JP2843111B2 - 耐火金属酸化物被覆研摩材、および該研摩材より製作した砥石車 - Google Patents

耐火金属酸化物被覆研摩材、および該研摩材より製作した砥石車

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本発明は研摩材粒子、特に耐火金属酸化物被覆立方晶
窒化ホウ素に関する。また、本発明は該研摩材粒子によ
り製作した砥石車に関し、特に研摩材として耐火金属酸
化物被覆立方晶窒化オフ素粒子を含有するガラス質結合
砥石車に関する。
ダイヤモンドおよび立方晶窒化ホウ素などの研摩材粒
子に金属被膜を適用することにより研摩工具の各種マト
リックスにおける該粒子の保持力を改善できることは、
当業者に周知である。たとえば、米国特許第Re.31,883
号明細書には、30〜80重量%のニッケルで被覆した立方
晶窒化ホウ素が効果的な樹脂結合砥石車の製造に有用で
あることが開示されている。
英国特許第4,011,064号明細書には、被膜の組成が表
面被膜と立方晶窒化ホウ素粒子の間に介在する金属のホ
ウ素化合物と窒化化合物との混合物から金属にいたる組
成範囲を示し粗い薄葉片からなる被膜物を有する立方晶
窒化ホウ素粒子が記載されている。この明細書によれ
ば、金属酸化物で被った立方晶窒化ホウ素を還元性雰囲
気内で焼成して該被膜を窒化物およびホウ化物に転化す
るべきであるとされる。
米国特許第4,399,167号明細書は、125〜37μの金属粉
末を研摩材粒子と接触状態として金属粉末およびダイヤ
モンドまたは立方晶窒化ホウ素粒子から本質的になる混
合物を作成し、該混合物を非酸化性雰囲気中で該金属の
溶融点未満の温度で熱処理して該金属を該粒子上に沈着
させ、次に緩慢に焼結した塊を破砕して金属被覆研摩剤
粒子を回収する工程からなる、ダイヤモンドおよび立方
晶窒化ホウ素を金属被覆する方法に関する。
米国特許第3,528,788号明細書は、ダイヤモンド100部
に対しNi,Co,Ag,Cu,Mo,Ti,Al,Mn,Cd,Zn,Cr,V,Au,W,Feお
よびPt属の金属から選んだ金属を25〜275部の割合で被
覆したダイヤモンド粒子材料を埋め込んだ樹脂結合砥石
車を開示している。
金属結合をもったまたは鋸刃型のダイヤモンドの金属
マトリックス内での保持力は、粒子に隣接する内側層と
してチタンのごとき炭化物形成物質の層と外側層として
該炭化物形成物質と合金化する金属の層とからなる二十
層被膜を粒子に設けることにより、改善されることが知
られている。たとえば、米国特許第3,826,630号明細書
および第3,929,432号明細書に開示されている。
しかし、さらに改良した被覆研摩材粒子および該粒子
から製作した砥石車に対する要望は依然としてある。さ
らに、樹脂結合砥石車および金属結合砥石車において幾
多の改良が行れたにもかかわらず、ガラス質結合砥石車
特に研摩材料として立方晶窒化ホウ素を含有するガラス
質結合砥石車に関しては同様の進歩はなかった。
立方晶窒化ホウ素を含有するガラス質結合砥石車は精
密研削および型研削において鋼の研削速度が高く非常に
効果的である。不幸にして、結合マトリックスの作成に
使用する在来のガラスフリットは立方晶窒化ホウ素を攻
撃しふくらみおよびくぼみ現象を生起する。このたび、
立方晶窒化ホウ素研摩材粒子を耐火金属酸化物被膜で被
覆することにより先行技術のガラス質結合砥石車の欠点
を克服することができることを発見した。
発明の要約 本発明の目的は耐火金属酸化物被覆研摩材粒子を提供
することである。
本発明のもう一つの目的は、砥石車のガラス質結合マ
トリックスによる攻撃に対して抵抗力が向上している被
覆立方晶窒化ホウ素粒子を提供することである。
本発明のさらなる目的は、改良されたガラス質結合砥
石車を提供することである。
本発明の一つの側面によれば、耐火金属酸化物被膜を
保有する研摩材粒子が提供される。好ましくは、耐火金
属酸化物被膜は研摩材粒子の重量の少くとも約20重量%
を構成し、さらに好ましくは耐火金属酸化物は研摩材粒
子の約25〜約50重量%の重量を構成する。
耐火金属酸化物被膜は研摩材粒子にそのまま施してよ
いし、あるいはたとえば元素状金属または金属塩のごと
きその他の前駆物質被覆を転化してその場で形成しても
よい。
二酸化チタンが最も好ましい被膜材料であるが、ジル
コニア、アルミナ、シリカ、またはアルカリガラスに徐
々に溶解するその他の物質を本発明の実施に用いること
ができる。
本発明の以下の説明は立方晶窒化ホウ素粒子およびガ
ラス質結合砥石車に関するが、本発明は限定するつもり
でなくたとえばダイヤモンドおよび炭化ケイ素のごとき
その他の研摩材料並びにその他の結合マトリックスにも
適用できるものと理解されねばならない。
発明の説明 アルカリ金属酸化物は大多数のガラス質結合径におい
て重要な成分である。アルカリ金属酸化物はガラスの作
業温度を低下させ、それによって主要ガラス形成成分で
あるシリカで通常可能な温度より低い温度での処理を容
易化する。これらの一般に用いられているフラックスは
立方晶窒化ホウ素を攻撃してアルカリホウ酸塩を形成す
るとともに、水が存在する場合には主に窒素と幾分のア
ンモニアを含む多量の気体を同時に発生する。これらの
現象は希望する砥石車の形状にふくらみやくぼみを生ず
ることとなる。
従って、本発明は立方晶窒化ホウ素などの研摩材粒子
の表面に、ガラス質結合砥石車の結合マトリックスによ
る該立方晶窒化ホウ素に対する攻撃を実質的に防止する
に効果のある量の耐火金属酸化物を沈着させてなる研摩
材粒子を提供する。
立方晶窒化ホウ素の他に、本発明はダイヤモンド、お
よび炭化ケイ素などの一般の研摩材料の保護並びに充填
材等にも適用する。本発明の実施において有用な粒子寸
法は特に制限はないが、当業者ならば多くの実験をする
までもなく容易に決めることができる。
好ましい耐火金属酸化物被膜はチタニア(TiO2)、ジ
ルコニア(ZrO2)、アルミナ(Al2O3)およびシリカ(S
iO2)であるが、研摩材粒子への攻撃を実質的に防ぐに
効果のあるその他すべての耐火金属酸化物被膜が本発明
の範囲内に含まれる。前述のごとく、被膜の選択におけ
る最も重要な判断基準は該被覆膜がアルカリガラス内で
徐々に溶解することである。
耐火金属酸化物により提供される保護はガラス質結合
砥石車の全焼成工程にわたって存在し続ける必要はな
い。むしろ、化学的腐食が最も起こりやすい期間に該当
する高温度製造工程において存在し続ければよい。
耐火金属酸化物保護被膜は多くの方法により形成する
ことができ、たとえば粒子に酸化物を直接施こし、ある
いは元素状金属またはその他の金属酸化物前駆物質を砥
石車の製作工程において転化することにより、形成する
ことができる。
金属酸化物を粒子上に沈着させる場合、当業で知られ
ているいずれの方法を用いることもできるが、たとえば
前駆物質としての金属を蒸発させ次に酸化させる方法を
用いることができる。好ましくは、このような耐火金属
酸化物被膜は平均して少くとも研摩材粒子の約20重量%
を構成し、さらに好ましくは平均して研摩材粒子の約25
〜約50重量%を構成する。
本発明の実施において最も実際的な方法といえば、そ
の場で被膜を形成する方法、たとえばシュウ酸エチルチ
タニル、ケイ酸エチル等の非金属前駆物質を転化する方
法がある。このような方法を採用した場合、被膜は酸化
雰囲気内で砥石車を焼成する間に金属酸化物に転化され
るであろう。
非金属前駆物質被膜は、研摩材粒子をその表面を接合
材で濡らした状態で希望する前駆物質の微細な粉末中で
混合するなどの都合のよい方法で設けることができる。
もちろん、このような非金属前駆物質被覆は、それが金
属酸化物に転化した場合において平均で研摩材粒子の少
くとも約20重量%、さらに好ましくは平均で研摩材粒子
の約25〜約50重量%を構成しなければならない。
現在、本発明を実施する最も好ましい態様は、金属
(最も好ましくは金属チタン)をその元素の形態で施こ
し、次にガラス質結合砥石車を焼成するときにそれを金
属酸化当物に転化する方法であると考えられる。金属チ
タンは焼成工程において急速に酸化するが適切に存続す
るので特に好ましい。さらに、酸化チタン被膜の膨張系
数が該金属の膨張係数より立方晶窒化ホウ素の膨張系数
に近い。従って、チタンは金属より約7%だけ大きい体
積を保有する比較的粘着性の酸化物被膜を形成するだけ
でなく、熱膨張による全成長が中庸な酸化物被膜を形成
する。
対照的に、ニッケルとクロムのそれぞれの酸化物との
密度の差異はそれぞれ31%、36%である。従って、酸化
が行れたときにかかる被膜は多孔質となり立方晶酸化ホ
ウ素粒基体に適合しないだろう。酸化が行れず金属状態
が維持されるならば、立方晶窒化ホウ素と該金属との間
には熱膨張系数に大きな差があるので加熱により被膜は
脱落するであろう。
元素状態金属被膜は、慣用技術、たとえば米国特許第
3,351,543号明細書に記載のカソードスパッタリング法
または米国特許第2,746,888号明細書に記載の塩浴によ
る方法で設けることができる(上記のいずれの方法も引
用により本明細書中に包含される)。繰り返して言う
と、金属被膜は、金属被膜が金属酸化物に転化されたと
き好ましくは平均で研摩材粒子の少くとも約20重量%、
さらに好ましくは平均で研摩粒子の約25〜約50重量%を
構成しなければならない。
耐火金属被覆粒子は特にガラス質結合砥石車に用いる
ように考慮されているが、このような耐火金属酸化物被
覆粒子の使用にかかわる効果は金属結合および樹脂結合
砥石車などに用いられるその他の結合マトリックスにお
いても期待される。ガラス質結合砥石車、金属結合砥石
車および樹脂結合砥石車の製造は当業界では周知であり
広く文献に述べられているのでさらなる説明はここでし
ない。
実施例 以下の実施例により本発明およびその実施を説明する
が、限定を意図するものではない。特に指示しないかぎ
り、すべての部は重量部である。
[実施例1] 230/270メッシュの立方晶窒化ホウ素10gを55%のkC
l、40%のNaClおよび5%のCaCl2からなる塩の混合物50
gと混合する。−400メッシュの金属チタン粉末5gを該混
合物に加えて、すべてを磁性るつぼ内でアルゴン雰囲気
中で830℃に3時間加熱して溶融する。冷却し凝固され
た後、塩および過剰のチタンを水による浸出およびデカ
ンテーションにより洗い流す。残っているすべてのチタ
ン粉末は立方晶窒化ホウ素の表面から立方晶窒化ホウ素
の径より小さい目のふるい上で洗浄して除去する。
この処理により230/270メッシュ立方晶窒化ホウ素上
に25〜30重量%の金属チタン被膜が形成される。目的は
約2μ厚さの金属チタンである前駆物質被膜を沈着させ
ることであることを理解しなければならない。これは立
方晶窒化ホウ素の粒子寸法および表面粗さによってかか
る被膜の形成に必要となる金属の重さは異なることを意
味する。
さらに、チタンの沈着の量と速度は浴温度、組成、お
よび用いるチタン粉末の粒子径によっても異なるであろ
うことを認識しなければならない。つまり、上記の例は
希望する厚さを得るために必要な諸条件を説明するだけ
のものである。所定の材料と処理装置との組合わせにお
いて実験を行うことにより、砥石車製造工程により規定
される焼結条件下で存在し続けるであろう被膜厚さを得
なければならない。
[実施例2] チタンを同一寸法のジルコニウム粉末で代替する以外
は実施例1の繰返しである。ジルコニウムの密度はチタ
ンのそれの約1.4倍なので、沈着金属の重量を同比率で
増加して所定の寸法および表面粗さをもった粒子上に同
じ厚さの被膜を形成しなければならない。
[実施例3] プラスチック部品にアルミニウム装飾を蒸着させるた
めに用いる市販の金属蒸発装置内の振動トレーに立方晶
窒化ホウ素を乗せる。使用する装置について推奨された
固有の手順に従ってアルミニウムを蒸発させる。振動さ
れる粒子は転がりそのすべての面が凝縮するアルミニウ
ム蒸気に暴露される。
金属前駆物質から誘導される酸化アルミニウムは上記
実施例1における酸化チタンの密度の約0.8倍の密度で
あるので、所定の厚さを得るには約20%少ない重量を必
要とする。かくして、正しい厚さの酸化物を生成するた
めに十分な金属前駆物質が形成されるまで蒸発装置を運
転する。
アルミニウム被覆した立方晶窒化ホウ素は、それをフ
リットと混合し砥石車に成型するときに、アルミニウム
の溶融点(658℃)より低い温度に10〜20分加熱して金
属を酸化するべきである。上記のチタンおよびジルコニ
ウムの場合、酸化は加熱するとほとんど即時に行われ
る。
[実施例4] 立方晶窒化ホウ素をテトライソプロピルチタン酸塩で
スラリー化し、有機金属化合物をはじめに100℃で乾燥
して分解し次に空気中で加熱して立方晶窒化ホウ素に金
属酸化物被膜を形成する。酸化物の分解は、乾燥した粒
子を高温塔に落下させて粒子が一時的に約600℃に達し
て通過することにより好都合に行うこともできる。TiO2
の非晶質層で被覆した立方晶窒化ホウ素を次にフリット
と混合し、砥石車に成型することができる。次に、該砥
石車を上述の本発明の製造工程にしたがって焼結する。

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタニア、ジルコニア、アルミナ及びシリ
    カからなる群から選択される耐火性金属酸化物で立方晶
    窒化ホウ素、ダイヤモンド及びそれらの混合物からなる
    群から選択される研摩材粒子の表面を実質的に被覆して
    なる研摩材粒子。
  2. 【請求項2】前記耐火性金属酸化物が平均して当該研摩
    材粒子の少なくとも約20重量%を構成することを特徴と
    する請求項1記載の研摩材粒子。
  3. 【請求項3】前記耐火性金属酸化物が平均して当該研摩
    材粒子の約25〜50重量%を構成することを特徴とする請
    求項1又は請求項2記載の研摩材粒子。
  4. 【請求項4】前記耐火性金属酸化物がチタニアであるこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記
    載の研摩材粒子。
  5. 【請求項5】チタニア、ジルコニア、アルミナ及びシリ
    カからなる群から選択される耐火性金属酸化物の前駆体
    としての有機金属化合物で立方晶窒化ホウ素、ダイヤモ
    ンド及びそれらの混合物からなる群から選択される研摩
    材粒子の表面を実質的に被覆してなる研摩材粒子。
  6. 【請求項6】前記有機金属化合物の金属成分がチタニウ
    ムであることを特徴とする請求項5記載の研摩材粒子。
  7. 【請求項7】前記有機金属化合物が前記金属酸化物へと
    転化したときに平均して当該研摩材粒子の少なくとも約
    20重量%を構成するのに十分な量で該有機金属化合物が
    存在していることを特徴とする請求項5又は請求項6記
    載の研摩材粒子。
  8. 【請求項8】前記有機金属化合物が前記金属酸化物へと
    転化したときに平均して当該研摩材粒子の約25〜50重量
    %を構成するのに十分な量で該有機金属化合物が存在し
    ていることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれ
    か1項記載の研摩材粒子。
  9. 【請求項9】前記有機金属化合物がシュウ酸エチルチタ
    ニルであることを特徴とする請求項5乃至請求項8のい
    ずれか1項記載の研摩材粒子。
  10. 【請求項10】当該研摩材粒子が立方晶窒化ホウ素であ
    ることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1
    項記載の研摩材粒子。
  11. 【請求項11】耐火性金属酸化物で被覆された工具の製
    造方法であって、 (a)(i)請求項5記載の研摩材粒子、(ii)チタ
    ン、ジルコニウム、アルミニウム又はケイ素の元素状態
    金属被膜で立方晶窒化ホウ素、ダイヤモンド及びそれら
    の混合物からなる群から選択される研摩材粒子の表面を
    実質的に被覆してなる研摩材粒子であって、該元素状態
    金属被膜が金属酸化物へと転化したときに平均して該研
    摩材粒子の少なくとも約20重量%を構成するのに十分な
    量で該元素状態金属被膜が存在している研摩材粒子、或
    いは(iii)上記(i)の研摩材粒子と(ii)の研摩材
    粒子の混合物を、ガラス質結合フリットマトリックス中
    で混合する工程、 (b)得られた混合物を適切な型に入れて型内で圧縮す
    る工程、及び (c)得られた成型混合物を、上記工程(a)の被覆研
    摩材粒子が耐火性金属酸化物被覆研摩材粒子へと転化す
    るのに十分な温度及び時間にて、焼成する工程、 を含んでなる方法。
JP2134237A 1989-05-30 1990-05-25 耐火金属酸化物被覆研摩材、および該研摩材より製作した砥石車 Expired - Fee Related JP2843111B2 (ja)

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