JP2853942B2 - 農薬粒剤の製造方法 - Google Patents

農薬粒剤の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は農薬粒剤の製造方法に関
する。各種製剤形態の農薬製剤が実用化されているが、
なかでも近年では容易に水に乳化する性質を有する固型
製剤、とりわけ粒剤が注目されている。本発明はかかる
農薬粒剤の製造方法の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来一般に農薬粒剤の製造方法として、
タルク、ベントナイト、石膏等の水不溶性無機担体やコ
ルク粉末、セルロース粉末等の水不溶性有機担体に、バ
インダーとして水溶性高分子を加え、農薬原体や界面活
性剤等を配合し、更に水を加えて調製した水性組成物を
押出し造粒することが行なわれている(特開昭60−1
42901)。
【0003】ところが、上記のような従来一般の製造方
法には、水不溶性担体を用いることに基因して次のよう
な欠点がある。1)得られる農薬粒剤を水に分散させた
とき、水不溶性担体の凝集物が生成し易く、散布に支障
が大きい。2)得られる農薬粒剤を散布後、水不溶性担
体が土壌中や農作物上に長期間残留する。3)水不溶性
担体に薬効成分が強く吸着され、一旦吸着された薬効成
分はその放徐性が極めて遅いため、薬効成分の利用効率
が悪く、また薬効成分が長期間残留する。
【0004】そこで従来、水不溶性担体を用いることに
よる欠点を解消するため、水不溶性担体の代わりに水溶
性担体を用いる提案がなされている(特開平2−108
604)。この提案は、水溶性担体として、尿素、チオ
尿素、水溶性無機塩、糖類等と、水溶性高分子化合物と
を用いるものである。
【0005】ところが、上記のような水溶性担体を用い
る従来提案には、次のような欠点がある。1)水に安定
乳化できる農薬粒剤を得るのが困難である。特に農薬粒
剤中の農薬原体の濃度を高めるほど、該農薬粒剤を水に
安定乳化させることができなくなる。2)室温で液状の
農薬原体を用いると、又は室温で固状の農薬原体を有機
溶媒に溶かしたものを用いると、農薬粒剤の製造工程に
おいて、また農薬粒剤の貯蔵中や輸送中において、液体
成分の農薬粒剤表面へのブリージングが生じ、製品の商
品価値を低下させるだけでなく、その取扱性や安全性に
も支障をきたす。特に農薬粒剤中の農薬原体の濃度を高
めるほど、かかるブリージングが著しい。3)上記の
1)及び2)に加えて、糖類を用いる場合には更に、造
粒工程や乾燥工程等、農薬粒剤を得る工程で水溶性担体
が変質し易く、そのため得られる農薬粒剤を水に溶解さ
せたときの溶解速度が遅くなり、また乳化安定性も悪く
なる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、従来の水溶性担体を用いた農薬粒剤の押出
し造粒による製造方法では、得られる農薬粒剤の水に対
する溶解速度が遅い、乳化安定性が悪い、ブリージング
を生じる、という点であり、これらは特に農薬粒剤中の
農薬原体の濃度を高めるほど著しく、したがって農薬原
体を高濃度に含有する高品質の農薬粒剤を得ることがで
きない、という点である。
【0007】
【課題を解決するための手段】しかして本発明者らは、
上記課題を解決するべく鋭意研究した結果、担体として
特定の芳香族化合物と水溶性高分子化合物とを所定割合
で配合した水溶性担体を用い、該水溶性担体に対し所定
割合で実質的に水不溶性であり且つ融点が70℃以下の
農薬原体を含有し、また該農薬原体に対し所定割合で界
面活性剤を含有する水性組成物を押出し造粒することが
正しく好適であることを見出した。
【0008】すなわち本発明は、1)芳香族カルボン酸
の塩及び2)芳香族カルボン酸と芳香族カルボン酸の塩
との混合物から選ばれる芳香族化合物と水溶性高分子化
合物とが該芳香族化合物/該水溶性高分子化合物=99
/1〜65/35(重量比)の割合から成る担体100
重量部に対し実質的に水不溶性であり且つ融点が70℃
以下の農薬原体を12〜100重量部の割合で含有し、
また該農薬原体100重量部に対し界面活性剤を5〜1
00重量部の割合で含有する水性組成物を押出し造粒す
ることを特徴とする農薬粒剤の製造方法に係る。
【0009】本発明において、担体を構成するのは芳香
族化合物と水溶性高分子化合物とであり、該芳香族化合
物は、1)芳香族カルボン酸の塩、2)芳香族カルボン
酸と芳香族カルボン酸の塩との混合物、以上の1)及び
2)から選ばれるものである。
【0010】担体を構成する芳香族化合物としては、
1)安息香酸、トルイル酸、ナフタレンモノカルボン酸
等の芳香族モノカルボン酸の塩、2)フタル酸、イソフ
タル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸等の芳香族ジカルボン酸の塩、3)トリメリット酸、
ピロメリット酸等の芳香族トリ又はテトラカルボン酸の
塩、4)以上例示したような芳香族カルボン酸の塩と芳
香族カルボン酸との混合物が挙げられる。
【0011】以上例示したような芳香族カルボン酸の塩
には、それらの完全中和塩及び遊離のカルボキシル基を
有する部分中和塩が包含される。かかる芳香族カルボン
酸の塩としては、1)ナトリウム、カリウム、リチウム
等のアルカリ金属塩、2)カルシウム、マグネシウム、
バリウム等のアルカリ土類金属塩、3)アルカノールア
ミン、第四級アンモニウム等の有機塩が挙げられる。
【0012】担体を構成する芳香族化合物として芳香族
カルボン酸の塩のみを用いる場合には、安息香酸ナトリ
ウム塩、フタル酸水素ナトリウム塩、イソフタル酸水素
カリウム塩、トリメリット酸2水素ナトリウム塩等の芳
香族カルボン酸アルカリ金属塩を用いるのが好ましい。
また担体を構成する芳香族化合物として芳香族カルボン
酸アルカリ金属塩と芳香族カルボン酸との混合物を用い
る場合には、該芳香族カルボン酸アルカリ金属塩におい
て塩形成に関与しているカルボキシル基の数を1分子中
n個とするとき、双方の比率が芳香族カルボン酸アルカ
リ金属塩/芳香族カルボン酸=1/(2n−1)〜1/
(n−1)(モル比)の範囲となるものを用いるのが好
ましい。具体的には、芳香族カルボン酸モノアルカリ金
属塩/芳香族カルボン酸≧1/1(モル比)、芳香族カ
ルボン酸ジアルカリ金属塩/芳香族カルボン酸=1/3
〜1/1(モル比)、芳香族カルボン酸トリアルカリ金
属塩/芳香族カルボン酸=1/5〜1/2(モル比)と
なるものを用いるのが好ましい。
【0013】担体を構成する水溶性高分子化合物には、
天然高分子化合物、天然高分子化合物変性品及び合成高
分子化合物等、いずれも公知のものが包含される。かか
る水溶性高分子化合物としては、1)キサンタンガム、
アラビアゴム、グアーガム等の天然高分子化合物、2)
ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロ
ース等の天然高分子化合物変性品、3)ポリビニルアル
コール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル
アミド、ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリアルコキシル
化ポリアルキレンポリアミン、炭素数が4又は5のオレ
フィンと無水マレイン酸との共重合物の塩、スチレンと
無水マレイン酸との共重合物の塩等の合成高分子化合物
が挙げられるが、なかでもポリビニルアルコール、部分
ケン化されたポリ酢酸ビニル、ヒドロキシエチルセルロ
ース等、水中でイオン解離性のない非イオン性水溶性高
分子化合物が好ましい。
【0014】本発明において、担体は以上説明したよう
な芳香族化合物と水溶性高分子化合物とから構成される
ものであり、且つ該芳香族化合物/該水溶性高分子化合
物=99/1〜65/35(重量比)、好ましくは90
/10〜75/25(重量比)の割合から成るものであ
る。
【0015】本発明において、農薬原体は実質的に水不
溶性のものであり、具体的には常温の水に対する溶解度
が1%以下のものであって、且つ融点が70℃以下のも
のである。その種類に特に制限はないが、殺虫剤、殺菌
剤、除草剤が有利に適用される。
【0016】かかる殺虫剤としては、1)O,O−ジエ
チル−O−(2−イソプロピル−4−メチル−6−ピリ
ミジル)チオホスフェート(ダイアジノン)、O,O−
ジメチル−O−(4−メチルチオ−m−トリル)チオホ
スフェート(MPP)、O,O−ジメチル−O−(4−
ニトロ−m−トリル)チオホオスフェート(MEP)、
O,O−ジプロピル−O−(4−メチルチオフェニル)
ホスフェート(プロパホス)、S−α−エトキシカルボ
ニルベンジル−O,O−ジメチルホスホロジチオエート
(エルサン)等の有機リン酸エステル系殺虫剤、2)2
−(4−エトキシフェニル)−2−メトキシプロピル−
3−フェノキシベンジルエーテル(トレボン)、(R
S)−α−シアノ−フェノキシベンジル(RS)−α−
イソプロピル−4−クロロフェニルアセテート(スミサ
イジン)、(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベン
ジル(RS)−2,2−ジクロロ−1−(4−エトキシ
フェニル)シクロプロパンカルボキシレート(シクロサ
ール)等のピレスロイド系殺虫剤、3)O−sec−ブ
チルフェニルメチルカーバメイト(BPMC)等のカー
バメイト系殺虫剤が挙げられる。
【0017】また殺菌剤としては、1)ジイソプロピル
−1,3−ジチオラン−2−イリデンマロネート(イソ
プロチオラン)等の有機硫黄剤系殺菌剤、2)S−ベン
ジル−O,O−ジイソプロピルホスホロチオエート(I
BP)、O−エチル−S,S−ジフェニルホスホロジチ
オエート(ヒノザン)等の有機リン酸エステル系殺菌剤
が挙げられる。
【0018】更に除草剤としては、1)S−4−クロロ
ベンジルジエチルチオカーバメイト(サターン)、S−
エチルパーヒドロアゼピン−1−カルボチオエート(モ
リネート)、S−1−メチル−1−フェニルエチルピペ
リジン−1−カルボチオエート(ジメピペレート)等の
カーバメイト系除草剤、2)2−クロロ−2’,6’−
ジエチル−N−(ブトキシメチル)アセトアニリド(ブ
タクロール)、2−クロロ−2’,6’−ジエチル−N
−(メトキシメチル)アセトアニリド(アラクロー
ル)、2−クロロ−2’,6’−ジエチル−N−(2−
プロポキシエチル)アセトアニリド(プレチラクロー
ル)等の酸アミド系除草剤、3)2,4−ジクロロフェ
ノキシアセテート(2,4PA)、S−エチル−4−ク
ロロ−2−メチルフェノキシチオアセテート(フェノチ
オール)等のフェノキシ酢酸系除草剤、4)α,α,α
−トリフルオロ−2,6−ジニトロ−N,N−ジプロピ
ル−p−トルイジン(トリフルラリン)、N−ブチル−
N−エチル−α,α,α−トリフルオロ−2,6−ジニ
トロ−p−トルイジン(ベスロジン)等のジニトロアニ
リン系除草剤が挙げられる。
【0019】本発明において、界面活性剤は、その種類
を特に限定されないが、なかでも非イオン界面活性剤、
アニオン界面活性剤又はこれらの併用物が有利に適用で
きる。
【0020】かかる非イオン界面活性剤としては、1)
ポリオキシアルキレン(以下、単にPOAという)スチ
リルフェニルエーテル、POAベンジルフェニルエーテ
ル、POAアルキルフェニルエーテル等のフェニル基に
置換基を有するPOAフェニルエーテル類、2)前記
1)のフェニル基に置換基を有するPOAフェニルエー
テル類のホルマリン縮合物、3)ソルビタン脂肪酸部分
エステル、グリセリン脂肪酸部分エステル、ショ糖脂肪
酸部分エステル等の多価アルコール脂肪酸部分エステル
類、4)前記3)の多価アルコール脂肪酸部分エステル
類にアルキレンオキサイドを付加して得られるPOA多
価アルコール脂肪酸部分エステル、5)ブロックドポリ
オキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコール等が
挙げられる。いずれも、POAを形成することとなるア
ルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プ
ロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドとプロピレ
ンオキサイドとの混合物が挙げられるが、アルキレンオ
キサイドの付加モル数が5〜50モルの範囲のものが好
ましい。またブロックドポリオキシエチレン・ポリオキ
シプロピレングリコールとしては、分子量が2000〜
20000であり、且つオキシエチレン/オキシプロピ
レン=50/50〜90/10(モル比)の範囲のもの
が好ましい。
【0021】またアニオン界面活性剤としては、1)前
記のフェニル基に置換基を有するPOAフェニルエーテ
ル類の硫酸エステル塩又はリン酸エステル塩、2)アル
キルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホ
ン酸塩等のアルキルアリルスルホン酸塩、3)リグニン
スルホン酸塩、4)ジアルキルスルホコハク酸塩が挙げ
られるが、なかでも1)が好ましい。
【0022】更に非イオン界面活性剤とアニオン界面活
性剤との併用物としては、前記のフェニル基に置換基を
有するPOAフェニルエーテル類と前記のアルキルベン
ゼンスルホン酸塩との併用物が好ましい。本発明におい
て界面活性剤の選択は農薬用界面活性剤に関する公知の
技術を適用して行うことができる。
【0023】本発明では以上説明したような担体、農薬
原体及び界面活性剤を含有する水性組成物を用いる。該
水性組成物は農薬原体を担体100重量部に対し12〜
100重量部の割合で、好ましくは30〜90重量部の
割合で含有しており、また界面活性剤を農薬原体100
重量部に対し5〜100重量部の割合で、好ましくは1
0〜50重量部の割合で含有している。
【0024】本発明では先ず、芳香族化合物、水溶性高
分子化合物、農薬原体及び界面活性剤をそれぞれ所定割
合で含有する水性組成物を調製する。該水性組成物は通
常、乳濁状の水性ペースト状に調製される。その固型分
濃度や粘度は、後の押出し造粒が可能な限り特に制約さ
れないが、通常固型分濃度30〜90重量%、粘度10
00〜100万センチポイズである。
【0025】水性組成物の調製について1例を挙げる
と、水溶性高分子化合物の水溶液中に農薬原体と界面活
性剤とを機械的撹拌下に加えて均一乳濁液を調製し、そ
してこの均一乳濁液中へ芳香族化合物の粉末、その水性
液又はその水性ペーストを加えて均一混合する。均一混
合に際しては、粘性が大きくなるため、ニーダーを用い
るのが好ましい。
【0026】水性組成物を調製するに当たり、融点が室
温以下の液体農薬原体を用いる場合には前述したような
調製方法がそのまま適用されるが、融点が室温以上の固
体農薬原体を用いる場合には該固体農薬原体を有機溶媒
に溶解しておいた溶液を使用できる。かかる有機溶媒と
しては、沸点が150℃以上のもので、製剤工程におい
て蒸発や発臭等の支障がないものが好ましく、更には担
体を溶解若しくは膨潤させない、すなわち担体の型状保
持性を阻害しないものが好ましい。具体的には、鉱物
油、植物油、高級脂肪酸エステル類、芳香族炭化水素系
溶媒等が挙げられるが、これらの有機溶媒は固体農薬原
体100重量部に対し100重量部以下の割合となるよ
うに用いる。
【0027】本発明では、かくして調製した水性組成物
を押出し造粒する。押出し造粒方法それ自体は特に限定
されず、公知の押出し造粒方法が適用できる。かかる押
出し造粒方法としては、ペレッタイザー型造粒機を用い
る方法、バスケット型造粒機を用いる方法等が挙げられ
る。押出し造粒したものを、適宜に切断、乾燥、整粒し
て、所望の農薬粒剤を得る。
【0028】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の
構成及び効果をより具体的にするが、本発明が該実施例
に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及
び比較例において、部は重量部を、また%は重量%を意
味する。
【0029】
【実施例】
試験区分1(農薬粒剤の製造) ・実施例1〜6及び比較例1〜4 サターン45部、ポリオキシエチレン(15モル)ジス
チリルフェニルエーテル2部及びドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム1.5部をとり、均一に混合した。こ
れをポリビニルアルコールの10%水溶液100部に加
え、ホモジナイザーを通して、固型分濃度約40%の均
一な乳化液とした。この乳化液に粉末状の安息香酸ナト
リウム塩を加え、ニーダーで均質になるまで混練し、固
型分濃度約62%の乳濁泥状の水性組成物を調製した。
この水性組成物をバスケット型押出し造粒機(スクリー
ン孔径0.6mm)に供して押出し造粒した後、流動床式
乾燥機を用いて60℃で乾燥し、長さ約2mmに整粒し
て、サターン30%を含有する農薬粒剤(実施例1)を
得た。以下同様にして、表1に記載の組成を有する農薬
粒剤(実施例2〜6及び比較例1〜4)を得た。
【0030】・実施例7〜9及び比較例5〜7 サターン70部、ポリオキシエチレン(15モル)ジス
チリルフェニルエーテル4.5部及びドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム4部をとり、均一に混合した。こ
れをポリビニルアルコールの7.5%水溶液133部に
加え、ホモジナイザーを通して、固型分濃度約42%の
均一な乳化液とした。別に、安息香酸41.3部及び安
息香酸ナトリウム塩48.7部の混合物{1/1(モル
比)混合物}に水110部を加え、均一に混練し、固型
分濃度45%の乳濁状のペーストとした。このペースト
に前記の乳化液を加え、ニーダーで均質になるまで混練
し、乳濁泥状の水性組成物を調製した。そして以下、実
施例1の場合と同様に、この水性組成物を押出し造粒、
乾燥、整流して、サターン約39%を含有する農薬粒剤
(実施例7)を得た。以下同様にして、表2に記載の組
成を有する農薬粒剤(実施例8,9及び比較例5〜7)
を得た。
【0031】・比較例8〜11 サターン21部にポリオキシエチレン(15モル)ジス
チリルフェニルエーテル6部及びドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム4部を加えて混合した後、これに粉末
チオ尿素35部及び芒硝24部を加えて均一混合した。
これにカルボキシメチルセルロースの20%水溶液12
部を加えて再び混練した。これをバスケット型押出し造
粒機(スクリーン孔径0.6mm)を用いて押出し造粒
し、50〜55℃で2時間、流動床式乾燥機内で乾燥し
た後、1〜2mm長に整粒し、農薬粒剤(比較例8)を得
た。以下同様にして、表3に記載の組成を有する農薬粒
剤(比較例9〜11)を得た。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】表1〜表3において、 表中数値:部 A−1:安息香酸ナトリウム塩 A−2:安息香酸ナトリウム塩/安息香酸=4/1(モ
ル比)混合物 A−3:安息香酸ナトリウム塩/安息香酸=1/1(モ
ル比)混合物 A−4:フタル酸水素ナトリウム塩 A−5:フタル酸ジナトリウム塩/フタル酸=1/1
(モル比)混合物 A−6:トリメリット酸トリカリウム塩/安息香酸=1
/3(モル比)混合物 B−1:ポリビニルアルコール B−2:グアーガム C−1:サターン C−2:エルサン C−3:プレチアクロール D−1:ポリオキシエチレン(15モル)ジスチリルフ
ェニルエーテル D−2:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム D−3:ポリオキシエチレン(25モル)ベンジルフェ
ニルフェノールホルマリン縮合物 D−4:ポリオキシエチレン(15モル)ジスチリルフ
ェニルエーテルサルフェートアンモニウム E−1:チオ尿素 E−2:芒硝 E−3:クエン酸ジナトリウム E−4:コハク酸モノナトリウム E−5:デキストリン E−6:カルボキシメチルセルロース E−7:ポリビニルアルコール
【0036】試験区分2(農薬粒剤の評価) 試験区分1で得た各農薬粒剤について、溶解速度を下記
の方法1で測定し、また乳化安定性を下記の方法1、方
法2及び方法3で評価して、更に液体成分のブリージン
グ性を下記の方法4、方法5及び方法6で評価した。結
果を表4にまとめて示した。
【0037】・方法1 20℃の3度硬水100mlを共栓付シリンダーにとり、
これに農薬粒剤1g相当を投入した。投入後、直ちにシ
リンダーを転倒し、以後2秒間隔で転倒を繰返して、合
計10回の転倒を行なった。この操作の過程で農薬粒剤
が完全に崩壊したときまでの転倒回数を測定し、これを
溶解速度の指標とした。転倒回数の少ないもの程、溶解
速度が早いことを示す。また合計10回の転倒を行な
い、シリンダー内の水性液について、その乳化分散状態
を肉眼観察し、次の基準で乳化安定性を評価した。 ○:未分散粒子、分離物及び沈澱物等が殆どない △:未分散粒子、分離物及び沈澱物等が少し認められる ×:未分散粒子、分離物及び沈澱物等が多い
【0038】・方法2 20℃の3度硬水100mlを共栓付シリンダーにとり、
これに農薬粒剤1g相当を投入した。5分間静置した
後、シリンダーを転倒した。直ちにシリンダー内の水性
液について、乳化分散状態を肉眼観察し、方法1と同じ
基準で乳化安定性を評価した。
【0039】・方法3 撹拌機を付した容器に20℃の3度硬水1000mlをと
り、これを150rpmの回転速度で撹拌しつつ、この中
へ農薬粒剤10g相当を一気に投入し、3分間撹拌を続
けた。直ちにシリンダー内の水性液について、乳化分散
状態を肉眼観察し、方法1と同じ基準で乳化安定性を評
価した。
【0040】・方法4 製造直後の農薬粒剤の表面における液体成分の浸出程度
を肉眼観察し、次の基準で液体成分のブリージング性を
評価した。 ○:液体成分の浸出が殆どない △:液体成分の浸出が少し認められる ×:液体成分の浸出が多い
【0041】・方法5 農薬粒剤1kg相当をポリエチレン袋にとり、密閉、梱包
した。これを10×10cmの底面積を有する型枠の中に
収納し、梱包物に直接10kgの符重がかかるようにして
40℃の恒温器中に放置した。24時間後、梱包を開い
て農薬粒剤を取り出し、その表面における液体成分の浸
出程度を肉眼観察して、方法4と同じ基準で液体成分の
ブリージング性を評価した。
【0042】・方法6 農薬粒剤10粒を濾紙上にとり、これを1粒ずつ、10
0gの分銅を用い垂直に荷重をかけて押しつぶした。押
しつぶした農薬粒剤の破砕物の周辺の濾紙上における液
体成分のにじみ出し程度を肉眼観察し、方法4と同様の
基準で液体成分のブリージング性を評価した。
【0043】
【表4】
【0044】
【発明の効果】既に明らかなように、以上説明した本発
明には、押出し造粒による農薬粒剤の製造において、薬
効成分の溶解速度が早く、また乳化安定性が良く、更に
ブリージングを生じない、農薬原体を高濃度に含有する
高品質の農薬粒剤を製造できるという効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A01N 33/18 A01N 33/18 B 47/12 47/12 A (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A01N 25/08 - 25/30 A01N 33/18 A01N 47/12 WPI/L(QUESTEL)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1)芳香族カルボン酸の塩及び2)芳香
    族カルボン酸と芳香族カルボン酸の塩との混合物から選
    ばれる芳香族化合物と水溶性高分子化合物とが該芳香族
    化合物/該水溶性高分子化合物=99/1〜65/35
    (重量比)の割合から成る担体100重量部に対し実質
    的に水不溶性であり且つ融点が70℃以下の農薬原体を
    12〜100重量部の割合で含有し、また該農薬原体1
    00重量部に対し界面活性剤を5〜100重量部の割合
    で含有する水性組成物を押出し造粒することを特徴とす
    る農薬粒剤の製造方法。
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