JP2837760B2 - 熱硬化性組成物,モールド材,およびモールド構造体,ならびにこれらの分解処理方法 - Google Patents

熱硬化性組成物,モールド材,およびモールド構造体,ならびにこれらの分解処理方法

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JP2837760B2
JP2837760B2 JP7527531A JP52753195A JP2837760B2 JP 2837760 B2 JP2837760 B2 JP 2837760B2 JP 7527531 A JP7527531 A JP 7527531A JP 52753195 A JP52753195 A JP 52753195A JP 2837760 B2 JP2837760 B2 JP 2837760B2
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mold structure
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貴彦 寺田
宏 大西
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、強度および耐熱性に優れ、かつ、廃棄時の
分解処理が容易な熱硬化性組成物、該組成物を含むモー
ルド材および該モールド材を用いたモールド構造体、な
らびにこれらの分解処理方法に関する。
背景技術 熱硬化性樹脂は、従来より工業材料に広く利用されて
いる。熱硬化性樹脂の生産量は、1985年から年間数パー
セントの割合で増大し、1990年には年間約200万トンの
熱硬化性樹脂が生産されている。熱硬化性樹脂として
は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹
脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。このような熱硬
化性樹脂の多くは、繊維強化プラスチック(FRP)のよ
うな充填材を含有する複合材料として用いられる。例え
ば、不飽和ポリエステル樹脂では、その生産量の約80%
がFRPとして使用されている。充填材としては上記FRPに
含有されるガラス繊維の他に、炭酸カルシウム、タル
ク、シリカのような無機材料、あるいはパルプ、木材の
ような有機材料などが挙げられる。このように、熱硬化
性樹脂は、充填材などを用いる複合化による強化が容易
であるため、成形材料、積層板、接着剤、塗料などの工
業分野、あるいは民生分野に広範囲に利用されている。
熱硬化性樹脂は、硬化後に3次元架橋構造を形成し、
一般的には不溶不融の固体となるため、分解処理が困難
である。従って、熱硬化性樹脂は、再生処理あるいは再
利用には適合し難いものであると考えられ、従来は廃棄
されていた。
しかし、近年、廃棄物問題が注目されるにつれて、廃
棄樹脂の分解および再生が重要な問題となっている。こ
の問題は、熱硬化性樹脂に関しても同様に重要である。
例えば、繊維強化された不飽和ポリエステル樹脂は、漁
船、タンクあるいは住宅機材など大型製品の製造に多用
されているため、廃棄物の分解および再生処理が深刻な
問題となっている。そこで、廃棄熱硬化性樹脂の減容
化、再利用および再資源化技術の開発が必要とされ、熱
分解による原料化などが検討され始めた。しかし、硬
度、強度、耐熱性、難燃性、耐薬品性のような熱硬化性
樹脂の優れた特性が、分解処理を技術的な面から困難に
している。さらに、熱硬化性樹脂は、その優れた強度特
性により構造材として使用されることが多く、例えばモ
ータのモールド材に使用される場合のように、廃棄物中
に金属のような他の素材を包含している場合が多い。こ
のような素材は、熱硬化性樹脂よりも高価な有価物であ
る。安価な樹脂廃棄物が高価な金属などの再生および再
利用の可能性を阻んでいるということが、より大きな問
題となっている。このように、熱硬化性樹脂に関する廃
棄物問題は、従来の処方で得られる樹脂や従来の分解処
理方法では解決できない。
一方、近年、熱硬化性樹脂からなるモールド材を用い
て一体成形したモールド構造体、例えばモールドモー
タ、モールドトランス、ICパッケージが、民生機器、産
業機器、事務機器などに利用されている。以下、モール
ドモータを一例として説明すると、このようなモールド
モータは、静音性、制振性、絶縁性、メンテナンス性に
優れ、かつ、コンパクトで製造時の自動化も容易である
ので、その需要が急速に拡大している。
従来、交流モータ、ブラシレス直流モータなどとして
使用されるモールドモータのモールドステータは、一般
的には、例えば、特開昭61−214740号公報に開示される
構成を有する。その構成について図7および図8を用い
て説明する。図7は従来のモールドステータ201を有す
るモールドモータの外観を示す斜視図であり、図8はモ
ールドされる前のステータ部の構成を示す斜視図であ
る。図7に示すように、モールドモータは、モータ部と
220と、図8のステータ部をモールド材202で覆うように
一体成形されたモールドステータ201とを有する。ステ
ータ部は、図8に示すように、円筒状の絶縁体207を介
して巻線203が巻装された鉄芯204を有し、該絶縁体207
は、その一方の円周部分の一部に配線パターン210を有
するプリント基板211を有している。このプリント基板2
11上で上記巻線の端末部とリード線212とが接続され、
外部からの信号が入力される。このモールド材は、バイ
ンダー材として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ナイロンなどの熱可塑性樹
脂、または不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹
脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を、さらに添加
材として、炭酸カルシウム、タルク、カーボンブラック
などを含有する。
モールドモータの廃棄時には、モールド材を除去して
有価物である鉄芯や巻線の金属類をリサイクルすること
が望ましい。従来の一般的な廃棄物処理では、最初にシ
ュレッダーによりモールド材を破砕し、次いで破砕物か
ら鉄芯や巻線などの有価物を餞別することにより、有価
物をリサイクルしている。しかし、上記のような構成の
モールドモータでは、鉄芯や巻線によりシュレッダーの
歯が痛み易いため、破砕処理が敬遠され、有価物のリサ
イクルが行われずに廃棄され、他の廃棄物とともに埋め
立てられる。上記のようなモールド材は、埋立により自
然に分解するものではないので、鉄芯や巻線に使用され
るケイ素鋼板や銅線などが、モータとしての使用後も材
質としての価値が高いにもかかわらず、リサイクルされ
ずにそのまま埋立放置されている。さらに、モールド材
として使用される熱硬化性樹脂に対しては、上記の熱分
解による減容化のような従来の分解処理方法は適用でき
ない。従って、従来のモールドモータでは、破砕もモー
ルド材の分解も適用できず、廃棄時に鉄芯や巻線などの
有価物が再利用し難いという問題点を有している。モー
ルドトランスのような他のモールド構造体においても、
上記と同様の問題点を有している。
以上のように、大型樹脂廃棄物の分解処理、およびモ
ールド構造体などにおける有価物のリサイクルといった
観点から、従来の優れた特性を維持しつつ、かつ、容易
に分解され得る熱硬化性樹脂あるいは熱硬化性組成物が
望まれている。
発明の開示 本発明の第一の熱硬化性組成物は、熱硬化性樹脂およ
び脂肪族ポリエステルを含有し、硬化後に、少なくとも
塩基を含有する分解溶液により該脂肪族ポリエステルが
分解されることによって、分解が促進される。
本発明の第二の熱硬化性組成物は、不飽和ポリエステ
ル、付加重合性モノマー、脂肪族ポリエステル以外の低
収縮剤、および脂肪族ポリエステルを含有し、硬化後
に、塩基と、水、メタノール、エタノール、およびエチ
レングリコールでなる群から選択される少なくとも1種
の溶剤とを含有する分解溶液により、該分解溶液の沸点
より低い温度で容易に分解され得る。
本発明の第三の熱硬化性組成物は、不飽和ポリエステ
ル、付加重合性モノマー、およびポリカプロラクトンを
含有し、硬化後に、塩基と、水、メタノール、エタノー
ル、およびエチレングリコールでなる群から選択される
少なくとも1種の溶剤とを含有する分解溶液により、該
分解溶液の沸点より低い温度で容易に分解され得る。
好適な実施態様においては、上記付加重合性モノマー
の少なくとも一部は、付加重合性末端を有する脂肪族ポ
リエステルである。
本発明の第四の熱硬化性組成物は、脂肪族ポリエステ
ル、ならびにフェノール樹脂またはエポキシ樹脂を含有
し、硬化後に、塩基と、水、メタノール、エタノール、
およびエチレングリコールでなる群から選択される少な
くとも1種の溶剤とを含有する分解溶液により、該分解
溶液の沸点より低い温度で容易に分解され得る。
好適な実施態様においては、上記第一、第二および第
四の熱硬化性組成物に含有される脂肪族ポリエステル
は、ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトン、ポリ
グリコール酸、ポリ乳酸、ポリエチレンアジペート、ポ
リブチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペー
ト、ポリエチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネ
ート、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクト
ントリオール、およびポリ(3−ヒドロキシアルカノエ
ート)でなる群から選択される少なくとも1種の脂肪族
ポリエステルであり、第三の熱硬化性組成物においても
ポリカプロラクトン以外のこのような脂肪族ポリエステ
ルがさらに含有される。
本発明の第一のモールド材は、熱硬化性樹脂および脂
肪族ポリエステルを含有する熱硬化性組成物を、バイン
ダー材として含有し、該熱硬化性組成物は、硬化後に、
少なくとも塩基を含有する分解溶液により該脂肪族ポリ
エステルが分解されることによって、分解が促進され
る。
本発明の第二のモールド材は、不飽和ポリエステル、
付加重合性モノマー、脂肪族ポリエステル以外の低収縮
剤、および脂肪族ポリエステルを含有する熱硬化性組成
物を、バインダー材として含有し、該熱硬化性組成物
は、硬化後に、塩基と、水、メタノール、エタノール、
およびエチレングリコールでなる群から選択される少な
くとも1種の溶剤とを含有する分解溶液により、該分解
溶液の沸点より低い温度で容易に分解され得る。
本発明の第三のモールド材は、不飽和ポリエステル、
付加重合性モノマー、およびポリカプロラクトンを含有
する熱硬化性組成物を、バインダー材として含有し、該
熱硬化性組成物は、硬化後に、塩基と、水、メタノー
ル、エタノール、およびエチレングリコールでなる群か
ら選択される少なくとも1種の溶剤とを含有する分解溶
液により、該分解溶液の沸点より低い温度で容易に分解
され得る。
本発明の第四のモールド材は、脂肪族ポリエステル、
ならびにフェノール樹脂またはエポキシ樹脂を含有する
熱硬化性組成物を、バインダー材として含有し、該熱硬
化性組成物は、硬化後に、塩基と、水、メタノール、エ
タノール、およびエチレングリコールでなる群から選択
される少なくとも1種の溶剤とを含有する分解溶液によ
り、該分解溶液の沸点より低い温度で容易に分解され得
る。
好適な実施態様においては、上記第二および第三のモ
ールド材の熱硬化性組成物に含有される付加重合性モノ
マーはスチレンである。
好適な実施態様においては、上記第一、第二および第
四のモールド材の熱硬化性組成物に含有される脂肪族ポ
リエステルは、ポリカプロラクトン、ポリプロピオラク
トン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリエチレンアジ
ペート、ポリブチレンアジペート、ポリテトラメチレン
アジペート、ポリエチレンスクシネート、ポリブチレン
スクシネート、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプ
ロラクトントリオール、およびポリ(3−ヒドロキシア
ルカノエート)でなる群から選択される少なくとも1種
の脂肪族ポリエステルであり、第三のモールド材の熱硬
化性組成物においてもポリカプロラクトン以外のこのよ
うな脂肪族ポリエステルがさらに含有される。
本発明の第一のモールド構造体は、少なくとも金属類
を含んで一体成形されたモールド材からなるモールド部
を有し、該モールド材の少なくとも一部が、熱硬化性樹
脂および脂肪族ポリエステルを含有する熱硬化性組成物
を、バインダー材として含有し、該熱硬化性組成物は、
硬化後に、少なくとも塩基を含有する分解溶液により該
脂肪族ポリエステルが分解されることによって、分解が
促進され、該金属類と該モールド材とが容易に分離され
得る。
本発明の第二のモールド構造体は、少なくとも金属類
を含んで一体成形されたモールド材からなるモールド部
を有し、該モールド材の少なくとも一部が、不飽和ポリ
エステル、付加重合性モノマー、脂肪族ポリエステル以
外の低収縮剤、および脂肪族ポリエステルを含有する熱
硬化性組成物を、バインダー材として含有し、該熱硬化
性組成物は、硬化後に、塩基と、水、メタノール、エタ
ノール、およびエチレングリコールでなる群から選択さ
れる少なくとも1種の溶剤とを含有する分解溶液によ
り、該分解溶液の沸点より低い温度で容易に分解され、
該金属類と該モールド材とが容易に分離され得る。
本発明の第三のモールド構造体は、少なくとも金属類
を含んで一体成形されたモールド材からなるモールド部
を有し、該モールド材料の少なくとも一部が、不飽和ポ
リエステル、付加重合性モノマー、およびポリカプロラ
クトンを含有する熱硬化性組成物を、バインダー材とし
て含有し、該熱硬化性組成物は、硬化後に、塩基と、
水、メタノール、エタノール、およびエチレングリコー
ルでなる群から選択される少なくとも1種の溶剤とを含
有する分解溶液により、該分解溶液の沸点より低い温度
で容易に分解され、該金属類と該モールド材とが容易に
分解され得る。
本発明の第四のモールド構造体は、少なくとも金属類
を含んで一体成形されたモールド材からなるモールド部
を有し、該モールド材の少なくとも一部が、脂肪族ポリ
エステル、ならびにフェノール樹脂またはエポキシ樹脂
を含有する熱硬化性組成物を、バインダー材として含有
し、該熱硬化性組成物は、硬化後に、塩基と、水、メタ
ノール、エタノール、およびエチレングリコールでなる
群から選択される少なくとも1種の溶剤とを含有する分
解溶液により、該分解溶液の沸点より低い温度で容易に
分解され、該金属類と該モールド材とが容易に分離され
得る。
好適な実施態様においては、上記第一、第二および第
四のモールド構造体の熱硬化性組成物に含有される脂肪
族ポリエステルは、ポリカプロラクトン、ポリプロピオ
ラクトン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリエチレン
アジペート、ポリブチレンアジペート、ポリテトラメチ
レンアジペート、ポリエチレンスクシネート、ポリブチ
レンスクシネート、ポリカプロラクトンジオール、ポリ
カプロラクトントリオール、およびポリ(3−ヒドロキ
シアルカノエート)でなる群から選択される少なくとも
1種の脂肪族ポリエステルであり、第三のモールド構造
体の熱硬化性組成物においてもポリカプロラクトン以外
のこのような脂肪族ポリエステルがさらに含有される。
好適な実施態様においては、上記脂肪族ポリエステル
の少なくとも一部は、繊維状、針状または粉状で上記モ
ールド部に充填材として分散されている。
本発明の第五のモールド構造体は、少なくとも金属類
を含んで一体成形されたモールド材からなるモールド部
を有し、該モールド部が、該金属類を覆う内部モールド
部と、該内部モールド部の外側に存在し、その最外部が
該モールド構造体の最外部を規定する外部モールド部と
を有し、該内部モールド部が、脂肪族ポリエステルを主
成分とする。
好適な実施態様においては、上記外部モールド部は、
上述の各熱硬化性組成物を主成分とする。
好適な実施態様においては、上記金属類が巻線であ
り、上記モールド構造体はモータとして使用される。
好適な実施態様においては、上記モールド構造体は、
上記巻線、絶縁体、および鉄芯を含んで一体成形された
モールド材からなるモールド部を有する、モールド構造
体であって、該絶縁体の一部が、該モールド部を洞貫
し、該モールド部の表面に表出している。
好適な実施態様においては、上記絶縁体は、脂肪族ポ
リエステルでなる。
本発明の第六のモールド構造体は、少なくとも金属類
を含んで一体成形されたモールド材からなるモールド部
を有し、該モールド材の少なくとも一部が、不飽和ポリ
エステル、スチレン、ポリカプロラクトン、および脂肪
族ポリエステルを含有する熱硬化性組成物を、バインダ
ー材として含有し、該脂肪族ポリエステルが、ポリプロ
ピオラクトン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリエチ
レンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリテトラ
メチレンアジペート、ポリエチレンスクシネート、ポリ
ブチレンスクシネート、ポリカプロラクトンジオール、
ポリカプロラクトントリオール、およびポリ(3−ヒド
ロキシアルカノエート)でなる群から選択される少なく
とも1種であり、該熱硬化性組成物は、硬化後に、塩基
と、水、メタノール、エタノール、およびエチレングリ
コールでなる群から選択される少なくとも1種の溶剤と
を含有する分解溶液により、該分解溶液の沸点より低い
温度で容易に分解され、該金属類と該モールド材とが容
易に分離され得る。
本発明の熱硬化性組成物の分解処理方法は、該熱硬化
性組成物を、硬化後に、塩基と、水、メタノール、エタ
ノール、およびエチレングリコールでなる群から選択さ
れる少なくとも1種の溶剤とを含有する分解溶液に浸漬
する工程を包含し、該熱硬化性組成物が、少なくとも脂
肪族ポリエステルと熱硬化性樹脂とを含有する。
本発明のモールド材の分解処理方法は、該モールド材
を、塩基と、水、メタノール、エタノール、およびエチ
レングリコールでなる群から選択される少なくとも1種
の溶剤とを含有する分解溶液に浸漬する工程を包含し、
該熱硬化性組成物が、少なくとも脂肪族ポリエステルと
熱硬化性樹脂とを含有する。
本発明の第一のモールド構造体の分解処理方法は、該
モールド構造体を、塩基と、水、メタノール、エタノー
ル、およびエチレングリコールでなる群から選択される
少なくとも1種の溶剤とを含有する分解溶液に浸漬する
工程を含有し、該モールド構造体が、少なくとも金属類
を含んで一体成形されたモールド材からなるモールド部
を有し、該モールド材の少なくとも一部が、少なくとも
脂肪族ポリエステルと熱硬化性樹脂とを含有する熱硬化
性組成物を、バインダー材として含有する。
本発明の第二のモールド構造体の分解処理方法は、少
なくとも金属類を含んで一体成形されたモールド材から
なるモールド部を有するモールド構造体の分解処理方法
であって、該モールド部が、該金属類を覆う内部モール
ド部と、該内部モールド部の外側に存在し、その最外部
が該モールド構造体の最外部を規定する外部モールド部
とを有し、該内部モールド部が、脂肪族ポリエステルを
主成分とし、以下の工程を包含する:切削または開孔に
より該内部モールド部の少なくとも一部を表出させる工
程、および、該モールド構造体を、該脂肪族ポリエステ
ルに対する良溶剤、または、塩基と、水、メタノール、
エタノール、およびエチレングリコールでなる群から選
択される少なくとも1種の溶剤とを含有する分解溶液に
浸漬する工程。
好適な実施態様においては、上記分解溶液は、アセト
ン、2−ブタノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチ
ルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコ
ールモノエステル、ジエチレングリコールジエステル、
ジカルボン酸ジエステル、酢酸メチル、酢酸エチル、ベ
ンゼン、トルエン、およびフェノールでなる群から選択
される少なくとも1種の溶剤をさらに含有する。
好適な実施態様においては、本発明の熱硬化性組成
物、モールド材およびモールド構造体の分解処理方法
は、上記熱硬化性組成物、上記モールド材または上記モ
ールド構造体が、上記分解溶液に該分解溶液の沸点より
低い温度で浸漬される。
本発明のモールド構造体のリサイクル方法は、少なく
とも金属類を含んで一体成形されたモールド材からなる
モールド部を有するモールド構造体のリサイクル方法で
あって、該モールド材の少なくとも一部が、少なくとも
脂肪族ポリエステルと熱硬化性樹脂とを含有する熱硬化
性組成物を、バインダー材として含有し、以下の工程を
包含する:該モールド構造体を、塩基と、水、メタノー
ル、エタノール、およびエチレングリコールでなる群か
ら選択される少なくとも1種の溶剤とを含有する分解溶
液に浸漬し、該モールド部を形態が維持できない程度ま
で化学的に分解させる工程、および該金属類と該分解さ
れたモールド部とを分離し、該金属類を回収する工程。
好適な実施態様においては、上記モールド構造体は、
上記分解溶液の沸点より低い温度で浸漬される。
好適な実施態様においては、上記金属類は巻線であ
り、上記構造体はモータである。
図面の簡単な説明 図1は、本発明のモールド構造体の一例であるモール
ドモータの一実施態様を示す断面図である。
図2は、本発明のモールド構造体の一例であるモール
ドモータの別の実施態様を示す拡大部分断面図である。
図3は、図2のモールドモータの他の態様を示す拡大
部分断面図である。
図4は、本発明のモールド構造体の一例であるモール
ドモータのさらに別の実施態様を示す拡大部分断面図で
ある。
図5は、図4のモールドモータの他の態様を示す部分
断面図である。
図6は、本発明のモールド構造体の一例であるモール
ドモータのさらに別の実施態様を示す拡大部分断面図で
ある。
図7は、従来のモールドモータの外観を示す斜視図で
ある。
図8は、従来のモールドモータのステータ部の外観を
示す斜視図である。
発明を実施するための最良の形態 本明細書において、「熱硬化性組成物が脂肪族ポリエ
ステルを含有する」とは、以下の形態で含有することを
包含する:(1)熱硬化性組成物が、一成分として脂肪
族ポリエステルを含有する;および(2)熱硬化性組成
物が、脂肪族ポリエステル部分を有するポリマーを含有
する。さらに、付加重合性モノマーは、付加重合性末端
を有する脂肪族ポリエステルを包含する。
本発明の第一の熱硬化性組成物は、熱硬化性樹脂およ
び脂肪族ポリエステルを含有し、硬化後に、少なくとも
塩基を含有する分解溶液により該脂肪族ポリエステルが
分解されることによって、分解が促進される。
本発明の第二の熱硬化性組成物は、不飽和ポリエステ
ル、付加重合性モノマー、脂肪族ポリエステル以外の低
収縮剤、および脂肪族ポリエステルを含有し、硬化後
に、塩基と、水、メタノール、エタノール、およびエチ
レングリコールでなる群から選択される少なくとも1種
の溶剤とを含有する分解溶液により、該分解溶液の沸点
より低い温度で容易に分解され得る。
本発明の第三の熱硬化性組成物は、不飽和ポリエステ
ル、付加重合性モノマー、およびポリカプロラクトンを
含有し、硬化後に、塩基と、水、メタノール、エタノー
ル、およびエチレングリコールでなる群から選択される
少なくとも1種の溶剤とを含有する分解溶液により、該
分解溶液の沸点より低い温度で容易に分解され得る。
本発明の第四の熱硬化性組成物は、脂肪族ポリエステ
ル、ならびにフェノール樹脂またはエポキシ樹脂を含有
し、硬化後に、塩基と、水、メタノール、エタノール、
およびエチレングリコールでなる群から選択される少な
くとも1種の溶剤とを含有する分解溶液により、該分解
溶液の沸点より低い温度で容易に分解され得る。
本発明の第一の熱硬化性組成物に含有される熱硬化性
樹脂としては、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フ
ェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素
樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。不飽和ポリエ
ステル、エポキシ樹脂、およびフェノール樹脂について
は、後述する本発明の他の熱硬化性組成物にも好適に使
用され得る。
これらの熱硬化性樹脂は、その分子骨格中に縮合性結
合を有する。ここで、縮合性結合とは、熱硬化性樹脂分
子鎖における縮合により形成される部分を意味し、例え
ば、不飽和ポリエステルではエステル結合部分であり、
フェノール樹脂ではメチレン基部分である。
本発明の第二および第三の熱硬化性組成物に含有さ
れ、第一の熱硬化性組成物にも含有される不飽和ポリエ
ステルは、不飽和多塩基酸および飽和多塩基酸とグリコ
ール類とを公知の方法で重縮合することにより得られ
る。不飽和多塩基酸としては、無水マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、シトラコン酸などが挙げられる。飽和
多塩基酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレ
フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラヒドロ無水
フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメ
チレンテトラヒドロ無水フタル酸、ヘット酸、テトラブ
ロム無水フタル酸などが挙げられる。グリコール類とし
ては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジ
エチレングリコール、ジプロピンレングリコール、ネオ
ペンチルグリコール、1−3ブタンジオール、1−6ヘ
キサンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノ
ールAプロピレンオキシド化合物、ジブロムネオペンチ
ルグリコールなどが挙げられる。
好適な不飽和ポリエステルとしては、式(I)で表さ
れるようにイソフタル酸およびフマル酸とネオペンチル
グリコールとの共重合体、式(II)で表されるような無
水フタル酸および無水フマル酸とプロピレングリコール
との共重合体、式(III)で表されるようなイソフタル
酸および無水マレイン酸とプロピレングリコールとの共
重合体などが挙げられる。
ここで、n1〜n3は、各々独立して1〜30である。
不飽和多塩基酸と飽和多塩基酸とのモル比は、30/70
〜70/30が好ましく、40/60〜60/40がさらに好ましい。
この範囲で不飽和多塩基酸と飽和多塩基酸とを含有する
ことにより、硬化物の機械的強度および分解性が共に優
れたものとなる。なぜなら、分解溶液によって容易に分
解される飽和多塩基酸のエステル結合と、機械的強度に
寄与する不飽和結合(架橋点)とが、好ましい割合で形
成されるからである。
上記不飽和ポリエステルは、実用上、重合性モノマー
に溶解した溶液状製品として提供され、不飽和ポリエス
テル樹脂と呼ばれる。
本発明に用いられる付加重合性モノマーとしては、ス
チレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、メタク
リル酸メチル、酢酸ビニル、ジアリルフタレート、ジア
リルイソフタレート、ジアリルテトラブロムフタレー
ト、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエ
チルアクリレート、1−6ヘキサンジオールジアクリレ
ートなどが挙げられる。さらに、付加重合性末端を有す
る脂肪族ポリエステルも使用され得る。硬化性、粘度制
御の簡便性、コストなどを考慮すると、スチレンが好ま
しい。
上記付加重合性モノマーは、上記不飽和ポリエステル
100重量部に対して好ましくは25〜150重量部、さらに好
ましくは30〜120重量部、最も好ましくは40〜100重量部
の範囲で熱硬化性組成物中に含有される。含有量が25重
量部未満では、硬化性が不十分であるため、硬化物の機
械的強度などが低下する。150重量部を超えると、分解
溶液が硬化物に十分に浸透しないので、分解性が不十分
である。さらに、上記付加重合性モノマーが上記の範囲
で熱硬化性組成物中に含有されることにより、硬化時の
収縮率をより小さくすることが可能である。
さらに、本発明の好適な実施態様においては、付加重
合性モノマーとして、付加重合性末端を有する脂肪族ポ
リエステルが使用され得る。この付加重合性モノマーの
脂肪族ポリエステル部分が、後述の脂肪族ポリエステル
と同種の場合には、相溶性が非常に良好であり、未硬化
時の熱硬化性組成物の液状安定性に優れる。付加重合性
モノマーとして、付加重合性末端を有する脂肪族ポリエ
ステルを使用する場合には、その含有量、熱硬化性組成
物の硬化条件などは、脂肪族ポリエステルの分子量に依
存して変化し得る。
本発明に用いられる低収縮剤としては、脂肪族ポリエ
ステル以外の熱可塑性樹脂が用いられる。例えば、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリメチルメタクリレート、ポリ(エチレンビニ
ルアルコール)、アクリル系共重合体、メタクリル系共
重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、アク
リロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などの熱
可塑性樹脂が挙げられる。
上記低収縮剤は、上記不飽和ポリエステル100重量部
に対して好ましくは1〜100重量部、さらに好ましくは
1〜50重量部、最も好ましくは1〜20重量部の範囲で熱
硬化性組成物中に含有される。含有量が1重量部未満で
は、低収縮性、すなわち成形性が低下する。100重量部
を超えると、機械的強度が低下する。
本発明に用いられる脂肪族ポリエステルは、熱可塑性
飽和ポリエステルである。このようなポリエステルは、
後述の分解溶液に対して非常に優れた分解性を有する。
脂肪族ポリエステルとしては、式(IV)で表されるポリ
カプロラクトン、ポリプロピオラクトンのようなラクト
ンの開環重合により得られる重合体;式(V)で表され
るポリ乳酸、式(VI)で表されるポリグリコール酸のよ
うなヒドロキシ酸の重合体;ポリエチレンアジペート、
ポリブチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペー
ト、ポリエチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネ
ートのような式(VII)で表されるグリコールと脂肪族
ジカルボン酸とからなる共重合体;式(VIII)で表され
るポリカプロラクトンジオール、式(IX)で表されるポ
リカプロラクトントリオールのような末端に官能基を有
する重合体;式(X)で表されるような末端アクリル変
性ポリカプロラクトン;ポリ(3−ヒドロキシプロピオ
ナート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ
(3−ヒドロキシバリレート)、ポリ(3−ヒドロキシ
オクタノエート)のような、微生物の発酵により得られ
るポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)などが挙げら
れる。熱硬化性組成物が液状である場合にはその安定
性、ならびに硬化後に分解するときに分解性に優れ、か
つ分散性がよいという理由で、ポリカプロラクトン、ポ
リカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオ
ール、ポリ乳酸が好ましい。
ここで、n4〜n10、l1〜l2、およびm1〜m3は、各々独
立して10〜2,000であり、R1およびR2は、各々独立して
炭素数1〜20の炭化水素基である。
上記熱硬化性樹脂と上記脂肪族ポリエステルを含む熱
硬化性組成物の場合には、該脂肪族ポリエステルは、該
熱硬化性樹脂100重量部に対して好ましくは1〜100重量
部、さらに好ましくは2〜50重量部、最も好ましくは3
〜20重量部の範囲で熱硬化性組成物中に含有される。含
有量が1重量部未満では、分解溶液による分解性が不十
分である。100重量部を超えると、硬化後の機械的強度
が不十分である。
上記不飽和ポリエステルと上記脂肪族ポリエステルを
含む熱硬化性組成物の場合には、該脂肪族ポリエステル
は、該不飽和ポリエステル100重量部に対して好ましく
は1〜100重量部、さらに好ましくは2〜50重量部、最
も好ましくは3〜20重量部の範囲で熱硬化性組成物中に
含有される。含有量が1重量部未満では、分解溶液によ
る分解性が不十分である。100重量部を超えると、硬化
後の機械的強度が不十分である。
さらに、後述のように、熱硬化性組成物に充填材を添
加してモールド材を調製する場合には、上記脂肪族ポリ
エステルは、充填材を添加しない場合よりも若干多量に
含有されることが好ましい。なぜなら、充填材による空
間の増加分にも、脂肪族ポリエステルを十分に分散させ
るためである。例えば、不飽和ポリエステルと付加重合
性モノマーとの混合物100重量部に脂肪族ポリエステル
5重量部を添加して調製した熱硬化性組成物について説
明する。この熱硬化性組成物に、さらに炭酸カルシウム
150重量部を添加してモールド材を調製する場合には、
以下の理由により、脂肪族ポリエステルは、上記混合物
100重量部に対して5重量部ではなく7.7重量部添加され
る。炭酸カルシウムの比重は2.7なのでモールド材の体
積は炭酸カルシウムにより約55.6体積部(=150/2.7)
増加する。従って、脂肪族ポリエステルが、体積増加前
と同様に分散するためには、2.7重量部(5×55.6/10
0)を追加する必要がある。
本発明に用いられるフェノール樹脂は、フェノール類
とホルムアルデヒドとから公知の方法により重合して得
られる。フェノール樹脂は、酸性触媒下で得られるノボ
ラック樹脂とアルカリ触媒下で得られるレゾール樹脂と
に大別される。ノボラック樹脂は硬化剤と共に加熱する
ことにより硬化し、レゾール樹脂は加熱のみにより硬化
する。本発明においては、ノボラック樹脂好ましい。さ
らに、本発明においては、側鎖に脂肪族ポリエステル部
分を有するフェノール樹脂も好適に用いられる。
上記フェノール樹脂と上記脂肪族ポリエステルを含む
熱硬化性組成物の場合には、該脂肪族ポリエステルは、
このフェノール樹脂100重量部に対して好ましくは1〜1
00重量部、さらに好ましくは1〜50重量部、最も好まし
くは1〜20重量部の範囲で熱硬化性組成物中に含有され
る。含有量が1重量部未満では、分解溶液による分解性
が不十分である。100重量部を超えると、硬化後の機械
的強度が不十分である。
本発明に用いられるエポキシ樹脂としては、グリシジ
ルエーテル型樹脂、グリシジルエステル型樹脂、グリシ
ジルアミン型樹脂、エポキシノボラック樹脂、脂環式エ
ポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂
などが挙げられる。ビスフェノールAとエピクロロヒド
リンとから得られるグリシジルエーテル型樹脂が好まし
い。さらに、本発明においては、式(XI)で表されるよ
うな側鎖に脂肪族ポリエステル部分を有するエポキシ樹
脂も好適に用いられる。
ここで、n11〜n12は、各々独立して1〜30である。
上記エポキシ樹脂と上記脂肪族ポリエステルを含む熱
硬化性組成物の場合には、該脂肪族ポリエステルは、こ
のエポキシ樹脂100重量部に対して好ましくは1〜100重
量部、さらに好ましくは1〜50重量部、最も好ましくは
1〜20重量部の範囲で熱硬化性組成物中に含有される。
含有量が1重量部未満では、分解溶液による分解性が不
十分である。100重量部を超えると、硬化後の機械的強
度が不十分である。
本発明の熱硬化性組成物は、好ましくは、硬化剤を含
有し得る。
上記不飽和ポリエステルの硬化剤としては、過酸化ベ
ンゾイル、tブチルパーベンゾエート、tブチルパーオ
キシベンゾエート、tブチルパーオキシラウレート、t
ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tブチ
ルパーオクトエートなどが挙げられる。
上記硬化剤は、上記不飽和ポリエステルおよび上記付
加重合性モノマーの合計100重量部に対して好ましくは
0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.3〜4重量部、最も
好ましくは0.5〜3重量部の範囲で熱硬化性組成物中に
含有される。含有量が0.1重量部未満では、硬化が不十
分である。5重量部を超えると、硬化後の3次元網目中
に存在する硬化剤の量が多くなりすぎるため、硬化後の
機械的強度が不十分となる。
上記フェノール樹脂および上記エポキシ樹脂の硬化剤
としては、ベンジルメチルアミン、ヘキサメチレンテト
ラミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニル
メタン、ジアミノジフェニルスルフォンなどが挙げられ
る。
上記硬化剤の好ましい含有量は、上記フェノール樹脂
としてノボラック樹脂を使用する場合には、ノボラック
樹脂100重量部に対して好ましくは5〜100重量部、さら
に好ましくは5〜40重量部、最も好ましくは7〜20重量
部の範囲で熱硬化性組成物中に含有される。上記エポキ
シ樹脂を使用する場合においてもほぼ同様である。
本発明の熱硬化性組成物は、硬化後に、少なくとも塩
基を含有する分解溶液により該脂肪族ポリエステルが分
解されることによって、分解が促進される。
好ましくは、本発明の熱硬化性組成物は、硬化後に、
塩基と、水、メタノール、エタノール、およびエチレン
グリコールでなる群から選択される少なくとも1種の溶
剤とを含有する分解溶液により、該分解溶液の沸点より
低い温度で容易に分解され得るような分解性を有する。
この分解溶液による熱硬化性組成物の分解は、溶液中の
塩基により発生する水酸イオンが触媒となり熱硬化性組
成物中の上記脂肪族ポリエステルのエステル結合を加水
分解し、かつ、上記熱硬化性樹脂の縮合性結合を分解す
ることにより行われる。
分解溶液に含まれる塩基としては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムのような金属水酸化物、酸化ナトリ
ウム、酸化カルシウムのような金属酸化物、ナトリウム
エトキシド、カリウムt−ブトキシドのような金属アル
コキシドなどが挙げられる。これらは単独で、あるいは
2種以上を混合して使用され得る。
分解溶液に含まれる主溶剤は、水、メタノール、エタ
ノール、およびエチレングリコールでなる群から選択さ
れ得る。これらは単独で、あるいは2種以上を混合して
使用され得る。
分解溶液には、アセトン、2−ブタノン、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テト
ラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジエチレングリコ
ール、ジエチレングリコールモノエステル、ジエチレン
グリコールジエステル、ジカルボン酸ジエステル、酢酸
メチル、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、フェノール
でなる群から選択される少なくとも1種の補助溶剤が、
さらに含有されてもよい。
塩基は、溶液中に好ましくは0.1〜50重量%、さらに
好ましくは1〜30重量%、最も好ましくは2〜20重量%
の範囲で含有される。含有量が0.1重量%未満では、加
水分解時の触媒効果が低下する。50重量%を超えると、
分解溶液の調製が困難である。さらに、分解溶液の粘度
が高くなるため、硬化物に対する浸透性が低下し、従っ
て分解能力が低下する。
主溶剤は、溶剤中に好ましくは5〜100重量%、さら
に好ましくは30〜90重量%、最も好ましくは50〜80重量
部%の範囲で含有される。上記範囲で主溶剤と補助溶剤
とを含有することにより、室温または分解溶液の沸点以
下の温度で、分解溶液の脂肪族ポリエステルに対する相
溶性、すなわち分解溶液の硬化物に対する浸透性と、分
解溶液の水酸イオン発生能力、すなわち脂肪族ポリエス
テルのエステル結合分解能力とが、共に優れたものとな
る。従って、分解溶液の分解能力が非常に優れたものと
なる。
本発明の熱硬化性組成物は、硬化および未硬化のいず
れの形態でもあり得る。つまり、射出成形、トランスフ
ァー成形などを行って得られる成形硬化物の形態だけで
なく、積層品、塗料、パテ、接着剤のような種々の形態
を含み、これらが分解溶液により分解され得る。
さらに、本発明の熱硬化性組成物を用いた成形体は、
高湿条件下でも使用され得る。すなわち、水だけでは硬
化後の組成物の3次元網目構造が容易に破壊されないの
で、高湿条件下でも、硬化後の優れた特性(例えば、機
械的強度)が維持される。
本発明のモールド材は、本発明の熱硬化性組成物を少
なくともバインダー材として含有する。このモールド材
は、必要に応じて、充填材、増粘剤、離型剤、ワック
ス、着色剤などを添加し得る。
充填材としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム
のような炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、亜硫
酸カルシウムのような(亜)硫酸塩、クレー、マイカ、
ガラスバルーン、モンモリロナイト、ケイ酸、カオリ
ン、タルクのようなケイ酸塩類、シリカ、珪燥土、酸化
鉄、軽石バルーン、酸化チタン、アルミナのような酸化
物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムのような
水酸化物、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維、アス
ペスト繊維などの無機充填材;ならびに、木粉、もみ
殻、木綿、紙細片、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維、
木材、パルプ、セルロースなどの有機充填材などが挙げ
られる。
操作性が要求される軽量の成形体が所望の場合には、
ポリエチレン繊維が好ましい。ポリエチレン繊維を充填
材として含有するモールド材は、軽量性を考慮した比強
度および比弾性率において、他のFRPよりも優れてい
る。
上記充填材は、熱硬化性組成物100重量部に対して好
ましくは5〜600重量部、さらに好ましくは20〜500重量
部、最も好ましくは40〜450重量部の範囲で添加され
る。このような範囲で充填材を添加することにより、モ
ールド材の機械的強度が向上する。さらに、上記脂肪族
ポリエステルが硬化物中で十分に分散するので、分解溶
液の浸透性が向上し、モールド材の分解性が向上する。
増粘剤としては、酸化ベリリウム、酸化マグネシウ
ム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カル
シウム、酸化亜鉛、安息香酸、無水フタル酸、テトラヒ
ドロ無水フタル酸、無水マレイン酸などが挙げられる。
離型剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、
ステアリン酸カルシウムなどが挙げられる。
ワックスとしては、ヘキストワックス、カルナバワッ
クス、パラフィンなどが挙げられる。
着色剤としては、チタンホワイト、酸化クロム、カー
ボンブロックなどが挙げられる。
上記モールド材は、バルクモールディングコンパウン
ド(BMC)、シートモールディングコンパウンド(SM
C)、ペレットタイプモールディングコンパウンド(PM
C)などの形態をとり得る。このモールド材は、射出成
形、トランスファー成形、圧縮成形などにより成形され
得る。
成形条件は、公知の条件が適用され得る。例えば、射
出成形の場合には、金型温度150℃、射出圧力150kg/c
m2、硬化時間5分の条件が好適に用いられる。
このモールド材から得られる最終成形品は、浴槽、便
槽、貯水槽、洗面台のような建設資材;椅子、机、家具
のような家庭用品;タイル、人工大理石、パイプのよう
な土木資材;船舶、自動車、鉄道、航空機のような輸送
機器のボディや部品;住宅機器;化粧板;装飾品などの
様々な分野で使用され得る。
本発明のモールド構造体は、少なくとも金属類を含ん
で一体成形された本発明のモールド材からなるモールド
部を有する。以下、本発明のモールド構造体の一例とし
てのモールドモータについて、図面を参照して好適な実
施態様を説明する。
図1を用いて、本発明のモールド構造体の一例である
モールドモータの第一の好適な実施態様を説明する。図
1は、本発明のモールド構造体の一例であるモールドモ
ータの一実施態様を示す断面図である。モールドモータ
は、モータ部101と、モールドステータ1とから構成さ
れる。モールドステータ1は、鉄芯4、鉄芯4の少なく
とも一部を覆う絶縁体7、鉄芯4および絶縁体7に巻装
された巻線3、ならびに、鉄芯4、絶縁体7、および巻
線3と一体成形されたモールド材からなり、その最外部
がモールドステータ1の最外部を規定するモールド部2
を有する。モータ部101は、モールド部2の開口部に取
り付けられ、回転子シャフト102と回転子シャフトに取
り付けられた回転子103とを少なくとも備えており、ブ
ラケット104により支持されている。回転子103は、開口
部の上壁に取り付けられたベアリング105とブラケット
に取り付けられたベアリング106とにより軸支されてい
る。図示していないが、巻線3の端末部は、モールドス
テータのシャフトの上に位置する部分まで延び、そこで
リード線と接続され、外部からの入力が可能となってい
る。さらに、モールドステータ1は、複数の取付孔6を
有するフランジ部5を備えていてもよい。
モールド部2を構成するモールド材は、上述の熱硬化
性組成物を少なくともバインダー材として含有する。
モールド部の最大厚み部分の厚みは、用途に応じて変
化し得るが、本発明においては、好ましくは0.1〜20m
m、さらに好ましくは0.2〜10mm、最も好ましくは0.2〜5
mmである。
絶縁体7としては、例えば、脂肪族ポリエステル、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレンのような熱可
塑性樹脂が使用され得る。絶縁体7には、モールド時の
巻線3の形状保存効果が要求されるので、モールド時に
軟化しないように、軟化点または融点が、モールド時の
温度、例えば約100℃以上のものが好ましい。絶縁体7
に脂肪族ポリエステルを用いると、分解時に、巻線3と
鉄芯4との分離が可能となるため、特に好ましい。融点
が100℃を超える脂肪族ポリエステルとしては、例え
ば、式(VII)に示す共重合樹脂が挙げられる。
図2を用いて、本発明のモールド構造体の一例である
モールドモータの第二の好適な実施態様を説明する。図
2は、本実施態様におけるモールドモータの拡大部分断
面図である。以下、図面の符号は、1の位の数字が図1
の対応する構成部分と同一で、10の位の数字が図の番号
と同一である。
本実施態様は、モールド部22が、内部モールド部22a
と外部モールド部22bとを有する場合である。図2に示
すように、モールドステータ21は、鉄芯24、鉄芯24の少
なくとも一部を覆う絶縁体27、鉄芯24および絶縁体27に
巻装された巻線23、ならびに、鉄芯24、絶縁体27、およ
び巻線23と一体成形されたモールド材からなるモールド
部22を有する。モールド部22は、鉄芯24の少なくとも一
部を覆う内部モールド部22aと、内部モールド部22aの外
側に存在し、その最外部がモールドステータ21の最外部
を規定する外部モールド部22bとを有する。
内部モールド部22aは、脂肪族ポリエステルを主成分
とする。ここで、主成分とは、モールド材中での含有量
が最大であり、かつ、その含有量がモールド材全体に対
して30重量%以上のものを意味する。例えば、内部モー
ルド部22aは、上述の脂肪族ポリエステルのみで、ある
いは脂肪族ポリエステル含有量が多い本発明のモールド
材で構成され得、外部モールド部22bは、脂肪族ポリエ
ステル含有量が少ない本発明のモールド材または脂肪族
ポリエステルを含まない従来のモールド材で構成され得
る。
外部モールド部の最大厚み部分の厚みは、用途に応じ
て変化し得るが、本発明においては、好ましくは0.1〜2
0mm、さらに好ましくは0.2〜10mm、最も好ましくは0.2
〜5mmである。
内部モールド部の厚みも、外部モールド部と同様に、
用途に応じて変化し得るが、本発明においては、好まし
くは0.5〜10mm、さらに好ましくは1〜7mm、最も好まし
くは2〜5mmである。
このような構成を有する本実施態様のモールドステー
タは、図1に示すようにモールドステータに比べて、環
境安定性により優れている。例えば、外部モールド部22
bに脂肪族ポリエステルの含有量が少ないモールド材ま
たは脂肪族ポリエステルを含まない従来のモールド材を
用いることにより、脂肪族ポリエステルが分解しやすい
高温多湿状態でも使用可能なモールドステータが作成さ
れ得る。
さらに、例えば、外部モールド部22bに脂肪族ポリエ
ステルの含有量が少ないモールド材を使用する場合に
は、内部モールド部22aを脂肪族ポリエステルのみで構
成することが可能である。この場合には、分解時に内部
モールド部22aが残留せず、鉄芯や巻線のリサイクルが
より容易になる。すなわち、脂肪族ポリエステルは、本
発明に用いられる分解溶液に対する溶解性が非常に高
く、かつ、架橋していないので、分解終了時(つまり外
部モールド部22bが分離可能な時点)には、内部モール
ド部22aは分解溶液にほとんど溶解している。従って、
分解終了時には、鉄芯や巻線の洗浄が実質的に終了して
いる。
図3を用いて、図2に示す実施態様のさらに好ましい
場合を説明する。図3は、本実施態様におけるモールド
モータの拡大部分断面図である。
この態様は、モールド部32が、内部モールド部32aと
外部モールド部32bとを有し、かつ、外部モールド部32b
の側面部に切り欠き部38が形成されている場合である。
図3に示すように、モールドステータ31は、鉄芯34、鉄
芯34の少なくとも一部を覆う絶縁体37、鉄芯34および絶
縁体37に巻装された巻線33、ならびに、鉄芯34、絶縁体
37、および巻線33と一体成形されたモールド材からなる
モールド部32を有する。モールド部32は、鉄芯34の少な
くとも一部を覆う内部モールド部32aと、内部モールド
部32aの外側に存在し、その最外部がモールドステータ3
1の最外部を規定する外部モールド部32bとを有する。外
部モールド部32bの側面部表面には、切り欠き部38が形
成されている。
内部モールド部32aは、図2に示す実施態様と同様
に、外部モールド部32bよりも分解し易いモールド材で
構成することが好ましい。
切り欠き部38は、ノコギリ、ノミなどによるキズつ
け、あるいは、ドリルによる開口などにより形成され得
る。
切り欠き部38は、外部モールド部の頂部表面または底
部表面に形成してもよい。
このような構成を有する本実施態様のモールドステー
タは、切り欠き部38の効果により、分解溶液と接触する
モールド材表面積を増大させ、かつ、内部モールド部32
aを容易に表出するため、分解が促進される。
図4を用いて、本発明のモールド構造体の一例である
モールドモータの第三の好適な実施態様を説明する。図
4は、本実施態様におけるモールドモータの拡大部分断
面図である。
本実施態様は、絶縁体47の一部が、外部モールド部42
b表面に表出している場合である。図4に示すように、
モールドステータ41は、鉄芯44、鉄芯44の少なくとも一
部を覆う絶縁体47、鉄芯44および絶縁体47に巻装された
巻線43、ならびに、鉄芯44、絶縁体47、および巻線43と
一体成形されたモールド材からなるモールド部42を有す
る。モールド部42は、鉄芯44の少なくとも一部を覆う内
部モールド部42aと、内部モールド部42aの外側に存在
し、その最外部がモールドステータ41の最外部を規定す
る外部モールド部42bとを有する。絶縁体47の一部は、
外部モールド部42bを洞貫し、外部モールド部42b表面に
表出している。
本実施態様においては、絶縁体47としては、脂肪族ポ
リエステルが好ましい。
このような構成を有する本実施態様のモールドステー
タは、絶縁体47に表出部47aが存在するため、この表出
部47aに分解溶液が直接接触し、該表出部47aから絶縁体
の内部、さらにモールド部42まで順次容易に分解する。
従って、巻線43や鉄芯44の分離が極めて容易である。
本実施態様は、図4に示すような内部モールド部およ
び外部モールド部を有するモールド部で構成されるモー
ルドステータだけでなく、図1に示すような単一のモー
ルド部で構成されるモールドステータにも適用され得
る。
図5を用いて、図4に示す実施態様のさらに別の場合
を説明する。図5は、本実施態様におけるモールドモー
タの拡大部分断面図である。
本実施態様は、内部モールド部52aの一部が、外部モ
ールド部52bの外部表面に表出している場合である。図
5に示すように、モールドステータ51は、鉄芯54、鉄芯
54の少なくとも一部を覆う絶縁体57、鉄芯54および絶縁
体57に巻装された巻線53、ならびに、鉄芯54、絶縁体5
7、および巻線53と一体成形されたモールド材からなる
モールド部52を有する。モールド部52は、鉄芯54の少な
くとも一部を覆う内部モールド部52aと、内部モールド
部52aの少なくとも一部を覆い、その最外部がモールド
ステータ51の最外部を規定する外部モールド部52bとを
有する。内部モールド52aの一部は、外部モールド部52b
を洞貫し、外部モールド部52b表面に表出している。
内部モールド部52aは、外部モールド部52bよりも分解
し易いモールド材で構成することが好ましい。すなわ
ち、外部モールド部52aを構成するモールド材の脂肪族
ポリエステル含有量が、内部モールド部52bを構成する
モールド材の脂肪族ポリエステル含有量よりも多いこと
が好ましい。例えば、内部モールド部52aは、上述の脂
肪族ポリエステルのみで、あるいは脂肪族ポリエステル
含有量が多い本発明のモールド材で構成され得、外部モ
ールド部52bは、脂肪族ポリエステル含有量が少ない本
発明のモールド材または脂肪族ポリエステルを含まない
従来のモールド材で構成され得る。
図4に示した場合と同様に、このような構成を有する
本実施態様のモールドステータは、分解し易い内部モー
ルド部52aがモールド部52の外部表面に表出するため、
分解溶液と直接接触し、内部モールド部52aの表出部分
から内部まで順次容易に分解する。従って、巻線53や鉄
芯54の分離が極めて容易である。
図6を用いて、本発明のモールド構造体の一例である
モールドモータの第四の好適な実施態様を説明する。図
6は、本実施態様におけるモールドモータの拡大部分断
面図である。
本実施態様は、モールド部62を形成するモールド材
に、充填材69として脂肪族ポリエステルが含有されてい
る場合である。図6に示すように、モールドステータ61
は、鉄芯64、鉄芯64の少なくとも一部を覆う絶縁体67、
鉄芯64および絶縁体67に巻装された巻線63、ならびに、
鉄芯64、絶縁体67、および巻線63と一体成形されたモー
ルド材からなり、その最外部がモールドステータ61の最
外部を規定するモールド部62を有する。モールド部62に
は、充填材69が分散している。
充填材としての脂肪族ポリエステルは、モールド材中
の各成分に対して溶解性の低いものが好ましい。この充
填材は、針状、繊維状、あるいは粒状であってもよい。
このような構成を有する本実施態様のモールドステー
タは、モールド部62中の脂肪族ポリエステルからなる充
填材部分が、分解時に優先的に分解され、モールド部に
多数の空隙が形成される。そのため、モールド部の機械
的強度が十分に低下し、かつ、空隙部分からクラックが
発生しやすくなる。従って、打撃などにより、巻線63や
鉄芯64の分離が極めて容易である。
本発明のモールド構造体の一例であるモールドモータ
は、プラシレス直流モータ、交流モータ、リニアモータ
などに適用され得る。
本発明のモールド構造体の一例であるモールドモータ
は、上述の好適な実施態様の構成を適宜組み合わせるこ
とにより、より容易に分解され得る。
モールドモータ以外のモールド構造体についても、上
述のモールドモータに対する好適な実施態様の構成を適
宜組み合わせることにより、同様の効果が得られる。
本発明の熱硬化性組成物、モールド材、およびモール
ド構造体の分解処理方法は、上述の、塩基と、水、メタ
ノール、エタノール、およびエチレングリコールでなる
群から選択される少なくとも1種の溶剤とを含有する分
解溶液に浸漬する工程を包含する。
浸漬時間は、温度に依存して変化し得る。例えば、60
℃の分解溶液に浸漬する場合には、分解処理に要する時
間は、室温の分解溶液に浸漬する場合の約6分の1まで
短縮される。ただし、上記溶剤の揮発を避けるため、分
解溶液の温度は上記溶剤の沸点未満であることが望まし
い。
本発明のモールド構造体の他の分解処理方法は、切削
または開孔により該内部モールド部の少なくとも一部を
表出させる工程、および、該モールド構造体を、脂肪族
ポリエステルに対する良溶剤、または、塩基と、水、メ
タノール、エタノール、およびエチレングリコールでな
る群から選択される少なくとも1種の溶剤とを含有する
分解溶液に浸漬する工程を包含する。
上記内部モールド部の表出は、ノコギリ、ノミなどに
よるキズつけ、あるいは、ドリルによる開口などにより
行われる。
良溶剤としては、トルエン、キシレンのような芳香族
炭化水素;メチルエチルケトン、アセトンのようなケト
ン類;酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類;ト
リクレンなどが挙げられる。
上記良溶剤を用いる場合の浸漬時間は、温度および分
解溶液の種類に依存して変化し得る。例えば、室温でト
ルエンに浸漬する場合には、24時間で脂肪族ポリエステ
ルがほぼ分解される。
脂肪族ポリエステルは、一般に、生分解性を有する。
従って、脂肪族ポリエステルを表出させた場合には、脂
肪族ポリエステルの分解酵素であるリパーゼを含有する
水溶液、あるいは土または海水に浸漬することにより脂
肪族ポリエステル部分の分解も可能である。ただし、分
解には非常に長時間を要する。
本発明の第一の熱硬化性組成物は、上記のように、熱
硬化性樹脂および脂肪族ポリエステルを含有する。この
熱硬化性組成物の硬化後においては、脂肪族ポリエステ
ルが硬化物の3次元網目構造中に分散している。脂肪族
ポリエステルのエステル結合は、熱硬化性樹脂の縮合性
結合よりもはるかに塩基により分解されやすい。すなわ
ち、脂肪族ポリエステルの存在により、分解溶液が硬化
物の3次元網目構造全体に容易に浸透し、浸透した分解
溶液によって脂肪族ポリエステルが分解されることによ
り、分解溶液の浸透がさらに促進される。その結果、熱
硬化性樹脂の縮合性結合と分解溶液との反応機会が増大
し、熱硬化性組成物の分解が促進される。
本発明の第二の熱硬化性組成物は、不飽和ポリエステ
ル、付加重合性モノマー、脂肪族ポリエステル以外の低
収縮剤、および脂肪族ポリエステルを含有する。この熱
硬化性組成物の硬化後においては、脂肪族ポリエステル
が硬化物の3次元網目構造中に分散している。従って、
硬化後の本発明の熱硬化性組成物は、以下の理由で、塩
基と、水、メタノール、エタノール、およびエチレング
リコールでなる群から選択される少なくとも1種の溶剤
とを含有する分解溶液により容易に分解されるような分
解性を有する。
上記脂肪族ポリエステルは、上記分解溶液に対する溶
解性に優れている。従って、この分解溶液と、上記3次
元網目構造中の脂肪族ポリエステルとの間に、引き合う
相互作用が生じる。上述のように、脂肪族ポリエステル
は3次元網目構造中に分散しているので、分解溶液は、
硬化物の3次元網目構造全体に容易に浸透する。このよ
うに浸透した分解溶液は、塩基の作用により、脂肪族ポ
リエステルおよび不飽和ポリエステルのエステル結合を
分解する。このようにして、硬化物の3次元網目構造
は、分解溶液の沸点以下の温度で、迅速に、硬化物とし
ての形態を維持できないほどに分解される。
さらに、この熱硬化性組成物は、従来の熱硬化性組成
物と同等の成形性および硬化後の機械的強度を有してい
る。
上記熱硬化性組成物において、付加重合性モノマーが
付加重合性末端を有する脂肪族ポリエステルである場合
には、付加重合性モノマーの脂肪族ポリエステル部分
が、硬化物の3次元網目構造の一部を形成し、かつ、上
記脂肪族ポリエステルが、3次元網目構造中に均一に分
散している。従って、これら両方の脂肪族ポリエステル
の効果により、上記メカニズムの分解がより促進される
ため、硬化物の分解が、より容易に行われる。さらに、
付加重合性モノマーと脂肪族ポリエステルとの相溶性が
より優れているので、熱硬化性組成物の液状安定性もよ
り優れたものとなる。
さらに、分解溶液中に、アセトン、2−ブタノン、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサ
ン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジエチレ
ングリコール、ジエチレングリコールモノエステル、ジ
エチレングリコールジエステル、ジカルボン酸ジエステ
ル、酢酸メチル、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、フ
ェノールでなる群から選択される少なくとも1種を補助
溶剤として含有させることにより、分解溶液の硬化物に
対する浸透性、および硬化物の分解生成物の分解溶液に
対する溶解性が増加する。その結果、硬化物の分解がよ
り促進される。
本発明の第三の熱硬化性組成物は、不飽和ポリエステ
ル、付加重合性モノマー、ポリカプロラクトン、そして
好ましくは脂肪族ポリエステルを含有する。この熱硬化
性組成物においては、ポリカプロラクトンは低収縮剤と
しても機能する。さらに、ポリカプロラクトンは脂肪族
ポリエステルであるので、ポリカプロラクトン以外の脂
肪族ポリエステルとの相溶性に非常に優れている。従っ
て、熱硬化性組成物の調製がより容易であり、熱硬化性
組成物の液状安定性により優れている。
この熱硬化性組成物は、ポリカプロラクトンが脂肪族
ポリエステルの1種であるため、分解溶液による分解性
がより優れている。さらに、ポリカプロラクトンを含有
させることにより、熱硬化性組成物の優れた成形性およ
び硬化後の優れた機械的強度が維持される。
本発明の第四の熱硬化性組成物は、脂肪族ポリエステ
ル、ならびにフェノール樹脂またはエポキシ樹脂を含有
する。この熱硬化性組成物においても、脂肪族ポリエス
テルの効果により、上述と同様のメカニズムで、硬化後
のフェノール樹脂またはエポキシ樹脂の3次元網目構造
が容易に分解される。
本発明のモールド材は、上記熱硬化性組成物をバイン
ダー材として含有する。バインダー材に含有される脂肪
族ポリエステルの効果により、上述と同様のメカニズム
で、バインダー材の3次元網目構造が容易に分解され
る。従って、本発明のモールド材は、塩基と、水、メタ
ノール、エタノール、およびエチレングリコールでなる
群から選択される少なくとも1種の溶剤とを含有する分
解溶液により容易に分解される。
本発明のモールド構造体は、上記モールド材からなる
モールド部を有するので、モールド材のバインダー材に
含有される脂肪族ポリエステルの効果により、上述と同
様のメカニズムで、バインダー材の3次元網目構造が容
易に分解される。従って、本発明のモールド構造体は、
塩基と、水、メタノール、エタノール、およびエチレン
グリコールでなる群から選択される少なくとも1種の溶
剤とを含有する分解溶液により容易に分解されるので、
金属類の分離が容易であり、有価物のリサイクルの観点
から極めて有効である。
さらに、本発明のモールド構造体が、外部モールド部
と内部モールド部とを有するモールド部を備え、かつ、
内部モールド部がより分解しやすいモールド材からなる
場合には、内部モールド部が短時間で分解するため、モ
ールド構造体内部が空洞状態となる。従って、金属類の
分解がより容易になる。
以上のように、本発明の熱硬化性組成物、該組成物を
含むモールド材および該モールド材を用いたモールド構
造体は、これらの含有される脂肪族ポリエステルが、塩
基と、水、メタノール、エタノール、およびエチレング
リコールでなる群から選択される少なくとも1種の溶剤
とを含有する分解溶液に対して優れた分解性を有するの
で、該分解溶液により容易に(すなわち、分解溶液の沸
点以下の温度で、迅速に)分解される。さらに、上記脂
肪族ポリエステルは、該組成物の硬化による3次元網目
構造の形成を妨害しないので、従来と同様の優れた成形
性および機械的強度が維持される。
実施例 (実施例1) 不飽和ポリエステルとして、30重量%のスチレンを含
有するマレイン酸/フタル酸/プロピレングリコールの
モル比1/1/2の共重合体(日本触媒社製、エポラック)5
6重量部、付加重合性モノマーとしてスチレン38重量
部、低収縮剤としてポリスチレン5重量部、およびポリ
カプロラクトン(分子量4万、ダイセル化学社製、プラ
クセル)6重量部を混合した。硬化剤としてt−ブチル
パーオキシベンゾエイト(日本油脂社製、パーブチル
Z)を、この混合物100重量部に対して1重量部の割合
で加え、熱硬化性組成物を得た。次いで、この組成物を
厚さ1mmの箱状型に流し込み、120℃で30分間加熱するこ
とにより、この組成物を硬化させた。硬化後の組成物を
10×20×1mmの板状に切り出し、分解処理試験用試料と
した。
次いで、水酸化ナトリウム1gとエタノール30gとを混
合し、分解溶液を調製した。上記試料をこの分解溶液に
室温で浸漬し、時間変化に伴う重量減少を観察した。結
果を表1に示す。
(比較例1) ポリカプロラクトンを含まなかったこと以外は実施例
1と同様にして試料を作成し、実施例1と同様の試験を
行った。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、ポリカプロラクトンを含ま
ない比較例1の熱硬化性組成物から得られた試料は、浸
漬から500時間経過してもわずか1%しか重量が減少し
ないのに対して、ポリカプロラクトンを含む実施例1の
熱硬化性組成物から得られた試料は、浸漬から50時間で
重量が17%減少した。この減少量は、実施例1の熱硬化
性組成物中のポリカプロラクトン含有量(約5.7重量
%)を大きく上回るものであり、ポリカプロラクトン以
外の成分も多量に分解されていることを示している。分
解処理試験後の分解溶液のNMR測定によれば、不飽和ポ
リエステルに含有されるフタル酸の存在が確認されてお
り、ポリカプロラクトンのエステル結合だけでなく、不
飽和ポリエステルのエステル結合の50%以上が分解され
ていることがわかる。このように、脂肪族ポリエステル
の1種であるポリカプロラクトンを含有することによ
り、熱硬化性組成物の分解性が顕著に向上する。
浸漬から50時間後の実施例1の試料の状態を目視で観
察したところ、いくつもの断片に分解され、硬化物とし
ての形状を維持していなかった。
さらに、実施例1の熱硬化性組成物の硬化性(ゲル化
時間および硬化時間)ならびに射出成形性およびトラン
スファー成形性(スパイラルフロー長さ)は、実用上全
く問題なかった。さらに、硬化後の組成物の外観および
機械的強度も、実用上全く問題なかった。
以上のように、実施例1の熱硬化性組成物は、従来の
熱硬化性組成物の優れた特性を維持しつつ、塩基とエタ
ノールとを含む分解溶液により、室温で容易に分解処理
される。
(実施例2) 不飽和ポリエステル(日本触媒社製、エポラック)56
重量部、付加重合性モノマーとしてスチレン38重量部、
低収縮剤としてポリスチレン6重量部、および脂肪族ポ
リエステルとしてポリカプロラクトンジオール(分子量
2000、ダイセル化学社製、プラクセル200)6重量部を
混合した。硬化剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエ
イト(日本油脂社製、パーブチルZ)を、この混合物10
0重量部に対して1重量部の割合で加え、熱硬化性組成
物を得た。次いで、この組成物を厚さ1mmの箱状型に流
し込み、120℃で30分間加熱することにより、この組成
物を硬化させた。硬化後の組成物を10×20×1mmの板状
に切り出し、分解処理試験用試料とした。
次いで、水酸化ナトリウム1g、メタノール15g、およ
び水15gを混合し、分解溶液を調製した。上記試料をこ
の分解溶液に室温で浸漬し、時間変化に伴う重量減少を
観察した。結果を表2に示す。
(実施例3) ポリカプロラクトンジオールの代わりにポリ乳酸6重
量部を使用したこと以外は実施例2と同様にして試料を
作成し、実施例2と同様の試験を行った。結果を表2に
示す。
(実施例4) ポリカプロラクトンジオールの代わりにポリカプロラ
クトントリオール(分子量3000、ダイセル化学社製、プ
ラクセル300)6重量部を使用したこと以外は実施例2
と全く同様にして試料を作成し、実施例2と同様の試験
を行った。結果を表2に示す。
(実施例5) 実施例2と同様にして試料を作成した。メタノールを
含まない分解溶液(水酸化ナトリウム1gと水30gとを混
合して調製したもの)を使用したこと、および分解溶液
の温度を80℃としたこと以外は実施例2と同様の試験を
行った。結果を表2に示す。
(実施例6) 実施例2と同様にして試料を作成した。水の代わりに
エチレングリコールを含む分解溶液(水酸化ナトリウム
1g、メタノール15g、およびエチレングリコール15gとを
混合して調製したもの)を使用したこと以外は実施例2
と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例2〜6において、塩
基と、水、メタノール、またはエチレングリコールとを
含む分解溶液で処理された試料は、浸漬から200時間
で、重量が最小でも17%減少し、優れた分解性を示し
た。実施例2と実施例5とを比較すると、水酸化ナトリ
ウムおよび水からなる分解溶液は、80℃まで加熱するこ
とにより、水酸化ナトリウム、メタノールおよび水から
なる分解溶液と同等の分解性を有した。実施例2と実施
例6とを比較すると、溶剤としてメタノールと水とを用
いた分解溶液の方が、溶剤としてメタノールとエチレン
グリコールとを用いた分解溶液よりも分解能力に優れて
いた。
さらに、浸漬から200時間後の試料の状態を目視で観
察したところ、粉砕、変形などの処理が容易に行えるよ
うな柔らかいゴム状であった。
以上のように、実施例2〜6の熱硬化性組成物は、従
来の熱硬化性組成物の優れた特性を維持しつつ、塩基
と、水、メタノール、またはエチレングリコールとを含
む分解溶液により、室温で、または分解溶液の沸点以下
の温度で容易に分解処理される。
(実施例7) 不飽和ポリエステル(日本触媒社製、エポラック)56
重量部、付加重合性モノマーとしてスチレン38重量部、
低収縮剤としてポリスチレン6重量部、およびポリカプ
ロラクトン(分子量4万、ダイセル化学社製、プラクセ
ル)6重量部を混合した。硬化剤としてt−ブチルパー
オキシラウレート(日本油脂社製、パーブチルZ)を、
この混合物100重量部に対して1重量部の割合で加え、
熱硬化性組成物を得た。次いで、この組成物を厚さ1mm
の箱状型に流し込み、120℃で30分間加熱することによ
り、この組成物を硬化させた。硬化後の組成物を10×20
×1mmの板状に切り出し、分解処理試験用試料とした。
次いで、水酸化ナトリウム1g、メタノール27g、およ
び水3gを混合し、分解溶液を調製した。上記試料をこの
分解溶液に室温で浸漬し、時間変化に伴う重量減少を観
察した。結果を表3に示す。
(実施例8) 低収縮剤であるポリスチレン使用しなかったこと以外
は実施例7と同様にして試料を作成し、実施例7と同様
の試験を行った。結果を表3に示す。
(実施例9) ポリカプロラクトンの代わりにポリカプロラクトンジ
オール(分子量2000、ダイセル化学社製、プラクセル20
0)6重量部を使用したこと以外は実施例7と同様にし
て試料を作成し、実施例7と同様の試験を行った。結果
を表3に示す。
(実施例10) ポリカプロラクトンジオール(分子量2000、ダイセル
化学社製、プラクセル200)6重量部をさらに追加使用
したこと、および低収縮剤であるポリスチレン使用しな
かったこと以外は実施例7と同様にして試料を作成し、
実施例7と同様の試験を行った。結果を表3に示す。
(比較例2) ポリカプロラクトンを含まなかったこと以外は実施例
7と同様にして試料を作成し、実施例7と同様の試験を
行った。結果を表3に示す。
表3から明らかなように、実施例7〜10および比較例
2において、比較例5の熱硬化性組成物から得られた試
料は、浸漬から500時間経過してもわずか1%しか重量
が減少しないのに対して、実施例7〜10の熱硬化性組成
物から得られた試料は、浸漬から500時間で、重量が最
小でも24%減少した。
低収縮剤を含まない実施例8および10の熱硬化性組成
物から得られた試料は、実施例7および9の熱硬化性組
成物から得られた試料よりも、重量減少が若干大きかっ
た。これは、低収縮剤であるポリスチレンが親水性では
ないため、分解溶液の硬化物への浸透性が若干低下する
ためと考えられる。
硬化時の収縮率については、実施例7〜10および比較
例2において0.1%以下であった。このように、低収縮
剤を含まない実施例10の熱硬化性組成物から得られた試
料では、収縮性が若干低下した。ポリカプロラクトンを
含む熱硬化性組成物が、低収縮剤を含む比較例2の熱硬
化性組成物と同様の収縮性を示すことから、ポリカプロ
ラクトンが収縮剤としても機能し得る脂肪族ポリエステ
ルであることがわかる。
浸漬から500時間後の実施例7〜10の試料の状態を目
視で観察したところ、粉砕、変形などの処理が容易に行
えるような柔らかいゴム状であった。
さらに、実施例7〜10の熱硬化性組成物の硬化性(ゲ
ル化時間および硬化時間)ならびに射出成形性およびト
ランスファー成形性(スパイラルフロー長さ)は、実用
上全く問題なかった。さらに、硬化後の組成物の外観お
よび機械的強度も、実用上全く問題なかった。
以上のように、本実施例の熱硬化性組成物は、従来の
熱硬化性組成物の優れた特性を維持しつつ、塩基と、メ
タノールおよび水とを含む分解溶液により、室温で容易
に分解処理される。
(実施例11) 不飽和ポリエステル(日本触媒社製、エポラック)35
重量部、スチレン15重量部、およびポリカプロラクトン
を含む側鎖を有するラクトン変性ヒドロキシエチルアク
リレートモノマー(ダイセル化学社製)50重量部を混合
した。この混合物100重量部に対して、低収縮剤として
ポリメチルメタクリレート5重量部、脂肪族ポリエステ
ルとしてポリカプロラクトン6重量部、および硬化剤と
してt−ブチルパーオキシベンゾエイト(日本油脂社
製、パーブチルZ)1重量部を加え、熱硬化性組成物を
調製した。次いで、この組成物を厚み1mmの箱状型に流
し込み、120℃で30分間加熱することにより、この組成
物を硬化させた。硬化後の組成物を10×20×1mmの板状
に切り出し、分解処理試験用試料とした。
次いで、水酸化ナトリウム1g、およびメタノール30g
を混合し、分解溶液を調製した。上記試料をこの分解溶
液に室温で浸漬し、時間変化に伴う重量減少を観察し
た。結果を表4に示す。
(実施例12) 実施例11と同様にして試料を作成した。水酸化ナトリ
ウム1g、エタノール27g、および水3gを混合して調製し
た分解溶液を使用したこと以外は実施例11と同様の試験
を行った。結果を表4に示す。
(比較例3) 実施例11と同様にして試料を作成した。塩基を含まな
い分解溶液(エタノール27gと水3gとを混合して調製し
たもの)を使用したこと以外は実施例11と同様の試験を
行った。結果を表4に示す。
(実施例13) 不飽和ポリエステル(日本触媒社製、エポラック)65
重量部、スチレン35重量部、およびアクリル酸エチル15
重量部を混合した。この混合物57.5重量部に対して、低
収縮剤としてポリメチルメタクリレート5重量部、ポリ
カプロラクトン6重量部、および硬化剤としてt−ブチ
ルパーオキシベンゾエイト(日本油脂社製、パーブチル
Z)1重量部を加え、熱硬化性組成物を得た。次いで、
この組成物を厚さ1mmの箱状型に流し込み、120℃で30分
間加熱することにより、この組成物を硬化させた。硬化
後の組成物を10×20×1mmの板状に切り出し、分解処理
試験用試料とした。
次いで、水酸化ナトリウム1g、およびメタノール30g
を混合し、分解溶液を調製した。上記試料をこの分解溶
液に室温で浸漬し、時間変化に伴う重量減少を観察し
た。結果を表4に示す。
(実施例14) 実施例13と同様にして試料を作成した。水酸化ナトリ
ウム1g、エタノール27g、および水3gを混合して調製し
た分解溶液を使用したこと以外は実施例13と同様の試験
を行った。結果を表4に示す。
(比較例4) 実施例13と同様にして試料を作成した。塩基を含まな
い分解溶液(エタノール27gと水3gとを混合して調製し
たもの)を使用したこと以外は実施例13と同様の試験を
行った。結果を表4に示す。
表4から明らかなように、実施例11〜14ならびに比較
例3および4において、水酸化ナトリウムまたはエタノ
ールを含まない分解溶液で処理された比較例3および4
の試料は、浸漬から500時間経過しても重量が減少しな
いのに対して、水酸化ナトリウムおよびエタノールを含
む分解溶液で処理された実施例11〜14の試料は、浸漬か
ら500時間で、重量が最小でも21%減少した。実施例11
と12とを、そして実施例13と14とを比較すると明らかな
ように、適量の水を含む分解溶液を用いる場合の方が、
硬化物の分解性に優れる。実施例11と13とを、そして実
施例12と14とを比較すると明らかなように、付加重合性
モノマーとして付加重合性末端を有する脂肪族ポリエス
テルを用いる熱硬化性組成物の方が、分解性に優れる。
分解処理試験後の分解溶液のNMR測定によれば、不飽
和ポリエステルに含有されるフタル酸の存在が確認され
ており、脂肪族ポリエステルのエステル結合だけでな
く、不飽和ポリエステルのエステル結合も分解されてい
る。
浸漬から500時間後の実施例11〜14の試料の状態を目
視で観察したところ、粉砕、変形などの処理が容易に行
えるような柔らかいゴム状であった。
以上のように、実施例11〜14のの熱硬化性組成物は、
従来の熱硬化性組成物の優れた特性を維持しつつ、塩基
と、水、エタノール、またはメタノールとを含む分解溶
液により、室温で容易に分解処理される。
(実施例15) 脂肪族ポリエステルを含む側鎖を有するポリマーとし
て、ビスフェノール−エピクロロヒドリン樹脂の第2級
水酸基をラクトン変性したラクトン変性エポキシ樹脂
(ダイセル化学社製、プラクセルG)を用いた。この樹
脂10重量部に、硬化剤としてベンジルジメチルアミンを
1重量部を混合し、熱硬化性組成物を得た。次いで、こ
の組成物を厚さ1mmの箱状型に流し込み、100℃で30分間
加熱することにより、この組成物を硬化させた。硬化後
の組成物を10×20×1mmの板状に切り出し、分解処理試
験用試料とした。
硬化後の組成物の機械的強度は、実用上全く問題なか
った。
次いで、水酸化ナトリウム1g、メタノール24g、およ
び水6gを混合し、分解溶液を調製した。上記試料をこの
分解溶液に室温で浸漬し、150時間後の質量減少を測定
した結果、重量が約22%減少した。この時点での試料の
状態を目視で観察したところ、いくつもの断片に分解さ
れ、硬化物としての形状を維持していなかった。
以上のように、本実施例の熱硬化性組成物は、従来の
熱硬化性組成物の優れた特性を維持しつつ、塩基と、メ
タノールおよび水とを含む分解溶液により、室温で容易
に分解処理される。
(実施例16) フェノール樹脂(日立化成工業社製、スタンドライト
CP;または、フドー社製、フドウライト)38重量部、ポ
リカプロラクトン(分子量4万、ダイセル化学社製、プ
ラクセル)2重量部、粒径約5μmの炭酸カルシウム50
重量部、直径約0.5mm、長さ20mmのガラス繊維10重量部
を混合した。硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン
を、この混合物の樹脂重量に対して10重量%の割合で加
え、熱硬化性組成物を得た。次いで、この組成物を厚さ
1mmの箱状型に流し込み、140℃で約30分間加熱すること
により、この組成物を硬化させた。硬化後の組成物を10
×20×1mmの板状に切り出し、分解処理試験用試料とし
た。
次いで、水酸化ナトリウム1g、メタノール24g、およ
び水6gを混合し、分解溶液を調製した。上記試料をこの
分解溶液に室温で浸漬し、時間変化に伴う重量減少を観
察した。結果を表5に示す。
(実施例17) エポキシ樹脂(日立化成工業社製、スタンドライトCE
L;または、大日本インキ化学工業社製、エピクロン)38
重量部、ポリカプロラクトン(分子量4万、ダイセル化
学社製、プラクセル)2重量部、粒径約5μmの炭酸カ
ルシウム50重量部、直径約0.5mm、長さ20mmのガラス繊
維10重量部を混合した。硬化剤としてヘキサメチレンテ
トラミンを、この混合物の樹脂重量に対して10重量%の
割合で加え、熱硬化性組成物を得た。次いで、この組成
物を厚さ1mmの箱状型に流し込み、100℃で約30分間加熱
することにより、この組成物を硬化させた。硬化後の組
成物を10×20×1mmの板状に切り出し、分解処理試験用
試料とした。
次いで、水酸化ナトリウム1g、メタノール24g、およ
び水6gを混合し、分解溶液を調製した。上記試料をこの
分解溶液に室温で浸漬し、時間変化に伴う重量減少を観
察した。結果を表5に示す。
表5から明らかなように、浸漬から500時間後の実施
例16および17の試料は、共に重量が10%近く減少した。
試料の状態を目視で観察したところ、粉砕、変形など
の処理が容易に行えるような非常にもろい状態であっ
た。
実施例16および17の熱硬化性組成物の硬化性および成
形性は、実用上全く問題なかった。さらに、硬化後の組
成物の外観および機械的強度も、実用上全く問題なかっ
た。
以上のように、実施例16および17の熱硬化性組成物
は、従来の熱硬化性組成物の優れた特性を維持しつつ、
塩基と、メタノールおよび水とを含む分解溶液により、
室温で容易に分解処理される。
(実施例18) 不飽和ポリエステル(日本触媒社製、エポラック)24
重量部、ポリカプロラクトン(分子量4万、ダイセル化
学社製、プラクセル)の30重量%スチレン溶液6重量
部、低収縮剤としてポリスチレン4重量部、および硬化
剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエイト(日本油脂
社製、パーブチルZ)0.5重量部を混合し、熱硬化性組
成物を得た。この組成物をバインダー材とした。
フィラーとして炭酸カルシウム57重量部、離型剤とし
てステアリン酸亜鉛2重量部、および増粘剤として酸化
マグネシウム1重量部を、ニーダを用いて約5分間乾式
混合した。この混合物に、上記バインダー材30重量部を
混練しながら徐々に加え、均一なペーストを得た。次い
で、このペーストに、ガラス繊維10重量部を均一に分散
させるよう混練しながら極力短時間で加えた。ガラス繊
維が均一に分散した時点で混練を終了しBMCを得、これ
をモールド材とした。
このモールド材を、金型温度150℃、注入圧力150kg/c
m2でトランスファー成形し、板状の成形体を得た。
このモールド材の硬化性(ゲル化時間および硬化時
間)およびスパイラルフロー長さは、実用上全く問題な
かった。さらに、成形体の寸法安定性は、従来のFRPよ
りも優れており、外観および機械的強度も、実用上全く
問題なかった。
水酸化ナトリウム2g、エタノール10g、およびメタノ
ール20gを混合し、分解溶液を調製した。上記成形体を
この分解溶液に室温で浸漬し、200時間後の状態を目視
で観察したところ、いくつもの断片に分解され、成形体
としての形状を維持していなかった。
以上のように、本実施例のモールド材は、従来のFRP
の優れた特性を維持しつつ、塩基と、エタノールおよび
メタノールとを含む分解溶液により、室温で容易に分解
処理される。
(実施例19) 不飽和ポリエステル(昭和高分子社製、リゴラック)
12重量部、スチレン7重量部、ポリカプロラクトン(分
子量4万、ダイセル化学社製、プラクセル)1重量部、
低収縮剤としてポリ酢酸ビニル1重量部、および硬化剤
としてt−ブチルパーオキシベンゾエイト(日本油脂社
製、パーブチルZ)0.4重量部を混合し、熱硬化性組成
物を得た。この組成物をバインダー材とした。
フィラーとして粒径4〜6μmの炭酸カルシウム57重
量部、離型剤としてステアリン酸亜鉛1.2重量部、およ
び増粘剤として水酸化カルシウム1重量部を、ニーダを
用いて乾式混合した。この混合物に、上記バインダー材
30重量部を混練しながら徐々に加え、均一なペーストを
得た。次いで、このペーストに、ポリエチレン繊維10重
量部を均一に分散させるよう混練しながら極力短時間で
加えた。ガラス繊維が均一に分散した時点で混練を終了
し、BMCを得、これをモールド材とした。
このモールド材を、プランジャー/スクリュー併用式
射出成型機のホッパー部に圧入し、金型温度150℃、ス
クリュー回転数50rpm、射出圧力140kg/cm2、射出時間5
秒、および保圧時間30秒の条件で射出成形し、直径20m
m、高さ15mmの円柱状成形体を得た。
この成形体は、軽量で、かつ、加工性に優れていた。
水酸化ナトリウム2g、エタノール20g、および水10gを
混合し、分解溶液を調製した。上記成形体をこの分解溶
液に室温で浸漬し、200時間後の状態を目視で観察した
ところ、粉砕、変形などの処理が容易に行えるような非
常にもろい状態であった。成形体の機械的強度は、浸漬
前の約1/8まで低下した。
以上のように、本実施例のモールド材は、塩基と、エ
タノールおよび水とを含む分解溶液により、室温で容易
に強度が劣化する。
(実施例20) 不飽和ポリエステル(日本触媒社製、エポラック)28
重量部、ポリカプロラクトンジオール2.5重量部、スチ
レン20重量部、低収縮剤としてポリスチレン2重量部、
および硬化剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチル
ヘキサノエート(日本油脂社製、パーブチルO)0.4重
量部を混合し、熱硬化性組成物を得た。この組成物をバ
インダー材とした。
フィラーとして炭酸カルシウム58重量部、離型剤とし
てステアリン酸亜鉛1.5重量部、および増粘剤として酸
化マグネシウム0.5重量部を、ニーダを用いて乾式混合
した。この混合物に、上記バインダー材40重量部を混練
しながら徐々に加え、均一なペーストを得た。
次いで、ガラス繊維をカッターで切断したチョップス
トランドを、ポリエチレンフィルム上に一面に散布し、
上記ペーストを含浸させた。これを必要な長さだけ巻取
り、熟成させることにより必要な粘度まで増粘させるこ
とによってSMCを得、これをモールド材とした。
このモールド材を、金型温度65℃、圧力100kg/cm2
圧縮成形し、成形体を得た。
このモールド材の硬化性および成形性は、実用上全く
問題なかった。さらに、成形体の外観および機械的強度
も、実用上全く問題なかった。
水酸化ナトリウム1g、メタノール25g、および水5gを
混合し、分解溶液を調製した。上記成形体をこの分解溶
液に室温で浸漬し、時間変化に伴う状態変化を観察した
ところ、重量は減少し、強度は低下した。
以上のように、本実施例のモールド材は、塩基と、メ
タノールおよび水とを含む分解溶液により、室温で容易
に分解処理される。
(実施例21) 不飽和ポリエステル(日本触媒社製、エポラック)52
重量部、スチレン28重量部、ポリカプロラクトン(分子
量4万、ダイセル化学社製、プラクセル)6重量部/ス
チレン14重量部溶液を混合し、さらに低収縮剤としてポ
リ酢酸ビニル6重量部、硬化剤としてt−ブチルパーオ
キシベンゾエイト(日本油脂社製、パーブチルZ)1重
量部を混合し、熱硬化性組成物を得た。この組成物をモ
ールド材とした。
このモールド材を、絶縁体を介して巻線が巻装された
鉄芯と一体成形し、図1に示すようなモールドモータを
作成した。このモールドモータを、分解溶液(水酸化ナ
トリウム1.25g、エタノール24g、および水6gを混合して
調製したもの)に24時間浸漬した後モールド材の除去を
試みたところ、素手でモールド材を除去し、巻線および
鉄芯を分離することができる。
さらに、20時間浸漬することにより、巻線に一部残留
していたモールド材を、完全に除去することができた。
(実施例22) 不飽和ポリエステル(日本触媒社製、エポラック)52
重量部に、スチレン28重量部、ポリカプロラクトンジオ
ール(分子量2000、ダイセル化学社製、プラクセル20
0)6重量部/スチレン14重量部溶液を混合し、さらに
低収縮剤としてポリスチレン6重量部、硬化剤としてt
−ブチルパーオキシベンゾエイト(日本油脂社製、パー
ブチルZ)1重量部を混合し、熱硬化性組成物を得た。
この組成物をモールド材とした。
このモールド材を用いて、実施例21と同様にして図1
に示すようなモールドモータを作成した。このモールド
ステータを、分解溶液(水酸化ナトリウム1.25g、エタ
ノール6g、およびジメチルスルホキシド24gを混合して
調製したもの)に24時間浸漬した後モールド材の除去を
試みたところ、素手でモールド材を除去し、巻線および
鉄芯を分離することができた。
さらに、20時間浸漬することにより、巻線に一部残留
していたモールド材を、完全に除去することができた。
(実施例23) 不飽和ポリエステル(日本触媒社製、エポラック)52
重量部に、スチレン42重量部、250〜500μmの粒径を有
する粒子状のポリ乳酸(島津製作所社製)6重量部を混
合し、さらに低収縮剤としてポリスチレン6重量部、硬
化剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエイト(日本油
脂社製、パーブチルZ)1重量部を混合し、熱硬化性組
成物を得た。この組成物をモールド材とした。
このモールド材を用いて、実施例21と同様にして図1
に示すようなモールドモータを作成した。このモールド
モータを、分解溶液(水酸化ナトリウム1.25g、エタノ
ール24g、および水6gを混合して調製したもの)に24時
間浸漬した後モールド材の除去を試みたところ、素手で
モールド材を除去し、巻線および鉄芯を分離することが
できた。
さらに、20時間浸漬することにより、巻線に一部残留
していたモールド材を、完全に除去することができた。
なお、ポリ乳酸は、粒子状ではなく、針状または繊維
状であってもよい。
(実施例24) 不飽和ポリエステル(日本触媒社製、エポラック)52
重量部、スチレン42重量部、ポリブチレンスクシネート
(昭和高分子社製、ビオノーレ)6重量部、低収縮剤と
してポリスチレン6重量部、および硬化剤としてt−ブ
チルパーオキシベンゾエイト(日本油脂社製、パーブチ
ルZ)1重量部を一括で混合し、熱硬化性組成物を得
た。この組成物をモールド材とした。
このモールド材を用いて、実施例21と同様にして図1
に示すようなモールドモータを作成した。このモールド
モータを、分解溶液(水酸化ナトリウム1.25g、エタノ
ール24g、および水6gを混合して調製したもの)に24時
間浸漬した後モールド材の除去を試みたところ、素手で
モールド材を除去し、巻線および鉄芯を分離することが
できた。
さらに、20時間浸漬することにより、巻線に一部残留
していたモールド材を、完全に除去することができた。
(実施例25) 不飽和ポリエステル(日本触媒社製、エポラック)52
重量部に、スチレン28重量部、ポリカプロラクトン(分
子量4万、ダイセル化学社製、ブラクセル)7重量部/
スチレン13重量部溶液を混合し、さらに低収縮剤として
ポリスチレン6重量部、硬化剤としてt−ブチルパーオ
キシベンゾエイト(日本油脂社製、パーブチルZ)1重
量部を混合し、熱硬化性組成物を得た。この組成物をバ
インダー材とした。
このバインダー材に、平均粒径20μmの重質炭酸カル
シウム(丸尾カルシウム社製)を100重量部加え、モー
ルド材を得た。
このモールド材を用いて、実施例21と同様にして図1
に示すようなモールドモータを作成した。このモールド
モータを、分解溶液(水酸化ナトリウム1.25g、エタノ
ール24g、および水6gを混合して調製したもの)に24時
間浸漬した後モールド材の除去を試みたところ、金槌で
軽く叩くだけでモールド材が容易に崩壊し、巻線および
鉄芯を分離することができた。
さらに、20時間浸漬することにより、巻線に一部残留
していたモールド材を、完全に除去することができた。
(実施例26) 不飽和ポリエステル(日本触媒社製、エポラック)52
重量部に、スチレン28重量部、ポリカプロラクトン(分
子量4万、ダイセル化学社製、プラクセル)8重量部/
スチレン12重量部溶液を混合し、さらに低収縮剤として
ポリスチレン6重量部、硬化剤としてt−ブチルパーオ
キシベンゾエイト(日本油脂社製、パーブチルZ)1重
量部を混合し、熱硬化性組成物を得た。この組成物をバ
インダー材とした。
このバインダー材に、平均粒径20μmの重質炭酸カル
シウム(丸尾カルシウム社製)100重量部、および長さ2
0mmのガラス繊維を加え、モールド材を得た。
このモールド材を用いて、実施例21と同様にして図1
に示すようなモールドモータを作成した。このモールド
モータを、分解溶液(水酸化ナトリウム1.25g、エタノ
ール24g、および水6gを混合して調製したもの)に24時
間浸漬した後モールド材の除去を試みたところ、金槌で
軽く叩くだけでモールド材が容易に崩壊し、巻線および
鉄芯を分離することができた。
さらに、20時間浸漬することにより、巻線に一部残留
していたモールド材を、完全に除去することができた。
(比較例5) 不飽和ポリエステル(日本触媒社製、エポラック)52
重量部、スチレン42重量部、低収縮剤としてポリスチレ
ン6重量部、および硬化剤としてt−ブチルパーオキシ
ベンゾエイト(日本油脂社製、パーブチルZ)1重量部
を一括で混合し、熱硬化性組成物を得た。この組成物を
バインダー材とした。
このモールド材を用いて、実施例21と同様にして図1
に示すようなモールドモータを作成した。このモールド
モータを、分解溶液(水酸化ナトリウム1.25g、エタノ
ール24g、および水6gを混合して調製したもの)に24時
間浸漬した後モールド材の除去を試みたが、容易に除去
することはできなかった。
(実施例27) 式(VII)で表され、融点が114℃の脂肪族ポリエステ
ルである共重合樹脂(昭和高分子社製、ビオノーレ)を
介して巻線が巻装された鉄芯に、巻線を覆うようにこの
ポリエステルをモールドし、さらに実施例26のモールド
材と一体成形し、内部モールド部と外部モールド部とを
有する、図2に示すようなモールドモータを作成した。
外部モールド部の厚みは、約6mmであった。
このモールドモータを、分解溶液(水酸化ナトリウム
1.25g、エタノール24g、および水6gを混合して調製した
もの)に24時間浸漬した後モールド材の除去を試みたと
ころ、金槌で数回叩くことにより外部モールド部が除去
され、内部モールド部が表出した。さらに、同一の分解
溶液に24時間浸漬することにより、内部モールド部およ
び絶縁体を完全に除去できた。
(実施例28) 分解溶液に浸漬する前に、外部モールド部をノミでキ
ズつけて、内部モールド部を一部表出させたこと以外は
実施例27と同様にして、実施例27の分解溶液に24時間浸
漬した。浸漬後、内部モールド部および絶縁体は、完全
に分解溶液に溶解しモールドステータ内部は空洞状態で
あった。このモールドステータを金槌で数回叩くことに
より、外部モールド材が容易に除去され、巻線および鉄
芯を分離することができた。
このように、内部モールド部を表出させることによ
り、分解がより促進された。
(実施例29) 絶縁体として熱変形温度240℃のポリエチレンテレフ
タレートを使用したこと、および外部モールド部の厚み
を約8mmとしたこと以外は実施例27と同様にして、図2
に示すようなモールドモータを作成し、実施例27の分解
溶液に24時間浸漬した。浸漬後、内部モールド部は、完
全に分解溶液に溶解しモールドステータ内部は空洞状態
であった。このモールドステータを金槌で数回叩くこと
により、外部モールド材が容易に除去され、絶縁体に配
置された状態で巻線および鉄芯を分離することができ
た。
(実施例30) 分解溶液に浸漬する前に、外部モールド部をノミでキ
ズつけて、内部モールド部を一部表出させたこと以外は
実施例29と同様にして、実施例29の分解溶液に24時間浸
漬した。
内部モールド部を一部表出させることにより、分解が
より促進された。
(実施例31) 分解溶液に浸漬する前に、外部モールド部をノミでキ
ズつけて、内部モールド部を一部表出させたこと、およ
び、分解溶液としてトルエンを使用したこと以外は実施
例27と同様にして、分解溶液に24時間浸漬した。浸漬
後、内部モールド部の多くの部分が分解溶液に溶解し、
モールドステータ内部は空洞状態であった。このモール
ドステータを金槌で数回叩くことにより、外部モールド
材が除去され、巻線および鉄芯を分離することができ
た。
産業上の利用可能性 以上のように、本発明によれば、(1)硬度、強度、
耐熱性、難燃性、耐薬品性などの従来の優れた特性を損
なわず、かつ、廃棄時の分離処理が容易な熱硬化性組成
物;(2)硬度、強度、耐熱性、難燃性、耐薬品性など
の従来の優れた特性を損なわず、かつ、廃棄時の分解処
理が容易な熱硬化性組成物を用いたモールド材;(3)
熱硬化性組成物を用いたモールド材を有し、廃棄時の分
解処理が容易なモールド構造体;(4)熱硬化性組成物
およびモールド材、さらにそれを用いたモールド構造体
の簡便容易な分解処理方法;および(5)このモールド
構造体のリサイクル方法、が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C08L 67/06 67:02) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 67/00 - 67/08 C08F 283/01 H02K 5/04 - 5/08 C08L 101/00 - 101/10 WPI(DIALOG)

Claims (33)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも金属類を含んで一体成形された
    モールド材からなるモールド部を有する、モールド構造
    体であって、 該モールド材の少なくとも一部が、熱硬化性樹脂および
    脂肪族ポリエステルを含有する熱硬化性組成物を、バイ
    ンダー材として含有し、 該熱硬化性組成物は、硬化後に、少なくとも塩基を含有
    する分解溶液により該脂肪族ポリエステルが分解される
    ことによって、分解が促進され、 該金属類と該モールド材とが容易に分離され得る、モー
    ルド構造体。
  2. 【請求項2】少なくとも金属類を含んで一体成形された
    モールド材からなるモールド部を有する、モールド構造
    体であって、 該モールド材の少なくとも一部が、不飽和ポリエステ
    ル、付加重合性モノマー、脂肪族ポリエステル以外の低
    収縮剤、および脂肪族ポリエステルを含有する熱硬化性
    組成物を、バインダー材として含有し、 該熱硬化性組成物は、硬化後に、塩基と、水、メタノー
    ル、エタノール、およびエチレングリコールでなる群か
    ら選択される少なくとも1種の溶剤とを含有する分解溶
    液により、該分解溶液の沸点より低い温度で容易に分解
    され、 該金属類と該モールド材とが容易に分離され得る、モー
    ルド構造体。
  3. 【請求項3】前記脂肪族ポリエステルが、ポリカプロラ
    クトン、ポリプロピオラクトン、ポリグリコール酸、ポ
    リ乳酸、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペ
    ート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリエチレンス
    クシネート、ポリブチレンスクシネート、ポリカプロラ
    クトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、およ
    びポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)でなる群から
    選択される少なくとも1種である、請求項2に記載のモ
    ールド構造体。
  4. 【請求項4】前記脂肪族ポリエステルの少なくとも一部
    が、繊維状、針状または粉状で前記モールド部に充填材
    として分散されている、請求項2に記載のモールド構造
    体。
  5. 【請求項5】少なくとも金属類を含んで一体成形された
    モールド材からなるモールド部を有する、モールド構造
    体であって、 該モールド材の少なくとも一部が、不飽和ポリエステ
    ル、付加重合性モノマー、およびポリカプロラクトンを
    含有する熱硬化性組成物を、バインダー材として含有
    し、 該熱硬化性組成物は、硬化後に、塩基と、水、メタノー
    ル、エタノール、およびエチレングリコールでなる群か
    ら選択される少なくとも1種の溶剤とを含有する分解溶
    液により、該分解溶液の沸点より低い温度で容易に分解
    され、 該金属類と該モールド材とが容易に分離され得る、モー
    ルド構造体。
  6. 【請求項6】ポリプロピオラクトン、ポリグリコール
    酸、ポリ乳酸、ポリエチレンアジペート、ポリブチレン
    アジペート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリエチ
    レンスクシネート、ポリブチレンスクシネート、ポリカ
    プロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオー
    ル、およびポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)でな
    る群から選択される少なくとも1種の脂肪族ポリエステ
    ルをさらに含有する、請求項5に記載のモールド構造
    体。
  7. 【請求項7】前記脂肪族ポリエステルの少なくとも一部
    が、繊維状、針状または粉状で前記モールド部に充填材
    として分散されている、請求項6に記載のモールド構造
    体。
  8. 【請求項8】少なくとも金属類を含んで一体成形された
    モールド材からなるモールド部を有する、モールド構造
    体であって、 該モールド材の少なくとも一部が、脂肪族ポリエステ
    ル、ならびにフェノール樹脂またはエポキシ樹脂を含有
    する熱硬化性組成物を、バインダー材として含有し、 該熱硬化性組成物は、硬化後に、塩基と、水、メタノー
    ル、エタノール、およびエチレングリコールでなる群か
    ら選択される少なくとも1種の溶剤とを含有する分解溶
    液により、該分解溶液の沸点より低い温度で容易に分解
    され、 該金属類と該モールド材とが容易に分解され得る、モー
    ルド構造体。
  9. 【請求項9】前記脂肪族ポリエステルが、ポリカプロラ
    クトン、ポリプロピオラクトン、ポリグリコール酸、ポ
    リ乳酸、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペ
    ート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリエチレンス
    クシネート、ポリブチレンスクシネート、ポリカプロラ
    クトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、およ
    びポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)でなる群から
    選択される少なくとも1種である、請求項8に記載のモ
    ールド構造体。
  10. 【請求項10】前記脂肪族ポリエステルの少なくとも一
    部が、繊維状、針状または粉状で前記モールド部に充填
    材として分散されている、請求項8に記載のモールド構
    造体。
  11. 【請求項11】少なくとも金属類を含んで一体成形され
    たモールド材からなるモールド部を有する、モールド構
    造体であって、 該モールド部が、該金属類を覆う内部モールド部と、該
    内部モールド部の外側に存在し、その最外部が該モール
    ド構造体の最外部を規定する外部モールド部とを有し、
    該内部モールド部が、脂肪族ポリエステルを主成分とす
    る、モールド構造体。
  12. 【請求項12】前記外部モールド部が、 熱硬化性樹脂および脂肪族ポリエステルを含有し、硬化
    後に少なくとも塩基を含有する分解溶液により該脂肪族
    ポリエステルが分解されることによって分解が促進され
    る熱硬化性組成物 を主成分とする、請求項11に記載のモールド構造体。
  13. 【請求項13】前記外部モールド部が、 不飽和ポリエステル、付加重合性モノマー、脂肪族ポリ
    エステル以外の低収縮剤、および脂肪族ポリエステルを
    含有し、硬化後に、塩基と、水、メタノール、エタノー
    ル、およびエチレングリコールでなる群から選択される
    少なくとも1種の溶剤とを含有する分解溶液により該分
    解溶液の沸点より低い温度で容易に分解され得る熱硬化
    性組成物 を主成分とする、請求項11に記載のモールド構造体。
  14. 【請求項14】前記外部モールド部が、 不飽和ポリエステル、付加重合性モノマー、およびポリ
    カプロラクトンを含有し、硬化後に、塩基と、水、メタ
    ノール、エタノール、およびエチレングリコールでなる
    群から選択される少なくとも1種の溶剤とを含有する分
    解溶液により該分解溶液の沸点より低い温度で容易に分
    解され得る熱硬化性組成物 を主成分とする、請求項11に記載のモールド構造体。
  15. 【請求項15】前記外部モールド部が、 脂肪族ポリエステル、ならびにフェノール樹脂またはエ
    ポキシ樹脂を含有し、硬化後に、塩基と、水、メタノー
    ル、エタノール、およびエチレングリコールでなる群か
    ら選択される少なくとも1種の溶剤とを含有する分解溶
    液により該分解溶液の沸点より低い温度で容易に分解さ
    れ得る熱硬化性組成物 を主成分とする、請求項11に記載のモールド構造体。
  16. 【請求項16】前記金属類が巻線であり、モータとして
    使用される、請求項1から請求項15のいずれかに記載の
    モールド構造体。
  17. 【請求項17】前記巻線、絶縁体、および鉄芯を含んで
    一体成形されたモールド材からなるモールド部を有す
    る、モールド構造体であって、 該絶縁体の一部が、該モールド部を洞貫し、該モールド
    部の表面に表出している、請求項16に記載のモールド構
    造体。
  18. 【請求項18】前記絶縁体が、脂肪族ポリエステルでな
    る、請求項17に記載のモールド構造体。
  19. 【請求項19】少なくとも金属類を含んで一体成形され
    たモールド材からなるモールド部を有する、モールド構
    造体であって、 該モールド材の少なくとも一部が、不飽和ポリエステ
    ル、スチレン、ポリカプロラクトン、および脂肪族ポリ
    エステルを含有する熱硬化性組成物を、バインダー材と
    して含有し、 該脂肪族ポリエステルが、ポリプロピオラクトン、ポリ
    グリコール酸、ポリ乳酸、ポリエチレンアジペート、ポ
    リブチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペー
    ト、ポリエチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネ
    ート、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクト
    ントリオール、およびポリ(3−ヒドロキシアルカノエ
    ート)でなる群から選択される少なくとも1種であり、 該熱硬化性組成物は、硬化後に、塩基と、水、メタノー
    ル、エタノール、およびエチレングリコールでなる群か
    ら選択される少なくとも1種の溶剤とを含有する分解溶
    液により、該分解溶液の沸点より低い温度で容易に分解
    され、 該金属類と該モールド材とが容易に分離され得る、モー
    ルド構造体。
  20. 【請求項20】熱硬化性組成物の分解処理方法であっ
    て、 該熱硬化性組成物を、硬化後に、塩基と、水、メタノー
    ル、エタノール、およびエチレングリコールでなる群か
    ら選択される少なくとも1種の溶剤とを含有する分解溶
    液に浸漬する工程を包含し、 該熱硬化性組成物が、少なくとも脂肪族ポリエステルと
    熱硬化性樹脂とを含有する、 熱硬化性組成物の分解処理方法。
  21. 【請求項21】前記熱硬化性組成物が、前記分解溶液に
    該分解溶液の沸点より低い温度で浸漬される、請求項20
    に記載の熱硬化性組成物の分解処理方法。
  22. 【請求項22】前記分解溶液が、アセトン、2−ブタノ
    ン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジ
    オキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジ
    エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエステ
    ル、ジエチレングリコールジエステル、ジカルボン酸ジ
    エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、ベンゼン、トルエ
    ン、およびフェノールでなる群から選択される少なくと
    も1種の溶剤をさらに含有する、請求項20に記載の熱硬
    化性組成物の分解処理方法。
  23. 【請求項23】熱硬化性組成物をバインダー材として含
    有する、モールド材の分解処理方法であって、 該モールド材を、塩基と、水、メタノール、エタノー
    ル、およびエチレングリコールでなる群から選択される
    少なくとも1種の溶剤とを含有する分解溶液に浸漬する
    工程を包含し、 該熱硬化性組成物が、少なくとも脂肪族ポリエステルと
    熱硬化性樹脂とを含有する、 モールド材の分解処理方法。
  24. 【請求項24】前記モールド材が、前記分解溶液に該分
    解溶液の沸点より低い温度で浸漬される、請求項23に記
    載のモールド材の分解処理方法。
  25. 【請求項25】前記分解溶液が、アセトン、2−ブタノ
    ン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジ
    オキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジ
    エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエステ
    ル、ジエチレングリコールジエステル、ジカルボン酸ジ
    エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、ベンゼン、トルエ
    ン、およびフェノールでなる群から選択される少なくと
    も1種の溶剤をさらに含有する、請求項23に記載の熱硬
    化性組成物の分解処理方法。
  26. 【請求項26】モールド構造体の分解処理方法であっ
    て、 該モールド構造体を、塩基と、水、メタノール、エタノ
    ール、およびエチレングリコールでなる群から選択され
    る少なくとも1種の溶剤とを含有する分解溶液に浸漬す
    る工程を包含し、 該モールド構造体が、少なくとも金属類を含んで一体成
    形されたモールド材からなるモールド部を有し、 該モールド材の少なくとも一部が、少なくとも脂肪族ポ
    リエステルと熱硬化性樹脂とを含有する熱硬化性組成物
    を、バインダー材として含有する、 モールド構造体の分解処理方法。
  27. 【請求項27】前記モールド構造体が、前記分解溶液に
    該分解溶液の沸点より低い温度で浸漬される、請求項26
    に記載のモールド構造体の分解処理方法。
  28. 【請求項28】少なくとも金属類を含んで一体成形され
    たモールド材からなるモールド部を有するモールド構造
    体の分解処理方法であって、 該モールド部が、該金属類を覆う内部モールド部と、該
    内部モールド部の外側に存在し、その最外部が該モール
    ド構造体の最外部を規定する外部モールド部とを有し、
    該内部モールド部が、脂肪族ポリエステルを主成分と
    し、 以下の工程を包含する、モールド構造体の分解処理方
    法: 切削または開孔により該内部モールド部の少なくとも一
    部を表出させる工程、および、該モールド構造体を、該
    脂肪族ポリエステルに対する良溶剤、または、塩基と、
    水、メタノール、エタノール、およびエチレングリコー
    ルでなる群から選択される少なくとも1種の溶剤とを含
    有する分解溶液に浸漬する工程。
  29. 【請求項29】前記モールド構造体が、前記分解溶液に
    該分解溶液の沸点より低い温度で浸漬される、請求項28
    に記載のモールド構造体の分解処理方法。
  30. 【請求項30】前記分解溶液が、アセトン、2−ブタノ
    ン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジ
    オキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジ
    エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエステ
    ル、ジエチレングリコールジエステル、ジカルボン酸ジ
    エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、ベンゼン、トルエ
    ン、およびフェノールでなる群から選択される少なくと
    も1種の溶剤をさらに含有する、請求項26または28に記
    載の熱硬化性組成物の分解処理方法。
  31. 【請求項31】少なくとも金属類を含んで一体成形され
    たモールド材からなるモールド部を有するモールド構造
    体のリサイクル方法であって、 該モールド材の少なくとも一部が、少なくとも脂肪族ポ
    リエステルと熱硬化性樹脂とを含有する熱硬化性組成物
    を、バインダー材として含有し、 以下の工程を包含する、リサイクル方法: 該モールド構造体を、塩基と、水、メタノール、エタノ
    ール、およびエチレングリコールでなる群から選択され
    る少なくとも1種の溶剤とを含有する分解溶液に浸漬
    し、該モールド部を形態が維持できない程度まで化学的
    に分解させる工程、および 該金属類と該分解されたモールド部とを分離し、該金属
    類を回収する工程。
  32. 【請求項32】前記モールド構造体が、前記分解溶液に
    該分解溶液の沸点より低い温度で浸漬される、請求項31
    に記載のモールド構造体のリサイクル方法。
  33. 【請求項33】前記金属類が巻線であり、前記構造体が
    モータである、請求項31に記載のモールド構造体のリサ
    イクル方法。
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