JP2843953B2 - スプレイ・デポジット法を用いたディスク状プリフォ−ムの製造法 - Google Patents

スプレイ・デポジット法を用いたディスク状プリフォ−ムの製造法

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JP2843953B2 JP28383891A JP28383891A JP2843953B2 JP 2843953 B2 JP2843953 B2 JP 2843953B2 JP 28383891 A JP28383891 A JP 28383891A JP 28383891 A JP28383891 A JP 28383891A JP 2843953 B2 JP2843953 B2 JP 2843953B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スプレイ・デポジット
法を用いた大型のディスク状プリフォ−ムを製造する方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】周知のごとく、スプレイ・デ
ポジット法とは、溶融金属を不活性ガスによってアトマ
イズし、細かく粉砕された溶滴を飛行中に急冷凝固させ
てコレクタ−に堆積させてプリフォ−ム(素形材)を製
造する方法であって(例えば、特公昭54−29985
号公報、特公昭56−12220号公報、特開昭62−
161464号公報等参照)、普通鋳造法に比べ、急冷
凝固による均一なミクロ組織ができること、マクロ偏析
のないこと、および加工性・鍛造性が良好であること、
という長所を有している。また、このスプレイ・デポジ
ット法は、高密度のプリフォ−ムが得られること、しか
も生産性が高いこと、という長所を有している。
【0003】ところで、かかるスプレイ・デポジット法
では、溶融金属粒子を固液共存状態の温度まで急冷凝固
し、その後は比較的ゆっくりと冷却しており、前記長所
を発揮させるプリフォ−ムを得ようとすれば、かかる冷
却制御がきわめて重要になっている。すなわち、溶融金
属粒子の冷却は、大略、金属粒子の飛行中の急速冷却、
コレクタ−への堆積時の冷却、および堆積後つまりプリ
フォ−ムのゆっくりとした冷却の3つの段階で行われて
いるので、これらの各冷却の制御がきわめて重要となっ
ている。例えば、前掲の特公昭56−12220号公報
でも説明されているように、飛行中の冷却が適切に行わ
れず、コレクタ−に堆積された粒子が高温で殆ど溶融状
態であれば、普通鋳造法における収縮孔、すなわち、ひ
け巣や粗大組織の発生等がみられ、到底、高密度のプリ
フォ−ムは得られない。
【0004】ところが、飛行中の冷却が適切に行われて
も、堆積後の冷却、すなわち、プリフォ−ムの冷却は、
普通鋳造法と同様、遅い熱伝導によって行われるので、
プリフォ−ムによっては多くの残留熱量があって、大型
のプリフォ−ムでは前述の普通鋳造法におけるひけ巣等
の現象が発生する。すなわち、かかる現象を分析してみ
ると、細かく粉砕された溶滴、つまり噴霧粒子は、飛行
中適切な冷却が行われても、コレクタ−上では、各粒子
の冷却状態の相違により、溶融状態、半溶融状態および
凝固状態の3つの態様になって堆積されているので、プ
リフォ−ムが大型となれば、残留熱量もそれだけ多くな
り、しかも、前述のように堆積後はゆっくりと冷却され
ることから、プリフォ−ムの中心部と周辺部との温度差
が大きくなり、特に中心部は固液共存状態となってひけ
巣等が発生するものと考えられる。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は、かかる
問題点を解決するために創作されたもので、その要旨と
するところは、溶融金属を不活性ガスによってアトマイ
ズし、この細かく粉砕された溶滴を飛行中に急冷凝固さ
せ、これを、回転且つ後退するコレクタ−に順次堆積さ
せるスプレイ・デポジット法を用いたディスク状プリフ
ォ−ムの製造法において、前記溶滴のスプレイ流の方向
を、前記コレクタ−の回転軸方向に対し傾斜させると共
に、プリフォ−ムの回転中心部に向け、前記溶融金属と
同質の金属粉を吹き付けることを特徴とするスプレイ・
デポジット法を用いた大型のディスク状プリフォ−ムの
製造法にある。
【0006】
【実施例】本発明を添付図面に示す実施例装置により詳
細に述べる。図1は本発明の実施例装置の模式図、図2
はスプレイ・デポジットの時間とプリフォ−ムの高さと
温度分布との関係を示す線図で、(A)は従来法、
(B)は本実施例法である。図3は放冷時間とプリフォ
−ムの高さと温度分布との関係を示す線図で、(A)は
従来法、(B)は本実施例法である。
【0007】図1において、不図示のレ−ドルに収容さ
れた溶融金属は、一旦、タンディシュ1へ注湯され、タ
ンディシュ1の溶融金属2はノズルおよびディスク・ア
トマイザ(いずれも不図示)を介して、傾斜状のスプレ
イ流3となってコレクタ−4或いは突起4aに向け吹き
付けられる。一方、このコレクタ−4は回転と共に、デ
ィスク・アトマイザと堆積位置との間を一定に保持させ
るため後退させている。したがって、コレクタ−4の端
面には比較的大径のディスク状のプリフォ−ム5が順次
形成されて行く。そして、かかるスプレイ・デポジット
作業は、この微粉化粒子の酸化を防止するため、不活性
ガス雰囲気のチャンバ−6内で行われる。また、このス
プレイ流3はコレクタ−4によって捕捉され堆積されて
いくが、この時、堆積せずにこぼれ落ちたものはチャン
バ−6の底に落下するので、これを集めてサイクロン7
によって不活性ガスと分離して再び使用するようにして
いる。
【0008】以上の装置は、通常のスプレイ・デポジッ
ト装置であるが、本実施例装置では特にディスク状のプ
リフォ−ム5の回転中央部に向け、溶融金属2と同質の
金属粉8を吹き付けて、プリフォ−ム5の冷却を均一に
行っている。すなわち、チャンバ−6内には金属粉8を
収容するタンク9を設け、このタンク9に金属粉供給パ
イプ10を延設してプリフォ−ム5の中心部に向け開口
させ、ディスクアトマイザへのパイピングラインから分
岐した不活性ガスによって金属粉8を噴出させている。
そして、この金属粉供給パイプ10は図示のような矢印
a方向(スプレイ流に対して直交方向)に振動させて吹
き付けを均一にしている。この吹き付けられた金属粉8
も全てプリフォ−ム5の溶融部分に付着するのではな
く、チャンバ−6の底に落下するので、前述のサイクロ
ン7によって回収し、これを再び前記タンク9に戻して
使用するようにしている。すなわち、スプレイ流3の落
下分と合せてサイクロン7によって回収し、前記金属粉
収容タンク9に戻して使用するようしている。
【0009】したがって、本実施例では、タンディシュ
1内の溶融金属2はスプレイ流3となってコレクタ−4
に対し傾斜して吹き付けられて堆積する。そして、コレ
クタ−4は回転と共に後退しているので、ディスク状プ
リフォ−ム5が次々と形成される。このプリフォ−ム5
はこの周辺部では冷却が早く凝固されるが、回転中心部
では堆積後の冷却が遅いので、これを冷却するため、金
属粉供給パイプ10から金属粉8を、このディスク状プ
リフォ−ム5の中心部に向け吹き付けている。したがっ
て、プリフォ−ム5の堆積後の冷却は略均一に行われる
ので、有害なひけ巣などが発生することはない。
【0010】プリフォ−ム5における、かかる冷却状態
を実験例で説明すれば、次のようである。図2はスプレ
イ・デポジットする時間Tとデポジットにより成形され
る状態の高さ(厚さ)Hとプリフォ−ムにおける温度分
布との関係を示す線図であるが、Lはデポジットライン
を示し、図示から明らかなように本実験では、45秒間
のスプレイ時間で高さ約16mmのプリフォ−ムが成形で
きる性能を有している。そして、本合金のプリフォ−ム
の場合、約1290℃で凝固状態Solid 、これ以上の温
度で半溶融状態Rとなっているが、従来法では、図2
(A)に示すようにプリフォ−ムの高さが大となれば、
つまり大型のプリフォ−ムに成形すれば、半溶融状態R
の領域がきわめて大きく、特に、1330℃以上の領域
が極端に大きく占めている。これに対し本実施例法で
は、図2(B)に示すように各温度の領域が略均等な大
きさを占めるようになる。換言すれば本実施例では、高
温度の溶融状態の領域が少なくなる。したがって、ひけ
巣等は発生しない。
【0011】また、図3は放冷時間tと成形されたプリ
フォ−ムの高さhとプリフォ−ムにおける温度分布との
関係を示す線図であるが、従来法では、図3(A)に示
すように高さ16mmのプリフォ−ムでは、その中心部に
おける高温部分(1390℃〜1234℃)は300秒
の放冷後でも残存している。これに対し、本実施例法で
は、図3(B)に示すように、中心部と周辺部とが略均
一な温度となり、300秒の放冷後では高温部分がなく
なっている。なお、本実施例法では、コレクタ−を水平
状に配置して、スプレイ流を斜めに吹き付けているが、
本発明はこれに限らず、コレクタ−を傾斜して配置し、
スプレイ流を垂直状にして吹き付けてもよい。
【0012】
【発明の効果】本発明によれば、溶融金属のスプレイ流
をコレクタ−の回転軸方向に対し傾斜させて吹き付け、
しかも、溶融金属と同質の金属粉をプリフォ−ムの回転
中心部に吹き付けたので、プリフォ−ムを成形するスプ
レイ流には何ら支障なく、プリフォ−ムの中心部が冷却
されるので、プリフォ−ムの冷却が均一となってひけ巣
などが生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例装置の模式図である。
【図2】スプレイ・デポジットの時間と、プリフォ−ム
の高さと、温度分布との関係を示す線図で、(A)は従
来法、(B)は本実施例法である。
【図3】放冷時間と、プリフォ−ムの高さと、温度分布
と、の関係を示す線図で、(A)は従来法、(B)は本
実施例法である。
【符号の説明】
1…タンディシュ、2…溶融金属、3…スプレイ流、4
…コレクタ−、5…プリフォ−ム、8…金属粉

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融金属を不活性ガスによってアトマイ
    ズし、この細かく粉砕された溶滴を飛行中に急冷凝固さ
    せ、これを、回転且つ後退するコレクタ−に順次堆積さ
    せるスプレイ・デポジット法を用いたディスク状プリフ
    ォ−ムの製造法において、 前記溶滴のスプレイ流の方向を、前記コレクタ−の回転
    軸方向に対し傾斜させると共に、プリフォ−ムの回転中
    心部に向け、前記溶融金属と同質の金属粉を吹き付ける
    ことを特徴とするスプレイ・デポジット法を用いた大型
    のディスク状プリフォ−ムの製造法。
JP28383891A 1991-10-03 1991-10-03 スプレイ・デポジット法を用いたディスク状プリフォ−ムの製造法 Expired - Lifetime JP2843953B2 (ja)

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