JP2843751B2 - 搬送ローラ - Google Patents

搬送ローラ

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JP2843751B2
JP2843751B2 JP6014038A JP1403894A JP2843751B2 JP 2843751 B2 JP2843751 B2 JP 2843751B2 JP 6014038 A JP6014038 A JP 6014038A JP 1403894 A JP1403894 A JP 1403894A JP 2843751 B2 JP2843751 B2 JP 2843751B2
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充彦 富田
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  • Registering, Tensioning, Guiding Webs, And Rollers Therefor (AREA)
  • Handling Of Cut Paper (AREA)
  • Handling Of Continuous Sheets Of Paper (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は搬送ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】長期に渡って、かつ多量に紙の搬送がな
されるファックス、プリンター等の事務用機器におい
て、プリント用紙の搬送は図5に示されるような搬送ロ
ーラ50によって行われるのが一般的である。この搬送
ローラ50は、ローラと用紙との間に生ずる摩擦力によ
って用紙を搬送するものであるため、従来ゴムやポリウ
レタン等の摩擦力の高い材質によってローラ本体51が
形成されることが多かった。符号52は、金属製のシャ
フトである。
【0003】しかし、ローラ本体51が弾性体からなる
搬送ローラ50にあっては、長期かつ多量の紙搬送によ
りローラ本体51表面が磨耗したり、低温での使用時に
ローラ本体51の硬度が増大して摩擦力が低下し、紙の
搬送不具合を生じることがある。しかも、前記弾性体は
高い寸法精度が得難い問題もある。また、紙の搬送に関
する重要な要件の1つである、紙とローラ50との接触
幅(紙の搬送方向に沿う幅を言い、ニップと称される)
を充分確保するために、ローラ本体51を低硬度にする
必要があるが、紙搬送に必要な表面摩擦力および耐磨耗
性の点から材質的に限界があった。
【0004】また、図6に示すような、金属の剛体から
なるローラ本体61と、その外周面にバインダー62を
介して付着されたセラミックス系粒子63とからなる搬
送ローラ60も提案されている。64はシャフトであ
る。
【0005】この搬送ローラ60によれば、表面のセラ
ミックス系粒子63が紙に食い込むため確実な紙搬送を
行なうことができる。加えて、セラミックス系粒子63
は高い耐磨耗性を有し、しかも温度変化によって形状変
化しないため、ローラ60自体の耐久性も高くなり、か
つ温度に影響されることのない安定した紙搬送力を得る
ことができる。
【0006】しかし、この搬送ローラ60にあっては、
ローラ本体61が金属の剛体からなって変形しないた
め、前記ニップを充分に確保し難い。そのため、搬送ロ
ーラ60の他にバックアップローラを設けるなど、搬送
ローラ60に高い押圧力を持たせるための機構を別途設
けて前記ニップ不足を補う必要が生じ、構造が複雑にな
ったり、搬送ローラ60を回転させるためのモーターの
負荷が増大したりする等、設計上の負担が大きくなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、前記の問
題点に鑑み提案されたものであって、バックアップロー
ラ等の特別な機構を設けることなく充分なニップを確保
でき、しかも高い耐磨耗性を有し、かつ温度変化による
影響も少なく、滑りやすい用紙でも安定して確実に搬送
することができる搬送ローラを提案しようとするもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】 すなわち、この発明
は、紙を押圧しながら回転することにより当該紙を搬送
する搬送ローラにおいて、シャフトの挿通される断面円
形のローラ本体と、前記ローラ本体の外周面に設けられ
た弾性体層と、前記弾性体層の外周面にバインダーを介
して付着されたセラミックス系粒子とからなり、前記紙
との接触部位で弾性体層が変形して紙に対する搬送ロー
ラ外周面のニップが大になるようにしたことを特徴とす
る。
【0009】
【作用】搬送ローラは、表面のセラミックス系粒子が紙
に食い込みながら回転するため、紙に対するグリップ力
が大きく、確実に紙を搬送する。また、セラミックス系
粒子とローラ本体間に存在する弾性体層が、紙に対する
搬送ローラの押圧により、紙との接触部位で搬送ローラ
内方へ変形して搬送ローラ外周面における紙との接触部
分が増大し、搬送ローラの紙に対するニップが充分なも
のになる。
【0010】しかもセラミックス系粒子は、温度による
硬度変化が少なく、耐磨耗性も優れるため、温度による
影響を殆ど受けることなく、長期間に渡って安定した紙
搬送を行なうことができる。更に、たとえセラミックス
系粒子が磨耗してグリップ力が低下しても、そのセラミ
ックス系粒子よりも内側の弾性体層によって、前記のよ
うに充分なニップが確保されるため、グリップ力の低下
分が補われて紙搬送が確実になされる。
【0011】
【実施例】以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説
明する。図1はこの発明の搬送ローラの一例を示す断面
図、図2はその他の例を示す断面図、図3はこの発明品
の使用状態を示す部分断面図、図4はそのセラミックス
系粒子が磨耗した状態を示す部分断面図である。
【0012】図1に示したように、この実施例における
搬送ローラ10は、ローラ本体11と、弾性体20とセ
ラミックス系粒子30から構成される。
【0013】ローラ本体11は、剛体または弾性体から
成形された断面が円形のもので、搬送する紙等の幅に応
じて適宜決定された長さを有する。一例として、直径2
0mm、長さ20mmのものを挙げる。
【0014】前記ローラ本体11を構成する剛体として
は、アルミニウム、鉄、ステンレス及び真鍮等の金属
材、あるいはガラス繊維、カーボングラファイト等によ
り強化された樹脂材等、線膨張係数の小さいものが挙げ
られる。特に、この剛体からローラ本体11を構成した
場合には、線膨張係数が小さいため、寸法精度の高い搬
送ローラ10が得られる。
【0015】一方、前記ローラ本体11を構成する弾性
体としては、ゴム、ポリウレタン、熱可塑性エラストマ
ー等の非発泡若しくは発泡した弾性体が挙げられる。な
お、このローラ本体11の中心には、ステンレス等の金
属あるいはガラス繊維強化樹脂等からなるシャフト12
が挿通される。
【0016】弾性体層20は、ゴム、ポリウレタン、
可塑性エラストマー等の非発泡若しくは発泡した弾力性
を有する材質によって、前記ローラ本体11外周に、所
定の厚みで設けられる。
【0017】セラミックス系粒子30は、アルミナ、酸
化クロム、シリカ、酸化セリウム、チタニア、ムライ
ト、カーバイト等のような、高い耐久性を有するものか
らなり、その大きさとしては1〜300μm程度が最適
である。
【0018】このセラミックス系粒子30は、シアノア
クリレート、エポキシ等の有機樹脂またはムライト、コ
ージエライト等の低融点セラミックス系バインダー35
によって、前記弾性体層20の外周面に満遍なく、所定
の密度で付着される。その際の粒子付着密度としては、
1〜100mg/cm2 程度が好適である。
【0019】なお、バインダー35による前記セラミッ
クス系粒子30の付着方法としては、粉体塗装、静電塗
装、ローラコーティング等が一般的であるが、所望メッ
シュの金網を通して規則正しく並べたセラミックス系粒
子の上に、外周面にバインダーを付着したローラ本体を
転がしてもよい。その際には、セラミックス系粒子30
がバインダー35から外部へ突出するようにして付着さ
せる必要がある。
【0020】図2は、他の実施例の搬送ローラ40の断
面図である。この実施例の搬送ローラ40は、剛体から
なるローラ本体41を、肉抜きの中空体で構成したもの
で、その他は前記図1の実施例と同じ構成からなる。こ
の搬送ローラ40にあっては、前記肉抜きにより軽量化
が図られる。符号42はシャフト、43は弾性体層、4
4はバインダー、45はセラミックス系粒子である。
【0021】図3は、前記搬送ローラ10による紙搬送
時を示す部分断面図である。この図からも明らかなよう
に、この搬送ローラ10においては、セラミックス系粒
子30が紙Pへ食い込むことによって生じるグリップ力
に加え、紙Pとの接触部で弾性体20が変形して大なる
ニップaが得られるため、非常に高い紙搬送力が確保さ
れる。
【0022】また、長期の使用等によって、図4のよう
にセラミックス系粒子30が磨耗してグリップ力が低下
した場合でも、大なるニップaにより前記グリップ力の
低下が補われるため、充分な紙搬送力が維持される。
【0023】次に、図6に示した前記従来品と、図2に
示した本発明品について、以下のようにして初期摩擦係
数(μs)と20万枚ランニング耐久試験を行なった。
【0024】・従来品の構成 シャフト:無電解ニッケルメッキを施した直径6mmのス
テンレス体 ローラ本体:アルミニウム、直径20mm、 バインダー:Al2 3 ・SiO2 、厚み7μm セラミックス系粒子:SiO2 、平均粒径200μm、
付着密度10mg/cm2
【0025】・本発明品の構成 シャフト:無電解ニッケルメッキを施した直径6mmのス
テンレス体 ローラ本体:ガラス繊維強化ポリアセタール樹脂、直径
14mm 弾性体層:硬度30°のEPDM、厚み3mm バインダー:Al2 3 ・SiO2 、厚み7μm セラミックス系粒子:SiO2 、平均粒径200μm、
付着密度10mg/cm2
【0026】・測定条件 紙:標準紙 紙送り速度:50mm/s 押付荷重:300grf
【0027】前記条件の下で測定した初期摩擦係数(μ
s)は、従来品で2.2、本発明品で2.7であり、本
発明品において2割強の向上が見られた。一方、20万
枚ランニング耐久試験では、従来品が15万枚給送時点
からミスフィードが発生しだしたのに対し、本発明品で
は20万枚終了まで紙送りに対する不具合を生じなかっ
た。
【0028】また、20万枚ランニング耐久試験時に摩
擦係数(μ)の変化を調べたところ、従来品が10万枚
経過時点から摩擦係数が低下して、20万枚終了時には
1.0以下になったのに対し、本発明品では20万枚終
了時でも2.0を確保していた。この結果、本発明品
は、長期に渡って高い搬送力を発揮するのが判る。
【0029】さらに、20万枚ランニング耐久試験終了
時に搬送ローラの外径変化およびセラミックス系粒子の
磨耗について調べたところ、外径変化については従来品
および本発明品のいずれも約0.1mm縮小しており、セ
ラミックス系粒子の磨耗については、いずれも僅かな磨
耗が認められたが、本発明品の弾性体層におけるニップ
の効果が確認された。
【0030】
【発明の効果】以上図示し説明したように、この発明の
搬送ローラによれば、ローラ本体の外周面に設けた弾性
体層が、紙との接触部位で弾性変形して紙に対する搬送
ローラ外周面の接触部分が大になるため、バックアップ
ローラ等の機構を設けなくても紙等に対する充分なグリ
ップ力とニップを得ることができ、滑りやすい用紙に対
しても確実に搬送することができる。そのため、事務用
機器の紙搬送機構が複雑になるのを防ぐことができる。
【0031】また、この発明の搬送ローラにあっては、
磨耗しにくく耐久性に優れ、しかも低温時でも確実な紙
搬送を行なうことができる。さらに、ローラ本体を金属
等の線膨張係数の低い材質によって構成した場合には、
高い外径精度を得ることができ、正確な紙送りができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の搬送ローラの一例を示す断面図であ
る。
【図2】その他の例を示す断面図である。
【図3】この発明の搬送ローラの使用状態を示す部分断
面図である。
【図4】そのセラミックス系粒子が磨耗した状態を示す
部分断面図である。
【図5】搬送ローラの一例を示す斜視図である。
【図6】セラミックス系粒子を表面に設けた従来の搬送
ローラの断面図である。
【符号の説明】
10 搬送ローラ 11 ローラ本体 20 弾性体層 30 セラミックス系粒子 35 バインダー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B65H 5/06 B65H 27/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙を押圧しながら回転することにより当
    該紙を搬送する搬送ローラにおいて、シャフトの挿通さ
    れる断面円形のローラ本体と、前記ローラ本体の外周面
    に設けられた弾性体層と、前記弾性体層の外周面にバイ
    ンダーを介して付着されたセラミックス系粒子とからな
    り、前記紙との接触部位で弾性体層が変形して紙に対す
    る搬送ローラ外周面のニップが大になるようにしたこと
    を特徴とする搬送ローラ。
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