JP2832170B2 - 播種育苗用シート - Google Patents

播種育苗用シート

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JP2832170B2
JP2832170B2 JP7227782A JP22778295A JP2832170B2 JP 2832170 B2 JP2832170 B2 JP 2832170B2 JP 7227782 A JP7227782 A JP 7227782A JP 22778295 A JP22778295 A JP 22778295A JP 2832170 B2 JP2832170 B2 JP 2832170B2
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憲司 大谷
忠男 金子
鈴木  勲
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、育苗床上における
野菜、花卉などの播種、育苗に使用する播種育苗用シー
トに係り、特に、種子を、任意の間隔及び粒数で、脱落
の恐れがなく容易に取り扱うことができるほど強く固定
する事ができ、各種の野菜、花卉などの播種、育苗に発
芽を損なうことなく、播種の省力化に貢献することので
きる播種育苗用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、播種作業は、一般的に手播きで行
われることが多いが、現在までに播種作業の省力化を目
的としたものとして、水溶性フィルムテープ内に種子を
物理的に封入したシードテープ、水溶性不織布上に接着
剤で種子を等間隔に固定したシードペーパーなどが製品
化されている。しかし、シードテープでは種子間隔を適
切な距離に保持することが難しく、また、シードペーパ
ーでは、接着剤および種子の投下位置が機械的に定めら
れているため、種子間隔の接近しているパターンでは間
隔の調節が難しく、また、水溶性不織布の水溶性不足の
問題があった。
【0003】現在では、所定間隔に所定粒数の種子を簡
便に搭載することを可能にした播種育苗用シートも開発
されている。しかし、このシートの場合、種子を強固に
固定することを目的としてはいないため、種子を搭載し
た状態でシートの運搬などの作業を行うことには適して
いない。また、近年、上記シートに種子を搭載後、ポリ
ビニルアルコールなどの水溶性ポリマーと水溶性粘着剤
とによって構成したフィルム層の貼合せにより種子を固
定した播種育苗用シートも開発されている。しかし、こ
の構造では、水溶性粘着剤の経時的な化学変化によって
水溶性が劣化する場合があり、育苗床上での潅水に対し
て、シートの溶解に時間がかかり、播種作業性、発芽性
などに悪影響をおよぼす場合が認められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の種子搭載シートを用いた場合、使用目的によっては播
種、育苗の省力化が果たされてはいる。しかし、広範囲
な野菜、花卉などに対して、運搬あるいは作業中に種子
の脱落のないこと、所定の位置に所定粒数の種子を搭載
することができること、さらに、長期保存しても発芽に
悪影響を及ぼさない安定した水溶性を示すことなどの特
性を兼ね備えたシートを得ることは困難であった。
【0005】本発明の目的は、上記従来技術の有してい
た課題を解決して、種子が任意の間隔および粒数で、脱
落の恐れがなく、容易に取り扱うことができるほど強固
に固定され、しかも播種、育苗過程において、長期保存
しても発芽に悪影響を及ぼさないような優れた水溶性を
有する播種育苗用シートを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は、水溶性もし
くは水分散性の支持体上に所定間隔に点状の粘着剤層を
設け、該粘着剤層上に種子を付着させて保持し、該種子
上に水溶性高分子からなるフィルム層を貼合せて上記支
持体上に種子を固定する播種育苗用シートであって、上
記水溶性高分子からなるフィルム層が、ポリビニルアル
コール(PVA)とポリエチレングリコール(PEG)との複合フ
ィルムから構成されたフィルム層であることを特徴とす
る播種育苗用シートとすることによって達成することが
できる。また、上記の構成において、上記水溶性高分子
からなる複合フィルムを、水溶性もしくは水分散性の支
持体上に熱融着によって貼合せられた複合フィルムとす
ること、さらに、上記複合フィルムの熱融着部分を、種
子の周囲を囲むように設けることによって、より十分な
効果を挙げることができる。
【0007】種子の付着は、種子捕捉の可能な粘着性を
有する粘着剤を水溶紙などの支持体上の所定の位置に正
確に塗工した後、種子を振りかけることによって、支持
体上の所定の場所に所定の間隔で固定することができ
る。水溶性支持体上への粘着剤の塗工は、線状、点状な
ど様々な様式での塗工が可能であるが、その中でも特
に、種子搭載数を制御する上で、点状塗工が優れてい
る。また、点状塗工をする場合、必要に応じて、任意の
形状、間隔で小面積の粘着剤を塗工する必要があり、そ
の場合にはスクリーン印刷が適している。なお、種子の
付着に使用する粘着剤としては、種子の発芽、幼苗の生
育などに対する阻害作用がない限り、市販の粘着剤を任
意に選択して使用することができる。
【0008】微小な種子を1カ所に1個ずつ固定するた
めには、それに対応して粘着剤の面積も微小としなけれ
ばならない。その結果、種子と粘着剤との接触面積が極
めて小さくなり、通常の作業あるいは運搬作業で種子の
脱落するものが多数現れてしまう。また種子の種類によ
り、点状に塗工した粘着剤では固定しにくいものもあ
る。このような場合、水溶性高分子フィルムで被覆する
ことによる種子の固定が極めて有効な手段となる。
【0009】支持体上に搭載した種子を水溶性高分子フ
ィルムで固定する方法としては、種子を搭載したシート
上に水溶性高分子を塗工して被覆する方法、水溶性高分
子フィルムに水溶性粘着剤や水溶性接着剤を薄く被覆し
て支持体と貼合せる方法、水溶性高分子フィルムを熱に
より支持体に融着させる方法などがある。
【0010】水溶性高分子フィルムを水溶性粘着剤で被
覆したシートの場合、作製直後の水溶性は良好であって
も、水溶性粘着剤の経時的な化学変化により溶解性の低
下がおこる場合があり、シートの長期保存性に問題が生
じる可能性がある。
【0011】本発明においては、水溶性もしくは水分散
性の支持体上に貼合せる水溶性高分子フィルムとして市
販の PVA フィルム(例えば、日合フィルム製 ハイセロ
ン)とPEG フィルム(例えば、第一工業製薬製 フレキシ
ーヌ)とを組み合わせた複合フィルムを、熱(80℃〜100
℃)により支持体に融着させたシートにすることによっ
て、種子を任意の間隔および粒数で脱落しないように保
持することができ、さらに、長期保存性、溶解性に関し
て優れた効果をもたせることができ、各種の野菜、花卉
などの播種、育苗において、発芽を損なうことなく、播
種の省力化に貢献することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の播種育苗用シート
について具体例によって説明する。まず、市販の PVA
フィルム(厚さ20μm)+ PEG フィルム(厚さ10μm) の複
合フィルムを用意した。また、対照として、PVA フィル
ム(厚さ10μm)+水溶性粘着剤(厚さ20μm)の複合フィル
ムを作製した。
【0013】図1に示すように、市販の水溶紙(280mm×
580mm)1上に、スクリーン印刷により直径0.3mmのドッ
ト状にアクリル系粘着剤2を220個印刷し、その上にネ
ギ種子3を振りかけて、粘着剤1ドットに1個の種子を
搭載した。次に、該種子搭載シートの上全面に、予め用
意した上記 PVA フィルム4と PEG フィルム5とからな
る複合フィルム6をかぶせ、種子と種子の間の部分7を
80℃に加熱したアルミ製押型により水溶紙に圧着して、
運搬あるいは作業中に脱落しないように種子を固定する
ことができた。この試料について、本発明シートの水溶
性の経時変化を調べた。また、比較例として、PVA(厚さ
10μm)と水溶性粘着剤(厚さ20μm)とからなる複合フィ
ルムを、同様に水溶紙の上に貼合せた従来構成のシート
を作製した上記2種類のシートを、育苗箱に入れた培土
上に水溶紙面を上にして載せた後、ジョウロを用いて散
水し、散水時からシートが完全に溶解するまでの時間お
よび使用した水の量を測定した。
【0014】散水直後からシートが完全に溶解するまで
に要した時間を図2に示す。なお、図の説明中、WSP は
水溶性粘着剤を示す。この結果から、作製直後の溶解性
は、本発明構成のシートでは20秒、比較例のシートでは
30 秒であった。しかし、4ヶ月後には、本発明構成品
では溶解時間の変化がみられなかったのに対して、比較
例のシートでは溶解時間が低下し、約60秒の時間差にな
ることが確認された。また、散水時に使用した水の量に
ついても、本発明構成品の場合の使用量が比較例シート
より少なかった(表1)。以上述べたように、本発明構成
のシートとすることによって、所定の位置に所定粒数の
種子を運搬あるいは作業中に種子が脱落することがない
ように十分強固に搭載でき、かつ長期間にわたり安定し
た水溶解性を兼ね備えた播種育苗用シートを得ることが
できた。
【0015】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明播種育苗用シートの構成を示す図。
【図2】散水後、シートが完全に溶解するまでに要する
時間について、シート作製後の放置時間(日数)との関係
の比較を示す図。
【符号の説明】
1…水溶紙、2…支持体上に点状に塗工した粘着剤、3
…ネギ種子、4… PVAフィルム、5… PEG フィルム、
6… PVA + PEG 複合フィルム、7… PEGフィルムと水
溶紙の熱融着部分。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 茂 神奈川県川崎市多摩区登戸3819番地 株 式会社スリオンテック内 (56)参考文献 特開 平5−292805(JP,A) 特開 平7−184417(JP,A) 特公 平7−28579(JP,B2) 実公 平4−5564(JP,Y2) 実公 昭46−25076(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A01C 1/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水溶性もしくは水分散性の支持体上に所定
    間隔に点状の粘着剤層を設け、該粘着剤層上に種子を付
    着させて保持し、該種子上に水溶性高分子からなるフィ
    ルム層を貼合せて上記支持体上に種子を固定する播種育
    苗用シートにおいて、上記水溶性高分子からなるフィル
    ム層が、ポリビニルアルコール(PVA)とポリエチレング
    リコール(PEG)との複合フィルムから構成したフィルム
    層であることを特徴とする播種育苗用シート。
  2. 【請求項2】上記水溶性高分子からなる複合フィルム
    が、水溶性もしくは水分散性の支持体上に熱融着によっ
    て貼合せられた複合フィルムであることを特徴とする請
    求項1記載の播種育苗用シート。
  3. 【請求項3】上記複合フィルムの熱融着部分が、種子の
    周囲を囲むように設けられていることを特徴とする請求
    項2記載の播種育苗用シート。
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