JP2857195B2 - 触媒組成物 - Google Patents

触媒組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明はパラジウム化合物とリン二座配位子との錯体
を基材とする触媒組成物に係る。本発明の触媒組成物
は、一酸化炭素と1種以上のオレフィン系不飽和化合物
とのポリマーを製造するための適当な触媒として使用さ
れ得る。
一酸化炭素に由来の単位と対応するオレフィン系不飽
和化合物に由来の単位とが交互に配列された一酸化炭素
と1種以上のオレフィン系化合物との線状ポリマーの公
知の製造方法では、二ハロゲン化パラジウムと一般式R1
R2P-R-PR3R4〔式中、互いに同じまたは夫々に異なる
R1、R2、R3及びR4は極性置換されるかまたは未置換のヒ
ドロカルビル基、Rは架橋中に少なくとも2つの炭素原
子を含む二価の有機架橋基〕で示されるリン二座配位子
との錯体と基材とする触媒組成物をモノマーと接触させ
る。
これらの触媒組成物に関する研究に基づいて出願人
は、二ハロゲン化パラジウム/リン二座配位子錯体中の
パラジウム結合ハロゲン原子の1つを炭化水素基で置換
すると該触媒組成物の活性が顕著に増進することを知見
した。従って出願人は、パラジウム結合ハロゲン原子の
1つを炭化水素基で置換させる方法の研究にも着手し
た。最初のうちは期待したような結果が得られなかっ
た。所望の置換を生起するために、二ハロゲン化パラジ
ウム含有錯体とハロゲン化ヒドロカルビルマグネシウ
ム、ヒドロカルビルリチウム化合物またはジ(ヒドロカ
ルビル)亜鉛化合物とを反応させた試験ではいずれも、
両方のハロゲン原子が炭化水素基で置換された。更に研
究を進めた結果、前記の二ハロゲン化パラジウム/リン
二座配位子錯体中のパラジウム結合ハロゲン原子の1つ
だけを炭化水素基で置換させる方法を開発することに成
功した。この方法は、上記の一般式を満足させるリン二
座配位子を含む二ハロゲン化パラジウム/リン二座配位
子錯体中に存在するパラジウム結合ハロゲン原子の1つ
を置換させるために使用されるだけでなく、より広汎
に、式M-R5‐M〔式中、R5は架橋基を示し、基Mはリ
ン、イオウ、窒素、ヒ素、アンチモン及びC=Cから選
択される〕を有する二座配位子を含む二ハロゲン化パラ
ジウム/二座配位子錯体に応用できることも知見され
た。これらの二座配位子が二ハロゲン化パラジウムと錯
体を形成するとき、二座配位子とパラジウム原子との結
合は、二座配位子中に存在する2つの基Mを介して形成
される。本発明の方法では、二ハロゲン化パラジウム/
リン二座配位子錯体中に存在するハロゲン原子の1つを
置換するために、錯体と、4つのスズ結合基を含み該ス
ズ結合基の3つが同じまたは異なるヒドロカルビル基で
あり第4のスズ結合基がヒドロカルビル基または水素ま
たはハロゲン原子であるようなスズ化合物とを反応させ
る。一般式R1R2P-R-PR3R4を有するリン二座配位子を含
む二ハロゲン化パラジウム/リン二座配位子錯体にこの
方法を使用したときは、本発明の触媒組成物で使用でき
る適当なハロゲン化ヒドロカルビルパラジウム/リン二
座配位子錯体が得られる。上記の一般式をもたない二座
配位子を含む二ハロゲン化パラジウム/二座配位子錯体
にこの方法を使用するときは、ハロゲン化ヒドロカルビ
ルパラジウム/二座配位子錯体をまず形成させ、この錯
体と一般式R1R2P-R-PR3R4の化合物とを反応させると所
望のハロゲン化ヒドロカルビルパラジウム/リン二座配
位子錯体が容易に得られる。
ハロゲン化ヒドロカルビルパラジウムと一般式R1R2P-
R-PR3R4のリン二座配位子錯体とを含む触媒組成物は新
規である。二ハロゲン化パラジウムと式M-R5‐Mを有す
る二座配位子との錯体を前記のごときスズ化合物を反応
させ、得られた錯体が一般式R1R2P-R-PR3R4を満足させ
ない二座配位子を含有する場合には次いで一般式R1R2P-
R-PR3R4のリン二座配位子と反応させることによって錯
体を更に変換するハロゲン化ヒドロカルビルパラジウム
/二座配位子の製造方法も新規である。
従って本発明は、ハロゲン化ヒドロカルビルパラジウ
ムと一般式R1R2P-R-PR3R4のリン二座配位子との錯体を
基材とする新規な触媒組成物に係る。本発明はまた、一
酸化炭素と1種以上のオレフィン系不飽和化合物とのポ
リマーの製造におけるこれらの触媒組成物の使用、及び
製造されたポリマー、及び少なくとも一部がこれらのポ
リマーから成る成形品に係る。本発明は最後に、二ハロ
ゲン化パラジウムと対応二座配位子との錯体と、4つの
スズ結合基を含み該スズ結合基の3つが同じまたは異な
るヒドロカルビル基であり第4のスズ結合基がヒドロカ
ルビル基または水素またはハロゲン原子であるようなス
ズ化合物とを反応させるハロゲン化ヒドロカルビルパラ
ジウムと式M-R5‐Mを有する二座配位子との錯体の製造
方法に係る。得られた錯体が一般式R1R2P-R-PR3R4を満
足させない二座配位子を含む場合には、一般式R1R2P-R-
PR3R4のリン二座配位子と反応させることによって錯体
を更に変換する。
一般式R1R2P-R-PR3R4のリン二座配位子中で、基R1、R
2、R3及びR4は同じ基であるのが好ましい。本発明に極
めて適したリン二座配位子は、上記一般式中の基R1
R2、R3及びR4が未置換フェニル基を示すもの、及び、基
R1、R2、R3及びR4が少なくとも1つのアルコキシ基を含
み該アルコキシ基の少なくとも1つがフェニル基に結合
したリン原子に対してオルト位に存在するようなフェニ
ル基を示すものである。リン二座配位子中に存在する架
橋基Rは、架橋中に3つの炭素原子を含むのが好まし
い。適当な架橋基Rの例は、−CH2‐CH2‐CH2−基、CH2
‐C(CH3)2‐CH2−基及び−CH2‐Si(CH3)2‐CH2−基であ
る。錯体中に存在するハロゲン化ヒドロカルビルパラジ
ウムは好ましくは塩化メチルパラジウムである。
前述のごとく、ハロゲン化ヒドロカルビルパラジウム
と式M-R5‐Mを有する二座配位子との錯体を製造するた
めに、二ハロゲン化パラジウムと適当な二座配位子との
錯体を前記のごときスズ化合物と反応させる。出発錯体
が一般式R1R2P-R-PR3R4を満足させる二座配位子を含む
錯体である場合は、本発明の触媒組成物に使用するのに
適した錯体が得られる。出発錯体が別の二座配位子を含
む錯体である場合は、生成した錯体を一般式R1R2P-R-PR
3R4の二座配位子と反応させることによって、本発明の
触媒組成物として適当に使用できる錯体を得る。方法の
出発材料として使用される化合物中で二ハロゲン化パラ
ジウムとの錯体を形成し得る別の二座配位子の例は、M
が窒素を示す二座配位子、例えば2,2−ビピリジン及び
1,10−フェナントロリン、Mがリンを示す二座配位子、
例えばビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、Mがイオ
ウを示す二座配位子例えば1,3−ビス(フェニルチオ)
プロパン、MはC=Cを示す二座配位子例えばシクロオ
クタジエン−1,5及びノルボルナジエン、Mがヒ素を示
す二座配位子例えば1,3−ビス(ジフェニルアルシノ)
プロパンである。方法の出発錯体中の二ハロゲン化パラ
ジウムが二塩化パラジウムであるのが好ましい。パラジ
ウム結合ハロゲン原子の1つをヒドロカルビル基で置換
するために本発明方法で使用されるスズ化合物中のスズ
結合基の1つが水素またはハロゲン原子でもよい。この
例は水素化トリブチルスズまたは塩化トリメチルスズで
ある。4つのスズ結合基の全部がヒドロカルビル基であ
るようなスズ化合物が好ましく、これらの基が同じであ
る化合物が特に好ましい。適当なスズ化合物の例は、テ
トラメチルスズ、テトラエチルスズ、テトラネオペンチ
ルスズ、テトラベンジルスズ、トリメチルフェニルスズ
及びトリメチルベンジルスズである。4つのスズ結合基
の全部が同じアルキル基であるようなスズ化合物例えば
テトラメチルスズの使用が好ましい。
本発明の触媒組成物を用いた重合方法は、ポリマーが
不溶または実質的に不溶な希釈剤中の触媒組成物の溶液
とモノマーとを接触させるのが好ましい。特に適当な希
釈剤は、低級アルコール例えばメタノールである。所望
ならば気相中で重合を行なってもよい。本発明の触媒組
成物の存在下に一酸化炭素と適当に重合し得るオレフィ
ン系不飽和化合物は、炭素と水素とだけから成る化合
物、及び、炭素と水素との他に1つ以上のヘテロ原子を
含む化合物である。本発明の触媒組成物は一酸化炭素と
1種以上のオレフィン系不飽和炭化水素とのポリマーの
製造に使用されるのが好ましい。適当な炭化水素モノマ
ーの例は、エテン及びその他のαオレフィン類、例えば
プロペン、ブテン−1、ヘキセン−1及びオクテン−1
である。本発明の触媒組成物は、一酸化炭素とエテンと
のコポリマーの製造、及び一酸化炭素とエテンとその他
のαオレフィン特にプロペンとのターポリマーの製造に
特に適当である。
ポリマー製造の際の触媒溶液の使用量は広い範囲内で
選択できる。重合すべきオレフィン系不飽和化合物1モ
ル当たりの触媒使用量は、好ましくは10-7〜10-3モル、
特に好ましくは10-6〜10-4のパラジウム含量に相当する
量である。
ポリマーの製造には、温度75℃以下、圧力2〜150バ
ール、特に温度50℃以下、圧力5〜100バールを用いる
のが好ましい。重合すべき混合物中のオレフィン系不飽
和化合物対一酸化炭素のモル比は好ましくは10:1〜1:1
0、特に好ましくは5:1〜1:5である。
次に本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例1 塩化メチルパラジウムと2,2−ジメチル−1,3−ビス
(ジフェニルホスフィノ)−2−シラプロパンとの等モ
ル錯体を以下の手順で調製した。10mlのジクロロメタン
と10mlのメタノールとの混合物中の二塩化パラジウムと
2,2−ジメチル−1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)−
2−シラプロパンとの等モル錯体2mmolの懸濁液に4mmol
のテトラメチルスズを添加した。室温で2時間攪拌後、
減圧下に反応混合物から溶媒を留去した。毎回5mlのジ
エチルエーテルを用いて残渣を3回洗浄し、室温で減圧
下に乾燥した。塩化メチルパラジウムと2,2−ジメチル
−1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)−2−シラプロ
パンとの等モル錯体1.15gが得られた。
実施例2 塩化メチルパラジウムと2,2−ジメチル−1,3−ビス
(ジフェニルホスフィノ)プロパンとの等モル錯体を以
下の手順で調製した。50mlのジクロロメタンと50mlのメ
タノールとの混合物中の二塩化パラジウムと2,2−ジメ
チル−1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンと
の等モル錯体2mmolの懸濁液に4mmolのテトラメチルスズ
を添加した。アルゴン雰囲気下に3時間還流後、減圧下
に反応混合物から溶媒を留去した。残渣を5mlのジクロ
ロメタンに溶解し、溶液に25mlのジエチルエーテルを添
加した。得られた固体を別し、5mlのジエチルエーテ
ルを用いて洗浄し、室温で減圧下に乾燥した。塩化メチ
ルパラジウムと2,2−ジメチル−1,3−ビス(ジフェニル
ホスフィノ)プロパンとの等モル錯体0.95gが得られ
た。
実施例3 一酸化炭素/エテンコポリマーを以下の手順で調製し
た。容量250mlの攪拌オートクレーブに、100mlのメタノ
ールと、実施例1で調製した塩化メチルパラジウムと2,
2−ジメチル−1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)−2
−シラプロパンとの等モル錯体0.1mmolとを含む触媒溶
液を充填した。オートクレーブ中に残存する空気を排気
によって完全に除去し、一酸化炭素/エテンの1:1混合
物を圧力40バールになるまで吹込んだ。室温で1.5時間
攪拌後、圧力を解除して重合を停止させた。形成された
ポリマーを別し、メタノールで洗浄し、室温で減圧下
に乾燥した。1.2gのコポリマーが得られた。重合速度は
75gコポリマー/1gパラジウム/時であった。
実施例4 以下の違い以外は実施例3と実質的に同様の方法で一
酸化炭素/エテンコポリマーを調製した。
(a)使用した触媒溶液は、実施例2で調製された塩化
メチルパラジウムと2,2−ジメチル−1,3−ビス(ジフェ
ニルホスフィノ)プロパンとの等モル錯体をパラジウム
錯体として含んでいた。
(b)反応時間を1.5時間でなく4時間にした。
1.5gのコポリマーが得られた。重合速度は35gコポリ
マー/1gパラジウム/時であった。
実施例5 パラジウム錯体として塩化メチルパラジウムでなく二
塩化パラジウムを含む触媒溶液を使用して実施例3と実
質的に同じ手順で処理した。重合は全く生起しなかっ
た。
実施例6 パラジウム錯体として塩化メチルパラジウムでなく二
塩化パラジウムを含む触媒溶液を使用して実施例4と実
質的に同じ手順で処理した。重合は全く生起しなかっ
た。
実施例7 以下の違い以外は実施例3と実質的に同様の方法で一
酸化炭素/エテンコポリマーを調製した。
(a)触媒溶液は、二塩化パラジウムと1,3−ビス(ジ
フェニルホスフィノ)プロパンとの等モル錯体0.1mmol
をパラジウム錯体として含んでいた。
(b)反応温度を室温でなく110℃にした。
(c)反応時間を1.5時間でなく2時間にした。
1.5gのコポリマーが得られた。重合速度は70gコポリ
マー/1gパラジウム/時であった。
実施例1〜7のうち、実施例1〜4が本発明を用いた
実施例である。実施例1及び2においては錯体とテトラ
メチルスズとを反応させることによって、二塩化パラジ
ウムとリン二座配位子との錯体中の塩素原子の1つをメ
チル基で置換させた。実施例3及び4においては、この
ように得られたパラジウム錯体を一酸化炭素とエテンと
のコポリマーの製造で触媒として使用した。触媒として
二塩化パラジウムとリン二座配位子との錯体を使用した
実施例5〜7は、本発明ではなく比較例である。二ハロ
ゲン化パラジウムとリン二座配位子との錯体を基材とす
る触媒組成物のハロゲン原子の1つを炭化水素基で置換
することによって得られる活性増加は、実施例5及び6
で得られた結果と実施例3及び4で得られた結果との比
較によってはっきりと証明される(重合速度は0から75
g及び30gコポリマー/1gパラジウム/時に増加する)。
この活性増加はまた、実施例3と実施例7との結果の比
較によっても証明される。塩化メチルパラジウムとリン
二座配位子との錯体を含む触媒組成物を使用した実施例
3では、75gコポリマー/1gパラジウム/時の重合速度が
室温で得られる。塩化メチルパラジウム錯体の代わりに
二塩化パラジウム錯体を含む触媒組成物を使用した実施
例7では、同等の(70g/g.時)重合速度を得るために温
度110℃を要する。
13C-NMR分析によれば、実施例3、4及び7で得られ
た一酸化炭素/エテンコポリマーが線状構造を有し、一
酸化炭素に由来の単位とエテンに由来の単位とが交互に
配列されていることが確認された。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パラジウム化合物とリン二座配位子との錯
    体を基材とする触媒組成物において、前記組成物が、ハ
    ロゲン化ヒドロカルビルパラジウムと、一般式R1R2P-R-
    PR3R4[式中、互いに同じまたは夫々に異なるR1、R2、R
    3及びR4は極性置換されるかまたは未置換のヒドロカル
    ビル基、Rは架橋中に少なくとも2つの炭素原子を含む
    二価の有機架橋基]で示されるリン二座配位子との錯体
    と基材とすることを特徴とする、一酸化炭素と1種以上
    のオレフィン系不飽和化合物との重合用触媒組成物。
  2. 【請求項2】リン二座配位子中の基R1、R2、R3及びR
    4が、未置換のフェニル基を示すか、または、1つ以上
    のアルコキシ基を含み該アルコキシ基の少なくとも1つ
    がフェニル基に結合したリン原子に対するオルト位に存
    在するようなフェニル基を示すことを特徴とする請求項
    1に記載の触媒組成物。
  3. 【請求項3】ハロゲン化ヒドロカルビルパラジウムが塩
    化メチルパラジウムであることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の触媒組成物。
  4. 【請求項4】一酸化炭素と1種以上のオレフィン系不飽
    和化合物との混合物を請求項1から3のいずれかに記載
    された触媒組成物と接触させることを特徴とするポリマ
    ーの製造方法。
  5. 【請求項5】ポリマーが不溶な希釈剤中でモノマーと触
    媒組成物の溶液とを接触させることを特徴とする請求項
    4に記載の方法。
  6. 【請求項6】温度75℃以下、圧力2〜150バール、及
    び、重合すべき混合物中のオレフィン系不飽和化合物対
    一酸化炭素のモル比10:1〜1:10を用い、重合すべきオレ
    フィン系不飽和化合物1モル当たりパラジウム10-7〜10
    -3モルが含まれる量で触媒組成物を使用することを特徴
    とする請求項4または5に記載の方法。
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