JP2849005B2 - フェノール樹脂成形材料 - Google Patents

フェノール樹脂成形材料

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフェノール樹脂成形材料
に関し、充填材の一部として熱硬化性樹脂硬化物の粉末
を使用することにより、特にドリル加工等における摩耗
特性、及び機械的強度の向上を図るものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、フェノール樹脂成形材料の充
填材として、有機質充填材においては、主として木粉が
使用され、その他、パルプ、有機繊維、布細片、熱可塑
性樹脂粉末などが用途に応じて使用されている。有機質
充填材の中で木粉など通常のものでは、機械的強度や電
気特性(特に煮沸後の特性)において十分とはいえず、
熱可塑性樹脂粉末や熱硬化性樹脂硬化物の粉末あるいは
無機質充填材を配合することにより上記特性の改良があ
る程度達成されている。しかしながら、熱可塑性樹脂粉
末では一般的には耐熱性が低下するので、その配合に限
界がある。更に、熱硬化性樹脂硬化物の粉末あるいはこ
れに木粉などを併用して成形収縮や電気特性を改良する
ことも試みられている(特開昭57−78444号公
報、特開昭59−105049号公報など)が、熱硬化
性樹脂硬化物の粉末では多量に使用すると、成形品が硬
く脆くなり、他の特性も余り向上しない。
【0003】一方、無機質充填材においては、炭酸カル
シウム、クレー、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウ
ム、ガラスなどの粉末、ガラス繊維などが使用されてい
る。無機質充填材はシリカ、アルミナ、ガラスなどの硬
質のもの、炭酸カルシウム、クレーなど比較的軟質のも
のがあり、用途や要求特性に応じて選択使用されている
が、一般的には、機械的強度、電気特性等において優れ
た性能を発揮する。無機質充填材は有機質充填材に比較
すれば硬く、ドリル加工や摺動時において、相手材(ド
リルや金属材料)を摩耗させることが問題となってい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、有機質充
填材及び無機質充填材を種々検討した結果、木粉などの
有機質充填材あるいは有機質充填材と無機質充填材とを
併用した場合に比較して、機械的強度が優れ、摩耗特
性、即ち成形品自体の摩耗が小さく、相手材を摩耗させ
ない成形材料を開発するに至ったものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、有機質充填材
と無機質充填材とを充填材とするフェノール樹脂成形材
料であって、有機質充填材と無機質充填材との割合が、
これらの合計量を100重量%として、60〜90重量
%対40〜10重量%であり、有機質充填材のうち熱硬
化性樹脂硬化物の粉末の量が10〜40重量%であり、
無機質充填材が炭酸カルシウム、タルク又はクレーであ
ることを特徴とするフェノール樹脂成形材料、に関する
ものである。本発明で用いられるフェノール樹脂は、ノ
ボラックでもレゾールでもよく、あるいはこれらを変性
したものでも使用することができる。また必要に応じ
て、これらの二種あるいは二種以上の併用も可能であ
る。
【0006】次に充填材について説明する。ここで、有
機質充填材は、熱硬化性樹脂硬化物の他、木粉、パル
プ、有機繊維、布細片、熱可塑性樹脂粉末などを用途に
応じて使用することができる。無機質充填材としては、
炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、アルミナ、
水酸化アルミニウム、ガラスなどを使用することができ
るが、本発明においては、摩耗特性を特に重視する観点
から軟質の炭酸カルシウム、タルク、クレーが使用され
。本発明の特徴のひとつは有機質充填材と無機質充填
材とを併用し、有機質充填材の一部として熱硬化性樹脂
硬化物の粉末を使用することである。熱硬化性樹脂硬化
物の粉末としては樹脂単独の硬化物粉末は勿論、熱硬化
性樹脂成形材料の硬化物、熱硬化性樹脂積層板あるいは
化粧板を粉砕したものも含まれる。熱硬化性樹脂として
は、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウ
レタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などであるが、フ
ェノール樹脂、メラミン樹脂及びエポキシ樹脂が一般的
である。
【0007】木粉など通常の有機質充填材の使用のみで
は成形品の硬度が十分でなく、寸法精度が良くなく、強
度、摩耗の点で満足なものが得られにくい。そこで、有
機質充填材の一部として熱硬化性樹脂硬化物の粉末を一
定量配合することによりこれらの欠点を大幅に改良する
ことができる。熱硬化性樹脂硬化物の粉末は他の有機質
充填材に比較して硬いが、鉄、アルミニウムなどの金属
よりは軟質であるので、ドリル加工や摺動時に相手材で
あるドリルや金属を摩耗させることがない。熱硬化性樹
脂硬化物の粉末の配合割合は、有機質充填材中10〜4
0重量%である。10重量%未満ではその配合の効果が
小さく、40重量%を越えると成形品が硬く脆くなり好
ましくない。
【0008】次に、上記のような有機質充填材とともに
無機質充填材を併用する。無機質充填材を併用すること
により強度、寸法精度、電気特性などが向上するが、そ
の使用量が多いと、成形品が硬くなり、ドリル加工や摺
動時に相手材であるドリルや金属を摩耗させる傾向があ
る。このため、無機質充填材としては前述のように炭酸
カルシウム、タルク、クレーが使用され、その配合量は
有機充填材及び無機充填材との合計に対して10〜40
重量%が好ましい。成形材料化の方法は、樹脂、充填
材、添加剤等のブレンド物をロール、コニーダ、押出し
機等を利用して、加熱溶融混練した後、ペレット化ある
いは冷却粉砕して材料化する方法が一般的である。上記
の如く得たフェノール樹脂成形材料は、射出成形など通
常の成形方法で加熱、加圧し硬化させることにより優れ
た強度、摩耗特性を有し、良好な電気特性、寸法精度を
もつ成形品を得ることができる。
【0009】
【実施例】次に本発明を実施例及び比較例に基づいて説
明する。ここで、「部」は「重量部」を示す。表1に示
す材料及び配合にて、加熱ロールにより加熱混練してフ
ェノール樹脂成形材料を製造した。比較例1は、充填材
として木粉と炭酸カルシウムを使用し、実施例と同様に
硬化促進剤である酸化マグネシウムを除いたものであ
る。比較例2は、比較例1において通常どおり酸化マグ
ネシウムを配合した場合である。各実施例及び比較例で
得られた成形材料について、耐摩耗性(ドリル摩耗指数)
及び曲げ強さを測定した。その結果を表1に示す。
【0010】
【表1】
【0011】[測定方法] (1) ドリル摩耗指数:ドリル刃回転数を 500rpm 、ドリ
ル刃下降速度を1mm/分とし、2mm厚のアルミニウム板
の穴あけ時におけるドリル刃の応力波形(A)を測定し、
このドリル刃を用いて同じ条件で3mm厚の実施例で得ら
れた成形材料からの試験片に10回穴をあける。再び2
mm厚のアルミニウム板に穴をあけ、この時のドリル刃の
応力波形(B)を測定する。ドリル摩耗指数は、ドリル刃
の応力波形(A)と(B)の比(A/B)で求めた。 (2) 曲げ強さ:JIS K 6911による 実施例1〜2で得られた成形材料については、高い曲げ
強度を保持しながら、非常に優れた摩耗特性を有する成
形品が得られる。比較例1は、曲げ強さが弱く、摩耗特
性も良くない。比較例2は、比較例1において酸化マグ
ネシウムを加えているので、曲げ強さは良好であるが、
摩耗特性が劣る。
【0012】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、本
発明のフェノール樹脂成形材料は、良好な曲げ強さを保
持しながら、摩耗特性の優れた成形品を得ることができ
る。従って、ドリル加工性が良好であり、摺動時におけ
る摩耗特性、成形時の金型摩耗などにおいても優れた性
能を発揮する。更に、電気特性、寸法精度も従来の成形
材料と同等以上である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機質充填材と無機質充填材とを充填材
    とするフェノール樹脂成形材料であって、有機質充填材
    と無機質充填材との割合が、これらの合計量を100重
    量%として、60〜90重量%対40〜10重量%であ
    り、有機質充填材のうち熱硬化性樹脂硬化物の粉末の量
    が10〜40重量%であり、無機質充填材が炭酸カルシ
    ウム、タルク又はクレーであることを特徴とするフェノ
    ール樹脂成形材料。
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JPS6094456A (ja) * 1983-10-27 1985-05-27 Matsushita Electric Works Ltd 封止用熱硬化性樹脂成形材料及びこれを用いて成形された電子部品

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