JP2832227B2 - アルカリ電池用亜鉛合金粉末およびその製造方法 - Google Patents
アルカリ電池用亜鉛合金粉末およびその製造方法Info
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Description
粉末およびその製造方法に関し、詳しくは亜鉛中の随伴
不純物としての鉄の含有量が1ppm以下とし、かつ特
定の添加元素を含有することにより、有害な元素である
水銀および鉛を使用せずに、水素ガス発生を抑制し、電
池の耐洩液性を向上させたアルカリ電池用亜鉛合金粉末
およびその製造方法に関する。
いる汞化亜鉛粉末中の水銀は、亜鉛の腐食による水素ガ
スの発生を抑制し、これに起因する電池の洩液を防止す
る目的から、アルカリ電池の負極活物質に不可欠な成分
と考えられていた。
められており、このため亜鉛に鉛、さらにはアルミニウ
ム、ビスマス、インジウム等を添加元素として加えるこ
とにより、水銀の含有量を10重量%から1重量%前後
まで大幅に低減させても、水素ガスの発生を抑制するこ
とが可能となった。
極活物質中の水銀含有量を0重量%、換言すれば無汞化
とすることが近年求められている。このように負極活物
質を無汞化とすると情況は大幅に異なり、上記のような
添加元素を加えたとしても、水素ガス発生量を所定のレ
ベルまで抑制することは困難であった。すなわち、従来
より種々の添加元素を加えた負極活物質としての亜鉛合
金粉末が提案されているが(例えば特公平2−2298
4号公報、特開昭61−153950号公報)、これら
は水銀含有量が1重量%またはそれ以下でも所期の水素
ガス発生の抑制は達成できるものの、無汞化ではその実
現ができなかった。
の有する亜鉛腐蝕抑制効果が近年最も重要となってい
る。現在市販されている低水銀アルカリ電池の負極活物
質は、亜鉛−鉛、亜鉛−アルミニウム−鉛、亜鉛−アル
ミニウム−インジウム−鉛、亜鉛−ビスマス−鉛等とい
った合金組成からなっているのが一般的である。つま
り、水銀含有量の低減化は、鉛の添加効果によって達成
されるところが大きく、鉛を使用せずに負極活物質にお
ける無水銀化は達成し得ないと考えられていた。
すことが知られている。クリーンな環境を求める社会的
なニーズを考慮すれば、人為的な鉛の添加は好ましくな
い。しかしながら、上述したように、現在までにおいて
は、負極活物質における無鉛化は、低水銀化の場合でさ
え容易に達成されない。
ことによって、水素ガスの発生を抑制し、かつ放電性能
を向上させる試みはなされており、例えば特開昭62−
123653号公報には、鉄やクロム等の不純物を低減
することが記載されており、同公報第4頁第1表におい
ては、鉛、インジウムおよびアルミニウムを一定量含有
し、かつ水銀を1重量%含有する汞化亜鉛合金粉末を用
いた負極活物質においては、鉄を10ppm程度に低減
することによって、水素ガスの発生を抑制しつつ放電性
能が向上している。
鉛合金粉末では、上記のように不純物としての鉄の含有
量を10ppm程度に低減し、かつ鉛等の添加元素を含
有させても所望の水素ガスの発生を抑制する効果は得ら
れなかった。
化とすることは、水銀含有量が0.6〜1.0重量%と
いう低汞化の場合と根本的に異なる困難さを伴ない、無
汞化かつ無鉛化の亜鉛合金粉末を負極活物質として用
い、水素ガスの発生を抑制し、ひいては耐洩液性を向上
させたアルカリ電池は未だ得らていない。
技術の課題を解決すべくなされたもので、無汞化さらに
は無鉛化において、水素ガス発生を大幅に抑制するアル
カリ電池用亜鉛合金粉末およびその製造方法を提供する
ことを目的とし、無水銀アルカリ電池の耐洩液性を向上
させることを最終的な目的とする。
に沿って鋭意研究の結果、不純物としての鉄の含有量が
極めて少ない亜鉛を用い、これに特定の添加元素を加え
ることにより、両者の相乗効果によって上記目的が達成
されることを知見し、本発明に到達した。
亜鉛合金粉末は、下記(1)または(2): (1)アルミニウム0.001〜0.5重量%、ビスマ
ス0.001〜0.01重量%未満、(2)アルミニウ
ム0.001〜0.5重量%、ビスマス0.001〜
0.01重量%未満、インジウム0.5重量%以下、か
ら選択される成分を含有し、かつ残部が随伴不純物であ
る鉄を1ppm以下含有した亜鉛からなることを特徴と
する。
しての鉄の含有量が1ppm以下であることが必要であ
る。鉄の含有量が1ppmを超えた場合には水素ガスの
発生を抑制する効果が小さい。ここでいう鉄の含有量1
ppm以下とは、亜鉛と鉄との分離操作を用いずに、通
常の分析手段であるICPや原子吸光光度法を使用した
場合の分析限界値以下を意味する。従来、このような鉄
の含有量の低い亜鉛または亜鉛合金粉末を負極活物質と
して用いることは行なわれておらず、またそのような報
告も知られていない。高純度の亜鉛地金については特殊
な用途、例えば半導体用に特別に帯域溶融法等の方法を
用いて作ることはできるが、価格的にも高価で、とても
乾電池用の原料として使用できるものではない。また合
金粉末として用いた例も見当たらない。工業的量産物と
して得られる亜鉛インゴットのうち、最高純度とされる
精留亜鉛においても、日本工業規格の鉄濃度は20pp
m以下であり、そのうち不純物レベルの特に低いもので
も鉄濃度は一般的には2ppm以上である。また、電気
亜鉛も同じレベルである。
(2)から選択される成分を含有する。各成分元素の含
有量が上記範囲を逸脱した場合には、所期の水素ガスの
発生を抑制する効果が得られなかったり、実用的な放電
性能が維持できないという問題が生じる。このような成
分以外の添加元素、例えば従来より負極活物質として用
いられる亜鉛合金粉末に含有されるアルミニウム、ビス
マス、カルシウム等を仮に単独で含有させても上記した
本発明の効果は得られない。
る。本発明では、随伴不純物としての鉄の含有量が1p
pm以下の亜鉛を用いる。このような鉄含有量の低い亜
鉛としては、電解法による析離亜鉛や真空蒸留法による
亜鉛インゴットが挙げられる。従来においては、析離亜
鉛を塩化アンモニウム等のフラックスと共に溶融し、鋳
型に鋳造した亜鉛インゴットを負極活物質の亜鉛原料と
して用いていた。このような亜鉛インゴットでは鉄の含
有量を1ppm以下とすることができない。その理由
は、亜鉛の溶融工程で浮いたドロス分を除去するが、そ
の除去工程で一部分回収される亜鉛を溶融部に戻す。こ
のドロス分除去工程で通常、分離装置からの鉄分の混入
があるからである。また、溶湯ポンプ、鋳型、環境から
の鉄分の混入も予測される。
した(1)または(2)に示される各添加元素を所定範
囲の含有量となるように溶解する。そして、次にアトマ
イズ法によって粉体化し、さらに篩分けして亜鉛合金粉
末を得る。この際の溶融およびアトマイズ雰囲気中の鉄
の含有量を0.009mg/m3以下とすることが、水
素ガス発生の抑制効果をさらに向上させるといった見地
から望ましい。また、得られた亜鉛合金粉末を磁力選別
することも同様の観点から望ましい。
の製造方法の相違を示したフローシートを図1に示す。
鉄の含有量は、上述したように1ppm以下であり、こ
の亜鉛合金粉末は耐洩液性の許容上限である約300μ
l/day・cell(単3型)以下に水素ガスの発生
を抑制することができる。
構については、巨視的なガス量の測定や推測による結晶
構造の関係が論じられるだけで、実際にガスの発生部位
にまで立入って解明されたことがなかった。そのことが
種々出願された技術が無水銀電池に対して実用に耐えな
かった原因ではないかと考えた本発明者等は、ガス発生
場所の顕微鏡観察とEPMA分析とを入念に行なうこと
によって、亜鉛粉末中に含まれる不可避不純物としての
鉄あるいはその酸化物、合金等の微粒子が、亜鉛粒子間
および/または表面に存在する場合に、その微粒子が水
素ガスの発生源になることを突きとめた。
液と同様な水酸化カリウム水溶液中に浸漬し、連続的に
ガスが発生する特定の部位があることを光学顕微鏡で観
察した。次に、比較的大粒子や細い棒状あるいは板状の
亜鉛を用いて同様にガス発生状態を観察した。そして、
長時間にわたり同一場所からガスが発生する場所がある
ことを確認して継続ガス発生箇所に鋭利な器具を用いて
印を付した。次に、上記亜鉛をEMPAにて組成分析を
行なった。
0.5〜5μmの主として鉄を含む微粒子が偏在するこ
とが判明した。鉄以外の成分としては場合によりクロ
ム、ニッケル、銀、イオウ、酸素が検出された。このこ
とからガス発生は主として鉄または酸化鉄の粒子が極く
微量混在していることによりなされることが判明した。
平均粒径を有する各種の粒子を亜鉛粉末あるいは亜鉛板
に1〜数ppm程度の濃度になるように添加し、水酸化
カリウム水溶液中でガス発生の情況を観察した。結果を
表1に示した。
レスの粒子がガス発生の中心となることが判った。この
ように、ガス発生源は、微粒子、それも主として鉄系の
粒子であることが判った。
効果が亜鉛と電解液間で発生する単純な腐食を抑制する
効果よりも、亜鉛中に偏在する鉄分によって引き起こさ
れる局部電池反応による腐食を抑制する効果の方が大き
く、亜鉛中の不純物としての鉄の含有量が極めて低減さ
れた場合には、水素ガス発生量が、鉛の添加無しに耐洩
液性の許容上限を下回わることも知見した。
しての鉄の含有量を極めて微量にすると共に、水銀、鉛
以外の特定の添加元素を一定量含有させるのである。こ
のことによって、両者の相乗効果によって、水素ガスの
発生が抑制される。
て本発明を具体的に説明する。
1〜7 雰囲気中の鉄含有量が0.005mg/m3の室内にお
いて、鉄の含有量が1ppm以下である電解析離亜鉛を
約500℃で溶融し、これに表2に示す各元素の所定量
を添加して亜鉛合金溶湯を作成した。なお、比較例1は
元素を添加しなかった。
ルゴンガス(噴出圧5kg/cm2)を使って粉体化
し、得られた亜鉛合金粉末を50〜150メッシュの粒
度に篩い分けした。
離鉄粉を除去した。得られた亜鉛合金粉末の鉄含有量は
いずれも1ppm以下であった。
液に酸化亜鉛を飽和させたものに、ゲル化剤としてカル
ボキシメチルセルロースとポリアクリル酸ソーダを1.
0%程度加えて電解液を作成した。
い、この亜鉛合金粉末3.0gを電解液1.5gと混合
してゲル状化したものをそのまま負極材とし、図2に示
すアルカリマンガン電池を作成した。
電させた後、亜鉛合金粉末の腐食による発生する水素ガ
ス発生量を測定し、得られた結果を表2に示した。な
お、25%部分放電するのは、無水銀のアルカリマンガ
ン電池を構成し、0.9Vまでの放電時間を100%と
した場合、25%部分放電あたりが水素ガス発生速度が
最大となるからであり、1Ω、11分の放電条件をもっ
て25%部分放電とした。
1、正極2、負極(ゲル状化した亜鉛合金粉末)3、セ
パレーター4、封口体5、負極底板6、負極集電体7、
キャップ8、熱収縮性樹脂チューブ9、絶縁リング1
0,11、外装缶12で構成されている。
一旦鋳込んだ亜鉛インゴットを出発原料として、鉄の含
有量が5mg/m3の雰囲気中で約500℃で溶融し、
これに表2に示す各元素の所定量を添加して亜鉛合金溶
湯を作成した。
ンガス(噴出圧5kg/cm2)を使って粉体化し、得
られた亜鉛亜鉛合金粉末を50〜150メッシュの粒度
に篩い分けした。
も3ppmであった。なお、ここでは磁力選別を行なわ
なかった。
に図2に示すアルカリ電池を作成し、25%部分放電を
行ない、水素ガス発生量を測定した。その結果を表2に
示す。
pm以下で、しかも特定の組成を有する実施例1〜2お
よび参考例1〜8の亜鉛合金粉末は、いずれも水素ガス
発生量が耐洩液性の許容上限である約300μl/da
y・cell(単3型)以下である。これに対して比較
例1〜7の亜鉛合金粉末は、鉄の含有量が1ppm以下
であるにも拘らず、組成が本発明で規定する範囲を逸脱
することから、水素ガス発生を抑制する効果が認められ
ない。さらに、比較例8〜9の亜鉛合金粉末は、鉄の含
有量が3ppmであるため、組成が本発明で規定する範
囲に含まれるか否かを問わず、水素ガス発生を抑制する
効果が認められない。
%、10重量%含有されるようにそれぞれ汞化し、汞化
亜鉛合金粉末を得た。
同様に図1に示すアルカリ電池を作成し、25%部分放
電を行ない、水素ガス発生量を測定した。その結果を実
施例1および比較例8の値と共にプロットして図3に示
す。
3ppmの場合には、水銀含有量が1重量%以上で耐洩
液性の許容上限を下回るのに対し、鉄の含有量が1pp
m以下では水銀の含有の有無に拘らず、耐洩液性の許容
上限を下回る。
粉末についても同様の試験を行なったが、ほぼ同様の結
果が得られた。
鉄の含有量が1ppm以下の亜鉛と特定の添加元素を溶
湯中で溶解し、該溶湯を直接アトマイズすることによっ
て、鉄の含有量が1ppm以下であるアルカリ電池用亜
鉛合金粉末が得られる。
るにも拘らず、アルカリ電池の負極活物質に用いること
により、水素ガス発生を大幅に抑制すると共に、放電性
能を実用的な水準に保持し得る。また、水銀および鉛が
含有されていないため、この亜鉛合金粉末を負極活物質
として用いたアルカリ電池は社会的ニーズにも沿ったも
のである。
示したフローシート。
面図を示す。
量との関係を示すグラフ。
タ、 5:封口体、 6:負極底板、 7:負極集電
体、 8:キャップ、 9:熱収縮性樹脂チューブ、
10,11:絶縁リング、 12:外装缶。
Claims (6)
- 【請求項1】 アルミニウム0.001〜0.5重量
%、ビスマス0.001〜0.01重量%未満、残部が
随伴不純物としての鉄を1ppm以下含有する亜鉛から
なることを特徴とする無汞化アルカリ電池用亜鉛合金粉
末。 - 【請求項2】 アルミニウム0.001〜0.5重量
%、ビスマス0.001〜0.01重量%未満、インジ
ウム0.5重量%以下、残部が随伴不純物としての鉄を
1ppm以下含有する亜鉛からなることを特徴とする無
汞化アルカリ電池用亜鉛合金粉末。 - 【請求項3】 随伴不純物としての鉄を1ppm以下含
有した電解析離亜鉛に、下記(1)または(2): (1)アルミニウム0.001〜0.5重量%、ビスマ
ス0.001〜0.01重量%未満、(2)アルミニウ
ム0.001〜0.5重量%、ビスマス0.001〜
0.01重量%未満、インジウム0.5重量%以下、の
いずれかの含有割合となるように、上記添加元素を溶解
し、該溶湯を直接アトマイズすることを特徴とする、随
伴不純物としての鉄を1ppm以下含有する無汞化アル
カリ電池用亜鉛合金粉末の製造方法。 - 【請求項4】 前記溶解およびアトマイズ雰囲気中の鉄
含有量が0.009mg/m3以下である請求項3に記
載のアルカリ電池用亜鉛合金粉末の製造方法。 - 【請求項5】 得られたアトマイズ粉を磁力選別する請
求項3または4に記載のアルカリ電池用亜鉛合金粉末の
製造方法。 - 【請求項6】 請求項1または2に記載の亜鉛合金粉末
を負極活物質として用いたアルカリ電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4129853A JP2832227B2 (ja) | 1992-04-24 | 1992-04-24 | アルカリ電池用亜鉛合金粉末およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP4129853A JP2832227B2 (ja) | 1992-04-24 | 1992-04-24 | アルカリ電池用亜鉛合金粉末およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH05299082A JPH05299082A (ja) | 1993-11-12 |
JP2832227B2 true JP2832227B2 (ja) | 1998-12-09 |
Family
ID=15019880
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4129853A Expired - Lifetime JP2832227B2 (ja) | 1992-04-24 | 1992-04-24 | アルカリ電池用亜鉛合金粉末およびその製造方法 |
Country Status (1)
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Families Citing this family (5)
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JP4613477B2 (ja) * | 2003-04-15 | 2011-01-19 | Dowaエレクトロニクス株式会社 | アルカリ電池用集電棒 |
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-
1992
- 1992-04-24 JP JP4129853A patent/JP2832227B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
Journal of Applied Electrochemistry 6(1976)(英)p.163−169 |
Journal of The Electrochemical Society 118(1971−5.)(米)p.685−695 |
Also Published As
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JPH05299082A (ja) | 1993-11-12 |
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