JP2848649B2 - 樹脂添加剤及びその製造法並びに樹脂組成物 - Google Patents

樹脂添加剤及びその製造法並びに樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はゼオライト粒子を非晶質化処理(改質)した
非晶質珪酸アルミニウム系の樹脂添加剤及びその製造法
並びにこれを配合した透明性に選れた樹脂組成物に関す
る。更に言えば、本発明に係る樹脂添加剤は特にポリオ
レィンやポリエステル等の透明な樹脂フィルムにおける
抗ブロッキング剤として有用なものである。
[従来の技術] 現在、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフ
ィンのフィルムに代表される透明フィルムは各種の包装
材料として広く用いられている。しかしながら、これら
の透明フィルムは粘着性があるため、フィルム同士が相
互に付着して剥離しにくくなる所謂ブロッキングを起こ
し易く、そのためフィルムの製造及びその高次加工にお
ける作業性を損なうのみならず、そのフィルムを使用し
て梱包や包装する場合にドラブルを生じ易い。
従って、通常、この種のフィルムは抗ブロッキング処
理がなされており、抗ブロッキング剤としてシリカ、ク
レー、炭酸カルシウム等の無機微粉末が知られている。
樹脂フィルムに抗ブロッキング性を付与するには、こ
れらの抗ブロッキング剤を樹脂中に配合すればよいが、
配合量が多くなると無機質粒子の影響でフィルムの透明
性が低下する。
これらの抗ブロッキング剤において、近時合成ゼオラ
イトがフィルムの透明性を損なうことなく優れた抗ブロ
ッキング性を付与するものとして開発された。
例えばゼオライトを抗ブロッキング剤とするポリプロ
ピレン組成物(特公昭52−16134号公報)、ゼオライト
を配合した不粘着性を有するプラスチックシートを製造
するための熱可塑性混合物(特開昭55−21496号公報)
あるいは特定の粒子状態のA型ゼオライトを配合した二
軸延伸フィルム用ポリオレフィン組成物(特開昭58−11
8221号公報)などが代表的に知られている。
係る合成ゼオライトはフィルムの透明性を損なうこと
なく抗ブロッキング性を付与するものとして優れている
が、結晶水を有するために、樹脂の成形、フィルム化の
際の加熱条件において、結晶水の蒸発離脱によりしばし
ばフィルムに気泡を生ずるという欠点がある。この欠点
を改善する手段として、ゼオライトを加熱脱水して所謂
活性化ゼオライトとする方法が考えられているが、活性
化ゼオライトは水を容易に再吸着してしまうので、実質
的には、フィルム化の際の水の影響を除くことが不可能
であった。
このようなことから、これを改善するものとしてゼオ
ライトを酸処理してゼオライトの形状や大きさなどの粒
子状態を保持した非晶質粒子は加熱脱水すると水の再吸
着が生じないところから、この無水非晶質珪酸アルミニ
ウムの抗ブロッキング剤が開発された(特開昭58−2130
31号公報、特開昭60−32886号公報、特開昭62−20537号
公報、特開昭62−135543号公報、特開昭63−57671号公
報、特開昭63−60103号公報、特開昭63−182212号公
報、特開昭63−256512号公報)。
[発明が解決しようとする課題] 樹脂フィルムの抗ブロッキング性と透明性との関係は
元来不透明な無機粉末を抗ブロッキング剤として使用す
る限りは矛盾するが、ゼオライトやそれを非晶質化した
珪酸アルミニウムは比較的透明性を損なうことがなこと
から実用されてきた。
しかしながら、ゼオライトや非晶質化した珪酸アルミ
ニウムは、その原体ゼオライトよりもフィルムの透明性
を損ない、この無水物はよりその傾向が強く、水による
樹脂加工の際、発泡トラブルの改善は期待できても前記
理由から不満足なものであった。
本発明は前記矛盾する二つの関係を矛盾することな
く、透明性、抗ブロッキング性を同時に満足する改善さ
れた非晶質珪酸アルミニウム系の樹脂添加剤、その工業
的な製造法及びこれを配合した樹脂組成物を提供するこ
とにある。
[課題を解決するための手段] 本発明者等は上記の事実に鑑み、ゼオライトの抗ブロ
ッキング剤としての優れた特性を生かしつつ、結晶水の
悪影響を排除すべく検討を重ねた結果、ゼオライトの陽
イオン(通常ナトリウム)をアルミニウムイオン及ぶ水
素イオンで同時に置換し、非晶質化せしめた珪酸アルミ
ニウムの加熱処理物が元のゼオライト粒子の形状及び大
きさをそのまま具備し、しかも水を再吸着しない事実を
知見し、その粒子性状と屈折率の故に透明性樹脂フィル
ムに対し優れた抗ブロッキング効果をもたらすことを知
見し、本発明を完成した。
すなわち、本発明が提供する樹脂添加剤は、ゼオライ
トのアルミニウム塩水溶液による非晶質化処理により得
られ、非晶質化処理前のゼオライトの粒子状態を実質的
に具備している非晶質珪酸アルミニウムであって、その
モル比SiO2/Al2O3の非晶質化処理前後の変化が 減少率(R)=(1−非晶質処理後のモル比/非晶質処理後のモル比)×100 として10〜50%の範囲にあり、且つ屈折率が1.45〜1.55
である非晶質珪酸アルミニウムよりなることを特徴とす
る。
ゼオライトは通常一般式 (1.0±0.2)M2O・Al2O3・xSiO2・yH2O(ただし、MはN
aまたはそれと当量の1価または多価金属を表し、xは
多くの場合1.5〜20の値であり、yは0〜10の値であ
る)で表される化学組成とX線回折によって識別するこ
とのできる独特な三次元結晶構造を有するアルミナ珪酸
塩であり、各種の天然品、合成品が知られている。
しかして、本発明に適用し得る改善前の原体ゼオライ
トは酸によって結晶構造が壊れ易いSiO2/Al2O3モル比が
5以下の比較的小さい種類のものであると共に平均粒子
径が0.1〜10μm(好ましくは0.5〜5μm)であり且つ
平均粒子径の1/2から3/2の範囲内の粒子径を有する粒子
が全体の少なくとも50重量%を占めるような粒度分布を
もつ均一微細なものであり、例えばA型ゼオライト、X
型ゼオライト、P型ゼオライト、ソーダライト、アラレ
サイム等が好適である。また、上記の粒度分布をもった
均一微細なゼオライト粒子は種々の方法で調製すること
ができるが、例えば特開昭57−3713号公報や特開昭57−
166311号公報の方法によって得られるA型ゼオライトや
X型ゼオライトのような合成ゼオライトは特は好適であ
る。
本発明に係る樹脂添加剤は係る合成ゼオライトを改質
して非晶質珪酸アルミニウムに転換したものであって、
この非晶質粒子は改質前のゼオライト粒子状態を破壊す
ることなく実質的に具備していることろに1つの特徴が
ある。
ここに実質的に具備しているというのは、後記の改質
によってゼオライトの結晶構造は破壊されて非晶質化し
ているにも拘わらず、元のゼオライトの基本的粒子状態
を維持するものである。従って、このことは改質前後の
二つの粒子を例えば電子顕微鏡観察により調べることが
でき、一次粒子の形状や大きさが改質前後で一見して変
わっていない似たような状態から改質条件の如何によっ
て微細な粒子が一次粒子表面に沈着された状態をいう。
従って、非晶質珪酸アルミニウムの粒子状態は、その
原体であるゼオライトのそれに依拠しているものであ
り、一次粒子の形状や大きさは勿論ゼオライトの前記粒
度分布も同様に具備したものとなっている。
樹脂への分散性を考慮すると一次粒子が球状ないし立
方体の角や稜が消失した実質的に球状粒子が好ましい。
なお、本発明で非晶質というのは、X線回折の回折図
において、回折線が全く認められないものから回折線の
強度が元のゼオライトの1/3以下に低下して実質的に非
晶質化しているものをいい、ゼオライトとは明確に区別
できるものである。
次に、本発明に係る樹脂添加剤は前記の非晶質珪酸ア
ルミニウムにおいて、モル比SiO2/Al2O3の改質前後の変
化が減少率(R)として10〜50%の範囲にあり、且つ屈
折率が1.45〜1.55を有することが第2の特徴となってい
る。
即ち、ゼオライトにおけるSiO2/Al2O3のモル比をM、
非晶質珪酸アルミニウムにおけるそのモル比をM′とす
ると改質前後の変化は次の一般式:R=(M−M′)/M×
100で表した場合、常にM′<Mの関係にあることが特
徴的であり、減少率(R)としては10〜50%の範囲とな
っている。この理由は非晶質珪酸アルミニウムの粒子状
態がゼオライトのそれを実質的に具備するための条件上
や屈折率と相互に関連して設定されたものである。
なお、非晶質珪酸アルミニウムのモル比M′は原体ゼ
オライトの種類や製造条件及び改質条件によって変化す
るが、多くの場合1.3〜3.0、好ましくは1.5〜2.5の範囲
となっている。
また、非晶質珪酸アルミニウムの屈折率は原体ゼオラ
イトのそれよりも常に大きく変化しており、1.45〜1.55
の範囲に調整されているところに特徴があり、この値は
ポリオレフィンやポリエステル等の通常の合成樹脂の屈
折率に近似しているので、樹脂に添加した場合、特にフ
ィルム化したときはその透明性を実質的に損なうことが
ない。
この非晶質珪酸アルミニウムはその性質上ゼオライト
の改質品であるため、含水または無水物を含むが、好ま
しくは実質上無水物であり、残留ナトリウムがNa2Oとし
て多くとも8重量%、好ましくは多くとも5重量%の範
囲内である。
ここで実質上無水物というのは後述するような加熱脱
水物を意味し、平衡水分は許容されることをいい、ま
た、一度無水物にすると、ゼオライトのように水を再吸
着して含水することはない。
また、この非晶質珪酸アルミニウムは後記する平衡pH
が7.5〜9.5、好ましくは8.0〜9.0の範囲にあるので、樹
脂に添加した場合、アルカリによる着色等の問題が生じ
ることはない。
更に、本発明に係る非晶質珪酸アルミニウムは多くの
場合、このもの自体で樹脂添加剤として好適に用いるこ
とができるけれども、必要に応じ使用目的によっては粒
子の表面処理を付加したものであってもよい。例えば濃
密で且つ微細な不定形シリカの連続的皮膜を付与したも
の、あるいはアルミニウム、チタン、ジルコニウム、ア
ンチモン等の微細な含水酸化物を沈積させたもの、微細
なシリカ粒子を介在させたもの、または界面活性剤やシ
ランカップリング剤、チタネートカップリング剤等で粒
子表面を処理したものが挙げられる。
本発明に係る非晶質珪酸アルミニウムは樹脂に対する
透明性に優れ、分散性も良好であるために、特徴的な樹
脂添加剤として適用でき、特に樹脂フィルムの抗フロッ
キング剤として好適であるが、係る樹脂添加剤は本発明
においてゼオライトの水性懸濁液とアルミニウム塩水溶
液とを混合して原体ゼオライトの粒子状態を破壊するこ
となく非晶質化処理することを特徴として製造すること
ができる。
前記のように、ゼオライトの改質を硫酸や塩酸の如き
酸で穏やかに中和することによりゼオライトの粒子状態
を破壊することなく非晶質化処理することは公知である
が、本発明ではアルミニウム塩水溶液にて非晶質化処理
するところに特徴がある。
ここで使用するアルミニウム塩としては、硫酸アルミ
ニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸ア
ルミニウム等が挙げられ、その添加量は最終製品の屈折
率を考慮すると、アルミニウムイオンとして原体ゼオラ
イトの陽イオン交換当量の50%以上が好ましい。
また、原料ゼオライトは非晶質珪酸アルミニウムが原
料ゼオライトの種類や粒子状態に大きく依存するので、
製造に際しては原料ゼオライトが適切なものであること
が最も重要であり、前記したようなものを選択すること
が必要である。
即ち、上記ゼオライト粒子を水中に分散させて水性懸
濁液(A液)、アルミニウム塩を水に溶解したアルミニ
ウム塩水溶液(B液)をそれぞれ調製し、常温または加
熱状態で両液を混合する。混合の方法は、(1)A液を
撹拌しながらB液を滴下する;(2)B液を撹拌しなが
らA液を滴下する;(3)A・B両液を同時に加えて撹
拌する、の何れでもよい。混合、反応の間、懸濁液のpH
は3.5〜5の範囲に保持する必要がある。pHが3.5未満に
なると、原体ゼオライト粒子の骨格が破壊されて、粒子
の形状や粒度分布が著しく変化したり、粒子全体が溶
解、消失したりしてしまい、また、pHが5より高いと、
ゼオライトの非晶質化が不充分であるばかりでなく、大
部分のアルミニウムイオンが水酸化アルミニウムとして
ゼオライト粒子表面に沈澱析出してしまうために好まし
くない。従って、混合、反応の際に必要に応じて酸また
はアルカリを添加して懸濁液のpHを調整する。
混合、反応終了後、通常の方法で固液分離及び洗浄を
行い、必要に応じて250℃以上、好ましくは300〜500℃
に温度に加熱、脱水処理を施し、粉砕、分級して製品と
して仕上げる。
なお、前記のような表面処理をこの操作の過程または
その後必要に応じ付加できることは言うまでもない。
このようにして得られる無水非晶質珪酸アルミニウム
は、X線回折からもゼオライトとは物性上明確に区別さ
れるもので、最早吸着能力を失っており、大気中の水分
を吸着して含水状態に戻ることはない。
本発明に係る樹脂添加剤が適用される合成樹脂は格別
限定はないけれども、特にポリオレフィン、ポリエステ
ル、ハロゲン含有ポリマー等が好適である。
ポリオレフィンとしては透明且つ結晶性の自己支持性
フィルムの形成能を有するものであれば特に限定される
ものではないが、例えば炭素数2〜12程度のα−アレフ
ィンの結晶性単独重合体あるいは二種以上の結晶性共重
合体、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
−4−メチルペンテン−1、エチレン−プロピレンラン
ダムまたはブロック共重合体、エチレン−プロピレン−
ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキセン共重
合体等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン
やプロピレン過半重量のプロピレンと他のα−オレフィ
ンの共重合体あるいはエチレンと他のα−オレフィンと
の共重合体が好ましい。
また、ポリエステルとは、テレフタル酸またはテレフ
タル酸ジアルキルエステルと一般式HO(CH3nOH(式
中、nは1〜10の整数を表す)で表される例えばエチレ
ングリコール、トリメチレングリコール、ヘキサメチン
レングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどのア
ルキルグリコールとの反応生成物である。このほかにテ
レフラル酸またはテレフタル酸ジアルキルと反応して線
状ポリエステルを与える他の官能性化合物はバラキシレ
ングリコール、ヒドロキノン及び環式グリコールであっ
てもよい。他の合成樹脂として6−ナイロン、6,6−ナ
イロンの如きポリアミド、ポリ塩化ビニルの如きハロゲ
ン含有樹脂にも適用できる。
本発明に係る樹脂添加剤を前記合成樹脂に配合すべき
使用量は樹脂の種類、フィルムや成形体など樹脂の用途
等によって一様ではないが、樹脂フィルムの抗ブロッキ
ング剤として使用する場合、樹脂100重量部に対して0.0
1〜1重量部が適当で、特に0.03〜0.5重量部が好まし
い。
この理由は0.01重量部未満にあっては添加量が少ない
ため目的とる効果の発現が不充分であると共に樹脂に配
合して均一に分散させる精度が低下するためであり、他
方、1重量部を越えるとフィルムの透明性を損なうと共
に添加量の割りには抗ブロッキング性が向上しないから
である。また、充填剤として使用する場合には、特に限
定はないが、多くの場合1〜30重量部の範囲が透明性を
確保できる点から実用的である。
本発明において、樹脂に使用される他の添加剤例えば
種々の酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、加工助剤、
着色料、帯電防止剤を使用できることは勿論であるが、
むしろ本発明に係る樹脂添加剤がそれらの添加剤の性能
をより助長して引き出す作用がしばしば見られる。
特に、本発明に係る無水珪酸アルミニウムを抗ブロッ
キング剤として配合した樹脂を用いると、通常の方法に
よって作業性よく、発泡のない透明性及び抗ブロッキン
グ性の良好なフィルムを製造することができる。
[作用] 本発明に係る樹脂添加剤はゼオライトの改質物で原体
ゼオライトの粒子状態を実質的に具備している粉末であ
るが、その結晶構造が破壊された実質的に非晶質粒子で
あること、回質前後においてモル比SiO2/Al2O3や屈折率
が変化しており、1.45〜1.55の屈折率を有するなど原体
ゼオライトとは物理化学的に改質された非晶質珪酸アル
ミニウムの粉末である。
このような改質の機構については詳細は不明である
が、ゼオライトとアルミニウム塩水溶液との混合により
反応系内のアルミニウムイオン及び水素イオン濃度の相
俟ってゼオライト構造中のナトリウムイオンを放出させ
る一方でアルミニウムイオンとの置換が穏やかに行われ
るため結晶の構造破壊のみが行われ、原体ゼオライトの
粒子状態は破壊されることなく実質的に具備したままで
非晶質化すると思われる。
従って、改質後は原体ゼオライトよりもアルミニウム
成分が富化して屈折率にも影響を与え、樹脂のそれに近
似してくる。
このようなゼオライトのもつ整粒された粒子特性と非
晶質珪酸アルミニウムの物性とが樹脂添加剤に配合した
場合、透明性を実質的に損なわないという基本的性能を
与え、特に樹脂フィルムのブロッキング作用は優れてい
る。
本発明に係る非晶質珪酸アルミニウムは原体ゼオライ
ト粒子の表面よりも若干粗であり、微粒子の沈積が認め
られるが、フィルムの抗ブロッキング剤としては有利に
作用する。
[実 施 例] 以下、実施例及び比較例を示し、本発明を更に具体的
に説明する。なお、実施例中の諸評価は次の試験によっ
て行った。
粒度分布 コールターカウンター(コールターエレクトロニクス
社製)を用い、アパチャーチューブ30μmで測定した。
組成分析 原子吸光光度法及びICP法によって分析した。
水分 試料1gを磁製ルツボに秤り取り、800℃で1時間加熱
し、その減量から求めた。
屈折率 Larsenの油浸法により測定した。
結晶性 X線回折法により測定し、結晶質を○、実質的に非晶
質を×印で表す。
平衡pH 試料粉末5gを蒸留水100mlに分散させ、25℃で30分撹
拌したのち、pHメーター(日立堀場社製M−5)で測定
した。
粒子状態 電子顕微鏡により観察する。改質後の粒子状態が原体
ゼオライトのそれとが実質的に変化していないものを
○、変化しているものを×印で表す。
実施例1 1ビーカーにナトリウムA型ゼオライト(原体Na−
A)100gを秤取り、水400ccを加えて撹拌し、濃度20重
量%のゼオライトスラリーを調製した。このスラリーの
pHは11.2であった。スラリーを撹拌しながら0.13モル硫
酸アルミニウム溶液500ccを添加後25℃で2時間撹拌を
続けた。スラリーのpHは硫酸アルミニウム溶液の添加に
より3.9まで急激に下降し、次いで徐々に上昇して2時
間撹拌後は5.0になった。
常法により過、水洗、乾燥、粉砕を行い、Na−Aゼ
オライトの硫酸アルミニウム溶液による処理物を得た。
次いで、処理物を温度400℃で1時間加熱して脱水し、
軽く粉砕することによってゼオライトを改質した樹脂添
加剤を得た。
得られた樹脂添加剤(試料1)及び原体Na−Aの粒子
状態を表す電子顕微鏡写真をそれぞれ第1図及び第2図
に示す。また、それらの物性と化学組成を測定した結果
を第1表にそれぞれ示す。
実施例2 実施例1と同じ原体Na−Aを使用し、0.13モル硫酸ア
ルミニウム溶液の代わりに0.3モル塩化アルミニウム溶
液を用いる以外は実施例1と全く同様の方法で樹脂添加
剤を得た。得られた樹脂添加剤(試料2)の物性と化学
組成を第1表に併記する。
実施例3 1ビーカーに0.16モル硫酸アルミニウム溶液(pH2.
9)を取り、撹拌しながら実施例1と全く同様に調製し
たゼオライトスラリー500gを加え、添加終了後温度60℃
に保ち、1時間撹拌を続けた。反応スラリーのpHはゼオ
ライト添加後、徐々に上昇し、1時間撹拌後は4.8にな
った。
常法により過、水洗した後、温度350℃で2時間加
熱脱水、粉砕を行い樹脂添加剤(試料3)を得た。得ら
れた樹脂添加剤の化学組成と物性を同様に第1表に併記
する。
比較例1 実施例1と同じ原体Na−Aを用い、0.13モル硫酸アル
ミニウム溶液の代わりに4重量%硫酸500ccを使用する
以外は実施例1と全く同様の方法で無水非晶質珪酸アル
ミニウム(試料4)を得た。得られた無水非晶質珪酸ア
ルミニウムの物性と化学組成を第1表に併記する。
実施例4 ナトリウムX型ゼオライト(モル比SiO2/Al2O3は2.
5、粒度は平均粒子径4.1μmで、且つ粒子径が2〜6μ
mの範囲内にある粒子が全体の83%を占めるもの)100g
を1ビーカーに取り、水400ccを加えて撹拌し、濃度2
0%のゼオライトスラリーを調製した。スラリーを撹拌
しながら0.3モル塩化アルミニウム溶液500ccを滴下した
後、25℃で2時間撹拌を継続した。反応スラリーのpHは
最終的に4.8を示した。次いで、常法により過、水
洗、乾燥及び粉砕を行い、ナトリウムX型ゼオライトの
塩化アルミニウム溶液による処理物を得た。
次いで、この処理物を400℃で1時間加熱・脱水した
後、軽く粉砕して樹脂添加剤(試料5)を得た。
実施例5 ナトリウムP型ゼオライト(モル比SiO2/Al2O3は2.
6、粒度は平均粒子径0.9μmで且つ0.5〜1.5μmの粒子
径を有する粒子が全体の68%を占めるもの)100gを2
ビーカーに取り、水1を加えて撹拌し、ゼオライトス
ラリーを調製した。スラリーを撹拌しながら0.16モル硝
酸アルミニウム溶液1を加えた後、25℃で2時間撹拌
を続けた。常法により過、水洗した後、更に350℃で
2時間加熱・脱水した後、粉砕して樹脂添加剤(試料
6)を得た。
以上、実施例4及び実施例5で得られた各樹脂添加剤
の物性を測定したところ第2表の結果が得られた。
実施例6〜15、比較例2〜8 上記各実施例で得られた樹脂添加剤と、比較として原
体Na−A、比較例1の無水珪酸アルミニウム及び市販の
抗ブロッキング剤用の合成シリカを用いて下記要領で二
軸延伸ポリプロピレンフィルム、及び直鎖状低密度ポリ
エチレン(LLDPE)のインフレーションフィルムを下記
の操作で製造し、それらの品質を評価した。
(1)二軸延伸ポリプロピレンフィルム フィルムの作成 メルトフローレートが1.9g/10分であるポリプロピレ
ン樹脂100重量部に酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチ
ル−p−クレゾール0.10重量部、イルガソックス1010を
0.05重量部、各種抗ブロッキング剤を第2表の通り添加
してスーパーミキサーで混合後、押出機でペレット化し
た。各ペレットを押出機を用いてシート状フィルムに
し、縦方向5倍、横方向10倍に逐次延伸して最終的に厚
さ30μmの延伸フィルムを得た。延伸フィルムの一面に
はコロナ放電処理を施した。これらの二軸延伸フィルム
について透明性、ブロッキング性及び発泡性を測定し、
その結果を第3表に示す。
フィルムの評価 フィルムの透明性はASTM−D−1003に準拠してフィル
ムを4枚重ねて測定した。
フィルムのブロッキング性は2枚のフィルムの接触面
積が1cm2となるように重ねて2枚のガラス板の間に置
き、50g/cm2の荷重を掛けて40℃の雰囲気中に7日間放
置後、ショッパー型試験機を用いて引張速度500mm/分に
て引きはがして、その最大荷重を読み取って評価した。
また、フィルムの発泡性は発泡の有無を目視観察する
ことによって評価した。
(2)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)インフレー
ションフィルム フィルムの作成 密度0.920g/cm2、メルトフローレート1.0g/10分のLLD
EP100重量部にエルシン酸アミド0.1重量部及び各種の抗
ブロッキング剤を第3表の通り加え、ヘンシェルミキサ
ーで混合したものを押出機でペレット化した。各ペレッ
トを二重エアスリットエアリングを用い、200℃でフィ
ルム厚み30μmに押出した。
このようにして得たフィルムの透明性、ブロッキング
性及び発泡性を測定した結果を第4表に示す。
フィルムの評価 透明性はASTM−D−1003に準拠して測定し、ブロッキ
ング性は2枚の成形フィルムを温度45℃、50g/cm2の荷
重下で24時間密着させた後、ショッパー型引張試験機を
用いて引張速度500mm/分の条件でフィルム接着面10cm2
を剪断的に引き剥がすに要する最大応力を測定した。
実施例16〜20、比較例9〜12 ポリ塩化ビニル[Zeon103EP:日本ゼオン(株)社製]
100重量部、DOP50重量部、液状バリウム・亜鉛系複合安
定剤[BZ−180P:(株)耕正社製]1.0重量部、バリウム
・亜鉛のステアレート[PSE−801:(株)耕正社製]1.0
重量部、エポキシ化大豆油3重量部及び充填剤として実
施例及び比較例または市販品の各種樹脂添加剤を配合し
た樹脂組成物を調製した。
次いで、170℃において5分間上記組成物を二本ロー
ルで混練した後、170℃で3分間プレスして40×70×2mm
の塩ビシートを作成した。
このシートの透明性及び充填剤の分散性を肉眼で観察
したところ、第5表の結果が得られた。
なお、透明性は充填剤を用いないブランクを1として
不透明の度合いを5段階で表し、5はシートの下の文字
が読み取れない程の不透明を表す。
また、分散度合いは、3段階で表し、1は分散性のよ
いもの、2は中間、3は劣るものとして表す。
[発明の効果] 本発明に係る樹脂添加剤は特定な非晶質珪酸アルミニ
ウムの無機粉体であるにも拘わらず、ポリオレフィンや
ポリエステル等の通常の合成樹脂に添加しても透明性を
損なうことがない。
該粉末のもつ特異な物性の故に充填剤としての使用は
勿論特に樹脂フィルムの抗ブロッキング剤として有用で
あり、これを配合した樹脂組成物は他の無機物を配合し
たものと比べ著しい透明性を示す。
また、本発明に係る製造法によれは、係る樹脂充填剤
を工業的に有利に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図はいずれも樹脂添加剤の粒子構造を示
す電子顕微鏡写真(5000倍)であり、第1図は実施例1
で得られた樹脂充填剤であり、第2図は実施例1の原体
ゼオライトのものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08L 101:00 (72)発明者 柏瀬 弘之 東京都江東区亀戸9丁目15番1号 日本 化学工業株式会社研究開発部内 (72)発明者 平松 恒之助 東京都中央区日本橋室町1丁目6番3号 株式会社耕正技術部内 (56)参考文献 特開 昭60−32836(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08K 3/00 - 13/08 C09C 1/00 - 3/12 C01B 33/20 - 33/46

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゼオライトのアルミニウム塩水溶液による
    非晶質化処理により得られ、非晶質化処理前のゼオライ
    トの粒子状態を実質的に具備している非晶質珪酸アルミ
    ニウムであって、そのモル比SiO2/Al2O3の非晶質化処理
    前後の変化が 減少率(R)=(1−非晶質処理後のモル比/非晶質処理後のモル比)×100 として10〜50%の範囲にあり、且つ屈折率が1.45〜1.55
    である非晶質珪酸アルミニウムよりなることを特徴とす
    る樹脂添加剤。
  2. 【請求項2】非晶質珪酸アルミニウムは、モル比SiO2/A
    l2O3が1.3〜3.0の範囲である請求項1記載の樹脂添加
    剤。
  3. 【請求項3】非晶質珪酸アルミニウムは平均粒子径(R
    50)が0.1〜10μmの範囲にあり、且つR50の1/2〜3/2の
    範囲の粒度分布が全体の少なくとも50重量%を占めるも
    のである請求項1または2記載の樹脂添加剤。
  4. 【請求項4】非晶質珪酸アルミニウムは実質的に無水物
    である請求項1ないし3のいずれか1項記載の樹脂添加
    剤。
  5. 【請求項5】非晶質珪酸アルミニウムはA型ゼオライト
    を非晶質化したものである請求項1ないし4のいずれか
    1項記載の樹脂添加剤。
  6. 【請求項6】請求項1ないし5のいずれか1項記載の樹
    脂添加剤よりなるフィルムの抗ブロッキング用の樹脂添
    加剤。
  7. 【請求項7】請求項1ないし5のいずか1項記載の樹脂
    添加剤と製造法において、原料ゼオライトの水性懸濁液
    とアルミニウム塩水溶液とを混合して原料ゼオライトの
    粒子状態を破壊することなく非晶質化処理して非晶質珪
    酸アルミニウムを得ることを特徴とする樹脂添加剤の製
    造法。
  8. 【請求項8】非晶質化処理は原料ゼオライトの水性懸濁
    液とアルミニウム塩水溶液との懸濁液のpHを3.5〜5の
    範囲に保持し且つアルミニウム塩水溶液をアルミニウム
    イオンとして原料ゼオライトが有する陽イオン交換当量
    の50%以上使用することにより行われる請求項7記載の
    樹脂添加剤の製造法。
  9. 【請求項9】請求項1ないし5のいずれか1項記載の樹
    脂添加剤を合成樹脂に添加配合させてなる合成樹脂組成
    物。
  10. 【請求項10】樹脂添加剤が合成樹脂100重量部当たり
    0.01〜30重量部の配合量である請求項9記載の合成樹脂
    組成物。
  11. 【請求項11】合成樹脂はポリオレフィン、ポリエステ
    ル、ポリアミド、ハロゲン含有樹脂から選ばれた1種ま
    たは2種以上である請求項9ないし10のいずれか1項記
    載の合成樹脂組成物。
  12. 【請求項12】請求項9ないし11のいずれか1項記載の
    合成樹脂組成物をフィルム加工してなる合成樹脂組成
    物。
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