JP2836615B2 - グランドパッキン - Google Patents

グランドパッキン

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JP2836615B2 JP8355957A JP35595796A JP2836615B2 JP 2836615 B2 JP2836615 B2 JP 2836615B2 JP 8355957 A JP8355957 A JP 8355957A JP 35595796 A JP35595796 A JP 35595796A JP 2836615 B2 JP2836615 B2 JP 2836615B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種流体機器の軸
封部のシールに使用するグランドパッキン、特にメイン
シールパッキンの少なくとも一端に配置して使用するア
ダプターパッキンに関する。
【0002】
【従来の技術】流体機器の軸封装置は、グランドパッキ
ンのごときパッキンを軸封部、即ち機器のケーシングと
軸との間の空間に充填し、これをパッキン押えで締め付
ける構造をとるものがある。このような軸封装置に用い
られるパッキンは通常1種類のパッキンを複数個或は長
尺紐状のパッキンを軸に沿って複数回巻くこと等によ
り、軸封部に充填される。
【0003】軸封部へ使用されるグランドパッキンは、
流体の吹き出しや吹き抜けが起らないよう、高いシール
性能を持つことが要求され、軸方向に締め付け力を与え
た場合、その締め付け力を軸直角方向に伝達し易い性質
が求められる。 また、一般に大きな締付力を与えるた
め、摺動部との摩擦が大きくなり、機械的強度も必要で
あり、熱による影響も大きく、耐熱性に優れ、しかも高
温での応力緩和の少ないことが要求される。
【0004】そのため、従来は炭素繊維、アラミド繊
維、金属繊維、あるいは膨張黒鉛の周囲を繊維で補強し
たヤーン等を編組したグランドパッキンや、弾性体等を
中芯に用い、上記繊維で周囲を被覆したグランドパッキ
ンを用いているが、上記のグランドパッキンのみを複数
個組み合わせて用いる場合には、摺動部との摩擦が大き
くなり、ステムトルクが増大し、増し締めを行う際に、
作業性が悪化する。そこで、パッキン押えに近い部分
は、軸方向の締め付け力によって軸半径方向の接面圧が
高くなり易く、摩擦抵抗が増大するため、パッキン押え
に近い部分のグランドパッキンは固くて締め付け力を軸
直角方向に伝達しにくい別種のグランドパッキンをアダ
プターパッキンとして用い、ステムトルクの低減を図る
方法もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】アダプターパッキンを
用いる場合、要求される性能は摺動部との摩擦抵抗が小
さく、また圧縮率が小さく、増し締めの際の、締め付け
圧を良好に伝えることである。
【0006】そこで中芯に塑性体を用いて、軸方向の締
め付け力が与えられた際に、弾性変形せず、部分的な弁
棒に対しての接面圧が大きい部分が生じず、従って軸直
角方向に締め付け力が伝達しにくく、摩擦抵抗が低下す
る効果を得る方法が取られている。
【0007】従来は、上記中芯材料として、表面被覆と
同様の膨張黒鉛を編組したものや、プラスティック芯が
用いられていたが、膨張黒鉛を編組したものは、強度が
小さいため、加圧時に流動することで軸直角方向への締
め付けの伝達比が増大し、また、プラスティック芯は熱
膨張係数が大きく、熱膨張、熱収縮が激しいため、シー
ル特性に劣るという欠点が存在する。
【0008】そこで本発明者等は、中芯に、塑性体であ
りながら、固く強度が大きい、金属の線状体を交絡して
形成される構造体を固溶化熱処理して得られる塑性体を
用いることにより、上記問題点を解決できることを見出
し、本発明を提供するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、断面の中央部
に配置される中芯材の表面を編み糸でニット編みまたは
袋編み被覆してなるグランドパッキンにおいて、該中芯
材が、金属の線状体を交絡して形成される構造体を固溶
化熱処理して得られる塑性体を主材として形成されるこ
とを特徴とするグランドパッキン、および流体機器の軸
封部へ複数個のパッキンを順次装填配置して流体を密封
する軸封装置において、装填される複数個のパッキンの
うち、両端または一方の端に設置されるアダプターパッ
キンの少なくとも一つが、上記グランドパッキンであ
り、他の装填されるパッキンが軟質パッキンであること
を特徴とする軸封装置を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のグランドパッキンの中芯
材に用いる金属の線状体は、固溶化熱処理により塑性体
となる金属材料であれば、特に限定はないが、好ましく
はステンレス鋼であるのが良い。
【0011】また、該金属の線状体は交絡して構造体を
形成するものであり、例えば金属線または金属箔を線幅
に切断したものが挙げられる。金属線の場合は断面の形
状は交絡することが可能であれば特に限定されず、円
形、角形、楕円形等が挙げられるが、例えば円形の場
合、断面の直径は0.05〜0.5mm であるのが好
ましい。金属箔の場合は、線幅は1 〜 10mmであ
るのが好ましく、また、厚さは0.01 〜 0.15
mm が好ましい。
【0012】該金属の線状体を交絡する方法は、一般の
パッキンに用いられている方法を用いれば良く、ニット
編み、袋編み、加撚等が挙げられる。本発明のグランド
パッキンの断面形状は、摺動部に均一に接するよう角形
であるのが好ましく、上記金属の線状体を交絡して形成
される構造体の断面も角形であるのが好ましい。
【0013】上記金属の線状体を交絡して形成された構
造体は、固溶化熱処理することにより弾性体から塑性体
となり、金属の線または箔への加工時、金属線交絡体へ
の加工時に生じる加工硬化によるばね弾性も除去され
る。しかも金属であることから強度が高いため、加圧時
の流動が少なく、軸直角方向の伝達比の低下、ひいて
は、摺動抵抗の低下が得られる。
【0014】本発明のグランドパッキンに用いる中芯材
の固溶化熱処理の条件は、特に限定されず、使用する金
属材料および目的とする特性に応じて適宜選択すれば良
い。
【0015】本発明のグランドパッキンに用いる中芯材
の表面を編組被覆する編み糸は、一般のパッキンに用い
られているものであれば特に限定はされず、炭素繊維、
セラミック繊維、ガラス繊維、金属繊維等の無機繊維、
PTFE繊維、アラミド繊維、フェノール繊維等の有機
繊維、金属線補強膨脹黒鉛ヤーン等が挙げられ、目的と
する用途に合わせて適宜選択すれば良いが、好ましくは
金属線補強膨脹黒鉛ヤーンが良い。
【0016】本発明のグランドパッキンは、中芯材を編
み糸で被覆した上記構成の紐状体を、使用用途に応じて
リング状に成形することにより製造される。
【0017】中芯材の表面を編み糸で被覆編組する方法
は、一般に用いられている方法を用いれば良く、複数本
の編み糸によるニット編みまたは袋編み等が挙げられ
る。
【0018】本発明の軸封装置は、流体機器の軸封部へ
複数個のパッキンを順次装填配置して流体を密封する軸
封装置であり、装填される複数個のパッキンのうち、両
端または一方の端に設置されるアダプターパッキンの少
なくとも一つを本発明のグランドパッキンとし、他の装
填されるパッキンを軟質パッキンとしたものである。
【0019】流体機器の軸封部へ複数個のパッキンを順
次装填配置して流体を密封する軸封装置においては、装
填される複数個のパッキンのうち、メインシールパッキ
ンの両端または一方の端にアダプターパッキンを設置す
ることが一般に行われているが、上記構成とすることに
より、軸方向への締め付け力が良好に伝達され、トルク
の低減が可能であって、かつ摺動抵抗が小さく、シール
性の良い軸封装置を得ることができる。
【0020】アダプターパッキンに以外のメインシール
パッキンに用いる軟質パッキンは、特に限定はされず、
目的とするシール性、耐熱性等に応じて適宜選択すれば
良いが、好ましくは膨脹黒鉛テープを重ね、該テープの
重なりが直径方向となるようなリング状に成形して形成
されるリング状パッキンであるのが良い。
【0021】本発明の軸封装置に、装填されるメインシ
ールパッキンの個数は、特に限定されず目的とするシー
ル性等に応じて設定すれば良くい。また、アダプターパ
ッキンは、メインシールパッキンの種類、個数等に応じ
て、メインシールパッキンの一方の端または両端に設置
すれば良く、アダプターパッキンの個数も同様にメイン
シールパッキンの種類、個数等に応じて設定すれば良
い。
【0022】以下、本発明を試験例および実施例を用い
てさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定され
るものではない。 試験例 (1)試験対象 実施例1、2、比較例1、2のグランドパッキンについ
て パッキン配列 上記各グランドパッキンについて、同種のパッキンを 4リング重ねて一組とする。 パッキン締付圧 400kgf/cm2 軸摺動条件 軸ストローク 50 mm 軸速度 10mm/sec 軸停止 5sec の条件下で、各々のアダプターパッキンのみの特性とし
て下記の特性を測定した。また、実施例3、4、比較例
3、4の軸封装置について パッキン締付圧 400kgf/cm2 流体条件 熱水175kgf/cm2×350℃ 軸摺動条件 軸ストローク 50mm 軸速度 10mm/sec 軸停止 5sec の条件下でアダプターパッキンを用いたグランドパッキ
ンの下記の特性を測定した。
【0023】(2)試験方法 試験例1 軸摺動特性 摺動抵抗を測定し、摺動抵抗係数Kμを算出した。 試験例2 圧縮特性 常温増締時の圧縮率を測定した。 試験例3 復元率 締付圧付加後に締付圧を除去した際での、寸法復元率を
測定した。
【0024】(3)試験結果 試験例1〜3の試験結果を、表1に示す。
【表1】
【0025】前記表1で明らかなように、摺動抵抗係数
Kμ及び圧縮率は実施例1、2は比較例1、2より、ま
た実施例3、4は比較例3、4より小さい。摺動抵抗係
数Kμは、単位接触面積あたりの摺動抵抗を初期締付圧
で除した値であり、グランドパッキンの側圧係数と摩擦
係数に関するグランドパッキン種に固有の値であること
から、本発明の実施例は摺動抵抗が従来よりも小さいこ
とが分かる。中芯の復元率が大なるものは弾性を有して
いる事を示しており、加圧時、軸直角方向への応力変換
が大きくなった結果、kμ値は大きくなる。また、中芯
材が、塑性体であっても強度の小さい黒鉛系である比較
例1、3は、加圧時に流動するために、圧縮率が大き
く、軸直角方向の伝達比が大きくなって、摺動抵抗が増
大する。中心材が、固溶化熱処理を施していない弾性体
である比較例2、4は、やはり圧縮率が大きく、軸直角
方向の伝達比が大きくなって、摺動抵抗が増大する。
【0026】
【実施例】
実施例1 図1は本発明の実施例の一つであるグランドパッキンの
断面を示す斜視図である。図1に示すように、中芯材と
して直径0.22mmのステンレス鋼線(SUS31
6)をニット編した断面の一辺が6mmの紐状体を固溶
化熱処理(1010〜1150℃(中央が1080℃)
で加熱後急冷)した金属塑性体1を用い、その表面を直
径0.1mmのインコネル線で補強した膨張黒鉛ヤーン
で16打丸編後、黒鉛処理を行って被覆編組部2を形成
し、これを外径48mm、 内径32mm、高さ8mm
のリング状に成形してグランドパッキンを作成した。
【0027】実施例2 図2は実施例の別の一つであるグランドパッキンの断面
を示す斜視図である。中芯材の原料として0.05mm
厚さのステンレス箔(SUS316)を2.0mm幅に
切断したものを加撚した、断面の一辺が6mmの紐状体
を実施例1と同様に固溶化熱処理した金属塑性体3を用
い、実施例1と同様にグランドパッキンを作成した。
【0028】実施例3 図5に示すように、メインシールパッキンとして軟質パ
ッキンである膨脹黒鉛テープを重ね、該テープの重なり
が直径方向となるようなリング状に成形して形成される
外径48mm、 内径32mm、高さ8mmのリング状
パッキン6(日本ピラー工業(株)社製 弁用ピラーフ
ォイルパッキン6610)4個重ねその両端にアダプタ
ーパッキンとして実施例1のグランドパッキンを配置し
て軸封装置を作成した。
【0029】実施例4 実施例3と同様に軟質パッキンを4個重ね、その両端に
アダプターパッキンとして実施例2のグランドパッキン
を配置して軸封装置を作成した。
【0030】比較例1 図3に示すように直径0.1mmのインコネル線で補強
した膨張黒鉛ヤーンを16打丸編した断面の一辺が6m
mの紐状体4を中芯とし、その表面を実施例1と同様に
被覆編組し、これを外径48mm、 内径32mm、高
さ8mmのリング状に成形したグランドパッキンを比較
例とした。
【0031】比較例2 中芯材の原料として直径0.22mmのステンレス鋼線
(SUS316)をニット編した、断面の一辺が6mm
の紐状体5を用い、その表面を実施例1と同様に被覆編
組し、これを外径48mm、 内径32mm、高さ8m
mのリング状に成形したグランドパッキンを比較例とし
た。
【0032】比較例3 図6に示すように、実施例3と同様の軟質パッキンを4
個重ねその両端にアダプターパッキンとして比較例1の
グランドパッキンを配置して軸封装置を作成した。
【0033】比較例4 実施例3と同様の軟質パッキンを4個重ね、その両端に
アダプターパッキンとして比較例2のグランドパッキン
を配置して軸封装置を作成した。
【0034】
【発明の効果】本発明のグランドパッキンは、中芯に金
属の線状体を交絡して形成される構造体を固溶化熱処理
して得られる塑性体を用いているために、軸方向の締め
付け力が加えられた際に、弾性変形せず、部分的な摺動
部に対しての接面圧が大きい部分が生じない。従って、
摺動部との摩擦抵抗が低減される。また、軸方向の締め
付け力の軸直角方向の伝達比が小さくなり、金属である
ため固く、圧縮率も小さいため、軸方向へ締め付け力の
伝達が増大し、メインシールパッキンが充分加圧される
ため、増し締めの効果が向上する。よって、軸封装置の
シールに使用するグランドパッキン、特にメインシール
パッキンの少なくとも一端に配置して使用するアダプタ
ーパッキンとして好適である。アダプターパッキンとし
て用いる場合、金属であるため固く、機械的強度が大き
いため、パッキン押えと摺動部との隙間にかみ込みを生
じることも少ない。さらに耐熱性も大きく、高温、低温
での体積変化も低減されるため、シール性にも優れてい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の一つであるグランドパッキン
の断面を示す斜視図である。
【図2】本発明の別の実施例の一つであるグランドパッ
キンの断面を示す斜視図である。
【図3】従来のグランドパッキンの断面を示す斜視図で
ある。
【図4】従来のグランドパッキンの断面を示す斜視図で
ある。
【図5】本発明の実施例の一つである軸封装置の構成を
示す説明図である。
【図6】従来の軸封装置の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 金属塑性体 2 被覆編組部 3 金属塑性体 4 中芯材 5 中芯材 6 アダプターパッキン 7 軟質パッキン 8 ランタンリング

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断面の中央部に配置される中芯材の表面
    を編み糸で被覆編組してなるグランドパッキンにおい
    て、該中芯材が、金属の線状体を交絡して形成される構
    造体を固溶化熱処理して得られる塑性体を主材として形
    成されることを特徴とするグランドパッキン。
  2. 【請求項2】 金属の線状体が金属線または金属箔を線
    幅に切断したものであることを特徴とする請求項1記載
    のグランドパッキン。
  3. 【請求項3】 金属がステンレス鋼であることを特徴と
    する請求項2記載のグランドパッキン。
  4. 【請求項4】流体機器の軸封部へ複数個のパッキンを順
    次装填配置して流体を密封する軸封装置において、装填
    される複数個のパッキンのうち、両端または一方の端に
    設置されるアダプターパッキンの少なくとも一つが、請
    求項1乃至3のグランドパッキンであり、他の装填され
    るパッキンが軟質パッキンであることを特徴とする軸封
    装置。
  5. 【請求項5】軟質パッキンが、膨脹黒鉛テープを重ね、
    該テープの重なりが直径方向となるようなリング状に成
    形して形成されるリング状パッキンであることを特徴と
    する請求項4記載の軸封装置。
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JP4857151B2 (ja) * 2007-03-08 2012-01-18 日本ピラー工業株式会社 グランドパッキン
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