JP2828098B2 - ベルレス式高炉装入物の装入方法 - Google Patents

ベルレス式高炉装入物の装入方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、高炉装入物の装
入方法に係り、特にベルレス式高炉の炉内半径方向全域
にわたり適正な装入物分布が得られる装入方法に関す
る。 【0002】 【従来の技術】高炉操業において、鉱石を安定に還元、
溶解するためには、シャフト部におけるガス流分布を適
正な状態に維持し、ガスのもつ顕熱と還元能力を効率よ
く利用することがもっとも重要な問題であり、そのため
には、いかにして良く炉内装入物分布を制御し、適正な
ガス流分布を得られるかにかかっている。特に近年の大
型高炉は、炉口径が10m前後に達するものもあり、こ
のような大型高炉の操業においては、とりわけ炉の半径
方向のガス流分布を適正に調整することが、安定かつ能
率的な高炉操業を行う上で必須の条件とされている。 【0003】高炉の半径方向ガス流分布は通常、炉頂部
の半径方向装入物分布を制御することによって調整され
る。すなわち、炉頂部における炉内半径方向の鉱石とコ
ークスの重量比分布、粒径分布、空隙率分布を制御し、
当該半径方向の通気性分布を調節することによってガス
流分布の適正化が図れるからである。 【0004】このため、従来より例えばベル式装入装置
を備えた高炉においては、図4に示す如く、大ベル10
直下の炉内壁周面にムーバブル・アーマ( アジャスタブ
ル・スロート・アーマ )と称する当て板23を装着し、
該ムーバブル・アーマのノッチを操作することによっ
て、装入物の落下位置を変化させ、炉頂部半径方向の装
入物分布を制御する対策が施されている。 【0005】一方、ベルレス式装入装置を備えた高炉に
おいては、図1に示す如く、装入物分配シュート19の
傾動角θを各旋回ごとに設定して、ベル式高炉よりも半
径方向の広い範囲にわたって装入物の落下位置を変化さ
せることにより、炉頂部半径方向の装入物分布を制御す
る対策が施されてきた。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】然しながら、上記の従
来方法には、いずれも次のような問題がある。 【0007】すなわち、ベル式装入装置を備えた高炉の
場合、装入物の落下位置が前記ムーバブル・アーマによ
って制御されてはいるものの、炉口径の大きな高炉では
大半の装入物が炉内周辺部に落下し、その後、炉中心方
向に流入して堆積する。この流入運動が、装入物の堆積
斜面上での再分級を引き起こし、炉半径方向に粒度の偏
析現象( 炉周辺部は細粒、炉中心部は粗粒 )を発生した
り、あるいは鉱石装入の場合に、下層コークス層の一部
を崩し、鉱石と混合しながら、炉中心方向に流れ込む現
象を発生する。これらの現象は、炉内ガス流れや炉内原
料の降下状況等の外乱因子によって変化し得る不安定な
ものであり、これによって、炉半径方向の装入物分布、
とりわけ炉中心部の装入物分布を目標とする状態にする
ことが困難となる。 【0008】一方、ベルレス式装入装置を備えた高炉の
場合は、分配シュートの傾動角度を変化させることによ
って装入物の落下位置をベル式高炉よりも半径方向の広
い範囲にわたって自由に制御できるが、該装入装置を有
する高炉においても、外周部から内周部へ順番に投入を
行う場合は、炉中心からある範囲で堆積斜面をつくる分
布をとることから、上述のベル式高炉の場合と程度の差
はあれ、同様の困難を有しており、さらに該装入装置を
有する高炉においては、分配シュートに原料を供給する
炉頂バンカーからの原料流出挙動の影響を直接的に受け
るため、炉中心部の装入物分布を目標とする状態にする
ことは容易ではない。すなわち、上記原料流出挙動は、
いかに装入条件( 装入量、装入速度 )や原料性状( 粒度
構成、冷間強度等の物理性状 )を一定に管理していても
常に多少のバラツキがあり、このため特に装入面積の小
さい炉中心部では、装入原料の層厚の大きな変動として
現れるからである。 【0009】なお、最近では上記以外の新たな装入装置
として、炉内装入用旋回シュートと、これと同期的な回
転を行うディストリビューターとを組み合わせた装入装
置(特開昭49−22307号)や、炉高方向、炉半径
方向、炉周方向に同時に移動可能な漏斗状シュートを用
いて原料落下位置を選択可能とした装入装置(特開昭5
9−211515号)が提案されているが、前者の装入
装置は原理的に前記ベルレス式装入装置と同じであり、
同じ問題が残されている。また、後者の装入装置は装置
の構造が非常に複雑であり、ダストの多い腐食性ガスに
さらされる炉頂部に設置するにはメンテナンスの面で問
題が多く、実施困難である。 【0010】本発明は、このような実情に鑑みなされた
もので、従来は装入物分布の制御が困難であった炉内中
心部のみならず、炉半径方向全域にわたって常に装入物
分布の適正制御が可能なベルレス式高炉装入物の装入方
法を提供しようとするものである。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明に係るベルレス式
高炉装入物の装入方法は、炉頂部から鉱石とコークスを
交互に高炉内へ装入する高炉装入物の装入方法であっ
て、ベルレス式装入装置により各チャージの鉱石および
コークスを炉内の外周部から内周部へ順番に投入する際
に、コークスまたは鉱石のいずれか一方の原料を投入す
に先立って、当該原料の一部を別ルートの装入系統に
より装入面の中心部に、装入面より上方の定位置から、
上方へ凸状に盛り上げるべく投入し堆積させ、他方の原
料については、前記別ルートを使わずに、ベルレス式装
入装置により炉内の外周部から内周部へ順番に投入し堆
積させることにより、炉内半径方向の装入物分布の制御
性を高めることを特徴とする。 【0012】ベルレス式装入装置により各チャージの鉱
石およびコークスを炉内の外周部から内周部へ順番に投
入する方法では、投入物が炉中心に向かって流入する
が、その流入はベル式装入装置により炉内の外周部へ投
入を行う場合より軽微である。しかし、軽微ではある
が、ベル式高炉と同様に装入物の堆積斜面上での再分級
が発生し、この再分級により外周部の粒径は小さくな
り、内周部の粒径は大きくなる、所謂粒度偏析が生じ
る。そして、この炉半径方向の粒度偏析は、炉内中心部
の通気性を確保する必要がある高炉操業にとっては本質
的に好ましいものである。 【0013】しかし、従来はこの炉半径方向の粒度偏析
が、炉内ガス流や炉内原料の降下状況等の外乱因子によ
って変化し得る不安定なものであるため、その意図的な
制御が困難であり、その結果、特に炉中心部付近の粒度
管理が困難となる。また、鉱石装入時の下層コークス層
崩れ、混合層形成等の現象も、炉内ガス流や炉内原料の
降下状況等の外乱因子によって変化し得る不安定なもの
であるため、その意図的な制御が困難であり、その結
果、特に炉中心部の鉱石/コークス重量比の管理が困難
となる。 【0014】そこで、本発明に係るベルレス式高炉装入
物の装入方法では、ベルレス式装入装置により各チャー
ジの鉱石およびコークスを炉内の外周部から内周部へ順
番に投入する際に、コークスまたは鉱石のいずれか一方
の原料を投入するに先立って、当該原料の一部を別ルー
トの装入系統により装入面の中心部に、装入面より上方
の定位置から、上方へ凸状に盛り上げるべく投入し堆積
させ、他方の原料については、前記別ルートを使わず
に、ベルレス式装入装置により炉内の外周部から内周部
へ順番に投入し堆積させる。 【0015】このようにすれば、予め中心部に投入され
た原料によって中心部の装入物の性状(粒度および鉱石
/コークス重量比)は確定する。また、ベルレス式装入
装置により後から投入された装入物は中心部の手前で堰
止められ、中心部まで至らないため、その流入が抑制さ
れる。その結果、中心部以外においては、炉半径方向の
粒度偏析が抑制されると共に、鉱石/コークス重量比の
炉半径方向分布が安定化する。 【0016】かくして、本発明に係るベルレス式高炉装
入物の装入方法では、装入物分布の制御が困難であった
炉内中心部も含め、炉半径方向全域にわたって装入物分
布の適正制御が可能となる。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、掲げた図面に基づき本発明
の実施形態を詳細に説明する。 【0018】図1は本発明の実施形態に係るベルレス式
高炉装入物の装入方法を説明するための高炉(実機大模
型)の模式図である。 【0019】図1に示す如く、本発明の装入方法は、炉
頂からの装入物1をベルレス式装入装置3で炉内装入面
4の外周部から内周部へ順番に投入するに先だって、前
記装入物1の一部1′、具体的には鉱石またはコークス
の一部を別ルート5により、上記装入面4の中心部に、
装入面4より上方の定位置から、上方へ凸状に盛り上げ
るべく投入し堆積させるものである。 【0020】高炉は炉口径Lが11mであり、炉頂に巻
き上げられた装入物1は原料ホッパー15に一旦貯蔵さ
れ、排出ゲート16の開放によって集合ホッパー17へ
流れ、動力18によって旋回する分配シュート19から
炉頂部8内に投入される。また、別ルート5は、底部に
排出ゲート20を備えたホッパー21と、該ホッパー2
1内の装入物1′を炉頂部8内の中心部に送給するシュ
ート22とで構成されている。 【0021】別ル−ト5のホッパー21には、原料ホッ
パー15に貯蔵した装入物1の一部1′を秤量して投入
しておき、原料ホッパー15側の排出ゲート16を開放
する直前に、別ルート5のホッパ−21の排出ゲート2
0を開放してホッパー21内の装入物1′をシュート2
2で炉頂部8内の中央に投入する。投入された装入物
1′は、装入面4の中心部上に、上方へ凸状に盛り上が
って堆積する。これにより、この部分の装入物の粒度お
よび装入量が確定する。 【0022】そしてホッパー21内の装入物1′の炉内
投入が完了した直後に、原料ホッパー15の排出ゲート
16を開放し、原料ホッパー15内の装入物1を分配シ
ュート19から炉頂部8内に、スケジュールに従って外
周部から内周部へ順番に投入する。投入された装入物1
は炉中心に向けて流入するものの、装入面4の中心部に
既に前記別ルート5からの装入物1′が堆積しているた
めに、装入面4の中心部には至らず、その流入が抑制さ
れる。 【0023】その結果、炉中心部以外の部分において、
炉半径方向の粒度偏析が抑制され、その制御精度が向上
する。また、装入時の下層崩れ、混合層形成が抑制さ
れ、鉱石/コークス比の炉半径方向分布が安定化し、こ
れについても制御精度が向上する。 【0024】また、分配シュート19から装入面4中心
部へ装入物1の投入を行う必要がなくなり、前記炉頂バ
ンカーからの装入物流出挙動のバラツキを抑えることに
よっても、装入物分布を目標とする状態にすることが可
能となる。 【0025】なお、図1では、別ルート5は1系統しか
示されていないが、装入物1′の種類( 鉱石またはコー
クス )や粒径別に複数系統設置することも勿論可能であ
り、別ルート5全体の構成やシュート22等の各部の具
体的仕様についても特に限定するものではない。 【0026】 【実施例】次に、図1に示す高炉の実機大模型を用いた
実験結果について説明する。 【0027】実験操業における原料装入条件は、コーク
スベース40,000Kg、(鉱石/ コークス)重量比
3.8とし、別ルートによる炉中心部への原料装入量は
コークスについてのみ全装入量の約10%とし、鉱石に
ついては0%とした。即ち、原料としてのコークスと焼
結鉱を交互に積層させて装入すると共に、コークスにつ
いてのみ一部を別ルートより中心部に装入した。そして
焼結鉱を装入したところで装入を終了させた。 【0028】また、分配シュート19の傾動角θ制御
は、下記表1に示すスケジュールによってコークスおよ
び焼結鉱のいずれについても外周部から内周部へ順番に
投入するものとした。表2には、実験に使用したコーク
スおよび焼結鉱の粒度構成を示しておく。 【0029】 【表1】【0030】 【表2】 【0031】原料装入の後、炉半径方向の5箇所で表層
焼結鉱およびその下層のコークスを樹脂固定法によって
サンプリングし、(鉱石/コークス)重量比と層内粒子
の粒径を測定した。この測定試験は、本発明方法と従来
方法それぞれについて数回実施した。その比較結果を図
2および図3に示す。 【0032】図2は、炉半径方向の〔鉱石(焼結鉱)/
コークス〕重量比分布、図3はコークスの無次元粒径(
粒径を装入コークス全体の平均粒径で規格化したもの )
の炉半径方向分布を示している。 【0033】図2および図3に見る如く、別ルートを使
用せず分配シュートのみで原料を装入した従来方法で
は、装入条件を一定に保っているにもかかわらず、炉中
心部から中間部において(鉱石/コークス)重量比にバ
ラツキが見られ、さらにコークスの粒度偏析が顕著であ
る。 【0034】これに対して、コークスの装入に先立って
その一部を別ルートにより装入した本発明では、炉中心
部はもとより中間部での(鉱石/コークス)重量比のバ
ラツキが小さい。また、コークスの粒度偏析は軽減する
ものの、その傾向は明瞭に残る。 【0035】また、中心部の(鉱石/コークス)重量比
が従来法の場合より大きく低下しているが、これは別ル
ートから装入されたコークスの一部が、分配シュートか
らのコークスの装入が完了した後も、堆積表面上に露出
して炉中心部に凸部を形成しているためである。 【0036】このように、本発明によれば別ルートから
のコークスの投入量を制御することによって炉中心部の
(鉱石/コークス)重量比を目標値に適切に制御するこ
とができる。 【0037】また、本例とは逆に、別ルートからの鉱石
の投入量を制御することによって炉中心部の(鉱石/コ
ークス)重量比を目標値に適切に制御できることは言う
までもない。鉱石についてのみ別ルートからの装入を行
った場合は、炉半径方向の鉱石の粒度偏析が小さくな
る。また、(鉱石/コークス)重量比のバラツキが小さ
くなる。 【0038】 【発明の効果】以上に説明したとおり、本発明によれ
ば、従来極めて困難であった炉中心部のみならず、炉半
径方向全域の装入物分布を随意かつ容易に制御すること
が可能であるから、炉半径方向に適正なガス流分布が得
られ、常に安定かつ良好な高炉操業を行うことができ
る。 【0039】また、既設の装入装置を備えた高炉に簡単
に実施することができ、コストが安く、メンテナンス性
が良好なのも本発明の優れた効果である。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施形態に係る高炉装入物の装入方法
を説明するための高炉(実機大模型)の模式図である。 【図2】本発明法と従来法について、炉半径方向の(鉱
石/コークス)重量比分布を示した図表である。 【図3】本発明法と従来法について、炉半径方向のコー
クス粒度分布を示した図表である。 【図4】ムーバブル・アーマを説明する高炉要部の模式
図である。 【符号の説明】 1,1′ 装入物 3 ベルレス式装入装置 4 装入面 5 別ルート 19 分配シュート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21B 5/00 C21B 7/18 - 7/20

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.炉頂部から鉱石とコークスを交互に高炉内へ装入す
    る高炉装入物の装入方法であって、ベルレス式装入装置
    により各チャージの鉱石およびコークスを炉内の外周部
    から内周部へ順番に投入する際に、コークスまたは鉱石
    いずれか一方の原料を投入するに先立って、当該原料
    の一部を別ルートの装入系統により装入面の中心部に、
    装入面より上方の定位置から、上方へ凸状に盛り上げる
    べく投入し堆積させ、他方の原料については、前記別ル
    ートを使わずに、ベルレス式装入装置により炉内の外周
    部から内周部へ順番に投入し堆積させることにより、炉
    内半径方向の装入物分布の制御性を高めることを特徴と
    するベルレス式高炉装入物の装入方法。
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