JP2853486B2 - 車両用自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

車両用自動変速機の変速制御装置

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JP2853486B2
JP2853486B2 JP4302863A JP30286392A JP2853486B2 JP 2853486 B2 JP2853486 B2 JP 2853486B2 JP 4302863 A JP4302863 A JP 4302863A JP 30286392 A JP30286392 A JP 30286392A JP 2853486 B2 JP2853486 B2 JP 2853486B2
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H61/00Control functions within control units of change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion ; Control of exclusively fluid gearing, friction gearing, gearings with endless flexible members or other particular types of gearing
    • F16H2061/0075Control functions within control units of change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion ; Control of exclusively fluid gearing, friction gearing, gearings with endless flexible members or other particular types of gearing characterised by a particular control method
    • F16H2061/0084Neural networks

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  • Control Of Transmission Device (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両用自動変速機の変
速制御装置に関し、特に、運転者の意志を正確に反映し
てキックダウン操作を判定し且つ自動変速機のシフトダ
ウンを実行させる変速制御の技術に関するするものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動変速機を搭載した車両で
は、アクセルペダルの踏込操作によりスロットル弁開度
がそれまでよりも所定量増加させられると、運転者の意
志を反映した駆動トルクを得るために変速線図に従って
自動変速機のシフトダウンが実行される。このうち、ス
ロットル弁開度がその全開付近まで増加させられる強い
踏込み操作が所謂キックダウン操作として知られてい
る。このようなキックダウン操作に基づいてシフトダウ
ンを実行する自動変速機の変速制御装置では、たとえ
ば、特開平1−135950号公報に記載されているよ
うに、それまでのキックダウン踏込操作に対応するスロ
ットル弁開度のピーク値を加重平均することなどにより
予め求めた判断基準値を用い、その判断基準値を実際の
アクセルペダルの操作量すなわちスロットル弁開度が超
えるとキックダウン操作と判定されることにより、自動
変速機のシフトダウンが実行される。
【0003】
【発明が解決すべき課題】ところで、上記のような従来
の変速制御装置では、予め求めた判断基準値に実際のア
クセルペダルの操作量が到達するとキックダウン操作と
判定されて自動変速機のシフトダウンが実行されるよう
に構成されていることから、実際のアクセルペダルの操
作量が上記判断基準値を緩やかに通過するようなゆっく
りとしたアクセルペダルの踏込操作でもキックダウン操
作と判断されるので、運転者の意に反して自動変速機の
シフトダウンが行われる不都合があった。運転者がゆっ
くりとアクセルペダルを踏み込んで行く場合は、そのま
まのギヤ段で加速走行を望んでいる状態であるからであ
る。
【0004】本発明は以上の事情を背景として為された
ものであり、その目的とするところは、運転者のキック
ダウン操作の意志を正確に反映して自動変速機のシフト
ダウンを実行する車両用自動変速機の変速制御装置を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するた
めの本発明の要旨とするところは、アクセルペダルのキ
ックダウン操作に応答して自動変速機をダウンシフトさ
せる車両用自動変速機の変速制御装置であって、(1) 前
記アクセルペダルの踏込操作の開始位置を検出するアク
セルペダル踏込開始位置検出手段と、(2) そのアクセル
ペダルの踏込操作時における操作速度を算出する操作速
度算出手段と、(3) 前記アクセルペダルの操作開始位置
および操作速度が入力されるニューラルネットワークを
備え、そのニューラルネットワークの出力に基づいて前
記キックダウン操作を判定するキックダウン判定手段
と、(4) 前記アクセルペダルの踏込操作が行われた状態
において、前記キックダウン判定手段によりキックダウ
ン操作であると判定されない場合には、そのアクセルペ
ダルの踏込操作から所定の時間内に、そのアクセルペダ
ルの戻し操作が行われ且つその戻し操作の直前の踏込操
作と同等以上の速度で再び踏込操作が行われたことに基
づいてキックダウン操作であると判定し、前記ニューラ
ルネットワークに教師信号を供給するキックダウン学習
手段と、(5) 前記キックダウン判定手段により前記アク
セルペダルのキックダウン操作であると判定された場合
には、前記自動変速機をシフトダウンさせる変速制御手
段とを、含むことにある。
【0006】
【作用】このようにすれば、ニューラルネットワークを
備えたキックダウン判定手段によりキックダウン操作が
アクセルペダルの踏込操作の開始位置および操作速度に
基づいて判定されると、変速制御手段により自動変速機
のシフトダウンが実行される。また、上記キックダウン
判定手段によりキックダウン操作であると判定されない
場合においても、そのアクセルペダルの踏込操作から所
定の時間内に、そのアクセルペダルの戻し操作が行われ
且つその戻し操作の直前の踏込操作と同等以上の速度で
再び踏込操作が行われると、それは運転者が大きな駆動
力を要求している状態、すなわちキックダウンを要求し
ている状態であるから、キックダウン学習手段では当初
のアクセルペダル踏み込み操作がキックダウン操作であ
ると判定され、そのキックダウン学習手段から上記ニュ
ーラルネットワークへキックダウンを示す教師信号が供
給され、ニューラルネットワークの学習が行われる。
【0007】
【発明の効果】したがって、上記のようにキックダウン
学習手段から供給される教師信号により学習が行われる
ニューラルネットワークを備えたキックダウン判定手段
によりアクセルペダルの踏込操作の開始位置および操作
速度に基づいてキックダウン操作が判定されるので、ア
クセルペダルの比較的ゆっくりとした踏み込み操作であ
っても、運転者のシフトダウンの意志によるキックダウ
ン操作であるか否かが正確に判定され、意に反したシフ
トダウンが好適に防止される。すなわち、たとえばアク
セルペダルの踏込操作の開始位置(操作角度位置)が小
さい状態からキックダウン操作が行われるとアクセルペ
ダルの操作速度が高くなるけれども、アクセルペダルの
踏込操作の開始位置が大きい状態からキックダウン操作
が行われるとアクセルペダルの操作速度が高くならない
ことから、アクセルペダルの踏込操作の開始位置と関連
してアクセルペダルの操作速度が判定されるので、比較
的ゆっくりとした踏み込み操作であっても、運転者の意
志が反映したキックダウン操作の判定が正確に行われる
のである。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。
【0009】図2には、車両の主たる動力伝達装置およ
び制御系統が示されている。図において、車両のエンジ
ン10から出力された動力は、トルクコンバータ12、
自動変速機14、および図示しない差動歯車装置および
車軸を経て図示しない駆動輪へ伝達されるようになって
いる。
【0010】トルクコンバータ12は、クランク軸16
に連結されたポンプ翼車18と、自動変速機14の入力
軸20に連結され且つ流体を介してポンプ翼車18から
動力が伝達されるタービン翼車22と、一方向クラッチ
24を介して位置固定のハウジング26に固定された固
定翼車28と、ポンプ翼車18およびタービン翼車22
をダンパ30を介して直結するロックアップクラッチ3
2とを備えている。このロックアップクラッチ32は、
解放側油室33と係合側油室35との圧力差により係合
制御される。
【0011】自動変速機14は、同軸上に配設された3
組のシングルピニオン型遊星歯車装置34,36,38
と、前記入力軸20と、遊星歯車装置38のリングギア
とともに回転する出力歯車39と前記差動歯車装置との
間で動力を伝達するカウンタ軸(出力軸)40とを備え
ている。それら遊星歯車装置34,36,38の構成要
素の一部は互いに一体的に連結されるだけでなく、3つ
のクラッチC0 ,C1,C2 によって互いに選択的に連
結されている。また、上記遊星歯車装置34,36,3
8の構成要素の一部は、4つのブレーキB0 ,B1 ,B
2 ,B3 によってハウジング26に選択的に連結される
とともに、さらに、構成要素の一部は3つの一方向クラ
ッチF0 ,F1 ,F2 によってその回転方向により相互
に若しくはハウジング26と係合させられるようになっ
ている。
【0012】上記クラッチC0 ,C1 ,C2 、ブレーキ
0 ,B1 ,B2 ,B3 は、例えば多板式のクラッチや
1本または巻付け方向が反対の2本のバンドを備えたバ
ンドブレーキ等にて構成され、それぞれ図示しない油圧
アクチュエータによって作動させられるようになってい
る。後述の電子制御装置42からの指令に従って作動す
る油圧制御回路44によりそれ等の油圧アクチュエータ
の作動がそれぞれ制御されることにより、図3に示され
ているように変速比γ(=入力軸20の回転速度/カウ
ンタ軸40の回転速度)がそれぞれ異なる前進4段・後
進1段の変速段が得られる。図3において、「1st」,
「2nd」,「3rd」,「O/D(オーバドライブ)」は、そ
れぞれ前進側の第1速ギア段,第2速ギア段,第3速ギ
ア段,第4速ギア段を表しており、上記変速比は第1変
ギア段から第4速ギア段に向かうに従って順次小さくな
る。なお、上記トルクコンバータ12および自動変速機
14は、軸心に対して対称的に構成されているため、第
2図においては入力軸20の回転軸線の下側およびカウ
ンタ軸40の回転軸線の上側を省略して示してある。
【0013】上記油圧制御回路44には、自動変速機1
4のギア段を制御するための変速制御用油圧制御回路
と、ロックアップクラッチ32の係合を制御するための
係合制御用油圧制御回路とが設けられている。変速制御
用油圧制御回路は、ソレノイドNo.1およびソレノイドN
o.2によってそれぞれオンオフ駆動される第1電磁弁4
6および第2電磁弁48を備えており、それら第1電磁
弁46および第2電磁弁48の作動の組み合わせによっ
て図3に示すようにクラッチおよびブレーキが選択的に
作動させられて前記第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段のう
ちのいずれかが成立させられるようになっている。
【0014】また、上記係合制御用油圧制御回路は、ロ
ックアップクラッチ32を解放状態とする解放側位置と
ロックアップクラッチ32を係合状態とする係合側位置
とに切り換える図示しないクラッチ切換弁をオンオフ作
動させる切換用信号圧を発生する第3電磁弁50と、係
合側油室35および解放側油室33の圧力差ΔPを調節
してロックアップクラッチ32のスリップ量を制御する
図示しないスリップ制御弁を作動させるスリップ制御用
信号圧を電子制御装置42からの駆動電流に従って発生
させるリニアソレノイド弁54とを備えている。
【0015】前記電子制御装置42は、CPU60、R
AM62、ROM64、図示しない入出力インターフェ
ースなどを含む所謂マイクロコンピュータであって、そ
れには、エンジン10の吸気配管66に設けられたスロ
ットル弁68の開度θを検出するスロットルセンサ7
0、エンジン10の回転速度を検出するエンジン回転速
度センサ72、自動変速機14の入力軸20の回転速度
を検出する入力軸回転速度センサ74、車速Vを検出す
るために自動変速機14のカウンタ軸40の回転速度を
検出する車速センサ76、シフトレバー78の操作位
置、すなわちL、S、D、N、R、Pレンジのいずれか
を検出する操作位置センサ80から、スロットル弁開度
θを表す信号、エンジン回転速度Ne を表す信号、出力
軸(カウンタ軸40)の回転速度Nout を表す信号、シ
フトレバー78の操作位置Ps を表す信号がそれぞれ供
給されるようになっている。上記スロットル弁68はア
クセルペダル58の踏込操作に伴って開度θを増加させ
るものであるから、上記スロットルセンサ70はアクセ
ルペダル58の操作量(すなわち踏込角度)Aacc も実
質的に検出している。
【0016】電子制御装置42のCPU60は、予めR
OM64に記憶されたプログラムに従って上記入力信号
を処理し、自動変速機14の変速制御のために第1電磁
弁46および第2電磁弁48を駆動制御し、ロックアッ
プクラッチ32の係合制御のために第3電磁弁50およ
びリニアソレノイド弁54を駆動制御する。上記変速制
御では、よく知られているように、予めROM64に記
憶された図4に示す変速線図から、実際の車速Vおよび
スロットル弁開度θに基づいて所定のギヤ段へのシフト
判定が行われる。すなわち、図4において実際の車速V
およびスロットル弁開度θを示す点がアップシフト線或
いはダウンシフト線と交差するとアップシフト判定或い
はダウンシフト判定が行われるのである。そして、その
ようなシフト判定が行われると、所定のギヤ段を成立さ
せるように、図3に示すソレノイドNo.1およびソレノイ
ドNo.2が駆動される。
【0017】また、本実施例の電子制御装置42は、走
行中においてアクセルペダル58がそれまでの操作位置
から強く踏み込み操作されてスロットル弁開度θがたと
えば80%程度に予め定められた判断基準値を超えた場
合には、自動変速機14をシフトダウンさせるためのキ
ックダウン制御をさらに実行する。
【0018】図1は、上記電子制御装置42の制御機能
を説明する機能ブロック線図である。図において、変速
判定手段86では、予め記憶された図4に示す変速線図
から、車速センサ76により検出された実際の車速Vお
よびスロットルセンサ70により検出された実際のスロ
ットル弁開度θに基づいて所定のギヤ段へのシフト判定
が行われ、その判定結果に基づいて変速制御手段88が
自動変速機14のギヤ段を切換制御する。アクセルペダ
ル踏込開始位置検出手段92は、アクセルペダル58が
たとえば80%以上まで比較的大きく踏み込まれたと
き、スロットルセンサ70からの信号に基づいて踏込開
始位置θf を決定する。アクセルペダル操作速度算出手
段94は、アクセルペダル58がたとえば80%以上ま
で比較的大きく踏み込まれたとき、スロットルセンサ7
0からの信号に基づいてアクセルペダル58の踏込操作
速度すなわちスロットル弁開度の最大変化速度(dθ/
dt)max を算出する。キックダウン判定手段96は、
ニューラルネットワーク98とその出力NUと予め設定
された判断基準値KNUとを比較することによりキックダ
ウン操作を判定する比較手段100とを備えている。
【0019】上記ニューラルネットワーク98は、コン
ピュータプログラムによるソフトウエアにより、或いは
電子的素子の結合から成るハードウエアにより生体の神
経細胞群をモデル化して構成されたものであり、たとえ
ば図5に例示されるように構成される。図5において、
ニューラルネットワーク98は、r個の神経細胞要素
(ニューロン)Xi (X1 〜Xr )から構成された入力
層と、s個の神経細胞要素Yj (Y1 〜Ys )から構成
された中間層と、t個の神経細胞要素Zk (Z1
t )から構成された出力層とから構成された3層構造
の階層型である。そして、上記入力層から出力層へ向か
って神経細胞要素の状態を伝達するために、結合係数
(重み)WXij を有して上記r個の神経細胞要素Xi
s個の神経細胞要素Yj とをそれぞれ結合する伝達要素
Xij と、結合係数(重み)WYjk を有してs個の神経
細胞要素Yj とt個の神経細胞要素Zk とをそれぞれ結
合する伝達要素DYjk が設けられている。
【0020】たとえば、上記入力層の各神経細胞要素X
i から中間層の神経細胞要素Yj への出力値がxi であ
るとすると、その中間層の神経細胞要素Yj からの出力
値yj は次式(1) によって表される。また、上記中間層
の各神経細胞要素Yj から出力層の神経細胞要素Zk
の出力値がyj であるとすると、その出力層の神経細胞
要素Zk からの出力値zk は次式(2) によって表され
る。
【0021】
【数1】
【0022】
【数2】
【0023】本実施例のニューラルネットワーク98で
は、上記入力層はアクセルペダル58の踏込操作開始位
置(スロットル弁開度θf )とアクセルペダル58の踏
込操作速度〔スロットル弁開度θの最大変化速度(dθ
/dt)max 〕との2種類の入力データに対応する2個
の神経細胞要素X1 、X2 から構成され、中間層はたと
えば5個の神経細胞要素Y1 〜Y5 から構成され、出力
層は、キックダウン操作の度合を表す1種類の出力に対
応した1個の神経細胞要素Z1 から構成されている。ま
た、本実施例のニューラルネットワーク98では、特定
の種類のキックダウン操作に偏らない多種類の入力と出
力との関係を予め学習させた結果の値が各結合係数W
Xij およびWYjk の値として与えられている。
【0024】本実施例のニューラルネットワーク98
は、図5に示すように、教師信号KYOと出力NUとに基
づいて比較評価する機能と、それら教師信号KYOと出力
NUとの誤差に基づいてそのときの入力信号に対する理
想出力を与えるための学習により重みを修正する機能を
含んでいる。その学習により、所定の結合係数WXij
よびWYjk が、たとえば次式(3) および(4) に従って得
られた重み変更量ΔWXij およびΔWYjk だけ自動的に
修正される。ここで、(3) 式および(4) 式において、E
はニューラルネットワーク98の出力と目標値或いは教
師信号との誤差(2乗誤差)であり、εおよびαは学習
パラメータである。
【0025】
【数3】
【0026】
【数4】
【0027】図1に戻って、キックダウン学習手段10
2は、前記キックダウン判定手段96によりキックダウ
ン操作ではないと判定された場合でも、アクセルペダル
58の戻し操作に続く再踏み込み操作の発生に基づいて
判定し、当初のアクセルペダル58の比較的大きな踏込
操作が運転者のキックダウン意志に基づくものであった
か否かを判定し、判定結果を教師信号KYOとして前記ニ
ューラルネットワーク98へ供給することにより、運転
者のキックダウン意志に基づく初回のアクセルペダル5
8をキックダウン操作と判定できるように学習させる。
【0028】次に、電子制御装置42の制御のうちのキ
ックダウン制御作動を図6に示すフローチャートを用い
て説明する。本実施例において、この図6のフローチャ
ートは、自動変速機14がO/Dギヤ段(第4速ギヤ
段)である車両の走行中においてアクセルペダル58が
比較的大きく踏込操作されて、たとえばスロットル弁開
度θが予め定められた判定値(たとえば80%)を超え
たとき、或いはスロットル弁開度の変化速度が予め定め
られた判定値を超えたときに実行されるものである。
【0029】図6のステップS1は前記アクセルペダル
踏込開始位置検出手段92に対応するものであり、そこ
では、それまでに記憶されたスロットルセンサ70から
の信号に基づいてアクセルペダル58の踏込開始位置、
すなわちその時のスロットル弁開度θf が記憶される。
また、ステップS2は前記図1のアクセルペダル操作速
度算出手段94に対応するものであり、そこでは、スロ
ットルセンサ70からの信号に基づいてアクセルペダル
58の踏込操作過程におけるスロットル弁開度θの最大
変化速度(dθ/dt)max が算出される。図7は、ア
クセルペダル58がたとえば80%以上まで比較的大き
く踏込操作されたときのスロットル弁開度θf およびス
ロットル弁開度θの最大変化速度(dθ/dt)max
それぞれ示している。
【0030】続くステップS3では、たとえば前記図5
に示す予め用意されたニューラルネットワークから、2
種類の入力データ、すなわち上記アクセルペダル58の
踏込開始時のスロットル弁開度θf およびスロットル弁
開度θの最大変化速度(dθ/dt)max に基づいて出
力値NUを演算し、ステップS4では、その出力値NU
が予め定められたキックダウン判断基準値KNUより大き
いか否かが判断される。このキックダウン判断基準値K
NUには、たとえば「0.9」程度の値が用いられる。本
実施例では、上記ステップS3およびS4は、前記図1
のキックダウン判定手段96に対応している。
【0031】上記ステップS4の判断が肯定された場合
には、ステップS5においてシフトダウンの指令が電子
制御装置42から出力されるので、それまでO/Dギヤ
段であった自動変速機14が第3速ギヤ段へ切り換えら
れる。しかし、上記ステップS4の判断が否定された場
合には、ステップS6において、アクセルペダル58の
当初の踏込操作からたとえば5乃至6秒程度の予め定め
られた時間to 内に、アクセルペダル58の急速な戻し
操作と、それに続く踏込操作であって初回の操作速度
(dθ/dt)と同等以上の速度の再踏込操作とが発生
したか否かが、スロットル弁開度θおよびスロットル弁
開度の変化速度dθ/dtに基づいて判断される。車両
の走行中においてキックダウンを期待してアクセルペダ
ル58を踏込操作したにも拘わらず自動変速機14のダ
ウンシフトが発生しなかった場合には、運転者によりア
クセルペダル58が速やかに戻された後、直ちに再踏込
操作が行われることから、上記ステップS6は、そのよ
うな操作の存否に基づいて運転者のキックダウン意志を
検出するのである。
【0032】上記ステップS6の判断が否定された場合
には、ステップS7において、教師信号KYOの内容が
「0」とされる。これにより、前記ニューラルネットワ
ーク98は、このときのアクセルペダル58の踏込操作
の開始位置を示すスロットル弁開度θf およびアクセル
ペダル58の踏込操作速度を示すスロットル弁開度θの
最大変化速度(dθ/dt)max の値ではキックダウン
操作ではないとして学習する。すなわち、ニューラルネ
ットワーク98では、その学習機能により、上記の入力
θf および(dθ/dt)max があったときには出力N
Uが判断基準値KNUより小さい値たとえば「0」となる
ように結合係数が変更されるのである。
【0033】しかし、上記ステップS6の判断が肯定さ
れた場合には、ステップS8においてシフトダウンの指
令が電子制御装置42から出力されるので、それまでO
/Dギヤ段であった自動変速機14が第3速ギヤ段へ切
り換えられる。そして、ステップS9において、教師信
号KYOの内容が「1」とされる。これにより、前記ニュ
ーラルネットワーク98は、このときのアクセルペダル
58の踏込操作の開始位置を示すスロットル弁開度θf
およびその操作速度を示すスロットル弁開度θの最大変
化速度(dθ/dt)max の値はキックダウン操作を表
すものとして学習する。すなわち、ニューラルネットワ
ーク98では、その学習機能により、上記の入力θf
よび(dθ/dt)max があったときには出力NUが判
断基準値KNUより大きい値たとえば「1」となるように
結合係数が変更されるのである。本実施例では、上記ス
テップS6乃至S9が前記図1のキックダウン学習手段
102に対応している。
【0034】本実施例によれば、ニューラルネットワー
ク98を備えたキックダウン判定手段96によりアクセ
ルペダル58の操作量θf およびスロットル弁開度θの
最大変化速度(dθ/dt)max に基づいてキックダウ
ン操作が判定されると、変速制御手段88により自動変
速機14のシフトダウンが実行される。また、上記キッ
クダウン判定手段96によりキックダウン操作であると
判定されない場合においても、そのアクセルペダル58
の初回の踏込操作から所定の時間to 内に、そのアクセ
ルペダル58の戻し操作が行われ且つその戻し操作の直
前の踏込操作と同等以上の速度dθ/dtで再び踏込操
作が行われたと判定されると、それは運転者が大きな駆
動力を要求している状態、すなわちキックダウンを要求
している状態であるから、キックダウン学習手段102
では当初のアクセルペダル踏み込み操作がキックダウン
操作であると判定され、そのキックダウン学習手段10
2から上記ニューラルネットワーク98へキックダウン
を示す教師信号KYOが供給され、ニューラルネットワー
ク98の学習が行われる。
【0035】このようにキックダウン学習手段102か
ら供給される教師信号KYOにより学習が行われるニュー
ラルネットワークを備えたキックダウン判定手段96に
よって、アクセルペダル58の操作量および操作速度に
基づいてキックダウン操作が判定されるので、アクセル
ペダル58の比較的ゆっくりとした踏み込み操作であっ
ても、運転者のシフトダウンの意志によるキックダウン
操作であるか否かが正確に判定され、意に反したシフト
ダウンが好適に防止される。すなわち、たとえばアクセ
ルペダル58の操作量(操作角度位置)が小さい状態か
らキックダウン操作が行われるとアクセルペダル58の
操作速度が高くなるけれども、アクセルペダルの操作量
が大きい状態からキックダウン操作が行われるとアクセ
ルペダル58の操作速度が高くならないことから、キッ
クダウン操作の開始位置と関連してアクセルペダル58
の操作速度が判定されるので、比較的ゆっくりとした踏
み込み操作であっても、運転者の意志が反映したキック
ダウン操作の判定が正確に行われるのである。
【0036】前記ステップS7或いはS9におけるニュ
ーラルネットワーク98の学習に際して、たとえば図8
に示す領域A、領域B、領域C内にそれぞれ存在する所
定数たとえば20個の学習データを用いるようにしても
よい。1個の学習データは、アクセルペダル58の操作
開始位置θf およびアクセルペダル58の操作速度(d
θ/dt)max とそれにより得られた結果である教師信
号KYOとから構成され、新たに発生した教師信号KYO
発生すると、各領域内に存在する学習データのうちの最
も古い学習データと置換されることにより、常に各領域
内の学習データが20個とされる。これにより、ニュー
ラルネットワーク98の学習に際して用いられる学習デ
ータは一定数となるので、そのニューラルネットワーク
98の学習時間が抑制される利点がある。
【0037】以上、本発明の一実施例を示す図面に基づ
いて説明したが、本発明はその他の態様においても適用
される。
【0038】たとえば、前述の実施例のニューラルネッ
トワーク98は入力層、中間層、出力層からなる3層構
造であったが、4層以上の階層型であってもよいし、各
神経細胞要素が相互に結合された相互結合型であっても
差支えない。
【0039】また、前述の実施例では、スロットルセン
サ70を兼用するために、アクセルペダル58の踏込開
始位置としてスロットル弁開度θf が用いられていた
が、アクセルペダル58の操作量Accを検出するアクセ
ルペダルセンサを独立に設けることによりアクセルペダ
ル58の踏込開始位置を直接検出するようにしてもよ
い。同様に、アクセルペダル58の操作速度(dAcc
dt)max を直接的に算出するようにしてもよい。
【0040】また、前述の実施例では、アクセルペダル
58の踏込操作速度としてスロットル弁開度の最大変化
速度(dθ/dt)max が用いられていたが、それに替
えて踏込操作開始時点から終了時点までの平均速度値な
どであってもよい。要するに、アクセルペダル58の踏
込操作速度が表される量であればよいのである。
【0041】また、キックダウン操作はアクセルペダル
58を略ワイドオープンスロットル(WOT)位置まで
操作するものであるから、前述の実施例のアクセルペダ
ル58の踏込操作開始位置θf と実質的に均等なものと
してアクセルペダル58の踏込操作ストロークが用いら
れ得る。
【0042】また、前述の実施例の自動変速機14は所
謂A/Tとして知られる遊星歯車式の多段変速機であっ
たが、たとえば特開平2−271149号公報に記載さ
れているベルト式無段変速機であってもよい。
【0043】なお、上述したのはあくまでも本発明の一
実施例であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲にお
いて種々変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2の電子制御装置の制御機能を説明するため
の機能ブロック線図である。
【図2】本発明の一実施例の構成を説明するブロック線
図である。
【図3】図2の自動変速機におけるギヤ段とそれを成立
さるための電磁弁或いは摩擦係合装置の作動状態との組
み合わせを示す図表である。
【図4】図2の自動変速機の変速制御のために電子制御
装置に記憶されている変速線図である。
【図5】図2の電子制御装置に設けられているニューラ
ルネットワークの構成を説明する図である。
【図6】図2の電子制御装置のシフトダウン制御の作動
を説明するフローチャートである。
【図7】図6のステップS1において求められるスロッ
トル弁開度θf およびステップS2において求められる
変化速度(dθ/dt)max を説明するタイムチャート
である。
【図8】本発明の他の実施例において、図5のニューラ
ルネットワークの学習の際に用いられる学習データの構
成を説明する図である。
【符号の説明】
14:自動変速機 58:アクセルペダル 88:変速制御手段 92:アクセルペダル踏込開始位置検出手段 94:アクセルペダル操作速度算出手段 96:キックダウン判定手段 98:ニューラルネットワーク 102:キックダウン学習手段

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクセルペダルのキックダウン操作に応
    答して自動変速機をダウンシフトさせる車両用自動変速
    機の変速制御装置であって、 前記アクセルペダルの踏込操作の開始位置を検出するア
    クセルペダル踏込開始位置検出手段と、 該アクセルペダルの踏込操作時における操作速度を算出
    する操作速度算出手段と、 前記アクセルペダルの操作開始位置および操作速度が入
    力されるニューラルネットワークを備え、該ニューラル
    ネットワークの出力に基づいて前記キックダウン操作を
    判定するキックダウン判定手段と、 前記アクセルペダルの踏込操作が行われた状態におい
    て、前記キックダウン判定手段によりキックダウン操作
    であると判定されない場合には、該アクセルペダルの踏
    込操作から所定の時間内に、該アクセルペダルの戻し操
    作が行われ且つ該戻し操作の直前の踏込操作と同等以上
    の速度で再び踏込操作が行われたことに基づいてキック
    ダウン操作であると判定し、前記ニューラルネットワー
    クに教師信号を供給するキックダウン学習手段と、 前記キックダウン判定手段により前記アクセルペダルの
    キックダウン操作であると判定された場合には、前記自
    動変速機をシフトダウンさせる変速制御手段と、 を含むことを特徴とする車両用自動変速機の変速制御装
    置。
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