JP2857106B2 - 施肥装置付き田植機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、苗の植え付けに伴って
肥料を圃場に送り込んでいくように構成される施肥装置
を備えた施肥装置付き田植機に関する。

【０００２】

【従来の技術】前述のような施肥装置付き田植機におい
ては所定位置に施肥装置を固定して、この所定位置を肥
料を圃場に送り込む為の施肥装置の作業位置として設定
し、作業位置に固定された施肥装置から、肥料を圃場に
送り込むように構成されたものが多くある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前述のような施肥装置
付き田植機における施肥装置の作業位置には、近くに他
の装置が配置されていることが多いので、作業位置での
施肥装置のメンテナンス作業が行い難いことがある。本
発明は施肥装置付き田植機において、施肥装置のメンテ
ナンス作業が行い易くなるようにすることを目的として
いる。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明による特徴は施肥
装置付き田植機において、次のように構成することにあ
る。苗の植え付けに伴って肥料を圃場に送り込んでいく
施肥装置を備えて、前記施肥装置を、肥料を圃場に送り
込む為の作業位置と前記作業位置から上方に離れた非作
業位置とに亘り、前記作業位置での姿勢を維持した状態
で移動自在に支持すると共に、作業位置での前記施肥装
置の下方に出力部を配置して、駆動ロッドの上部を前記
施肥装置の入力部に接続し、前記施肥装置の作業位置に
おいて、作業位置及び非作業位置に亘る前記施肥装置の
移動方向と交差する方向に沿ってのみ、前記駆動ロッド
の下部を前記出力部に接続及び接続解除可能に構成し
て、前記駆動ロッドの下部を前記出力部に接続した状態
において、前記出力部の動力が押し引き動力として前記
駆動ロッドを介して、前記入力部に伝達されるように構
成してある。

【０００５】

〔Ｉ−２〕

施肥装置を作業位置と上方に離れた非作業位置とに亘る
上下方向に移動操作できるので、上方に離れた非作業位
置への移動操作によって、施肥装置付田植機の範囲から
施肥装置が大きく横方向に出るようなことがない。これ
により、収容面積の小さい納屋等の比較的狭い場所にお
いても、施肥装置を支障なく上方に離れた非作業位置に
移動操作することができる。 〔Ｉ−３〕 作業位置と上方に離れた非作業位置とに亘って施肥装置
を移動操作する場合、作業位置での姿勢を維持した状態
で施肥装置を移動操作することができるので、施肥装置
を移動操作する際に、施肥装置のホッパー内の肥料がこ
ぼれ落ちるようなことがなく、移動操作の為に施肥装置
のホッパーから肥料を事前に取り出しておく必要がな
い。

【０００６】〔ＩＩ−１〕 施肥装置とは別の位置の出力部の動力を、作業位置に位
置する施肥装置の入力部に伝達して施肥装置を駆動する
ように構成している場合、前記〔Ｉ−１〕〜〔Ｉ−３〕
に記載のように施肥装置を作業位置から上方の非作業位
置に移動操作する際に、出力部から施肥装置の入力部へ
の伝動系を外す必要がある。この場合、出力部と施肥装
置の入力部とに亘って伝動チェーンを巻回したり、ベベ
ルギヤ機構及び伝動軸を架設したりすると、この伝動チ
ェーンや伝動軸を取り外せるように構成するには、伝動
の複雑な着脱構造が必要なものとなり、この複雑な着脱
構造によって重量の増大を招くものとなる。請求項１の
特徴によると、出力部と施肥装置の入力部とに亘って駆
動ロッドを接続し、出力部の動力を駆動ロッドにより押
し引き動力として施肥装置の入力部に伝達するように構
成しているので、駆動ロッドを単純に外すことができる
ように構成することによって、駆動ロッドによる出力部
と入力部との接続状態を解除する構造が得られる。 〔ＩＩ−２〕 駆動ロッドの上部又は下部の接続を解除する場合に、駆
動ロッドの上部と施肥装置の入力部との接続を解除可能
に構成すると、駆動ロッドの上部と施肥装置の入力部と
の接続を解除した状態（駆動ロッドの下部と出力部とを
接続した状態）において、誤って出力部から動力が出力
されると、長い駆動ロッドが振り回されるような状態と
なって、駆動ロッド等の破損を招くことがある。請求項
１の特徴のように、駆動ロッドの下部と出力部との接続
を解除可能に構成すると、駆動ロッドの下部と出力部と
の接続を解除した状態において、誤って出力部から動力
が出力されても、駆動ロッドは出力部から離れているの
で、駆動ロッドが振り回されるような状態は生じない。

【０００７】〔ＩＩＩ〕 請求項１の特徴では、作業位置での施肥装置の下方に出
力部に配置している。これにより、前述のように駆動ロ
ッドの下部と出力部との接続を解除している状態におい
て、施肥装置を非作業位置から作業位置に移動操作する
と、下方に垂れ下がっている駆動ロッドの下部が、下方
の出力部の近傍に自動的に達することになるのであり、
この後にすぐに駆動ロッドの下部を出力部に接続するこ
とができる。従って、施肥装置を非作業位置から作業位
置に移動操作した後に、駆動ロッドの下部を手で出力部
にまで持っていき、出力部に位置合わせすると言うよう
な操作を行う必要がない。

【０００８】〔ＩＶ−１〕 請求項１の特徴では施肥装置の作業位置において、作業
位置及び上方の非作業位置に亘る施肥装置の移動方向と
交差する方向に沿ってのみ、駆動ロッドの下部を出力部
に接続及び接続解除可能に構成している。これにより、
作業位置において駆動ロッドの下部と出力部との接続を
解除してから、施肥装置を作業位置から非作業位置に移
動操作する必要があり、駆動ロッドの下部を出力部に接
続させた状態で、施肥装置を作業位置から非作業位置に
移動操作できない（駆動ロッドの接続解除の方向と施肥
装置の移動方向とが交差していることに基づく）。従っ
て、駆動ロッドの他方と出力部との接続を解除しない状
態で、作業者が施肥装置を作業位置から非作業位置に移
動操作しようとした際、施肥装置を非作業位置に移動操
作できないことにより、駆動ロッドの他方と出力部との
接続を解除していないことに、作業者が気付くことにな
る。 〔ＩＶ−２〕 駆動ロッドの下部と出力部との接続を解除している状態
において、施肥装置を上方の非作業位置から下方の作業
位置に移動操作すると、下方に垂れ下がっている駆動ロ
ッドの下部が、下方の出力部の近傍に自動的に達するこ
とになるのであり、この後に施肥装置の移動方向と交差
する方向に移動させることにより、駆動ロッドの下部を
出力部に接続することができる。この場合、下方に垂れ
下がっている駆動ロッドを、上方の施肥装置の入力部を
支点として振ってやるだけで、駆動ロッドの下部が施肥
装置の移動方向と交差する方向に移動することになるの
で、複雑な操作を行わなくても駆動ロッドの下部を、容
易に出力部に接続することができる。

【０００９】

〔ロ〕

前記〔Ｉ−３〕に記載の作用により、作業位置から非作
業位置への施肥装置の移動を、施肥装置の姿勢変化を避
けながら行うことができるので、施肥装置の移動に際し
てホッパーから肥料がこぼれ落ちるような不都合を回避
し易い効果がある。 〔ハ〕 前記〔ＩＩ−１〕および〔ＩＩ−２〕に記載の作用によ
り、接続が簡単な押し引き型の駆動ロッドを用いて、出
力部と入力部との間における伝動、ならびにその伝動状
態を解除する構造が得られる。そして、その駆動ロッド
を、下部側で接続ならびに接続解除する構造としたもの
であるから、駆動ロッドによる出力部と入力部との接続
を解除した状態で、誤って出力部から動力が出力されて
も、駆動ロッドは出力部から離れているので、長い駆動
ロッドが振り回されるような事態の発生を避けることが
でき、駆動ロッド自体や他物の損傷を未然に避けられる
効果がある。 〔ニ〕 前記〔ＩＩＩ〕に記載の作用により、駆動ロッドの下部
と出力部との接続を解除している状態において、施肥装
置を非作業位置から作業位置に移動操作すると、下方に
垂れ下がっている駆動ロッドの下部が、下方の出力部の
近傍に自動的に達することになり、施肥装置を非作業位
置から作業位置に移動操作した後の、出力部に対する駆
動ロッドの下部の連結を、連結箇所近くで容易に行い易
いという利点がある。 〔ホ〕 前記〔ＩＶ−１〕に記載の作用により、作業位置及び非
作業位置に亘る施肥装置の移動方向と交差する方向に沿
ってのみ、駆動ロッドを出力部に接続及び接続解除可能
に構成することにより、駆動ロッドと出力部との接続が
解除されていない状態では、施肥装置を作業位置から上
方の非作業位置にまで移動させようとする誤った操作が
制限される。したがって、このような誤操作に基づく破
損等の不具合が未然に回避される。 〔ヘ〕 前記〔ＩＶ−２〕に記載の作用により、駆動ロッドの下
部と出力部との接続を解除している状態において、施肥
装置を上方の非作業位置から下方の作業位置に移動操作
すると、下方に垂れ下がっている駆動ロッドの下部が、
下方の出力部の近傍に自動的に達することになるのであ
り、この後に施肥装置の移動方向と交差する方向に移動
させることにより、駆動ロッドの下部を出力部に接続す
ることができる。つまり、施肥装置を、上方の非作業位
置から下方の作業位置に移動させる操作と、その施肥装
置が作業位置に達した状態での駆動ロッドの連結とを、
個別に異なる方向での操作によって行うことができる。
したがって、例えば、駆動ロッドの長さ方向で駆動ロッ
ドと出力部との連結を行う場合のように、上方の非作業
位置から施肥装置を降ろしながら、その途中で位置合わ
せを伴う駆動ロッドと出力部との連結を行うような煩雑
で困難な作業を必要とせず、施肥装置を所定の作業位置
に位置させた後に、下方に垂れ下がっている駆動ロッド
を、上方の施肥装置の入力部を支点として振ってやるだ
けで、駆動ロッドの下部が施肥装置の移動方向と交差す
る方向に移動することになるので、複雑な操作を行わな
くても駆動ロッドの下部を、容易に出力部に接続するこ
とができる。

【００１０】

【実施例】以下、実施例を図面に基いて説明する。図１
に施肥装置付き田植機の後部を示している。この施肥装
置付き田植機は、図外の走行機体の後部にリンク機構
（図示せず）を介して苗植付装置２を昇降自在に連結
し、苗植付装置２の後方に施肥装置３を装着して構成さ
れている。苗植付装置２は、植付伝動ケース４に対して
一定ストロークで往復横移動する苗のせ台５、苗のせ台
５の下端部から苗を一株ずつ取り出して圃場に植え付け
る植付機構６、及び複数の整地フロート７等を備えて構
成されている。

【００１１】図１及び図３に示すように植付機構６は、
横軸芯周りで回転駆動される回転ケース８の両端部に、
先端に植付爪９を備えた植付アーム１０を相対回動自在
に支持し、回転ケース８の回転駆動に伴って、ギヤ機構
（図示せず）により植付爪９が側面視で略楕円軌跡を描
きながら、植付作動を行うように構成されている。苗の
せ台５の苗載置面５ａにおける下方側箇所に、苗の浮き
上がりを阻止する苗押さえステー１１が、苗載置面５ａ
に近接する作用姿勢と上方外方に離間する退避姿勢とに
亘り、後部の横軸芯Ｘ１周りに切り換え揺動自在に設け
られている。

【００１２】図１及び図３に示すように施肥装置３は、
上部に粉粒状の肥料を貯溜するホッパー１２を２条毎に
備え、ホッパー１２の下方に各植付条の繰り出し機構１
３を備えて、繰り出されてきた肥料を作溝器１４により
圃場に作成された溝内に流下案内させる流下パイプ１５
を備えて構成されている。

【００１３】繰り出し機構１３は繰り出しケース１６内
に、外周面に肥料の入り込み用の凹部を形成した繰り出
しロール１７を備え、繰り出しロール１７を駆動軸１８
（入力部に相当）により回動して、凹部内に溜められた
肥料を下方に流下パイプ１５を介して流下するように構
成されている。植付機構６における各植付アーム１０の
横側に亘り架設された支持部材１９（出力部に相当）に
おいて、回転ケース８の回転軸芯と偏芯した位置に駆動
ロッド２０の他方が接続され、駆動ロッド２０の一方が
駆動軸１８に接続されて、駆動軸１８が回転駆動される
ように構成されている。

【００１４】施肥装置３は全ての植付条の部分が、一体
的に植付機構６の上方側に近接して配置される作業位置
と、作業位置から上方に離れた非作業位置とに亘り、移
動自在に支持されている。図１及び図３に示すように、
植付伝動ケース４の後部側から左右一対の支持レール２
３が立設されて、各植付条の施肥装置３を支持アーム２
４を介して一体的に連結固定した横フレーム２５が、左
右一対の可動フレーム２６に連結され、左右の可動フレ
ーム２６を上下一対のガイドローラー２７により、移動
自在に支持レール２３に係合支持されている。

【００１５】図８，３，４に示すように可動フレーム２
６の各々に、支持レール２３に形成された係合孔２８に
入り込む係合作用位置と、上方に揺動して係合が解除さ
れるスライド操作位置とに切り換え揺動自在、並びに係
合側にバネ（図示せず）により付勢されたロック具２９
が備えられている。支持レール２３には、下方の作業位
置にホッパー１２及び繰り出し機構１３を保持する位置
と、上方の非作業位置に保持する位置の各々に係合孔２
８が形成されており、上方にホッパー１２及び繰り出し
機構１３を移動させると、自動的に係合保持されるよう
に構成されている。非作業位置にホッパー１２及び繰り
出し機構１３を移動操作すると、苗押さえステー１１の
退避姿勢への切り換え操作に対して、ホッパー１２及び
繰り出し機構１３が邪魔にならないように設定されてい
る（図２参照）。

【００１６】植付機構６及び作溝器１４は位置固定状態
に設けられており、前述のようにホッパー１２及び繰り
出し機構１３が非作業位置に移動操作されるのに伴っ
て、連係が解除されるように構成されている。図１，
２，３，４に示すように、肥料の流下経路の途中部分に
分離部３０が形成され、分離部３０の下部側がラッパ状
に形成されて、流下パイプ１５への差し込み装着並びに
上方への分離が容易に行えるよう構成されており、駆動
ロッド２０においては、植付機構６側の他方が容易に接
続が解除できるように構成されている。

【００１７】駆動ロッド２０の他方では図６及び図７
（イ）（ロ）に示すように、駆動ロッド２０の他方に設
けられるボールジョイント３１の連結用軸部３２に、支
持部材１９に対して相対回転自在に嵌合する筒体３３を
装着し、支持部材１９に取り付けられたストッパー部材
３４により、筒体３３の抜け止めを行うように構成され
ている。ストッパー部材３４をピン３５及び長孔３６の
係合により、抜け止め係合位置と係合解除位置とにスラ
イド自在に備え、ストッパー部材３４をスライドさせて
筒体３３を抜いて外すことにより、駆動ロッド２０の他
方の接続が容易に解除できるように構成されている。

【００１８】ホッパー１２及び繰り出し機構１３を上方
の非作業位置側に持ち上げ付勢するように構成してお
り、持ち上げの労力を軽減できるようにしている。図４
及び図５に示すように、左右の支持レール２３の上部に
亘って横支持杆３７が架設連結され、横支持杆３７の横
方向に沿って、ブラケット３８（図３参照）を介してガ
ススプリング３９が支持されている。左右の可動フレー
ム２６の下部の各々に、ワイヤ４０の一端が接続され
（図３参照）、ワイヤ４０が横支持杆３７の左右両側部
に支持されたプーリー４１，４２、中間部に支持された
プーリー４３、並びにガススプリング３９の移動ロッド
３９ａの先端部に支持された可動プーリー４４に巻回さ
れて、横支持杆３７にワイヤ４０の各々の他端が接続さ
れている。

【００１９】ガススプリング３９の付勢力による可動プ
ーリー４４の横移動付勢力により、ワイヤ４０における
可動フレーム２６側の上方への持ち上げ方向に、補助的
な付勢力が付与される。従って、ホッパー１２及び繰り
出し機構１３を下方の作業位置から上方の非作業位置に
移動操作する際に、人為操作により持ち上げ操作して
も、人為操作が軽く行える。ガススプリング３９の作動
ストロークは、ホッパー１２及び繰り出し機構１３の移
動ストロークの半分の量で済み、ガススプリング３９を
小さいストロークの小型のものに構成することができ
る。ガススプリング３９に換えて、コイルバネやその他
の付勢機構を用いてもよい。

【００２０】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
容易にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】苗植付装置及び施肥装置の全体側面図

【図２】ホッパー及び繰り出し機構が上方の非作業位置
に移動操作された状態を示す側面図

【図３】下方の作業位置での施肥装置の背面図

【図４】ホッパー及び繰り出し機構が上方の非作業位置
に移動操作された状態を示す背面図

【図５】ガススプリング付近の平面図

【図６】駆動ロッドの支持部材に対する接続及び接続解
除状態を示す背面図

【図７】駆動ロッドの支持部材に対する接続及び接続解
除状態を示す側面図

【図８】ロック具付近の側面図

【符号の説明】

３ 施肥装置 １８ 施肥装置の入力部 １９ 出力部 ２０ 駆動ロッド

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A01C 11/00 302 A01C 15/00

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 苗の植え付けに伴って肥料を圃場に送り
   込んでいく施肥装置（３）を備えて、前記施肥装置
   （３）を、肥料を圃場に送り込む為の作業位置と前記作
   業位置から上方に離れた非作業位置とに亘り、前記作業
   位置での姿勢を維持した状態で移動自在に支持すると共
   に、 作業位置での前記施肥装置（３）の下方に出力部（１
   ９）を配置して、駆動ロッド（２０）の上部を前記施肥
   装置（３）の入力部（１８）に接続し、 前記施肥装置（３）の作業位置において、作業位置及び
   非作業位置に亘る前記施肥装置（３）の移動方向と交差
   する方向に沿ってのみ、前記駆動ロッド（２０）の下部
   を前記出力部（１９）に接続及び接続解除可能に構成し
   て、 前記駆動ロッド（２０）の下部を前記出力部（１９）に
   接続した状態において、前記出力部（１９）の動力が押
   し引き動力として前記駆動ロッド（２０）を介して、前
   記入力部（１８）に伝達されるように構成してある施肥
   装置付き田植機。