JP2842188B2 - Mosトランジスタ - Google Patents

Mosトランジスタ

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JP2842188B2
JP2842188B2 JP5326656A JP32665693A JP2842188B2 JP 2842188 B2 JP2842188 B2 JP 2842188B2 JP 5326656 A JP5326656 A JP 5326656A JP 32665693 A JP32665693 A JP 32665693A JP 2842188 B2 JP2842188 B2 JP 2842188B2
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和夫 寺田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、論理ゲートのスイッチ
ング素子として使われた場合、ホットキャリアの発生を
抑えることができ、その結果ホットキャリア起因信頼性
劣化を少なくできるMOSトランジスタに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】MOSトランジスタの微細化の進展にと
もない、ホットキャリアによるトランジスタ特性の劣化
が大きな問題となっている。この問題は、MOSトラン
ジスタのチャネル内電界からエネルギーを得たホットキ
ャリアがゲート酸化膜に注入され、ゲート酸化膜の変質
を招き、その結果MOSトランジスタの電流駆動力やし
きい値電圧などの特性を変化させるものである。その発
生機構については、例えば「応用物理」第59巻、第3
号、310ページの小柳光正氏の解説記事「MOSデバ
イスのホットキャリア効果」(1990年)に詳しく述
べられている。そこに述べられているように、ホットキ
ャリアの発生量、MOSトランジスタ特性の変化量の両
方とも、ゲート電圧VG がドレイン電圧VD の約半分
(VG 〜VD/2)においてもっとも大きい。
【0003】従来、上記のホットキャリアの問題は、上
記解説記事にも述べられている、次のような方法で解決
されていた。
【0004】1つは動作電圧を制限する方法である。動
作電圧を下げるとMOSチャネル内電界が低下するた
め、ホットキャリアの発生を抑えることができる。そこ
で、ホットキャリアによる許容特性変化量を、例えば1
0年間でしきい値電圧にして10mV以下、ドレイン電
流にして10%以下と決め、そうなるように動作電圧を
下げるのである。
【0005】もう1つはMOSチャネル内電界を緩和す
るためにDDD(二重ドレイン)あるいはLDD(低濃
度ドレイン)構造を採用する方法である。従来のMOS
トランジスタのドレイン構造では、チャネルのドレイン
近傍に局所的に高電界の領域が形成される。本方法では
それを防ぐために、ドレインとチャネルの間に低濃度の
拡張ドレインを形成し、電界の集中を緩和しようという
ものである。そのため、この構造のMOSトランジスタ
は、上記の許容特性変化量を満たす動作電圧を、通常の
ドレイン構造のものより高くできる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように従来の解
決方法は、MOSトランジスタの微細化を進める上で、
ある程度有効な方法であった。しかし、さらに微細化を
進めるためにはそれらだけでは十分ではない。上記第1
の方法は動作電圧を低下するため、MOSトランジスタ
性能の低下をもたらす。そのため、MOSトランジスタ
の微細化を進めても、大きな性能向上を望むことが難か
しい。上記第2の方法では電界緩和のための拡張ドレイ
ン領域に0.1μm程度必要である。そのため、MOS
トランジスタのゲート長自体が0.1μm程度になる
と、この部分の抵抗や容量がMOSトランジスタ性能に
重大な影響を及ぼす。上記のように拡張ドレインは通常
のドレインよりも低濃度のため、抵抗が大きく、その影
響は重大である。
【0007】本発明の目的は、ホットキャリアの発生を
抑えることのできる新しいMOSトランジスタ構造を与
えることである。そして、その構造を従来の方法を組み
合わせることにより、0.1μm程度以下の微細なMO
Sトランジスタの信頼性と性能の向上を可能にすること
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、単一の入力信
号線と接続されたゲート電極を有するMOSトランジス
タにおいて、前記ゲート電極が前記入力信号線と接続す
第1の導電体と前記第1の導電体よりも細く前記第1
の導電体を介して前記入力信号線と接続する第2の導電
体とで構成されており、前記第1の導電体と前記第2の
導電体間には前記第1の導電体と前記第2の導電体とが
接合してなるダイオードが形成されていることを特徴と
するMOSトランジスタである。このMOSトランジス
タは第1の導電体直下のチャネル領域と第2の導電体直
下のチャネル領域のしきい値電圧が異なるようにしてあ
ればより効果的である。また、第1の導電体として第1
導電型ポリシリコン、第2の導電体として第2導電型ポ
リシリコン、ダイオードとして前記両ポリシリコンの接
合ダイオードで構成されるMOSトランジスタとすれ
ば、容易に実現できる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0010】図1は、本発明のMOSトランジスタを説
明するためのもので、その実施例の平面図(a)とこの
図のB−B’で切り開いた場合の断面図(b)とC−
C’で切り開いた場合の断面図(c)である。この図の
101はp型シリコン結晶基板、102、103はn型
ソースドレイン領域、104はゲート酸化膜、105は
フィールド酸化膜、106はゲート電極のコンタクトホ
ール、107、108はゲート電極を構成するn型ポリ
シリコンとp型ポリシリコン、109は層間絶縁膜、1
10はソースドレイン領域のコンタクトホール、11
1、112、113はアルミニウム配線層、をそれぞれ
示す。本実施例では、n型ポリシリコン107とp型ポ
リシリコン108の間にpn接合ダイオードが形成され
るため、コンタクトホール106(電気的接続部)を持
つn型ポリシリコン107、それに接続されたダイオー
ド、さらにこのダイオードに接続され107より細いp
型ポリシリコン108でもってゲート電極が構成され
る。またn型ポリシリコンとp型ポリシリコンでは基板
との仕事関数差が異なるため、107直下のチャネル部
と108直下のチャネル部では前者の方がしきい値電圧
が低い。
【0011】図2は、図1のMOSトランジスタを用い
て構成したインバータの等価回路図である。図の201
は電源、202は接地、203は入力端子、204は出
力端子、205は負荷素子、206は図1のMOSトラ
ンジスタに相当する部分をそれぞれ表わす。なお、図1
のMOSトランジスタに相当する部分206は、図のよ
うに、n型ポリシリコン107直下のチャネル部に相当
するMOSトランジスタ207、107と108の間に
構成されるpn接合ダイオード208、p型ポリシリコ
ン108直下のチャネル部に相当するMOSトランジス
タ209から構成される回路と等価である。電源に正の
電圧(値をVDDと表わす)を供給し、負荷素子205と
して抵抗かソースとゲートを短絡したデプレッション型
MOSトランジスタを使用した場合を想定する。
【0012】図3は図2のインバータが動作した場合の
入力端子203の電圧VG と出力端子204の電圧VD
の関係を示したものである。図2のMOSトランジスタ
206を通常のMOSトランジスタで置き換えた通常の
インバータの場合、その入力端子の電圧は図3の実線3
01のように変化する。入力電圧VG が高くなる時、出
力電圧VD は出力端子に接続された負荷容量を放電する
時間分遅れて低くなり、逆にVG が低くなる時、出力電
圧VD は負荷容量を充電する時間分遅れて高くなる。そ
のため入出力電圧の軌跡はVG −VD 平面上301のよ
うな閉曲線になる。
【0013】なおここでは簡単のため、図2のMOSト
ランジスタ206を置き換えた通常のMOSトランジス
タの寸法を「そのゲート長LはMOSトランジスタ20
9のゲート長と同じてあり、ゲート幅WはW/LがMO
Sトランジスタ206と等価になる値」と仮定する。
【0014】図2のインバータの場合、VG が低電位か
ら高電位に変化する時の経路が図3の破線のようにな
る。破線302は入力端子電圧VG すなわちn型ポリシ
リコンゲート部のMOSトランジスタ207のゲート電
圧と出力電圧VD の関係を、破線303はp型ポリシリ
コンゲート部のMOSトランジスタ209のゲート電圧
G ’と出力電圧VD の関係をそれぞれ示す。この場
合、まずVG が上がり、MOSトランジスタ207が導
通する。しかし、そのゲート幅は小さいため、出力電圧
D の低下は遅い。一方、VG ’は、MOSトランジス
タ209のゲート容量をダイオード208の逆方向電流
で充電する時間分遅れて上昇する。そのため、VG 、V
G ’、VD の軌跡は302、303のように2本に別れ
る。VG が高電位から低電位に変化する時にはMOSト
ランジスタ209のゲート容量をダイオード208の順
方向電流で放電するため、VG ’はVG に追随し、
G 、VG’、VD の軌跡は重なり、301と同様にな
る。
【0015】ところで「ホットキャリアの発生量、MO
Sトランジスタ特性の変化量の両方とも、ゲート電圧V
G がドレイン電圧VD の約半分(VG 〜VD /2)にお
いてもっとも大きい」ことが知られている。すなわち、
図3の304で示すVG =VD /2の直線とVG −VD
軌跡の交わる近辺領域において、ホットキャリアの影響
が大きい。図2のインバータの場合、この領域において
MOSトランジスタ207のドレイン電圧は曲線301
の場合よりも大きいが、MOSトランジスタ209のそ
れは小さい。ホットキャリアの発生原因であるチャネル
電界はドレイン電圧をゲート長で割った商に比例する。
そのため、MOSトランジスタ207のゲート長を適当
に大きくしておけば、この領域でMOSトランジスタ2
07、209のチャネル電界を上記の通常のインバータ
の通常のMOSトランジスタのそれよりも小さくでき
る。以上のように、本実施例のMOSトランジスタは、
上記の通常のMOSトランジスタよりも、ホットキャリ
アの発生を抑えることができるという特徴を持つ。
【0016】本発明のMOSトランジスタが上記特徴を
持つことにとって、チャネル長の大きいMOSトランジ
スタ207が先に導通して出力電圧VD を下げ、少し遅
れてMOSトランジスタ209が導通することが重要で
ある。このような状況を実現するためには次の2点が重
要である。
【0017】第1は、ダイオード208の逆方向電流に
よるMOSトランジスタ209のゲート容量充電時間が
適当な値になることである。MOSトランジスタ209
のゲート容量が1〜10fFオーダ、インバータの動作
が0.1〜1nsecオーダの場合、ダイオード208
の逆方向抵抗が104 〜106 Ω程度であることが望ま
れる。図1の実施例のようにポリシリコンpn接合ダイ
オードの場合、この値は比較的容易に得られる。
【0018】図2は、MOSトランジスタ207のしき
い値電圧がMOSトランジスタ209のそれよりも低い
ことである。図1の実施例では、MOSトランジスタ2
07のゲートがn型ポリシリコン、MOSトランジスタ
209のそれがp型ポリシリコンであり、仕事関数差の
関係でこの状況が実現されている。
【0019】図1の実施例のMOSトランジスタの性能
を上記通常のMOSトランジスタと比較した場合、実施
例の方が一部ゲート長の大きい部分があること、MOS
トランジスタ209の導通が少し遅れることの2点で劣
る。しかしこれらは、ゲート長の大きい部分のゲート幅
を小さくする、ダイオード208の逆方向電流を適当な
値にするなどの設計の最適化によって十分に小さくでき
る。
【0020】以上本発明のMOSトランジスタの動作原
理を図1の実施例を用いて説明してきたが、その本質は
ゲート電極を2つに分け間にダイオードを配置すること
にある。この特徴があれば上記のホットキャリア影響を
受けにくいという特徴が得られる。そのため、本発明は
図1の構造に限ることはない。電極材料を変えたり、し
きい値電圧の調整をイオン注入でしたり、LDD構造を
併用しても構わない。ただし、p、n型ポリシリコンを
使い分けることなどの図1実施例の特徴を利用すると、
本発明のMOSトランジスタを容易に実現でき、ダイオ
ードの逆方向電流などを適応な値に設定でき、有利であ
る。
【0021】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明のMO
Sトランジスタでは、インバータ動作におけるVG 〜V
D /2近辺でのチャネル電界を通常のMOSトランジス
タのそれよりも小さくできるため、ホットキャリアの発
生を抑えることができ、その結果ホットキャリア起因信
頼性劣化を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のMOSトランジスタを説明するための
もので、その実施例の平面図(a)とこの図のB−B’
で切り開いた場合の断面図(b)とC−C’で切り開い
た場合の断面図(c)である。
【図2】図1のMOSトランジスタを用いて構成したイ
ンバータの等価回路図である。
【図3】図2のインバータが動作した場合の入力端子2
03の電圧VG と出力端子204の電圧VD の関係を示
したものである。
【符号の説明】
104 ゲート酸化膜 106 コンタクトホール 107 n型ポリシリコン 108 p型ポリシリコン

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一の入力信号線と接続されたゲート電
    極を有するMOSトランジスタにおいて、前記ゲート電
    極が前記入力信号線と接続する第1の導電体と前記第1
    の導電体よりも細く前記第1の導電体を介して前記入力
    信号線と接続する第2の導電体とで構成されており、前
    記第1の導電体と前記第2の導電体間には前記第1の導
    電体と前記第2の導電体とが接合してなるダイオードが
    形成されていることを特徴とするMOSトランジスタ。
  2. 【請求項2】 前記第1の導電体直下のチャネル領域と
    前記第2の導電体直下のチャネル領域のしきい値電圧が
    異なることを特徴とする請求項1記載のMOSトランジ
    スタ。
  3. 【請求項3】 前記第1の導電体が第1導電型ポリシリ
    コン、前記第2の導電体が第2導電型ポリシリコン、前
    記ダイオードが前記両ポリシリコンの接合ダイオードで
    構成されることを特徴とする請求項1または2記載のM
    OSトランジスタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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