JP2849699B2 - 太陽熱蓄熱式融雪装置 - Google Patents

太陽熱蓄熱式融雪装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、太陽熱を効率良く地盤
に蓄熱し、この蓄熱した熱を冬期に路面に放熱して路面
を融雪する太陽熱蓄熱式融雪装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】本願出
願人等の太陽熱蓄熱式融雪装置が特開平3−23300
7号公報として公開されている (以下、特開平3−23
3007号公報に開示の技術を従来技術という。)。
【0003】この従来技術は、地表を掘削して所定深さ
を有する埋設部を設け、この埋設部に採熱放熱管を配管
するとともに該埋設部内に蓄熱部材(砂土)を詰入し、採
熱放熱管に放熱集熱管を接続し、この放熱集熱管を融雪
したい地表部に浅く地表にそわせて配管し、採熱放熱
管、放熱集熱管内に循環水を封入するとともに該循環水
が採熱放熱管から放熱集熱管を通って採熱放熱管に戻り
再び循環するように適宜循環用ポンプを設けて構成した
ものである。
【0004】この従来技術は、その後の研究で次の問題
点が確認された。
【0005】冬季の降雪時に連続で長時間 (約24時
間) 運転を行うと採熱放熱管の周囲の砂土の温度が下が
り、循環水の温度が低下して融雪効率が劣化してくる。
【0006】蓄熱体となる砂土では、蓄熱機能が不十
分なため、夏 (7月〜9月) に太陽熱を蓄熱して蓄熱体
を例えば30℃程度にしても、降雪期までの間に熱が逃
げてしまい、12月の降雪時の蓄熱体の温度は自然の地
盤温度である15℃位になってしまう。
【0007】採熱放熱管は土中での腐食による漏水を
防止するためにポリエチレン製のパイプを使用している
が、ポリエチレンの熱伝導率が0.2kcal/m・h・℃と
小さいため、ポリエチレン製の採熱放熱管では蓄熱及び
採熱の効率が悪い。
【0008】採熱放熱管はポリエチレン製のパイプを
使用している為、柔軟性があり、よって、鉛直方向の配
管が厄介である。
【0009】採熱放熱管にエアー抜き用の貯水槽を設
けているが、該貯水槽から熱が逃げてしまい、このこと
が蓄熱体の温度低下の一因となっている。
【0010】太陽熱の集熱は舗装層で行っている。ア
スファルト舗装であれば舗装層は50℃〜60℃まで温
度が上がるが、コンクリート舗装の場合は太陽光が反射
してしまい、コンクリート舗装層の温度は40℃程度ま
でしか上がらず、その分だけ蓄熱体の温度も低く、冬期
間 (約3ヶ月) の融雪熱量が不足してしまう事がある。
【0011】本発明は、上記の問題点を解決した太陽熱
蓄熱式融雪装置を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】添付図面を参照して本発
明の要旨を説明する。
【0013】地表を掘削して所定深さを有する埋設部1
を設け、この埋設部1の周囲に断熱層2を形成し、この
断熱層2で囲繞された空間に鉛直方向に蛇行する蛇行部
を設けた採熱放熱管3を配管するとともに該断熱層2で
囲繞された空間に蓄熱部材4を充填し、採熱放熱管3と
接続される放熱集熱管5を融雪したい地表部の下方に
平方向に配管し、採熱放熱管3及び放熱集熱管5内に循
環液を封入するとともに該循環液が採熱放熱管3から放
熱集熱管5を通って採熱放熱管3に戻り再び循環するよ
うに構成したことを特徴とする太陽熱蓄熱式融雪装置に
係るものである。
【0014】また、地表を掘削して所定深さを有する埋
設部1を設け、この埋設部1の周囲に発泡スチロール製
の断熱層2を形成し、この断熱層2で囲繞された空間に
ステンレス製パイプで形成され鉛直方向に蛇行する蛇行
部を設けた採熱放熱管3を配管するとともに該断熱層2
で囲繞された空間に蓄熱部材4を充填し、採熱放熱管3
と接続される放熱集熱管5を融雪したい地表部の下方に
して浅く地表に沿わせて配管し、採熱放熱管3及び放熱
集熱管5内に循環液を封入するとともに該循環液が採熱
放熱管3から放熱集熱管5を通って採熱放熱管3に戻り
再び循環するようにポンプ装置6を設けて構成したこと
を特徴とする太陽熱蓄熱式融雪装置に係るものである。
【0015】また、請求項2記載の太陽熱蓄熱式融雪装
置において、採熱放熱管3にヒートパイプ9を併設し、
該ヒートパイプ9の下端部を地下帯水層11に複数本埋設
したことを特徴とする太陽熱蓄熱式融雪装置に係るもの
である。
【0016】
【作用】夏期において太陽熱は放熱集熱管5により集熱
され、該熱は採熱放熱管3を介して蓄熱部材4に蓄熱さ
れる。
【0017】冬期の降雪時において蓄熱部材4に蓄熱さ
れた熱は採熱放熱管3に放熱され、放熱集熱管5を介し
て地表に放熱され、地表上の融雪が達成される。
【0018】
【実施例】図面は本発明の実施例を図示したもので、以
下に説明する。
【0019】地表を掘削して縦10m程度、横5m程度、
深さ3m程度の埋設部1を設ける。掘削深さはある程度
深くないと熱を蓄えることが出来ず、実験の結果1〜6
m程度が望ましいということを確認した。
【0020】この埋設部1の周囲に発泡スチロール製
(厚さ25cm程度) の断熱層2を付設する。
【0021】断熱層2は当該地の条件により上部だけの
場合、上部と周囲に設置して下部は自然状態にしておく
場合、上部と下部及び周囲に設置して密閉状態にする場
合などがある。
【0022】この断熱層2で囲繞された空間に長尺のス
テンレス (SUS304) 製パイプ(直径10mm) か
ら成る採熱放熱管3を複数ヶ所において鉛直方向に折曲
して配設する。例えば銅製のパイプでも適当の硬度を有
する為鉛直方向の配管は可能であるが、銅製のパイプは
腐食の問題がある為、やはりステンレス製パイプが望ま
しい。
【0023】この断熱層2で囲繞された空間に蓄熱部材
4としての砂土を詰入する。
【0024】これまでの研究によると、蓄熱部材4から
の自然放熱を防ぐには発泡スチロール製の前記断熱層2
を使用することによって夏季の蓄熱完了時から降雪時ま
での3箇月間の自然放熱を約20%程度にする事ができ
ることが確認されている。よって、本実施例の蓄熱性は
非常に秀れたものとなる。
【0025】前記採熱放熱管3の両端部にヘッダーパイ
プ7を介してSGP (鋼) 若しくはステンレス (SUS
304) 製のパイプから成る放熱集熱管5を蛇行状態に
して上面の断熱層2の上に形成される舗装層10中に埋設
する。
【0026】採熱放熱管3、放熱集熱管5内に循環水を
封入し、且つ採熱放熱管3の途中にポンプ装置6を設け
る。
【0027】尚、地表をアスファルト舗装層10にすると
それだけ集熱が良好に行えることになる。
【0028】本実施例は上記構成であることから、夏期
においては太陽熱を放熱集熱管5により集熱し、該太陽
熱により循環水が20〜40℃位まで加熱され、該熱は
採熱放熱管3を介して砂土に蓄熱され、この砂土に蓄熱
された熱を冬期において採熱放熱管3、放熱集熱管5の
経路で地表に放熱し、該地表を融雪する。
【0029】実験の結果、上記の本装置で2cm/hの
降雪を確実に融雪できることを確認した。この場合の放
熱量は約130kcalであった。
【0030】図3は、採熱放熱管3に太陽熱集熱器8を
ヘッダーパイプ7'を介して連結した場合である。例え
ば、十分に集熱できない場合等に該太陽熱集熱器8によ
り効果的な集熱が可能となる。具体的には、日中に太陽
熱集熱器8で集熱して貯湯槽12に60℃〜80℃の温水
を貯めておき、夜間に貯湯槽12と採熱放熱管3との間で
該温水を循環させる(点線矢印で表示)という方法とな
る。尚、符号6'はポンプ装置である。
【0031】図4,5,6は採熱放熱管3の別の構成例で
ある。図4,5は採熱放熱管3を鉛直方向に蛇行せしめ
た場合、図6は採熱放熱管3を鉛直方向に螺旋状に配設
した場合である。
【0032】また、図7,8,9,10はヒートパイプ9
を採熱放熱管3に併設した場合で、より砂土の採熱性を
良好にするように構成した場合である。ステンレス製の
採熱放熱管とステンレス製のヒートパイプ9を組み合わ
せる事によって、冬季の降雪時に長時間運転して採熱放
熱管3の周囲の土中温度が低下した場合にはヒートパイ
プ9によって採熱放熱管3から離れた土中の熱が採熱放
熱管3及びその周囲に移送されるため循環水の温度を常
に一定に保つ事ができる。ヒートパイプ9による熱の移
送は蒸発部9' (ヒートパイプの下部) よりも放熱部9"
(ヒートパイプの上部) の温度が低くなった時のみ作動
するので土中の熱を無駄なく効率良く採熱する事ができ
る。
【0033】特に、図9,10は地下水の熱を利用する
場合である。地下水位 (L) が高い場合には、ヒートパ
イプ9の蒸発部9'を地下帯水層11に複数本埋設する事
によって、冬期に砂土の温度が地下水温より低下した場
合にはヒートパイプ9によって、地下水の熱が砂土に移
送される。よって、地下水を冬期間の補助的な熱源とし
て利用できる。
【0034】以上、本実施例は次の効果を発揮する。
【0035】断熱層2により蓄熱部材4への蓄熱が良
好に維持される。
【0036】採熱放熱管3は長尺のステンレス製パイ
プ (SUS304) を使用するので腐食によるパイプの
破損の心配がない。また、ステンレスパイプの熱伝導率
は14kcal/m・h・℃と良好なためポリエチレン
パイプよりも蓄熱及び採熱の効率が良い。
【0037】採熱放熱管3に硬度のある長尺ステンレ
ス製のパイプを使用する事によって水平方向の蛇行状や
積層状態だけではなく、鉛直方向での蛇行状や螺旋状に
よる配設が容易となる。水平状態での配管では広範囲を
必要とするが、鉛直方向での配管は狭い範囲での施工が
可能となる。よって、この点において実用性が発揮され
る。
【0038】従来技術のようにエアー抜き用の貯水槽
を設けず、採熱放熱管3と放熱集熱管5とを閉鎖回路に
している為、回路途中からの放熱が防止され、それだけ
蓄熱と放熱が良好に行われることになる。
【0039】
【発明の効果】本発明は、上述のように地下水を用いな
い為地盤沈下の問題は生ぜず、また、ボイラー等を使用
しない為、CO2等の発生がなく公害の問題は生ぜず、
その他極めて効率良く融雪を行い得る太陽熱蓄熱式融雪
装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の説明斜視図である。
【図2】本実施例の説明斜視図である。
【図3】本実施例の説明図である。
【図4】採熱放熱管の説明正面図である。
【図5】採熱放熱管の説明正面図である。
【図6】採熱放熱管の説明正面図である。
【図7】ヒートパイプ併用の採熱放熱管の説明正面図で
ある。
【図8】ヒートパイプ併用の採熱放熱管の説明正面図で
ある。
【図9】ヒートパイプ併用の採熱放熱管の説明正面図で
ある。
【図10】ヒートパイプ併用の採熱放熱管の説明正面図
である。
【符号の説明】
1 埋設部 2 断熱層 3 採熱放熱管 4 蓄熱部材 5 放熱集熱管 6 ポンプ装置 9 ヒートパイプ 11 地下帯水層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小松崎 通雄 新潟県新潟市学校町通2番町5295番地 株式会社興和内 (72)発明者 塩尻 誠作 新潟県新潟市学校町通2番町5295番地 株式会社興和内 (72)発明者 堀 武夫 新潟県新潟市学校町通2番町5295番地 株式会社興和内 (72)発明者 齋藤 浩之 新潟県新潟市学校町通2番町5295番地 株式会社興和内 (56)参考文献 特開 平3−233007(JP,A) 特開 平4−189906(JP,A) 特開 昭60−233204(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地表を掘削して所定深さを有する埋設部
    1を設け、この埋設部1の周囲に断熱層2を形成し、こ
    の断熱層2で囲繞された空間に鉛直方向に蛇行する蛇行
    部を設けた採熱放熱管3を配管するとともに該断熱層2
    で囲繞された空間に蓄熱部材4を充填し、採熱放熱管3
    と接続される放熱集熱管5を融雪したい地表部の下方に
    水平方向に配管し、採熱放熱管3及び放熱集熱管5内に
    循環液を封入するとともに該循環液が採熱放熱管3から
    放熱集熱管5を通って採熱放熱管3に戻り再び循環する
    ように構成したことを特徴とする太陽熱蓄熱式融雪装
    置。
  2. 【請求項2】 地表を掘削して所定深さを有する埋設部
    1を設け、この埋設部1の周囲に発泡スチロール製の断
    熱層2を形成し、この断熱層2で囲繞された空間にステ
    ンレス製パイプで形成され鉛直方向に蛇行する蛇行部を
    設けた採熱放熱管3を配管するとともに該断熱層2で囲
    繞された空間に蓄熱部材4を充填し、採熱放熱管3と接
    続される放熱集熱管5を融雪したい地表部の下方にして
    浅く地表に沿わせて配管し、採熱放熱管3及び放熱集熱
    管5内に循環液を封入するとともに該循環液が採熱放熱
    管3から放熱集熱管5を通って採熱放熱管3に戻り再び
    循環するようにポンプ装置6を設けて構成したことを特
    徴とする太陽熱蓄熱式融雪装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の太陽熱蓄熱式融雪装置に
    おいて、採熱放熱管3にヒートパイプ9を併設し、該ヒ
    ートパイプ9の下端部を地下帯水層11に複数本埋設した
    ことを特徴とする太陽熱蓄熱式融雪装置。
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