JP2851707B2 - 嵩が減少された食品の嵩を大きくする方法 - Google Patents

嵩が減少された食品の嵩を大きくする方法

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JP2851707B2 JP52747096A JP52747096A JP2851707B2 JP 2851707 B2 JP2851707 B2 JP 2851707B2 JP 52747096 A JP52747096 A JP 52747096A JP 52747096 A JP52747096 A JP 52747096A JP 2851707 B2 JP2851707 B2 JP 2851707B2
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雅典 小御門
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 発明の分野 本発明は、低比容積であり且つ穀物粉及び水からなる
食品の製造方法、当該方法で製造された食品、前記低比
容積の食品の製造工程を含む食品の製造方法、及び、前
記低比容積の食品の嵩を大きくする方法に関する。更に
詳しくは、本発明は、焼成されてなるパン類等の、穀物
粉及び水からなる多孔性食品に、圧縮等の処理を施して
その嵩を減少させる工程と、その減少せられた嵩を保持
する手段を行う工程とを含む、前記低比容積の食品の製
造方法に関する。本発明に係る低比容積の食品は、マイ
クロ波発生装置等の内部振動加熱手段を用いる本発明の
方法で加熱すると、焼成直後同様の嵩を有し、且つ、優
れた風味、食感を示す食品となる。
関連技術の記述 近年になり、食生活が洋風化し、それに伴って、パン
類等の、穀物粉及び水からなる多孔性食品の消費量が増
加している。また、従来は、パン類を長期間に亘って保
存することはできなかったが、その需要と供給との量
的、時間的及び場所的なアンバランスを埋める手段とし
て、製造されたパン類を保存することが検討され、その
保存技術に関する提案も、盛んに行われるようになって
きた。そのような保存技術のうち、冷凍保存は一般的に
行われるようになってきており、実際、パン類の販売店
(コンビニエンスストア等)やパン類を扱う外食産業店
(ファーストフード店、レストラン等)には、一度焼成
されたパン類であって冷凍保存されたものが供給されて
いる。また、パン類は、嵩高い商品であるので、その点
においても、その流通、保管において経費がかかる。そ
こで、パン類の保存性を向上させると共に、流通、保管
における経費の削減を図る目的で、パン類の比容積を低
減させる技術に関する提案もなされている。
上記のパン類の保存技術にかかる提案の具体例は、次
の通りである: (1) 焼成された、水分を含む穀物製品を、その空隙
構造を保って圧縮し、その圧縮状態を保持したまま、当
該製品を冷凍する工程を含む、穀物製品の加工に関する
方法(米国特許第3,189,463号、1965年6月15日特許、
特許権者:W.Bartlett Jones); (2) 焼成品を、加圧釜で処理し、脱水し、圧縮し、
再度脱水する工程を含む、パン類等の加工に関する方法
(米国特許第3,473,931号、1969年10月21日特許、特許
権者:Joseph M.Rispoli等); (3) 調理済みの穀物製品を、その水分と温度が平衡
になるまで低温下におき、圧縮し、冷凍し、そして凍結
乾燥する工程を含む、穀物製品の加工に関する方法(米
国特許第3,512,991号、1970年5月19日特許、特許権者:
John J.Mancuso等); (4) パン生地を作り、成形し、醗酵し、焼成する方
法において、パン生地を半焼成(形は決定されたが色づ
く前の状態に)し、それを、少なくとも部分真空下にお
き、脱気し、包装することからなる方法(英国特許公開
第2,005,980号、1979年5月2日発行);及び (5) 焼成直後であって、パン類の表面温度が70℃以
上のうちに、冷凍を開始し、所定の速度で冷凍処理を行
う工程を含む、パン類の鮮度保持方法(特開昭58−8603
6号、1983年5月23日発行)。
上記のパン類の保存技術にかかる提案においては、パ
ン類の販売等の際に、その形態等を焼成直後の状態に復
元させる技術についても言及している。例えば、米国特
許第3,189,469号には、穀物製品を冷凍したままでトー
スターに入れ、解凍し、トーストする旨が記載されてい
る。また、米国特許第3,473,931号及び第3,512,991号に
は、脱水された製品に水を含ませると、膨張して元の状
態に戻ると記載されている。更に、英国特許公開第2,00
5,980に記載された方法では、パン生地は半焼成の状態
で保存されるので、当該公報には、それをオーブンで焼
成する旨が記載されている。加えて、特開昭58−86036
号には、解凍を120〜240℃の高温で行う旨が記載されて
いる。しかし、焼成後又は半焼成後に上記の如く加工さ
れ、保存されたパン類を、上記の如き処理に供した場
合、その製造直後同様の形態、風味や食感が復元される
とはいい難い。
一方、焼成後加工されて保存されたパン類を調理して
食事に供するに際し、マイクロ波発生装置(代表的には
電子レンジ)等の内部振動加熱手段によって、当該パン
類を加熱することが知られている。しかし、電子レンジ
を用いて調理や調理済み食品の加熱を行うと、従来の方
法で調理された食品や、調理直後の食品と比べ、風味や
食感が劣るものしか得られない場合があるのは、経験の
示すところである。例えば、通常のパンを電子レンジで
加熱すると、“ひき”が強く、食感の悪いパンになるば
かりでなく、水分の蒸散により、パンが急速に堅くな
る。これに対応して、パン材料の新しい配合組成が提案
されているが、上記の問題は解決されていない。
また、パンには、醗酵工程で生じたアルコールによる
アルコール臭や醗酵臭、焼成後のパンの経時変化で現れ
る老化臭や酸臭、更にはパンをトーストした場合等に発
生するクラム内部のムレ臭等の、その風味を劣化させる
臭いの問題がある。それらの臭いは、例えば冷凍された
パンを電子レンジで加熱した場合、顕著に現れる場合が
ある。従って、電子レンジ等の内部振動加熱手段で加熱
されるパンを提案するにあたっては、パンの風味を劣化
させている臭いの問題についても、検討されなければな
らない。
発明の開示 発明の概要 本発明の目的は、嵩が高くなく(即ち、低比容積
で)、保存に適し、且つ、内部振動加熱手段を用いた加
熱により、製造直後の品質(即ち、嵩、柔らかさ及び風
味)が再現され得る、嵩が減少された食品と、その製造
方法の提供にある。
本発明の他の目的は、パン類等の焼成された多孔性食
品を、その嵩を減少させる処理に供する工程と、顧客の
求めに応じて加熱処理を行い、最終製品とする工程を含
む、食品の製造方法の提供にある。
本発明の更に他の目的は、前記の嵩が減少された食品
の嵩を大きくする、換言すれば、焼成直後と同様又はそ
れに近い大きさとする方法の提供にある。
本発明によれば、穀物粉及び水からなるパン類等の多
孔性食品の、流通、保管における経費削減が図れると共
に、販売店、外食産業店、駅売店、家庭、職場等におい
て、何時でも、焼きたてに近い風味を有し、やわらかさ
や口溶け等の食感に優れたパン類等の多孔性食品を、入
手することができるようになる。
上記目的を達成するために、本発明者らは、保存に適
し、且つ、加熱処理により、パン類等の多孔性食品がそ
の製造直後に示す品質と同様の品質を示し得る加工食品
に関する研究を、穀物粉及び水からなる多孔性食品の加
工技術とその製造材料の両面から行った。その結果、本
発明者らは、焼成等の手段で加熱処理されてなる前記多
孔性食品を、特定の条件下に圧縮し、且つ、その圧縮処
理後の形態を保持する手段を行うと、その後の加熱によ
り、多孔性食品がその製造直後に示す品質と同様の品質
を示し得る、嵩が減少された食品が得られることを見出
した。また、本発明者らは、前記多孔性食品がパン類で
ある場合、通常の製パン材料に特定の物質を添加する
と、前記加熱による品質の再現性が改善されることを見
出した。更に、本発明者らは、前記嵩が減少された食品
の嵩を大きくするための、その加熱手段についても研究
した。その結果、電子レンジ等のマイクロ波発生装置
が、その加熱手段として適していることを見出した。本
発明は、これらの知見を基に完成された。
即ち本発明は、穀物粉及び水からなり、加熱処理され
た、パン類、ケーキ類、饅頭類及び菓子類より選ばれる
多孔性食品を、圧縮によるその嵩を減少させる処理に供
して調製された嵩が減少された食品であって、その減少
せられた嵩を保持しているものに、マイクロ波を用いた
内部振動加熱手段を適用することからなる、嵩が減少さ
れた食品の嵩を大きくする方法に関する。
又、本発明は、穀物粉及び水からなり、加熱処理され
た、パン類、ケーキ類、饅頭類及び菓子類より選ばれる
多孔性食品を、圧縮によるその嵩を減少させる処理に供
し、嵩が、加熱処理された多孔性食品の嵩の0.01〜0.9
倍である嵩が減少された食品を得る工程(a)と、嵩が
減少された食品の嵩を保持する手段を行う工程(b)と
を、同時又は順次に行うことからなる、嵩が減少された
食品の製造方法と、当該方法で製造された嵩が減少され
た食品に関する。
更に、本発明は、穀物粉及び水からなり、加熱処理さ
れた、パン類、ケーキ類、饅頭類及び菓子類より選ばれ
る多孔性食品を、圧縮によるその嵩を減少させる処理に
供し、嵩が、加熱処理された多孔性食品の嵩の0.01〜0.
9倍である嵩が減少された食品を得る工程(a)と、嵩
が減少された食品の嵩を保持する手段を行う工程(b)
と、当該嵩が減少された食品にマイクロ波を用いた内部
振動加熱手段を適用する工程(d)からなる、食品の製
造方法と、当該方法で製造された食品に関する。
加えて、本発明は、穀物粉及び水からなり、加熱処理
された、パン類、ケーキ類、饅頭類及び菓子類より選ば
れる多孔性食品を、圧縮によるその嵩を減少させる処理
に供して調製された嵩が減少された食品であって、その
減少せられた嵩を保持しており、1.2〜4.0cm3/gの比容
積を有し、且つ、マイクロ波を用いた内部振動加熱手段
を適用することにより、嵩が大きくなるものに関する。
前記本発明において、穀物粉及び水からなる加熱処理
された多孔性食品がパン類である場合、その製造材料と
して、(1)粗蛋白量が10重量%以上の穀物粉、(2)
穀物粉と、当該穀物粉100重量部あたり2〜30重量部
の、その融点が25〜50℃であり、且つ、固体脂含量が、
10℃で5〜70重量%、25℃で5〜60重量%、35℃で25重
量%以下である油脂、(3)穀物粉と、当該穀物粉100
重量部あたり、その固形分の量に換算して0.5〜20重量
部のグルテン蛋白質、(4)穀物粉と、当該穀物粉100
重量部あたり、その固形分の量に換算して0.5〜20重量
部の卵白、(5)穀物粉と、当該穀物粉100重量部あた
り、その固形分の量に換算して0.1〜10重量部のリポ蛋
白質、又は、(6)穀物粉と、当該穀物粉1kgあたり10
〜20,000活性単位の、パーオキシダーゼ、グルコースオ
キシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、トランスグ
ルタミナーゼ及びリポキシゲナーゼからなる群から選ば
れた少なくとも一種の酸化酵素、を用いるのがよい。
上記の本発明において、穀物粉は、通常は小麦粉を含
む。
本発明の範囲には、次の発明が包含される: (1)加熱処理後に嵩を減少させた多孔性含水小麦粉食
品であって、再加熱により嵩が復元する特徴を有する多
孔性含水小麦粉食品; (2)加熱処理した多孔性含水小麦粉食品の嵩を減少さ
せる工程を含む多孔性含水小麦粉食品の製造方法; (3)加熱処理後もしくは加熱処理中に圧縮により嵩を
減少させた後、冷凍し、内部加熱により嵩を復元させる
ことを特徴とする多孔性含水小麦粉食品の製造方法; (4)加熱処理後、圧縮により嵩を減少させると同時に
冷凍し、内部加熱により嵩を復元させることを特徴とす
る多孔性含水小麦粉食品の製造方法; (5)加熱処理後、一旦冷却し、圧縮により嵩を減少さ
せた後、冷凍し、内部加熱により嵩を復元させることを
特徴とする多孔性含水小麦粉食品の製造方法; (6)加熱処理後、一旦冷却し、圧縮により嵩を減少さ
せると同時に冷凍し、内部加熱により嵩を復元させるこ
とを特徴とする多孔性含水小麦粉食品の製造方法; 及び (7)加熱処理後もしくは加熱処理中に圧縮により嵩を
減少させた、冷凍後し、内部加熱により嵩を復元させて
食するための多孔性含水小麦粉食品。
さらに、本発明の範囲及び適用は、以下の詳細な説明
及び実施例から明らかとなろう。しかし、この詳細な説
明及び実施例から、当業者であれば、本発明の意図およ
び範囲内の様々な変更および修飾が明らかであろうか
ら、詳細な説明と実施例は、本発明の好適な態様を示し
ているが、例として示されるにすぎないことを理解すべ
きである。
発明の詳細な説明 本発明における穀物粉及び水からなり、加熱処理され
た多孔性食品とは、小麦粉等の穀物粉をその製造材料の
一つとし、加熱処理されて提供される食品の内、加熱処
理後において、比較的含水率が高く、且つ、比較的高い
内部空間容積率を有するものである。ここで、比較的含
水率が高いとは、一般的には、加熱処理後の食品の全重
量を基準にして、含水率が10重量%以上であることを指
す。また、ここで、比較的内部空間容積率が大きいと
は、一般的には、加熱処理後の食品について、その内部
空間容積率が10容量%以上であることを指す。別の表現
をすれば、本発明で言う穀物粉及び水からなり、加熱処
理された多孔性食品とは、穀物粉と水を必須材料とす
る、焼成等の手段で加熱処理されてなる食品であって、
材料の穀物粉に含まれるグルテン蛋白質及び澱粉が、い
わゆるセル構造の骨格(又は殻)部分を形成しており、
且つ、当該骨格部分の含水率が比較的大きいものを指
す。
本発明における、穀物粉及び水からなり、加熱処理さ
れた多孔性食品は、当該食品の全重量を基準にして、通
常は10〜70重量%、好ましくは20〜65重量%、更に好ま
しくは30〜60重量%、特に好ましくは35〜60重量%の量
で、水を含有する。また、当該多孔性食品は、その全容
積を基準として、通常は30〜95容量%の、好ましくは50
〜90容量%の空間を有する。内部空間容積率とは、多孔
性食品の見掛け体積に対する空隙部分が占める体積の割
合をいう。
加熱処理された多孔性食品の水分含量は、乾燥の前後
に当該食品の重量を測定し、その重量から、下記式に従
って算出する。ここで、乾燥後の当該食品の重量とは、
当該食品を125℃で24時間乾燥した後に測定された重量
を指す。
本発明における、穀物粉及び水からなり、加熱処理さ
れた多孔性食品の具体例としては、食パン、コッペパ
ン、ロールパン、クロワッサン、ライ麦パン、アンパン
等の菓子パン等のパン類;スポンジケーキ、パウンドケ
ーキ、ホットケーキ、マフィン等のケーキ類;中華饅頭
等の饅頭類;ドーナツ、パイ、カステラ、ワッフル等の
菓子類が挙げられる。
比較的含水率が低いものは、その嵩を一旦減少させた
場合に、嵩が殆ど復元され得ないため、また、比較的低
い内部空間容積率を有するものは、その嵩を殆ど減少さ
せ得ないため、それぞれ本発明の対象とはなり難い。
本発明で用いられる、穀物粉及び水からなり、加熱処
理された多孔性食品は、通常の、加熱処理の工程を含む
方法によって製造されたものである。加熱処理とは、焼
く、揚げる、蒸す、炒める等の処理をいう。加熱処理さ
れた多孔性食品は、そのまま食することのできる製品に
限られず、半製品であってもよい。パン類を例にとって
説明すれば、当該多孔性食品は、そのまま食することの
できる状態まで焼成されたもののみならず、半焼成(焦
げ目のない状態)のものをも包含する。加熱処理された
多孔性食品が半焼成パンである場合、後記するように、
後の工程で、焼成等の加熱処理を行えばよい。パンの焼
成又は半焼成は、醗酵させたパン生地を、焼き窯で、15
0〜250℃程度の温度で5〜30分間加熱することによって
行われる。又、多孔性食品が饅頭である場合には、加熱
処理とは、一般的には、蒸すことを指す。
加熱処理された多孔性食品は、通常はそのまま、その
嵩を減少させ得るような処理に供されるが、分割(例え
ばスライス、引きちぎり)後に、その嵩を減少させ得る
ような処理に供してもよい。しかし、後記するように、
本発明の嵩が減少された食品の嵩を大きくする手段とし
て、内部振動加熱手段を採用する場合には、当該内部振
動加熱によって発生する水蒸気を、極力、蒸散させずに
本発明の嵩が減少された食品に内包させることが好まし
い。その観点からは、加熱処理された多孔性食品がパン
類である場合、それを分割してクラム部を露出させるの
は好ましくない。即ち、本発明で用いられる加熱処理さ
れた多孔性食品は、クラム部の露出が極力少ないもので
あることが好ましい。具体的には、本発明においては、
全表面積に対するクラスト部の割合が70%以上であるパ
ンを用いるのが好ましく、加熱処理後の状態(ホール状
態)のパンを用いるのが最も好ましい。
本発明では、加熱処理された多孔性食品を、そのまま
その嵩を減少させる処理に供してもよいが、加熱処理後
に冷却[工程(c)]されたものを、嵩を減少させる処
理に供するのが好ましい。冷却方法は、特に限定されな
いが、一般的に行われる方法は、常温(10〜30℃)とな
るまで放置するという方法である。
冷却方法の好ましい例としては、加熱処理された多孔
性食品を、その内部を凍らせることなく(但し、表層は
凍ってもよい)、急速に冷却する方法が挙げられる。一
般的には、冷却処理により、外部から内部に向かって冷
却が進むので、その中心部分が凍らないような条件下
に、急速冷却すればよい。より具体的には、加熱処理さ
れた、例えばその表層温度が約60〜100℃の多孔性食品
を、当該加熱処理の終了から3時間以内に、その表層温
度が10℃以下になるような条件下に冷却することが好ま
しい。更に好ましい冷却条件は、加熱処理の終了から1
時間以内、望ましくは2〜30分間以内に、多孔性食品の
表層温度が10℃以下、望ましくは−20〜10℃となるよう
な冷却条件である。その際の冷却速度は、通常は、5〜
50℃/分、好ましくは8〜20℃/分である。具体的な急
速冷却の手段としては、加熱処理された多孔性食品を冷
凍庫に導入することが挙げられる。多孔性食品を冷凍庫
に入れて冷却した場合、その中心部分の温度は、その表
層部分の温度と比べ、通常は10〜30℃程度高い。
本発明では、加熱処理された、あるいは、加熱処理さ
れたその後冷却された多孔性食品を、その嵩を減少させ
得るような処理に供する[工程(a)]。
嵩の減少は、内部空隙容積の減少とセル構造の変形に
よって生じる。好ましい嵩の減少の程度は、処理される
多孔性食品の種類等によって変わるが、本発明では、加
熱処理直後の多孔性食品の体積を1としたときに、嵩減
少後の食品の体積が0.01〜0.9、好ましくは0.1〜0.9と
なるように、多孔性食品を処理する。本発明の目的の一
つである、当該食品の流通、保管における省スペース化
及びそれに伴う経費削減のためには、特に、当該体積を
0.1〜0.50とするのが好ましい。
また、本発明では、嵩減少後の食品の比容積は、1.2
〜4.0cm3/gの、好ましくは1.2〜3.0cm3/gの、更に好ま
しくは1.2〜2.0cm3/gの範囲内である。本発明に係る嵩
が減少された食品の比容積がこの範囲内であると、その
流通、保管における省スペース化及びそれに伴う経費削
減が達成されると共に、当該食品を食に適する状態とす
るために行われる、内部振動加熱手段等の手段による加
熱処理が行われた場合、その嵩がよく回復する。
本発明における比容積は、なたね種子を用いた常法に
より測定され、下記計算式に従って算出された値を指
す: 穀物粉及び水からなり、加熱処理された多孔性食品の
嵩を減少させるための手段の例としては、機械的圧縮及
び減圧処理が挙げられ、その具体例としては、プレス機
による加圧圧縮や、多孔性食品を内包する可撓性包装材
の内部を減圧する方法(真空パック方式)が挙げられ
る。又、両者を併用することも可能である。
前記の嵩を減少させる処理は、例えば加圧圧縮や可撓
性包装材の内部容積の減少によって、多孔性食品に荷重
がかかる方向において、加熱処理された多孔性食品の長
さを、0.1〜100mm/秒の速度で減少させるような条件下
に行うことが好ましく、1〜50mm/秒の速度で減少させ
るような条件下に行うことが更に好ましい。このような
条件下に嵩を減少させる処理を行うと、生産効率が良
く、且つ、その構造及び外観に優れた、本発明にかかる
嵩が減少された食品が得られる。
前記工程(a)によって得られた嵩が減少された食品
は、放置されるとその嵩が大きくなる。そこで、本発明
では、工程(b)として、嵩が減少された食品の嵩を保
持する手段を行う。そのような手段の例として、冷凍と
密封が挙げられる。
本発明において、“冷凍”という用語は、その一般的
な意味と同様の意味で用いられる。具体的には、冷凍と
は、食品中の自由水を凍結させることである。本発明に
係る嵩が減少された食品は、通常、−5℃以下で凍結状
態となる。また、完全冷凍ばかりでなく、表層部のみを
凍結させるような部分冷凍も、減少された嵩を保持でき
得る限り、本発明でいう冷凍に含まれる。冷凍条件及び
その手段は、特に限定されないが、具体的には、本発明
にかかる食品を、冷凍庫内に静置させる方法や、液体窒
素等の冷媒に、間接的に接触させる方法が採られる。ま
た、後記するように、工程(a)と工程(b)を連続的
に行う場合には、冷却手段を備えた装置を用い、加熱処
理された多孔性食品の嵩を減少させながら、その冷却を
連続的に行い、凍結状態とすることができる。
冷凍[工程(b)]は、食品の取扱いの便宜から、一
般的には、嵩を減少させる処理[工程(a)]の後に行
われる。冷凍[工程(b)]を、工程(a]から連続的
に行うこともできる。その場合は、加熱処理された多孔
性食品を加圧圧縮し、嵩が減少された食品を得、その圧
縮状態を保持して(加圧状態からの開放を行わずに)、
冷凍のための冷却を行う。また、冷凍[工程(b)]
は、工程(a)の前又は工程(a)と同時に行ってもよ
い。本発明において、冷凍処理が行われた場合、その後
の工程は、前記加熱処理された多孔性食品(又は嵩が減
少された食品)が凍結した状態のままで行われてもよい
し、解凍されて行われてもよい。
冷凍処理を行うことにより、本発明の嵩が減少された
食品の形態を、そのままの状態に保持することが容易と
なると共に、当該食品の保存性も優れたものとなる。完
全凍結されてなる本発明の食品は、冷凍食品として需要
者に提供される。
一旦冷凍処理されたものの、その後の工程で解凍処理
がなされた場合や、冷凍工程を経ない場合には、製造さ
れた本発明の嵩が減少された食品は、常温で流通、保存
されてもよい。近年においては、食品の常温での流通、
保存技術が種々開発されているので、そのような技術
を、本発明の嵩が減少された食品に応用することができ
る。常温での食品の流通、保存は、保存性の点で、冷凍
や冷蔵には劣る場合があるが、冷却装置が不要であるの
で、流通、保存コストの点では有利である。
本発明の嵩が減少された食品を、その形態(特に、
嵩)を保持しながら、常温流通に適するようにする手段
の一つとして、密封及び密閉が挙げられる。即ち、本発
明では、工程(b)として、嵩が減少された食品の密封
又は密閉を行ってもよい。具体的には、(1)工程
(a)を行う前に、加熱処理された多孔性食品を包装
し、最終製品(嵩が減少された食品)は、密封状態とな
るように処理するか、(2)加熱処理された多孔性食品
は、その容器となる部材を用いて圧縮し、その後、圧縮
処理終了時の状態を保持するか、あるいは、(3)嵩が
減少された食品に、直接、密封又は密閉処理を施す。
(1)の場合には、工程(a)と工程(b)が同時に
行われる、真空パック(減圧包装)方式を採用するとよ
い。(2)の場合には、剛性容器を包装材として用い、
当該容器を使って多孔性食品の圧縮を行い[工程
(a)]、圧縮後のそのままの状態を保持して[工程
(b)]、最終製品としてもよい。
また、本発明にかかる食品の品質保持のために、包装
材中の空気を、窒素ガス、炭酸ガス等で追い出す処理を
行ってもよい。
用いられる包装材料の例としては、各種プラスチック
(ポリエチレンやポリ塩化ビニル等)、発泡スチロール
等が、また、その形態の例としては、箱状及びフィルム
状が挙げられる。それらは、その使用形態に応じ、剛性
であっても可撓性であってもよい。
以上述べたように、本発明の嵩が減少された食品の製
造方法は、嵩が減少された食品を得る工程[工程
(a)]と、当該食品の嵩を保持する手段からなる工程
[工程(b)]とを必須とするが、その他の工程を含ん
でいてもよい。例えば、工程(b)として冷凍を行う場
合、工程(a)の後に、包装工程を入れてもよい。その
場合は、凍結品が解凍しない条件で、包装処理を行うこ
とが好ましい。
前記の密封を含む包装は、食品の衛生面から好まし
い。更に、包装することで、製品あるいは半製品の取扱
い作業の効率化が図られ得る。
上記の本発明の嵩が減少された食品の製造方法には、
例えば次のプロセスが包含される: ・圧縮→冷凍 ・圧縮→冷凍→包装 ・圧縮→包装→冷凍 ・圧縮/冷凍 ・圧縮/冷凍→包装 ・圧縮/密封又は密閉 ・圧縮/密封又は密閉→冷凍 ・包装/圧縮→そのままの状態を保持 ・圧縮/冷凍/密封又は密閉。
ここで、“圧縮”とは、工程(a)を意味する。ま
た、“x/y"とは、xとyを同時に行うことを意味する 上記の如く製造された本発明の嵩が減少された食品
は、その嵩を大きくする(復元させる)処理を経て、食
される。包装処理がなされた場合は包装材を除去する処
理が、嵩を大きくする処理に追加される。また、冷凍処
理がなされた場合は、嵩を大きくする処理の一環とし
て、あるいはそれとは別に、解凍処理がなされる。
“嵩を大きくする(あるいは復元させる)”とは、圧
縮等によって嵩が減少された状態(本来あるべき元の状
態からその嵩が減少された場合、故意に本来あるべき嵩
に到達させていない場合を含む)の食品を加熱し、ふっ
くらとして且つ熱い状態の食品を得ることをいう。
嵩を大きくするための加熱は、当該加熱後の食品の内
部温度を40℃以上、好ましくは60℃以上とすることがで
きる手段を用いて行うことが、食品の風味や食感の点か
ら好ましい。
本発明の嵩が減少された食品の加熱手段としては、内
部振動加熱手段を用いるのがよい。内部振動加熱とは、
乾式加熱であり、物質に対してその分子レベルで作用
し、それを振動させて熱を発生させることをいう。内部
振動加熱は、外部からの伝熱による、いわゆる外部加熱
とは、その原理を異にする。本発明の嵩が減少された食
品は、この内部振動加熱手段により、その嵩が適切に大
きくなる。
内部振動加熱手段の具体例として、磁気振動加熱やマ
イクロ波加熱、高周波加熱、遠赤外線加熱等の物理的な
加熱手段が挙げられる。これらの手段は、互いに発生す
る電波の波長が異なるものの、いずれも、その振動数や
振動強度を制御することによって、物質に分子レベルで
作用するような仕組みとなっている。
内部振動加熱方式の装置の代表例としては、電子レン
ジとして知られているマイクロ波発生装置が挙げられ
る。このような装置を用い、本発明の嵩が減少された食
品にマイクロ波を照射することが、処理に要する時間や
均一加熱の観点から、特に優れている。本発明では、家
庭用、業務用を問わず、電子レンジであるならばいずれ
も使用できる。現在、日本の家庭用電子レンジとして知
られている、出力500W又は600Wのもの、あるいはそれら
の併用型、業務用や欧米で用いられている出力700〜1,2
00Wのものの何れも、本発明の嵩が減少された食品の加
熱手段として使用できる。
ここで、マイクロ波とは、波長が1mm〜1m(300〜300,
000MHz)の、一般的には2,450MHzの電磁波である。マイ
クロ波を食品に照射すると、当該食品を構成する分子の
中、極性低分子(例えば、水)が振動し、発熱する。マ
イクロ波の照射条件は、特に限定されず、照射の対象物
である食品の種類、量及び温度等によって、種々変化す
る。
前記したように、本発明の嵩が減少された食品の加熱
及び容積増大の為には、内部振動加熱手段を用いること
[工程(d)]が最も好ましいが、内部振動加熱手段で
加熱した後あるいはそれによる加熱と同時に、付随的
に、外部加熱手段による加熱[工程(e)]を行っても
かまわない。外部加熱手段を内部振動加熱手段に組み合
わせることにより、素早い嵩の増加(あるいは復元)
と、外部加熱手段を用いた場合に特有の、香ばしい風味
の付与が達成される。外部加熱手段と内部振動加熱手段
との組み合わせの方法は、特に限定されないが、内部振
動加熱手段による加熱の後に、外部加熱手段による加熱
を行う方法が一般的である。本発明の嵩が減少された食
品が、半焼成パンのような半製品である場合には、その
嵩を大きくするための加熱手段として、内部振動加熱手
段と外部加熱手段とを併用するのが好ましい。
外部加熱手段の例としては、火や電熱を利用した照射
加熱手段が挙げられ、外部加熱方式の装置の例として
は、焼き網及びトースターが挙げられる。又、内部振動
加熱と外部加熱とが同時に行われる加熱装置の例として
は、遠赤外線グリルや電磁コンロが挙げられる。本発明
においては、その効果の点から、内部振動加熱と外部加
熱とが同時に行われる加熱装置は、内部振動加熱方式の
装置に包含される。
前にも述べたが、本発明の嵩が減少された食品は、内
部振動加熱手段により、中でも、マイクロ波の照射を受
けることにより、極めて良好に嵩が大きくなる(復元す
る)という特徴を有する。即ち、マイクロ波を、本発明
の嵩が減少された食品に照射すると、当該食品のセル構
造の骨格部分に存在する水分子の振動によって、熱が発
生すると共に、空隙(セル)内に存在する水分の蒸発に
よって、水蒸気圧の上昇が生じる。その結果、極めて有
効に、本発明の嵩が減少された食品の嵩の増大と、加熱
とが達成され、優れた食感の食品となる。外部加熱手段
を用いたのでは、たとえそれが強力な加熱手段であって
も、このような挙動は現れない。その理由は、次の通り
であると推定される。即ち、外部加熱手段を用いると、
嵩増大の推進力となる水蒸気を、食品の表面から奪い去
ることとなり、それと同時に、当該食品の表面を硬化さ
せてしまうことになる。加えて、外部加熱手段を採用す
ると、加熱による食品内部の水(分子レベルの水)への
影響が乏しく、且つ、加熱によりセル構造の破壊が助長
されることがある。
本発明では、食品の嵩を大きくする(復元させる)段
階で、内部に(分子レベルで)振動が与えられ、それに
よって熱が発生する。このように、内部振動加熱手段を
用いると、本発明の嵩が減少された食品の空隙容積が単
に増大し、その嵩が膨張するだけでなく、当該食品のセ
ル構造を骨格部分の分子に、直接振動が与えられる。そ
のため、嵩を大きくする段階で、グルテン及び澱粉によ
って構成されている、セル構造の骨格部分の構造にも、
何らかの変化が生じていると推定される。その結果、本
発明の方法で製造された食品[前記工程(a)及び
(b)と、内部振動加熱手段による加熱処理をされたも
の]は、圧縮等の嵩を減少させる処理やその後の内部振
動加熱手段による加熱処理がされていない通常の、穀物
粉及び水からなり、加熱処理された多孔性食品に比べ
て、やわらかく、且つ、口溶けも優れたものとなると考
えられる。本発明の嵩が減少された食品が冷凍食品であ
る場合、単なる自然解凍を行ったのでは、このような挙
動は現れない。凍結した自由水(氷)が、水に戻るにす
ぎない。
内部振動加熱手段による加熱を含む、嵩が減少された
食品の加熱による嵩の増加の程度は、当該食品の自体の
組成や構造、及び、その嵩を減少させる処理を行った際
の条件により、種々変化する。しかし、一般的には、穀
物粉及び水からなり、加熱処理された多孔性食品の、加
熱処理(即ち、焼成等)直後あるいは嵩を減少させるた
めの処理直前の体積1に対して、通常は0.5〜1.2程度の
嵩となり、好ましくは0.7〜1.2程度の嵩となる。あるい
は、本発明にかかる、嵩が減少された食品の体積1に対
して、通常は1.2〜10.0程度の嵩となる。勿論、このよ
うな嵩の増加の割合は、高いほうが、加熱後の食品のふ
っくら感が高まり、望ましい。本発明に係る、内部振動
加熱手段を用いた加熱によって現れる食感(やわらか
さ、口溶け)やふっくら感が認知されるには、本発明に
かかる多孔性食品の体積に対する、嵩が減少された食品
を内部振動加熱手段によって加熱した後の体積の割合
(以下、復元率ということがある)を、0.7以上とする
ことが好ましい。また、嵩の減少率とその復元率とは、
密接な関係があり、嵩の減少率を大きくし過ぎると、十
分な嵩の復元は困難になる傾向がある。
本発明の嵩が減少された食品となる、穀物粉及び水か
らなり、加熱処理された多孔性食品は、小麦粉等の穀物
粉をその主たる材料とし、且つ、水を含むものである。
当該多孔性食品は、一般には、これらの材料に加えて、
澱粉、卵、油脂、砂糖、乳成分、香料、乳化剤等を含有
するが、その製造材料は、特に限定されるものではな
い。
本発明に係る多孔性食品の主たる、及び補助的な材料
として、一般的に用いられているものは、次の通りであ
る。
(1) 穀物粉 本発明において、最も一般的に用いられる穀物粉は、
小麦粉である。小麦粉の中では、強力粉が好ましい。一
般的には、小麦粉として、強力粉に、ベーカリー製品の
製造に通常使用されている、中力粉、薄力粉、特殊粉及
びデュラム小麦粉からなる群から選ばれた少なくとも一
種が適宜混合されてなる小麦粉混合物が使用される。特
に、強力粉に中力粉及び/又は薄力粉を加えてなり、蛋
白質含量(粗蛋白量)が10〜15重量%程度である小麦粉
が、好ましく使用される。
小麦粉以外の穀粉類の例としては、大麦粉、ライ麦
粉、トウモロコシ粉、米粉、大豆粉等が挙げられる。
(2) 澱粉 澱粉としては、コーンスターチ、甘蔗澱粉、馬鈴薯澱
粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉等の天然物の澱粉
や、酸変性澱粉、酸素変性澱粉、酸化澱粉、ジアルデヒ
ド澱粉、架橋澱粉、エステル化澱粉等の化工澱粉が用い
られる。特に、α化処理された澱粉、高アミロペクチン
澱粉、高アミロース澱粉は、本発明に適用するのに好ま
しいものである。
(3) 卵 卵としては、ホール卵、液(冷凍)卵、液卵黄、加糖
冷凍卵黄、加塩冷凍全卵、生卵白、冷凍卵白、粉末卵、
濃縮卵等、各種のものが用いられる。
(4) 油脂 本発明では、油脂として、食用に適する動物性、植物
性の油脂及びそれらの硬化油、エステル交換油、分別油
等からなる群から、目的に応じて一種又は二種以上が選
択され、用いられる。動物性油脂の例としては、バタ
ー、ラード、牛脂、魚油が、植物性油脂の例としては、
サフラワー油、オリーブ油、綿実油、ナタネ油、ヤシ
油、パーム核油、パーム油、大豆油、コーン油が挙げら
れる。更に、上記油脂類を含有するマーガリンやショー
トニング等の加工油脂製品も、本発明において用いられ
る油脂の例として挙げられる。
(5) 乳成分 本発明に用いられる乳成分の例としては、牛乳類、生
クリーム、全脂練乳、脱脂練乳、ナチュラルチーズ、プ
ロセスチーズ、バター、全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエーパ
ウダー、発酵乳、乳製品を主としたO/W乳化物が挙げら
れる。
(6) 糖類 糖類の例としては、砂糖、果糖、ブドウ糖や糖アルコ
ールが挙げられる。
(7) 香料等 本発明の多孔性食品には、その製造材料として、各種
香料や、スパイス類、甘味料、調味料、チョコレートや
ココア等の風味付け食品を用いてもよい。
(8) 乳化剤 乳化剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソ
ルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステ
ル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪
酸エステル、ステアリル有機酸エステルが挙げられる。
特に、少なくとも一部が液晶状態あるいはα結晶状態に
ある乳化剤を用いると、内部振動加熱手段で加熱されて
製造された、本発明に係る食品の食感及び外観が改良さ
れ、好ましい。
(9) 酵素 酵素としては、市販されている各種のα−アミラー
ゼ、β−アミラーゼ、イソアミラーゼ、グルコアミラー
ゼ、並びに市販されている各種のプロテアーゼを使用す
ることができる。
本発明の嵩が減少された食品の製造材料として用いら
れる、穀物粉及び水からなり、加熱処理された多孔性食
品の、一般的な材料は、上記の通りである。当該多孔性
食品がパンである場合は、そのパンの嵩を減少させてな
る食品の、内部振動加熱による嵩の増加、及び、内部振
動加熱処理後の食品の食感及び風味の観点から、下記組
成のものが好ましい: (a) パンの製造材料として、穀物粉と、当該穀物粉
100重量部あたり55〜100重量部の水を用いてなるもの; (b) パンの製造材料として、粗蛋白量が10重量%以
上の穀物粉を用いてなるもの; (c) パンの製造材料として、穀物粉と、当該穀物粉
100重量部あたり2〜30重量部の、その融点が25〜50℃
であり、且つ、固体脂含量が、10℃で5〜70重量%、25
℃で5〜60重量%、35℃で25重量%以下である油脂を用
いてなるもの; (d) パンの製造材料として、穀物粉と、当該穀物粉
100重量部あたり、その固形分の量に換算して0.5〜20重
量部のグルテン蛋白質を用いてなるもの; (e) パンの製造材料として、穀物粉と、当該穀物粉
100重量部あたり、その固形分の量に換算して0.5〜20重
量部の卵白を用いてなるもの; (f) パンの製造材料として、穀物粉と、当該穀物粉
100重量部あたり、その固形分の量に換算して0.1〜10重
量部のリポ蛋白質を用いてなるもの;及び、 (g) パンの製造材料として、穀物粉と、当該穀物粉
1kgあたり10〜20,000活性単位の、パーオキシダーゼ、
グルコースオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダー
ゼ、トランスグルタミナーゼ及びリポキシゲナーゼから
なる群から選ばれた少なくとも一種の酸化酵素を用いて
なるもの。
上記(a)の組成のパンでは、本発明の嵩が減少され
た食品を製造するに際し、その材料であるパンの圧縮に
よって生じることがある、ひび割れ等の外観の低下及び
破損等の形状の崩壊という問題が解決されている。加え
て、このようなパンを用いて製造された本発明の嵩が減
少された食品は、それが内部振動加熱手段によって加熱
されると、焼成直後のパンとほぼ同様の嵩及び食感を示
す。
上記(a)の組成において、水の量は、穀物粉100重
量部あたり55〜100重量部であり、好ましくは60〜90重
量部であり、更に好ましくは65〜85重量部である。
上記(a)の組成において、パンを製造するに際し、
製パン材料として、更に保水剤を用いることが好まし
い。保水剤を用いると、水分含量が高いパン生地を用い
たパン製造時の、作業性が改善される。また、保水剤
は、当該パンから製造された本発明の嵩が減少された食
品の、内部振動加熱手段による加熱の際に、水分の過剰
の蒸散を抑制し、ソフトな食感の食品を提供するのにも
役立つ。保水剤の使用量は、穀物粉100重量部あたり、
通常は0.05〜10重量部であり、好ましくは0.1〜5重量
部である。
保水剤の例としては、寒天、カラギーナン、アルギン
酸ナトリウム、ファーセラン等の海草関連物質;ローカ
ストビーンガム、グアーガム、タラガム、タマリンドガ
ム等の豆類関連物質;アラビアガム、トラカントガム、
カラヤガム等の樹液関連物質;キサンタンガム等の微生
物関連物質;ペクチン等の果実関連物質;カルボキシメ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ビスコ
ース等のセルロース関連物質;カゼイン、ゼラチン、大
豆蛋白質等の蛋白質;コーンスターチ、甘蔗澱粉、馬鈴
薯澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉等の天然物の澱粉類;酸
変性澱粉、酵素変性澱粉、架橋澱粉、エステル化澱粉等
の化工澱粉類;サイクロデキストリン、水飴、オリゴ
糖、還元麦芽糖、ソルビトール等の糖関連物質;ガラク
トマンナン、グルコマンナン等のマンナン類;及びキチ
ンを挙げることができる。
本発明では、これらの保水剤の中の一種、又はそれら
の二種以上の混合物を用いることができる。これらの保
水剤の中、前記効果の発現に特に有用なものは、カラヤ
ガム、キサンタンガム、ゼラチン及び大豆蛋白質であ
る。
上記(b)の組成において用いられる穀物粉は、粗蛋
白量が10重量%以上のものであり、好ましくは11.5〜15
重量%のものである。
上記(b)の組成を採用すると、そのようなパンを用
いて製造された本発明の嵩が減少された食品は、それが
内部振動加熱手段によって加熱されると、焼成直後のパ
ンとほぼ同様の嵩と、ソフトで口溶けがよいという食感
を示す。その理由の詳細は不明であるが、蛋白質含量が
高いために、澱粉の糊化が相対的に抑制されるためと考
えられる。
(b)の組成を実現するためには、小麦粉を用い、且
つ、小麦粉として、強力粉を使用することが好ましい。
また、強力粉を主体とし、中力粉及び/又は薄力粉をも
含み、更に、粗蛋白量の調整のために、特殊粉を使用し
た小麦粉混合物を使用することも好ましい。(b)の組
成において、小麦粉に、小麦粉以外の澱粉類である、大
麦粉、ライ麦粉、トウモロコシ粉、米粉、大豆粉等を併
用してもよい。
(c)の組成において使用される油脂は、その融点が
25〜50℃、好ましくは30〜45℃であり、且つ、固体脂含
量が、10℃で5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%、
25℃で5〜60重量%、好ましくは5〜50重量%、35℃で
25重量%以下、好ましくは15重量%以下のものである。
また、そのような油脂の使用量は、穀物粉100重量部あ
たり、2〜30重量部、好ましくは3〜20重量部である。
使用する油脂の種類は、上記物性を示す限り、特に限
定されない。勿論、植物性油脂、動物性油脂、及びそれ
らの加工油脂の中から、二種以上を適宜選択し、上記の
物性を示すように組み合わせてもよい。
(c)の組成のパンを用いて製造された本発明の嵩が
減少された食品では、それが長期に亘って冷凍保存され
ても、内部振動加熱手段によって加熱されて得られる食
品の食感の低下が小さく、且つ、当該加熱後において
も、食感の経時変化が小さいという特徴を有する。パン
における油脂の働きの詳細、及び、このような特徴が現
れる理由に関しては、未だ不明の点が多いが、凍結環境
下にあっても、内部振動加熱手段による加熱後も、油脂
の可塑性により、セル構造の維持が図られるためである
と考えられる。
(d)の組成においては、グルテン蛋白質を、穀物粉
100重量部あたり、その固形分の量に換算して0.5〜20重
量部、好ましくは1〜10重量部の量で用いる。
(d)の組成のパンを用いて製造された本発明の嵩が
減少された食品は、それを内部振動加熱手段によって加
熱した際に、優位にその嵩が大きくなる。特に、本発明
の嵩が減少された食品が長期に亘って冷凍保存された場
合、上記効果は顕著である。
本発明において、グルテン蛋白質が、上記の効果を示
す理由の詳細を不明であるが、グルテン蛋白質が、セル
構造の弾性を強化するように働くためであると推測され
る。
ここで用いられるグルテン蛋白質の例としては、小麦
粉グルテンの蛋白質としての性質を変えないように、そ
れを乾燥及び粉末化処理がなされた活性グルテンや、小
麦粉グルテンに酸や酵素を作用させて調製された、各種
のグルテン分解物が挙げられる。本発明では、これらの
グルテン蛋白質の中の一種、又はそれらの二種以上の混
合物を用いることができる。これらのグルテン蛋白質の
中、前記効果の発現に特に有用なものは、活性グルテン
である。
上記(e)の組成のパンを用いて製造された、本発明
の嵩が減少された食品は、それを内部振動加熱手段を用
いて加熱した際に、優れた食感を示す。一般に、食品を
内部振動加熱手段を用いて加熱すると、食感の低下が生
じ易い。パンについて述べると、パンの「ひき」が強く
なるとか、水分の蒸散により、パンが温かい時でも急速
に硬くなるという現象が生じる。しかし、(e)の組成
のパンを用いて製造された、本発明の嵩が減少された食
品では、それを内部振動加熱手段を用いて加熱した際
に、上記のような劣悪な食感を示すことがない。
本発明において、卵白が、上記の効果を示す理由の詳
細は不明であるが、卵白が、澱粉を内包したグルテンネ
ットワークの緻密化及び構造強化に寄与しているためで
あると推測される。
ここで、上記(e)の組成のパンの製造に使用される
卵白について説明する。
卵白には、液卵白、冷凍卵白、粉末卵白、濃縮卵白、
耐熱性卵白、酵素分解卵白、卵白アルブミン、オボアル
ブミン、コンアルブミン、オボムコイド、オボグロブリ
ン等の各種のものが包含される。本発明では、それらの
うちの一種、又はそれらの二種以上の混合物をを用いる
ことができる。上記のものの内、本発明の効果を得る上
で特に好ましいものは、粉末卵白及び耐熱性卵白であ
る。
卵白の使用量は、穀物粉100重量部あたり、その固形
分の量に換算して0.5〜20重量部、好ましくは1〜10重
量部である。
上記(f)の組成のパンを用いて製造された、本発明
の嵩が減少された食品は、上記(e)の組成のパンを用
いて製造された、本発明の嵩が減少された食品と同様
に、それを内部振動加熱手段を用いて加熱した際に、優
れた食感を示す。
本発明で使用されるリポ蛋白質とは、リン脂質と蛋白
質との複合体を指す。そのような複合体は、水にリン脂
質と蛋白質とを入れ、乳化させ、次いで脱水することに
よって調製される。本発明では、下記原料を用いて調製
されたリポ蛋白質を用いてもよいし、市販品を用いても
よい。
リポ蛋白質の調製に用いられるリン脂質の例として
は、各種植物及び動物起源のレシチン、及び、そのよう
なレシチンを精製、分画又は酵素処理して調製されたも
のが挙げられる。それらのうち、各種植物及び動物起源
のレシチンが好ましく、大豆レシチンが特に好ましい。
一方、リポ蛋白質の調製に用いられる蛋白質の例として
は、卵、乳、小麦粉及び血清由来のアルブミン;カゼイ
ン;塩可溶性のグロブリン;低分子量のゼラチンといっ
た、水溶性蛋白質が挙げられる。
本発明において、リポ蛋白質の使用量は、穀物粉100
重量部あたり、その固形分の量に換算して0.1〜10重量
部、好ましくは0.2〜5重量部である。この範囲内であ
ると、上記の如く、優れた食感が確保され、且つ、パン
生地製造時の作業性等にも悪影響を与えることがない。
上記(g)の組成のパンを用いて製造された、本発明
の嵩が減少された食品は、特に当該食品が冷凍食品であ
る場合に、それを内部振動加熱手段によって加熱した際
に生じ易い、ムレ臭(酸臭や過度の発酵臭)の発生とい
う問題が解決されてなり、且つ、優れた食感を示すもの
である。
本発明で用いられる上記酵素は、酸化還元酵素に分類
されるもので、具体的には以下の通りである。
パーオキシダーゼとは、過酸化水素を水素受容体とし
て、種々の物質を酸化する性質を有する酵素である。
グルコースオキシダーゼとは、グルコースを特異的に
酸化してグルコン酸に変える性質を有する酸素である。
ポリフェノールオキシダーゼとは、分子状酸素によっ
て、モノフェノール類をO−ジフェノールへ、更にはO
−キノンへと酸化する性質を有する酵素である。
トランスグルタミナーゼとは、ペプチド内のα−グル
タミル基を他のアミノ酸に転移させ、ペプチド架橋を作
る性質を有する酵素である。
リポキシゲナーゼとは、小麦粉中のカロチンに作用し
て、小麦粉を漂白するという性質を有する酵素である。
これらの酵素は、市販品が入手可能であるが、公知の
方法により製造することもできる。
これらの酵素の内、本発明の効果を得る上で好ましい
のは、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナ
ーゼであり、特に好ましいのはグルコースオキシダーゼ
である。
本発明において、上記酵素の使用量は、酵素の種類に
よっても異なるが、穀物粉1kgあたり、10〜20,000活性
単位、好ましくは10〜5,000活性単位となる量である。
この範囲内であると、上記の如く、ムレ臭防止効果及び
優れた食感が確保され、且つ、パン生地製造時の作業性
等にも悪影響を与えることがない。なお、各種酵素の活
性は、その作用基質に着目した公知の方法で測定するこ
とができる。
上記酵素と共に、カタラーゼ、ペントセナーゼ、アミ
ラーゼ及びプロテアーゼからなる群から選ばれた少なく
とも一種の酵素を使用することも好ましい。
上記酵素は、中種発酵工程後の本捏配合材料に添加し
てもよいし、油脂等の製パン材料の一つと、予め混合し
ておいてもよい。しかし、パンの中種の発酵前に、中種
配合材料として、上記酵素を用いることが最も好まし
い。それにより、酵素が優れた所望の効果を示す。
(g)の組成を採用すると、酵素の働きによって、パ
ン生地が構成する、セル構造の骨格部分(グルテン/デ
ンプンネットワーク)の構造が緻密化される。そのよう
な構造においては、パン生地は、多量の水分を保持する
ことができる。その結果、通常では考えられない高水分
含量の生地であっても、作業性よく生地を製造すること
ができる。
本発明の技術は、フィリング食材を含有する、穀物粉
及び水からなり、加熱処理された多孔性食品にも適用可
能である。ここで、フィリング食材を含有するとは、特
定の食材がパン等の食品に内包されている場合に限られ
ず、特定の食材がパン等の食品に挟まれている場合、特
定の食材の一部がパン等の食品に内包され、他の一部が
その表面に出ている場合、パン等の食品の表層に、特定
の食材が塗布されているか、載せられている場合、及
び、特定の食材がパン等の食品中に埋め込まれて点在し
ている場合等を、全て包含する。
菓子パン用のフィリング食材の例としては、餡、ジャ
ム、クリーム、チョコレート、カレー、蜜が挙げられ
る。また、食材の種類によって分類すれば、フィリング
食材の例としては、中華系[餡、ミンチ(肉と刻み野菜
等)、各種野菜、焼きメシ、お好み焼き、タコ焼き、各
種麺類(焼きそば、スパゲッティ等)等]、揚げ物系
[各種コロッケ、カツ、各種フライ、各種天ぷら(エ
ビ、イカ、いも、かぼちゃ等)等]、肉系(ハンバー
グ、パテ、ソーセージ、カルビ、焼き鳥、ベーコン
等)、サラダ系(卵サラダ、ツナサラダ、マカロニサラ
ダ、ポテトサラダ等)、魚介系(エビ、カニ、タコ、イ
カ、各種魚類、各種貝類等)、乳製品系[バター、各種
チーズ(プロセス、ナチュラル等)等]、洋風食材系
(グラタン、ドリア、シチュー、各種ソース、ピザの具
等)、その他[コーン、調味料(マヨネーズ、ケチャッ
プ)、各種キノコ類、各種フルーツ類、各種ナッツ類
等]が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。また、これらのうちの二種以上組み合わせて用いる
ことも、勿論可能である。
本発明において、フィリング食材とその他の部分との
量比は、特に限定されない。また、前記フィリング食材
は、食材そのままであっても、種々の味付けや調理がさ
れたものであってもよい。フィリング食材の形態は、適
宜でよく、具体的には、食材そのままの形態でも、ある
いは、平らに形作ったり、刻む等してあってもよい。
本発明の嵩が減少された食品の製造材料の一種であ
る、例えばフィリング食材を含むパンを製造する場合、
焼成時のパン生地からのフィリング食材のもれを防ぐ目
的で、フィリング食材を可食性フィルムで包む、フィリ
ング食材に可食性粉末をまぶす、あるいは、フィリング
食材に可食性粉末の水溶液を塗布する等の処理をしても
よい。このような用途で用いられる可食性フィルムの例
としては、蛋白質性フィルム、多糖類系フィルム等が挙
げられ、可食性粉末の例としては、小麦粉を含む各種穀
物粉、パン粉、粉乳等が挙げられる。また、フィリング
食材の水分量を調整する目的(食感及び作業性の改善の
ため)で、多糖類や蛋白質をフィリング食材に添加し、
それに吸水させてもよい。
フィリング食材を含む、本発明にかかる多孔性食品の
製造に際し、フィリング食材は、ミキシング工程、生地
の成形工程、焼成等の加熱処理後の工程、加熱処理及び
冷却間は冷凍後の工程等の各種工程の中、どの工程でフ
ィリング食材以外の材料に含ませてもよい。あるいは、
圧縮等の嵩を減少させる処理後の任意の工程で、嵩が減
少された食品に、フィリング食材を含ませてもよい。
本発明の技術を、フィリング食材を含む嵩が減少され
た食品の製造に応用すると、当該食品を加熱して得られ
た食品は、ムレ臭が少ない。
このように、本発明の技術によれば、パン類等の、穀
物粉及び水からなり、加熱処理された多孔性食品を、そ
の嵩を減少させた状態で流通、保管することができるの
で、その際の経費削減を図ることが出来る。また、本発
明の技術によれば、販売店、外食産業店、家庭におい
て、何時でも、焼き立てに近い風味を有する、ふっくら
として熱いパン類等を、素早く提供することができる。
発明の他の特徴は、発明を説明するために与えられ且
つ発明を限定することは意図されていない典型的な態様
についての一連の下記説明において、明らかとなるであ
ろう。
実施例 実施例1 下記材料を用い、ロールパンを製造した。即ち、下記
材料を秤量し、互いに混捏した。次いで、得られた生地
を、28℃で40分間発酵させ、その後、40gずつに分割し
た。ベンチタイムを15分間とった後、生地を成形した。
37℃、湿度85%で30分間醗酵後、生地を焼成し、比容積
5.10(cm3/g)のロールパンを得た。
(ロールパンの組成) 強力粉 100.0重量部 イースト 2.0 イーストフード 0.1 砂糖 8.0 食塩 1.8 脱脂粉乳 3.0 ショートニング 5.0 モノグリセリド 0.3 水 60.0 得られたロールパンを、圧縮プレス板に挟み、15秒間
圧縮成形を行い、ロールパンの比容積を2.00cm3/gとし
た。圧縮成形後のロールパンを、その状態のままで、即
ち圧縮プレス板に挟んだままの状態で、−30℃まで急速
冷凍した。次いで、ロールパンをプレス板から解放し、
包装フィルムに導入した。包装フィルム内の空気を窒素
ガスで置換し、その後、フィルムを密封した。この状態
で、ロールパンを冷凍庫に保存した。1箇月後、密封さ
れたロールパンを冷凍庫から取り出した。ロールパンを
包装フィルムから取り出し、電子レンジ(500W)で40秒
間加熱した。このようにして得られたロールパンの比容
積は、5.80cm3/gであった。得られた(即ち、再加熱さ
れた)ロールパンは、製造時(即ち、焼成直後)と同様
に、ふっくらとした熱々の状態であり、かつ、その風味
及び食感も優れていた。
実施例2 下記組成の中種材料及び本捏材料を用い、中種法によ
り、半球状山型パンを製造した。
具体的には、下記中種材料を秤量し、得られた混合物
を、低速で3分間、中速で1分間ミキシングした。得ら
れた生地を、27℃、湿度80%の醗酵室内で3時間醗酵さ
せた。このようにして、中種を得た。
次に、この中種に、ショートニング以外の下記本捏材
料を加え、得られた混合物を、低速で2分間、中速で3
分間ミキシングした。それにショートニングを加え、得
られた混合物を、更に、低速で4分間、中速で5分間ミ
キシングした。このようにして得られた生地を、50gに
分割した。ベンチタイムを20分間とった後、分割された
生地を半球状山型に成形した。38℃、湿度85%の醗酵室
内で50分間醗酵させた後、生地を210℃のリールオーブ
ンにて9分間焼成し、比容積5.60cm3/gの半球状山型パ
ンを得た。
(半球状山型パンの組成) 中種材料 強力粉 70.0重量部 イースト 2.0 イーストフード 0.1 モノグリセリド 0.3 水 43.0 本捏材料 強力粉 30.0重量部 砂糖 5.0 食塩 1.8 卵 5.0 脱脂粉乳 2.0 ショートニング 8.0 水 24.0 得られた半球状山型パンを、圧縮プレス板に挟み、手
動にて、5秒間かけて圧縮成形を行い、半球状山型パン
の比容積を1.80cm3/gとした。圧縮成形後の半球状山型
パンを、その状態のままで、即ち圧縮プレス板に挟んだ
ままの状態で、−30℃まで急速冷却した。半球状山型パ
ンが凍結し、圧縮成形状態が固定化されるまで、半球状
山型パンを−30℃にて保存した。次いで、半球状山型パ
ンをプレス板から解放し、包装フィルムに導入し、その
後、フィルムを密封した。
また、焼成後の半球状山型パンを、そのまま、即ち圧
縮せずに、上記と同様の条件にて凍結させた。凍結した
半球状山型パンを、包装フィルムに導入し、その後、包
装フィルムを密封した。
この状態で、半球状山型パンを冷凍庫に保存した。24
時間後(処理1〜4)、又は3週間後(処理5〜8)
に、密封された半球状山型パンを冷凍庫から取り出し
た。半球状山型パンを包装フィルムから取り出し、下記
の処理を施した。
処理1:冷凍保存24時間後、圧縮成形された冷凍パン
を、電子レンジ(500W)で加熱した。
処理2:冷凍保存24時間後、圧縮成形された冷凍パン
を、網焼きトースター(200℃)で加熱した。
処理3:冷凍保存24時間後、圧縮成形された冷凍パン
を、室温(26℃)にて自然解凍した。
処理4:冷凍保存24時間後、圧縮されていない冷凍パン
を、電子レンジ(500W)で加熱した。
処理5:冷凍保存3週間後、圧縮成形された冷凍パン
を、電子レンジ(500W)で加熱した。
処理6:冷凍保存3週間後、圧縮成形された冷凍パン
を、網焼きトースター(200℃)で加熱した。
処理7:冷凍保存3週間後、圧縮成形された冷凍パン
を、室温(26℃)にて自然解凍した。
処理8:冷凍保存3週間後、圧縮されていない冷凍パン
を、電子レンジ(500W)で加熱した。
加熱後の半球状山型パンの比容積を、表1及び2に示
す。
また、加熱後の半球状山型パンの、風味、食感及び外
観を評価した。それらの結果も表1及び2に示す。評価
は、5名の専門パネラーによって官能的に行われ、表中
には、パネラーの総体的な意見を示した(以下の実施例
においても同様である)。
表中において、○は良好、△はやや不良、×は不良を
示す。また、表中には、各々についての具体的評価も併
記した。
表1及び2に示すように、電子レンジを用いて加熱を
行うと、圧縮成形された半球状山型の冷凍パンは、その
焼成直後と同等の、比容積と、満足のいく風味、食感及
び外観を示した。本発明に係る圧縮、冷凍パン(嵩を減
少させたパン)の嵩を大きくする(復元させる)手段と
して、電子レンジは、トースターに比べて格段に優れて
いる。また、嵩を減少させなかった(焼成後に冷凍のみ
を行った)場合に比べ、嵩を減少させた(焼成後に圧縮
及び冷凍を行った)場合は、電子レンジでの加熱後にお
いて、パンにやわらかさがあり、且つ、パンの口溶けが
よかった。本発明によって得られるこれらの効果は、冷
凍保存時間が長くなっても、損なわれることなく現れる
ことがわかった。
実施例3 下記の材料を用い、中種法にてリングドーナツを製造
した。
具体的には、下記の条件にて、生地を混捏し、醗酵さ
せ、分割し、成形し、その後、180℃のサラダ油で、片
面につき1分30秒間揚げた。このようにして、比容積5.
5cm3/gのリングドーナツを製造した。
(リングドーナツの組成) 中種材料 小麦粉(強力粉) 70.0重量部 イースト 3.0 イーストフード 0.1 全卵 10.0 モノグリセリド 0.3 水 35.0 本捏材料 小麦粉(強力粉) 30.0重量部 砂糖 12.0 食塩 1.6 脱脂粉乳 2.0 ショートニング 10.0 ベーキングパウダー 1.0 水 20.0 (製造条件) 中種製造工程 ミキシング :低速3分、中速3分 こね上げ温度:24.0℃ 醗酵条件 :28℃、3時間 本捏工程 ミキシング :(ショートニング添加前) 低速3分、中速3分 (ショートニング添加後) 低速2分、中速3分、高速2分 こね上げ温度:27.5℃ フロアタイム:30分間 分割 :40g ベンチタイム:20分間 醗酵 :38℃、湿度70%、40分間 得られたリングドーナツを、包装フィルムに導入し
た。減圧シール装置にて、包装フィルム内の空気を窒素
ガスで置換し、その後、45%減圧の条件下で、ドーナツ
の減圧圧縮と包装フィルムのシールを同時に行った。そ
の結果、ドーナツの比容積は1.80cm3/gとなった。
その状態のままで、ドーナツを−30℃まで急速冷凍
し、次いで冷凍庫に保存した。1箇月後、ドーナツを冷
凍庫から取り出した。ドーナツを包装フィルムから取り
出し、電子レンジで40秒間加熱した。その結果、ドーナ
ツは膨張し、その比容積は、5.50cm3/gとなった。得ら
れた(即ち、再加熱された)リングドーナツは、製造時
(即ち、揚げ終わった直後)と同様に、ふっくらとした
状態であり、かつ、その風味及び食感も優れていた。
実施例4〜7 表3に示す中種材料及び本捏材料を用い、中種法によ
り、実施例4〜7のミニ山型パンを製造した。
具体的には、中種材料を秤量し、得られた混合物を、
低速で3分間、中速で1分間ミキシングした。この生地
の捏ね上げ温度は、24℃とした。得られた生地を、27
℃、湿度80%の醗酵室内で3時間醗酵させた。このよう
にして、中種を得た。
次に、この中種に、ショートニング以外の本捏材料を
加え、得られた混合物を、低速で2分間、中速で3分間
ミキシングした。それにショートニングを加え、得られ
た混合物を、更に、低速で3分間、中速で5分間ミキシ
ングした。この本捏生地の捏ね上げ温度は、27.5℃とし
た。フロアタイムを30分間とった後、得られた生地を50
gに分割した。ベンチタイムを20分間とった後、分割さ
れた生地をミニ山型に成形した。38℃、湿度85%の醗酵
室内で50分間醗酵させた後、生地を、210℃のリールオ
ーブンにて9分間焼成し、ミニ山型パンを得た。
得られたミニ山型パンを、圧縮プレス板に挟み、圧縮
プレス板の移動速度10mm/秒にて圧縮成形を行い、ミニ
山型パンの比容積を1.50cm3/gとした。圧縮成形後のミ
ニ山型パンを、その状態のままで、即ち圧縮プレス板に
挟んだままの状態で、−30℃まで急速に冷却した。ミニ
山型パンが凍結し、圧縮成形状態が固定化されるまで、
ミニ山型パンを−30℃にて保存した。次いで、ミニ山型
パンをプレス板から解放し、包装フィルムに導入し、そ
の後、フィルムを密封した。この状態で、ミニ山型パン
を冷凍庫に保存した。1箇月後、密封されたミニ山型パ
ンを冷凍庫から取り出した。ミニ山型パンを包装フィル
ムから取り出し、電子レンジ(600W)で50秒間加熱し
た。
圧縮成形前(焼成直後)、圧縮成形後及び電子レンジ
での加熱直後に測定された、ミニ山型パンの比容積と、
電子レンジでの加熱後の当該パンの風味、食感及び外観
の評価結果を、表3に示す。
表3に示すように、電子レンジで加熱されると、圧縮
成形されたミニ山型パンの冷凍品は、その焼成直後とほ
ぼ同等の、優れた品質を有していた。中でも、小麦粉10
0重量部に対して65重量部以上の量で水を用いた場合に
は、特に、ふっくらとして、風味、食感のいずれもが良
好であった。
実施例8〜12 パンの主材料である小麦粉として、蛋白量が互いに異
なる各種小麦粉を用い、バターロールを製造した。
表4に示す中種材料及び本捏材料を用い、中種法によ
り、実施例8〜12のバターロールを製造した。
具体的には、中種材料を秤量し、得られた混合物を、
低速で3分間、中速で1分間ミキシングした。この生地
の捏ね上げ温度は、24.5℃とした。得られた生地を、27
℃、湿度80%の醗酵室内で2時間半醗酵させた。このよ
うにして、中種を得た。
次に、この中種に、ショートニング及びバター脂以外
の本捏材料を加え、得られた混合物を、低速で2分間、
中速で3分間ミキシングした。それにショートニング及
びバター脂を加え、得られた混合物を、更に、低速で3
分間、中速で5分間ミキシングした。この本捏生地の捏
ね上げ温度は、28℃とした。フロアタイムを15分間とっ
た後、得られた生地を35gに分割した。ベンチタイムを2
0分間とった後、分割された生地をバターロール形状に
成形した。38℃、湿度85%の醗酵室内で50分間醗酵させ
た後、生地を、210℃のリールオーブンにて8分間焼成
し、バターロールを得た。
得られたバターロールを、圧縮プレス板に挟み、圧縮
プレス板の移動速度10mm/秒にて圧縮成形を行い、バタ
ーロールの比容積を2.00cm3/gとした。圧縮成形後のバ
ターロールを、その状態のままで、即ち圧縮プレス板に
挟んだままの状態で、−30℃まで急速に冷却した。バタ
ーロールが凍結し、圧縮成形状態が固定化されるまで、
バターロールを−30℃にて保存した。次いで、バターロ
ールをプレス板から解放し、包装フィルムに導入し、そ
の後、フィルムを密封した。この状態で、バターロール
を冷凍庫に保存した。1箇月後、密封されたバターロー
ルを冷凍庫から取り出した。バターロールを包装フィル
ムから取り出し、電子レンジ(500W)で40秒間加熱し
た。
圧縮成形前(焼成直後)、圧縮成形後及び電子レンジ
での加熱直後に測定された、バターロールの比容積と、
電子レンジでの加熱後の当該バターロールの風味、食感
及び外観の評価結果を、表4に示す。
表4に示すように、電子レンジで加熱されると、圧縮
成形されたバターロールの冷凍品は、その焼成直後とほ
ぼ同等の、優れた品質を有していた。中でも、粗蛋白量
が12重量%以上の小麦粉を用いた場合には、特に、ふっ
くらとして、風味、食感のいずれもが良好であった。
注) 強力粉*1: ミリオン 中力粉*2: 旭 薄力粉*3: バイオレット 特殊粉*4: 青鶏 これらの小麦粉は、全て、日清製粉製の商品である。
実施例13〜17 製パン材料であるショートニングとして、表5に示
す、融点及び可塑性が互いに異なる各種ショートニング
を用い、テーブルロールを製造した。
表6に示す中種材料及び本捏材料を用い、中種法によ
り、実施例13〜17のテーブルロールを製造した。
具体的には、中種材料を秤量し、得られた混合物を、
低速で3分間、中速で1分間ミキシングした。この生地
の捏ね上げ温度は、24.5℃とした。得られた生地を、27
℃、湿度80%の醗酵室内で2時間半醗酵させた。このよ
うにして、中種を得た。
次に、この中種に、ショートニング以外の本捏材料を
加え、得られた混合物を、低速で2分間、中速で3分間
ミキシングした。それにショートニングを加え、得られ
た混合物を、更に、低速で3分間、中速で5分間ミキシ
ングした。この本捏生地の捏ね上げ温度は、28℃とし
た。フロアタイムを30分間とった後、得られた生地を50
gに分割した。ベンチタイムを20分間とった後、分割さ
れた生地をテーブルロール形状に成形した。38℃、湿度
85%の醗酵室内で50分間醗酵させた後、生地を、210℃
のリールオーブンにて10分間焼成し、テーブルロールを
得た。
得られたテーブルロールを、圧縮プレス板に挟み、圧
縮プレス板の移動速度10mm/秒にて圧縮成形を行い、テ
ーブルロールの比容積を1.80cm3/gとした。圧縮成形後
のテーブルロールを、その状態のままで、即ち圧縮プレ
ス板に挟んだままの状態で、−30℃まで急速に冷却し
た。テーブルロールが凍結し、圧縮成形状態が固定化さ
れるまで、テーブルロールを−30℃にて保存した。次い
で、テーブルロールをプレス板から解放し、包装フィル
ムに導入し、その後、フィルムを密封した。この状態
で、テーブルロールを冷凍庫に保存した。1箇月後、密
封されたテーブルロールを冷凍庫から取り出した。テー
ブルロールを包装フィルムから取り出し、電子レンジ
(600)Wで60秒間加熱した。
圧縮成形前(焼成直後)、圧縮成形後及び電子レンジ
での加熱直後に測定された、テーブルロールの比容積
と、電子レンジでの加熱後の当該テーブルロールの風
味、食感及び外観の評価結果を、表6に示す。
表6に示すように、電子レンジで加熱されると、圧縮
成形されたテーブルロールの冷凍品は、その焼成直後と
ほぼ同等の、優れた品質を有していた。中でも、その融
点が30〜45℃で、固体脂含量(Solid Fat Content)
が、10℃にて10〜50重量%、25℃にて5〜40重量%、35
℃にて20重量%以下である、可塑性を有するショートニ
ングを用いた場合には、特に、割れがなく、ふっくらと
しており、且つ、食感が良好であった。
実施例18〜22 食パンの一般的な組成に、グルテン、卵白等の蛋白質
を加えた組成で、食パンを製造した。
表7に示す中種材料及び本捏材料を用い、中種法によ
り、実施例18〜22のミニ山型食パンを製造した。
具体的には、中種材料を秤量し、得られた混合物を、
低速で2分間、中速で1分間ミキシングした。この生地
の捏ね上げ温度は、24℃とした。得られた生地を、27
℃、湿度80%の醗酵室内で3時間醗酵させた。このよう
にして、中種を得た。
次に、この中種に、ショートニング以外の本捏材料を
加え、得られた混合物を、低速で2分間、中速で3分間
ミキシングした。それにショートニングを加え、得られ
た混合物を、更に、低速で2分間、中速で5分間ミキシ
ングした。この本捏生地の捏ね上げ温度は、28℃とし
た。フロアタイム30分間とった後、得られた生地を60g
に分割した。ベンチタイムを20分間とった後、分割され
た生地をミニ山型食パン形状に成形した。38℃、湿度85
%の醗酵室内で50分間醗酵させた後、生地を、210℃の
リールオーブンにて10分間焼成し、ミニ山型食パンを得
た。
得られたミニ山型食パンを、圧縮プレス板に挟み、圧
縮プレス板の移動速度10mm/秒にて圧縮成形を行い、ミ
ニ山型食パンの比容積を1.50cm3/gとした。圧縮成形後
のミニ山型食パンを、その状態のままで、即ち圧縮プレ
ス板に挟んだままの状態で、−30℃まで急速に冷却し
た。ミニ山型食パンが凍結し、圧縮成形状態が固定化さ
れるまで、ミニ山型食パンを−30℃にて保存した。次い
で、ミニ山型食パンをプレス板から解放し、包装フィル
ムに導入し、その後、フィルムを密封した。この状態
で、ミニ山型食パンを冷凍庫に保存した。3箇月後、密
封されたミニ山型食パンを冷凍庫から取り出した。ミニ
山型食パンを包装フィルムから取り出し、電子レンジ
(600W)で60秒間加熱した。
圧縮成形前(焼成直後)、圧縮成形後及び電子レンジ
での加熱直後に測定された、ミニ山型食パンの比容積
と、電子レンジでの加熱後の当該ミニ山型食パンの風
味、食感及び外観の評価結果を、表7に示す。
表7に示すように、電子レンジで加熱されると、圧縮
成形されたミニ山型食パンの冷凍品は、長期に亘って冷
凍保存されたにもかかわらず、よく膨張し、その焼成直
後とほぼ同等の、良好な風味及び食感を示した。中で
も、卵白が添加されたものが、特に優れた品質を示し
た。
注) 小麦粉グルテン*1: グルテンEX−100(理研ビタ
ミン(株)製)、表中の数値は、固形分換算値である。
グルテン分解物*2: グルパール30(片山科学
(株)製)、表中の数値は、固形分換算値である。
粉末卵白*3: 卵白粉末KM(太陽化学(株)製)、
表中の数値は、固形分換算値である。
リポ蛋白質*4: ホエー蛋白質とレシチンから調製
されたもの、表中の数値は、固形分換算値である。
実施例23〜28 食パンの一般的な組成に、酵素を加えた組成で、食パ
ンを製造した。
表8に示す中種材料及び本捏材料を用い、中種法によ
り、実施例23〜28のミニ山型食パンを製造した。
具体的には、中種材料を秤量し、得られた混合物を、
低速で2分間、中速で1分間ミキシングした。この生地
の捏ね上げ温度は、23℃とした。得られた生地を、27
℃、湿度70%の醗酵室内で3時間半醗酵させた。このよ
うにして、中種を得た。
次に、この中種に、ショートニング以外の本捏材料を
加え、得られた混合物を、低速で3分間、中速で3分間
ミキシングした。それにショートニングを加え、得られ
た混合物を、更に、低速で2分間、中速で3分間、高速
で3分間ミキシングした。この本捏生地の捏ね上げ温度
は、27.5℃とした。フロアタイムを20分間とった後、得
られた生地を60gに分割した。ベンチタイムを20分間と
った後、分割された生地をミニ山型食パン形状に成形し
た。38℃、湿度80%の醗酵室内で50分間醗酵させた後、
生地を、220℃のリールオーブンにて10分間焼成し、ミ
ニ山型食パンを得た。
得られたミニ山型食パンを、圧縮プレス板に挟み、圧
縮プレス板の移動速度10mm/秒にて圧縮成形を行い、ミ
ニ山型食パンの比容積を1.50cm3/gとした。圧縮成形後
のミニ山型食パンを、その状態のままで、即ち圧縮プレ
ス板に挟んだままの状態で、−30℃まで急速に冷却し
た。ミニ山型食パンが凍結し、圧縮成形状態が固定化さ
れるまで、ミニ山型食パンを−30℃にて保存した。次い
で、ミニ山型食パンをプレス板から解放し、包装フィル
ムに導入し、その後、フィルムを密封した。この状態
で、ミニ山型食パンを冷凍庫に保存した。1箇月後、密
封されたミニ山型食パンを冷凍庫から取り出した。ミニ
山型食パンを包装フィルムから取り出し、電子レンジ
(600W)で50秒間加熱した。
圧縮成形前(焼成直後)、圧縮成形後及び電子レンジ
での加熱直後に測定された、ミニ山型食パンの比容積
と、電子レンジでの加熱後の当該ミニ山型食パンの風
味、食感及び外観の評価結果を、表8に示す。
表8に示すように、電子レンジで加熱されると、圧縮
成形されたミニ山型食パンの冷凍品は、よく膨張し、良
好な風味及び食感を示した。また、それらは、酸臭や過
度の醗酵臭を示さなかった。
なお、酵素活性は、下記の如く測定した。
〔グルコースオキシダーゼの活性測定法〕
グルコースを基質として、酸素の存在下で基質にグル
コースオキシダーゼを作用させると、過酸化水素が発生
する。発生した過酸化水素に、アミノアンチピリジン及
びフェノールの存在下でパーオキシダーゼを作用させ
る。生成したキノイミン色素の呈する色調を、波長500n
mで測定し、キノイミン色素を定量する。この条件下に
おいて、1分間に1μmolのグルコース(基質)を酸化
するのに必要な酵素量を、1ユニットとする。
〔カタラーゼ〕
酵素活性が明示された市販品、具体的にはカタラーゼ
L<アマノ>(天野製薬株式会社製)、を用いた。
〔トランスグルタミナーゼ(γ−グルタミルトランスフェラーゼ)の活性単位測定法〕
下記条件で、1分間に1μmolのp−ニトロアニリン
を生成する酵素量を1ユニットとする。
pH8.6のトリス−塩酸緩衝液をA液とする。
「グリシルグリシン4.72g+MgCl21.02g+L−γ−グ
ルタミル−p−ニトロアニリド一水和物1.00g」にA液
を加えて500mlにメスアップしたものをB液とする。
サンプル(酵素)約12.5mgを精秤し、それにA液を加
え、100mlにメスアップしたものをC液とする。C液
は、25℃の水浴中で保存する。
「B液3.0ml−C液0.02ml」及び「B液3.0ml+A液0.
02ml」の二液のそれぞれについて、JIS K 0115(吸光光
度分析のための通則)に従って、水を対照液として用
い、吸収セル10mmを用い、25℃において、波長405nmに
おける吸光度を、B液とC液(又はA液)の混合直後か
ら5分間測定する。1分間当りの吸光度変化を、それぞ
れE1、E2とする。その結果を用いて、下記の式により、
活性度A(units/mg)を算出する。
ここで、 9.9は、405nmにおけるp−ニトロアニリンのミリモル
吸光係数であり、 3.02は、反応液の総液量(ml)であり、 Sは、秤り取った酵素の質量(上記条件では、約12.5
mg)である。
〔リポキシゲナーゼの活性測定法〕
基質中の二重結合による酵素吸収を、ワールブルグマ
ノメーターで測定する。
0.1mMのリノール酸アンモニウムを0.1Mリン酸緩衝液
(pH7.0)溶液3mlを、マノメーターフラスコに入れ、フ
ラスコ側室には、0.1〜0.5mlのリポキシゲナーゼ水溶液
を入れる。両溶液が20℃になったら、空気中にて、両溶
液を互いに混合する。基質中の二重結合による酸素吸収
を、5分間隔で30分間測定する。1分間に1μMの酸素
吸収が生じる量を、1ユニットとする。
〔ポリフェノールオキシダーゼの活性測定法〕
基質中の二重結合による酸素吸収を、ワールブルグマ
ノメーターで測定する。
0.05Mリン酸水素二ナトリウム−0.025Mクエン酸緩衝
液(pH5.5)1.5mlと、10mM d−カテキンのエタノール溶
液2.0mlを、マノメーターフラスコに入れ、フラスコ側
室には、0.5mlのポリフェノールオキシダーゼ溶液を入
れる。マノメーターフラスコ内及び側室内の溶液が27℃
になったら、空気中にて、両溶液を互いに混合する。基
質中の二重結合による酸素吸収を、10分間測定する。1
分間に1μMの酸素吸収が生じる量を、1ユニットとす
る。
〔パーオキシダーゼの活性測定法〕
反応時間に20秒間に、1mgのプルプロガリンを生成す
る活性度を1ユニットとする。
水14mlを試験管にとり、それに0.1Mリン酸カリウム緩
衝液(pH6.3)を2ml添加する。得られた水溶液を、20℃
に保つ。以下、すべての操作を20℃にて行う。次いで、
ピロガロール水溶液(5w/v%)2ml及び過酸化水素水
(0.5w/v%)2mlを、前記水溶液に加える。得られた混
合物を振りまぜ、次いで、それに、パーオキシダーゼの
溶液1mlを添加する。その添加後直ちに、得られた混合
物を素早く振りまぜる。正確に20秒間経過後、1M硫酸1m
lをそれに添加し、振りまぜる。得られた溶液からのジ
エチルエーテル抽出を3回行い、得られたジエチルエー
テル溶液を合わせ、それに更にジエチルエーテルを加え
て全量を100mlとする。この溶液をA液とする。パーオ
キシダーゼの溶液は、精秤したパーオキシダーゼ約25mg
を、100mlのメスフラスコに入れ、0.1Mリン酸カリウム
緩衝液(pH6.3)にて100mlにメスアップし、次いで、得
られた溶液を10倍希釈することによって調製する。
また、パーオキシダーゼの溶液を用いないこと以外
は、上記と同様の処理を行い、全量を100mlのジエチル
エーテル溶液を得る。この溶液をB液とする。
JIS K 0115(吸光光度分析のための通則)に従って、
吸収セル10mmを用い、波長420nmにおけるA液及びB液
の吸光度を、ジエチルエーテルを対照液として用いてそ
れぞれ測定する。3回測定し、平均値を求める。次い
で、以下の式により、活性度A(units/mg)を求める。
ここで、 E1は、A液の吸光度であり、 E2は、B液の吸光度であり、 Sは、秤り取ったパーオキシダーゼの質量(上記の条
件では、約25mg)である。
実施例29〜32 食パンの一般的な組成にて、食パンを製造した。得ら
れた食パンを、様々な圧縮速度で、即ち圧縮プレス板の
移動速度を変えて、圧縮し、その影響を検討した。
表9に示す中種材料及び本捏材料を用い、実施例23〜
28と同様の方法で、実施例29〜32のミニ山型食パンを製
造した。
得られたミニ山型食パンを、圧縮プレス板に挟み、圧
縮プレス板の移動速度を0.1〜100mm/秒の範囲内で変化
させて圧縮成形を行い、ミニ山型食パンの比容積を1.80
cm3/gとした。圧縮成形後のミニ山型食パンを、その状
態のままで、即ち圧縮プレス板に挟んだままの状態で、
−30℃まで急速に冷却した。ミニ山型食パンが凍結し、
圧縮成形状態が固定化されるまで、ミニ山型食パンを−
30℃にて保存した。次いで、ミニ山型食パンをプレス板
から解放し、包装フィルムに導入し、その後、フィルム
を密封した。この状態で、ミニ山型食パンを冷凍庫に保
存した。1箇月後、密封されたミニ山型食パンを冷凍庫
から取り出した。ミニ山型食パンを包装フィルムから取
り出し、電子レンジ(600W)で50秒間加熱した。
圧縮成形前(焼成直後)、圧縮成形後及び電子レンジ
の加熱直後に測定された、ミニ山型食パンの比容積と、
電子レンジでの加熱後の当該ミニ山型食パンの風味、食
感及び外観の評価結果を、表9に示す。
表9に示すように、電子レンジで加熱されると、圧縮
成形されたミニ山型食パンの冷凍品は、その焼成直後と
同等までよく膨張し、且つ、焼成直後と同様な良好な風
味及び食感を示した。但し、圧縮速度が0.1mm/秒以下の
場合は、比容積の復元性が悪く、一方、それが100mm/秒
以上の場合は、その膨張時に割れを生じ、外観が悪くな
った。
実施例33 実施例29〜32と同様の製パン材料を用い、同様の製法
で、比容積が5.60cm3/gのミニ山型食パンを製造した。
得られたミニ山型食パンを、下記の条件にて」冷却し
た。
処理1:焼成直後から90分かけて、パンを25℃まで冷却
した。
処理2:焼成直後から60分かけて、パンを10℃まで冷却
した。
処理3:焼成直後から30分かけて、パンを−5℃まで冷
却した。
処理4:焼成直後から10分かけて、パンを−20℃まで冷
却した。
次いで、これらのミニ山型パンを、圧縮プレス板に挟
み、圧縮プレス板の移動速度10mm/秒で圧縮成形を行
い、ミニ山型食パンの比容積を1.80cm3/gとした。圧縮
成形後のミニ山型食パンを、その状態のままで、即ち圧
縮プレス板に挟んだままの状態で、−30℃まで急速に冷
却した。ミニ山型食パンが凍結し、圧縮成形状態が固定
化されるまで、ミニ山型食パンを−30℃にて保存した。
次いで、ミニ山型食パンをプレス板から解放し、包装フ
ィルムに導入し、その後、フィルムを密封した。この状
態で、ミニ山型食パンを冷凍庫に保存した。1箇月後、
密封されたミニ山型食パンを冷凍庫から取り出した。ミ
ニ山型食パンを包装フィルムから取り出し、電子レンジ
(600W)で50秒間加熱した。
圧縮成形前(焼成直後)、圧縮成形後及び電子レンジ
での加熱直後に測定された、ミニ山型食パンの比容積
と、電子レンジでの加熱後の当該ミニ山型食パンの風
味、食感及び外観の評価結果を、表10に示す。
表10に示すように、電子レンジで加熱されると、圧縮
成形されたミニ山型食パンの冷凍品は、その焼成直後と
同等までよく膨張し、且つ、焼成直後と同様な良好な風
味及び食感を示した。特に、焼成直後に急速冷却処理を
行うことは、圧縮成形されたミニ山型食パンを電子レン
ジで加熱した際の、比容積の復元性と、加熱後の風味や
食感に、優位に働くことが明らかとなった。
実施例34〜38 表11に示す中種材料及び本捏材料を用い、中種法によ
り、実施例34〜38の、食品具材を含む半球状山型パンを
製造した。
具体的には、中種材料を秤量し、得られた混合物を、
低速で3分間、中速で1分間ミキシングした。得られた
生地を、27℃、湿度80%の醗酵室内で3時間醗酵させ
た。このようにして、中種を得た。
次に、この中種に、ショートニング以外の本捏材料を
加え、得られた混合物を、低速で2分間、中速で3分間
ミキシングした。それにショートニングを加え、得られ
た混合物を、更に、低速で4分間、中速で5分間ミキシ
ングした。得られた生地を50gに分割し、ベンチタイム
を20分間とった後、次の処理を行った。
実施例34:生地にチーズチップをトッピングし、それ
を半球状山型に成形した。
実施例35:生地にスライスベーコンをトッピングし、
それを半球状山型に成形した。
実施例36:生地でカレーソースを包み、それを半球状
山型に成形した。
実施例37:生地でピザの具を包み、それを半球状山型
に成形した。
実施例38:半球状山型に成形した。
成形された生地を、38℃、湿度85%の醗酵室内で50分
間醗酵させ、その後、210℃のリールオーブンにて9分
間焼成し、半球状山型パンを得た。
次いで、実施例38については、パンに切れ目を入れ、
その切れ目に、スライスソーセージを挟み込んだ。
これらのパンの比容積は、表11に示すとおりである。
このようにして得られた、具材入りの半球状山型パン
を、圧縮プレス板に挟み、圧縮プレス板の移動速度10mm
/秒にて圧縮成形を行なった。各パンの比容積は、表11
に示すとおりである。圧縮成形後の具材入りの半球状山
型パンを、その状態のままで、即ち圧縮プレス板に挟ん
だままの状態で、−30℃まで急速に冷却した。具材入り
の半球状山型パンが凍結し、圧縮成形状態が固定化され
るまで、具材入りの半球状山型パンを−30℃にて保存し
た。次いで、具材入りの半球状山型パンをプレス板から
解放し、包装フィルムに導入し、その後、フィルムを密
封した。この状態で、具材入りの半球状山型パンを冷凍
庫に保存した。1箇月後、密封された具材入りの半球状
山型パンを冷凍庫から取り出した。具材入りの半球状山
型パンを包装フィルムから取り出し、電子レンジ(600
W)で60秒間加熱した。加熱後のパンの比容積は、表11
に示す通りである。
得られたパンは、いずれも、ふっくらとしており、且
つ、具材及びパン部分の何れも、良好な風味を示した。
フロントページの続き (72)発明者 田中 幸隆 茨城県鹿島郡神栖町東深芝20 花王株式 会社研究所内 (72)発明者 細谷 直樹 茨城県鹿島郡神栖町東深芝20 花王株式 会社研究所内 (72)発明者 坂田 勝 茨城県鹿島郡神栖町東深芝20 花王株式 会社研究所内 (72)発明者 清水 雅美 茨城県鹿島郡神栖町東深芝20 花王株式 会社研究所内 (72)発明者 大木 康正 茨城県鹿島郡神栖町東深芝20 花王株式 会社研究所内 (72)発明者 佐藤 学 茨城県鹿島郡神栖町東深芝20 花王株式 会社研究所内 (72)発明者 小御門 雅典 茨城県鹿島郡神栖町東深芝20 花王株式 会社研究所内 (72)発明者 日 隆雄 茨城県鹿島郡神栖町東深芝20 花王株式 会社研究所内 (72)発明者 吹田 智宏 茨城県鹿島郡神栖町東深芝20 花王株式 会社研究所内 (72)発明者 椎葉 大介 茨城県鹿島郡神栖町東深芝20 花王株式 会社研究所内

Claims (32)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】穀物粉及び水からなり、加熱処理された、
    パン類、ケーキ類、饅頭類及び菓子類より選ばれる多孔
    性食品を、圧縮によるその嵩を減少させる処理に供して
    調製された嵩が減少された食品であって、その減少せら
    れた嵩を保持しているものに、マイクロ波を用いた内部
    振動加熱手段を適用することからなる、嵩が減少された
    食品の嵩を大きくする方法。
  2. 【請求項2】嵩が減少され、且つ、その減少せられた嵩
    を保持している食品が、1.2〜4.0cm3/gの比容積及び嵩
    を減少させる処理前の嵩の0.01〜0.9倍の嵩を有する、
    請求項1記載の嵩が減少された食品の嵩を大きくする方
    法。
  3. 【請求項3】加熱処理された多孔性食品がパンである、
    請求項1記載の嵩が減少された食品の嵩を大きくする方
    法。
  4. 【請求項4】穀物粉が小麦粉を含む、請求項1記載の嵩
    が減少された食品の嵩を大きくする方法。
  5. 【請求項5】内部振動加熱手段を適用して得られた食品
    の嵩が、嵩が減少された食品の1.2〜10.0倍である、請
    求項1記載の嵩が減少された食品の嵩を大きくする方
    法。
  6. 【請求項6】穀物粉及び水からなり、加熱処理された、
    パン類、ケーキ類、饅頭類及び菓子類より選ばれる多孔
    性食品を、圧縮によるその嵩を減少させる処理に供し、
    嵩が、加熱処理された多孔性食品の嵩の0.01〜0.9倍で
    ある嵩が減少された食品を得る工程(a)と、嵩が減少
    された食品の嵩を保持する手段を行う工程(b)とを、
    同時又は順次に行うことからなる、嵩が減少された食品
    の製造方法。
  7. 【請求項7】嵩が減少された食品が、1.2〜4.0cm3/gの
    比容積を有する、請求項6記載の嵩が減少された食品の
    製造方法。
  8. 【請求項8】嵩が減少された食品が、マイクロ波を用い
    た内部振動加熱手段の適用により、その嵩が増大せられ
    るものである、請求項6記載の嵩が減少された食品の製
    造方法。
  9. 【請求項9】加熱処理が焼成又は半焼成である、請求項
    6記載の嵩が減少された食品の製造方法。
  10. 【請求項10】工程(a)が、前記嵩を減少させる処理
    によって荷重がかかる方向において、加熱処理された多
    孔性食品の長さを0.1〜100mm/秒の速度で減少させるこ
    とからなる、請求項6記載の嵩が減少された食品の製造
    方法。
  11. 【請求項11】工程(b)における前記手段が冷凍であ
    る、請求項6記載の嵩が減少された食品の製造方法。
  12. 【請求項12】工程(b)における前記手段が密封であ
    る、請求項6記載の嵩が減少された食品の製造方法。
  13. 【請求項13】更に、加熱処理された多孔性食品の嵩を
    減少させる処理の前に行われる、加熱処理された多孔性
    食品を冷却する工程(c)からなる、請求項6記載の嵩
    が減少された食品の製造方法。
  14. 【請求項14】工程(c)が、加熱処理終了から3時間
    以内に、当該多孔性食品の表層温度を10℃以下とするも
    のである、請求項13記載の嵩が減少された食品の製造方
    法。
  15. 【請求項15】加熱処理された多孔性食品が、30〜60重
    量%の含水率を有する、請求項6記載の嵩が減少された
    食品の製造方法。
  16. 【請求項16】穀物粉が小麦粉を含む、請求項6記載の
    嵩が減少された食品の製造方法。
  17. 【請求項17】穀物粉及び水からなり、加熱処理され
    た、パン類、ケーキ類、饅頭類及び菓子類より選ばれる
    多孔性食品を、圧縮によるその嵩を減少させる処理に供
    し、嵩が、加熱処理された多孔性食品の嵩の0.01〜0.9
    倍である嵩が減少された食品を得る工程(a)と、嵩が
    減少された食品の嵩を保持する手段を行う工程(b)
    と、当該嵩が減少された食品にマイクロ波を用いた内部
    振動加熱手段を適用する工程(d)からなる、食品の製
    造方法。
  18. 【請求項18】嵩が減少された食品が、1.2〜4.0cm3/g
    の比容積を有する、請求項17記載の食品の製造方法。
  19. 【請求項19】更に、工程(d)と同時又はその後に行
    われる、外部加熱手段を適用する工程(e)からなる、
    請求項17記載の食品の製造方法。
  20. 【請求項20】穀物粉が小麦粉を含む、請求項17記載の
    食品の製造方法。
  21. 【請求項21】穀物粉及び水からなり、加熱処理され
    た、パン類、ケーキ類、饅頭類及び菓子類より選ばれる
    多孔性食品を、圧縮によるその嵩を減少させる処理に供
    して調製された嵩が減少された食品であって、その減少
    せられた嵩を保持しており、1.2〜4.0cm3/gの比容積を
    有し、且つ、マイクロ波を用いた内部振動加熱手段を適
    用することにより、嵩が大きくなるもの。
  22. 【請求項22】加熱処理された多孔性食品がパンであ
    る、請求項21記載の嵩が減少された食品。
  23. 【請求項23】パンが、当該パンの全表面積を基準にし
    て70%以上のクラスト部を有する、請求項22記載の嵩が
    減少された食品。
  24. 【請求項24】パンが、粗蛋白量が10重量%以上の穀物
    粉からなる生地を用いて製造された、請求項22記載の嵩
    が減少された食品。
  25. 【請求項25】パンが、穀物粉と、当該穀物粉100重量
    部あたり2〜30重量部の、その融点が25〜50℃であり、
    かつ、固体脂含量が、10℃で5〜70重量%、25℃で5〜
    60重量%、35℃で25重量%以下である油脂からなる生地
    を用いて製造された、請求項22記載の嵩が減少された食
    品。
  26. 【請求項26】パンが、穀物粉と、当該穀物粉100重量
    部あたり、その固形分の量に換算して0.5〜20重量部の
    グルテン蛋白質からなる生地を用いて製造された、請求
    項22記載の嵩が減少された食品。
  27. 【請求項27】パンが、穀物粉と、当該穀物粉100重量
    部あたり、その固形分の量に換算して0.5〜20重量部の
    卵白からなる生地を用いて製造された、請求項22記載の
    嵩が減少された食品。
  28. 【請求項28】パンが、穀物粉と、当該穀物粉100重量
    部あたり、その固形分の量に換算して0.1〜10重量部の
    リポ蛋白質からなる生地を用いて製造された、請求項22
    記載の嵩が減少された食品。
  29. 【請求項29】パンが、穀物粉と、当該穀物粉1kgあた
    り10〜20,000活性単位の、パーオキシダーゼ、グルコー
    スオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、トラン
    スグルタミナーゼ及びリポキシゲナーゼからなる群から
    選ばれた少なくとも一種の酸化酵素からなる生地を用い
    て製造された、請求項22記載の嵩が減少された食品。
  30. 【請求項30】穀物粉が小麦粉を含む、請求項21記載の
    嵩が減少された食品。
  31. 【請求項31】請求項6記載の方法で製造された、嵩が
    減少された食品。
  32. 【請求項32】請求項17記載の方法で製造された食品。
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