JP2849892B2 - 野菜・果物汁の苦味・臭気の低減方法及び苦味・臭気の低減した野菜・果物汁 - Google Patents
野菜・果物汁の苦味・臭気の低減方法及び苦味・臭気の低減した野菜・果物汁Info
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Description
臭気を低減する方法及び苦味・臭気が低減した野菜汁や
果汁に関する。
ミン、ミネラル、植物性タンパク、植物性繊維を豊富に
含んでいるため、栄養補給、健康維持、美容等の各種の
目的で飲用されている。しかしながら、多くの野菜ジュ
ースもしくは野菜ジュースを主成分とする飲料には、特
有の「青臭さ」、「野菜臭さ」、「生臭さ」といった独
特の臭気があり、その臭気に抵抗がある人が多い。特
に、それらの野菜ジュースの飲用が望ましい子供には野
菜ジュース特有の臭気を嫌う傾向がある。従って、野菜
ジュースの飲用が必要なのにもかかわらず、その臭気の
ために、飲用が妨げられていることが多い。また、野菜
ジュースのなかには苦味の強いものもあり、その苦味も
また野菜ジュース飲用の障害となることがある。
ミン、ミネラルなどを豊富に含んでおり、栄養補給、健
康維持、美容等の各種の目的で飲用されている。特に、
従来よりリフレッシュメント飲料として飲用されている
清涼飲料水においても、最近では健康志向や自然志向が
高まるにつれて、果汁を多量に添加する傾向がでてきて
いる。しかし、果汁についても、100%果汁ジュース
として飲用したり、果汁分の高い清涼飲料水として飲用
する場合に、その苦み(あるいは渋み)が嫌われる場合
がある。特に、果汁ジュースとして最も一般的に親しま
れている柑橘類ジュースにおいて、果汁分の増加による
苦味の増加という現象は無視できない問題となる。ま
た、果汁についても、種類によってはその臭気を嫌う人
もある。
の方法が提案されている。以前より利用されてきた方法
は、香辛料の添加であるが、香辛料の添加を嫌う人も多
く、特に子供にその傾向が多い。このため、消臭効果の
ある物質の添加による臭気低減方法もすでに提案されて
いる。たとえば、特開昭62−40258号公報には野
菜ジュースにグリシンやアラニンを添加して臭気を低減
させる方法が提案されている。また、特開昭61−43
978号公報には、野菜ジュースにコンブの抽出液を添
加する方法が開示されている。しかし、これらの消臭物
質は、それ自体が呈味成分となるため、かえって野菜ジ
ュースの好ましい味まで変えてしまうこともある。
る解決法としては、サイクロデキストリンを添加する方
法が、「澱粉科学」31,2,p98〜106(198
4)に記載されている。しかしこの方法は、添加するサ
イクロデキストリン(β−サイクロデキストリン)が比
較的高価であることや、サイクロデキストリンが食品添
加物として認められていない国もあることなどから、そ
の使用に制限が生じるとの問題がある。また、イオン交
換樹脂の使用による柑橘類ジュースの苦味物質の除去方
法も種々報告されている(例、特開昭60−15378
0号公報)が、樹脂の劣化あるいは風味の減少といった
好ましくない自体も発生する。さらに、最近では特にグ
レープフルーツジュースにおける顕著な苦味物質である
リモノイド類を高圧処理によって除去する方法も開示さ
れている(特開平3−164154号公報)が、高圧処
理自体が処理プロセスとして煩雑であり、また処理可能
な果汁の種類が限定されるとの欠点がある。
苦味や臭気を有する野菜汁(ジュース)、果汁(ジュー
ス)、それらの混合物、希釈物などの、苦味や臭気を低
減あるいは抑制する新規な方法及び苦味や臭気を低減し
たあるいは抑制した野菜汁(ジュース)、果汁(ジュー
ス)を提供することにある。
に脂肪酸のグリセリンジエステルを添加することを特徴
とする苦味・臭気の低減方法にある。また、本発明は、
野菜・果物汁に、脂肪酸のグリセリンジエステルが野菜
・果物汁に対して0.01重量%以上添加されてなるこ
とを特徴とする苦味・臭気の低減した野菜・果物汁にあ
る。
となる野菜・果物汁については特に制限はなく、本発明
は、種々の野菜、果物の100%ジュース、それらの任
意の混合物、野菜・果物汁を清涼飲料水に添加したも
の、野菜・果物汁を、水あるいは他の液体と混合したも
のなどの苦味・臭気の低減に利用できる。
用いる脂肪酸のグリセリンジエステルは、脂肪酸のグリ
セリンジエステルが、炭素原子数6〜22(特に、炭素
原子数14〜22)の飽和もしくは不飽和の脂肪酸とグ
リセリンとのジエステルであることが好ましい。炭素原
子数6〜22の飽和脂肪酸の例としては、ラウリン酸、
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン
酸、そしてベヘン酸を挙げることができる。炭素原子数
6〜22の不飽和脂肪酸の例としては、パルミトオレイ
ン酸、オレイン酸、エライジン酸、イソオレイン酸、ペ
トロセリン酸、エルカ酸、リノール酸、そしてリノレイ
ン酸を挙げることができる。
ジエステルは、液体脂であることが望ましく、従って、
不飽和脂肪酸成分の多い脂肪酸組成を持つことが望まし
い。すなわち、本発明で脂肪酸のグリセリンジエステル
は、不飽和脂肪酸基が全脂肪酸基の70重量%以上を占
めることが望ましく、特に80重量%以上であることが
望ましい。そして、脂肪酸のグリセリンジエステルの大
部分がジ不飽和脂肪酸グリセリドであることが望まし
い。なお、本発明において脂肪酸のグリセリンジエステ
ルは、単独で用いても良いが、脂肪酸のグリセリンジエ
ステルのみを単離することは工業上で容易でないため、
モノグリセリドあるはトリグリセリドとの混合物として
用いてもよい。ただし、その場合にはグリセリド中の5
0重量%以上がジグリセリドであることが望ましい。
のグリセリンジエステルは、たとえば、不飽和脂肪酸基
の含有量の多い油脂(例、サフラワー油、オリーブ油、
綿実油、コーン油、菜種油、大豆油、パーム油、ひまわ
り油、ごま油;ラード、牛脂、魚油、乳脂、あるいはそ
れらの分別油、ランダム化油、硬化油、エステル交換
油)から選ばれた一種あるいは二種以上の油脂とグリセ
リンとを、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸
化物の存在下でエステル交換させるか、またはこれらの
油脂由来の不飽和脂肪酸含量の高い脂肪酸混合物とグリ
セリンとのエステル化反応により得ることができる。反
応で生成した過剰のモノグリセリドは分子蒸留法または
クロマトグラフィーなどの分離手段を利用して除去する
ことができる。なお、これらの反応は上記のようなアル
カリ触媒等を用いた化学反応によっても実施することが
できるが、1,3−位選択的リパーゼ等の酵素を餅て温
和な条件で反応を行なう方が、得られる脂肪酸のグリセ
リンジエステルの風味もよく、好ましい。
エステルは、天然食用油脂の分別によっても得ることが
できる。
ジエステルの使用量は、添加対象物中の苦味成分の性質
や量、および所望の苦味・臭気低減効果によっても変わ
るが、通常は、添加対象の野菜ジュース、果汁ジュース
(希釈物も含む)などに対しては0.01〜20重量
%、好ましくは0.1〜5重量%とする。
脂肪酸のグリセリンジエステルと共にしょ糖エステルを
用いることが好ましい。ただし、しょ糖エステルは、脂
肪酸のグリセリンジエステルに対して2倍重量以下の量
で用いることが好ましい。また、本発明の苦味・臭気の
低減方法において、脂肪酸のグリセリンジエステルと共
にしょ糖を用いることもできる。
リンジエステルが何故有効であるかの点については、必
ずしも明らかではない。しかし、同じく脂肪酸グリセリ
ドである脂肪酸トリグリセリドに比べ、脂肪酸のグリセ
リンジエステルが苦味・臭気の低減効果が大であること
を考慮すると、多く疎水性物質である苦味成分や臭気成
分が、疎水性基が多く、部分的に親水性基(水酸基)を
有する脂肪酸のグリセリンジエステルの適度の疎水性・
親水性バランスに対して高い親和性を示し、脂肪酸のグ
リセリンジエステル相に溶け込み、このため経口摂取さ
れた時も、その脂肪酸のグリセリンジエステルに取り込
まれた分は舌に触れることがなく、その結果として、舌
に感じる苦味成分が減少するものと考えられる。また、
臭気成分についても脂肪酸のグリセリンジエステルの内
部に取り込まれるため、外部に臭気となってあらわれて
こないものと考えられる。
ジエステル(以下、単にジグリセリドとも言う)は、下
記の方法で製造したものである。固定化1,3−位選択
的リパーゼである市販リパーゼ製剤(ノボインダストリ
A.S社製、商品名:Lypozyme 3A)を触媒として、
下記菜種油由来脂肪酸860gとグリセリン140gと
を40℃で反応させた。反応後リパーゼ製剤を濾別した
のち、反応生成物を分子蒸留にかけ、常法により精製し
て、脂肪酸基の大部分が不飽和脂肪酸である、ジグリセ
リド80重量%、トリグリセリド18重量%およびモノ
グリセリド2重量%からなるグリセリド混合物を得た。
なお、以下に示すジグリセリドの使用量は、この混合物
の使用量である。
のミックス野菜ジュース)に、脂肪酸のグリセリンジエ
ステルもしくは水を1重量%または2.5重量%、そし
てしょ糖エステルを1重量%添加して4種類の試験液を
調製した。上記の各試験液を4人の準分析型パネルに試
飲させて、「青臭さ」、「おいしさ」、「甘さ」の3項
目について5段階の一対比較を行なわせ、その結果をシ
ェフェ法を用いて解析した。その解析結果を表1に示
す。
対して5%>危険率で有意な差があったことを示す。
『増強』は、ジグリセリド無添加区に対して1%>危険
率で有意な差があったことを示す。
ステル添加でも、野菜ジュースの「青臭さ」が低減し、
「おいしさ」や「甘さ」が増強することが確認された。
に、脂肪酸のグリセリンジエステル、β−シクロデキス
トリンもしくは水を0.1重量%、0.3重量%または
0.5重量%を添加し、9種類の試験液を調製した。上
記の各試験液を4人の準分析型パネルに試飲させて、苦
味の強さについて5段階の一対比較を行なわせ、その結
果をシェフェ法を用いて解析した。その解析結果を表1
に示す。なお、表1中の数値は、プラス(+)側が苦味
が強い側であり、マイナス(−)側が苦味が弱い側であ
る。
リド添加と無添加との間で1%>危険率で有意な差を示
している。0.3%添加の評価系では、ジグリセリド添
加と無添加との間で5%>危険率で有意な差を示してい
る。0.5%添加の評価系では、ジグリセリド添加と無
添加との間で1%>危険率で有意な差を示している。
グリセリンジエステルを添加した場合には、β−シクロ
デキストリンを添加した場合に比べて、その苦味を強く
抑制することが確認された。
減方法を利用することにより、苦味や臭気を有する野菜
ジュース、果汁ジュース、それらの希釈品などの苦味や
臭気を効率よく低減(抑制)することが可能となり、ま
たその添加による風味の低減などの悪影響もない。
Claims (4)
- 【請求項1】 野菜・果物汁に脂肪酸のグリセリンジエ
ステルを添加することを特徴とする苦味・臭気の低減方
法。 - 【請求項2】 脂肪酸のグリセリンジエステルが、炭素
原子数6〜22の飽和もしくは不飽和の脂肪酸とグリセ
リンとのジエステルである請求項1に記載の野菜・果物
汁の苦味・臭気の低減方法。 - 【請求項3】 更にしょ糖エステルを添加する請求項1
に記載の野菜・果物汁の苦味・臭気の低減方法。 - 【請求項4】 野菜・果物汁に、脂肪酸のグリセリンジ
エステルが野菜・果物汁に対して0.01重量%以上添
加されてなることを特徴とする苦味・臭気の低減した野
菜・果物汁。
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-
1993
- 1993-08-09 JP JP5218065A patent/JP2849892B2/ja not_active Expired - Fee Related
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