JP2831022B2 - 熱可塑性メタクリルイミド基含有樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性メタクリルイミド基含有樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、改良された耐候性を有する熱可塑性メタク
リルイミド基含有樹脂組成物に関する。
〔従来の技術〕
メタクリルイミド基含有重合体は高い熱変形温度と高
度な透明性を保持する熱可塑性樹脂であることはよく知
られている(特公昭60−38404号公報)。
しかしながら、メタクリルイミド基含有重合体の太陽
光線、風雨、寒暖等に対する抵抗力、即ち耐候性はあま
りよくなく、透明性の低下、外観の劣化等が生じ実用上
極めて重要な問題となっている。
このようなメタクリルイミド基含有重合体の耐候性を
向上させるために例えばベンゾフェノン系やベンゾトリ
アゾール系の各種紫外線吸収剤を添加する試みがある。
しかしながらかかる方法によっても最も耐候性に優れる
透明樹脂であるメチルメタクリレート樹脂に匹敵しうる
メタクリルイミド基含有重合体は得られていない。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記のような現状に鑑み、本発明の目的は、改良され
た耐候性を有するメタクリルイミド基含有樹脂組成物を
提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、下記構造式(I) (式(I)において、R1は水素原子または炭素数1〜20
の置換または非置換のアルキル基、シクロアルキル基、
アリール基、アルカリル基もしくはアラルキル基または
アリル基である)で示されるイミド環構造単位5〜100
重量%と少くとも一種のモノエチレン系不飽和単量体か
ら導かれる単位0〜95重量%とからなるメタクリルイミ
ド基含有重合体100重量部に対して、下記構造式(II)
または(III) で表される単位を分子中に少なくとも1つ有するテトラ
メチルピペリジン誘導体を0.01〜10重量部および2−
(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,
3−テトラメチルブチル)フェノールおよび2−(3,5−
ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリ
アゾールから選ばれる少なくとも1つの紫外線吸収剤を
0.01〜5.0重量部配合してなることを特徴とするメタク
リルイミド基含有樹脂組成物を提供する。
本発明におけるメタクリルイミド基含有重合体は、好
ましくは、次のように製造される。すなわち、メタクリ
ル重合体とアンモニアまたは炭素数1〜20の第一アミン
(以下、これらのアンモニアおよび第一アミンをイミド
化剤という。)とを不活性ガス雰囲気下、不活性溶媒中
で180〜350℃、好ましくは200〜330℃の温度で反応させ
る。不活性ガスとしては窒素ガスが有用であり、不活性
溶媒としては、原料メタクリル重合体と生成物メタクリ
ルイミド基含有重合体とを溶解する単独溶媒もしくは二
種以上の混合溶媒が好ましい。その例としてベンゼン、
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類及びメタノー
ル、エタノール、プロパノール等の脂肪族アルコール類
が挙げられる。
上記イミド環構造単位において、R1は水素原子、また
は炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基、シク
ロアルキル基、アリール基、アルカリル基もしくはアラ
ルキル基またはアリル基である。これらの中で、実質的
には、水素原子、メチル基、エチル基、t−ブチル基、
シクロヘキシル基およびフェニル基が好ましい。上記イ
ミド環構造単位を得るためのイミド化剤としては、アン
モニア、メチルアミン、エチルアミン、t−ブチルアミ
ン、シクロヘキシルアミンが好ましく使用される。
また、本発明におけるメタクリルイミド基含有重合体
は、式(I)で表わされるイミド環構造単位を5〜100
重量%、好ましくは20重量%以上含有する。イミド環構
造単位の含有量が5重量%未満の場合は該重合体の耐熱
温度が低く、本発明の効果が十分に発揮されない。
本発明におけるメタクリルイミド基含有重合体の製造
に使用されるメタクリル重合体としては、メタクリル酸
メチルその他のメタクリル酸エステルの単独重合体もし
くは複数のメタクリル酸エステルの共重合体、またはメ
タクリル酸エステルと、他のモノエチレン系不飽和単量
体との共重合体が挙げられる。
共重合されるモノエチレン系不飽和単量体としては、
例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソ
ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキ
シル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル、
スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー
およびアクリロニトリルが挙げられる。また、メタクリ
ル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリ
ル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル
酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリ
ル酸ベンジルなどが挙げられる。
メタクリルイミド基含有重合体の製造に用いられるメ
タクリル重合体としては、メタクリル酸メチル単独重合
体およびメタクリル酸メチル−アクリル酸メチル共重合
体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体が特に好ま
しい。これらの共重合体において、メタクリル酸メチル
の含有量は特に制限はないが、70重量%以上であること
が好ましい。
本発明において使用されるテトラメチルピペリジン誘
導体の具体例としては4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−1,
2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(p−t−ブ
チルベンゾイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジン、4−(p−t−ブチルベンゾイルオキシ)−1,
2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−サリシロイル
オキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−ア
セトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ブ
チロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジン、4−シクロヘキサノイル−2,2,6,6−テトラメ
チルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−
ピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチ
ル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−
ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ドデカンジオ
エート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリ
ジル)テレフタレート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオ
キシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9
−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピ
ロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、7,7,8,9,9−ペン
タメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,
5〕ウンデカン−2,4−ジオン、7,7,8,9−テトラメチル
−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデ
カン−2,4−ジオン、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメ
チルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイ
ル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イ
ミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジル)イミノ}〕、2−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン
酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ル)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチ
ル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジン縮合物、N.N′−ビス(3−アミノプロピル)エチ
レンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−
クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、1,2,3,4−ブタンテ
トラカルボン酸−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメ
チルピペリジン縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボ
ン酸−4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペ
リジン縮合物などが挙げられる。
上記テトラメチルピペリジン誘導体の配合量はメタク
リルイミド基含有重合体100重量部に対し0.01重量部以
上10重量部以下、さらに好ましくは0.05重量部以上3重
量部以下である。0.01重量部未満であれば、耐候性向上
の寄与が低く、また10重量部を超えると、メタクリルイ
ミド基含有重合体の機械的強度の低下を招くため好まし
くない。
本発明で用いる上記テトラメチルピペリジン誘導体の
添加方法としては、押出機で前記メタクリルイミド基含
有重合体に添加する方法、前記(I)式で示されるイミ
ド環構造を形成するための反応時に添加する方法、さら
にまた前記メタクリルイミド基含有重合体の原料となる
メタクリル樹脂の製造時、特に重合時にモノマー溶解し
ておく方法、さらに重合終了後添加する方法等がある
が、押出機でメタクリルイミド基含有重合体に添加する
方法が実質的に簡便で扱いやすい。
本発明に用いられる紫外線吸収剤2−(2H−ベンゾト
リアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチ
ルブチル)フェノールおよび/または2−(3,5−ジ−
t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ
ールの配合量は、メタクリルイミド基含有重合体100重
量部に対して0.01〜5.0重量部である。
本発明の樹脂組成物には、さらに、他の種類のトリア
ゾール系、もしくはベンゾフェノン系、サリチル酸系等
の紫外線吸収剤やヒンダードフェノール系、フォスファ
イト系等の熱安定剤を併用することもできる。
また必要に応じて、滑剤、可塑剤、着色剤及び難燃
剤、発泡剤、顔料、艶消剤、帯電防止剤、さらにはガラ
ス繊維または他の繊維あるいはタルクまたは他の物質等
の添加剤を加えることも可能である。
さらにまた他の熱可塑性樹脂を添加することも可能で
ある。例えば、メタクリル酸メチル重合体、ABS樹脂、M
BS樹脂、AS樹脂、ポリカーボネート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビ
ニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリアリレート、ポリス
チレン、高耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−無水マレ
イン酸共重合体、スチレン−マレイミド共重合体、ポリ
オレフィン、酸変性ポリオレフィン、グリシジル変性ポ
リオレフィン、ポリエーテルエステル、ポリエーテルエ
ステルアミド、ポリエーテルアミド、ポリフェニレンサ
ルファイド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルフォ
ン、ポリフェニレンオキシド−スチレン系樹脂ブレンド
ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテル
イミド、熱可塑性ポリイミド等が挙げられる。これらは
単独でまたは二種以上組合せて添加することが可能であ
る。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例、比較例中の「部」は「重量部」を示す。
なおこれらの実施例において、重合体の特性測定は、
次の方法によった。
(1)赤外線吸収スペクトルは赤外線分光度計(日立製
作所製、285型)を用いKBrディスク法によって測定し
た。
(2)重合体の固有粘度は、デロービショップ(Deerea
x−Bishoff)粘度計によって試料ポリマー濃度0.5重量
%のクロロホルム溶液の流動時間(ts)とクロロホルム
の流動時間(to)とを温度25℃±0.1℃で測定し、ts/to
値からポリマーの相対粘度ηrelを求め、しかる後に次
式より算出した値である。
固有粘度=(lnηrel)/C (dl/g) (式中、Cは溶媒100mlあたりのポリマーのグラム数を
表わす。) (3)熱変形温度はASTM D648に基づいて測定した。
(4)重合体のメルトインデックスはASTM D1238(260
℃荷重10kgでの10分間のグラム数)に基づいて求めた。
(5)重合体のイミド化量(%)は、元素分析値(測定
機CHNコーダー(MT−3)柳本製作所製)での窒素含量
から、およびプロトンNMR JNM−FX−100(JEOL)スペク
トロメーター100MHzにより測定した。
(6)透明性の評価 厚さ3.2mmの板に成形加工し、ASTM D1003に従い全光
線透過率で透明性を評価した。
(7)耐候性の評価 スガ試験機株式会社製サンシャインカーボンウェザー
メーターWEL−SUN−HC(スプレー120分中18分 ブラッ
クパネル温度63℃)にて人工促進暴露して耐候性の評価
をした。なお、耐候性評価は透明性の他に、外観の目視
及び顕微鏡観察にて行った。
(8)引張り強度の評価 ダンベル型試験片を用い、JIS K 6871に基づき測定し
た。
メタクリルイミド基含有樹脂重合体の調製: 〔A−1〜A−4〕 パドルスパイラル攪拌機圧力計試料注入容器及びジャ
ケット加熱器を備えた10l反応容器内に十分乾燥したメ
タクリル酸メチル重合体(アクリペット VH、三菱レイ
ヨン(株)製、固有粘度0.51)100部、トルエン90部及
びメタノール10部の混合物を投入し十分窒素置換したの
ち加熱して重合体を攪拌溶解した。次いで、試料注入容
器からメチルアミン24.8部(0.8モル比)を溶解したメ
タノール溶液を添加して230℃に加熱攪拌した。内圧55k
g/cm2ゲージ圧で3時間反応させた。反応終了後メタク
リルイミド基含有樹脂重合体溶液を取り出し、100℃真
空乾燥機で溶媒を除去して乾燥し多孔質の重合体を得
た。
この得られた重合体の赤外線吸収スペクトルを測定し
たところ波数1720cm-1、1663cm-1及び750cm-1にメタク
リルイミド特有の吸収がみられポリグルタルイミドであ
ることが確認された。イミド化量は100%であり、熱変
形温度は182℃であった。上記と同様にして得られたイ
ミド化量を変えて熱変形温度を変化させたメタクリルイ
ミド基含有樹脂重合体の結果を表−1に示した。また各
イミド化量を有する重合体のメルトインデックスを測定
した値を表−1に併せて示した。
ここでいうイミド化量とは、下記一般構造式(IV) で示されるメタクリルイミド環構造単位とメタクリル酸
メチル単位との繰り返し構造と想定しx×100(%)の
値をイミド化量とした。このxの決定のためには、元素
分析値測定による窒素含有量からまたプロトンNMR測定
から>N−CH3のメチル吸収とO−CH3のメチル吸収と
の積分比からxを決定した。
実施例1〜8 前記A−2のメタクリルイミド基含有重合体100部に
対し表−2に示す紫外線吸収剤及びピペリジン誘導体を
それぞれ0.2部ずつ添加してV型ブレンダーに入れ5分
間混合した。これらの混合物を40mmφベント式押出機を
用いてシリンダー温度230℃〜300℃でペレット状に賦形
して8種類の本発明の熱可塑性樹脂組成物を得た。次に
これらのペレットを5オンスの射出成形機により厚さ3.
2mm、縦100mm、横100mmの平板成形品及びJIS K 6871に
規定されたダンベル型試験片に成形した。これらの平板
及びダンベル型試験片を1000時間人工促進暴露して耐候
性の評価を行った。
成形品の外観に関する耐候性については促進暴露の前
と後の平板のASTM D1003による全光線透過率を測定し
て、また色の変化については目視により観察した。物性
に関する耐候性については暴露前後のダンベル型試験片
のJIS K 6871に定められた方法による引張り強度を測定
して評価した。これらの結果を表−2にまとめて示す。
比較例1〜4 比較のため、実施例1〜4と同様の操作を繰り返し、
紫外線吸収剤のみを添加したもの、テトラメチルピペリ
ジン誘導体のみを添加したもの、およびいずれをも添加
しなかった樹脂組成物の試験片についての種々の物性を
評価した。これらの結果を表−2に併せて示す。
〔発明の効果〕 本発明のメタクリルイミド基含有樹脂組成物から得ら
れる成形品は、優れた耐候性を有し、メタクリルイミド
基含有重合体が本来有する高い熱変形温度および透明性
ならびに良好な表面外観および機械的強度などは太陽光
線、風雨、寒暖などに対する抵抗力が大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 5:3495)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記構造式(I) (式(I)において、R1は水素原子または炭素数1〜20
    の置換または非置換のアルキル基、シクロアルキル基、
    アリール基、アルカリル基もしくはアラルキル基または
    アリル基である)で示されるイミド環構造単位5〜100
    重量%と少くとも一種のモノエチレン系不飽和単量体か
    ら導かれる単位0〜95重量%とからなるメタクリルイミ
    ド基含有重合体100重量部に対して、下記構造式(II)
    または(III) で表される単位を分子中に少なくとも1つ有するテトラ
    メチルピペリジン誘導体を0.01〜10重量部および2−
    (2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,
    3−テトラメチルブチル)フェノールおよび2−(3,5−
    ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリ
    アゾールから選ばれる少なくとも1つの紫外線吸収剤を
    0.01〜5.0重量部配合してなることを特徴とするメタク
    リルイミド基含有樹脂組成物。
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