JP2832472B2 - ムチン指向リポソーム - Google Patents

ムチン指向リポソーム

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JP2832472B2 JP1502708A JP50270889A JP2832472B2 JP 2832472 B2 JP2832472 B2 JP 2832472B2 JP 1502708 A JP1502708 A JP 1502708A JP 50270889 A JP50270889 A JP 50270889A JP 2832472 B2 JP2832472 B2 JP 2832472B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 この発明はベシクル(小泡体)およびリポソームに関
する。
背景技術 脂質嚢に与える正確な呼称は未解決の問題である。一
般に、ベシクルはリポソームより小さくて単層構造であ
るが、リポソームは多層構造である。リポソームは多く
の形態の脂質嚢(lipid bladders)を包含するので、以
後リポソームの用語を用いる。この用語は、リポソーム
の製造、薬剤、タンパク質および遺伝物質のリポソーム
内への取込み、およびターゲツテイングの技術状態の一
般的知識を仮定している。リポソームのこれらの面の完
全な提示が定評のある著者達による3巻からなる次の書
物に示されている:“Liposome Technology"edited by
Gregory Gregoriadis,Published by CRC Press,Inc.,20
00 Corporate Boulevard,N.W.,Boca Raton,Florida,U.
S.A.。
リポソームは一般に親油性の長鎖末端基と共に頭部親
水基を表わす記号の円形配列によつて示される(第1参
照)。リポソームは小胞体(小嚢)であつて、ほゞ球形
であり、破裂することなくかなりの変形を受けることが
知られている。リポソームは、音波処理(又は微小流体
処理)のようなエネルギーを加えることによつて脂質の
混合体から小胞体の形に成形される。コアの体積空間を
囲むこと以外に、リポソームの頭部親水基によつて生成
される表面に関する従来技術は見当らない。脂質成分の
表面関係は本発明では全て重要である。
従来の技術は、流動度および電荷間の斥力を提供して
凝析を防ぐためにリポソーム構造体における必要なもの
およびコレステロールおよび他の成分の使用を十分に開
発してきた。しかしながら、典型的な従来技術の成分は
次のように列挙することができる: A.次の成分から選択された好適なバルク双極性脂質成分
(75〜95%): 1. ジステアロイル・レシチン(DSL) 2. ジパルミトイル・レシチン(DPL) 3. 鎖長がC10〜C20である他のレシチン」。
B.次の成分から選択された安定化用少量成分(0.1〜25
%): 1. コレステロール 2. リン酸ジセチル リポソーム技術は、目的の物質をリポソームのコア部
又は壁内に捕獲して、次の方法の1つを用いることによ
つて薬剤、診断材料および化粧材の供給を促進した: (1) 一定量のリポソームを温血宿主の血液系に注入
し、前記物質をベシクルが時間の経過に伴い分解する際
に徐々に漏出させる方法。
(2) リポソーム壁内に不完全な脂質を含ませて、壁
からコア内容物を漏出させる方法。漏出速度は内容物の
量を変えることによつて制御する。
(3) 目標物に対して親和性を有する分子を付加させ
る方法、その目標物をリポソームに取り入れて、コア内
物質を利用する、或いは化粧材の場合には、化粧材を漏
出させながら標的のリポソームをターゲツト上に保持す
る。この方法は同時係属の米国特許出願第604,713号の
主題である。
本発明の前までは、ターゲツテイング分子、又はリポ
ソームをムチン組織へ結合させる別の手段は知られてい
なかつた。
発明の開示 温血宿主においてリポソームをムチンへ指向さすため
にターゲツト分子が存在することは知られていない。
本発明はリポソームにおける脂質物質の組合せを提供
する、脂質物質のあるものは直列に配置された中間、負
荷電部分、最端に配置された正荷電部分から成る親水性
頭部基を有し、そのあるものは前記中間部分に実質的に
隣接する位置に延在する正荷電頭部部分において終わ
り、それによつて中間配置部分の負電荷が最端部分によ
るよりも他の脂質によつて中性にされて、正味正電荷を
帯びている局部領域を示す脂質膜壁をもたらす。正荷電
リポソームはムチンに強く引き付けられることが立証さ
れた。
図面の簡単な説明 第1図は双極脂質からなるリポソームの構造を示す一
般に用いられる手段である。
第2図〜第5図は本発明の研究および試験に用いられ
るリポソーム壁構造の2つの脂質成分の空間的関係を示
す。
第6図はセフアロース−ムチン・マトリツクスに結合
された“14C"標識化ベシクルのパーセンテージの棒グラ
フである。
第7図は生体内実験に使用された組織から回収された
放射能のグラフである。
2、3の図面において類似の参照記号は類似部分を意
味する。
発明の実施するための最良の形態 考えられる2、3の操作の実施態様の中から最高の利
益を見出すために、5つのモデルを提案して試験管内で
試験した。そして5つのモデルを独立の研究所に送つて
試験管内の試験を行つた。
試験管内の試験は次の通りである: 一次構成成分の1つとしてムチンを有するヒトおよび
他の動物における組織の例は、耳、鼻、喉、食道、胃、
腸管、膀胱、尿管および膣を含む。
ムチンはムコタンパク質であつて、多糖類とタンパク
質から成る。下顎のムチンは約800個の二糖又は糖単位
(それらの各々は単一のポリペプチド鎖に付加されたN
−アセチル・イノラミニル(2−6)N−アセチル・ガ
ラクトサミンである)のタンパク質多糖類である。糖の
炭水化物は分子量の約45%を明らかにするが、タンパク
質は残りの65%を明らかにしている。二糖(又は糖単
位)とタンパク質は相互にグリコキシド結合を介してア
ミノ糖部分のC−1の水酸基、このタンパク質上に存在
するセリンおよびトレオニンの−OH基へ結合されてい
る。炭水化物又は糖はペプチド鎖の約6番目又は8番目
ごとの残基に付加されている。ムチンへの全負電荷はN
−アセチルノイラミニル部分の負荷電カルボキシル基に
よつて与えられる。構造式は下記の通りである。
上記の構造および説明はホワイトらの著書(White,Ha
ndler & Smith,Biochemistry,5th edition,page 988)
から採つている。
ここに示す本発明の概念は、リポソームが電荷の平衡
している極性脂質から成るとき、それはこれら脂質の正
のヘツド(頭部)基を強めてそれらの親油性「R」基か
ら離れている正荷電部分を突出させる。さらに、強めら
れた正荷電の頭部基は極性脂質の電荷平衡が生じる領域
を越えて突出することになる。
この試験管内の研究に用いた方法は、ムコ多糖類のム
チンを結合することができた臭化シアン活性化セフアロ
ースのスラリーを提供することであつた。セフアロー
ス、アガロースおよびセフアデツクスはエピクロロヒド
リンと共にデキストランのビード形成ゲルの商品名であ
る。これらの製品はクロマトグラフイー法に使用される
ことが周知であつて、スウエーデンのPharmacia Biotec
hnology,Uppsalaから購入することができる。
本発明のこの研究のための臭化シアン活性化セフアロ
ースの目的は、後で報告するように試験内での試験用の
最良の組成物を決定するためのムチン模型を提供するこ
とである。
ベシクル付加用結合マトリツクスを作るために、臭化
シアン活性化セフアロース(アガロース)に糖タンパク
質であるウシの顎ムチンを結合させた。このムチン−セ
フアロースは次に本発明の脂質リポソームの正確な結合
試験をさせるためにムチン組織の研究室モデルとして役
立つ。
周知のリポソーム法によつて下記の第I表に示した5
つの試験試料を調製した。基本的に、表記の各試料の脂
質は有機溶媒で可溶化し、真空乾燥、適当な豫衝液で懸
濁させ、そして音波処理をした。各試料は14Cコレステ
ロール標識の類似部分を含んだ。その標識は研究の評価
のために用いたが、医用の方法には存在しない。
上記の組成物は機能性標的分子の正しい立体的又は三
次元的配向が最高で特異の結合を与えるという仮定に基
いて選んだ。試験せんとする発明の概念は、リポソーム
膜表面の官能末端基間の平均オフセツト距離がリポソー
ム供給系の目標指向性および官能性におけるキーの役目
を演ずるということである。
荷電リポソームが使用される、その場合の正電荷はム
チン基質に結合するために第一アミンの官能基によつて
与えられる。この好適な実施態様が有効である理由はわ
からないが、多分それはムチンが負電荷を有し、反対の
電荷が引き付けるためと考えられる。しかし、別の説
明、例えば水素の結合がリポソームをムチンに保持する
という提案も可能である。これは、第一アミンからムチ
ン分子のタンパク質部分上のカルボニル官能基へ水素原
子を供与するリポソームによつて達成されるのであろ
う。水素の結合の外に、塩橋がベシクルの表面とムチン
基質間の静電引力を発生させる別の手段を提供する。協
調された正電荷を作る領域が優れたムチンの結合をまた
らすことがわかつた。この発見は請求した本発明の基本
原理である。
第1図を参照すると、小さな円は脂質の親水性部分を
表わす。紙質は水の環境に置かれるから、紙質の末端ま
たは“R"基は相互に突出して、双極フイルムを生成す
る、そしてそれは音波処理字に、双極性のリポソーム嚢
壁を作る。その小嚢壁は単に親水性頭部基を稠密並列に
充てさせた結果である。
1つの脂質のみを用いた場合、頭部末端基はかなりな
めらかな表面を画定する。表面のなめらかさは相対的で
ある。顕微鏡でも見えない小さなレベルにおいて、実際
に起伏はあるが均一な形状のものがある。双極リポソー
ムを形成できる既知極性脂質は全て平衡した負電荷と正
電荷を示す頭部基を有する。
第2図に示すように、DSLはグリセロール骨格内にお
いて丁度膜表面において終わつている2つの長い炭素鎖
と、リン酸塩基および第三アンモニウム・イオン部分を
有する、そして後者は塩素官能基によつて画定されるよ
うに外側へ延在する。リン酸塩基は負に荷電され、第四
アンモニウム・イオンは生理学的pHにおいて正に荷電さ
れる。それらは相互に実質的に中性になつて、中性表面
を生じる。本発明の発見は、官能性末端基とベシクル膜
表面間の平均距離がベシクル供給系の標的指向能および
全官能性におけるキーの役目をすることにヒントを与え
る。別の脂質、DSLの正の末端基によるリン酸塩の中性
化は、そのリン酸塩がもはや中性化の影響がないから正
電荷を示すことになる。
この発見は、2、3の脂質組成物が生体内および試験
管内の試験で評価されたこと、および好適な実施態様が
著しくはつきりした答えを引き出したことによつて強調
される。他の組成物は低い答えを有して、好適な実施態
様の水準より低いことが測定された。
以上の概説は次の特定の構造式および得られた試験管
内試験によつてさらに十分に理解されるであろう。
試験内での予備研究 第2図〜第5図は標的分子がベシクルの膜表面から突
出する際の標的分子の3次元的配向を示す。
第2図はジステアロイル・レシチン(DSL)の構造式
を示す。点線10は、いわゆる一次膜表面を示し、その表
面にリン酸塩基がある。ジステアロイル・レシチンは一
次表面10から約14A離れて第四アンモニウム部分を提供
する塩基部分において終わる。リン酸塩基は一次表面10
の上または一次表面から多分2Aの単位の所にある、そし
て正味負の電荷を帯びている。ジステアロイル・レシチ
ンのダンデム・チヤージは極めて近接しているので、そ
れらは電荷−電荷の相互作用を介して互に効果的に中性
になる。これは大部分のリポソームの正常な関係の立体
配置である。
普通、実質的に中性の表面電荷を有することが有効で
ある、或いはいずれかの電荷が利用できるならば、電荷
−電荷の斥力を用いて凝析を防止する、しかしそれはタ
ーゲツテイングには有用でない。
本発明は第2図を参照して説明される発見および概念
に基いている。第2図において、線10で示したリポソー
ムの一次表面のフラグメントは本質的にジステアロイル
・レシチンとステアリルアミンから成る。本発明の実験
的照明は7モルのジステアロイル・レシチン:2モルのス
テアリルアミンの比を用いた。この基本的な比は1:1の
関係まで高めることができるが、実際の実験は7:2が極
めて有効であることを示した。
第2図に示したように、荷電部分の空間的関係の有効
な理由は、ステアリルアミンがアンモニウムの親水性頭
部部分を有することである。この表面10に近接している
ために、アンモニウムの頭部部分はレシチン部分の第四
アンモニウム・イオン基からリン酸塩基の距離よりもジ
ステアロイル・レシチンのリン酸塩に近い。従つて、ス
テアリルアミンのアンモニウム頭部の正電荷がレシチン
のリン酸塩基に中性化の作用を与える。その結果、レシ
チン部分の塩素頭部基上の強い正電荷が今度はその位置
においてリポソーム表面の優勢電荷になる。好適な比が
7:2であるため、前記正の影響はかなり分配されるであ
ろうが、十分ではない。生体のムチンへの標的指向にお
けるこの正電荷の重要性は後で十分に明らかにされる。
本発明の実施可能性を確立するために、最初に試験内
の実験を行つた。この実験において、脂質リポソーム膜
内に14Cコレステロールおよび適当なレシチンをとり入
れて放射化学トレーシングを行つた。これらのリポソー
ム調製品はそれらの糖タンパ質、ウシの顎ムチンへの結
合用親和力を評価した。
上記のような調製したリポソームは、ムチン活性化セ
フアロースと共に室温で15分間10mMのKH2PO4−K2HPO4
衝液(pH7.4)中に温置した。
各ベシクル調製品は、ムチン−セフアロース並びに試
薬品位のセフアロースと結合する能力を評価した。試薬
品位のセフアロースは、ベシクルとこのマトリツクスと
の結合が期待されなかつたから各実験の対照品として使
用した、そしてその試験はその予想を証明した。
第6図のグラフは異なる6つの評価の各々についてセ
フアロース−ムチン・マトリツクスに結合された14Cコ
レステロール標識化ベシクルのパーセントを示す。リポ
ソームは円すい形の遠心分離チユーブ内で一定量のセフ
アロース−ムチン・マトリツクスと共に温置した。設定
した時間の後、そのチユーブをマトリツクスのペレツト
化のために遠心分離を行つた。上澄み液の試料採取をし
て、対照試料と比較した。ベシクルの結合は対照試料の
上澄液とベシクル−セフアロース・ムチンの上澄液間の
差によつて決定した。
最初に実験744と745を比較する。実験グループ744は
主成分がジステアロイル・レシチンから成る、そしてム
チン−セフアロースのカラムにさらしてレシチン(DS
L)のムチンへの付着能力を測定した。第6図の表のグ
ループ744において、本質的に測定できる量のDSL−リポ
ソームが保持されないことがわかる。
次に第2図のリポソームを調製した、この場合のDSL:
ステアリルアミンのモル比は7:2であつた。本発明に従
つて、ステアリルアミンのアンモニウム頭部基がDSL上
のリン酸塩負電荷を中性にし、第四アンモニウム・イオ
ンの強い正電荷を強めると仮定した。もしも正電荷が得
られるならば、それはベシクルにムチン−セフアロース
へ付着させるであろう。第6図の表に示した結果は、試
料745のムチン−セフアロース・カラムへの例外的に強
い付着によつて前記の仮定を支持している。最初の実験
の異常な結果のために、745の実験をくり返したが、第
6図に示したように実質的に同一の結果となつた。
試料744と745に関して記載した実験の実施例可能性を
試験するために、リポソームの画定された表面から正電
荷を遠くにしかしDSLの末端第四アンモニウム・イオン
ほど遠くなく突出する末端基は、DSLリン酸塩基の作用
を中和するが、ステアリルアミンより低効果的に、しか
しストレートのDSLより効果的に作用すると仮定した。
第3図を参照すると、該図に示すホスフアチジル・セ
リンで、NH3の正電荷のみが、空間がより大きいためにD
SLのリン酸塩電荷を部分的に中性にする。この実験は第
I表の標識試料748であり、保持の結果は第6図のグラ
フに示す。保持は試料745の実験の効果より半分以下で
あつた。これは、リン酸塩基の電荷が低効果で中性化さ
れたこと、従つて試料745で得られたよりも低い正の表
面電荷をもたらすという仮定を立証する。しかしなが
ら、塩素正電荷の低い最終強調の使用も有用であつて本
発明の範囲内である。
さらに実証実験を続けて、第4図および第1表に示し
たジセチル・リン酸塩(DCP)を使用して試料743を調製
した。DCPは、第四アンモニウム・イオン末端基を有す
ることなくDSLのリン酸塩基と実質的に同一のリン酸塩
基を提供する。従つて、DCPはDSLの正電荷を高める効果
は本質的になかつた。しかしながら、実験における若干
の異常が約7%のベシクルをカラムに保持させた(第6
図参照)。
最後の実験はp−マレイミド・フエニル・ブチラート
・ホスフアチジル・エタノールアミンを用いた試料746
で行つた。この実験は第6図のグラフに示した結果を与
えた。正電荷の極く僅かの強調が観察された。従つて、
試験管内の実験結果を第6図の表に示した、これは実際
の生体内試験の予測の基礎を与えた。
以上の記載は試験目的のためだけに用いる放射能標識
化膜の存在のみを示した。いかなる数種の薬物治療を意
味しない。
コア体積内のリポソームの香水、皮膚軟膏および種々
のモイスチヤライザー成分のような水溶性薬物や局部付
加物を充てんする技術は周知である。それらの親水性水
溶性物質は、一般にリポソームを漏洩リポソームと呼ば
せる細孔を生成させるために、リポソーム組成物の1つ
としてリソレシチンを取込むことによつて放出される。
本発明はムチンの組織に特定の薬物を付加することは
関係しない。薬物の選択およびリポソーム内への挿入は
技術的に周知である。
本発明は脂質囲い壁を特徴とするリポソームを構成さ
す方法である。本発明に従つて作つた脂質壁は温血宿主
のムチン膜に親和性を有する。リポソームの製造方法は
多数あるが、最も古いのが音波処理法であり、後で微小
流動化法が開発された。本発明の優れた点は脂質の混合
体を用いることである。脂質の第1のものは、親油性で
あるためにリポソームの壁内に固着するアシル部分を有
する。その第1の脂質は常に正電荷を帯びた塩素部分も
有する。選んだリポソームは塩素とアシル部分を相互に
結合させる相互結合用ホスフアチジル部分を有する。
普通、かかる脂質は、ホスフアチジル部分が負の荷電
されているので塩素の正電荷を与える能力を中性化する
ために、リポソームの壁の中性作用を与える。
本発明による第2の脂質は、正電荷を有し頭部が塩素
の脂質よりも低いモル比で取込むことが望ましいが、あ
る場合には完全に1:1の比で用いられるところの親水性
の頭部部分を有する。第1の脂質より少ない脂質を有す
る目的は、第1の脂質の部分のみを中性化することによ
つてリポソームの表面の周囲に点在する正電荷を生成さ
せるためである。
第1と第2の脂質の比が完全に1:1でない場合には、
混合体の残部はより多くの流体リポソームを生成するた
めに少なくともいくらかのコレステロールを含むべきで
ある。
その結果は第1のタイプの分子を有する双極脂質分子
であつて、親水性の頭部基をタンデム(縦に)に有す
る、このタンデムのグループは中間の位置に負荷電部分
そして最端位置に正荷電部分を有する。これらのタンデ
ムの関係は実質的に中性有効電荷をもたらす。タンデム
分子の正電荷の延在位置よりも短かく延在する正電荷の
親水性頭部部分をもつた第2のタイプの分子は、第1の
タイプの分子の中間位置の部分を中性化するのに有効で
あつて、最端タンデム部分に正電荷を示させる。点在す
る正電荷がムチンへの結合をもたらす理由は未解決であ
るが、脂質を平衡化して含有する効果は極めて有効であ
つて実用性があることが立証された。
試験管内試験からの仮定 もしも、リポソームが強い正電荷の表面領域をもつて
生成されるならば、全ての組成物はムチンへ結合するこ
とが期待される。
生体内の確認−リポソームの保持 ジステアロイル・レシチン(DSL)の塩素頭部部分は
ホスフアチジル・ホスアアートのサブグループが中性化
されると有効な正荷電リポソーム表面を提供することを
試験管内で示すために、第I表に示したようにさらに5
つの組成物を作つた、そして816−820の番号を付した。
参考のために、試料番号は下記のように対応する: 743−817 744−816 745−820 746−818 748−819 上記800シリーズの試料を調製して、生体内での結果
を評価するために独立の研究室(Ft.Worth,Texas,U.S.
A)へ送つた。前記第I表には示していないけれども、
各試料は試験のために14Cコレステロール標識を含有し
た。14Cコレステロールは実際のヒト用薬物には使用し
ないが、これらの実験では仮定した結果の確認のための
みに使用した。
この生体内分析用の試験動物としてウサギを用いた。
鎮静化させた各ウサギのそれぞれの目に10μの調製体
を投与した。投与後5分以内にそのウサギを犠牲にし
て、約30で分で試料を除去した。各調製体は3匹のウサ
ギで試験した。従つて6個の目で試験したことになる。
試料は小びんに入れて、後で処理して液体シンチレーシ
ヨン計数をした。最高の保持は、試料745の試験管内試
験で得られた結果と厳密に対応する試料820の正荷電リ
ポソームで得られた。この調製体においては、目に投与
した放射能標識の約46%が回収された。放射能の大部分
は瞬膜および眼瞼結膜上に保持された。最高の角膜保持
が試料820の正荷電リポソームでも得られた。強膜で
は、放射能標識の回収率は比較的低かつた、これは強膜
試料の重量および表面積が角膜試料よりも大であつたた
めと考えられる。
ムチンを被覆したセフアデツクス法は、ステアリルア
ミン・リポソームが最高の保持を有するであろうことを
確かに正確に予想した。
付加した放射能の回収結果(視覚比較)を第7図に示
す。
全実験はウサギを犠牲にした後2時間以内に完了し
た。除去後、組織は重炭酸塩、デキストロースおよびグ
ルタチオンで富化した平衡化塩溶液中に貯蔵した。角膜
全体を眼瞼結膜および強膜と共に取り出した。組織試料
を貯蔵溶液から取り出してガラス・スライドの上に平ら
に広げた。被測定体積のリポソーム調製体をハミルトン
注射器で付加した。1分後、組織はガラス・スライドを
傾斜させて組織の上部を平衡化塩溶液約3〜4mlで激し
くすすぐことによつてすすぎを行つた。
すすいだ組織から回収した放射能は第7図に示す、第
6図に示した試験内の実験における相関が明示されてい
る。表面に正電荷を示したこれらのリポソームは、ジス
テアロイル・レシチンのみを含有する中性表面リポソー
ム上遠くにあるムチン組織に付着した。結果を十分に比
較するために、それぞれ試験管内および生体内の実験で
ある第6図および第7図を比較する必要がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−319047(JP,A) 特開 平1−47714(JP,A) 特表 平3−501019(JP,A) 特表 平3−501253(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 9/127

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも第1型および第2型の構造を有
    する双極脂質分子からなり; 前記第1型の分子は、親水性頭部基を縦列に有し、該縦
    列の基は中間位置に負電荷部分そして最端位置に正荷電
    部分を有し、該縦列の電荷が実質的に中性の有効電荷を
    もたらす;そして 第2型の分子は、前記縦列分子の正電荷の延在位置より
    短かく延在する正荷電親水性頭部部分を有し、それによ
    つて中間正部分が前記第2型の分子によつて効果的に中
    性化され、最端縦列部分が周囲にその正電荷を示す、こ
    とを特徴とするリポソーム。
  2. 【請求項2】薬剤又は診断剤であつて、封入される第1
    の成分; ベシクル又はリポソームの形の脂質膜構造体からなる第
    2の成分; 前記膜構造体が極性脂質からなり、該極性脂質の第1の
    構造形態が正電荷を帯びる最端官能基と該最端基を脂質
    後部基に相互結合させる官能基によつて生じる実質的に
    中性の結果および電荷を有し、前記相互結合用基が負電
    荷を有し、前記極性基の第2の構造形態が脂質後部基に
    相互に結合された正荷電頭部官能基のみを有する構成;
    および それによつて、前記第2の形態の正荷電頭部基と第1形
    態の相互結合基は相互に中性になり、最端官能基を優勢
    にして残す構成、から成ることを特徴とする組成物。
  3. 【請求項3】第1型の分子がジステアロイル・レシチン
    であり、第2型の分子がステアリルアミンである請求の
    範囲第1項記載のリポソーム。
  4. 【請求項4】脂質の混合体であつて、該混合体の第1の
    脂質がアシル部分、塩素部分、および相互結合用ホスフ
    アチジル部分を有し、該混合体の第2の脂質が正電荷を
    帯びた親水性頭部部分を有し、該混合体の残余が少なく
    とも若干量のコレステロールを含み、リポソームがその
    中に薬剤又は診断用物質を取り入れており、該脂質の混
    合体を活性化さすことから成る、温血宿主のムチン膜に
    親和性を有する囲い用脂質壁を特徴としたリポソームを
    構成させる方法。
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