JP2852879B2 - 河川用覆土ブロックおよびコンクリート覆土ブロック護岸 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、河川等の法面や床面を
保護すると共に、植物の生育が可能で、魚介類、水生昆
虫、甲殻類等の棲息をも可能とした河床や法面を適切に
形成できるブロックおよび該ブロックによる護岸に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】河川等の法面の護岸や床面の根固め工の
目的で各種コンクリート製のブロックが使用されている
が、法面や床面の全面がコンクリートで覆われると共に
表面に灰色のコンクリート面が露出することになり、自
然の生態系を崩し、自然環境や景観がそこなわれること
が問題とされている。そこで最近は法覆工ブロックで法
面を覆いその上に客土を厚く覆土して緑化を図ったり、
水際部や床面上に比較的大きめの天然石材を敷き並べて
形成された護岸が行われている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
法覆工、ブロック上に覆土された客土は、単にブロック
上に載っているにすぎないのが一般的で、特に大雨時で
の雨水や河川水の増水による冠水等によって水が地下に
浸透しブロック面で遮断されることで、過飽和土となっ
てブロック上面に滑り面が形成された状態となるため、
覆土された客土が崩壊し易い危険があり、法面に植生さ
れた芝等の植物も地表面から５〜１０ｃｍ程度しか根が
張っていないことから流出防止の効果を期待できない。
また、天然石材は、単に敷き並べたり、積み重ねただけ
なので洪水時の大量の水の流下する勢いによって流され
たりして変形し、長期間に亘って安定した植物や生物の
生育場を維持出来ない。また法面で使用された場合、表
面の覆土が部分的に流出したとしても本来の護岸として
の機能は維持されているので、自然景観、自然の生態系
の回復のための復旧工事をなすことが必要となる。

【０００４】法覆工ブロックは、法面の洗掘倒壊防止の
機能と合わせて景観にマッチするものが求められてお
り、近年は、天然石と共に植生等による自然美が周辺環
境に最も調和するとされ、植生機能や魚巣機能を備えた
法覆工ブロックが要望されるようになってきたが、単に
覆土して植生したり、天然石材を設置しただけでは、長
期間に亘ってその緑化および魚介類の棲息が維持出来な
いという問題があった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は上記したような
従来のものにおける課題を解決することについて検討を
重ね、上述のように法面を洗掘倒壊から防護する機能と
河川の法面の高水位部に植物を繁茂させると共に、法面
の低水位部に魚介類、水生昆虫、甲殻類の生物が棲息で
きる機能を備え、しかも自然環境にマッチした法面保護
ブロックをより経済的に供給することに成功したもので
あって、以下の如くである。

【０００６】（１） コンクリート製基板上に該コンク
リート基板の外周縁部にそって前記基板厚の２倍以上の
高さをもったポーラスコンクリート周枠を囲繞形成した
ことを特徴とする河川用覆土ブロック。

【０００７】（２） コンクリート基板の外周縁部にそ
ったポーラスコンクリート周枠内にポーラスコンクリー
トによる突出部を前記ポーラスコンクリート周枠の高さ
と同一または低めとして形成したことを特徴とする前記
（１）項に記載の河川用覆土ブロック。

【０００８】（３） コンクリート製基板の外周縁部に
おける一方の壁に複数の水抜き孔を設けると共に他方の
壁の外周に前記水抜き孔の位置に合致させた排水溝を形
成したことを特徴とする前記（１）および（２）項に記
載の河川用覆土ブロック。

【０００９】（４） コンクリート製基板の底面におけ
る角部間に交差した凹溝を形成したことを特徴とする前
記（１）および（２）項に記載の河川用覆土ブロック。

【００１０】（５） 前記（１）〜（４）項の何れか一
つに記載の河川用覆土ブロックのコンクリート製基板に
複数の排水孔を形成したことを特徴とする河川用覆土ブ
ロック。

【００１１】（６） 前記（１）〜（５）項の何れか一
つに記載のポーラスコンクリート周枠をもった河川用覆
土ブロックを２枚以上組み合わせた一体化大型に形成し
たことを特徴とする河川用覆土ブロック。

【００１２】（７） 前記（１）〜（６）項の何れか一
つに記載のポーラスコンクリート周枠をもった河川用覆
土ブロックの全面にネット状または格子状とした天然繊
維やガラス繊維、合成樹脂質のシートまたは金属質網材
を張設し、ポーラスコンクリート壁の上面に固着付設し
て形成したことを特徴とする河川用覆土ブロック。

【００１３】（８） 前記（１）〜（７）項の何れか一
つに記載のポーラスコンクリート周枠をもった河川用覆
土ブロックの対向側面にフック鉄筋を固着し、河川の河
岸部の法面に該ブロックを水抜き孔を形成した壁が法面
下方に位置するように法面に敷き並べて法面の護岸と
し、あるいは河床面に敷き並べて根固めまたは水制工と
して配設し、前記フック鉄筋において相互に連繋して、
外周縁部の壁より高めに覆土あるいは同一高さに客土
し、または凹型部の内面に砂利、栗石、玉石等の天然石
材を配置して形成したことを特徴とする河川用コンクリ
ート覆土ブロック護岸。

【００１４】

【作用】河川用覆土ブロックを河岸の高水位部の法面に
設置し、その外周縁部のポーラスコンクリート壁内に覆
土することによりコンクリート基板によってブロック底
面への通水を遮断し法面などの底面地盤を安定化し、そ
うした条件下でブロックの全面において安定且つ充分な
覆土を形成し芝や草花等の植物が法面全般において安定
に繁茂して緑で覆われた自然の風情を的確に醸し出すと
共に、土中に棲息する昆虫や幼虫に対しても住み心地の
良い環境を提供する。前記した外周縁部のポーラスコン
クリート壁が、覆土された土砂の滑落や流動、洪水時の
流出を防止し、しかも降雨時の浸透水が迅速に集水して
水抜き孔からポーラスコンクリート壁外に排水され、壁
の外周に形成された排水溝を伝わって下方の法尻側に迅
速に流下させるので、基礎部の上述したように安定した
条件下でブロック上面に水が滞留することがなく法面全
般におけるブロック内が覆土された土の含水率が上から
下まで一定に保たれるので植物の根腐れなどを防止する
と共に、コンクリート基板が上部からの水分浸透を阻止
して覆土された法面への雨水の浸透による洗掘、倒壊を
防止する。

【００１５】前記したようなブロックは河川岸の全面に
設置してよいことは当然であるがコンクリート製基板の
外周縁部にそって一定厚さのポーラスコンクリート周枠
が形成されている本発明のブロックは少くともポーラス
コンクリート周枠の範囲内において覆土の流失を有効に
防止し、従って河川岸の必要部位に設定された部分的な
護岸施工においても有効な施工目的を達成せしめ得ると
共に外部流水によっても覆土の流出、移動されることが
ない。

【００１６】また、植物の根がポーラスコンクリート部
に食い込んだり、絡んだりすることで大雨や洪水時にお
ける覆土の流出を防止することが出来るし、夏場の渇水
時には各ブロックの全周部分に形成されたポーラスコン
クリート周枠に保水された水が植物の生育に必要な水分
を補給する役目を果たす。更に、前記したポーラスコン
クリート周枠内にポーラスコンクリートによる突出部が
塊状あるいは十字形状のものとして外周縁部の周枠高さ
と同一または若干低めに形成することによりその効果を
補足することが出来、該突出部の上面にネット状または
格子状に形成した天然繊維やガラス繊維、合成樹脂質の
シートまたは金属質網材を張設し、固着付設して併用す
ることでより完全なものとすることができ、水衝部等の
洪水時における水の衝撃が特に強くあたる箇所での使用
に適している。

【００１７】このようなブロックを低水位部の水際部に
おける法面や河床の底面に設置し、その凹入した周枠部
の内側に砂利、栗石、玉石等の天然石材を配置すること
で外周枠部の壁が間詰めされた天然石材の流出を防止
し、底部の排水孔が背面土との通気、通水を計り、石材
の表層に藻類が付着したり、隙間に土砂が堆積して水草
等の水生植物が生育し、空隙部に魚介類、水棲昆虫、甲
殻類の生物が棲息すると共に、餌場、産卵場所、住み処
を形成し、河床面に使用するブロックの天端を水面より
上に出るように設置し凹型部に客土することにより植物
が繁茂して浮島状を呈したりして、自然な水辺空間を構
成することが出来る。

【００１８】また、前記ポーラスコンクリート周枠や間
詰めされた天然石材の空隙を流水が通ることで水中の浮
遊物質がそれらの表面に沈澱したり生物膜の粘性によっ
て吸着し、表面の微生物が汚濁物質を吸収、分解して除
去され流水の浄化が図られる。

【００１９】上記したようなコンクリート基板の底面に
交差した凹溝を設けた該ブロックを河床面に配設するこ
とによって魚道を形成すると共に、この凹溝に沿う流れ
が河川の水流方向に傾斜した緩やかなものになって洗掘
防止が計られ、また魚が遡上し易くなる。尚、流速の早
い急流部や大雨時の乱流等による流出が心配される箇所
での使用にあたっては、ブロック表面にネットやシート
および網を固着することで凹型部の客土、天然石材の流
出を防止でき、良好な水中生物の棲息場所を長年に亘っ
て維持できる。

【００２０】

【実施例】上記したような本発明によるものの具体的な
実施例を添付図面に示すものについて説明すると、図１
に示すものはブロックの対向側面に連繋部材１７を固着
した本発明における基本的な実施例の表面側における斜
め前方側から見た斜視図であり、このブロック１は、用
途に応じた適宜な大きさで形成され、例えば一辺の長さ
が１ｍ前後の正方形で凹型部の深さが２５〜３０ｃｍ程
度であり、コンクリート製基板１０の厚さが１０ｃｍ前
後で、ポーラスコンクリート製の外周縁部における周枠
１１の厚さを８〜１０ｃｍに形成して、覆土された土砂
の滑落や流動を防止し、しかも降雨による雨水を凹型部
に滞留させないでブロック外に迅速に排水させるため、
設定状態で法面下位側に位置すべき側周枠壁における基
板１０の上面に接する壁の部分に１個の水抜き孔１４を
形成し、他の三面の壁の外周に半円形状の排水溝１５を
水抜き孔のレベルに合致させて設けた河川用覆土ブロッ
ク１である。

【００２１】図２は、本発明によるもう１つの実施例を
示すもので、その外周縁部の周枠１１に囲まれた凹入部
における基板上にポーラスコンクリート製の円錐形状を
なした突起１２を５個、外周縁部周枠１１の壁と同一の
高さあるいは若干低めの高さに形成し、護岸としての設
定状態における法面下方側の周枠１１における基板１０
の上面に接する周枠１１の部分に２個の水抜き孔１４を
設け、しかも該周枠１１における隣接側面に台形形状の
排水溝１５ａが横設された河川用覆土ブロックを示すも
のであり、また図３は、水抜き孔１４を３個とし三角形
状の排水溝１５ｂを図２のものと同じ関係で設けたもの
で、周枠１１内の基板１０上に中央部が高く前記した周
枠１１の壁の高さと同一あるいは若干低めに形成したポ
ーラスコンクリート製十字形状による突起１３を設けた
河川用覆土ブロック３を示すものである。この突起１３
の形状は、三角でも四角でもよく、あるいは三つ又形状
等のどんな形のものでも良いことは自明のことである。

【００２２】上記したような円錐形状の突出部１２や十
字形状の突出部１３は、外周縁部側壁１１の機能を補完
するもので、降雨時の浸透水を迅速に集水して法面全般
で土の含水率を一定に保つと共に、高水位部の芝等の植
物の根は伸びても地表から５〜１０ｃｍであって、凹型
部の間でもポーラスコンクリート部に食い込んだり、絡
んだりするから覆土面の剥離強度が法面全般で均一に保
たれ、大雨や洪水時における覆土の流出防止に大きく貢
献できる。図４は該ブロックを法面２３の勾配に合わせ
て敷き並べた使用状況の傾斜図である。

【００２３】図５は、図３に示した実施例によるブロッ
クを法面２３に配設して覆土２５を施した使用状況の拡
大断面図であり、覆土２５の厚さは基板１０上に約３０
ｃｍで、外周縁部の周枠１１の上には３〜５ｃｍ土砂で
覆われており、コンクリートの地肌は全く見えない。覆
土を施した面に芝や草花等が生育し、自然そのものの風
情を作り出すと共に、それら植生の根がポーラスコンク
リート部に食い込んだり、絡んだりすることで、大雨や
洪水時における覆土の流出を有効に防止することがで
き、夏場の渇水時には、ポーラスコンクリート部に保水
された水が植物の生育に必要な水分として補給される役
目を果たし、ポーラスコンクリートによる十字形状の突
起がその機能を補完する。

【００２４】図６は、コンクリート基板１０の底面にお
ける角部１６間に交差した凹溝１８を設けた本発明ブロ
ックの実施例が示され、即ちその表面の斜め前方側から
見た傾斜図であって、本ブロック４を河床面に配設する
ことで、魚道を形成すると共に、河川の水流方向に傾斜
して形成される前記凹溝１８の流れが緩やかになって洗
掘防止が計られ、また魚が遡上し易くなる。更に、基板
１０の中央部には渇水時での水のよどみによる腐れを防
止するための排水孔１９を設けてあるもので、図７は、
このブロック４を下面からみた底面図である。

【００２５】図８は、前記した図１のブロックにおける
底面の中央寄りの四隅部に４個の排水孔１９を設けたブ
ロック１ａを河川の水際部の法面に使用し、河床面に図
６のブロックと図６の外周縁部の壁の高さを高くして且
つ凹型部に十字形状の突起１３を形成し、底面の四隅部
に４個の排水孔１９を設けたブロック４ａを配設した覆
土ブロック実施例の断面図である。法面および河床面の
ブロックにおける凹型部の内側に玉石等の天然石材２４
を施し装填したもので、時間の経過と共に土砂が堆積し
て水草や苔等が繁茂し、石材間の隙間に魚介類、水生昆
虫、甲殻類の生物が棲息して、水生生物の餌場、産卵場
所、住み処を形成し、床面のブロック４ａの天端を水面
より上に出るように設置して凹入部に客土することで植
物が繁茂して浮島状を呈したりして、自然な水辺空間を
構成すると共に、水鳥の餌場を提供する。

【００２６】また、法面２３に使用したブロック１ａに
おける排水孔１９は、背面土との通気、通水のためのも
ので、水中に生育する昆虫や幼虫に対し住み心地の良い
環境を提供する。河床面２３ａに使用したブロック４お
よび４ａの排水孔１９は、渇水時における水のよどみに
よる腐れを防止するためのものである。尚、ポーラスコ
ンクリート部の壁１１や天然石材２４の隙間を流水が通
ることで礫間接触酸化によって水中の浮遊物質ＳＳや汚
濁物質ＢＯＤが除去される。

【００２７】図９は、図１の河川用覆土ブロック１の底
部側面における水抜き孔１４を３個形成したもので外周
縁部の周枠１１の上面全般に防錆処理を施した金属材で
構成された網２０を、前記周枠１１の上部に埋設された
インサート筋２１にボルト２２で連結固定したブロック
５を示すもので、固着付設するものとしては使用する箇
所の目的に合わせてネット状または格子状に形成した天
然繊維やガラス繊維、合成樹脂質のシートで良く、その
ピッチは自在に変化させることが出来る。

【００２８】図１０は、前記した図９の河川用覆土ブロ
ック５を法面２３に敷き並べて配設した施工後の斜視図
で、図１１は、前記図９の枠内面に円錐形状の突起を形
成したブロック５ａを法面に配設して覆土を施した使用
状況を拡大して示した断面図であって、網２０が覆土の
中に３〜５ｃｍ程浅く隠れると共に、植物の根が法面全
般において均等な力で絡み付き、ポーラス部への根の食
い込みや絡みを更に強く補完して、大雨時などの増水に
よって土砂の押し流されるのを防止し、法面の緑化を長
年に亘って維持すると共に、地表にコンクリート等の硬
い異物が飛び出さないので草刈等の維持管理も容易とな
り、機械が硬い物に当たって破損することもない。

【００２９】図１２は、図７の底版部に排水孔１９を形
成したブロック４に図９に示すような網２０をセットし
たブロック５ｂを水際部の法面２３に配設して天然石材
である玉石２４等を施した使用状況を拡大して示す断面
図であって、網２０が石材２４の変動や流出を防止する
ので、流速の早い急流部や大雨部の乱流等による洗掘が
防げ、水棲生物に良好な棲息場所を長年に亘って提供で
きる。尚、法面や水際部の使用に当たっては、据付け前
に製造工場または施工現場でブロック内に種子混じりの
客土、植生土壌や砂利、栗石、玉石等を設置し、シート
や網で押さえて置くことによりそれら設置物のこぼれ落
ちを防止でき、単に据え付けるだけで良く、高水位部に
あっては、据え付け後法面一面に５〜１０ｃｍ土砂を敷
くだけで良いので、近年求められている省力化、省人化
にも寄与出来る。

【００３０】河川用覆土ブロック同志の接合部は、図１
３、図１４に示す通りで、それらの各ブロック四隅部に
一定幅の面で成形された隅切部１７を成形し、外周の排
水溝１５より上部における部材厚の略１／２の位置にフ
ック状に曲げ加工されたフック鉄筋１７を突設せしめ、
前記のような各ブロックを設置後、それらブロックの隅
切部で囲まれた穴部の底部にポーラスコンクリート壁１
１の外周部に形成した排水溝１５を伝わった水を流すた
め、排水溝１５から下に通水性のある切込砕石２８を間
詰めし、フック鉄筋１７同志にコの字形状に曲げ加工さ
れた接合鉄筋２６を噛設した後、モルタルまたはコンク
リート２９を充填することにより堅固な河川用コンクリ
ートブロック護岸を構築することが出来る。この連結
は、金具によるボルト接合等のこれに類した他の方法で
も一体に構築出来る。

【００３１】しかし、図８に示す如く河床部の根固めや
水制機能を備えた護岸ブロックとして使用する場合に
は、河床の凹凸条件に馴染み、自在に対応できる継手構
造が要求され図１４に示すモルタルまたはコンクリート
を用いて堅固に連結することは、ブロックの破損につな
がる。そこで河床部での接合は、図１５に示したように
防錆処理を施したシャックル等のリング状連結具２７を
施すことで適宜に屈曲し可曲状に連結して対処すること
が出来る。この連結具としては、Ｕ形部材の端部に貫通
孔や螺旋孔を設けてボルト２７ａが挿通固定され、該ボ
ルト２７ａの装脱によってブロック相互の連結を簡易に
実施する事が出来る。

【００３２】河川用覆土ブロックは、法面２３に施工さ
れるため、ブロック据付け時に法面上部から土砂がこぼ
れ落ちブロック間にはさみこまれて据付けに手間取る等
の問題が考えられるが、これを改善する為に、ブロック
底面部分の四方に１〜３ｃｍ程度の面取り部３０を図９
に示すように設けることでその間にこぼれ落ちた土砂が
入り込み、よりスピーディな据付けが可能となる。

【００３３】図１６は、図１のブロック１を２個連結し
た状態に成形して十字状の突起１３を形成した大型化の
河川用覆土ブロック６を示すもので、該ブロックを大型
化することで施工の省力化、省人化を図り、能率向上を
目指したものである。もちろん施工重機の使用出来る範
囲でさらに大きな寸法のブロックでも製造可能である。
尚、コンクリート基板１０上の外周縁部の壁１１の形状
は、方形に限らず図１７の十字形状の壁１１ａや図１８
の菱形形状の壁１１ｂ、あるいは図１９の円形形状の壁
１１ｃ等にすることで更にバラェティに富んだ造形美を
創り出すことが出来る。植物の根絡みの効果を上げるた
めに図１８にあるように円錐状突起１２を併用できる事
は言うまでもない事である。

【００３４】

【発明の効果】以上説明したような本発明によるものは
コンクリート製基板を用いて覆土ブロックを目的の施工
部位に安定して設定せしめ、しかも該コンクリート製基
板における前記基板厚の２倍以上の高さをもったポーラ
スコンクリート周枠により充分な覆土を有効に収容保持
せしめ、またコンクリート基板によってベース地層への
通水を遮断して法面や床面を的確に保護し、河川周辺に
おける法面全般を有効に安定化すると共に各種植物を適
切に着生繁茂せしめて緑に覆われた好ましい自然的風情
を有効に形成し、土中や水辺における各種昆虫や幼虫、
更には魚類などの安定した生育を図り、また流水の浄化
や流速の調節などを有効に実現して自然的風情、各種生
物の対する棲み心地のよい環境を適切に提供し得るもの
であるから工業的にその効果の大きい発明である。

【００３５】なお上記したような本発明によるものにお
いては前記したような外周縁部のポーラスコンクリート
周枠が覆土された土砂の滑落や流動、洪水時の流出を的
確に防止し、降雨時の浸透水を迅速に集水して水抜き孔
から周枠外に適切に排水され、壁の外周に形成された排
水溝から下部法尻側に迅速に流下せしめ得、覆土の含水
率を一定状態に保ち、ブロック上面に水が滞留すること
を防止すると共に植物の根腐されを防止し、しかも覆土
された法面への通水を適切に遮断して洗掘、倒壊を防
ぎ、安定性を確保すると共に植物の根をポーラスコンク
リート部に絡み込ませて大雨や洪水条件での覆土流出を
的確に防止し、しかも渇水時において保水された水分を
植物の生育に補給せしめる。

【００３６】方形として形成された前記ブロックを低水
位部の水際部法面に設置し、そのポーラスコンクリート
周枠内に天然石材２４を装入することにより石材の流出
を防止し、表層に付着藻類や水草等の生育し、餌場、産
卵場所となり、隙間が魚介類、水棲昆虫、甲殻類の住み
処となる。上記のような方形ブロック底面における角部
間において形成されている交差した凹溝１８は、魚道を
形成すると共に、穴に沿う流れを緩やかとして洗掘防止
が計られ、魚が遡上し易くなるし、ブロックの天端を水
面より上に出るように設置し前記ポーラスコンクリート
周枠内に客土することにより植物が繁茂して浮島状を呈
し、自然な水辺空間を構成する。また、前記ポーラスコ
ンクリート周枠およびその中に装入された天然石材２４
の隙間を流水が通ることにより水中の浮遊物質が沈澱
し、また生物膜の粘性によって吸着され、更に表面の微
生物によって汚濁物質を吸収、分解して除去される。

【００３７】流速の早い急流部や大雨時の乱流等による
流出が特に心配される箇所では、ポーラスコンクリート
周枠内におけるポーラスコンクリートによる突出部が上
記したような作用形成効果を補完すると共に、その上面
にネット状または格子状に形成した、天然繊維やガラス
繊維、合成樹脂質のシートまたは金属質網材を張設し、
固着して併用することでより完全なものとすることがで
き、それによってブロック内の覆土や天然石材の流出を
防止でき、緑に覆われた法面や水際部の良好な棲息場所
を長年に亘って維持できる。また、据付け前に製造工場
または施工現場でブロック内に種子混じりの客土や砂
利、栗石、玉石等を設置し、シートや網で押さえて置く
ことでこぼれ落ちを防止でき、単に据え付けるだけでよ
いので、近年求められている省力化、省人化にも寄与出
来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による河川用覆土ブロックの１例を示し
た斜視図である。

【図２】本発明によるブロックの別の例を示した斜視図
である。

【図３】本発明による更に別のブロックを示した斜視図
である。

【図４】本発明によるブロック群の法面に対する配設状
態を示した斜面図である。

【図５】図４に示したものに覆土を施した使用状況を拡
大して示した部分的断面図である。

【図６】本発明によるブロックのもう１つの例を示した
斜面図である。

【図７】図６に示した本発明例についての底面図であ
る。

【図８】図１および図６に示したブロックにおける周枠
内に突起を形成したものを水際部の法面や河床面に配設
して客土や玉石等を施した使用状況の断面図である。

【図９】更にもう一つの別の本発明ブロックを示した斜
視図である。

【図１０】図９に示したブロックを法面に配設した使用
状況の斜視図である。

【図１１】図９に示したブロックの周枠内に突起を形成
したものを法面に配設して覆土を施した使用状況を拡大
して示した断面図である。

【図１２】図９に示したブロックの底版部に排水孔を形
成したものを水際部の法面に配設して天然石材の玉石等
を周枠内に施した使用状況の拡大断面図である。

【図１３】本発明におけるブロック間継ぎ手部の詳細を
表した平面図である。

【図１４】図１３に示した継手部の接合関係を示した断
面図である。

【図１５】本発明におけるもう一つの継手部の接合関係
を示した断面図である。

【図１６】本発明における大型化ブロックの一例を示し
た斜視図である。

【図１７】図１に示したブロックの外周縁部のポーラス
コンクリート壁の形状を十字形とした一例の斜視図であ
る。

【図１８】図１に示したものの外周縁部におけるポーラ
スコンクリート周枠の形状を菱形とし、その外側に突起
部を配設した一例を示した斜視図である。

【図１９】図１に示したものの外周縁部のポーラスコン
クリート周枠の形状を円形とした一例の斜視図である。

【符号の説明】

１ 河川用覆土ブロック ２ 河川用覆土ブロック ３ 河川用覆土ブロック ４ 河川用覆土ブロック ４ａ ４に十字状の突起を設けた河川用覆土ブロック ５ 河川用覆土ブロック ５ａ ５に突起を設けた河川用覆土ブロック ５ｂ ５の底版に穴を設けた河川用覆土ブロック ６ 大型化河川用覆土ブロック ７ 河川用覆土ブロック ８ 河川用覆土ブロック ９ 河川用覆土ブロック １０ コンクリート基板 １１ 外周縁部のポーラスコンクリート周枠 １１ｃ 円形のポーラスコンクリート壁 １２ ポーラスコンクリートの円錐形状の突起 １２ａ 十字形状のポーラスコンクリート突起部 １２ｂ 菱形形状のポーラスコンクリート突起部 １３ ポーラスコンクリートの十字形状の突起 １４ 水抜き孔 １５ 半円形状の排水溝 １５ａ 台形形状の排水溝 １５ｂ 三角形状の排水溝 １６ ブロック四隅部に成形された隅切部 １７ フック鉄筋で構成された連繋部材 １８ コンクリート製基板の底面の凹溝 １９ 排水孔 ２０ 網 ２１ インサート筋 ２２ ボルト ２３ 法面 ２３ａ 河床面 ２４ 玉石等の天然石材 ２５ 覆土 ２５ａ 客土 ２６ コの字形状に曲げ加工された接合鉄筋 ２７ リング状連結具（シャックル） ２７ａ 連結用ボルト ２８ 切込砕石 ２９ モルタルまたはコンクリート ３０ 面取り部

Claims (8)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コンクリート製基板上に該コンクリート
   基板の外周縁部にそって前記基板厚の２倍以上の高さを
   もったポーラスコンクリート周枠を囲繞形成したことを
   特徴とする河川用覆土ブロック。
2. 【請求項２】 コンクリート基板の外周縁部にそったポ
   ーラスコンクリート周枠内にポーラスコンクリートによ
   る突出部を前記ポーラスコンクリート周枠の高さと同一
   または低めとして形成したことを特徴とする請求項１に
   記載の河川用覆土ブロック。
3. 【請求項３】 コンクリート製基板の外周縁部における
   一方の壁に複数の水抜き孔を設けると共に他方の壁の外
   周に前記水抜き孔の位置に合致させた排水溝を形成した
   ことを特徴とする請求項１又は２に記載の河川用覆土ブ
   ロック。
4. 【請求項４】 コンクリート製基板の底面における角部
   間に交差した凹溝を形成したことを特徴とする請求項１
   又は２に記載の河川用覆土ブロック。
5. 【請求項５】 請求項１〜４の何れか一つに記載の河川
   用覆土ブロックのコンクリート製基板に複数の排水孔を
   形成したことを特徴とする河川用覆土ブロック。
6. 【請求項６】 請求項１〜５の何れか一つに記載のポー
   ラスコンクリート周枠をもった河川用覆土ブロックを２
   枚以上組み合わせた一体化大型に形成したことを特徴と
   する河川用覆土ブロック。
7. 【請求項７】 請求項１〜６の何れか一つに記載のポー
   ラスコンクリート周枠をもった河川用覆土ブロックの全
   面にネット状または格子状とした天然繊維やガラス繊
   維、合成樹脂質のシートまたは金属質網材を張設し、ポ
   ーラスコンクリート壁の上面に固着付設して形成したこ
   とを特徴とする河川用覆土ブロック。
8. 【請求項８】 請求項１〜７の何れか一つに記載のポー
   ラスコンクリート周枠をもった河川用覆土ブロックの対
   向側面にフック鉄筋を固着し、河川の河岸部の法面に該
   ブロックを水抜き孔を形成した壁が法面下方に位置する
   ように法面に敷き並べて法面の護岸とし、あるいは河床
   面に敷き並べて根固めまたは水制工として配設し、前記
   フック鉄筋において相互に連繋して、外周縁部の壁より
   高めに覆土あるいは同一高さに客土し、または凹型部の
   内面に砂利、栗石、玉石等の天然石材を配置して形成し
   たことを特徴とする河川用コンクリート覆土ブロック護
   岸。