JP2828071B2 - 耐食性のすぐれた物理蒸着非晶質膜材 - Google Patents
耐食性のすぐれた物理蒸着非晶質膜材Info
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- JP2828071B2 JP2828071B2 JP27908396A JP27908396A JP2828071B2 JP 2828071 B2 JP2828071 B2 JP 2828071B2 JP 27908396 A JP27908396 A JP 27908396A JP 27908396 A JP27908396 A JP 27908396A JP 2828071 B2 JP2828071 B2 JP 2828071B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、すぐれた耐食性
を有する物理蒸着非晶質(アモルファス)膜材に関する
ものである。
を有する物理蒸着非晶質(アモルファス)膜材に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、物理蒸着非晶質膜材(物理蒸着法
にて基体上に形成された非晶質の結晶構造を有する薄膜
や薄片をいう)として、原子%で(以下、%は原子%を
示す)、Ni−30〜60%Ta合金やNi−Cr−Ta合
金(但し、Cr+Ta:25〜50%含有)、さらにNi−
Mo−Ta合金(但し、Mo+Ta:25〜50%含有)な
どで構成されたものが知られている。
にて基体上に形成された非晶質の結晶構造を有する薄膜
や薄片をいう)として、原子%で(以下、%は原子%を
示す)、Ni−30〜60%Ta合金やNi−Cr−Ta合
金(但し、Cr+Ta:25〜50%含有)、さらにNi−
Mo−Ta合金(但し、Mo+Ta:25〜50%含有)な
どで構成されたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来物
理蒸着非晶質膜材は、すぐれた耐食性を確保するため
に、これを構成する合金が合金成分として高価なTa成
分を通常20〜50%程度の高い割合で含有することから、
コスト高となるのを避けることができないのが現状であ
る。
理蒸着非晶質膜材は、すぐれた耐食性を確保するため
に、これを構成する合金が合金成分として高価なTa成
分を通常20〜50%程度の高い割合で含有することから、
コスト高となるのを避けることができないのが現状であ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、実質的にTaを含有しない合金
で構成しても、上記のTa含有量の多い合金で構成され
た従来物理蒸着非晶質膜材と同等のすぐれた耐食性を示
す物理蒸着非晶質膜材を開発すべく研究を行なった結
果、 Cr:15〜45%、 Mo:15〜45%、 を含有し、残りがNiと不可避不純物からなり、かつ前
記不可避不純物のうちのMn,Mg,Al,Ti、およ
びFeの含有量が、それぞれ、 Mn:0.1 %以下、 Mg:0.1 %以下、 Al:0.1 %以下、 Ti:0.1 %以下、 Fe:4%以下、 である組成を有するNi−Cr−Mo系合金で構成され
た物理蒸着膜材は、上記従来物理蒸着非晶質膜材と同じ
く非晶質の結晶構造を有し、かつこれと同等のすぐれた
耐食性を示すという研究結果が得られたのである。
上述のような観点から、実質的にTaを含有しない合金
で構成しても、上記のTa含有量の多い合金で構成され
た従来物理蒸着非晶質膜材と同等のすぐれた耐食性を示
す物理蒸着非晶質膜材を開発すべく研究を行なった結
果、 Cr:15〜45%、 Mo:15〜45%、 を含有し、残りがNiと不可避不純物からなり、かつ前
記不可避不純物のうちのMn,Mg,Al,Ti、およ
びFeの含有量が、それぞれ、 Mn:0.1 %以下、 Mg:0.1 %以下、 Al:0.1 %以下、 Ti:0.1 %以下、 Fe:4%以下、 である組成を有するNi−Cr−Mo系合金で構成され
た物理蒸着膜材は、上記従来物理蒸着非晶質膜材と同じ
く非晶質の結晶構造を有し、かつこれと同等のすぐれた
耐食性を示すという研究結果が得られたのである。
【0005】この発明は、上記の研究結果にもとづいて
なされたものであって、以下に膜材を構成する合金の成
分組成を上記の通りに限定した理由を説明する。 (a) CrおよびMo これら両成分には、物理蒸着により基板上に形成された
膜材を非晶質化し、かつ非晶質構造を有する原子配列の
中で均等に分布して耐食性を著しく向上させる作用があ
るが、その含有量がCrおよびMoとも15%未満でも、
またCrおよびMoの含有量がそれぞれ45%を越えても
基体上に蒸着された膜材が非晶質にならず、Crおよび
Moの均等分布が損なわれるようになって所望のすぐれ
た耐食性を確保することができなくなることから、その
含有量をそれぞれCr:15〜45%、Mo:15〜45%と定
めた。
なされたものであって、以下に膜材を構成する合金の成
分組成を上記の通りに限定した理由を説明する。 (a) CrおよびMo これら両成分には、物理蒸着により基板上に形成された
膜材を非晶質化し、かつ非晶質構造を有する原子配列の
中で均等に分布して耐食性を著しく向上させる作用があ
るが、その含有量がCrおよびMoとも15%未満でも、
またCrおよびMoの含有量がそれぞれ45%を越えても
基体上に蒸着された膜材が非晶質にならず、Crおよび
Moの均等分布が損なわれるようになって所望のすぐれ
た耐食性を確保することができなくなることから、その
含有量をそれぞれCr:15〜45%、Mo:15〜45%と定
めた。
【0006】(b) 不可避不純物 ターゲット材の製造時に脱酸剤や脱硫剤を使用する場合
があるので、これを構成するMn,Mg,Al、および
Tiなどが不可避不純物としてターゲット材から膜材中
に混入するのが避けられないが、これらの含有量がそれ
ぞれ0.1 %以下であれば、膜材特性が何ら損なわれるも
のではなく、またFe成分に関しても、物理蒸着装置の
構造部材に多くの場合ステンレス鋼が使用されており、
これから膜材中に混入する場合がしばしばあるが、Fe
成分は4%までの含有にとどめるのが望ましい。
があるので、これを構成するMn,Mg,Al、および
Tiなどが不可避不純物としてターゲット材から膜材中
に混入するのが避けられないが、これらの含有量がそれ
ぞれ0.1 %以下であれば、膜材特性が何ら損なわれるも
のではなく、またFe成分に関しても、物理蒸着装置の
構造部材に多くの場合ステンレス鋼が使用されており、
これから膜材中に混入する場合がしばしばあるが、Fe
成分は4%までの含有にとどめるのが望ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の物理蒸着非晶
質膜材を実施例により具体的に説明する。まず、通常の
高周波溶解炉を用い、1×10-3torrの真空中で、(a)
Ni−50%Cr合金、(b) Ni−10%Cr合金、(c)
Ni−15%Mo合金、以上(a) 〜(c) のNi基合金(こ
れらのNi基合金における不可避不純物の含有量は、M
n:0.1 %以下、Mg:0.05%以下、Al:0.1 %以
下、Ti:0.1 %以下であった)を溶製し、直径:60m
m×長さ:200 mmの寸法をもったインゴットに鋳造
し、このインゴットを1000〜1250℃の範囲内の所定温度
に5時間保持した後、これに熱間鍛造と熱間圧延を施し
て厚さ:4.5 mmを有する熱延板材とし、さらに市販の
純Cr板材、および純Mo板材を用意し、これら5種類
の板材について、表面研磨により厚さ:4.0 mmとし、
かつ機械加工により平面形状が中心角:30°×長さ:50
mmの扇形ターゲット材に仕上げ、これらターゲット材
を所定の組合せのもとに物理蒸着装置としてのマグネト
ロンスパッタリング装置に装入し、Ar減圧下、200 W
の出力で2時間のスパッタリングを行なうことにより厚
さ:2mmのガラス基体表面に、それぞれ表1に示され
る組成を有する厚さ:5μmの本発明膜材1〜5、比較
膜材1〜4、および従来膜材1〜3をそれぞれ形成し
た。
質膜材を実施例により具体的に説明する。まず、通常の
高周波溶解炉を用い、1×10-3torrの真空中で、(a)
Ni−50%Cr合金、(b) Ni−10%Cr合金、(c)
Ni−15%Mo合金、以上(a) 〜(c) のNi基合金(こ
れらのNi基合金における不可避不純物の含有量は、M
n:0.1 %以下、Mg:0.05%以下、Al:0.1 %以
下、Ti:0.1 %以下であった)を溶製し、直径:60m
m×長さ:200 mmの寸法をもったインゴットに鋳造
し、このインゴットを1000〜1250℃の範囲内の所定温度
に5時間保持した後、これに熱間鍛造と熱間圧延を施し
て厚さ:4.5 mmを有する熱延板材とし、さらに市販の
純Cr板材、および純Mo板材を用意し、これら5種類
の板材について、表面研磨により厚さ:4.0 mmとし、
かつ機械加工により平面形状が中心角:30°×長さ:50
mmの扇形ターゲット材に仕上げ、これらターゲット材
を所定の組合せのもとに物理蒸着装置としてのマグネト
ロンスパッタリング装置に装入し、Ar減圧下、200 W
の出力で2時間のスパッタリングを行なうことにより厚
さ:2mmのガラス基体表面に、それぞれ表1に示され
る組成を有する厚さ:5μmの本発明膜材1〜5、比較
膜材1〜4、および従来膜材1〜3をそれぞれ形成し
た。
【0008】ついで、この結果得られた各種の膜材につ
いて、これを基体から剥がした状態で、X線回折法によ
り非晶質化の状況を判定すると共に、200 ℃の72%りん
酸水溶液中に100 時間浸漬の腐食試験を行ない、試験後
の重量減を測定し、従来膜材のうち最もTa含有量の多
い従来膜材1を100 とし、これに対する相対割合を求め
た。これらの結果を表2に示した。
いて、これを基体から剥がした状態で、X線回折法によ
り非晶質化の状況を判定すると共に、200 ℃の72%りん
酸水溶液中に100 時間浸漬の腐食試験を行ない、試験後
の重量減を測定し、従来膜材のうち最もTa含有量の多
い従来膜材1を100 とし、これに対する相対割合を求め
た。これらの結果を表2に示した。
【0009】
【表1】
【0010】
【表2】
【0011】
【発明の効果】表1,2に示される結果から、本発明膜
材1〜5は、いずれも従来膜材1〜3と同じく非晶質組
織を有し、かつTaを含有しないにもかかわらず、従来
膜材1〜3と同等のすぐれた耐食性を示すのに対して、
比較膜材1〜4に見られるように、これを構成する合金
の合金成分のうちのいずれかの成分含有量がこの発明の
範囲から外れても非晶質化が劣るようになって所望のす
ぐれた耐食性を示されなくなることが明らかである。上
述のように、この発明の膜材は、物理蒸着により形成さ
れた状態で非晶質組織を有し、かつ実質的にTaを含有
しない状態ですぐれた耐食性を示すのである。
材1〜5は、いずれも従来膜材1〜3と同じく非晶質組
織を有し、かつTaを含有しないにもかかわらず、従来
膜材1〜3と同等のすぐれた耐食性を示すのに対して、
比較膜材1〜4に見られるように、これを構成する合金
の合金成分のうちのいずれかの成分含有量がこの発明の
範囲から外れても非晶質化が劣るようになって所望のす
ぐれた耐食性を示されなくなることが明らかである。上
述のように、この発明の膜材は、物理蒸着により形成さ
れた状態で非晶質組織を有し、かつ実質的にTaを含有
しない状態ですぐれた耐食性を示すのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 19/05 C22C 45/04 C23C 14/14
Claims (1)
- 【請求項1】 原子%で、 Cr:15〜45%、 Mo:15〜45%、 を含有し、残りがNiと不可避不純物からなり、かつ前
記不可避不純物のうちのMn、Mg、Al、Ti、およ
びFeの含有量が、それぞれ、 Mn:0.1 %以下、 Mg:0.1 %以下、 Al:0.1 %以下、 Ti:0.1 %以下、 Fe:4%以下、 である組成を有するNi−Cr−Mo系合金で構成した
ことを特徴とする耐食性のすぐれた物理蒸着非晶質膜
材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27908396A JP2828071B2 (ja) | 1996-10-22 | 1996-10-22 | 耐食性のすぐれた物理蒸着非晶質膜材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27908396A JP2828071B2 (ja) | 1996-10-22 | 1996-10-22 | 耐食性のすぐれた物理蒸着非晶質膜材 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63030470A Division JP2663479B2 (ja) | 1988-02-12 | 1988-02-12 | 耐食性のすぐれた物理蒸着非晶質膜材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09165635A JPH09165635A (ja) | 1997-06-24 |
JP2828071B2 true JP2828071B2 (ja) | 1998-11-25 |
Family
ID=17606186
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27908396A Expired - Fee Related JP2828071B2 (ja) | 1996-10-22 | 1996-10-22 | 耐食性のすぐれた物理蒸着非晶質膜材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2828071B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100542374C (zh) * | 2004-09-01 | 2009-09-16 | 住友金属矿山株式会社 | 2层挠性基板及其制造方法 |
CN100566505C (zh) * | 2004-09-01 | 2009-12-02 | 住友金属矿山株式会社 | 2层挠性基板及其制造方法 |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002069625A (ja) * | 2000-09-01 | 2002-03-08 | Mitsui Mining & Smelting Co Ltd | スパッタリングターゲットの製造方法 |
JP2008168585A (ja) * | 2007-01-15 | 2008-07-24 | Mitsubishi Shindoh Co Ltd | フレキシブル積層板 |
JP6292466B2 (ja) * | 2013-02-20 | 2018-03-14 | 日立金属株式会社 | 金属薄膜および金属薄膜形成用Mo合金スパッタリングターゲット材 |
JP6805320B1 (ja) * | 2019-11-20 | 2020-12-23 | 浅井産業株式会社 | 多層皮膜、その製造方法、及び多層皮膜が被覆された機械部材 |
-
1996
- 1996-10-22 JP JP27908396A patent/JP2828071B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100542374C (zh) * | 2004-09-01 | 2009-09-16 | 住友金属矿山株式会社 | 2层挠性基板及其制造方法 |
CN100566505C (zh) * | 2004-09-01 | 2009-12-02 | 住友金属矿山株式会社 | 2层挠性基板及其制造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09165635A (ja) | 1997-06-24 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 19980818 |
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