JP2849525B2 - ゲル複合膜被覆シート - Google Patents

ゲル複合膜被覆シート

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JP2849525B2 JP5061262A JP6126293A JP2849525B2 JP 2849525 B2 JP2849525 B2 JP 2849525B2 JP 5061262 A JP5061262 A JP 5061262A JP 6126293 A JP6126293 A JP 6126293A JP 2849525 B2 JP2849525 B2 JP 2849525B2
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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)
  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光や電圧により、変色
したり、透過光量が変わる性質(フォトクロミズムやエ
レクトロクロミズム)を有しており、表示材料,光制御
素子等として利用することのできるゲル複合膜被覆シー
トに関する。より詳しくは様々な大面積形状の光学素子
等の製造を可能とするゲル複合膜被覆シートに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
フォトクロミズムやエレクトロクロミズムの性質を有す
る表示材料が種々提案されている。これらは様々な用途
への利用が期待されているが、素子として用いる場合、
液漏れや劣化などの問題があり、大面積の表示材料とし
て充分な性能を有する材料の開発が望まれていた。すな
わち、例えば遷移金属酸化物、特にアモルファスの酸化
タングステン(WO3 )は、フォトクロミズム(photoc
hromism ) やエレクトロクロミズム(electrochromism)
を有することが知られており、ディスプレイや調光ガラ
スなどに応用されている。これらの材料をデバイスとし
て用いるには膜の作製が重要である。これまで、アモル
ファス酸化タングステンの膜作製方法としては、主に真
空蒸着法やスパッタ法が用いられてきた。しかしなが
ら、このような方法では、作業が煩雑であり、大面積の
表示面を作製することはコストの面からも困難であると
共に、電解液の漏洩防止が困難であるという問題があ
る。また、色素としてビオロゲン類等を用いた分散型の
エレクトリッククロミック素子は、蒸着の煩雑さはない
ものの、有機材料であるため、紫外線に対して極端に劣
化し易く、電解液の漏洩を防止するのが困難であるとい
う問題がある。
【0003】このような問題を解決するものとして、例
えば特開昭63−104027号公報には、ゲル状の樹
脂にヘテロポリ酸を配合した組成物から成形された膜
を、エレクトロクロミック素子に用いることが提案され
ている。この場合には、電解液の漏洩という問題は解消
されたものの、ヘテロポリ酸は固体粉末であることか
ら、このものの樹脂中への分散が容易でないという難点
がある。
【0004】本発明者らは、このような従来の問題点を
解消するため、鋭意研究を重ね、この研究過程におい
て、塗布法を用いた膜に注目した。すなわち、近年、作
業が簡単であって、しかもコストの低い塗布法による膜
の作製が望まれており、塗布法を用いた膜に関する研究
も行なわれるようになっている。この塗布法を用いた膜
に関しては、上記アモルファス酸化タングステンと同じ
系の物質であるタングステン酸(H2 WO4 )が、ゲル
状態を取ることができ、しかもゲル化後は、アモルファ
ス酸化タングステンと同様にフォトクロミズムやエレク
トロクロミズムを示し、デバイスへの応用も期待できる
ことが知られている。
【0005】すなわち、タングステン酸の場合、ゾル−
ゲル法による膜の作製が考えられ、この方法によれば、
(1)ゲル化過程における環境を変化させることによ
り、容易にゲル化後の生成物の性質を操作することが可
能であり、(2)膜の作製を安価、容易に行なうことが
でき、大面積の膜の作製も可能であり、(3)試料の作
製は水溶液の状態で行なうため、複合体の作製が容易
で、均一にすることが可能であり、(4)比較的低温に
おける合成が可能であることから、有機・無機物質のハ
イブリッド化が可能であるなど、様々な利点があること
が判った。そこで本発明者らは、ゾル−ゲル法によるタ
ングステン酸膜の作製を行なったが、タングステン酸水
溶液を単に塗布したのでは、膜厚が厚いと乾燥時に収縮
による亀裂が入り、大面積の膜の製作が困難であった。
また、膜質がもろいという問題があった。
【0006】このため、本発明者らは、さらに研究を進
めた結果、ゾル−ゲル法の利点を生かし、バインダーと
して水溶性高分子物質を配合することにより、従来の問
題を解消しうることと、上記タングステン酸の他にモリ
ブデンやバナジウムなどの遷移金属の酸化物を用いても
同様にゲル複合膜が得られることを見出し、この知見に
基づいた出願を既に行なっている。本発明は、上記ゲル
複合膜を均一に、かつ、大きな面積に形成することが可
能であって、様々な大面積形状の光学素子等の製造を可
能とするゲル複合膜被覆シートを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、表面
改質された高分子化合物のフィルム又はシート上に、遷
移金属酸化物と水溶性高分子物質との混合物からなるゲ
ル複合膜が被覆されていることを特徴とするゲル複合膜
被覆シートを提供するものである。
【0008】ここでゲル複合膜は、上記の如く、遷移金
属酸化物と水溶性高分子物質との混合物からなるもので
ある。遷移金属酸化物としては、例えばWO3 ,MoO
3 ,V2 5 や、Nb2 5,TiO2 ,RbO2 ,I
rO3 ,MnO2 ,CoO3 ,FeO3 ,Zn(W
4 2 が挙げられ、特にWO3 ,MoO3 ,V2 5
が好ましい。また水溶性高分子物質としては、例えばポ
リエチレングリコール,ポリビニルアルコール,ポリア
クリルアミド,ポリ酢酸ビニル,ヒドロキシエチルメタ
クリレートなどが挙げられ、特にポリエチレングリコー
ル,ポリビニルアルコールが好ましい。とりわけフォト
クロミズムの著しい増感を有するポリエチレングリコー
ルがより好ましい。なお、ポリエチレングリコールとし
ては、分子量が5,000〜100,000 程度のものが好まし
い。また、ゲル複合膜の厚さは通常、0.2 〜 500μm、
好ましくは0.5 〜50μmである。
【0009】このようなゲル複合膜は、アモルファスの
酸化タングステン(WO3 )と全く同じフォトクロミズ
ムを示す。また、加熱によって消色することもアモルフ
ァスの酸化タングステン(WO3 )と同様である。この
ようなゲル複合膜は、例えば以下に示す方法により、効
率良く製造することができる。すなわち、ゾル−ゲル法
によるものであって、遷移金属酸化物の水溶液に水溶性
高分子物質を添加混合して得た混合水溶液を、製膜し、
乾燥してゲル化させる方法である。ここで遷移金属酸化
物の水溶液としては、例えばタングステン酸ナトリウム
などの遷移金属酸化物の塩の水溶液をイオン交換(Na
+ →H+ )したものを用いることができる。この遷移金
属酸化物の水溶液の濃度は0.3〜2.0モル/リット
ルが好ましく、特に0.5〜1.7モル/リットルであ
ることが好ましい。
【0010】この方法では、まず上記遷移金属酸化物の
水溶液に上記水溶性高分子物質を添加混合して、混合水
溶液を調製する。この場合の両者の混合割合は、遷移金
属酸化物の水溶液100重量部に対し、水溶性高分子物
質0.5〜100重量部、好ましくは、5〜50重量部
である。水溶性高分子物質の添加量が増大するほど、短
時間で着色し、かつ、消色するが、あまりに水溶性高分
子物質の添加量が多すぎると、膜が不均質となるため最
大100重量部程度とする。
【0011】なお、遷移金属酸化物の水溶液と水溶性高
分子物質との混合方法としては、特に限定はなく、通常
行なわれる方法でよく、例えば攪拌機などを用いて、1
0〜20分間程度行なえばよい。このように遷移金属酸
化物の水溶液に、水溶性高分子物質を添加することによ
り、乾燥時における収縮を抑制する(バインダーとして
機能する)とともに、遷移金属酸化物の水溶液を単独で
用いた場合に比し、フォトクロミズムを著しく増感させ
ることができる。
【0012】このようにして調製された混合水溶液を、
製膜し、乾燥してゲル化させることにより、(遷移金属
酸化物含有)ゲル複合膜を製造することができる。ゲル
複合膜の厚みは、通常、0.2〜500μm、好ましく
は0.5〜50μmである。このようにして得られるゲ
ル複合膜は、フォトクロミズムやエレクトロクロミズム
を示す。
【0013】本発明のゲル複合膜被覆シートは、このよ
うなゲル複合膜が、表面改質された高分子化合物のフィ
ルム又はシート上に被覆されていることを特徴とするも
のである。
【0014】ここで高分子化合物としては、例えばポリ
カーボネート,ポリエチレンテレフタレート,ポリエチ
レン,ポリプロピレン,ポリエーテルスルホン,ポリエ
ーテルニトリル,ポリエーテルエーテルケトン,ポリイ
ミド,ポリビニルアルコール,アクリルアミド,ポリ酢
酸ビニル,ヒドロキシエチルメタクリレートなどを挙げ
ることができる。
【0015】本発明においては、ゲル複合膜を被覆する
基材として、上記した如き高分子化合物のフィルム又は
シートであって、しかも表面改質されたものを用いる。
ここで表面改質する方法としては特に制限はなく、本発
明においては様々な方法により表面改質された高分子化
合物のフィルム又はシートを用いることができる。すな
わち、表面改質の仕方としては、一般に行なわれている
化学的処理であると、物理的処理であると、添加剤処理
であるとを問わない。化学的処理としては、例えば薬品
処理,溶剤処理,カップリング剤処理,モノマー・ポリ
マーコーティング,蒸気処理,表面グラフト化などが挙
げられる。また、物理的処理としては、例えば紫外線照
射処理,プラズマ接触処理,プラズマジェット処理,プ
ラズマ重合処理,イオンビーム処理,機械的処理などが
挙げられる。さらに、添加剤処理としては、例えば界面
活性物質(ポリメタクリル酸などの高分子電解質を含
む)を添加して行なう処理や無機材料を添加して行なう
処理などが挙げられる。さらに、これらの処理法を二以
上組み合わせて行なってもよい。なお、高分子化合物の
フィルム又はシートの厚みは特に制限はないが、通常、
10μm〜0.5mm、好ましくは50μm〜100μ
mである。
【0016】本発明のゲル複合膜被覆シートは、このよ
うな表面改質された高分子化合物のフィルム又はシート
上に、前記したゲル複合膜が被覆されているものであ
り、例えば上記の如くして調製された混合水溶液を、表
面改質された高分子化合物のフィルム又はシート上に塗
布し、次いで常温で乾燥するか、或いは熱風乾燥してゲ
ル化させることにより製造することができる。本発明で
用いる表面改質された高分子化合物のフィルム又はシー
トによれば、上記の如くして調製された混合水溶液を均
一に塗布・乾燥させることができる。この場合、前記し
たように、塗膜(ゲル複合膜)の厚さは0.2〜500
μm、好ましくは0.5〜50μmである。
【0017】本発明においては、高分子化合物のフィル
ム又はシートの表面改質を添加剤処理によって行ない、
その添加剤として高分子電解質の界面活性物質を用いれ
ば、エレクトロクロミズムデバイスを製造する場合に、
工程が簡略化され、非常に有用である。また、このよう
に高分子化合物のフィルム又はシートに、フォトクロミ
ズム材料(ゲル複合膜)を均一に大面積に製膜すること
ができるため、このフィルム又はシート上に電解物質や
電極を構成する物質等を配線,積層することにより、様
々な大面積形状の光学素子を製造することが可能となっ
た。例えば、シート状のフォトクロミズムデバイス,エ
レクトロクロミズムデバイス等である。このようにして
得られるフォトクロミズムデバイスは、適当な波長を有
する紫外線を照射することにより、速やかに発色(着
色)し、暗室に1〜100時間程度放置すると消色し、
ほぼ完全に透明となる。なお、エレクトロクロミック素
子は、透過型の素子の他、反射型の素子としても使用可
能である。このようにして得られるエレクトロクロミッ
ク素子は、電圧を印加することにより、速やかに発色
(着色)し、逆電圧をかけると速やかに消色し、ほぼ完
全に透明となる。
【0018】
【実施例】次に本発明を実施例により詳しく説明する。 実施例1 (1)タングステン酸ナトリウム水溶液を、イオン交換
樹脂を通してイオン交換(Na+ →H+ )することによ
り、タングステン酸水溶液を調製した。このタングステ
ン酸水溶液に、ポリエチレングリコール(PEG)(分
子量20,000)を20重量%の濃度となるように加えて混
合水溶液を調製した。 (2)一方、100×100×0.1mmのポリエチレ
ンテレフタレート(PET)フィルムを、プラズマ接触
処理装置(TOKYO VACUUM 社製のSUPE
R−COAT N250)を用いて、出力300W,処
理時間200秒の条件でプラズマ接触処理(物理的処
理)を行なって、表面改質した。 (3)上記(1)で得られた混合水溶液を、上記(2)
の表面改質処理を行なったPETフィルム上に、厚さ2
0〜30μmに塗布し、常温乾燥させた。 (4)常温乾燥された複合膜は、PETフィルム上に均
一に製膜されており、ひび割れ等の欠陥は生じなかっ
た。 (5)さらに、得られた複合膜被覆シートに弱い紫外線
(波長250nm程度)を照射したところ、速やかに着
色し、フォトクロミズムを示した。
【0019】実施例2 (1)タングステン酸ナトリウム水溶液を、イオン交換
樹脂を通してイオン交換(Na+ →H+ )することによ
り、タングステン酸水溶液を調製した。このタングステ
ン酸水溶液に、ポリエチレングリコール(PEG)(分
子量20,000)を20重量%の濃度となるように加えて混
合水溶液を調製した。 (2)一方、100×100×0.1mmのポリエチレ
ンテレフタレート(PET)フィルムを、水酸化ナトリ
ウムの10重量%水溶液を用いて薬品処理(化学的処
理)を行なって、表面改質した。具体的には、水酸化ナ
トリウムの10重量%水溶液をセパラブルフラスコに入
れ、温度を50℃に調整した。この水溶液中に前記PE
Tフィルムを入れ、30分間,60分間,90分間及び
120分間の各時間で表面改質処理した。各時間で表面
改質処理した後、充分に水洗を行ない、常温乾燥させ
た。 (3)上記(1)で得られた混合水溶液を、上記(2)
の表面改質処理を行なったPETフィルム上に、厚さ2
0〜30μmに塗布し、常温乾燥させた。 (4)常温乾燥された複合膜は、PETフィルム上に均
一に製膜されており、ひび割れ等の欠陥は生じなかっ
た。 (5)さらに、得られた複合膜被覆シートに弱い紫外線
(波長250nm程度)を照射したところ、速やかに着
色し、フォトクロミズムを示した。
【0020】比較例1 実施例1において、PETフィルムについて、プラズマ
接触処理(物理的処理)による表面改質処理を行なわな
かったこと以外は、実施例1と同様にして行なった。常
温乾燥された複合膜は、PETフィルム上にまばらな状
態となって製膜されており、かつ厚みが不均一なため
に、厚いところでは、ひび割れが生じた。さらに、得ら
れた複合膜被覆シートに弱い紫外線(波長250nm程
度)を照射したところ、ところどころが着色している状
態となった。
【0021】
【発明の作用・効果】本発明のゲル複合膜被覆シート
は、シートの表面に被覆されるゲル複合膜の作用によ
り、光や電圧により、変色したり、透過光量が変わる性
質(フォトクロミズムやエレクトロクロミズム)を有し
ている。このゲル複合膜は、遷移金属酸化物と水溶性高
分子物質との混合物からなるものであり、遷移金属酸化
物のみの場合よりも、はるかに応答が速く、しかも水溶
性高分子物質の添加量が増大する程、短時間で着色し、
かつ、消色する。これは水溶性高分子物質、特にポリエ
チレングリコールが、遷移金属酸化物の着色に要する活
性化エネルギーを低下させるためと考えられる。本発明
のゲル複合膜被覆シートによれば、上記ゲル複合膜を均
一に、かつ、大きな面積に形成することが可能であっ
て、様々な大面積形状の光学素子等の製造が可能であ
る。また、本発明のゲル複合膜被覆シートは、素子から
の液漏れという問題がない上に、紫外線による劣化とい
う問題がなく、優れた耐久性,安定性を有している。従
って、本発明のゲル複合膜被覆シートは、表示材料,光
制御素子等の素材として、産業上極めて有効に利用する
ことができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面改質された高分子化合物のフィルム
    又はシート上に、遷移金属酸化物と水溶性高分子物質と
    の混合物からなるゲル複合膜が被覆されていることを特
    徴とするゲル複合膜被覆シート。
  2. 【請求項2】 ゲル複合膜の膜厚が0.2〜500μm
    であるゲル複合膜被覆シート。
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