JP2851331B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2851331B2 JP1316987A JP31698789A JP2851331B2 JP 2851331 B2 JP2851331 B2 JP 2851331B2 JP 1316987 A JP1316987 A JP 1316987A JP 31698789 A JP31698789 A JP 31698789A JP 2851331 B2 JP2851331 B2 JP 2851331B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の背景〕 <産業上の利用分野> 本発明は、ゴム質重合体を幹重合体とするグラフト共
重合樹脂組成物からなる熱可塑性樹脂組成物、ならびに
この熱可塑性樹脂組成物に着色剤を配合してなる熱可塑
性樹脂組成物に関する。
本発明による熱可塑性樹脂組成物は、それ自身が耐衝
撃性樹脂材料として使用されるばかりでなく、これを他
の樹脂に配合して耐衝撃性樹脂組成物をつくるのにも有
用である。
<従来の技術およびその問題点> 耐衝撃性樹脂を得る方法の一つとしてグラフト共重合
は周知のものであって、ゴム質重合体(たとえば、共役
ジエン重合体のラテックス)の存在下に、樹脂質重合体
を与えるべき単量体(たとえば、スチレン+アクリロニ
トリル)を重合させることによって製造されるグラフト
共重合樹脂組成物(即ち、所謂ABS樹脂組成物)は、耐
衝撃性樹脂として賞用されている。
このようなグラフト共重合樹脂にも改変が加えられて
いて、耐衝撃性の向上を目指して、またそれに加えて製
品の外観、特に表面高光沢、流動性等の向上をも目指し
て、多くの提案がなされている。たとえば、特開昭59−
129215号、同59−147009号、同59−196310号、同60−11
514号、同60−250057号、同61−233044号、同62−11713
号、同62−11714号および同62−154707号各公報参照。
これらのいくつかの公報にも記載されているように、
ABS樹脂成形品の表面光沢は、樹脂中に含有されるゴム
粒子の粒子径および分散状態の影響を強く受けることが
知られていて、一般にゴム粒子の粒子径の小さいものほ
ど、そしてその分散状態が良好なものほど、表面光沢の
高い成形品が得られるとされている。また、グラフト率
の低いゴム粒子を含むものは、溶融剪断時のゴム粒子の
衝突によってゴム粒子同志の凝集肥大が起こりやすく、
このために得られる成形品の表面光沢が低下しがちであ
るとされている。従って、良好な表面光沢を有するABS
樹脂は、小粒子径のゴムを用い、しかもゴム粒子のグラ
フト率を十分高めることが必要であると考えられてい
る。
しかしながら、成形品の耐衝撃性に関していえば、ゴ
ム粒子の粒子径を小さくすることならびにグラフト率を
高めることは、悪い方向を指向するものである。
上記各公報に記載された技術はそれぞれ有用なもので
あるが、しかしながら、本発明者らの知るところでは、
これらの提案によるものは耐衝撃性と表面光沢との物性
バランスの点でなお充分に満足のいくものとはいい難た
かった。
ところで、グラフト共重合樹脂組成物から着色された
成形品を得ようとする場合には、組成物に着色剤を配合
することが、一般的によく採られている手段である。例
えば、特開昭62−124109号、同63−245461号、同63−27
5617号、同63−278957号公報参照。
しかしながら、着色剤配合グラフト共重合樹脂組成物
は、それを着色成形品とした場合、しばしば「白モヤ」
と呼ばれる現象が観察されることがあった。ここで、
「白モヤ」とは、着色された成形品の色相が白っぽくな
り、鮮やかで深い色が発現しないという現象をいうもの
である。
この「白モヤ」現象は、光沢などの成形品表面の性状
にも関連するものと考えられるが、従来は主として成形
条件、成形品表面への付着物の低減、着色剤の選定など
の観点から検討されていて、本発明者が知る限りでは満
足できる解決がいまだ与えられていないのが実情であ
る。
〔発明の概要〕
<問題を解決するための手段> 本発明は上記の点に解決を与えることを目的とし、特
定の条件でグラフト共重合を行なって得たグラフト共重
合樹脂組成物によってこの目的を達成しようとするもの
である。
すなわち、本発明による第一の熱可塑性樹脂組成物
は、下記の成分Aおよび成分Bを含んでなること、を特
徴とするものである。
成分A 共役ジエン重合体のラテックスの存在下に、芳香族ビ
ニル単量体およびシアン化ビニル単量体並びに必要に応
じてこれらと共重合可能なエチレン性不飽和単量体を重
合開始剤の作用によって乳化重合させて得られ、下記の
条件を充足するグラフト共重合樹脂組成物。
10〜100重量% (イ) ラテックス中の共役ジエン重合体が、ゲル含有
率50重量%以上のものであること、 (ロ) ラテックス中の共役ジエン重合体が、重量平均
粒子径0.20〜0.30μmのものであり、かつ粒子径0.50μ
m以上のものを実質的に含まないものであること、 (ハ) このグラフト共重合樹脂組成物中の共役ジエン
重合体分率Rが、0.35〜0.80のものであること、 (ニ) このグラフト共重合樹脂組成物を常温アセトン
抽出に付したときの可溶分が、重量平均分子量4万以上
12万以下のものであること、 (ホ) このグラフト共重合樹脂組成物を常温アセトン
抽出に付したときの可溶分が、下式(1)および(2)
を充足する量であること。
〔ここで、記号は下記の意味を持つ。
x:グラフト共重合樹脂組成物サンプルの重量、 y:xのうち、常温アセトン不溶分の重量、 R:グラフト共重合樹脂組成物中のジエン重合体分率、 Gr:グラフト率%〕 成分B 芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体およびそ
れらと共重合可能な他のビニル単量体からなる群より選
択された一種以上の単量体を重合してなる重合体。
90〜0重量% また、本発明による第二の熱可塑性樹脂組成物は、下
記の成分A、成分Bおよび成分Cを含んでなること、を
特徴とするものである。
成分A 共役ジエン重合体のラテックスの存在下に、芳香族ビ
ニル単量体およびシアン化ビニル単量体並びに必要に応
じてこれらと共重合可能なエチレン性不飽和単量体を重
合開始剤の作用によって乳化重合させて得られ、下記の
条件を充足するグラフト共重合樹脂組成物。
10〜100重量% (イ) ラテックス中の共役ジエン重合体が、ゲル含有
率50重量%以上のものであること、 (ロ) ラテックス中の共役ジエン重合体が、重量平均
粒子径0.20〜0.30μmのものであり、かつ粒子径0.50μ
m以上のものを実質的に含まないものであること、 (ハ) このグラフト共重合樹脂組成物中の共役ジエン
重合体分率Rが、0.35〜0.80のものであること、 (ニ) このグラフト共重合樹脂組成物を常温アセトン
抽出に付したときの可溶分が、重量平均分子量4万以上
12万以下のものであること、 (ホ) このグラフト共重合樹脂組成物を常温アセトン
抽出に付したときの可溶分が、下式(1)および(2)
を充足する量であること。
〔ここで、記号は下記の意味を持つ。
x:グラフト共重合樹脂組成物サンプルの重量、 y:xのうち、常温アセトン不溶分の重量、 R:グラフト共重合樹脂組成物中の共役ジエン重合体分
率、 Gr:グラフト率%〕 成分B 芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体およびそ
れらと共重合可能な他のビニル単量体からなる群より選
択された一種以上の単量体を重合してなる重合体。
90〜0重量% 成分C 着色剤 成分Aおよび成分Bの合計100重量部に対して 0.005〜10重量部 <発明の効果> 本発明による熱可塑性樹脂組成物(第一の熱可塑性樹
脂組成物)は、光沢が極めて優れている。また、樹脂部
分の分子量が高いにもかかわらず、流動性も良好で成形
加工性が良く、物性バランスが優れている。そして、耐
衝撃性、特に低温耐衝撃性、が良好である。
また、このような樹脂組成物に着色剤を配合してなる
もの(第二の熱可塑性樹脂組成物)は、上記物性に加え
て、色相が良好で、特に着色時の白モヤの問題が解決さ
れたものである。
〔発明の具体的説明〕
〔第一の発明〕 <熱可塑性樹脂組成物(その1)> <定 義> 本発明による第一の熱可塑性樹脂組成物は、成分Aお
よび成分Bを含んでなるものである。本発明の成分A
は、グラフト共重合樹脂組成物であって、共役ジエン重
合体のラテックスの存在下に特定の単量体を乳化重合さ
せて得られたものである。
グラフト共重合は重合体の存在下に単量体を重合させ
ることによって行なうところから、単量体の全量が
「枝」として重合体の「幹」に結合している理想的なグ
ラフト共重合体の外に、単量体のそれ自身の重合体が副
成することがふつうであって、グラフト共重合生成物は
種々の重合体の混合物であることがふつうである。本発
明で成分Aとして用いるグラフト共重合生成物を「グラ
フト共重合樹脂組成物」と呼ぶ所以であり、また条件
(ニ)が意味を持つ所以でもある。
本発明によるグラフト共重合樹脂組成物(すなわち、
成分A)は、その製造に関連する要件((イ)〜
(ロ))とそれ自身に関連する要件((ハ)〜(ホ))
とによって特定されている。
<グラフト共重合樹脂組成物の製造> <共役ジエン重合体のラテックス> (1)単量体種 本発明で対象となる共役ジエン重合体は、ゴムとして
の性質を主として共役ジエン成分に負っている重合体を
意味する。
ゴム質重合体の共役ジエンとして繁用され、また本発
明で好ましい共役ジエンは、1,3−ブタジエン、イソプ
レン、1,3−ペンタジエン、ピペリレンおよびクロロプ
レン、特に1,3−ブタジエンおよびイソプレン、就中1,3
−ブタジエン、である。
共役ジエン重合体は、これらの共役ジエンの単独重合
体またはそれら相互の共重合体の外に、これらの共役ジ
エンとそれと共重合可能なエチレン性不飽和単量体との
共重合体であってもよい。そのような共単量体の具体例
を挙げれば、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量
体(いずれも、その具体例については、後記グラフト共
重合についてのそれを参照されたい)、アクリル酸ない
しメタクリル酸のC1〜C10アルカノール(たとえば、n
−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール)エステ
ル、α−オレフィンたとえばイソブチレン、ジエン単量
体たとえばジビニルベンゼン、(ポリ)アルキレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、その他がある。これら
のうちでは最初の二種、就中スチレンおよびアクリロニ
トリル、が代表的である。共重合体中の共役ジエン単位
の含量は少なくとも50重量%であることが好ましく、共
役ジエン単位が60重量%以上であることが特に好まし
い。共役ジエン単位が50重量%未満であるとゴム弾性が
不充分であり、その結果、生成組成物の耐衝撃性が低下
する。
従って、本発明で対象とする共役ジエン重合体の好ま
しい具体例は、ポリ−1,3−ブタジエン、ポリイソプレ
ン、ブタジエン−スチレン共重合体(所謂SBR)、およ
びブタジエン−アクリロニトリル共重合体(所謂NB
R)、である。
このような共役ジエン重合体のラテックスは、共役ジ
エン50〜100重量%と上記の共単量体0〜50重量%から
なる単量体混合物を水性媒体中で一時にまたは段階的に
乳化重合させることによって製造することができる。
本発明では、共役ジエン重合体(以下、ゴムというこ
とがある)のラテックスは、共役ジエン重合体のゲル含
有率、および共役ジエン重合体の粒子径、について特定
の条件を充足するものでなければならない。
(2)ゲル含有率(条件(イ)) 共役ジエン重合体は、ゲル含有率が50重量%以上、好
ましくは60〜97重量%、のものである。
ゲル含有率が50重量%未満では、生成組成物からの成
形物はグラフト共重合体が変形し易くなり、外観等のバ
ランスが大きく損なわれる(そのような低ゲル含有率の
共役ジエン重合体は、その製造工程が複雑であるという
問題もある)。
一方、97重量%超過では、生成組成物からの成形品の
耐衝撃性が低下するので好ましくない。
このような高ゲル含有率の共役ジエン重合体は、重合
温度等の乳化重合条件、重合反応に使用する重合開始剤
の種類および添加量、架橋助剤の種類および添加量を調
整することによって製造することができる。
(3)ゴム粒子径(条件(ロ)) 共役ジエン重合体は、そのラテックス中での重量平均
粒子径が0.20〜0.30μm、好ましくは0.23〜0.27μm、
のものであり、かつ粒子径0.50μm以上のものを実質的
に含まないものである。
ゴム粒子径が、例えば0.2μm未満の小粒子径である
場合は、その最終製品である成形品の光沢が優れる等の
有利性はあるものの、反面、最終製品を成形する場合の
成形性(流動性)が低下するとともに、より重要な耐衝
撃性が低下し、このためゴム添加効率の悪化をもたら
す。そのため総合的にみた場合、各性能のバランス上不
利となる。
一方、ゴム粒子径が例えば0.30μmを越える大粒径ゴ
ムを使用した場合、または重量平均粒子径が上記範囲内
にあっても0.50μm以上のものが含まれている場合は、
耐衝撃性の向上等の有利性はある反面、当該樹脂の目的
とする成形品表面の光沢低下、あるいは当該樹脂の重要
な特性である剛性の低下などを招き、性能バランスの点
で不利となる。
このような粒子径のゴムラテックスは、小粒子径のラ
テックスについて目的粒子径を得るために粒径肥大とい
う操作を行って得たものでもよい。
粒径肥大は、公知の方法、例えば、ラテックスを一度
凍結させてから再溶解する方法、ラテックスに鉱酸、有
機酸等を添加して、ラテックスのpHを一時的に低下させ
る方法、ラテックスにせん断力を加える方法等(特開昭
54−133588号公報、特開昭59−202211号公報)によっ
て、行うことができる。特に、ラテックスに、燐酸又は
無水酢酸を添加する方法が、粒子径の調整が容易である
ので、好ましい。
粒子径は上記の範囲に入ることが必要であるが、ゴム
粒子径分布は粒子径分布曲線が単一な山を持つ所謂モノ
モーダルである必要はなく、複数の山、たとえば2つの
山、を持つバイモーダルであってもよい。バイモーダル
の粒子径分布の場合は、その両者のラテックスの重量平
均したゴム粒子径が0.20〜0.30μmの範囲に入ればよ
い。
本発明において共役ジエン重合体のラテックス中のゴ
ムの重量平均粒子径は、コールター社製「ナノサイザ
ー」を用いて測定した値である。
また、ラテックス中のゴム粒子を透過型電子顕微鏡に
より写真撮影し、ゴム粒子の約1000個の粒子径を計測し
た。
ゴム粒子径Di(μm)に対する共役ジエン重合体の重
量分率Wi(%)を求め、Di>0.5μmである共役ジエン
重合体の重量分率Wi(%)が3%以下であるとき、本発
明において0.5μm以上の粒子を実質的に含まないもの
とする。
<グラフト共重合> 本発明におけるグラフト共重合樹脂組成物(成分A)
は、上記のような共役ジエン重合体のラテックスの存在
下に、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量
体、ならびに必要に応じて他の共単量体、を乳化重合さ
せて得られたものである。
(1)芳香族ビニル単量体等 本発明で用いられる芳香族ビニル単量体としては、ス
チレン、および側鎖または(および)核置換スチレン
(置換基は、低級アルキル基、低級アルコキシ基、トリ
フルオルメチル基、ハロゲン原子、その他)、たとえば
α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチル
スチレン、m−メチルスチレン、核ハロゲン化スチレ
ン、α−またはβ−ビニルナフタレン、その他、があ
る。これらは、群内または群間で併用してもよい。
本発明で用いられるシアン化ビニル単量体には、アク
リロニトリル及びメタクリロニトリルがある。これら
は、併用してもよい。
上記の芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体
と共重合可能な共単量体としては、アクリル酸ないしメ
タクリル酸と炭素数が1〜10の範囲のアルカノールとの
エステル、特にメチルアクリレート及びメチルメタクリ
レート、ジエン単量体(ただし、少量を上記のような単
量体と併用)、たとえばジビニルベンゼン、(ポリ)ア
ルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、その他が
ある。
芳香族ビニル単量体(S)、シアン化ビニル単量体
(A)および共単量体(C)は、その重量比(A/(A+
S+C))が20〜45重量%、好ましくは25〜40重量%、
程度であることが望ましい。共単量体(C)は、重量比
(C/(A+S+C))が40重量%まで、好ましくは30重
量%まで、程度の量で使用することができる。
(2)重合開始剤 グラフト共重合を行わせるための重合開始剤は、慣用
なものでありうる。その一つの具体例は、単量体(すな
わち、グラフト共重合用単量体)に可溶のものである。
単量体の主成分をなす芳香族ビニル単量体が油性のもの
であるところから、本発明で対象とする開始剤は一般に
油溶性であるといえるが、本発明で「単量体に可溶」と
いうことは、単量体のみに可溶ということを意味しな
い。すなわち、本発明で使用する重合開始剤は、水に多
少溶解するものであってもよい。
重合を開始させるための開始剤の分解は、加熱、紫外
線照射等の物理的な手段による場合の外に、開始剤が過
酸化物であるときの還元剤による化学的な手段によるこ
とができる。従って、本発明で「重合開始剤」というと
きは、還元剤と組合せた所謂レドックス系を包含するも
のであり、また紫外線照射による場合の光増感剤を組合
せた系を包含するものである。
熱分解性の開始剤としては、80℃での半減期が1〜10
時間のものが適当である。半減期が1時間未満である
と、乳化重合の際に凝固物が発生し、得られた樹脂の外
観及び衝撃強度が劣化する。半減期が10時間を超えると
重合速度が遅く、また凝固物が発生するので、好ましく
ない。
このような重合開始剤としては、(i)アセチルパー
オキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブ
チルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エ
チルヘキサノエート、ジクミルパーオキサイド、m−ト
ルオイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソ
ブチレート等の有機過酸化物、(ii)2,2′−アゾビス
イソブチロニトリル、ジメチル−2,2′−アゾビスイソ
ブチレート、4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸等の
アゾ化合物、(iii)過硫酸カリウム、過硫酸アンモニ
ウム、過硫酸ナトリウム等の水溶性過酸化物等を例示す
ることができる。
レドックス系重合開始剤としては、硫酸第一鉄等の第
一鉄塩を還元剤とし、クメンハイドロパーオキサイド、
ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−
メンタンハイドロパーオキサイド等の有機ハイドロポー
オキサイドを酸化剤とする組み合わせが好ましい。この
場合に、糖、たとえばグルコースまたはデキストロー
ス、ピロ燐酸ソーダ、スルホキシレート等を、レドック
ス反応の速度を調整する助剤として用いることができ
る。
(3)その他の条件 グラフト共重合は、連鎖移動剤の存在下に行なうこと
ができる。
本発明で用いられる連鎖移動剤としては特に制限はな
いが、メルカプタン系化合物、例えばn−オクチルメル
カプタン、t−ドデシルメルカプタン等あるいはテルピ
ノレン、α−メチルスチレンリニアダイマ等が用いられ
る。
グラフト共重合での重合温度条件は、50〜85℃、好ま
しくは55〜75℃、の範囲が適当である。50℃未満の場合
は重合反応速度が小さくて実用的でなく、また一方85℃
を超える場合は一度に凝固物あるいは付着物の発生量が
多くなり、重合収率の低下および最終製品の品質低下を
きたすので好ましくない。
その他のグラフト共重合条件は、ABS樹脂の製造に慣
用されているところと本質的には異ならない。グラフト
共重合用単量体は全量を一時に重合系に導入してもよ
く、段階的に導入してもよい。この工程の重合は乳化重
合であるが、それに必要な乳化剤が共役ジエン重合体ラ
テックスから供給されるものでは不充分であれば、それ
と同じものまたは異なるものを追加すればよい。重合中
の温度を経時的に変化させることもできる。
<グラフト共重合樹脂組成物(成分A)> このようにして製造された本発明におけるグラフト共
重合樹脂組成物(成分A)は、共役ジエン重合体分率、
樹脂成分の分子量およびグラフト率について、下記の条
件を充足したものでなければならない。
<組成物中の共役ジエン重合体分率(条件(ハ))> 本発明による熱可塑性樹脂組成物は、共役ジエン重合
体のラテックスの存在下に、芳香族ビニル単量体等を乳
化重合して得られるものであることは前記したところで
ある。この共役ジエン重合体は、得られるグラフト共重
合体中に、共役ジエン重合体分率(重量分率)Rが0.35
〜0.80、好ましくは0.40〜0.70でなければならない。0.
35未満では生成組成物での耐衝撃性の発現が困難とな
り、耐衝撃性向上剤としての効果も減じることとなる。
一方、0.80超過では、共役ジエン重合体粒子の凝集など
が生じて、生成組成物を成形する際に成形品の光沢を損
なうだけでなく、耐衝撃性も低下する。
<樹脂成分の分子量(条件(ニ))> ゴム質重合体ラテックスの存在下に樹脂質重合体形成
単量体を重合開始剤の作用によって乳化重合させる場合
の常として、本発明でも、上記のようにして製造された
グラフト共重合樹脂組成物中には、芳香族ビニル単量体
等のそれ自身の重合体が共存していることは前記したと
ころである。
本発明ではこの重合体を常温アセトン可溶のものとし
て捉えて、その分子量を4万以上12万以下、好ましくは
4万〜9万、と特定している(測定法の詳細は後記)。
この分子量が4万未満では、生成するグラフト共重合
樹脂組成物に耐衝撃性が発現できず、得られる成形品の
物性バランスが不利となる。
一方、12万を超えると成形性およびグラフトゴム粒子
の分散性が悪化し、本発明で目的とする成形品の高光沢
が得られない。
<グラフト率(条件(ホ))> 本発明では、樹脂質重合体形成単量体由来の重合体の
うち、上記のアセトン可溶分以外は、ゴム質重合体と化
学的に結合しているもの、すなわちグラフト結合してい
るもの、とみなし、下式(1)によって定義される数値
をもってグラフト率%(Gr)としてグラフト結合の程度
を表わすこととし、このグラフト率をグラフト共重合樹
脂組成物中のジエン重合体分率との関係において下式
(2)の示す範囲に定めている。
ここで、xはグラフト率を測定すべきグラフト共重合
樹脂組成物のサンプルの重量であり、yはそのうち常温
アセトン不溶分の重量であり、Rはグラフト共重合樹脂
組成物中の共役ジエン重合体分率(重量分率)、であ
る。
本発明のような熱可塑性樹脂組成物において高い耐衝
撃性を得るためには、そのゴムの重量含有分率(R)に
応じて、上式(2)に示す最適なグラフト率%(Gr)が
存在する。グラフト率がこの範囲外にあると、成形物の
外観および耐衝撃性が充分に発現されない。
このように定義されるグラフト率は、グラフト共重合
の際の重合開始剤、連鎖移動剤および乳化剤の種類、量
および(または)添加方法を、あるいは(ならびに)重
合時間および重合温度などを、調整することによって、
所望の値が得られる。
<成分B> 本発明で用いられる成分Bは、芳香族ビニル単量体、
シアン化ビニル単量体およびそれらと共重合可能な他の
ビニル単量体からなる群より選択された一種以上の単量
体を重合してなる重合体である。
用いられる芳香族ビニル単量体としては、スチレン、
および側鎖または(および)核置換スチレン(置換基
は、低級アルキル基、低級アルコキシ置、トリフルオル
メチル基、ハロゲン原子、その他)、たとえばα−メチ
ルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレ
ン、m−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチ
ルスチレン、核ハロゲン化スチレン、α−またはβ−ビ
ニルナフタレン、その他、がある。これらは、群内また
は群間で併用してもよい。これらの中では、特にスチレ
ン、α−メチルスチレンが好ましい。
本発明で用いられるシアン化ビニル単量体には、アク
リロニトリルおよびメタクリロニトリルがある。特にア
クリロニトリルが好ましい。これらは併用してもよい。
上記の芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量
体と共重合可能な他のビニル単量体としては、アクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物など
の不飽和カルボン酸およびその無水物、メチル(メタ)
アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル
(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸アルキルエ
ステル、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイ
ミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系化合
物、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド系
化合物を例示することができる。これらは、一種あるい
は二種類以上用いることができる。
成分Bにおけ各単量体の割合には特に制限はないが、
樹脂組成物の物性面より芳香族ビニルと不飽和ニトリル
および(または)他の単量体との組合わせが好ましい。
特に、芳香族ビニル50〜95重量%と不飽和ニトリルおよ
び(または)他の単量体5〜50重量%からなる単量体で
あることが好ましい。
成分Bの固有粘度に関しても特に制限はないが、組成
物の物性バランス面からは、成分Bは、固有粘度(30
℃、ジメチルホルムアミド)0.30〜1.30であるものが好
ましい。
このような成分Bは、乳化重合法、溶液重合法、塊状
重合法、懸濁重合法およびそれらの組合わせ等公知の重
合法によって得ることができる。
成分Bの配合量は、成分Aと成分Bの合計に対して、
0〜90重量%である。90重量%を越えると最終組成物の
耐衝撃性が劣るので好ましくない。好ましい配合量は、
10〜80重量%である。特に、最終組成物中の非共役ジエ
ン系ゴム含有量が5〜40重量%となるように配合するこ
とが好ましい。
<熱可塑性樹脂組成物(その2)> 本発明による第一の熱可塑性樹脂組成物は、各種要件
を具備すべく定義されていることを除けば、慣用のこの
種の樹脂、すなわちグラフト−ブレンド型のABS樹脂、
と本質的には異ならない。
従って、本発明による熱可塑性樹脂組成物は、ABS樹
脂に、ひいてはポリブレンドされた熱可塑性樹脂に、慣
用されているところに従って、各種の補助資材、たとえ
ば有機ないし無機の充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑
剤、相溶化剤、着色料、その他を配合することができ、
加熱溶融混練を伴う手段によってペレットその他の成形
用素材にあるいは最終成形品に成形することができる。
本発明による熱可塑性樹脂組成物は、それ自身で耐衝
撃性樹脂として使用することができるだけでなく、それ
と混和性の他の熱可塑性樹脂とブレンドした形で使用す
ることができる。そのような熱可塑性樹脂としては、芳
香族ビニル単量体の単独重合体および共重合体(共単量
体は、シアン化ビニル単量体、アクリル酸ないしメタク
リル酸のC1〜C10アルカノールエステル、その他があ
る)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレン
オキサイドが代表的である。
〔第二の発明〕
<熱可塑性樹脂組成物(その1)> <定義> 本発明による第二の熱可塑性樹脂組成物は、上記の成
分Aおよび成分Bを含み、さらにこれらと着色剤(成分
C)を必須成分として含んでなるものである。
<成分A> 第二の熱可塑性樹脂組成物における成分Aとしてのグ
ラフト共重合樹脂組成物は、既に説明した第一の熱可塑
性樹脂組成物におけるグラフト共重合樹脂組成物(成分
A)と本質的には異ならない。従って、その詳細につい
てはそれを参照されたい。
<成分B> 第二の熱可塑性樹脂組成物における成分Bは、既に説
明した第一の熱可塑性樹脂組成物における成分Bと本質
的には異ならない。従って、その詳細についてはそれを
参照されたい。
<成分C> 本発明において必須成分となる着色剤(成分C)とし
ては、樹脂配合用着色剤として用いられているものを使
用することができる。そのような着色剤としては、たと
えば有機染顔料および無機顔料を挙げることができる。
さらに具体的には、本発明で使用することができる着色
剤として、たとえばアゾ系、アントラキノン系、インダ
ンスレン系、キノンフタロン系、ペリノン系、フタロシ
アニン系、スレン系、染色レーキなどの有機染顔料、酸
化チタン、酸化鉄などの酸化物系、硫酸塩系、クロム酸
系、モリブテン酸系、硫化物系、セレン化物系、フェロ
シアン化物系、カーボンブラックなどの無機顔料が挙げ
られる。これらは単独で、あるいは二種以上用いること
ができる。
着色剤の配合量は、上記成分AおよびBの合計100重
量部に対して、0.005〜10重量部である。
<熱可塑性樹脂組成物(その2)> 本発明による第二の熱可塑性樹脂組成物は、成分Aが
各種要件を具備すべく定義され、成分Bが所定量配合さ
れていて、そして着色剤が配合されていることを除け
ば、慣用のこの種の樹脂、すなわちABS樹脂、と本質的
には異ならない。
従って、本発明による熱可塑性樹脂組成物は、ABS樹
脂に、ひいてはポリブレンドされた熱可塑性樹脂に、慣
用されているところに従って、各種の補助資材、たとえ
ば有機ないし無機の充填剤、可塑剤、酸化防止剤、帯電
防止剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、相溶化
剤、その他を配合することができ、加熱溶融混練を伴う
手段によってペレットその他の成形用素材にあるいは最
終成形品に成形することができる。
本発明による熱可塑性樹脂組成物は、それ自身で耐衝
撃性樹脂として使用することができるだけでなく、それ
と混和性の他の熱可塑性樹脂とブレンドした形で使用す
ることができる。そのような熱可塑性樹脂としては、ポ
リアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイ
ドが代表的である。
<実験例> 下記の実施例及び比較例は、本発明をさらに具体的に
説明するためのものである。
以下の各実施例及び比較例において、耐衝撃性スチレ
ン系樹脂の物性は、次の方法によって測定した。
(1)アイゾット衝撃強度 JIS K7110に従って測定した。
(2)引っ張り強さ JIS K7113に従って測定した。
(3)落錘衝撃強度 Effect.Technology Inc.製 “Dynatup Model ETI−3000"落錘衝撃強度試験機を用
いて測定した。
試料支持台の大きさは、7cm×8cm、試料の厚さは、0.
3cmとした。
落錘は、先端が球状である直径1.27cmの円柱であって
重量が4.45kgのものを用いた。
試料と衝突するときの落錘の速度を4.43m/sec.に設定
した。
(4)メルトフローレート JIS K7210に従って220℃、10kgの条件で測定し、10
分間の流出g数で表示した。
(5)光沢 JIS K7105に従って測定した。60度鏡面光沢の数値で
表示した。
(6)ラテックスの平均粒径 ラテックスの平均粒径は、米国コールター社製「ナノ
サイザー」によって、測定した。
(7)固形分濃度 恒温乾燥器で、試料ラテックスから、水分を蒸発さ
せ、得られた残さの重量を測定し、それを試料ラテック
スの重量に対する百分率で表示した。
(8)ゲル含有量 特級トルエン50mlに、乾燥した(共役ジエン重合体の
ことである。以下同様)粉末0.5gを加えて、室温で48時
間遮光して放置した。その後、100メッシュの金網で
過して得た未溶解物の乾燥重量を測定し、乾燥ゴム粉末
の重量に対する百分率で表示した。
(9)分子量、グラフト率 (i)熱可塑性体の一定量(x)をアセトン中に投入し
て一晩放置する。15分間超音波洗浄器にかけて遊離の共
重合体を完全に溶解させた後、遠心分離機を用いて2000
0rpmで1時間遠心分離に付して、可溶分を得る。これを
蒸発乾固したのち、真空乾燥機を用いて60℃で1晩乾燥
して、サンプル(A)を得る。分子量は、サンプル
(A)のテトラヒドロフラン溶液を調製し、GPC(ゲル
パーミエーション・クロマトグラフィー)にて測定し
た。分子量は、スチレン換算の値を得た。
(ii)上記方法にて遠心分離を2回くり返して、不溶分
を得る。これを、真空乾燥機を用いて60℃で1晩乾燥し
て、不溶分(y)を得る。グラフト率は、次式により算
出した。
グラフト共重合樹脂組成物のゴム分率(R)は、使用
した共役ジエン重合体とグラフト共重合の重合率とから
算出されるが、与えられたグラフト共重合樹脂組成物に
ついてこれを知るには、上記のアセトン不溶分をオゾン
分解法またはIR法によってそのゴム含有率を測定し、そ
の値に基づいて算出すればよい。
(10)成形条件による光沢変化率 光沢保持率A ペレットを(株)名機製作所製FS−120射出成形機に
より、成形温度215℃および250℃にて75×160×2mmの平
板状の成形物を作成する。250℃成形物については、シ
リンダー内に溶融樹脂を10分間滞留させたのち射出成形
し、2ショト目を採取して試料とする。得られた成形物
は、日本電色工業(株)製の光沢計VG−1Dを用いて入射
角20℃で光沢値を測定し、光沢(250℃、10分間)/光
沢(215℃)を光沢保持率Aとする。保持率Aの高いほ
ど、成形条件に影響されず、外観の優れた材料といえ
る。
(11)成形品部位間の光沢均一性 光沢保持率B ペレットを住友重機械工業株式会社製ネスタール350/
120Bの射出成形機により、射出成形して60×480×2mmの
平板状の成形物を作成する。成形温度は、250℃とす
る。ゲート部より70mmと450mmの位置の光沢を日本電色
工業(株)製の光沢計VG−1Dを用いて入射角20℃で光沢
値を測定し、光沢(450mm)/光沢(70mm)を光沢保持
率Bとする。保持率Bの高いほど、成形条件に影響され
ず、外観の優れた材料といえる。
(12)白モヤの評価方法 目視判定により、下記の基準によって表示した。
○:成形品の表面に白モヤが見られず、鮮明に深く着色
されているもの、 △:わずかに白モヤが観察されるもの、 ×:白モヤが顕著に見られるもの。
実施例1 攪拌装置、加熱冷却装置、及び各原料、助剤仕込み装
置を備えた容量5リットルの反応器に表−1に示した部
数の原料及び助剤を仕込んで、乳化グラフト重合を行っ
た。
まず、上記反応器に固形分濃度50wt%のBRラテックス
1500g及び脱イオン水1000gを仕込み、70℃に昇温する。
昇温の途中60℃で、水150gに溶解したピロリン酸ナトリ
ウム4.5g、デキストロース11.25g及び硫酸第一鉄0.075g
を添加する。70℃に達した時点で、スチレン525g、アク
リロニトリル225g、ターシャリードデシルメルカプタン
9.38g及びクメンハイドロパーオキサイド3.75g、不均化
ロジン酸カリウム石けん13.5g、脱イオン水200gを2時
間30分かけて添加する。添加終了後、さらに30分間反応
を続け、冷却して、反応を終了した。
得られたグラフト重合体ラテックスに老化防止剤15g
を添加後、95℃に加熱した硫酸マグネシウム水溶液中に
攪拌しながら加えて凝固させた。凝固物を水洗、乾燥し
て、白色粉末状の高ゴム含量樹脂組成物を得た。
このようにして得られた樹脂組成物を、汎用のスチレ
ン系樹脂であるスチレン−アクリロニトリル共重合体
(St/AN重量比:70.5/29.5、メルトフローレート:33g/10
分(230℃、3.8kg))と、全組成物中のゴム質重合体の
含有率が15重量%となるように押出機を用いて配合し、
ペレット化したのち、射出成形により各テストピースを
作成して、各物性を評価した。結果は、表−1に示す通
りであった。
実施例2 表−1に示した部数で仕込んだ他は、実施例1と同様
に反応を行った。
実施例3 表−1に示した部数で反応を行った。単量体混合物、
連鎖移動剤およびクメンハイドロパーオキサイド、不均
化ロジン酸石けん、脱イオン水混合物は、2時間かけて
添加した。添加終了後、さらに30分間反応を続け、冷却
し、反応を終了した。その後、実施例1と同様に処理を
行った。
実施例4 ゲル含量93%、粒子径0.1μmのSBRを用い、無水酢酸
にて粒径肥大後、表−1に示した部数により、実施例1
と同様に反応を行った。
実施例5 ゲル含量93%、粒子径0.1μmのSBRを用い、無水酢酸
にて粒径肥大後、表−1に示した部数で反応を行った。
混合物の連続仕込みを3時間とした他は、実施例1と同
様に反応を行った。
比較例1 ゲル含量93%、粒子径0.1μmのSBRを用い、無水酢酸
にて粒径肥大後、表−1に示した部数により実施例1と
同様に反応を行った。
表−1に示されるように0.6μmの大粒子が存在して
いるため、アイゾット衝撃値は高いものの光沢および光
沢保持率が低くく、本発明の効果が認められない。
比較例2 平均粒径を0.35μmとした他は、実施例1と同様に反
応を行った。
表−1に示されるように平均粒子径が大きく、本発明
の効果が認められない。
比較例3 平均粒径を0.15μmとした他は、実施例1と同様に反
応を行った。
表−1に示されるように平均粒子径が小さく、本発明
の効果が認められない。
比較例4 使用したBRラテックスのゲル含量を0%とした以外
は、実施例1と同様に反応を行った。
表−1に示されるように光沢が低く、本発明の効果が
認められない。
比較例5 デキストロースの量を1.95gに、ターシャリードデシ
ルメルカプタンの量を4.5gにした他は、実施例1と同様
に反応を行った。
表−1に示されるように分子量が高く、本発明の効果
が認められない。
比較例6 デキストロースの量を1.95gに、ターシャリードデシ
ルメルカプタンの量を0gに、反応温度を65℃に、混合物
の連続仕込みを3時間にした他は、実施例1と同様に反
応を行った。
表−1に示されるように分子量およびグラフト率が高
くて、本発明の効果が認められない。
実施例6 攪拌装置、加熱冷却装置、及び各原料、助剤仕込み装
置を備えた容量5リットルの反応器に表−2に示した部
数の原料及び助剤を仕込んで、乳化グラフト重合を行っ
た。
まず、上記反応器に固形分濃度50wt%のBRラテックス
1500g及び脱イオン水1000gを仕込み、70℃に昇温する。
昇温の途中60℃で、水150gに溶解したピロリン酸ナトリ
ウム4.5g、デキストロース11.25g及び硫酸第一鉄0.075g
を添加する。70℃に達した時点で、スチレン525g、アク
リロニトリル225g、ターシャリードデシルメルカプタン
9.38g及びクメンハイドロパーオキサイド3.75g、不均化
ロジン酸カリウム石けん13.5g、脱イオン水200gを2時
間30分かけて添加する。添加終了後、さらに30分間反応
を続け、冷却して、反応を終了した。
得られたグラフト重合体ラテックスに老化防止剤15g
を添加後、95℃に加熱した硫酸マグネシウム水溶液中に
攪拌しながら加えて凝固させた。凝固物を水洗、乾燥し
て、白色粉末状の高ゴム含量樹脂組成物を得た。
このようにして得られた樹脂組成物を、汎用のスチレ
ン系樹脂であるスチレン−アクリロニトリル共重合体
(St/AN重量比:70.5/29.5、メルトフローレート:33g/10
分(230℃、3.8kg))と、全組成物中のゴム質重合体の
含有率が15重量%となるように混合し、さらに下記に示
す着色剤を加え、バンバリーミキサーで混練造粒して、
着色ペレットを得た。
得られた着色ペレットを名機製作所製FS−120射出成
形機により、75×160×2mmの平板状成形物を作成して、
白モヤの程度を目視により判定した。
さらに、得られた黒色ペレットより、射出成形機にて
各テストピースを作成し、各物性を評価した。
表−2は、以上の結果を示すものである。
白モヤとは、成形品の鏡面の艶光沢表面に、白い靄状
の曇りがかかる状態をいうものであることは前記したと
ころである。
着色剤処方(重量部) 黒 色:カーボンブラック 0.5 グレー:カーボンブラック 0.2 酸化チタン 0.5 赤 色:無機系赤色顔料 0.5 ペリレン系赤色染料 0.25 カーボンブラック 0.1 青 色:酸化チタン 0.02 群青 1.0 フタロシアニンブルー 0.15 カーボンブラック 0.02 使用着色剤 酸化チタン :TIPAQUE CR−60−2(石原産業) カーボンブラック:CARBON BLACK #45(三菱化成) 無機系赤色顔料 :BAYFERROX 140M(BAYER) ペリレン系赤色染料:KAYASET RED ABR(日本化薬) 群 青 :UNTRAMARIN BLUE No.150(第一化成) フタロシアニンブルー:CYANINE BLUE GH(住友化学) 実施例7 表−2に示した部数で仕込んだ他は、実施例6と同様
に反応を行った。
実施例8 表−2に示した部数で反応を行った。単量体混合物、
連鎖移動剤およびクメンハイドロパーオキサイド、不均
化ロジン酸石けん、脱イオン水混合物は、2時間かけて
添加した。添加終了後、さらに30分間反応を続け、冷却
し、反応を終了した。その後、実施例6と同様に処理を
行った。
実施例9 ゲル含量93%、粒子径0.1μmのSBRを用い、無水酢酸
にて粒径肥大後、表−2に示した部数により、実施例6
と同様に反応を行った。
実施例10 ゲル含量93%、粒子径0.1μmのSBRを用い、無水酢酸
にて粒径肥大後、表−2に示した部数で反応を行った。
混合物の連続仕込みを3時間とした他は、実施例6と同
様に反応を行った。
比較例7 ゲル含量93%、粒子径0.1μmのSBRを用い、無水酢酸
にて粒径肥大後、表−2に示した部数で実施例6と同様
に反応を行った。
表−2に示されるように0.6μmの大粒子が存在して
いるため、アイゾット衝撃値は高いものの光沢および光
沢保持率が低くく、本発明の効果が認められない。
比較例8 平均粒径を0.35μmとした他は、実施例6と同様に反
応を行った。
表−2に示されるように平均粒径が大きく、本発明の
効果が認められない。
比較例9 平均粒径を0.15μmとした他は、実施例6と同様に反
応を行った。
表−2に示されるように平均粒径が小さく、本発明の
効果が認められない。
比較例10 使用したBRラテックスのゲル含量を0%とした以外
は、実施例6と同様に反応を行った。
表−2に示されるように光沢が低く、本発明の効果が
認められない。
比較例11 デキストロースの量を1.95gに、ターシャリードデシ
ルメルカプタンの量を4.5gにした他は、実施例6と同様
に反応を行った。
表−2に示されるように分子量が高く、本発明の効果
が認められない。
比較例12 デキストロースの量を1.95gに、ターシャリードデシ
ルメルカプタンの量を0gに、反応温度を65℃に、混合物
の連続仕込みを3時間にした他は、実施例6と同様に反
応を行った。
表−2に示されるように分子量およびグラフト率が高
くて、本発明の効果が認められない。
表−1または表−2に示されるように、本発明で規定
する諸要件を充足しないグラフト共重合樹脂組成物はい
ずれかの物性、特に成形物の耐衝撃性、外観および(ま
たは)表面光沢および着色時の白モヤ、において不満足
であること、換言すれば、本発明による熱可塑性樹脂組
成物は、特に成形物の耐衝撃性、外観および(または)
表面光沢および着色時の白モヤ、においてすぐれている
こと、物性バランスにおいて優れていること、が明らか
である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の成分Aおよび成分Bを含んでなるこ
    とを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。 成分A 共役ジエン重合体のラテックスの存在下に、芳香族ビニ
    ル単量体およびシアン化ビニル単量体並びに必要に応じ
    てこれらと共重合可能なエチレン性不飽和単量体を重合
    開始剤の作用によって乳化重合させて得られ、下記の条
    件を充足するグラフト共重合樹脂組成物。 10〜100重量% (イ) ラテックス中の共役ジエン重合体が、ゲル含有
    率50重量%以上のものであること、 (ロ) ラテックス中の共役ジエン重合体が、重量平均
    粒子径0.20〜0.30μmのものであり、かつ粒子径0.50μ
    m以上のものを実質的に含まないものであること、 (ハ) このグラフト共重合樹脂組成物中の共役ジエン
    重合体分率Rが、0.35〜0.80のものであること、 (ニ) このグラフト共重合樹脂組成物を常温アセトン
    抽出に付したときの可溶分が、重量平均分子量4万以上
    12万以下のものであること、 (ホ) このグラフト共重合樹脂組成物を常温アセトン
    抽出に付したときの可溶分が、下式(1)および(2)
    を充足する量であること。 〔ここで、記号は下記の意味を持つ。 x:グラフト共重合樹脂組成物サンプルの重量、 y:xのうち、常温アセトン不溶分の重量、 R:グラフト共重合樹脂組成物中の共役ジエン重合体分
    率、 Gr:グラフト率%〕 成分B 芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体およびそれ
    らと共重合可能な他のビニル単量体からなる群より選択
    された一種以上の単量体を重合してなる重合体。 90〜0重量%
  2. 【請求項2】下記の成分A、成分Bおよび成分Cを含ん
    でなることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。 成分A 共役ジエン重合体のラテックスの存在下に、芳香族ビニ
    ル単量体およびシアン化ビニル単量体並びに必要に応じ
    てこれらと共重合可能なエチレン性不飽和単量体を重合
    開始剤の作用によって乳化重合させて得られ、下記の条
    件を充足するグラフト共重合樹脂組成物。 10〜100重量% (イ) ラテックス中の共役ジエン重合体が、ゲル含有
    率50重量%以上のものであること、 (ロ) ラテックス中の共役ジエン重合体が、重量平均
    粒子径0.20〜0.30μmのものであり、かつ粒子径0.50μ
    m以上のものを実質的に含まないものであること、 (ハ) このグラフト共重合樹脂組成物中の共役ジエン
    重合体分率Rが、0.35〜0.80のものであること、 (ニ) このグラフト共重合樹脂組成物を常温アセトン
    抽出に付したときの可溶分が、重量平均分子量4万以上
    12万以下のものであること、 (ホ) このグラフト共重合樹脂組成物を常温アセトン
    抽出に付したときの可溶分が、下式(1)および(2)
    を充足する量であること。 〔ここで、記号は下記の意味を持つ。 x:グラフト共重合樹脂組成物サンプルの重量、 y:xのうち、常温アセトン不溶分の重量、 R:グラフト共重合樹脂組成物中の共役ジエン重合体分
    率、 Gr:グラフト率%〕 成分B 芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体およびそれ
    らと共重合可能な他のビニル単量体からなる群より選択
    された一種以上の単量体を重合してなる重合体。 90〜0重量% 成分C 着色剤 成分Aおよび成分Bの合計100重量部に対して 0.005〜10重量部
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