JP2851464B2 - 弾性糸巻糸体 - Google Patents

弾性糸巻糸体

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JP2851464B2 JP30826991A JP30826991A JP2851464B2 JP 2851464 B2 JP2851464 B2 JP 2851464B2 JP 30826991 A JP30826991 A JP 30826991A JP 30826991 A JP30826991 A JP 30826991A JP 2851464 B2 JP2851464 B2 JP 2851464B2
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剛 益田
孝二 石山
賢治 川上
宏行 長井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は弾性糸の巻糸体に関する
ものであり、更に詳しくは巻糸体のハンドリング時やそ
の解舒時に生じる最外表層からの糸の脱落による断糸等
のトラブルを解決するための弾性糸の巻糸体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、弾性糸の巻糸体における最外表層
からの糸の脱落を防ぐために大別して次の2方法が採用
されてきた。 (1)巻糸体の外層の糸同志を接着させ、糸の脱落を防
ぐ方法、 (2)巻糸体の外層の両耳部の糸を人為的に、もしくは
専用の装置によつて中央方向へ押し寄せ、両耳部におい
て外周表面にオ−バラツプ層を形成することにより糸の
脱落を防ぐ方法、その他である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
はそれぞれ以下のような問題点を有している。 (1)については、熱で融着させる、溶剤で溶着せるな
どの工程が加わり、コスト的に不利である上に、巻糸体
の外層表面の糸と、その内層の糸とに物性差が生じ、品
質上問題となる。
【0004】(2)の方法については、先に解舒される
べき糸の上層に後から解舒されるべき糸がオ−バラツプ
しているため、先に解舒されるべき糸が後から解舒され
るべき糸に押さえ付けられ、解舒不良もしくは断糸を引
き起こす。また、巻糸体の最外表層部分に耳部から中央
方向へ剪断応力を加え糸を中央に引き寄せるため、糸が
損傷を受ける可能性が高く、品質の保証ができないとい
う欠点を有する。
【0005】本発明の目的は、弾性糸の円筒状巻糸体に
おいて、そのハンドリング時やその解舒時に発生する最
外層からの糸の脱落を防ぎ、弾性糸巻糸体の取り扱い性
を向上させること、および上記条件を満たす弾性糸巻糸
体の品質を損うことのない巻糸体を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は下記
〜Eの要件を満足することを特徴とする弾性糸巻糸体
である。A. 巻糸体の内層部分は一定幅で且つ一定綾角で巻かれ
ている糸層が存在すること。B. 巻糸体の外層部分の糸層はAの糸層より最外層に向
けて徐々に小さい巻き幅にて巻かれていること。C.最外層から内層方向にかけて形成された糸層が絶対
厚み5mm以上であること。 D.最外層綾角−最内層綾角≧4°であること。 E.最内層綾角≧5°であること。
【0007】また、弾性糸としてはポリエステル系、ポ
リウレタン系、ポリアミド系、ポリカ−ボネ−ト系のそ
れぞれの弾性糸、これらの混合もしくは複合弾性糸、さ
らに上記弾性ポリマ−を主体とした混合系弾性糸に対し
て利用されるが、これらの弾性糸にのみに限定されるも
のではなく、この他の弾性糸にも同様に適用可能であ
る。
【0008】本発明による円筒状の弾性糸巻き取り物は
図1に示すようにその最外層から内層へ向けて徐々に巻
き幅の大きくなる糸層Bと、一定巻き幅でかつ一定綾角
で巻き取られた糸層Aとからなる。糸層Bは内層へ向け
て徐々に巻き幅が大きくなるように巻き取られているた
め、解舒の際一定張力下で巻き取り物から糸が解舒され
ている過程のどの段階においても、解舒されつつある糸
層は次ぎの瞬間、解舒される糸層より常に小さい巻き幅
を有することになり、解舒時に糸が脱落することはな
い。
【0009】更に、図2に示すように回転ロ−ラ4によ
り巻糸体1を回転して解舒する際、解舒される糸は常に
そのすぐ内層にある糸に巻糸体1の中央方向へ向かう力
を与え続けるため、解舒が進むに従って糸層は中央方向
へ寄りつつボビン2の回転方向と平行に並び、巻糸体1
の両耳部に回転方向と平行な解舒層3を形成するため、
巻き幅や巻き形状に関係なく解舒時の糸の脱落はなくな
る。
【0010】つまり、糸層Bは解舒層3を形成するのに
必要な範囲以上に大きくする必要はなく(完全に解舒層
3を形成するためには5mm以上の厚みにするのがよ
い)、糸層Aは以上の理由から一定巻き幅であつても解
舒時に糸の脱落は起こらない。
【0011】次に、内層から外層に向けて巻き幅が徐々
に小さくなる弾性糸巻糸体の巻き取り方法として、巻き
取り途中からトラバ−ス幅を徐々に小さくしていく方法
も考えられるが、ここでは更に簡便に巻糸体の形状をコ
ントロ−ルする方法として、巻途中から綾角を変化させ
目的の形状の巻糸体を製造する方法について説明する
が、これらに限定されるものではない。
【0012】先に述べたように綾角とはボビンの回転方
向と糸の走行方向とのなす角θであり、図3に示す如く
角θは糸の巻き取り速度とトラバ−ス速度との正接で表
される。つまり綾角を大きくするためには巻き取り速度
を小さくするか、トラバ−ス速度を大きくすればよく、
実用的にはトラバ−ス速度を大きくするのが有利であ
る。
【0013】トラバ−ス速度の変更は手動によつても可
能であるが、自動的に行うのが合理的であり巻き取り時
間に対してトラバ−ス速度を設定してもよいし、巻糸体
の巻径に対して設定してもよい。巻糸体の巻径に対して
トラバ−ス速度を設定した場合は綾角を徐々に大きくす
る方法が採られる。
【0014】図4に示すように、綾角θを大きくするほ
ど(θ2 )巻き取り張力Fのうち巻き取り物中央方向へ
向かう力の成分fが大きくなり(f2 )、その力がその
糸より内層に巻かれた糸との摩擦力と釣り合う位置まで
糸yは中央方向へ滑りながら収縮し、結果として綾角θ
が設定より小さくなるため巻き幅は小さくなる。
【0015】つまり、連続的に綾角θを大きくしていけ
ば連続的に巻き幅を小さくすることが可能であり、目的
とする形状の巻き取り物を得ることができる。
【0016】この際、綾角の変更パタ−ンは巻径に対し
て比例するように変えても、徐々に綾角上昇率が大きく
なるように変えてもよく、糸の特性や用途、その他の条
件に応じて任意に選定することが可能である。
【0017】この場合、最外層綾角と最内層綾角との差
があまりに小さいと十分な巻き幅の変化が得られず、解
舒時の糸の脱落を防ぐことはできない。従って、最外層
綾角は最内層綾角より4°以上大きいことが好ましく、
またチ−ズ状の巻糸体を形成する必要性から最内層綾角
は5°以上とするのが好ましい。
【0018】
【実施例】以下、実施例をあげて、本発明を更に具体的
に説明する。ポリエステルエラストマ−を用いて、最内
層綾角13.5°で巻き始め、最外層の10mm内層の位
置から綾角を徐々に22.0°まで変化させて巻き取っ
たサンプルaと、一定綾角(13.5°)で最後まで巻
き取ったサンプルb(図5)、並びにbの両耳部を人為
的に巻き取り物中央方向に向けて押さえたサンプルc
(図6)を準備した。
【0019】a,b,cいずれも626本ずつ整経機に
仕掛け、糸速100m/min で一斉解舒した際の、糸の脱
落件数を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】以上の結果、本発明方法による巻き取り物
である巻糸体aは、一斉解舒時の糸の脱落件数0と比較
例1,2に比べて非常に良好な結果であつた。なお、比
較例1,2はともに解舒時の糸の脱落が原因で解舒中の
断糸が多発し、実際の使用は困難である。
【0022】
【発明の効果】以上に説明の如く、本発明による弾性糸
の円筒巻糸体は選別,梱包,運搬,カバリングや整経機
への仕掛け時の取り扱いに際して生じる最外表層からの
糸の脱落がなく、さらに解舒時の糸の脱落による断糸を
著しく解消することが可能になるという顕著な効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る弾性糸巻糸体を示す側面図であ
る。
【図2】本発明の作用説明図である。
【図3】本発明の作用説明図である。
【図4】本発明の作用説明図である。
【図5】従来の弾性糸巻糸体を示す側面図である。
【図6】従来の弾性糸巻糸体を示す側面図である。
【符号の説明】
1 巻糸体 3 解舒層 4 回転ロ−ラ A 糸層 B 糸層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長井 宏行 愛媛県松山市北吉田町77番地 帝人株式 会社 松山事業所内 (56)参考文献 実公 昭46−13943(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B65H 55/00 - 55/04 B65H 54/32

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記A〜Eの要件を満足することを特徴
    とする弾性糸巻糸体。 A.巻糸体の内層部分は一定幅で且つ一定綾角で巻かれ
    ている糸層が存在すること。 B.巻糸体の外層部分の糸層はAの糸層より最外層に向
    けて徐々に小さい巻き幅にて巻かれていること。C.最外層から内層方向にかけて形成された糸層が絶対
    厚み5mm以上であること。 D.最外層綾角−最内層綾角≧4°であること。 E.最内層綾角≧5°であること。
JP30826991A 1991-10-29 1991-10-29 弾性糸巻糸体 Expired - Lifetime JP2851464B2 (ja)

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DE502006007168D1 (de) * 2005-02-23 2010-07-22 Oerlikon Textile Gmbh & Co Kg Verfahren zum wickeln eines fadens zu einer kreuzspule sowie eine kreuzspule
DE102010031959A1 (de) * 2010-07-22 2012-01-26 Oerlikon Textile Gmbh & Co. Kg Verfahren zum Herstellen einer Textilspule und Arbeitsstelle zur Durchführung des Verfahrens
JP2012250810A (ja) * 2011-06-02 2012-12-20 Murata Machinery Ltd 糸巻取装置
JP6446962B2 (ja) * 2014-09-30 2019-01-09 東レ株式会社 ポリエステル仮撚加工糸パッケージ
JP2020029311A (ja) * 2016-12-19 2020-02-27 旭化成株式会社 ポリウレタン弾性糸捲糸体

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