン(H.R. Ogden)、メイカス(D.
J. Maykuth)、フィンレイ(W.L. Finlay) およびジャフ
ィー(R.I. Jaffee) 著、「高純度Ti−Al合金の機械
的性質(Mechanical Properties of High Purity Ti-Al
Alloys) 」、金属雑誌(Journalof Metals) 、1953
年2月、第267〜272頁、米国機械学会誌(TRANSAC
TIONS AIME) 、第197巻。
【0018】3.マカンドリュー(Joseph B. McAndrew)
およびケスラー(H.D. Kessler)著、「高温合金基材とし
てのTi−36%Al(Ti-36 Pct Al as a Base for Hi
gh Temperature Alloys)」、金属雑誌(Journal of Meta
ls) 、1956年10月、第1348〜1353頁、米
国機械学会誌(TRANSACTIONS AIME) 、第206巻。
【0019】4.マーチン(Patrick L. Martin) 、メン
ディラッタ(Madan G. Mendiratta)およびリスピット(Ha
rry A. Lispitt)著、「TiAl合金およびTiAl+
W合金のクリープ変形(Creep Deformation of TiAl and
TiAl + W Alloys) 」、金属学会誌A(Metallurgical T
ransactions A)、第14A巻(1983年10月)第2
171〜2174頁。
【0020】5.マーチン(P.L. Martin) 、リスピット
(H.A. Lispitt)、ヌーファ(N.T. Nuhfer) およびウィリ
アムズ(J.C. Williams) 著、「Ti3 AlとTiAlの
ミクロ組織と性質に対する合金化の効果(The Effects o
f Alloying on the Microstructure and Properties of
Ti 3 Al and TiAl)」、チタン(Titanium)80、米国金
属学会(American Society of Metals)刊、ウォーレンデ
ール(Warrendale)、ペンシルベニア州、第2巻、第12
45〜1254頁。
【0021】6.パーキンス(R.A. Perkins)、チャン
(K.T. Chiang) およびマイヤー(G.H.Meyer)著、「Ti
−Al合金上でのアルミナの定式化(Formulation of Al
uminaon Ti-Al Alloys)」、スクリプタ・メタリュール
ジカ(Scripta METALLURGICA)、第21巻(1987年)
第1505〜1510頁。
【0022】酸化の影響および酸化に対する添加元素
(たとえばタンタル)の効果は、金属雑誌(Journal of
Metals) 、1956年10月、米国機械学会誌(TRANSAC
TIONSAIME) の1350頁以降で議論されている。
【0023】7.バリニョフ(S.M. Barinov)、ナルトバ
(T.T. Nartova)、クラシュリン(YuL. Krasulin)および
モグトバ(T.V. Mogutova) 著、「チタン・アルミニウム
の強度と破壊靭性の温度依存性(Temperature Dependenc
e of the Strength and Fracture Toughness of Titani
um Aluminum)」、ソビエト連邦科学アカデミー会報(Iz
v. Akad. Nauk SSSR)、金属(Met.)、第5巻(1983
年)第170頁。
【0024】この文献7の表Iには、チタン−36アル
ミニウム−0.01ホウ素の組成物が報告されており、
この組成物は改良された延性をもっているとされてい
る。この組成物は原子%ではTi50Al49.97 0.03
相当する。
【0025】8.サストリー(S.M.L. Sastry) およびリ
スピット(H.A. Lispitt)著、「TiAlとTi3 Alの
塑性変形(Plastic Deformation of TiAl and Ti 3 Al)
」、チタン(Titanium)80、米国金属学会(American S
ociety of Metals)刊、ウォーレンデール(Warrendal
e)、ペンシルベニア州、第2巻(1980年)第123
1頁。
【0026】9.ツジモト(Tokuzo Tsujimoto)著、「T
iAl金属間化合物合金の研究、開発および展望(Resea
rch, Development, and Prospects of TiAl Intermetal
licCompound Alloys)」、チタンとジルコニウム(Titani
um and Zirconium)、第33巻、第3,159号(19
85年7月)第1〜13頁。
【0027】10.リスピット(H.A. Lispitt)著、「ア
ルミ化チタン−概観(Titanium Aluminides - An Overvi
ew) 」、材料研究学会シンポジウム記録(Mat. Res. So
c. Symposium Proc.)、材料研究学会(Materials Resear
ch Society)、第39巻(1985年)第351〜36
4頁。
【0028】11.ワング(S.H. Whang)他著、「Llo
TiAl化合物合金における急速凝固の効果(Effect of
Rapid Solidification in Ll o TiAl Compound Alloy
s) 」、急速凝固による構造用金属の性質向上に関する
米国金属学会シンポジウム記録(ASM Symposium Proceed
ings on Enhanced Properties in Struc. Metals Via R
apid Solidification)、マテリアルズ・ウィーク(Mater
ials Week)、(1986年10月)第1〜7頁。
【0029】12.ソビエト連邦科学アカデミー会報(I
zvestiya Akademii Nauk SSSR)、金属(Metally.)、第3
号(1984年)第164〜168頁。
【0030】13.ラーセン(D.E. Larsen) 、アダムズ
(M.L. Adams)、カンペ(S.L. Kampe)、クリストドゥルー
(L. Christodoulou)およびブライアント(J.D. Bryant)
著、「不連続に強化されたXDTMアルミ化チタン複合材
における破壊靭性に対するマトリックス相形態学の影響
(Influence of Matrix Phase Morphology on Fracture
Toughness in a Discontinuously Reinforced XDTM Tit
anium Aluminide Composite)」、スクリプタ・メタリュ
ールジカ・エ・マテリアリア(Scripta Metallurgica et
Materialia)、第24巻(1990年)第851〜85
6頁。
【0031】14.ウクライナ共和国科学アカデミー(A
kademii Nauk Ukrain SSR)、金属(Metallofiyikay)第5
0号(1974年)。
【0032】15.ブライアント(J.D. Bryant) 、クリ
ストドン(L. Christodon) およびメイサノ(J.R. Maisan
o)著、「近γアルミ化チタンのコロニーサイズに対する
TiB2 添加の効果(Effect of TiB2 Additions on th
e Colony Size of Near Gamma Titanium Aluminide
s)」、スクリプタ・メタリュールジカ・エ・マテリアリ
ア(Scripta Metallurgica et Materialia)、第24巻
(1990年)第33〜38頁。
【0033】ジャフィー(Jaffee)の米国特許第3,20
3,794号には、ケイ素を含有するTiAl組成物
と、クロムを含有する別のTiAl組成物が開示されて
いる。
【0034】同様に、ジャフィー(Jaffee)のカナダ特許
第621884号には、その表1に、クロムを含有する
TiAl組成物と、ケイ素を含有する別のTiAl組成
物が開示されている。
【0035】これらジャフィー(Jaffee)の特許には、ク
ロムとケイ素を組合せて含有するTiAl組成物、特に
クロム、ケイ素およびニオブを組合せて含有するTiA
l組成物に関する暗示も示唆もない。
【0036】ハシモト(Hashimoto) の米国特許第4,6
61,316号には、TiAlに0.1〜5.0重量%
のマンガンをドープすること、ならびにマンガンと他の
元素を組合せてTiAlにドープすることが教示されて
いる。このハシト(Hashimoto) の特許には、TiAl
にクロムをドープすること、またはクロムを始めとする
元素の組合せをドープすることは教示されていないし、
特にクロムとケイ素およびニオブの組合せをドープする
ことは教示されていない。
【0037】ジャフィー(Jaffee)のカナダ特許第62,
884号には、その表1に、TiAl中にクロムを含有
している組成物が開示されている。また、ジャフィー(J
affee)は、表1に、TiAl中にタンタルを含有する別
の組成物、およびTiAl中に各種添加剤を含有してい
る約26種の他のTiAl組成物も開示している。しか
し、このジャフィー(Jaffee)のカナダ特許には、クロム
と他の元素の組合せまたはニオブと他の元素との組合せ
を含有するTiAl組成物は開示されていない。特に、
クロム、ケイ素およびニオブを組合せて含有するTiA
l組成物に関する開示はもちろん暗示も示唆もない。
【0038】本出願人の所有するたくさんの特許がアル
ミ化チタンおよびそのようなアルミ化物の性質を改良す
るための方法と組成物に関わっている。これらの特許の
中には、米国特許第4,836,983号、第4,84
2,819号、第4,842,820号、第4,85
7,268号、第4,879,092号、第4,89
7,127号、第4,902,474号、第4,91
6,028号、第4,923,534号、第5,03
2,357号、第5,045,406号、ならびにホワ
ン(S.C. Huang)およびジグリオッチ(M.F.X. Gigliotti)
の米国特許第4,842,817号がある。さらに、本
出願人所有の米国特許第5,028,491号では、ク
ロムとニオブの添加によってアルミ化チタンを改良する
ことが教示されている。これらの特許の明細書はここで
引用したことにより本明細書に含まれているものとす
る。
【0039】他の多くの特許もTiAl組成物に関連し
ている。たとえば、ジャフィー(Jaffee)の米国特許第
3,203,794号はさまざまなTiAl組成物を開
示している。
【0040】サストリー(Sastry)の米国特許第4,63
9,281号は、Ti−Alを始めとするチタン基合金
に、ホウ素、炭素、窒素およびこれらの混合物またはこ
れらとケイ素との混合物からなる繊維状分散質を含ませ
ることを教示している。
【0041】ナグル(Nagle) の米国特許第4,774,
052号は、アルミ化チタンを始めとするマトリックス
材料に第二相物質を分与するためにホウ素化物を始めと
するセラミックを発熱反応によってマトリックス中に配
合する方法に係る。特開平1−298127号(198
9年)は、アルミ化チタンに対する他の添加剤のうち、
ニオブとホウ素を添加剤として使用すること、またクロ
ムとホウ素を添加剤として使用することを開示してい
る。
【0042】
【発明の概要】本発明の広い局面のひとつにおいて、本
発明の目的は、非化学量論のTiAlベース合金を準備
し、その非化学量論組成物に比較的低濃度のクロム、低
濃度のケイ素および適当な濃度のニオブを添加すること
によって達成される。原子%程度のクロム、2〜6原
子%程度のニオブ、および1〜4原子%程度までのケイ
素を添加することが考えられる。
【0043】本発明の合金は、特に鋳造形態で製造する
のに適しており、インゴット冶金法によりHIPその他
の加工処理にかけることができる。また、添加の後、ク
ロムを含有する非化学量論性TiAl金属間化合物を急
速凝固してもよい。
【0044】
【詳細な説明】以下に述べる発明の詳細な説明は、添付
の図面を参照すると、より明瞭に理解できる。
【0045】ケイ素、ニオブおよびクロムを組合せてγ
TiAlに添加するという本発明の基礎となった発見に
至ることになった本発明者の一連の研究と従来の研究の
結果を示す
【0046】(参考例1〜3) TiAlの化学量論に近いさまざまな化学量論比でチタ
ンとアルミニウムを含有する3つのメルトをそれぞれ調
製した。これらの組成物の組成、焼きなまし温度、およ
び行なった試験の結果を表Iに示す。
【0047】各参考例とも、まず最初にアーク融解によ
って合金からインゴットを作成した。このインゴットを
アルゴン分圧下のメルトスピニングによってリボンに加
工した。この融解の両方の段階で、望ましくないメルト
と容器との反応を避けるために、銅製の水冷式炉をメル
トの容器として使用した。また、チタンは酸素に対する
親和性が強いため、熱い金属が酸素にさらされるのを避
けるように注意した。
【0048】こうして急速に凝固させたリボンをスチー
ル製の缶に詰めて排気した後密封した。次に、缶を30
ksiの圧力下950℃(1740°F)で3時間熱間
静水圧プレスした。HIP用の缶を機械加工して除き、
固まったリボンプラグを得た。このHIP処理したサン
プルは、直径が約1インチで長さが3インチのプラグで
あった。
【0049】このプラグを、ビレットの中央開口部の軸
方向に入れて密封した。このビレットを975℃(17
87°F)に加熱し、圧延比が約7対1のダイを通して
押出した。こうして押出したプラグをビレットから取り
出して熱処理した。
【0050】次に、この押出したサンプルを表Iに示す
温度で2時間焼きなました。焼きなましの後、1000
℃で2時間時効化処理した。室温での4点曲げ試験用の
試験片は1.5×3×25.4mm(0.060×0.
120×1.0インチ)の寸法に機械加工した。曲げ試
験は、内側間隔が10mm(0.4インチ)で外側間隔
が20mm(0.8インチ)の4点曲げ試験用固定具を
用いて実施した。荷重−クロスヘッド変位曲線を記録し
た。得られた曲線に基づいて次の性質が定められる。
【0051】(1)耐力(降伏強さ)はクロスヘッド変
位が1/1000インチのときの流れ応力である。この
値のクロスヘッド変位は、塑性変形の最初の徴候および
弾性変形から塑性変形への遷移と考えられる。通常の圧
縮法や引張り法で耐力および/または破壊強度を測定す
ると、本明細書中の測定値をとるのに行なった4点曲げ
試験で得られる結果より低くなる傾向がある。4点曲げ
試験の測定結果の方が高いということは、これらの値を
通常の圧縮法または引張り法で得られた値と比較する場
合注意すべきである。しかし、本明細書中の合金の多く
で行なった測定結果の比較は4点曲げ試験のもの同士で
あり、この技術で測定したすべてのサンプルでこのよう
な比較は組成の違いまたは組成物の加工・処理の違いに
基づく強度特性の違いを立証するのに極めて効果的であ
る。
【0052】(2)破壊強度は破壊に至る応力である。
【0053】(3)外側繊維歪みは9.71hdで表わ
される量であり、「h」は試験片の厚み(インチ)、
「d」は破壊時のクロスヘッド変位(インチ)である。
こうして計算される値は、冶金学的に、曲げ試験片の外
側表面が破壊時に受ける塑性変形の量を表わす。
【0054】結果を次の表Iに示す。表Iは1300℃
で焼きなましたサンプルの特性に関するデータを示して
いる。また、これらのサンプルの別のデータを特に図2
に示す。
【0055】
【表1】 表 I 破 壊 外側繊参考 例 γ合金 組 成 焼きなまし 耐 力 強 度 維歪み番 号 番 号 (原子%) 温度(℃) (ksi) (ksi) (%) 1 83 Ti54Al46 1250 131 132 0.1 1300 111 120 0.1 1350 * 58 0 2 12 Ti52Al48 1250 130 180 1.1 1300 98 128 0.9 1350 88 122 0.9 1400 70 85 0.2 3 85 Ti50Al50 1250 83 92 0.3 1300 93 97 0.3 1350 78 88 0.4 *−サンプルが測定に耐えるだけの充分な延性をもって
いなかったので測定値は得られなかった。
【0056】この表のデータから明らかなように、参考
例2の合金12が最も良好な組合せの性質を示した。こ
れにより、Ti−Al組成物の性質がTi/Al原子比
および適用した熱処理に対して非常に敏感であることが
確認される。以下に記載するようにして実施したその後
の実験に基づいて、さらに特性を改良するためのベース
合金として合金12を選択した。
【0057】また、1250〜1350℃の温度で焼き
なますと、望ましいレベルの耐力、破壊強度および外側
繊維歪みを有する試験片が得られることも明らかであ
る。しかし、1400℃で焼きなますと、1350℃で
焼きなました試験片よりかなり低い耐力(約20%低
い)、より低い破壊強度(約30%低い)およびより低
い延性(約78%低い)を有する試験片が得られる。こ
れらの性質の急激な低下はミクロ組織の大きな変化に起
因しており、このミクロ組織の変化自体は1350℃よ
りかなり高い温度で広範に起こるβ変態によるものであ
る。
【0058】(参考例4〜13) 表示した原子比のチタンとアルミニウムを含有し、比較
的少ない原子パーセントの添加元素を含む別の10種の
メルトをそれぞれ調製した。
【0059】各サンプルは参考例1〜3に関して上記し
たようにして調製した。
【0060】これらの組成物の組成、焼きなまし温度、
および試験結果を、ベース合金としての合金12と比較
して表IIに示す。
【0061】
【表2】 表 II 破 壊 外側繊参考 例 γ合金 焼きなまし 耐 力 強度 維歪み番 号 番 号 組 成(原子%) 温度(℃) (ksi) (ksi) (%) 2 12 Ti52Al48 1250 130 180 1.1 1300 98 128 0.9 1350 88 122 0.9 4 22 Ti50Al47Ni3 1200 * 131 0 5 24 Ti52Al46Ag2 1200 * 114 0 1300 92 117 0.5 6 25 Ti50Al48Cu2 1250 * 83 0 1300 80 107 0.8 1350 70 102 0.9 7 32 Ti54Al45Hf1 1250 130 136 0.1 1300 72 77 0.2 8 41 Ti52Al44Pt4 1250 132 150 0.3 9 45 Ti51Al472 1300 136 149 0.1 10 57 Ti50Al48Fe2 1250 * 89 0 1300 * 81 0 1350 86 111 0.5 11 82 Ti50Al48Mo2 1250 128 140 0.2 1300 110 136 0.5 1350 80 95 0.1 12 39 Ti50Al46Mo4 1200 * 143 0 1250 135 154 0.3 1300 131 149 0.2 13 20 Ti49.5Al49.5Er1 + + + + *−表I脚注参照。 +−試験片製造のための機械加工中に材料破壊。
【0062】参考例4と5の1200℃で熱処理したも
のは延性がほとんどゼロであることが判明したので耐力
は測定できなかった。参考例5の1300℃で焼きなま
したものは延性が増大したがそれでも低くて望ましくな
かった。
【0063】参考例6の1250℃で焼きなました試験
片も同様であった。参考例6の1300℃と1350℃
で焼きなました試験片では、延性は充分であったが耐力
は低かった。
【0064】他の参考例の試験片はいずれも意味のある
程度の延性をもっていないことが判明した。
【0065】表IIに挙げた結果から明らかなように、試
験用組成物の製造に関与するパラメーターは極めて複雑
であり相互に関連している。ひとつのパラメーターはア
ルミニウムの原子比に対するチタンの原子比である。図
3にプロットしたデータから明らかなように、化学量論
比または非化学量論比はいろいろな組成物で得られた試
験特性に対して強い影響を示す。
【0066】別のパラメーターはベースのTiAl組成
物中に含ませるために選択した添加元素である。この種
のパラメーターのうちで第一のものは、特定の添加元素
がチタンとアルミニウムのいずれの置換元素として作用
するかということに関する。ある特定の金属はいずれの
様式でも作用し得、ある添加元素が果たす役割を決定す
ることができる簡単な規則はない。このパラメーターの
重要性は、添加元素Xをある原子パーセントで添加した
場合を考えれば明らかである。
【0067】もしXがチタンの置換元素として作用する
のであれば、組成物Ti48Al484 の有効アルミニウ
ム濃度は48原子%であり、有効チタン濃度は52原子
%となる。
【0068】逆に、添加元素Xがアルミニウムの置換元
素として作用するならば、得られる組成物の有効アルミ
ニウム濃度は52原子%で、有効チタン濃度は48原子
%となる。
【0069】したがって、生起する置換の種類は非常に
重要であるが、その予測は極めて困難である。
【0070】これと同様な種類の別のパラメーターは添
加元素の濃度である。表IIから明らかな、さらに別のパ
ラメーターは焼きなまし温度である。ある添加元素で最
も良好な強度特性を生ずる焼きなまし温度は別の添加元
素の場合と違っていることが分かる。これは、参考例6
の結果を参考例7の結果と比較するとよく分かる。
【0071】さらに、添加元素に対して濃度と焼きなま
しが結合した効果があることがある。すなわち、なんら
かの向上が見られる場合、添加元素の濃度と焼きなまし
温度のある一定の組合せで最適な特性向上が生じ、それ
より高い濃度および低い濃度および/またはそれより高
い焼きなまし温度および低い焼きなまし温度では所望の
特性改良を得る上で効果が薄くなる可能性がある。
【0072】表IIの結果を見ると、非化学量論のTiA
l組成物に第三元素を添加して得ることができる結果は
極めて予測が難しいこと、および、ほとんどの試験結果
は延性もしくは強度またはその両方の点で満足できない
ことが明らかである。
【0073】(参考例14〜17) 添加元素を含むγアルミ化チタン合金のさらに別のパラ
メーターは、添加元素を組合せても、同じ添加元素をそ
れぞれ別個に含ませて得られるそれぞれの効果の加法的
組合せになるとは限らないということである。
【0074】参考例1〜3に関して上記したようにし
て、表III に挙げるバナジウム、ニオブおよびタンタル
をそれぞれ別個に添加したTiAlベースのサンプルを
さらに4種類調製した。これらの組成物は、本出願人所
有の米国特許第4,842,817号および第4,85
7,268号に報告されている最適な組成物である。
【0075】4番目の組成物は、表III で合金48と表
示してある単一の合金中にバナジウム、ニオブおよびタ
ンタルを組合せて含む組成物である。
【0076】表III から明らかなように、参考例14、
15および16でバナジウム、ニオブおよびタンタルを
個別に添加すると、それぞれ、ベースのTiAl合金を
かなり改良することができる。しかし、これらの添加元
素を組合せて単一の合金組成物にしても、個々の改良が
単に加え合されるようにはならない。事実はまったく逆
である。
【0077】まず最初に、個々の合金を焼きなます際に
使用した1350℃という温度で焼きなました合金48
からは、試験片を製造するための機械加工中に破断する
ような脆い材料が得られることが判明した。
【0078】次に、添加元素を組合せて含み1250℃
で焼きなました合金で得られる結果は、個々の添加元素
を含有する別の合金で得られる結果よりひどく劣ってい
る。
【0079】特に、延性に関して、参考例14の合金1
4において延性を大きく改良するのにバナジウムが極め
て有効であったことが明らかである。しかし、参考例1
7の合金48においてバナジウムを他の添加元素と組合
せると、達成されると思われた延性の改良はまったく得
られない。事実、ベース合金の延性は0.1にまで低下
する。
【0080】さらに、耐酸化性に関して、合金40の添
加元素であるニオブは、ベース合金の重量損失が31m
g/cm2 であるのに対して合金40の重量損失が4m
g/cm2 であり、極めて大きな改良を明確に示してい
る。この酸化試験、すなわち耐酸化性の補足試験では、
試験しようとするサンプルを48時間982℃に加熱す
る。サンプルを冷却後酸化物スケールを掻き取る。この
加熱・掻き取りの前後にサンプルを秤量することによっ
て重量差を決定することができる。重量損失(g/cm
2 )は、合計の重量損失(グラム)を試験片の表面積
(平方センチメートル)で割ることによって決定され
る。この酸化試験は、本出願で示した酸化または耐酸化
性の測定すべてに用いたものである。
【0081】タンタルを添加した合金60の1325℃
で焼きなましたサンプルの重量損失は2mg/cm2
決定された。これを再びベース合金の重量損失31mg
/cm2 と比較する。言い換えると、個別の添加では、
添加元素のニオブとタンタルのどちらも、ベース合金の
耐酸化性を改良する際に極めて有効であった。
【0082】しかしながら、表III に挙げた結果から明
らかなように、3種の添加元素バナジウム、ニオブおよ
びタンタルをすべて組合せて含有する参考例17の合金
48では、酸化量がベース合金の約2倍に増大してい
る。このベース合金の酸化量は、添加元素としてニオブ
だけを含有する合金40より7倍大きく、添加元素とし
てタンタルだけを含有する合金60より約15倍大き
い。
【0083】
【表3】 表 III 参考 γ 焼き 破壊 外側繊 98℃48時間 例 合金 組 成 なまし 耐力 強度 維歪み 後重量損失番号 番号 (原子%) 温度(℃) (ksi) (ksi) (%) (mg/cm 2 ) 2 12 Ti52Al48 1250 130 180 1.1 * 1300 98 128 0.9 * 1350 88 122 0.9 31 14 14 Ti49Al48V3 1300 94 145 1.6 27 1350 84 136 1.5 * 15 40 Ti50Al46Nb4 1250 136 167 0.5 * 1300 124 176 1.0 4 1350 86 100 0.1 * 16 60 Ti48Al48Ta4 1250 120 147 1.1 * 1300 106 141 1.3 * 1325 * * * * 1325 * * * 2 1350 97 137 1.5 * 1400 72 92 0.2 * 17 48 Ti49Al45V2Nb2Ta2 1250 106 107 0.1 60 1350 + + + * * 測定せず。 + 材料は試験片製造のための機械加工中に破断。
【0084】個別に添加元素を使用して得られるそれぞ
れの利点または欠点は、これらの添加元素をそれぞれ何
度も繰返して使用したとき信頼性良く再現される。しか
し、添加元素を組合せて使用したとき、その組合せの中
のある添加元素がベース合金中で示す効果は、その添加
元素をそれぞれ単独で同じベース合金に使用したときの
その添加元素の効果と全然異なることがある。たとえば
バナジウムの添加がチタン・アルミニウム組成物の延性
に対して有益であることはすでに発見されており、本出
願人所有の米国特許第4,857,268号に開示さ
れ、考察されている。また、TiAlベースの強度に対
して有益であることが判明している添加元素のひとつが
ニオブである。加えて、すでにのべたマカンドリュー(M
cAndrew)の論文に示されているように、添加元素として
ニオブを単独でTiAlベース合金に添加すると耐酸化
性を改良することができる。同様に、タンタルを個別に
添加しても、耐酸化性の改良に効果があることがマカン
ドリュー(McAndrew)によって教示されている。さらに、
本出願人所有の米国特許第4,842,817号には、
タンタルを添加すると延性が改良されることが開示され
ている。
【0085】言い直すと、バナジウムが単独でγチタン
・アルミニウム化合物の延性を改良するのに有利である
こと、および、タンタルが単独で延性と耐酸化性を改良
する可能性があるということは分かっている。別に、添
加元素のニオブはチタン・アルミニウムの強度特性と耐
酸化特性に有益に寄与する可能性があるということが分
かっている。しかし、この参考例17に示されているよ
うに、バナジウム、タンタルおよびニオブを一緒に使用
して合金組成物中で添加元素として組合せると、その合
金組成物は添加によって改善されることなく、むしろこ
のニオブ、タンタルおよびバナジウム添加元素を含有す
るTiAlの特性は逆に低下したり損なわれたりする。
これは表III のデータから明らかである。
【0086】このことから明らかなように、2種以上の
添加元素が個別にTiAlを改良する場合、それらを一
緒に使用すればTiAlをさらに改良するように思われ
るかもしれないが、それにもかかわらずそのような添加
は極めて予測し難く、事実、添加元素バナジウム、ニオ
ブおよびタンタルの組合せの場合、これらの添加元素を
一緒に使用すると、全体としての性質がいくらかでも向
上することなく、最終的に性質が損なわれることが分か
る。
【0087】しかしながら、上記表III から明らかなよ
うに、バナジウム、ニオブおよびタンタルの添加元素を
組合せて含有する合金は、耐酸化性が参考例2のTiA
lベース合金12よりはるかに劣っている。ここでも、
別々に使用すればある性質を改良する添加元素を組合せ
て含ませると、それらの添加元素を個別に含ませること
によって改良された性質が逆に損なわれることが判明し
た。
【0088】(参考例18〜23)参考 例1〜3に関して上記したようにして、表IVに挙げ
る組成を有するクロム変性アルミ化チタンを含むサンプ
ルをさらに6つ調製した。
【0089】表IVは、いろいろな熱処理条件下で標準合
金と変性合金のすべてについて行なった曲げ試験の結果
をまとめたものである。
【0090】
【表4】 表 IV 焼きな 破壊 外側繊参考 例 γ合金 組 成 まし温 耐力 強度 維歪み番 号 番 号 (原子%) 度(℃) (ksi) (ksi) (%) 2 12 Ti52Al48 1250 130 180 1.1 1300 98 128 0.9 1350 88 122 0.9 18 38 Ti52Al46Cr2 1250 113 170 1.6 1300 91 123 0.4 1350 71 89 0.2 19 80 Ti50Al48Cr2 1250 97 131 1.2 1300 89 135 1.5 1350 93 108 0.2 20 87 Ti48Al50Cr2 1250 108 122 0.4 1300 106 121 0.3 1350 100 125 0.7 21 49 Ti50Al46Cr4 1250 104 107 0.1 1300 90 116 0.3 22 79 Ti48Al48Cr4 1250 122 142 0.3 1300 111 135 0.4 1350 61 74 0.2 23 88 Ti46Al50Cr4 1250 128 139 0.2 1300 122 133 0.2 1350 113 131 0.3
【0091】表IVに挙げた結果もまた、合金化添加元素
またはドープ元素がベース合金に付与される特性に及ぼ
す効果を決定する際の要因の臨界性を証明している。た
とえば、2原子%のクロムを添加した合金80は一組の
良好な性質を示している。このことから、さらにクロム
を添加すればさらに改良されると期待されるかもしれな
い。しかし、3種の異なるTiAl原子比を有する合金
に4原子%のクロムを添加した参考例で立証されたよう
に、低い濃度で有益であることが判明したある添加元素
の濃度を増大させても、あるものが良好な場合それを増
やせばさらに良くなるという単純な理論には従わない。
実際、添加元素のクロムではまったく逆であり、あるも
のが良好な場合それを増やせば悪くなることが立証され
た。表IVから明らかなように、「より多く」(4原子
%)のクロムを含有する合金49、79および88はい
ずれも、ベース合金と比べて強度が劣っており、さらに
外側繊維歪み(延性)も劣っている。
【0092】対照的に、参考例18の合金38は2原子
%の添加元素を含有しており、延性は大幅に改善されて
いるが強度は少しだけ低下している。また、合金38の
測定された外側繊維歪みの値は熱処理条件に応じて大き
く変化していることが分かる。外側繊維歪みが顕著に増
大したのは1250℃で焼きなました場合である。それ
より高い温度で焼きなましたときに観察された歪みは減
少していた。また、添加元素を同じく2原子%しか含ま
ない合金80でも同様な改良が観察されたが、最高の延
性は1300℃の焼きなまし温度で得られた。
【0093】参考例20の合金87では、2原子%のク
ロムを使用しているが、アルミニウムの濃度が50原子
%に増大している。アルミニウム濃度が高いと、アルミ
ニウムが46〜48原子%の範囲でクロムが2原子%の
組成物で測定された延性と比べてやや延性が低下する。
合金87の場合最適の熱処理温度は約1350℃である
ことが判明した。
【0094】各々2原子%の添加元素を含有している
例18、19および20から、最適焼きなまし温度は
アルミニウム濃度の増大と共に高くなることが観察され
た。
【0095】このデータから、1250℃で熱処理した
合金38が最も良好な室温特性の組合せをもっているこ
とが決定された。アルミニウムが46原子%の合金38
で最適な焼きなまし温度は1250℃であったが、48
原子%のアルミニウムを含む合金80の最適焼きなまし
温度は1300℃であったことに注意されたい。合金8
0に関して得られたデータをベース合金のデータと共に
図2にプロットした。
【0096】このような合金38と80の延性がそれぞ
れ1250℃と1300℃の熱処理で顕著に増大するこ
とは、本出願人所有の米国特許第4,842,819号
で説明されているように予期されなかった。
【0097】表IVに挙げたデータから明らかなことは、
TiAl組成物の特性を改良するためのこの組成物の変
性は極めて複雑で予測困難な仕事であるということであ
る。たとえば、明らかに、TiAlの原子比が適当な範
囲内にあって組成物の焼きなまし温度がクロム添加に対
して適当な範囲であれば、2原子%レベルのクロムが組
成物の延性を大幅に増大させる。また、添加元素のレベ
ルを増大することによって特性改良の効果が大きくなる
と期待されるかもしれないが、2原子%レベルで達成さ
れる延性の増大はクロムを4原子%レベルまで挙げたと
きに逆に失われるのであるから、事実はまったく逆であ
ることも表IVのデータから明らかである。さらに、4%
レベルでは、チタンとアルミニウムの原子比を広範囲に
変えるにしても、また高濃度の添加元素の添加に付随す
る特性の変化を試験・研究する際に充分広範囲の焼きな
まし温度を使用するにしても、TiAlの特性改良に有
効ではないことが明らかである。
【0098】(参考例24) 次の組成 Ti52Al46Cr2 をもつ合金サンプルを調製した。
【0099】この合金のテストサンプルを2つの異なる
製法で製造し、各サンプルの特性を引張り試験で測定し
た。使用した方法と得られた結果を下記表Vに示す。
【0100】
【表5】 表 V 焼きな 引張 塑性参考 例 合金 組 成 まし温 耐力 強さ 伸び番 号 番号 (原子%) 加工法 度(℃) (ksi) (ksi) (%) 18' 38 Ti52Al46Cr2 急速凝固法 1250 93 108 1.5 24 38 Ti52Al46Cr2 鋳造・鍛造 1225 77 99 3.5 インゴット 1250 74 99 3.8 冶金法 1275 74 97 2.6
【0101】表Vには、2つの参考例18′と24に従
ってそれぞれの合金を形成するために異なる2つの合金
製造法を使用して調製した合金サンプル38に対する結
果を挙げた。さらに、参考例18′の合金38から調製
した金属試験片、またこれとは別に参考例24の合金3
8から調製した金属試験片については、前の参考例の試
験片に対して使用した試験法とは異なる試験法を使用し
た。
【0102】さて、最初に参考例18′について、この
合金は参考例1〜3に関して上記した方法によって調製
した。これは急速凝固および圧密法である。さらに、
例18′では、すでに挙げた表に記載した他のデー
タ、特に上記表IVの参考例18のデータをとる際に使用
した4点曲げ試験も実施しなかった。代わりに使用した
試験法は、より一般的な引張り試験であった。この方法
では、金属サンプルを引張り試験棒として調製し、引張
り試験機にかけ、金属が伸びて最終的に破断するまで試
験棒を引張る。たとえば、再び表Vの参考例18′を例
にとると、合金38を引張り試験棒に製造し、この試験
棒を引張ったところ93ksiで降伏した、すなわち伸
びきった。
【0103】引張り試験棒で測定した表Vの参考例1
8′の降伏強さ(耐力)(ksi)は、4点曲げ試験で
測定した表IVの参考例18の耐力(ksi)に匹敵して
いる。一般に、冶金分野の習慣では、引張り試験棒で決
定した耐力の方が工学目的により普通に使用され、より
広く受入れられている尺度である。
【0104】同様に、108ksiの引張り強さは表V
参考例18′の試験棒を引張った結果これが破断した
ときの強さを表わしている。この値は、表IVの参考例1
8の破壊強度(ksi)と参照される。2つの異なる試
験によって、すべてのデータに対して2つの異なる測定
値が得られることは明らかである。
【0105】次に、塑性伸びに関しても、参考例18に
対して上記表IVに挙げたような4点曲げ試験で決定され
る結果と、参考例18′に対して表Vの一番右側の欄に
挙げた塑性伸び(%)との間に、ある相関が存在する。
【0106】ここで再び表Vを参照すると、参考例24
は、「加工法」の欄に、鋳造・鍛造インゴット冶金法に
よって調製したと示してある。本明細書で使用するこの
「鋳造・鍛造インゴット冶金法」では、表Vに示した
例18′に対する割合に正確に対応する割合で合金3
8の成分を融解させる。別の言い方をすると、参考例1
8′と参考例24の合金38の組成は互いに同一であ
る。2つの参考例の違いは、参考例18′の合金が急速
凝固法で調製され、参考例24の合金が鋳造・鍛造イン
ゴット冶金法で調製されたということである。繰返す
が、鋳造・鍛造インゴット冶金法では、成分を融解さ
せ、その成分をインゴットに凝固させた後鍛造する。急
速凝固法では、メルトスピニング(溶融紡糸)法によっ
てリボンを形成した後そのリボンを圧密化して充分に緻
密で一体となった金属サンプルにする。
【0107】参考例24の鋳造・鍛造インゴット融解法
では、直径が約2″で厚みが約1/2″のほぼホッケー
パックの形をしたインゴットを製造する。このホッケー
パック状のインゴットを融解・凝固させた後、インゴッ
トを壁厚が約1/2″で高さがホッケーパック状インゴ
ットの厚さに等しいスチール環体内に封入した。このホ
ッケーパック状インゴットは、保持リング内に封入する
前に1250℃に2時間加熱して均質化した。このホッ
ケーパックと収容リングとを一体にして約975℃の温
度に加熱した。加熱したサンプルと収容リングを鍛造し
て元の厚みのほぼ半分の厚みにした。この手順を本明細
書では鋳造・鍛造プロセスという。
【0108】試験片の鍛造と冷却の後、参考例18′で
製造した引張り試験片に相当する引張り試験片を製造し
た。これらの引張り試験片を参考例18′で使用したの
と同じ通常の引張り試験にかけ、得られた耐力、引張り
強さおよび塑性伸びの測定値を表Vに参考例24として
挙げた。表Vの結果から明らかなように、個々のテスト
サンプルは実際の引張り試験に先だっていろいろな焼き
なまし温度で処理した。
【0109】表Vの参考例18′で引張り試験片に対し
て使用した焼きなまし温度は1250℃である。表Vの
参考例24で合金38の3つのサンプルは、それぞれ表
Vに示した3つの異なる温度、すなわち、1225℃、
1250℃および1275℃で焼きなました。この焼き
なまし処理をほぼ2時間行なった後、サンプルを通常の
引張り試験にかけた。結果は表Vで3つの別々に処理し
た引張り試験片に対して示した。
【0110】ここで再び表Vに挙げた試験結果をみると
明らかなように、急速凝固した合金の耐力は、鋳造・鍛
造インゴット法で処理した金属試験片の耐力より少し高
い。また、一般に、鋳造・鍛造インゴット冶金法で調製
したサンプルは塑性伸びが高いことから、急速凝固法で
調製したサンプルより高い延性をもつということも明ら
かである。参考例24の結果が立証しているように、耐
力の測定値は参考例18′より多少低いとはいっても
例24のサンプルは航空機エンジンやその他多くの産
業用途には充分に適している。しかし、表Vに示した延
性の測定結果によると、鋳造・鍛造インゴット冶金法で
調製した合金38は延性が改善されるので、より高い延
性を必要とする用途に極めて望ましいユニークな合金で
ある。
【0111】一般的に、鋳造・鍛造インゴット冶金法に
よる加工は、費用のかかるメルトスピニングステップそ
のものを必要としないし、メルトスピニングに続く圧密
化ステップも必要としないので、メルトスピニングまた
は急速凝固による加工よりずっと安価であることはよく
知られている。
【0112】(参考例25) 本質的に参考例24に記載した鋳造・鍛造インゴット冶
金法によって合金のサンプルを調製した。このメルトの
成分は次式に合致していた。 Ti48Al48Cr2 Si2
【0113】これらの成分からメルトを形成し、そのメ
ルトを鋳造してインゴットにした。
【0114】このインゴットの寸法は直径が約2イン
チ、厚さが約1/2インチであった。
【0115】インゴットを2時間1250℃に加熱して
均質化した。
【0116】ほぼホッケーパックの形をしているこのイ
ンゴットの側面を、壁厚が約1/2インチで高さがホッ
ケーパックインゴットの高さと同じ環状のスチールバン
ドで包んだ。
【0117】このホッケーパックインゴットと環状保持
リングの全体を約975℃の温度に加熱した後、この温
度で鍛造した。鍛造の結果、ホッケーパックインゴット
と環状の保持リングの厚さは元の厚さの半分になった。
【0118】鍛造したインゴットを冷却した後、インゴ
ットの機械加工により3つの異なる熱処理用に3つのピ
ンを作成した。この3つの異なるピンを、それぞれ下記
表VIに示す3つの異なる温度で2時間焼きなました。こ
の焼きなましの後3つのピンを1000℃で2時間時効
処理した。
【0119】焼きなましと時効の後、各ピンを機械加工
して普通の引張り試験棒を作成し、得られた3つの試験
棒に対して通常の引張り試験を実施した。引張り試験の
結果を表VIに示す。
【0120】
【表6】 表 VI 合金の引張り特性と耐酸化性 室温引張り試験 参考 γ 焼きな 破 壊 塑 性 例 合金 組 成 まし温 耐力 強 度 伸 び番号 番号 (原子%) 度(℃) (ksi) (ksi) (%) 2A* 12A Ti52Al48 1300 54 73 2.6 1325 50 71 2.3 1350 53 72 1.6 25 156 Ti52Al44Cr2Si2 1300 79 98 1.7 1325 74 101 2.6 1350 80 107 2.6* 参考 例2Aは使用した合金の組成の点では前記参考
2に相当する。しかし、参考例2Aの合金12Aは、
例2の合金12の場合の急速凝固法ではなく、鋳造・
鍛造インゴット冶金法で調製した。引張り特性と伸び特
性は、参考例2の合金12に対して使用した4点曲げ試
験ではなく、引張り試験棒法で試験した。
【0121】表から明らかなように、合金156の3つ
のサンプルは、3つの異なる温度、すなわち1300
℃、1325℃および1350℃でそれぞれ別個に焼き
なました。これらのサンプルの耐力はベース合金12よ
り大幅に改善された。たとえば、1325℃で焼きなま
したサンプルは耐力が約48%向上し、破壊強度が約4
2%向上した。この強度の向上に伴って延性が失われる
ことはなく、実際には約13%向上もした。
【0122】大きく改良された強度と適度に改良された
延性を考え合わせるとこのγアルミ化チタン組成物は極
めてユニークである。この組成物は本出願人の米国特許
第5,045,406号の主題である。
【0123】(参考例25B) 上記参考例25では鋳造・鍛造法によって合金を調製し
た。このグループの合金例の合金は別の加工法、すなわ
ち鋳造・HIP法によって調製した。すなわち、各合金
を銅製の炉床内で電気アークによって別々に融解させ、
炉床内で凝固させた。得られたインゴットを切断してバ
ーにし、これらのバーを45ksiの圧力下1050℃
で3時間それぞれHIP(熱間静水圧プレス)した。次
に、これらのバーをそれぞれ、1200〜1400℃の
範囲の温度で2時間のいろいろな熱処理にかけた。こう
して熱処理したバーから引張り試験片を作成し、耐力、
破壊強度および塑性伸びを測定した。この参考例の合金
の組成と通常の引張り試験で決定した性質を下記表VII
に示す。
【0124】
【表7】 表 VII 鋳造・HIP加工法によって形成した合金の組成と特性 焼きな 破 壊 塑 性参考 例 γ合金 組 成 まし温 耐力 強 度 伸 び番 号 番 号 (原子%) 度(℃) (Ksi) (ksi) (%) 2B* 12 Ti-48 Al 1250 54 72 2.0 1275 51 66 1.5 1300 56 68 1.3 1325 53 72 2.1 1350 58 70 1.0 25B 156 Ti-44 Al-2Cr-2Si 1300 83 93 0.7 1325 92 103 1.1 1350 97 114 1.7* 参考 例2Bと25Bは使用した合金の組成の点では前
参考例2Aと25に相当する。しかし、鋳造および鍛
造によって加工した前記参考例と異なり、この参考例で
は鋳造したインゴットを鍛造することなくHIPによっ
て加工した。
【0125】表VII は、鋳造・HIP加工法によって調
製した二組の合金に対するデータを含んでいる。参考
2Bは、前記表Iに示してあるように、二元合金Ti−
48Alである合金12に関するものである。これは前
記の表で示した基準合金である。表VII の参考例2Bを
表VIの参考例2Aと比較すると明らかなように、参考
2Bの合金12は表VIの参考例2Aとほぼ同じ耐力を示
しており、また延性が低下している。
【0126】参考例25Bも表VIの参考例25と比較で
きる。この比較から明らかなように、参考例25Bは強
度が増大しているが延性が低下している。
【0127】参考例2Bに対する表VII のデータを参考
例25Bと対照してさらに比較すると明らかなように、
参考例25Bの合金はケイ素が存在するため強度が増大
しているがアルミ化チタン合金の延性は保持されてい
る。
【0128】(参考例26〜29) 鋳造・HIP加工法によってさらに4つのサンプルを調
製した。これらの参考例の合金の組成と測定した特性を
下記表VIIIに示す。
【0129】
【表8】 表 VIII 鋳造・HIP加工法によって調製した合金の組成と特性 焼きなま 破 壊 塑 性参考 例 合金 組 成 し温度 耐力 強 度 伸 び番 号 番号 (原子%) (℃) (ksi) (ksi) (%) 26 302 Ti-43Al-2Cr-2Si 1275 84 91 0.4 1300 79 86 0.4 1325 78 81 0.3 25B 156 Ti-44Al-2Cr-2Si 1300 83 93 0.7 1325 92 103 1.1 1350 97 114 1.7 27 303 Ti-45Al-2Cr-2Si 1300 68 78 0.7 1325 66 82 1.3 1350 50 54 0.4 28 236 Ti-42Al-2Cr-4Si 1300 95 115 1.1 1325 96 112 0.7 1350 98 107 0.5 29 302 Ti-43Al-2Cr-4Si 1275 70 78 0.5 1300 72 87 0.9 1325 66 71 0.4 1350 71 82 0.7
【0130】表VIIIの参考例26〜29と25Bの合金
は、参考例25Bに関して前記した鋳造・HIP加工法
によって調製した。この参考例のデータは、これらの合
金の特性がアルミニウム濃度に対して敏感であることを
示している。すなわち、表VIIIの最初の3つの参考例で
は、アルミ化チタン中のクロムが2原子%、ケイ素が2
原子%であり、アルミニウム濃度が参考例26で43原
子%、参考例25Bで44原子%、そして参考例27で
は45原子%である。これらの3つの組成物に対して測
定した強度と延性の比較から明白なように、アルミニウ
ム濃度が参考例26の43原子%から参考例25Bの4
4原子%に増えると、強度が大きく増大すると共に延性
も増大する。
【0131】また、アルミニウム濃度が参考例25Bの
44原子%から参考例27の45原子%になると強度が
低下することも明らかである。さらに、この変化と共に
延性も明らかに低下することがある。このデータは、こ
れらの合金におけるアルミニウム濃度に対する極めて鋭
い感受性を立証している。
【0132】さらに、ケイ素を2原子%含む最初の3つ
の組成物で得られた結果と、ケイ素を4原子%含む後の
2つの参考例28と29で得られた結果およびデータと
を比較すると明らかなように、ケイ素を4原子%含む組
成物は、全体的な意味で、ケイ素を2原子%含む組成物
と比べて優れているとはいえない。
【0133】さらにまた、参考例28と29に対して挙
げたデータから明らかなように、 例29の合金は
例28の合金より強度が低く延性も低いので、参考
28の組成物は参考例29の組成物より優れている。
【0134】以上のことから、参考例25Bの合金15
6と参考例28の合金236は表VIIIに挙げたデータの
中で最も良好な合金であることが明らかである。さら
に、最良の組成物は、アルミニウム成分とケイ素成分の
原子%の合計が46原子%である組成物である。これら
の組成物は本出願人の米国特許第5,045,406号
の主題である。
【0135】(実施例1〜4および参考例34) 鋳造・HIP加工法によってさらに5つのサンプルを調
製し、これらの合金の強度と延性の特性を通常の引張り
試験によって決定した。これらの試験の結果を下記表IX
に示す。実施例1〜3が本願第1発明に属し、実施例4
が本願第2発明に属する。
【0136】
【表9】 表 IX 鋳造・HIP加工法によって調製した合金の組成と特性 焼きな 破 壊 塑 性実施 例 合金 組 成 まし温 耐力 強 度 伸 び番 号 番号 (原子%) 度(℃) (ksi) (ksi) (%) 1 251 Ti-44Al-2Cr 1225 82 89 0.4 -4Nb-2Si 1250 84 87 0.2 1275 74 88 0.7 1300 72 82 0.5 2 351 Ti-45Al-2Cr 1225 87 100 0.8 -2Si-4Nb 1250 86 106 1.6 1275 76 92 1.0 1300 71 89 1.1 3 288 Ti-42Al-2Cr 1275 74 75 0.2 -4Si-4Nb 1300 68 80 0.5 1325 69 82 0.6 4 267 Ti-45Al-2Cr 1250 83 94 0.7 -2Si-4Nb-0.1C 1275 79 92 1.0 1300 82 97 1.3 1325 82 91 0.7 参考例 34 239 Ti-44Al-2Cr 1250 70 74 0.3 -2Si-3Ta 1300 - 75 0.2 1350 - 86 0.1 1400 72 86 0.6
【0137】これらの実施例1〜3、実施例4および参
考例34の合金はすべて、参考例25Bに関して上記し
た鋳造・HIP加工法によって調製した。この組のベ
ス合金は、クロムとケイ素の添加元素を含むアルミ化チ
タンである。この組の合金と前記の合金との違いは、添
加元素としてさらにニオブ、またはニオブと炭素、また
はタンタルを添加したことである。ニオブとタンタルの
添加元素は耐酸化性を改良することが知られている。添
加元素のタンタルはまた耐クリープ性も改良することが
知られている。これらの知見は本出願人の米国特許第
4,879,092号および第5,028,491号に
記載されている。
【0138】しかし、表IXに挙げたデータから分かるよ
うに、これらの合金の機械的性質は、アルミニウム濃度
に対して、また添加元素のケイ素およびタンタルの存在
に対して極めて敏感である。
【0139】表IXに示したデータから明らかなように、
実施例2および実施例4の合金のみが良好な機械的性質
をもっていた。これらの性質としては、極めて高い強度
と適度な延性の組合せがある。44原子%のアルミニウ
ムと添加元素のクロム、ニオブおよびケイ素を含む実施
例1の合金251は延性の値が低い。実施例3の合金2
88と参考例34の合金239はアルミニウム含量が低
く、合金288は42原子%のアルミニウムと共に添加
元素のクロム、ケイ素およびニオブを組合せて有し、合
金239は44原子%のアルミニウムと共に添加元素の
クロム、ケイ素およびタンタルを組合せて有しており、
これらの合金の各々は延性が許容できないほど低い。し
かし、45原子%のアルミニウムと共に添加元素のクロ
ム、ケイ素およびニオブを組合せて含む実施例2の合金
351は極めて高い強度と許容できる適度な延性をもっ
ている。
【0140】表IXのデータに立証されているように、ア
ルミニウムの濃度は合金の性質に非常に強い影響を示す
が、約42〜46原子%のアルミニウム濃度で望ましい
性質の組を達成することができる。
【0141】また、表IXに挙げたデータから、参考例3
4の合金239は、実施例2、3および実施例4の合金
より通常劣ったデータ値を示すことも分かる。特に、1
300℃と1350℃で焼きなました合金239の耐力
は非常に低く、サンプルの耐力を得ることはできなかっ
た。対照的に、実施例2、3の合金は、塑性伸びのデー
タが良好であるばかりでなく、通常高めの強度値をもっ
ていた。その結果、強度特性と延性特性の望ましい組合
せを追及する場合、組成物中のニオブの存在を重要視
し、組成物中のタンタル成分の存在を重視しないのが一
般に望ましい。
【0142】また実施例4の合金267は45原子%
のアルミニウムと添加元素のクロム、ケイ素、ニオブお
よび炭素を組合せて有しており、大きな強度と許容でき
る程度の延性とを組合せて有している。すなわち、実施
例2、3と同様に、実施例4のの合金は、塑性伸びのデ
ータが良好であるばかりでなく、通常高めの強度値をも
っていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の新規な合金組成物と基準合金の比較デ
ータを示す棒グラフである。
【図2】4点曲げ試験にかけた異なる化学量論のTiA
l組成物とTi50Al48Cr2に対する荷重(ポンド)
とクロスヘッド変位(ミル)の関係を示すグラフであ
る。
【図3】一群の合金に対してモジュラスと温度の関係を
示すグラフである。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 14/00 C22F 1/18

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の原子比: Ti−Al42-46 Cr2 Si1-4 Nb2-6 のチタン、アルミニウム、ニオブ、クロムおよびケイ素
    から本質的になるチタン・アルミニウム合金の鋳造品。
  2. 【請求項2】 次の原子比: Ti−Al42-46 Cr2 Si2 Nb4 のチタン、アルミニウム、ニオブ、クロムおよびケイ素
    から本質的になるチタン・アルミニウム合金の鋳造品。
  3. 【請求項3】 Ti−Al42-46 Cr 2 Si1-4 Nb
    2-6 の原子比で本質的になるチタン・アルミニウム合金
    を鋳造し、次いで熱間静水圧プレスを行うことからなる
    チタン・アルミニウム合金鋳造品の製法。
  4. 【請求項4】 熱間静水圧プレスの後で、1250〜1
    350℃の熱処理を行う請求項記載の製法。
  5. 【請求項5】 次の原子比: Ti−Al42-46 Cr2 Si2 Nb2-6 のチタン、アルミニウム、ニオブ、クロムおよびケイ素
    から本質的になるチタン・アルミニウム合金から形成さ
    れた、高温・高強度で使用する構造部材。
  6. 【請求項6】 ジェットエンジンの構造部品である、請
    求項記載の構造部材。
  7. 【請求項7】 次の原子比: Ti−Al 45 Cr 2 Si 2 Nb 4 0.1 のチタン、アルミニウム、ニオブ、クロム、ケイ素およ
    び炭素から本質的になるチタン・アルミニウム合金の鋳
    造品。
  8. 【請求項8】 Ti−Al 45 Cr 2 Si 2 Nb 4 0.1
    の原子比で本質的になるチタン・アルミニウム合金を鋳
    造し、次いで熱間静水圧プレスを行うことか らなるチタ
    ン・アルミニウム合金鋳造品の製法。
  9. 【請求項9】 熱間静水圧プレスの後で、1250〜1
    350℃の熱処理を行う請求項8記載の製法。
  10. 【請求項10】 次の原子比: Ti−Al 45 Cr 2 Si 2 Nb 4 0.1 のチタン、アルミニウム、ニオブ、クロム、ケイ素およ
    び炭素から本質的になるチタン・アルミニウム合金から
    形成された、高温・高強度で使用する構造部材。
  11. 【請求項11】 ジェットエンジンの構造部品である、
    請求項10記載の構造部材。
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