JP2856239B2 - 金属貼り合わせ用フイルム - Google Patents

金属貼り合わせ用フイルム

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JP2856239B2
JP2856239B2 JP5107182A JP10718293A JP2856239B2 JP 2856239 B2 JP2856239 B2 JP 2856239B2 JP 5107182 A JP5107182 A JP 5107182A JP 10718293 A JP10718293 A JP 10718293A JP 2856239 B2 JP2856239 B2 JP 2856239B2
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隆 角谷
巌 田中
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属貼り合わせ加工用
の積層フイルムに関する。更に詳しくは、金属板に貼り
合わせて絞り加工、折り加工等を施しうる金属貼り合わ
せ加工用フイルム、特に飲料缶、食料缶等の缶胴、缶
底、缶蓋に使用しうる金属貼り合わせ用フイルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、金属には腐蝕防止として一般的に
は塗装が施こされているが、有機溶剤を用いずに防錆性
を得る方法の開発が行なわれている。即ち、(1)2軸
配向ポリエチレンテレフタレートフイルムを低融点ポリ
エステルの接着層を介してラミネートし、製缶材として
用いる方法(特開昭56−10451、特公平1−19
2546号公報等)、(2)非晶質又は低結晶性の芳香
族ポリエステルフイルムを金属板にラミネートし、製缶
材として用いる方法(特開平1−192545、特開平
2−57339号公報等)、(3)低配向ポリエチレン
テレフタレートフイルムを金属板にラミネートし、製缶
材として用いる方法(特開昭64−22530号公報
等)などが提案されてきた。
【0003】しかし、上記(1)の方法については成形
加工性、耐衝撃性の点で、(2)の方法については保香
性、経時脆化の点で、(3)の方法については(1)の
方法同様成形加工性、耐衝撃性の点で不十分であり、実
用に供されていないのが実情である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、上記
現状の問題点に鑑み、とくに成形加工性、保香性、さら
には耐衝撃性に優れ、充分に実用に供し得る、金属貼り
合わせ用フイルムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的に沿う本発明の
金属貼り合わせ用フイルムは、樹脂A、B、C層よりな
る3層積層フイルムであって、前記中央層Bの固有粘度
IV B と前記A層、C層のうち固有粘度の大きい方の層
の固有粘度IV M が、IV M ≧IV B +0.05なる関
係にあり、かつ、中央層Bが衝撃吸収層であるものから
成る。
【0006】本発明における樹脂A、B、Cとしては、
ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリエチレン、
ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、エチレン酢酸
ビニル共重合体、アイオノマーなどの変性オレフィン樹
脂、ポリビニルアルコールおよびその共重合体、アクリ
ル系樹脂単体およびその混合物等を挙げることができ
る。
【0007】特にその中でも、ポリエステル共重合体を
主体とするものが好ましい。この共重合ポリエステルと
しては、特に限定されないが、代表的なものとして以下
の例を挙げることができる。酸成分としては、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸のような
芳香族二塩基酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン
酸、ドデカジオン酸のような脂肪族ジカルボン酸、ダイ
マー酸、シクロヘキサンジカルボン酸のような脂環族ジ
カルボン酸等が例示できる。又アルコール成分として
は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタ
ンジオール、ヘキサンジオールのような脂肪族ジオール
を挙げることができる。これらを1種以上組み合わせて
使用される。例えば好ましい例として、酸成分としてテ
レフタル酸75モル%以上、アルコール成分としてエチ
レングリコール85モル%以上よりなるポリエステル共
重合体を挙げることができる。
【0008】本発明においては、中央層Bを衝撃吸収層
とする必要がある。衝撃吸収層とは、文字通り衝撃を吸
収する層を意味する。衝撃を吸収する方法は各種あり、
特に限定されないが、代表的な方法としては、以下の例
を挙げることができる。A、C層とB層の界面剥離に
より衝撃を吸収する方法。B層が凝集破壊し衝撃を吸
収する方法。B層が多相系になっており、内部振動/
発熱により衝撃を吸収する方法をその代表例として挙げ
ることができる。
【0009】上記の具体例としては、A層/B層/C
層が、ナイロン系樹脂/ポリエステル/ナイロン系樹
脂、ポリエステル系樹脂/ポリエチレン/ナイロン系樹
脂、ポリエステル系樹脂/粒子高充填ポリエステル系樹
脂/エポキシフェノール樹脂などの異種の樹脂からなる
積層体が挙げられる。
【0010】上記の具体例としては、A層/B層/C
層が、高粘度ナイロン/低粘度ナイロン/中粘度ナイロ
ン、などの粘度の異なる樹脂の積層体からなるもの、又
は、ポリエステル/粒子高充填ポリエステル/ポリエス
テルなどのように無機あるいは有機粒子添加層を中央層
に設けた積層体、さらには、異種ポリマー添加層を中央
層に設けた積層体が挙げられる。
【0011】上記の具体例としては、A層/B層/C
層が、ポリオレフィン系樹脂/ポリオレフィン系樹脂+
スチレンブタジエンラバー/ポリオレフィン系樹脂など
のように衝撃吸収樹脂を含む多相系樹脂層を中央に設け
た積層体を挙げることができる。
【0012】本発明の層A、B、Cには、各種滑剤を添
加してもよい。滑剤の種類としては、無機系、有機系を
問わない。無機系で好適な粒子としては、凝集シリカ、
球状シリカ、連結シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭
酸カルシウム、硫酸バリウム、ジルコニアを挙げること
ができる。又有機系粒子としては、シリコーン粒子、架
橋スチレン粒子、イミド粒子、アミド粒子などを挙げる
ことができる。
【0013】A、C層に添加する無機系又は有機系粒子
の粒子径としては、沈降法による平均粒子径で4.0μ
m以下を、好ましくは1.8μm以下、更に好ましくは
0.8μm以下を挙げることができる。A層においては
各種滑剤が少量、好ましくは実質的に無添加であること
が好ましい。
【0014】本発明におけるフイルムのトータル厚さは
特に限定されないが、2〜150μm程度が適当であ
り、好ましくは8〜60μm、更に好ましくは12〜4
0μmの範囲である。A、B、C層の厚さ比は特に限定
されないが、A層の厚さとしては1〜10μmであるこ
とが望ましい。
【0015】本発明においては、衝撃吸収層である中央
層Bの固有粘度IVB と、A層、C層のうち固有粘度が
大きい層の固有粘度IVM は、IVM ≧IVB +0.0
5の関係を満足する必要がある。これは、表面側の耐久
性、強度をあるレベル以上に確保しつつ、中央層Bに衝
撃吸収性をもたせるためである。
【0016】本発明においては、A層の融解ピーク温度
A (℃)と、C層の融解ピーク温度TC (℃)は、T
A ≧TC +1なる関係を満足することが好ましい。この
関係を満足させることにより、一方の表面側に接着性
を、他面側に耐衝撃性をもたせて、接着性と耐衝撃性を
うまくバランスさせることができる。ここで樹脂の融解
ピーク温度は、パーキンエルマー社製のDSCを用い、
昇温速度10℃/分で測定したものである。
【0017】本発明でポリエステル系樹脂を使用する場
合、その製法は特に限定されないが、直重法で合成され
た樹脂が味覚保香性の点でより好ましい。又固相重合等
の方法でアルデヒド類を減少させた場合、味覚保香性の
点で更に好ましくなる。又重合触媒としてはアンチモ
ン、ゲルマニウムを挙げることができるが、味覚保香性
の点でゲルマニウムが好ましい。また必要に応じ他の添
加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯
電防止剤、着色剤、顔料、増白剤等を添加してもよい。
【0018】また、本発明のフイルムが貼り合わされる
金属板としては、ブリキ、ティンフリースティール、ア
ルミニウム等を代表例として挙げることができる。これ
らの金属板は適宜、表面に有機、無機処理が施されてい
てもよい。
【0019】次に、本発明の代表的製法を説明するが、
これに限定されるものではない。所定の粘度(通常は固
有粘度にて0.45〜1.50)を有する樹脂A、B、
Cに適宜滑剤処方を施した後、必要に応じ乾燥する。該
乾燥原料A、B、Cを3台の押出機を用いて各々溶融混
合する。脱気孔を有する押出機を用いる場合は乾燥を省
略してもよいし、又押出機途中で各種添加剤を添加して
もよい。該樹脂A、B、Cを溶融状態で積層後、冷却ロ
ール上でフイルムに成形する。延伸して使用する場合、
常温〜200℃の範囲で2.0〜10.0倍縦方向に延
伸し、必要に応じ常温〜200℃の範囲で2.0〜1
0.0倍横方向に延伸し、常温〜300℃の範囲で必要
に応じ弛緩しつつ熱処理を行う。樹脂A、B、Cの積層
は上述したように行ってもよいし、縦一軸延伸フイルム
上に溶融状態でラミネート積層してもよい。又、一軸延
伸後に積層し、さらに横方向に延伸を行ってもよい。ま
た、積層後同時二軸延伸を施してもよい。
【0020】〔測定法〕 (1)深絞り加工性 265℃に加熱したティンフリースティールに所定のフ
イルムを貼り合わせた後、フイルム側から冷却ロールで
冷却した後水冷する。このようにして得られたフイルム
貼り合わせ金属板を、250mm径の円板状に切り出し
た後、フイルム面を内面として加熱成形機を用いて絞り
比1.3に成形する。このようにして得られた缶に対
し、目視判定及び防錆性テストを行う。防錆性は、1%
NaCl水を缶に入れ、缶体を陽極に、NaCl中に陰
極を挿入し、6Vの電圧印加時の電流値で判定した。外
観異常がなく、電流値が0.15mA以下を「○」、そ
れ以外を「×」と判定した。
【0021】(2)耐衝撃性 (1)の条件で製缶した深絞り缶に水を満たした後密閉
する。成缶品及び120℃×30時間のレトルト処理を
施したもの50個について、高さ1.5mより15°に
傾斜した床上に落とした後、(1)に述べた条件で防錆
性を評価する。 全数0.20mA以下 : ○ 8個以上が0.20mA以下: △ それ以外 : × とし、○、△を実用に供し得ると判定した。
【0022】(3)味覚保香性 オレンジ飲料、コーヒーを封入し、1週間放置した後そ
の香を評価した。 封入前のコーヒーと全く同等に感じるもの : ◎ 封入前のコーヒーと略同等に感じるもの : ○ やや香が劣ると感じるもの : △ 大きく劣るもの : × とし、△以上を実用に供し得ると判定した。
【0023】
【実施例】実施例1〜、比較例1、2 樹脂Aとして、酸成分がテレフタル酸(T)からなり、
アルコール成分がエチレングリコール(E)からなるポ
リエチレンテレフタレート(PET)とイソフタル酸
(I)とがモル比(%)で88/12の組成を有する樹
脂に二酸化ケイ素(SiO2 )を0.10重量%添加し
たポリエステルを用いた。ただし、実施例においては
イソフタル酸(I)を10モル%、実施例においては
イソフタル酸を10モル%、セバチン酸(S)を2モル
%と変更し、融解ピーク温度を235℃とした。また極
限粘度(IV)を実施例1では0.73、実施例2〜6
では0.80、比較例1、2では0.65に設定した。
また、A層の厚みは11μmとした。
【0024】樹脂Bとして、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)とイソフタル酸(I)とがモル比(%)で
88/12、融解ピーク温度が229℃のものを用い、
二酸化ケイ素を0.10重量%添加した。ただし実施例
においては、二酸化ケイ素の代りに二酸化チタン(T
iO2 )を7.0重量%添加したものに変更した。ま
た、固有粘度(IV)は、0.65(ただし比較例2は
0.80)に調製した。
【0025】樹脂Cとして、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)とイソフタル酸(I)とがモル比(%)で
88/12、融解ピーク温度が229℃のものを用い、
ケイ素を0.10重量%添加した。また、固有粘度を
施例1では0.73、実施例2〜6では0.80、比較
例1、2では0.65に設定した。
【0026】上記樹脂A、B、Cをそれぞれ異なる押出
機に供給し、溶融押出して積層し、積層シートとしてキ
ャストした。この未延伸シートを延伸温度110℃、延
伸倍率3.3倍にてフイルム長手方向に延伸した。得ら
れた一軸延伸フイルムをテンターに導き、延伸温度11
5℃、延伸倍率3.2倍にてフイルム幅方向に延伸し
た。二軸に延伸されたフイルムを、一旦冷却後、185
℃、フイルム長手方向弛緩率2%、フイルム幅方向弛緩
率4%で弛緩処理を施しつつ熱固定した。ただし実施例
では未延伸のままとした。
【0027】得られたフイルムの特性を表1に示す。表
1に示すように、本発明で特定した、中央層Bが衝撃吸
収層として構成され、かつ、中央層Bの固有粘度IV B
とA層、C層のうち固有粘度の大きい方の層の固有粘度
IV M が、IV M ≧IV B +0.05なる関係にある、
という要件に適合するものは、深絞り加工性、耐衝撃性
(レトルト処理前、レトルト処理後)、味覚保香性共に
優れていたが(実施例1〜)、前記要件に適合しない
ものは、とくにレトルト処理後の耐衝撃性を満足するこ
とができなかった(比較例1、2)。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の金属貼り
合わせ用フイルムによるときは、樹脂A、B、Cの3層
積層構成とし、中央層Bの固有粘度を層A、Cの固有粘
度の大きい方に対して特定の関係の範囲とし、かつ、
央層Bを衝撃吸収層としたので、深絞り加工等の成形
性、耐衝撃性、味覚保香性に優れたフイルムを得ること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芝辻 邦雄 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ 株式会社 滋賀事業場内 (56)参考文献 特開 平6−218895(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C08J 5/18

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂A、B、C層よりなる3層積層フイ
    ルムであって、前記中央層Bの固有粘度IV B と前記A
    層、C層のうち固有粘度の大きい方の層の固有粘度IV
    M が、IV M ≧IV B +0.05なる関係にあり、か
    つ、中央層Bが衝撃吸収層であることを特徴とする金属
    貼り合わせ用フイルム。
  2. 【請求項2】 前記A層がポリエステル系2軸延伸フイ
    ルムであり、C層が熱融着性である請求項1の金属貼り
    合わせ用フイルム。
  3. 【請求項3】 前記中央層Bが、粒子高充填層である請
    求項1の金属貼り合わせ用フイルム。
  4. 【請求項4】 前記A層の融解ピーク温度T A (℃)
    と、C層の融解ピーク温度T C (℃)が、T A ≧T C
    1なる関係にある請求項1の金属貼り合わせ用フイル
    ム。
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