JP2663479B2 - 耐食性のすぐれた物理蒸着非晶質膜材 - Google Patents
耐食性のすぐれた物理蒸着非晶質膜材Info
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、すぐれた耐食性を有する物理蒸着非晶質
(アモルファス)膜材に関するものである。
(アモルファス)膜材に関するものである。
従来、物理蒸着非晶質膜材(物理蒸着法にて基体上に
形成された非晶質の結晶構造を有する薄膜や薄片とい
う)として、原子%で(以下、%は原子%を示す)、Ni
−30〜60%Ta合金やNi−Cr−Ta合金(但し、Cr+Ta:25
〜50%含有)さらに、Ni−Mo−Ta合金(但し、Mo+Ta:2
5〜50%含有)などで構成されたものが知られている。
形成された非晶質の結晶構造を有する薄膜や薄片とい
う)として、原子%で(以下、%は原子%を示す)、Ni
−30〜60%Ta合金やNi−Cr−Ta合金(但し、Cr+Ta:25
〜50%含有)さらに、Ni−Mo−Ta合金(但し、Mo+Ta:2
5〜50%含有)などで構成されたものが知られている。
しかし、上記の従来物理蒸着非晶質膜材は、すぐれた
耐食性を確保するために、これを構成する合金が合金成
分として高価なTa成分を通常20〜50%程度の高い割合で
含有することから、コスト高となるのを避けることがで
きないのが現状である。
耐食性を確保するために、これを構成する合金が合金成
分として高価なTa成分を通常20〜50%程度の高い割合で
含有することから、コスト高となるのを避けることがで
きないのが現状である。
〔課題を解決するための手段〕 そこで、本発明者等は、上述のような観点から、Taの
含有量を相対的に低減した状態で、上記のTa含有量の多
い合金で構成された従来物理蒸着非晶質膜材と同等のす
ぐれた耐食性を示す物理蒸着非晶質膜材を開発すべく研
究を行なった結果、 Cr:15〜45%、Mo:15〜45%、 Ta:1〜12%、 を含有し、残りがNiと不可避不純物からなり、かつ前記
不可避不純物のうちのMn,Mg,Al,Ti、およびFeの含有量
が、それぞれ、 Mn:0.1%以下、Mg:0.1%以下、 Al:0.1%以下、Ti:0.1%以下、 Fe:4%以下、 である組成を有するNi−Cr−Mo系合金で構成された物理
蒸着膜材は、上記従来物理蒸着非晶質膜材と同じく非晶
質の結晶構造を有し、かつこれと同等のすぐれた耐食性
を示すという研究結果が得られたのである。
含有量を相対的に低減した状態で、上記のTa含有量の多
い合金で構成された従来物理蒸着非晶質膜材と同等のす
ぐれた耐食性を示す物理蒸着非晶質膜材を開発すべく研
究を行なった結果、 Cr:15〜45%、Mo:15〜45%、 Ta:1〜12%、 を含有し、残りがNiと不可避不純物からなり、かつ前記
不可避不純物のうちのMn,Mg,Al,Ti、およびFeの含有量
が、それぞれ、 Mn:0.1%以下、Mg:0.1%以下、 Al:0.1%以下、Ti:0.1%以下、 Fe:4%以下、 である組成を有するNi−Cr−Mo系合金で構成された物理
蒸着膜材は、上記従来物理蒸着非晶質膜材と同じく非晶
質の結晶構造を有し、かつこれと同等のすぐれた耐食性
を示すという研究結果が得られたのである。
この発明は、上記の研究結果にもとづいてなされたも
のであって、以下に膜材を構成する合金の成分組成を上
記の通りに限定した理由を説明する。
のであって、以下に膜材を構成する合金の成分組成を上
記の通りに限定した理由を説明する。
(a) CrおよびMo これら両成分には、物理蒸着により基板上に形成され
た膜材を非晶質化し、かつ非晶質構造を有する原子配列
の中で均等に分布して耐食性を著しく向上させる作用が
あるが、その含有量がCrおよびMoとも15%未満でも、ま
たCrおよびMoの含有量がそれぞれ45%を越えても基体上
に蒸着された膜材が非晶質にならず、CrおよびMoの均等
分布が損なわれるようになって所望のすぐれた耐食性を
確保することができなくなることから、その含有量をそ
れぞれCr:15〜45%、Mo:15〜45%と定めた。
た膜材を非晶質化し、かつ非晶質構造を有する原子配列
の中で均等に分布して耐食性を著しく向上させる作用が
あるが、その含有量がCrおよびMoとも15%未満でも、ま
たCrおよびMoの含有量がそれぞれ45%を越えても基体上
に蒸着された膜材が非晶質にならず、CrおよびMoの均等
分布が損なわれるようになって所望のすぐれた耐食性を
確保することができなくなることから、その含有量をそ
れぞれCr:15〜45%、Mo:15〜45%と定めた。
(b) Ta Ta成分には、膜材の耐食性を一段と向上させる作用が
あるが、その含有量が1%未満では所望の耐食性向上効
果が得られず、一方12%を越えた含有量は、コストの面
からは好ましくないことから、経済性を考慮して、その
含有量を1〜12%と定めた。
あるが、その含有量が1%未満では所望の耐食性向上効
果が得られず、一方12%を越えた含有量は、コストの面
からは好ましくないことから、経済性を考慮して、その
含有量を1〜12%と定めた。
(c) 不可避不純物 ターゲット材の製造時に脱酸剤や脱硫剤を使用する場
合があるので、これを構成するMn,Mg,Al、およびTiなど
が不可避不純物としてターゲット材から膜材中に混入す
るのが避けられないが、これらの含有量がそれぞれ0.1
%以下であれば、膜材特性が何ら損なわれるものではな
く、またFe成分に関しても、物理蒸着装置の構造部材に
多くの場合ステンレス鋼が使用されており、これから膜
材中に混入する場合がしばしばあるが、Fe成分は4%ま
での含有にとどめるのが望ましい。
合があるので、これを構成するMn,Mg,Al、およびTiなど
が不可避不純物としてターゲット材から膜材中に混入す
るのが避けられないが、これらの含有量がそれぞれ0.1
%以下であれば、膜材特性が何ら損なわれるものではな
く、またFe成分に関しても、物理蒸着装置の構造部材に
多くの場合ステンレス鋼が使用されており、これから膜
材中に混入する場合がしばしばあるが、Fe成分は4%ま
での含有にとどめるのが望ましい。
つぎに、この発明の物理蒸着非晶質膜材を実施例によ
り具体的に説明する。
り具体的に説明する。
まず、通常の高周波溶解炉を用い、1×1-3torrの真
空中で、 (a)Ni−10%Cr合金、 (b)Ni−15%Mo合金、 以上(a)、(b)のNi基合金(これらのNi基合金に
おける不可避不純物の含有量は、Mn:0.1%以下、Mg:0.0
5%以下、Al:0.1%以下、Ti:0.1%以下であった)を溶
製し、直径:60mm×長さ:200mmの寸法もったインゴット
に鋳造し、このインゴットを1000〜1250℃の範囲内の所
定温度に5時間保持した後、これに熱間鍛造と熱間圧延
を施して厚さ:4.5mmを有する熱延板材とし、さらに市販
の順Cr板材、純Mo板材、および純Ta板材を用意し、これ
ら6種類の板材について、表面研磨により厚さ:4.0mmと
し、かつ機械加工により平面形状が中心角:30゜×長さ:
50mmの扇形ターゲット材に仕上げ、これらターゲット材
を所定の組合せのもとに物理蒸着装置としてのマグネト
ロンスパッタリング装置に装入し、Ar減圧下、200Wの出
力で2時間のスパッタリングを行なうことにより厚さ:2
mmのガラス基体表面に、それぞれ第1表に示される組成
を有する厚さ:5μmの本発明膜材1、2、および従来膜
材1〜3をそれぞれ形成した。
空中で、 (a)Ni−10%Cr合金、 (b)Ni−15%Mo合金、 以上(a)、(b)のNi基合金(これらのNi基合金に
おける不可避不純物の含有量は、Mn:0.1%以下、Mg:0.0
5%以下、Al:0.1%以下、Ti:0.1%以下であった)を溶
製し、直径:60mm×長さ:200mmの寸法もったインゴット
に鋳造し、このインゴットを1000〜1250℃の範囲内の所
定温度に5時間保持した後、これに熱間鍛造と熱間圧延
を施して厚さ:4.5mmを有する熱延板材とし、さらに市販
の順Cr板材、純Mo板材、および純Ta板材を用意し、これ
ら6種類の板材について、表面研磨により厚さ:4.0mmと
し、かつ機械加工により平面形状が中心角:30゜×長さ:
50mmの扇形ターゲット材に仕上げ、これらターゲット材
を所定の組合せのもとに物理蒸着装置としてのマグネト
ロンスパッタリング装置に装入し、Ar減圧下、200Wの出
力で2時間のスパッタリングを行なうことにより厚さ:2
mmのガラス基体表面に、それぞれ第1表に示される組成
を有する厚さ:5μmの本発明膜材1、2、および従来膜
材1〜3をそれぞれ形成した。
ついで、この結果得られた各種の膜材について、これ
を基体から剥がした状態で、X線回折法により非晶質化
の状況を判定すると共に、200℃の72%りん酸水溶液中
に100時間浸漬の腐食試験を行ない、試験後の重量減を
測定し、従来膜材 のうち最もTa含有量の多い従来膜材1を100とし、これ
に対する相対割合を求めた。これらの結果を第2表に示
した。
を基体から剥がした状態で、X線回折法により非晶質化
の状況を判定すると共に、200℃の72%りん酸水溶液中
に100時間浸漬の腐食試験を行ない、試験後の重量減を
測定し、従来膜材 のうち最もTa含有量の多い従来膜材1を100とし、これ
に対する相対割合を求めた。これらの結果を第2表に示
した。
第1,2表に示される結果から、本発明膜材1、2は、
いずれも従来膜材1〜3と同じく非晶質組織を有し、か
つTa含有量が相対的に低減された状態であるにもかかわ
らず、従来膜材1〜3と同等のすぐれた耐食性を示すこ
とが明らかである。
いずれも従来膜材1〜3と同じく非晶質組織を有し、か
つTa含有量が相対的に低減された状態であるにもかかわ
らず、従来膜材1〜3と同等のすぐれた耐食性を示すこ
とが明らかである。
上述のように、この発明の膜材は、物理蒸着により形
成された状態で非晶質組織を有し、かつ相対的にTa含有
量が少ない状態ですぐれた耐食性を示すのである。
成された状態で非晶質組織を有し、かつ相対的にTa含有
量が少ない状態ですぐれた耐食性を示すのである。
Claims (1)
- 【請求項1】Cr:15〜45%、Mo:15〜45%、 Ta:1〜12%、 を含有し、残りがNiと不可避不純物からなり、かつ前記
不可避不純物のうちのMn,Mg,Al,Ti、およびFeの含有量
が、それぞれ、 Mn:0.1%以下、Mg:0.1%以下、 Al:0.1%以下、Ti:0.1%以下、 Fe:4%以下、 である組成(以上原子%)を有するNi−Cr−Mo系合金で
構成したことを特徴とする耐食性のすぐれた物理蒸着非
晶質膜材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63030470A JP2663479B2 (ja) | 1988-02-12 | 1988-02-12 | 耐食性のすぐれた物理蒸着非晶質膜材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63030470A JP2663479B2 (ja) | 1988-02-12 | 1988-02-12 | 耐食性のすぐれた物理蒸着非晶質膜材 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27908396A Division JP2828071B2 (ja) | 1996-10-22 | 1996-10-22 | 耐食性のすぐれた物理蒸着非晶質膜材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01205045A JPH01205045A (ja) | 1989-08-17 |
JP2663479B2 true JP2663479B2 (ja) | 1997-10-15 |
Family
ID=12304756
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63030470A Expired - Fee Related JP2663479B2 (ja) | 1988-02-12 | 1988-02-12 | 耐食性のすぐれた物理蒸着非晶質膜材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2663479B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7972449B2 (en) * | 2008-01-03 | 2011-07-05 | GM Global Technology Operations LLC | Corrosion resistant metal composite for electrochemical devices and methods of producing the same |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63312965A (ja) * | 1987-06-16 | 1988-12-21 | Meidensha Electric Mfg Co Ltd | 高耐食性コ−テイング材 |
-
1988
- 1988-02-12 JP JP63030470A patent/JP2663479B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63312965A (ja) * | 1987-06-16 | 1988-12-21 | Meidensha Electric Mfg Co Ltd | 高耐食性コ−テイング材 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01205045A (ja) | 1989-08-17 |
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Legal Events
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