JP2855533B2 - 飲食品用酸味料 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、飲食品用の有機酸の酸味質を改良した酸味
料に関するものである。

（従来の技術） ある種の化合物の少量を食品に添加することにより、
その食品の風味が改善されるという事実は、古くから知
られており、わが国においても、これらの知見をもと
に、安全性も加味し、多くの化合物が食品添加物の指定
を受けている。そして、種々の飲食品に広く用いられて
いる。

酸味料に限っても、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳
酸、酢酸、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、フマ
ル酸、フマル酸一ナトリウム、リン酸といった有機なら
びに無機の化合物が指定を受けている。今後さらに指定
は増えて行くものと考えられる。

これらの酸味料を飲食品に添加する場合、上記の化合
物を単独で加える場合も多いが、酸味の強さ、酸味の
質、他の味とのバランスなとを総合的に引き立てるため
に、これらの２種類以上を組み合わせる例も一般的であ
る。例えば、クエン酸とリンゴ酸、クエン酸とリンゴ酸
と酒石酸なだを組み合わせたりすることである。また、
これらの酸味料と同一または異なる酸味料のナトリウム
塩を組み合わせる方法もある。

しかし、いずれも組み合わせた酸味料の相加的ないし
相乗的効果が出るのみである。新規な味、従来知られて
いないような味の発見、すなわち、転換効果については
その例をみない。

（発明が解決しようとする課題） 本発明は、組み合わせた酸味料の相加的ないし相乗的
効果でなく、まったく元の化合物とは異なった酸味が発
現され、従来知られていなかったような良酸味の飲食品
用酸味料を提供することを目的とするものである。

（課題を解決するための手段） 本発明者らは、上記の如き問題意識をもって研究を行
った結果、イタコン酸を従来指定を受けている酸味料に
適当量添加すると、元の酸味量とは異なった良質の酸味
を呈し、また、飲食品にこのイタコン酸添加の酸味量を
加えた場合においても、その効果がよく発揮されること
を知り、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明
は、有機酸にイタコン酸を１〜24％添加してなることを
特徴とする飲食品用酸味料である。

本発明に用いるイタコン酸は、1989年に新規に酸味料
として食品添加物の指定を受けた化合物で、アスペルギ
ルス テレウス（Aspergillusterreus）に属する糸状菌
などを用いて、発酵法によって製造されるものである。
酸味質としては、独特の旨味様の酸味を持つが、単独で
使用した場合、他の有機酸のような清涼感のある酸味は
得られない。しかし、このイタコン酸を他の有機酸に対
して適当量添加することによって、より良質の酸味配合
物を得ることが可能になった。また、本発明において、
このイタコン酸と組み合わせる酸味料は、食品添加物の
指定を受けているものであればいずれでもよいが、クエ
ン酸、酒石酸およびリンゴ酸が望ましい。

これらの酸味料に対し、イタコン酸を１〜24％、好ま
しくは２〜20％添加することにより、従来の酸味料の組
合せでは見られなかった前記の味の転換といった効果が
見られた。

さらに、イタコン酸を添加することにより、ケーキン
グを起こし難くなるという効果も見られた。

イタコン酸と各酸味料とは、結晶でも粉末状態でも混
合してよい。また、溶液状態で混合して製品にすること
もできる。

（発明の効果） 本発明によれば、良酸味の酸味料を安全に、かつ、容
易に得ることができる。

（実施例） 以下に、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明す
る。

実施例１ グレープフルーツジュース 仕込量 100.00g 異性化液糖 10.00g 酸味料 0.30g 天然香料 適量 グレープフルーツエッセンス 適量 上記配合のグレープフルーツジュースに酸味料とし
て、クエン酸、イタコン酸およびこれらの混合物を用
い、15名のパルスにより官能検査を行った。検査は下記
の５段階絶対評価により行った。対照としては、クエン
酸とリンゴ酸の混合物を用いた。

２点：良い １点：やや良い ０点：どちらでもない −１点：やや悪い −２点：悪い その結果を表１に示す。

実施例２ アップルジュース 仕込量 100.00g 異性化液砂糖 10.00g 酸味料 0.23g 天然香料 適量 アップルエッセンス 適量 上記配合のアップルジュースに酸味料として、リンゴ
酸、イタコン酸およびこれらの混合物を用い、15名のパ
ネルにより官能検査を行った。検査は下記の５段階絶対
評価により行った。対照として、リンゴ酸とクエン酸の
混合物を用いた。

２点：良い １点：やや良い ０点：どちらでもない −１点：やや悪い −２点：悪い その結果を表２に示す。

実施例３ グレーブジュース 仕込量 100.00g 異性化液砂糖 12.70g 酸味料 0.22g 天然香料 適量 グレープエッセンス 適量 上記配合のグループジュースに酸味料として、酒石
酸、イタコン酸およびこれらの混合物を用い、15名のパ
ネルにより官能検査を行った。検査は下記の５段階絶対
評価により行った。対照として、酒石酸のリンゴ酸の混
合物を用いた。

２点：良い １点：やや良い ０点：どちらでもない −１点：やや悪い −２点：悪い その結果を表３に示す。

実施例４ アップルジュース 果汁率50％ 仕込量 100.00g 1/4濃縮果汁 12.50g 異性化液糖 10.00g 酸味料 0.23g 天然香料 適量 上記配合のアップルジュースに酸味料として、リンゴ
酸、イタコン酸およびこれらの混合物を用い、15名のパ
ネルにより官能検査を行った。検査は下記の５段階評価
により行った。対照として、リンゴ酸とクエン酸の混合
物を用いた。

２点：良い １点：やや良い ０点：どちらでもない −１点：やや悪い −２点：悪い その結果を表４に示す。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】有機酸にイタコン酸を１〜24％添加してな
   ることを特徴とする飲食品用酸味料。