JP2846037B2 - 金 型 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は射出成形その他各種成形に用いられる金型に
おいて、冷却性能を大幅に向上させた金型に関するもの
である。

（従来の技術） 射出成形において、金型内に充填された成形品を冷却
するため、金型に冷却媒体通路を設け、冷却水などを冷
却通路に流す方法が採用されている。その従来例を第10
図に示す。

第10図において、雄型53には冷却通路53i,53k,53l,53
jが設けられているが、これらの雄型の各冷却通路は金
型キャビティ４の形状に沿わないので、キャビティ４内
の成形品を均一に速く冷却することができない。一方雌
型52の冷却媒体通路52i,52k,52e,52f,52l,52jは金型キ
ャビティ４の形状に大略沿って設けられている。

（発明が解決しようとする課題） しかしこれらの通路は、型の外表面からドリル加工な
どにより円形の深い穴を明けて形成しているので、キャ
ビティ４の近くに自由に交差接続した冷却通路を設ける
ことは困難で、また円形断面の冷却通路は矩形断面のそ
れに比べて伝熱性能が悪く、キャビティ４内の成形品に
対する冷却能力が劣る。円形断面冷却通路が矩形断面冷
却通路に比べて伝熱性能が悪い理由は、第９図に示すよ
うに金型キャビティから冷却通路までの最短距離を、両
方の断面とも同じａにした時、矩形断面では１辺全部が
最短距離ａにあるのに対して、円形断面では最短距離ａ
は最も端の点Ｐのみであり、点Ｐからずれると段々と金
型キャビティからの距離が広がるからである。

以上のように、従来の金型では金型キャビティの近く
に同キャビティに沿って自由に冷却通路を設けることが
困難なため、成形品の冷却の際、温度分布が悪く、冷却
時間も長くかかるという問題があった。

本発明は前記従来の課題を解決して、金型キャビティ
の近くに同キャビティに沿って自由に冷却通路を設ける
ことができ、これにより冷却又は加熱性能の良い金型を
提供しようとするものである。

（課題を解決するための手段） このため本発明は、裏面が金型キャビティに沿う形状
のキャビティ部材と、同キャビティ部材と一体に合わさ
る金型本体とよりなる金型であって、同金型本体とキャ
ビティ部材の一方又は双方に、両者の合せ面に沿って溝
長手方向に部分的に開口する任意断面の直彫り溝を設
け、同溝は出入口通路と連通させ、金型本体とキャビテ
ィ部材とを一体接合するようにしたもので、これを課題
解決のための手段とするものである。

（作用） 金型を構成するキャビティ部材と金型本体の合せ面
は、接合される前の状態の時はそれぞれ開放面となって
いるので、その表面に沿い任意の断面形状の溝加工が可
能である。即ち、キャビティ部材と金型本体を分離した
状態で、所望の溝加工を施した後、一体接合して金型を
構成すれば、金型キャビティに沿う任意断面形状の冷却
通路を構成することができる。

（実施例） 以下本発明を図面の実施例について説明すると、第１
図及び第２図に本発明の第１実施例を示す。なお、この
実施例は、第５図に斜視図にて示すような箱形状の湯槽
を成形する場合の雄型部を示したものである。

第１図は金型本体１の斜視図を示し、第３図（ａ）
は、金型本体１とキャビティ部材２を一体にした雄金型
３の状態における、第１図のＡ〜Ａ又はＢ〜Ｂ相当断面
を示し、第３図（ｂ）は第３図（ａ）のＣ〜Ｃ断面を示
す。また第２図（ａ）はキャビティ部材２の斜視図を示
し、第２図（ｂ）は第２図（ａ）のＤ〜Ｄ断面、第２図
（ｃ）は第２図（ａ）のＥ〜Ｅ断面を示す。

さてキャビティ部材２は成形品５の内壁面ｖ（第５
図）に相当するキャビティ面イ，ロ，ハ，ニ，ホ及びパ
ーティング面へよりなる表面と、キャビティ面イ，ロ，
ハ，ニに沿う裏面a,b,c,d,e及びｆ面よりなり、パーテ
ィング面形成部はキャビティ部材２の一種のツバ部を形
成している。また金型本体１は、一方の面がキャビティ
部材２の面a,b,c,d,e,fに対応する面A,B,C,D,E,Fを持つ
よう構成され、金型本体１とキャビティ部材２を一体的
に接合したとき、金型本体１のパーティング面ヘはキャ
ビティ部材２のパーティング面へと一致するよう構成さ
れる。

また金型本体１の表面A,B,C,D,Eには、例えば第３図
（ｂ）に示すような矩形断面の直彫り溝10が単数乃至複
数設けられ、同溝10は夫々入口通路11と出口通路12と連
通して冷却媒体通路20を形成している。なお、溝10は面
A,B,Cに対して横断的に設けるか、第１図のＤ面に設け
たように一面内を通路するように設けてもよい。またそ
の任意の組合せでもよく、或いはこれらの溝10をキャビ
ティ部材２の裏面に設けてもよい（第４図）。

第６図は前記第３図及び第４図の雄金型３と同様にこ
の溝10を雌金型30に適用して、一対の金型40とした場合
の実施例を示す。この場合は雌金型30のキャビティ部材
２がスプレーブッシュ21を有する他は、雄金型３につい
て述べた構成を備えている。

第７図は第４実施例を示し、夫々雄金型３又は雌金型
30のキャビティ部材２のツバ部3a及び30aを金型本体１
の外縁部まで延長して、入口通路11、出口通路12まで矩
形断面などで自由に溝加工できるようにしたものであ
る。

第８図は冷却通路20の取り方の他の例（第５実施例）
を示すものである。本実施例によれば任意の冷却通路網
を形成できることが分る。

また以上の冷却性能に関する記述は、金型のウォーミ
ングアップに際し、冷却媒体を加熱媒体に置き換えれ
ば、加熱性能についても同様に機能することは当然であ
る。

（発明の効果） 以上詳細に説明した如く本発明は構成されているの
で、金型キャビティの近くにキャビティ形状に沿って、
矩形など伝熱効率の良い断面形状で、任意の冷却通路網
を形成できる。従って射出成形時の金型の冷却又は加熱
性能（能力と均一分布）を大幅に向上させ、その結果冷
却又は加熱時間の大幅短縮により成形品コストを低減で
きる。また成形品の均一冷却が可能なことから、型設計
も容易になり、生産性の向上を図ることができる。

以上の如く本発明では、金型本体とキャビティ部材と
の間に、金型本体かキャビティ板の片方或いは両方に流
路溝を加工し、その後で両者を接合するので、成形品キ
ャビティに沿って流路溝を加工することが容易であり、
かつ溝のシールも問題はない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１実施例を示す金型本体の斜視図、
第２図（ａ）は第１図におけるキャビティ部材の斜視
図、第２図（ｂ）は第２図（ａ）のＤ〜Ｄ断面図、第２
図（ｃ）は第２図（ａ）のＥ〜Ｅ断面図、第３図（ａ）
は第１図のＡ〜Ａ又はＢ〜Ｂ断面図、第３図（ｂ）は第
３図（ａ）のＣ〜Ｃ断面図、第４図（ａ）は第３図と異
なる実施例の金型の側断面図、第４図（ｂ）は第４図
（ａ）のＣ′〜Ｃ′断面図、第５図は第１図の金型によ
り成形された箱形状の浴槽の斜視図、第６図は本発明の
第３実施例に係る金型の側断面図、第７図は本発明の第
４実施例に係る金型の側断面図、第８図は本発明の第５
実施例に係る金型の斜視図、第９図は円形断面と矩形断
面の伝熱効率の違いを示す説明図、第10図は従来の金型
の１例を示す側断面図である。 図の主要部分の説明 １…金型本体 ２…キャビティ部材 ３…雄金型 ４…キャビティ 10…溝 11…入口通路 12…出口通路 20…冷却媒体通路 21…スプルーブッシュ 30…雌金型

フロントページの続き (56)参考文献 実願 昭56−48887号（実開 昭57− 162817号）の願書に添付した明細書及び 図面の内容を撮影したマイクロフィルム （ＪＰ，Ｕ) 実願 昭53−133101号（実開 昭55− 49881号）の願書に添付した明細書及び 図面の内容を撮影したマイクロフィルム （ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】裏面が金型キャビティに沿う形状のキャビ
   ティ部材と、同キャビティ部材と一体に合わさる金型本
   体とよりなる金型であって、同金型本体とキャビティ部
   材の一方又は双方に、両者の合せ面に沿って溝長手方向
   に部分的に開口する任意断面の直彫り溝を設け、同溝は
   出入口通路と連通させ、金型本体とキャビティ部材とを
   一体接合することを特徴とする金型。