JP2832032B2 - 鋳包み用中空筒体の製造方法 - Google Patents

鋳包み用中空筒体の製造方法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は鋳包み用中空筒体の製造方法に関し、特に発
泡体製の消失型を用いるいわゆるロストフォーム法ある
いはフルモールド法により鋳造される鋳包み用中空筒体
の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
従来より、所望の形状の第1の鋳物を鋳造し、その後
に、この鋳造物とは異種又は同種の金属よりなる溶湯を
鋳造物の周囲に注湯して第2の鋳物を鋳造して一体的鋳
造製品を得る鋳包みが行われている。そしてかかる鋳包
みは、中空筒体例えば鋳鉄製シリンダライナーをアルミ
ニウム合金製シリンダブロックにて鋳包む場合や、熱交
換器、ブレーキドラムを鋳造する場合等に広く行なわれ
ている。例えば、内燃機関用シリンダについては、ピス
トンリングとの摺動特性、自己潤滑性等の観点より鋳鉄
性のシリンダライナ(第1の鋳物)を用い、また軽量化
の目的からアルミニウム製ブロック(第2の鋳物)をラ
イナーと一体的に形成している。
この場合、特に問題となるのは鋳包み境界面での第1
の鋳物と第2の鋳物の接合強度及び熱伝達性である。こ
れらの改善のため、従来第1の鋳物の外周面に細溝の機
械加工を施し第2の鋳物との接触面積を増大させたり、
第1の鋳物の外周面に鋳造段階にて凹凸を形成したりし
ている。例えば、特開昭53−104527号では、鋳型に特殊
物質を添加し、第1の鋳物の鋳肌面に無数の凹凸面を形
成して、異種金属を鋳包んだときに鋳肌面の凹凸と異種
金属とが噛み合った状態を得ようとしている。また特公
昭42−25554号では、角ねじを表面に設けた金型を用い
て鋳型を作成し、鋳型の肌砂として黒鉛と水ガラスの混
合物を用い、鋳型内周面にねじ部を形成して、第1の鋳
物の外周面にねじ状の凹凸部を形成する方法を開示して
いる。
更に第1の鋳物の外周面にアリ溝を形成するビラール
法や、第1の鋳物の外周面にアルミナイズ処理を行って
第2の鋳物との結合性を高める方法もある。
その他直接鋳包み方法に関係してはいないが、溶湯を
注湯することにより消失する消失型を用いて鋳造する方
法自体については、特開昭58−184040号や特開昭62−15
1242号に開示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
以上のような従来の技術において、外周に機械加工を
施したり、外周に凹凸部を形成した第1の鋳物の場合に
は、第1の鋳物鋳造後に機械加工することや、第1の鋳
物作成のため複雑な形状を有する鋳型を作成する点で工
程が煩雑となる。また単なる凹凸部では、第1、第2鋳
物の相対的な軸方向のずれは防止できるが半径方向のず
れは防止し得ない。更に仮に鋳包み境界面に隙間が存在
した状態で第1、第2の鋳物が一体化されると、鋳物製
品がその運転時に加熱されたとき、第1、第2鋳物の熱
膨張係数の差によってその隙間容量が大きくなる可能性
がある。そしてかかる隙間に介在する空気が断熱効果を
発揮することとなり、鋳包み製品の所望の特性を低下さ
せる。例えばエンジンシリンダは燃焼室の熱を放熱させ
る必要性があるが、断熱層の発生により十分な放熱効果
は得られなくなる。更に隙間内の空気が膨張することに
より、第1、第2の鋳物が互いに離反する方向に付勢を
受け、一体結合性が阻害される。
第1の鋳物外周面にアリ溝を形成した場合には、この
アリ溝内に第2の鋳物を侵入させれば、第1、第2の鋳
物の結合力、密着力を高めることが可能となる。即ち第
1、第2鋳物の相対的軸方向のずれを阻止できるのみな
らず、横方向又は半径方向のずれをも阻止できる。なぜ
なら、アリ溝はその入口開口面積よりも内部の空間断面
積のほうが大きいので、アリ溝内部に侵入固化した第2
鋳物部分は、容易に第1鋳物から離反できないからであ
る。しかし、かかるアリ溝を鋳造にて形成するのは一般
的な凹凸溝を形成する以上に困難であり、またアリ溝内
に残留する鋳造砂を容易に洗い出せる構造とすることが
必要である。更に、従来の鋳包み用第1の鋳物の製造方
法においては、中空筒体は、単筒体のみがその対象であ
り、複数の筒体が並設一体化されたいわゆるサイアミー
ズ型の並設一体型中空多筒体を製造することはきわめて
困難であった。本発明は、上述した従来の鋳包み用中空
筒体並びにその製造方法における欠点を克服し、製造が
容易でかつ第2鋳物との密着性のすぐれた鋳包み用中空
筒体(第1鋳物)及びその製造方法を提供することを目
的とする。
〔課題を解決するための手段〕
そこで、本発明は、合成樹脂発泡体からなるビーズを
複数準備し、このビーズを格子状に編まれた網上に散布
してビーズを網の格子空間内に整列配置せしめるととも
に、鋳包み用中空筒体にほぼ対応する形状の中空筒状発
泡体の外周面に両面接着テープを巻付けて粘着面を露出
せしめ、前記中空筒状発泡体を網上に整列配置したビー
ズ上を回転させて中空筒状発泡体の粘着面上にビーズを
付着せしめて鋳包み用中空筒体の形状に対応する消失型
を形成し、この消失型を鋳型砂等の鋳型材中に埋設し、
溶湯を消失型内に注湯して消失型と溶湯を置換する。
前記ビーズは略球形であること。
合成樹脂発泡体からなるビーズを複数準備し、鋳包み
用中空筒体にほぼ対応する形状の中空筒状発泡体の外周
面に両面接着テープを巻付けて粘着面を所定間隔で形成
し、前記中空筒状発泡体を多数配置したビーズ上を回転
させるか、又はビーズを中空筒状発泡体の外周面にふり
かけて中空筒状発泡体の粘着面上にビーズを付着せしめ
て鋳包み用中空筒体の形状に対応する消失型を形成し、
この消失型を鋳型砂等の鋳型材中に埋設し、溶湯を消失
型内に注湯して消失型と溶湯を置換する。
前記ビーズは略球形であること。
前記両面接着テープの粘着面にはビーズが付着される
位置に粘着剤が塗布されている。
前記両面接着テープの粘着面に所定間隔で開口を設け
た開口形成膜を付着せしめ、この開口を介して粘着面が
露出している。
〔作用〕
合成樹脂発泡体からなるビーズを格子状に編込まれた
網上に散布してビーズを整列配置せしめ、一方外周面に
両面接着テープを巻付けた中空筒状発泡体を準備し、こ
の中空筒状発泡体を前記網上に整列配置されたビーズ上
を転動させる。これによって前記中空筒状発泡体の外周
面に形成された両面接着テープの粘着面にほぼ規則正し
くビーズが付着される。
又網上に前記ビーズを散布する代りに、前記中空筒状
発泡体の外周面のビーズを付着せしめる粘着面を所定間
隔で形成し、この粘着面に前記ビーズを振掛けるか、あ
るいは前記ビーズを間隔を密にして多数配置し、この上
に前記中空筒状発泡体を転動させるようにする。このよ
うにすれば前述の方法における網が不要となる。
上述のような方法によれば、簡単に鋳包み用中空筒体
に対応する発泡体性の消失型を形成することができる。
〔実施例〕
以下、図面を参照して本発明の一実施例について説明
する。
第1図、第2図は、本発明の製造方法により製造され
る鋳包み用中空筒体1を示し、この鋳包み用中空筒体1
は中空円筒上の直胴部2と、この直胴部2の外周面に複
数所定間隔で立体的に鋳造された突起3,3,…3からなっ
ている。このような鋳包み用中空筒体1は、例えばアル
ミニウム製シリンダーブロック10内の内側に鋳込まれ、
このシリンダーブロック10の外周には放熱フィンf,f,…
fが形成されている。前記シリンダーブロック10の内周
部9は前述した突起3と接合され、このように突起3が
前記シリンダーブロック10の内周面に結合することによ
り鋳包み用中空筒体1とシリンダーブロック10が互いに
離反する方向に付勢を受けても、突起3,3間に介在する
内周部9の断面積A1が前記突起間の溶湯流入口面積A2
りも大きいので鋳包み用中空筒体1とシリンダーブロッ
ク10の密着結合が確保される。
次に前述したような鋳包み用中空筒体1の製造方法に
ついて説明する。
第3図において、テーブルT上には適宜の大きさの網
目を有する格子状に編まれた金網11が載置され、この金
網11上に所定の大きさの発泡スチロール製ビーズ12が散
布装置Dによりばらまかれる。この発泡スチロール製ビ
ーズ12が十分に金網11上に撒かれ、金網11の各格子内に
は1つの発泡スチロール製ビーズ12が入り込むようにす
る。このビーズ12は第1図に示した鋳包み用中空筒体の
突起3に相当する形状を有している。次に第4図に示す
ように発泡スチロール製の中空円筒体13を準備し、この
発泡性スチロール製の中空円筒体13の外周面上に粘着テ
ープ14を巻付ける。この粘着テープ14は両側に粘着剤が
付着された基板14aとその両側に付着される離型紙14b,1
4cから形成されており、前記円筒体13の外周面上に粘着
テープ14を巻付けるときには内側の離型紙14bを剥ぎと
る。次いで、外側の離型紙14cを剥がし、基板14aの外側
に形成された粘着剤層を露出せしめる。次いで、第5図
に示すように、粘着剤層が露出された前記円筒体13を、
前記ビーズ12がその格子内に入り込んだ金網11上を転動
せしめる。このとき、第6図に示すように、前記円筒体
13の押圧力によってビーズ12は若干潰され、その潰され
た部分12aが前記両面テープの粘着剤層に付着する。こ
のように前記円筒体13を金網11上を転動せしめれば、そ
の粘着剤層に所定間隔でビーズ12が付着され、こうして
円筒体外周面に多数の突起を有する消失型が形成され
る。
前記円筒体13上に前記ビーズ12の付着が不完全な場合
には第7図に示すように2つの押圧ローラ15,16間に前
記円筒体13を挟み、前記ローラ15,16を互いに反対方向
に回転させることにより、前記円筒体13を一方向に回転
させ前記ローラ15,16の外周面によって円筒体13上のビ
ーズ12を若干押圧せしめるようにする。これによってビ
ーズ12の密着性を高める。
上述の実施例においては、金網11上にビーズ12を整列
配置せしめたが、第8図乃至第11図に示すように、前記
ビーズ12を付着する粘着面を円筒体13上に所定間隔で形
成するようにし、この粘着面に前記ビーズ12をばらまく
かあるいは前記ビーズ12を平面上に不規則に並べてお
き、この不規則に並べられたビーズ12上を前記円筒体13
を転動せしめるようにしてもよい。
すなわち、第8図に示すように、前記両面テープ14の
基板14a上には規則正しく粘着面14d,14d,…14dが形成さ
れ、この粘着面14dに前記ビーズ12を付着させる。前記
粘着面14dを形成した両面テープ14は第9図に示すよう
に、第4図に示すものと同じように離型紙14cによって
外部に露出しないように保護されている。上述のような
粘着面14dを基板14a上に所定間隔で形成するためには第
10図に示すように基板14aを所定間隔で開口を有する開
口O1,O1,…O1を有するフィルム20でカバーし、このフィ
ルム20上にローラ等で粘着剤を付着せしめるようにすれ
ば所定間隔の粘着面14dが簡単に形成される。
又、第11図に示すように、基板14a上に全面に粘着剤
層14fを形成し、この粘着剤層14fを開口O2,O2,…O2を有
するフィルム14eでカバーし、このフィルム14eを更に離
型紙14gで保護し、使用時にはこの離型紙14gを剥がして
使用するようにする。
このようにして形成された消失型を公知の鋳造砂中に
埋設する。この際消失型の軸は鉛直方向を向くように砂
中に位置せしめる。本実施例は中空筒体1の鋳造に際し
て消失型の内周面空間内に中子を設けない。したがって
次工程の注湯後依然として所望の断面形状を維持するた
めにも、消失型を鉛直方向に砂中に埋設する。仮に消失
型の軸を水平方向に向けて型を砂中に埋設すると、注湯
後、溶湯の重力等により変形し、所望の断面形状が得ら
れなくなる。
次に溶湯を上方から注湯し、消失型は溶湯と置換され
る。この時消失型の内周空間には中子が存在せず、鋳造
砂が外周部と同様に充填されているので、ガスは内周空
間方向へも容易に逃げ出ることができる。溶湯が冷却し
固化した後鋳造砂を除去すると、第1図に示されるよう
な中空筒体1が得られる。その後中空筒体1を埋金とし
て用い、その周りにアルミニウムを鋳包んで、所望のシ
リンダブロック10を鋳造する。アルミニウム鋳包みの条
件は、従来の鋳包み条件と同様である。
このように両面テープに所定間隔で規則正しく粘着面
を形成する方法によれば、第12図に示すようにサイアミ
ーズ型の消失型20を形成する際にもその外周面に簡単に
ビーズ12を規則正しく付着せしめることができる。
〔発明の効果〕
本発明は以上のように構成したので、実質的にアリ溝
を提供する突起を複数形成した鋳包み用中空筒体の消失
型を簡単に形成することができる。この際、各ビーズは
面接触にて中空本体に一体化されているので、消失型に
侵入した溶湯はビーズ間隙内へも確実に侵入することが
できる。
更に鋳造後に中空筒体の外周加工を省略でき、鋳造砂
の除去も容易になされるので、製造工程の簡略化とコス
トダウンを図ることができる。
更に各突起はほぼ球面形状をなしているので、第1鋳
物の鋳造後、突起間に介在する鋳造砂は円滑に排出する
ことができる。
加えて、両面テープの前記突起片の付着面を所定間隔
で付着すれば、消失型を形成する中空筒体を当初よりサ
イアミーズ型の第1鋳物として容易に製造することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の製造方法によって製造される鋳包み用
中空筒体の縦断面図、第2図は前記鋳包み用中空筒体を
シリンダーブロック内に鋳込んだ合の断面図、第3図は
金網上にビーズを配置せしめる場合の斜視図、第4図は
中空筒体に両面テープを接着せしめる場合の説明図、第
5図は中空筒体にビーズを付着せしめる場合の動作説明
図、第6図は第5図に示す動作時のビーズ12が両面テー
プの粘着剤層に付着する場合の拡大説明図、第7図は円
筒体13の外周面上にビーズを確実に付着せしめる場合の
装置の側面図、第8図は本発明の他の実施例を示す両面
テープの平面図、第9図は第8図に示す両面テープの全
体の横断面図、第10図は両面テープに粘着面を規則正し
く付着する場合の動作説明図、第11図は本発明の他の実
施例を示す両面テープの横断面図、第12図はサイアミー
ズ型の消失型を形成する場合の中空筒体の側面図であ
る。 1……鋳包み用中空筒体、3……突起、10……シリンダ
ーブロック、11……金網、12……ビーズ、13……中空筒
体、14……両面テープ、20……サイアミーズ型消失型。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成樹脂発泡体からなるビーズを複数準備
    し、このビーズを格子状に編まれた網上に散布してビー
    ズを網の格子空間内に整列配置せしめるとともに、鋳包
    み用中空筒体にほぼ対応する形状の中空筒状発泡体の外
    周面に両面接着テープを巻付けて粘着面を露出せしめ、
    前記中空筒状発泡体を網上に整列配置したビーズ上を回
    転させて中空筒状発泡体の粘着面上にビーズを付着せし
    めて鋳包み用中空筒体の形状に対応する消失型を形成
    し、この消失型を鋳型砂等の鋳型材中に埋設し、溶湯を
    消失型内に注湯して消失型と溶湯を置換することを特徴
    とする鋳包み用中空筒体の製造方法。
  2. 【請求項2】前記ビーズは略球形であることを特徴とす
    る請求項1記載の鋳包み用中空筒体の製造方法。
  3. 【請求項3】合成樹脂発泡体からなるビーズを複数準備
    し、鋳包み用中空筒体にほぼ対応する形状の中空筒状発
    泡体の外周面に両面接着テープを巻付けて粘着面を所定
    間隔で形成し、前記中空筒状発泡体を多数配置したビー
    ズ上を回転させるか、又はビーズを中空筒状発泡体の外
    周面にふりかけて中空筒状発泡体の粘着面上にビーズを
    付着せしめて鋳包み用中空筒体の形状に対応する消失型
    を形成し、この消失型を鋳型砂等の鋳型材中に埋設し、
    溶湯を消失型内に注湯して消失型と溶湯を置換すること
    を特徴とする鋳包み用中空筒体の製造方法。
  4. 【請求項4】前記ビーズは略球形であることを特徴とす
    る請求項3記載の鋳包み用中空筒体の製造方法。
  5. 【請求項5】前記両面接着テープの粘着面にはビーズが
    付着される位置に粘着剤が塗布されていることを特徴と
    する請求項3記載の鋳包み用中空筒体の製造方法。
  6. 【請求項6】前記両面接着テープの粘着面に所定間隔で
    開口を設けた開口形成膜を付着せしめ、この開口を介し
    て粘着面が露出していることを特徴とする請求項3記載
    の鋳包み用中空筒体の製造方法。
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