JP2841183B2 - 金属積層形ガスケット - Google Patents

金属積層形ガスケット

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は金属積層形ガスケッ
トに関し、更に詳細には、シール穴の周囲で表面板を折
り返し、且つその外側に面圧調整板を設ける金属積層形
ガスケットにおいて、折り返し片の外周縁と面圧調整板
の内周縁との間隙にもシール面圧を発生させるようにし
た金属積層形ガスケットに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】管の継ぎ手部分や内燃機関の各接合部分
に使用するガスケットとして、金属薄板を積層して形成
した金属積層形ガスケットが使用されていることは知ら
れている。例えば図４に示す従来の金属積層形ガスケッ
ト（以下単にガスケットという）１は、バネ鋼など弾性
力のあるビード板２にシール穴３の周囲を囲むビード４
を形成し、表面板５をシール穴３の周囲で反対側の表面
板６の上に折り返して折返し片７を形成し、面圧調整板
８をビード４に重ならないように積層したものである。
このように形成したガスケット１を接合面（図示せず）
の間に介装し、締め付けるとビード４が圧縮され、その
反力で折返し片７に矢印で示すシール面圧Ｐが発生し、
この面圧によりシール穴３内の流体をシールすることが
できる。
【０００３】また、図５に示す従来のガスケット１は、
軟鋼などをリング状に形成したシールリング９を用いて
シール面圧Ｐを発生させるものであり、面圧調整板８の
他に中板10を用いてシールリング９の圧縮高さを調節す
るようにしたものである。そして、図４，５に示すいず
れのガスケット１も、折返し片７の外周縁と面圧調整板
８の内周縁との間に間隙Δを設け、この部分で、表面板
６が締め付けられた際に屈曲し易くし、皺などの発生に
よる面圧の乱れをなくすようにしている。したがって、
ガスケット１を締め付け、ガスケット構成板が互いに接
触すると、この部分にほぼ均等且つシール面圧Ｐより小
さい値の面圧ｐが発生している。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記図４，
５に示す間隙Δ部分のガスケット構成板の枚数は、他の
部分の積層板の枚数より少なく、この間隙Δ部分で表面
板６を面圧調整板８の上側から折返し片７の下側にもぐ
り込ませるため、従来はこれらの図に示すように表面板
６をなだらかに屈曲させている。したがって、ガスケッ
ト１を締め付けてもこの部分に面圧は発生しない。
【０００５】また前記面圧ｐが発生している外側部分
は、前記のとおり面圧が小さく、十分なシール性が得ら
れない部分である。したがって、シール面圧Ｐが発生し
ているシール部のいずれかに、なんらかの原因でシール
不良部分が発生しシール流体が漏れ出すと、漏れた流体
は、間隙Δを伝わってシール穴３の周方向に流れる。し
たがって、面圧ｐにむらがあり、シール性の乏しい部分
があると、この部分からシール流体がガスケット１の外
側に漏出する。
【０００６】本発明は、以上の問題に着目してなされた
ものであり、シール部とその周囲の部分との間に連続し
た面圧を発生させることのできる金属積層形ガスケット
を提供することを課題としている。
【０００７】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めの本発明の金属積層形ガスケットの構成は、ガスケッ
トの一方の表面板をシール穴の周囲で折り返し、この折
返し片を他方の表面板上に重ね、折返し片の外周縁に近
接して段状に折り曲げて屈曲部を形成し、ガスケットの
締め付けにより押し付けられて、前記屈曲部に重ならな
いように面圧調整板を積層し、屈曲部の断面形状をクラ
ンク状又はＺ状に形成し、前記締め付けにより屈曲部が
圧縮されて折返し片の外周縁と面圧調整板の内周縁との
間に面圧を発生させるようにしたものである。
【０００８】本発明を実施する際に、前記ガスケット構
成板の他に、面圧調整、ガスケット厚さ調整などを目的
として、他の金属板を積層することができる。また、本
発明は、前記屈曲部の屈曲高さを前記折返し片の厚みよ
り高く形成し、ガスケットを締め付けると、圧縮による
反力が屈曲部に発生し、この部分に高い面圧が発生しシ
ール性能を向上させることができる。なお前記高さには
特に限定はなく、実際に則して面圧に連続性が得られる
ような値を適宜選定すればよい。
【０００９】また、表面板に前記屈曲部を形成し、この
屈曲部の内側の表面板を折り畳むように折返し、前記折
返し片に重ね合わせて折返し部を形成し、前記屈曲部の
屈曲長さを、折返し部を形成したことによる板厚に整合
させることもできる。ガスケットを締め付けると前記屈
曲部が折返し片の外周縁と面圧調整板内周縁との間で、
前記屈曲部が圧縮され、この部分に面圧を発生させる前
記手段は、ガスケットの締め付けにより、ビード又はシ
ールリングを設けた折返し片の外周縁と面圧調整板内周
縁との間の部分にシール面圧が発生し、シール性能を向
上させることができる。
【００１０】
【発明の実施の形態】以下添付の図面を参照し、実施例
により本発明を具体的に説明する。図１に示す第１実施
の形態の金属積層形ガスケット（以下単にガスケットと
いう）１は、シール穴３の周囲で表面板５を折り返した
折返し片７を表面板６の上に重ね、折返し片７の外周縁
11に接するように、表面板６をクランク状に折り曲げて
屈曲部12を形成し、面圧調整板８を、その内周縁13が屈
曲部12の外周側に十分近接ないし互いに接するように配
置したものである。
【００１１】なお実施例１ではビード板２にバネ鋼板を
使用し、その他のガスケット構成板５，６，８に軟鋼板
を使用した。また面圧調整板８の板厚は、面圧調整板８
を配した部分の合計板厚が、折返し片７側の合計板厚よ
りも僅かに薄くなる厚さとした。また前記屈曲高さは、
折返し片７の板厚より僅かに大きな値とした。例えば表
面板５の板厚に０．２〜０．５mm程度のものを使用した
場合、屈曲高さは、突出高さｈが僅かとなる程度とす
る。
【００１２】このようにすると、ガスケット１を締め付
けた際に、屈曲部12が圧縮されてこの部分に矢印Ｆで示
す高い面圧を発生させることができる。したがって、折
返し片７を設けた部分と面圧調整板８を配した部分との
間に面圧を発生させ、シール性能を向上させることがで
きる。なお前記突出高さｈの値は本発明にとって限定的
ではなく、実際に則して適宜選定すればよい。
【００１３】図２に示す第２実施の形態のガスケット１
は、シールリング９を使用し、そのために面圧調整板８
の他に、表面板６と同様に、内周縁14がシールリング９
の近傍に達する中板10を積層してシールリング９の圧縮
高さを規制し、所定の面圧を得るようにした。第２実施
の形態の屈曲部12は、拡大図に示すように、表面板６を
Ｚ状に屈曲させ、ガスケット１を締め付けると、屈曲部
12が、折返し片７の外周縁11と面圧調整板８の内周縁13
とに十分近接ないし互いに接し、この部分にシール性能
を与える面圧を発生させることができる。
【００１４】図３に示す第３実施の形態のガスケット１
は、表面板６が折返し片７に積層される部分に、表面板
６を折返し、互いに重ね合わせて折返し部15を形成し、
そのために増加した板厚に整合するように屈曲部12の屈
曲長さを長く形成したものである。そして、所定の面圧
を得るためにシールリング９の圧縮高さを調節するよう
にした。
【００１５】以上説明した実施例のいずれのガスケット
１も、折返し片７の外周縁部と面圧調整板８の内周縁13
との間に面圧を発生させることができ、シール性能を従
来のものより格段に安定したものとすることができた。
【００１６】
【発明の効果】以上説明したように本発明の金属積層形
ガスケットは、シール流体がビード、シールリングなど
に直接接触しないように一方の表面板を他方の表面板上
に折り返す方式のガスケットにおいて、他方の表面板に
屈曲部を形成するようにしたので、折返し片側と面圧調
整板との間に面圧を発生させることができる。したがっ
て、何らかの原因でガスケットのシール部の一部に漏れ
が発生した場合に、ガスケットのシール性能が容易に低
下するという従来の欠点を無くし、安定したシール性能
を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例１による金属積層形ガスケット
の部分断面図及び要部拡大図である。
【図２】本発明の実施例２による金属積層形ガスケット
の部分断面図及び要部拡大図である。
【図３】本発明の実施例３による金属積層形ガスケット
の部分断面図である。
【図４】発明課題を説明するための従来例による金属積
層形ガスケットの部分断面図である。
【図５】図４と別の従来例により問題点を説明するため
に示した金属積層形ガスケットの部分断面図である。
【符号の説明】
１ ガスケット（金属積層形ガスケット） ３ シール
穴 ４ ビード ５ 表面板 ６ 表面板 ７ 折返し
片 ８ 面圧調整板 ９ シール
リング 11 外周縁 12 屈曲部 13 内周縁 15 折返し
部 ｈ 突出高さ Δ 間隙

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 ガスケットの一方の表面板をシール穴の
    周囲で折り返し、この折返し片を他方の表面板上に重
    ね、折返し片の外周縁に近接して段状に折り曲げて屈曲
    部を形成し、ガスケットの締め付けにより押し付けられ
    て、前記屈曲部に重ならないように面圧調整板を積層
    し、屈曲部の断面形状をクランク状又はＺ状に形成し、
    前記締め付けにより屈曲部が圧縮されて折返し片の外周
    縁と面圧調整板の内周縁との間に面圧を発生させるよう
    にした金属積層形ガスケット。
  2. 【請求項２】 前記屈曲部の屈曲高さを前記折返し片の
    厚みより高く形成し、ガスケットを締め付けると、圧縮
    による反力が屈曲部に発生するようにした請求項１の金
    属積層形ガスケット。
  3. 【請求項３】 表面板に前記屈曲部を形成し、この屈曲
    部の内側の表面板を折り畳むように折返し、前記折返し
    片に重ね合わせて折返し部を形成し、前記屈曲部の屈曲
    長さを、折返し部を形成したことによる板厚に整合させ
    るようにした請求項１の金属積層形ガスケット。
  4. 【請求項４】 前記屈曲部の内側に、シール穴を囲むビ
    ード又はシールリングを設けた請求項１、２又は３の金
    属積層形ガスケット。
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