JP2856998B2 - 超音波洗浄装置 - Google Patents

超音波洗浄装置

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JP2856998B2 JP27418992A JP27418992A JP2856998B2 JP 2856998 B2 JP2856998 B2 JP 2856998B2 JP 27418992 A JP27418992 A JP 27418992A JP 27418992 A JP27418992 A JP 27418992A JP 2856998 B2 JP2856998 B2 JP 2856998B2
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直明 桜井
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Toshiba Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は超音波が印加された洗
浄液によって被洗浄物を洗浄する超音波洗浄装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】半導体装置の製造工程においては、種々
の微細加工の前後で、半導体ウエハに付着したサブミク
ロンオ−ダのパ−テイクルを洗浄除去する、洗浄が行わ
れる。この洗浄工程は、半導体装置の歩留まりを向上す
る上で、極めて重要である。
【0003】このような洗浄を行う装置として従来より
バッチ式あるいはノズル式の超音波洗浄装置が知られて
いる。図1はバッチ式の超音波洗浄装置を示し、同図中
1は筒状の装置本体である。この装置本体1の底部には
振動板2が設けられている。この振動板2の外面には超
音波発振器3が接着などの手段によって取着されてい
る。この超音波発振器3には駆動電源4が接続されてい
る。この駆動電源4を作動させることで、上記振動板2
をMHz級の周波数で振動させることができる。上記装
置本体1内には洗浄液Lが入れられる。洗浄液Lとして
は、希フッ酸や有機アルカリと過酸化水素と水とを混合
した液などが用いられる。装置本体1内の洗浄液Lは上
記超音波発振器3で発生する超音波振動が振動板2を介
して印加される。したがって、上記装置本体1内に半導
体ウエハを収容すれば、その半導体ウエハを超音波振動
する洗浄液によって洗浄することができる。
【0004】図2はノズル式の超音波振動装置を示し、
同図中11は先端にノズル孔11aが形成された装置本
体である。この装置本体11の基端側には振動板12が
設けられている。この振動板12の外面には超音波発振
器13が接着などによって取着されている。この超音波
発振器13には駆動電源14が接続されている。この駆
動電源14を作動させれば、上記振動板12を超音波振
動させることができるようになっている。
【0005】上記装置本体11の周壁の上記振動板12
よりも先端側には供給管15が接続されている。この供
給管15から上記装置本体11内には洗浄液Lが供給さ
れる。装置本体11内に供給された洗浄液Lは、上記振
動板12によって超音波振動が印加され、その先端のノ
ズル孔11aから流出する。したがって、ノズル孔11
aから流出する洗浄液Lを半導体ウエハの洗浄する面に
当てれば、その面を洗浄することができる。
【0006】ところで、従来の上述した超音波洗浄装置
においては、振動伝達板2、12がステンレス(SU
S)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)などの金属あ
るいは石英によって形成されていた。
【0007】振動板2、12が上記金属で形成されてい
る場合、洗浄液Lに上記金属が不純物として多量に溶出
するため、これら金属によって半導体ウエハの汚染を招
くということが生じる。また、石英の場合には洗浄液に
よってエッチングされるため、早期に交換をしなければ
ならないということがある。
【0008】このような問題を解決するために、上記装
置本体1、11や振動板2、12を金属や石英に代わ
り、PTFE、PFA、PVCなどのフッ素系の樹脂で
形成するということが行われている。しかしながら、バ
ッチ式やノズル式の装置において、超音波振動が洗浄液
を介して照射される部位をフッ素系の樹脂で形成する
と、その樹脂は超音波を吸収して変形や変質するという
ことがある。とくにバッチ式の装置の場合には振動板2
が超音波に晒されるため、フッ素樹脂とすることができ
ず、ノズル式では振動板12だけでなく、装置本体11
の内面も超音波振動に晒されるから、これらの部分をフ
ッ素系樹脂とすることができない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の超
音波振動装置は、洗浄液によって侵されて金属が溶出し
たり、金属の溶出を防止するためにフッ素系樹脂を用い
ると、フッ素系樹脂は超音波によって変形や変質すると
いうことがある。
【0010】この発明は上記事情に基づきなされたもの
で、その目的とするところは、金属の溶出を招くことが
ないばかりか、超音波を吸収して変形や変質を招くなど
のこともない超音波洗浄装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、装置
本体に設けられた振動板に超音波発振器を取着し、この
超音波発振器を作動させることで上記本体内の洗浄液に
超音波を印加する超音波洗浄装置において、上記洗浄液
が接触する上記装置本体と振動板のうち、少なくとも上
記振動板を単結晶のサファイヤ(Al23 )で形成し
たことを特徴とする。
【0012】
【0013】
【作用】請求項1の発明によれば、単結晶のサファイ
洗浄液によって溶出されないことが実験により確認さ
れ、また超音波を照射しても、変形や変質しないことが
確認されたので、被洗浄物を精密に洗浄することがで
き、しかも装置の変形などを招くこともない。
【0014】
【実施例】以下、この発明の実施例を説明する。
【0015】この発明の第1の実施例は、図1に示すバ
ッチ式の超音波洗浄装置および図2に示すノズル式の超
音波洗浄装置において、各装置の洗浄液Lが接触する部
位を単結晶のサファイヤ(Al2 3 )によって形成し
た。
【0016】具体的には、図1に示すバッチ式の超音波
洗浄装置では、振動板2を単結晶のサファイヤで形成
し、装置本体1はフッ素系の樹脂で形成した。また、図
2に示すノズル式の超音波洗浄装置では、その装置本体
11と振動板12とを単結晶のサファイヤで形成し、供
給管15はフッ素系の樹脂で形成した。
【0017】この発明の第2の実施例は、図1に示すバ
ッチ式の超音波洗浄装置および図2に示すノズル式の超
音波洗浄装置において、各装置の洗浄液Lが接触する部
位をプラチナ(Pt)によって形成した。
【0018】具体的には、図1に示すバッチ式の超音波
洗浄装置では、振動板2をプラチナで形成し、装置本体
1はフッ素系の樹脂で形成した。また、図2に示すノズ
ル式の超音波洗浄装置では、その装置本体11と振動板
12とをプラチナで形成し、供給管15はフッ素系の樹
脂で形成した。つぎに、実験結果について説明する。
【0019】まず、単結晶のサファイヤについて、つぎ
のような実験を行った。フッ素系樹脂によって形成され
た2つのビ−カを80℃に熱されたHCl(塩酸)の1
0%溶液で10分間洗浄し、ついで純水で10分間リン
スする。洗浄リンスされた一方のビ−カに洗浄液として
用いられる希フッ酸を200ml入れ、他方のビ−カに
は同じく洗浄液として用いられる、有機アルカリと過酸
化水素と水とを混合した液体200mlを収容した。
【0020】つぎに、上記ビ−カに収容された希フッ酸
に含まれる各種金属のバックグランド、つまり資料を浸
漬する前の状態における金属成分を原子吸光分析法によ
ってPPB単位で測定した。その測定結果を表1のA欄
に示す。
【0021】つぎに、希フッ酸は常用温度である25℃
とし、有機アルカリと過酸化水素と水とを混合した液体
は常用温度である60℃以上に加熱する。そして、各ビ
−カにサファイヤを2時間浸漬したのち、これらビ−カ
の各液体中の金属成分を同じく原子吸光分析法によって
PPb単位で測定した。希フッ酸の測定結果を上記表1
のB欄に示し、有機アルカリと過酸化水素と水溶液とを
混合した液体の測定結果を上記表1のC欄に示す。な
お、表1のF欄には検出限界値を示し、各測定欄におけ
る「−」で示される箇所は検出限界値以下であった。
【0022】
【表1】
【0023】以上の測定結果より明らかなように、いづ
れのビ−カの洗浄液においても、サイファイヤ(Al2
3 )の成分であるアルミニウム(Al)の測定値がバ
ックグランド値に対してほとんど変化しておらず、他の
測定成分についても溶出は見られない。つまり、サファ
イヤは上記2種類の洗浄液に対して溶出しないことが分
かる。したがって、各装置の洗浄液が接触する部分、つ
まりバッチ式の装置における本体1と振動板2およびノ
ズル式の装置における本体11と振動板12とをそれぞ
単結晶のサファイヤで形成すれば、洗浄液に金属が不
純物として溶出して半導体ウエハを汚損するのを防止で
きる。つまり、単結晶のサファイヤからは不純物が洗浄
液に溶出して半導体ウエハを汚染することがない。
【0024】つぎに、サファイヤと同じようにしてプラ
チナ(Pt)を希フッ酸および有機アルカリと過酸化水
素と水との混合液に2時間浸漬したのちに、各液体の金
属溶出を測定した。プラチナが浸漬された希フッ酸の測
定結果を表1のD欄に示し、有機アルカリと過酸化水素
と水との混合液の測定結果を表1のE欄に示す。プラチ
ナの場合も、サファイヤと同様、測定した各種金属の溶
出が見られなかった。したがって、バッチ式の装置にお
ける本体1と振動板2およびノズル式の装置における本
体11と振動板12とをそれぞれプラチナで形成すれ
ば、サファイヤで形成した場合と同様、洗浄液に金属が
不純物として溶出して半導体ウエハを汚損するのを防止
できる。
【0025】つぎに、各種材料の超音波に対する耐久性
を試験した。この試験は、図3に示すように容器21に
純水を入れる。この容器21の底部には、1.5MHz
の超音波を発振する超音波発振器22が取付けられ、こ
の超音波発振器22には駆動電源23が接続されてい
る。上記容器21内には厚さが1mmのPTFE、PF
A、PP、PVC、PVDF、アクリル樹脂、SUS3
16L、Taおよびサファイヤの各種材料24をそれぞ
れ吊り下げて浸漬した。そして、上記超音波発振器22
に投入するパワ−を上げていったところ、サファイヤ、
Ta、SUS316L以外の材料は表面に変形が起きる
のが確認された。
【0026】つまり、フッ素系等の有機系樹脂が超音波
によって直接、照射されると、変形を生じるから、その
ような樹脂によって各装置の振動板2、12やノズル式
の装置本体11などに上記有機系樹脂を用いても、その
性能を長期にわたって維持することができない。バッチ
式の装置においては、超音波発生器3からの超音波は洗
浄液L中を上方に向かって伝播し、装置本体1の内周面
を直接、照射することがないから、その装置本体1は洗
浄液によって侵されることのない、フッ素系の樹脂によ
って形成しても、とくに問題はない。
【0027】
【発明の効果】以上述べたようにこの発明は、装置本体
に設けられた振動板に超音波発振器を取着し、この超音
波発振器を作動させることで上記本体内の洗浄液に超音
波を印加する超音波洗浄装置において、上記洗浄液が接
触する上記装置本体と振動板との、少なくとも上記振動
板を単結晶のサファイヤで形成した。
【0028】
【0029】したがって、請求項1の発明によれば、
結晶のサファイヤからは洗浄液に不純物となる金属が溶
出することがないから、被洗浄物を不純物によって汚す
ようなことなく、精密に洗浄することができる。しか
も、振動板だけでなく、装置本体も単結晶のサファイヤ
で形成すれば、これらが超音波によって照射されても、
変形や変質することがないなどの利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】バッチ式の超音波洗浄装置の構成図。
【図2】ノズル式の超音波洗浄装置の構成図。
【図3】各種材料の超音波振動に対する耐久性を試験す
る方法を示す説明図。
【符号の説明】
1、11…装置本体、2、12…振動板、3、13…超
音波発振器。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 装置本体に設けられた振動板に超音波発
    振器を取着し、この超音波発振器を作動させることで上
    記本体内の洗浄液に超音波を印加する超音波洗浄装置に
    おいて、上記洗浄液が接触する上記装置本体と振動板の
    うち、少なくとも上記振動板を単結晶のサファイヤ(A
    23 )で形成したことを特徴とする超音波洗浄装
    置。
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