JP2002079198A - 超音波洗浄方法とその装置 - Google Patents

超音波洗浄方法とその装置

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直哉 速水
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被洗浄体の表面に付着したパーティィクルの
除去効率を低下せず、また、ダメージを与えない超音波
洗浄方法とその装置を提供すること。 【解決手段】 パルス波の超音波が印加された洗浄液4
で被洗浄体1を洗浄する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体基板や液晶
表示装置用のガラス基板を洗浄する超音波洗浄方法とそ
の装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体基板や液晶表示装置用のガラス基
板などの製造工程では、種々の微細加工の前後で、半導
体基板やガラス基板などに付着したサブ・ミクロンオー
ダのパーティクルを洗浄除去している。
【0003】通常、これらの洗浄は、洗浄液として薬液を
用いる化学洗浄と、その洗浄液に超音波を印加する超音
波洗浄等の物理洗浄が併用して用いられている。化学洗
浄は微粒子の除去に有効であり、一方、物理洗浄は強固に
付着した比較的大きな粒子の除去に有効である。
【0004】この洗浄工程では、洗浄を行う際の除去せ
ねばならない粒子の大きさは0.1μmオーダであり、
洗浄液中には金属イオンの溶出が無いようにしなければ
ならない。このような洗浄工程で用いられる超音波処理
装置としては、ディップタイプとスリットタイプとがよ
く用いられている。ディップタイプは、半導体基板や液
晶表示装置用のガラス基板などの被洗浄体が入れられた
洗浄槽中に処理液を満たし、洗浄槽の底面または側面に
振動板と共に取り付けられた超音波振動子から、超音波
を洗浄槽に放射して、処理液に超音波振動を加えて、洗
浄を行なうものである。
【0005】ただし、ガラス基板の場合、そのサイズが
1m角以上m、または半導体基板の場合、そのサイズが
12インチ以上等、表面処理や加工する面での寸法が大
型になると、ディップタイプで1つのキャリアに、例え
ば、25枚ずつ被処理体を入れて同時に処理を行うこと
は難しい。そのため、スリットタイプで1枚ずつの処理
で行う枚葉式を用いることが多い。このスリットタイプ
では、通常、コンべアでワーク(被処理体)を移送し、
この過程で洗浄等の種々の必要な処理が行われている。
【0006】スリットタイプの洗浄ユニットは、スリッ
トが形成された中空状の本体を有する。この本体には処
理液の供給管が接続されていて、この供給管から本体内
へ供給された処理液がスリットから流出するように構成
されている。
【0007】本体の内部には処理液の流路に面して薄い
金属板や石英板などからなる振動板が設けられている。
この振動板には振動子が接着固定されている。振動板の
共振周波数は、古くは25〜100kHzが用いられて
きたが、被洗浄体が受けるダメージが小さいことからM
Hz帯の超音波が最もよく用いられている。振動子に電
圧を印加して振動板を超音波振動させれば、本体内に流
入した処理液に超音波振動が付与され、スリットから流
出する処理液によって被処理体の洗浄を行なっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年の
半導体基板や液晶表示装置用のガラス基板に形成される
パターンの微細化により、従来ではダメージが小さいと
言われていたMHz帯の超音波によっても、微細パター
ンに対しては、ダメージが発生していることが確認され
てきている。また、超音波が半導体基板を形成している
シリコン結晶自体にもダメージを与えていることも確認
されている。
【0009】これらの微細パターンに対するダメージ
や、シリコン結晶に対するダメージは、製品歩留まりを
著しく低下させる。そのため、それらのダメージを低下
させるために超音波の出力を下げることが考えられる
が、そうすることによって、半導体基板の表面に付着し
ているパーティクルの除去効率が低下し、残留パーティ
クルにより製品歩留まりが低下する。
【0010】本発明はこれらの事情にもとづいてなされ
たもので、被処理体の表面に付着したパーティィクルの
除去効率を低下させることなく、被処理体である半導体
基板や液晶表示装置用のガラス基板などに形成された微
細パターンに対してダメージを与えない超音波洗浄方法
とその装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明による手
段によれば、超音波を印加した洗浄液を被洗浄体に供給
して、前記被洗浄体を洗浄する超音波洗浄方法において、
前記洗浄液に対して超音波を所定間隔のON−OFF繰
り返しで印加することを特徴とする超音波洗浄方法であ
る。
【0012】また請求項2の発明による手段によれば、
前記超音波をパルス状の搬送波に重畳させていることを
特徴とする超音波洗浄方法である。
【0013】また請求項3の発明による手段によれば、
前記搬送波の周波数は、前記超音波の周波数より低いこ
とを特徴とする超音波洗浄方法である。
【0014】また請求項4の発明による手段によれば、
前記振動子の共振周波数が0.6MHzから2.6MH
zの間であることを特徴とする超音波洗浄方法である。
【0015】また請求項5の発明による手段によれば、
搬送波のデューティー比が80%以下であることを特徴
とする超音波洗浄方法である。
【0016】また請求項6の発明による手段によれば、
被洗浄体を保持する保持機構と、超音波振動子を有し、供
給されてきた洗浄液に対して超音波を印加して前期被洗
浄体に該洗浄液を供給する超音波洗浄ユニットを有する
超音波洗浄装置において、前記超音波振動子を所定間隔
のON−OFF繰り返し駆動する駆動手段とを有するこ
とを特徴とする超音波洗浄装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の超音波洗浄方法と
それを用いた超音波洗浄装置について、実施の形態を図
面を参照して説明する。
【0018】まず、本発明で用いている薬液を用いた化
学洗浄と超音波を用いた物理洗浄との併用による洗浄の
原理のメカニズムを、図1(a)から(f)の模式図を
参照して説明する。
【0019】半導体基板や液晶表示装置用のガラス基板
などの被洗浄体1には有機汚染物2を介してパーティク
ル3が付着している(図1(a))。被洗浄体1の表面
に洗浄液4(例えば純水)を流し、図示しない超音波洗
浄ユニットから、例えば1.6MHz超音波を洗浄液4
を介して、被洗浄体1の表面に照射し、表面に付着して
いるパーティクル3や有機汚染物2にも作用される(図
1(b))。洗浄液4は、超音波の照射を受けて、洗浄
液4中にOHラジカルが生成される(図1(c))。生
成されたOHラジカルにより洗浄体1の表面に付着して
いる有機汚染物2が酸化分解する(図1(d))。そし
て、超音波の照射による振動と、マイクロキャビテーシ
ョンの衝撃波によりパーティクル3が被洗浄体1から離
脱する(図1(e))。パーティクル3が被洗浄体1か
らリフトオフして洗浄が終了する(図1(f))。
【0020】次に、超音波洗浄の際に発生するダメージ
について説明する。まず、以下の条件で被洗浄体に対し
て超音波洗浄を行なった実験結果を基に説明する。
【0021】被洗浄体サンプル シリコンウエハ P
型(1、0、0)面 洗浄装置 枚葉スピン洗浄装置 処理条件 1%希フッ酸溶液(DHF)30
sec→脱気水1.6MHz10min→オゾン水1.
6MHz60sec→1% DHF30sec→オゾン水リンス10sec→スピン
ドライ30sec 超音波出力条件 電源出力 30W これらの条件により、被洗浄体1であるシリコンウエハ
(半導体基板)のシリコン結晶に対するダメージの例で
説明する。P型(1、0、0)面水素アニール済シリコ
シウエハ1を、DHFで処理した後に、MHz洗浄を1
0分間行った。なお、超音波振周波数は、0.6MHz
〜2.6MHzの間であればよい。
【0022】もし、このとき、通常の駆動方式である連
続波で駆動したMHz帯の超音波をシリコンウエハ1に
照射すると、図2に示すように、シリコンウエハ1の中
央部のシリコン結晶の表面に、最大で1μm程度のクラ
ック13によるダメージが生じる。この現象は、MHz
帯の超音波に100Hzの搬送波を重畳させて駆動した
場合でも同様に起きることを確認した。
【0023】さらに、MHz帯の超音波に重畳する搬送
波の周波数を、図3(a)に示した100Hzから、上
昇させて図3(b)に示すように200Hzおよび、図
3(c)に示すように1000Hz、さらに、1000
0Hz(不図示)で実験を行なった。
【0024】図4はその結果を示すグラフで、搬送波の
周波数を上げていくとダメージの数は減少していくこと
が確認できた。なお、搬送波の周波数は、洗浄用の超音
波を発振する振動子の共振周波数より低い値であればよ
い。
【0025】この現象の理由について、図5(a)〜
(d)に示す模式図を参照しながら、シリコンウエハの
任意のある点に注目して説明する。その点に連続して超
音波のパルスが照射されると、超音波はシリコンウエハ
1の所定深さまで進行する(図5(a))。超音波が進
行した領域のシリコン結晶12a、12b…12nは超
音波により振動し、振り子のような現象により振幅が徐
々に大きくなる。一方、超音波が進行しない領域でのシ
リコン結晶は、超音波で直接的に振動はしないが、超音
波が進行した領域のシリコン結晶の振動に伴って振動
し、それに引かれて振動する。それらの境界においてシ
リコン結晶12a、12b…12nに亀裂が生じはじめ
る、(図5(b))。さらに、超音波の照射が続くと境
界の亀裂が拡大し(図5(c))。境界の亀裂が更に進
行すると境界で破断し、クラック13が発生してダメー
ジが生じる(図5(c))と考えられる。
【0026】次に、配線パターンのような構造体の場合
を、図6(a)〜(d)に示す模式図を参照して説明す
る。構造体14に超音波が照射されると、構造体14
は、超音波の振動により、超音波の進行方向及びその逆
方向に振動する(図6(a)、(b))。さらに、同一
個所で超音波の照射を受けると、構造体14の振動は、振
り子運動により増幅されて振幅が増大する(図6(c)
(d))。振幅が一層拡大すると破断によるダメージが
生じる(図6(e)(f))。
【0027】これらのことから、搬送波の周波数を上げ
ることにより、一回当たりに連続して照射される超音波
のパルス数を少なくすれば、増幅して大きくなった振幅
を、超音波のパルスが照射されない時間で緩和すること
が出来ると考えられる。
【0028】図7は、ダメージの1波形当たりのパルス
依存性を示すグラフである。ダメージの大きさに拘わら
ず、1波形当たりのパルス数が少ないほどダメージも少
ないことを示している。
【0029】したがって、被洗浄体の一点に連続して照
射される超音波を制限するために、共振周波数の高周波
を重畳する搬送波の波形を規定することにより、被洗浄
体の一点に、一回に連続して当たるパルス数を設定し、
また、次のパルスが当たるまでの間に緩和時間を設ける
ことで振幅の増加を防ぐことができる。
【0030】また、図8は搬送波の周波数とパーティク
ルの除去能力についての実験結果のグラフである。搬送
波の周波数が2500Hz以下では、パーティクルの除
去能力については周波数による差異が存在しないことを
確認した。
【0031】以上の各実験結果から、搬送波の周波数は、
超音波を発振する振動子の共振周波数より低い値であれ
ばよく、一般には、1,000Hz以上が実用範囲であ
るが、アモルファスなどダメージに対してより強いもの
では、より低い100Hz程度でも許容される。逆に、
配線パターンなどダメージに対してより弱いものでは1
0000Hz以上が実用範囲になる。
【0032】また、デューティー(Duty)比(印加
時間/繰返し周期時間)に関しては、一度振り子の現象
でゆれ始めた被洗浄体の所定個所は、揺らされた時間と
ほぼ同程度の時間で停止すると考えられので、Duty
比を50%以下にすることが望ましいが、Duty比を
下げすぎると単位時間当たりに投入できる超音波のパワ
ーが限られることと、所定個所が必ずしも静止するまで
緩和する必要はないことから、被洗浄体の構造と材質に
も依存するが、概ね、Duty比は80%以下が実用範
囲である。
【0033】次に、上述の超音波洗浄方法を用いた超音
波洗浄装置について説明する。図9は、超音波洗浄装置
の洗浄部の模式図である。
【0034】超音波洗浄装置は枚葉スピン洗浄装置で、
被洗浄体1である、例えば、半導体基板を、保持機構であ
るターンテーブル22に立設したピン23により保持し
ている。ターンテーブル22の回転軸25は軸受27で
軸支され、また、モータ26により回転駆動される。な
お、軸受27はケーシング28に固定されている。ケー
シング28は上部が開口され、開口に超音波洗浄ユニッ
ト30とが配置されている。超音波洗浄ユニット30
は、図示しない振動子と振動板を内蔵し、被洗浄体1の洗
浄面に対して平行に移動自在に設けられている。また、
ケーシング28の下部には洗浄液4の排出口29a、2
9bが設けられている。
【0035】これらの構成により、図示しない駆動手段
により振動子が所定間隔のON−OFF繰り返し駆動さ
れ、超音波洗浄ユニット30から半導体基板1の被洗浄
面には、搬送波に重畳した超音波が印加された洗浄液4
が供給され、半導体基板(被洗浄体1)に対してダメー
ジを与えることなく洗浄する。
【0036】以上に述べたように、本発明によればダメ
ージを与えることなく、良好な超音波洗浄を行なうこと
ができる。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、被洗浄体にダメージを
与えることなく、精密な超音波洗浄を行なうことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)から(f)は、洗浄の原理のメカニズム
の模式図。
【図2】シリコンウエハに形成せれたダメージの説明
図。
【図3】(a)から(c)は、搬送波の波形図。
【図4】ダメージの搬送波の周波数依存を示すグラフ。
【図5】(a)から(d)は、ダメージ発生の推定メカ
ニズムの説明図。
【図6】(a)から(f)は、ダメージ発生の推定メカ
ニズムの説明図。
【図7】ダメージの1波形当たりのパルス依存性を示す
グラフ。
【図8】搬送波の周波数とパーティクル除去能力の関係
を示すグラフ。
【図9】超音波洗浄装置の模式図。
【符号の説明】
1…被洗浄体、2…有機汚染物、3…パーティクル、4
…洗浄液、12a、12b〜12n…シリコン結晶、1
3…クラック、30…超音波洗浄ユニット

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波を印加した洗浄液を被洗浄体に供
    給して、前記被洗浄体を洗浄する超音波洗浄方法におい
    て、前記洗浄液に対して超音波を所定間隔のON−OF
    F繰り返しで印加することを特徴とする超音波洗浄方
    法。
  2. 【請求項2】 前記超音波をパルス状の搬送波に重畳さ
    せていることを特徴とする請求項1記載の超音波洗浄方
    法。
  3. 【請求項3】 前記搬送波の周波数は、前記超音波の周
    波数より低いことを特徴とする請求項1記載の超音波洗
    浄方法。
  4. 【請求項4】 前記振動子の共振周波数が0.6MHz
    から2.6MHzの間であることを特徴とする請求項1
    記載の超音波洗浄方法。
  5. 【請求項5】 搬送波のデューティー比が80%以下で
    あることを特徴とする請求項1記載の超音波洗浄方法。
  6. 【請求項6】 被洗浄体を保持する保持機構と、超音波
    振動子を有し、供給されてきた洗浄液に対して超音波を
    印加して前期被洗浄体に該洗浄液を供給する超音波洗浄
    ユニットを有する超音波洗浄装置において、前記超音波
    振動子を所定間隔のON−OFF繰り返し駆動する駆動
    手段とを有することを特徴とする超音波洗浄装置。
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