JP2827457B2 - 希土類鉄系磁石の製造方法 - Google Patents

希土類鉄系磁石の製造方法

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JP2827457B2 JP2141073A JP14107390A JP2827457B2 JP 2827457 B2 JP2827457 B2 JP 2827457B2 JP 2141073 A JP2141073 A JP 2141073A JP 14107390 A JP14107390 A JP 14107390A JP 2827457 B2 JP2827457 B2 JP 2827457B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は塑性変形加工に基づく磁気異方性希土類鉄系
磁石の製造方法に関し、更に詳しくは動的なアップ・セ
ット(Dinamic Die Up Setting)加工法の提唱によ
って少ない圧縮圧力と直接通電により数十秒のオーダー
で塑性変形を完了せしめ、所謂最終形状の高性能磁気異
方性希土類鉄系磁石を製造する方法に関する。
従来の技術 磁性材料に塑性変形加工を施し、その材料組織を異方
化し、特定方向に優れた磁気特性を発現せしめる技術
は、例えばソフト磁性材料分野での圧延磁気異方化技術
に基づく方向性珪素鋼板の集合組織の形成が有名であ
る。一方ハード材料ではエクスト・ルーディングやアッ
プ・セットなどの塑性変形技術に基づく磁気異方性Mn−
Al−C系,磁気異方性希土類鉄系永久磁石が知られてい
る。これらはいずれも塑性変形時の応力または歪の方向
と結晶の磁化容易軸とが特定の方位関係を形成するとい
う現象を利用するものである。
ところで、この塑性変形加工技術による磁気異方性希
土類鉄系永久磁石はNd,Fe,B及び必要に応じて添加元素
を混合した原材料を溶湯状態の原料から例えばメルトス
ピニングのような方法によって超急冷することによって
R2TM14B(RはNd/Pr、TMはFe/Co)を主相とする結晶粒
の平均粒径が約20〜500nmのような微細結晶からなる粉
末を作成し、高温における圧密でビレット化し、該ビレ
ットに塑性変形加工を施すものである(特開昭60−1004
02号公報)。
上記技術を更に詳しく説明すると、Nd,Fe,B及び必要
に応じて添加元素を混合した原材料を、例えばアーク溶
解し、Ar雰囲気中で単ロール法により超急冷薄片とす
る。この薄片は一般に20〜30μmの厚さをもった不定形
状態であり、非晶質と結晶質との混合物である。この薄
片を一般に32mesh以下に粗粉砕し、超硬合金の成形型中
で圧縮圧力約3tonf/cm2で圧粉体とする。この圧粉体を
超硬合金の成形型中で600〜800℃に高周波加熱し、0.5
〜2tonf/cm2で圧密しビレット化する。次に塑性加工の
加工性を向上させるため、例えば超硬合金のモールド・
キャビティ面をグラファイトでライニングした成形型な
どでビレットを600〜800℃に高周波加熱し、0.5〜2.5to
nf/cm2で該ビレットに数百秒オーダーで塑性変形加工を
施すものである。
発明が解決しようとする課題 しかしながら上記従来技術においては、高温における
圧密と塑性変形加工を施すことによって磁気異方性希土
類鉄系永久磁石が得られるという現象を開示するに留ま
り、例えば磁気特性の安定性,寸法精度などとの関連で
の技術は開示されていない。
とうに超急冷によって得られる材料を塑性変形せしめ
るには、少なくともその結晶化温度以上に加熱する必要
がある。しかし、結晶化温度以上で数百秒オーダー保持
したり、或いはまた750℃を越える加熱を施すと微細結
晶が粗大化し、これにより固有保磁力HCJが低下する。
従って希土類系合金の超急冷粉を対象とした短時間で、
しかも結晶化温度以上750℃以下の温度範囲で磁気異方
化と寸法精度との両者を確保することを可能とする新し
い塑性変形技術の出現が望まれていた。
本発明は、Nd,Fe,B及び必要に応じて添加元素を混合
した原材料を溶湯状態の原料から例えばメルトスピニン
グのような方法に従って超急冷することによって結晶粒
の平均粒径が500nm以下の微細結晶からなる粉末を作成
し、高温における圧密でビレット化し、該ビレットに塑
性変形加工を施す一連のプロセスにおいて、とくにビレ
ットの塑性変形加工を施す技術に関し、塑性変形加工に
おける従来技術の問題を解決するための手段として動的
なアップ・セット(Dinamic Die Up Setting)加工
法の提唱によって少ない圧縮圧力と直接通電により結晶
化温度以上750℃以下、数十秒のオーダーで塑性変形を
完了せしめ最終形状の磁気異方性希土類鉄系永久磁石を
提供しようとするものである。
課題を解決するための手段 先ず、本発明は下記〜項で説明することができ
る。
電気比抵抗[p(Ωmc)]と体積比熱[比重s×比
熱c(cal/℃・g)]との比が10-4〜10-2の一対のセラ
ミックス電極と非導電性セラミックス・ダイとで形成し
たモールド・キャビティ中に希土類鉄系合金のビレット
を配置し、電極を介して該ビレットに一次圧力P1(0.2
〜0.5×P2)と一次電流I1によるモジュール熱とを付加
し、更に二次圧力P2(キャビティの圧力軸方向断面積当
たり200〜400kgf/cm2)で結晶化温度以上750℃以下の温
度範囲で塑性変形しせめ、二次電流I2(>I1)の付加に
より最終形状の磁気異方性磁石を得ることを基本とす
る。
電極先端面にBN/有機高分子複合膜を形成し、放電
により該複合膜の一部を絶縁破壊せしめたのち一次電流
I1を付加することで電極との離型性を確保する。
電極はビレット側に導電性セラミックス,反ビレッ
ト側にグラファイトを配置した構成とし、その熱容量の
割合と一次電流I1によって結晶化温度以上に急速加熱す
るとともに熱の漏洩や発熱量の変化により結晶化温度以
上〜750℃の温度範囲を数十秒間保持するようにするこ
とができる。ここでビレット側に導電性セラミックス,
反ビレット側にグラファイトを配置する理由は、先ず、
グラファイトの電気比抵抗の温度変化は室温から700℃
まで指数関数的に低下し、一方の体積比熱は室温を基準
として700℃付近で概ね2倍となる。従って一定電流の
もとでのジュール熱の発生を結晶化温度以上で約30〜40
%まで急速に抑えることができる。更に、導電性セラミ
ックスの導電性成分としてのTiNなどの電気比抵抗の温
度変化は室温から700℃まで直線的に増加し約2倍の反
熱量を確保することができる。
モールド・キャビティを形成するビレット側電極、
および非導電性ダイはサイアロン(Si6-ZAlZOZN6-Z=1
〜4.60)を有効成分とするセラミックスとする。サイア
ロンが好ましい理由はNd/Prなどの希土類元素に対して
不活性であること、摩擦係数が比較的小さいこと、高温
強度や耐熱衝撃性などの性質に基づき希土類鉄系磁石の
寸法精度や成形型としての耐久性を確保するために有利
だからである。
次に、本発明の塑性変形技術で対象とする好ましい希
土類鉄系合金および、そのビレットとは、それぞれ下記
〜項に説明することができる。
希土類系合金はNd、Prの少なくとも一方を13〜15原
子%を含有し、且つ少なくとも500nm以下のR2TM14B(R
はNd/Pr、TMはFe/Co)を主相とする超急冷粉末とする。
薄片状の希土類系合金の超急冷粉末は53μm以上の
粒子径を有するものを直接固定化してビレットする。ま
たは、53μm以下の粒子径を有する超急冷粉末の含有量
をできるだけ少なくする。
ビレットの相対密度は95%以下とする。但し、塑性
変形時の圧力に耐える機械的な強度を要するので相対密
度の下限は概ね80%以上とすることが望ましい。
キャビティの圧力軸方向断面積Sとビレットの圧力
軸方向断面積S0との比S/S0は2〜3とする。
磁気異方性磁石の磁化曲線をピンニング型とする。
作用 先ず本発明の要点となるビレットの動的なアップ・セ
ットによる塑性変形技術を図面を用いて説明する。
第1図(a),(b),(c),(d)はビレットの
塑性変形加工の段階を示す要部断面図である。
図中、1はビレット,2,2′は一対の電極、3はダイで
ある。ここで電極2,2′はビレット1側に配置したビレ
ット側電極2a,2a′と反ビレット側電極2b,2b′とで構成
したものである。なお、ビレット側電極2a,2a′の先端
面にはBN/有機高分子複合膜が形成してある。また、図
中、Iは30Vパルス電圧電源、IIは6V直流定電流電源で
あり、それらは切り替えスイッチにより反ビレット側電
極2b,2b′と圧力軸ロッドを介して電気的に接続するこ
とができる。なお、このような系を必要に応じて真空雰
囲気とすることができるチャンバーを備えている。
第2図は第1図(a),(b),(c),(d)に対
応するピレットの塑性変形加工時の電極の圧力軸方向移
動距離△h、およびその微分曲線△h/△t、各部の温度
変化を示す特性図である。ただし図中、T1はビレットの
温度でダイ3を取り除きビレットに直接熱電対を挿入し
て測定したものである。また図中A,B,C,D,Eは塑性変形
加工時の状態変化を説明するために付した区間を示す記
号である。
以下、第1図(a),(b),(c),(d)と第2
図に基づいて動的な塑性変形動作を説明する。
先ず、電極2,2′を介してビレット1に一軸の圧縮圧
力を加える。この状態で電極2,2′間を30Vパルス電圧電
源Iの作動によりパルス放電しBN/有機高分子複合膜を
部分的に絶縁破壊せしめ、電極2,2′間の導電性を確保
する。
第2図中、A−B間は第1図(a)に対応するもので
電極2,2′間の導電性を確保したのち、電極2,2′を介し
てビレット1に一次圧力P1と一次電流I1によるジュール
熱とを付加して電極2,2′,ビレット1,ダイ3各部を加
熱している区間である。温度の上昇はダイ3よりもビレ
ット1のほうが遥かに急速であることが解る。なお第2
図中B点はビレット1の温度がその結晶化温度約580℃
以上に達していることにより、粘性低下に伴う塑性変形
の開始点に相当する。
第2図中、B−C間は第1図(b)に対応するもので
ビレット1の温度の上昇が熱の漏洩によって鈍り始めて
いる様子とビレット1の一部が塑性変形によってダイ3
のモールド・キャビティ壁面に到達することによる温度
上昇の開始が見られるようになる。
第2図中、C−D間は第1図(c)に対応するもので
二次圧力P2(>一次圧力P1及び>200kgf/cm2)によって
ビレット1の塑性変形が加速されている様子が判る。
第2図中、D−E間は第1図(d)に対応するもので
二次電流I2(>I1)の付加により最終形状に加工された
ことが判る。
以上のように本発明の要点となるビレットの塑性変形
加工は動的なアップ・セットであり、電流によるジュー
ル熱の付加が数十秒という短時間で完了することが判
る。
次に、本発明のモールド・キャビティを形成する電
極、および非導電性ダイについて説明する。
本発明に使用する一対の電極とは電気比抵抗[p(Ω
cm)]と体積比熱[比重s×比熱c(cal/℃・g)]と
の比が10-4以上であることが必要である。更に電極はビ
レット側に導電性セラミックス、反ビレット側にグラフ
ァイトを配置した構成とすることが好ましい。
導電性セラミックスの具体的な材質としてはサイアロ
ン(Si6-ZAlZOZN6-Z,z=1〜4.60)とVI a族の元素(T
i,Zr,Hf)の炭化物,窒化物との複合セラミックスを挙
げることができる。しかし、TiCおよびZr,Hfの炭化物,
窒化物を含有するサイアロン焼結体は高温耐酸化性が低
いので、電極材質としてはTiNを含有するサイアロン焼
結体を使用することが好ましい。TiNの添加量はTiN相が
焼結体中で十分接触しだす約30体積%以上とし、高温強
度の低下が著しくなる約70体積%以下とする。このよう
なサイアロン焼結体は放電加工が可能であるため高寸法
精度の異形電極を加工することができ、しかも耐熱衝撃
性がよいことなど本発明に使用する電極材質として適し
ているのである。
一方、反ビレット側にグラファイトを配置することは
電極を介してビレットに直接電流を流し、そのジュール
熱によって初期段階の温度上昇を促進するものである。
電極の温度上昇の初期段階での促進はビレットを結晶化
温度以上に急速昇温するのに効果的である。しかもビレ
ットの結晶化温度以上では発熱量の低下と熱の漏洩によ
る相乗効果で昇温を鈍らせる効果があり、結果といてビ
レットの塑性変形を結晶化温度以上750℃以下で行なう
条件を整えることが容易となるからである。
なお電極先端面にBN/有機高分子複合膜を形成するこ
とは電極と磁石との離型性を確保するのに有効である。
また比導電性ダイは、サイアロン(SI6-ZALZOZN6-Z,z
=1〜4.60)を使用することが好ましい。
次に本発明で対象とする希土類鉄系合金および、その
ビレットについて説明する。
希土類鉄系合金はNd,Prの少なくとも一方を13〜15原
子%を含有し、且つ少なくとも500nm以下のR2TM14B(R
はNd/Pr、TMはFe/Co)を主相とする超急冷粉末とするこ
とが望ましい。NdまたはPrを13原子%以下では発明の要
点となるビレットの動的なアップ・セットによる塑性変
形技術を適用することが困難となるからであり、15原子
%以上ではNdまたはPrの滲みが甚だしくなり作業性に悪
影響を及ぼすことや、4πIsの低下に伴う残留磁束密度
の低下を招くからである。また、少なくとも500nm以下
のR2TM14B(RはNd/Pr、TMはFe/Co)を主相とする理由
は、その主相の単磁区臨界寸法が概ね300nm程度であ
り、これより結晶粒が粗大化すると固有保磁力HCJが低
下するばかりか、その磁化曲線が次第にニュークリエー
ション型に移行し、結晶粒界にNd/Prリッチ相が出現す
るからである。固有保磁力HCJの低下は非可逆減磁に代
表される磁石の熱安定性を低下させ、結晶粒界のNd/Pr
リッチ相は耐蝕性に不利な要因となるからである。
希土類鉄系合金のビレットは53μm以上の粒子径を有
する薄片状の超急冷粉末を直接固定化したものが好まし
い。53μm以下の粒子径を有する薄片状の超急冷粉末を
直接固定化したものでは固有保磁力HCJが低下するから
である。
本発明ではビレットの相対密度が95%以下とするが、
この理由の固有保磁力HCJの低下を抑制することであ
る。
また本発明ではキャビティの圧力軸方向断面積Sとビ
レットの圧力軸方向断面積S0との比S/S0を2〜3とする
ことが好ましい。S/S0が2以下では十分な磁気異方化が
できないからであり、S/S0が3以上では塑性変形量が増
加する割合に磁気異方化の進展が少ないからである。
なお、本発明では上記のようなビレットの動的なアッ
プ・セットによる塑性変形技術によって最終形状に加工
した磁石の磁化曲線をピンニング型とするものである。
実施例 以下、本発明を実施例に基づき更に詳しく説明する。
実施例1 Nd14Fe76Co4B6合金をアーク炉によって溶解し、Ar雰
囲気中にてメルトスピニングしフレーク状の薄片を得
た。この薄片は厚さ約30μmの不定形状態を呈し、X線
回析の結果非晶質と結晶質の混合物であることが認めら
れた。次に、この薄片を53〜350μmに粉砕・分級し、
キャビティ中へ16g充填した。しかるのち、10-1〜10-3T
orrの真空中で通電加熱し、ビレットを作成した。この
ビレットは外径14mmの円柱状であり、理論密度に対する
相対密度は85%である。
次に、上記ビレットを第1図に示した構成の動的なア
ップ・セットによる塑性変形装置にセットした。ただ
し、外径19.960mm×5mmの円柱状ビレット側電極2a,2a′
は室温の電気比抵抗pが4×10-4ΩcmのTiN/サイアロン
である。また外径19.95mm×20mmの円柱状反ビレット側
電極2b,2b′は室温の電気比抵抗pが1.6×10-3Ωcmのグ
ラファイトである。なお、ビレット側電極2a,2a′の先
端面にはBN/有機高分子複合膜が形成してある。一方、
非導電性ダイはサイアロンで、内径20.00mm×40mmの円
柱状である。
先ず、10-1〜10-3Torrの真空雰囲気とした。次に電極
2,2′を介してビレット1に一軸の圧縮圧力を加える。
この状態で電極2,2′間を15秒間放電し、BN/有機高分子
複合膜5を部分的に絶縁破壊せしめ、電極2,2′間の導
電性を確保した。電極間の放電電流は数mA以下であり、
この段階でのジュール熱による温度の上昇はほとんどな
い。
次に電極2,2′を介してビレット1に一次圧力P1(ビ
レット圧力軸方向断面積当たり300kgf/cm2)と一時電流
I1(ビレット圧力軸方向断面積当たり300A/cm2)による
ジュール熱とを付加して電極2,2′,ビレット1,ダイ3
各部を加熱する。温度の上昇はダイ3よりもビレット1
のほうが遥かに急速である。一次電流I1を流して早くも
約20秒後にはビレット1の塑性変形が開始され、約40秒
後には一次圧力P1のもとでの塑性変形速度のピーク値が
観測された。一次圧力P1のもとで変形速度のピーク値が
過ぎた時点で二次圧力P2に切り替えた。二次圧力P2はモ
ールド・キャビティの圧力軸方向断面積当たり250kgf/c
m2である。最後に二次電流I2、800Aを20秒間流して最終
形状に加工し、120秒間冷却したのちモールド・キャビ
ティ内の希土類鉄系磁石を取り出した。この希土類鉄系
磁石の外径は19.990〜20.000mm高さ6.74±0.015mmとい
う優れた寸法精度を有していた。
第3図は上記磁石の磁化曲線を示す特性図である。図
から明らかなように固有保磁力程度までは磁化の変化が
緩やかで、その後急速に立ち上がっている。すなわちこ
の磁石は磁壁移動がピン止めされている典型的なピンニ
ング型磁石である。また、残留磁束密度Br11.5kG,固有
保磁力HCJ16kOe,最大エネルギー積BHmax31MGOeと優れた
磁気特性であった。
実施例2 実施例1と全く同一の条件を基準とし、代表的製造条
件と磁気特性との関係を実施例にて説明する。
(一次電流値の影響) 第4図は動的なアップ・セットにおける一次電流値の
み変化させた場合の一次電流値と、通電時間,磁気特性
との関係を示す特性図である。一次電流値がビレット圧
力軸方向断面積当たり250A/cm2以下であるとジュール熱
の発生が不足して塑性変形に時間が掛かりすぎ固有保磁
力HCJが低下する。一方、一次電流値がビレット圧力軸
方向断面積当たり400A/cm2以上であると結晶化温度以上
で、熱の漏洩よりもジュール熱の発生が過大となってビ
レットの温度上昇が高くなり、その結果固有保磁力HCJ
が低下する。
(電気化抵抗と体積比熱との比の影響) 第5図は動的なアップ・セットにおけるビレット側電
極の電気比抵抗と体積比熱との比のみ変化させた場合の
電気比抵抗と体積比熱との比と通電時間,磁気特性との
関係を示す特性図である。電気比抵抗と体積比熱との比
が10-4以下であると通電時間が数百秒となり、角形性が
高くなく、その結果最大エネルギー積BHmaxが低くな
る。また、電気比抵抗と体積比熱との比が10-2を越える
と所定の一次電流が低電圧で得られないために通電時間
が長くなり、結晶化温度以上では熱の漏洩よりもジュー
ル熱の発生が過大となってビレットの温度上昇が高くな
り、その結果固有保磁力HCJが低下する。以上のことか
ら明らかなように電気比抵抗と体積比熱との比を10-4
10-2とすることが必要である。
第6図はビレットの加熱ピーク温度と結晶粒の平均粒
子径、第7図は結晶粒の平均粒子径と固有保磁力HCJ
の関係を示す特性図である。図から明らかなように結晶
化温度以上の加熱時間が数十秒であるにも拘らずピーク
温度が750℃を越えると急速な結晶粒の粗大化がおこ
り、その結果固有保磁力HCJが低下することが判る。
本発明でビレットのピーク温度に対して重要な影響を
与えるものは電極の電気比抵抗と体積比熱との比、ビレ
ット側電極と反ビレット側電極の熱容量比,電流密度で
ある。本発明では少なくとも数十秒のオーダーでビレッ
トの温度を結晶化温度〜750℃で保持する調整が必要で
ある。
(一次圧力の影響) 第8図は動的なアップ・セットにおける一次圧力と磁
気特性との関係を示す特性図である。ただし、一次圧力
はビレットの圧力軸方向断面積当たりの圧力である。一
次圧力は磁気特性に対してほとんど影響しない。しか
し、ビレット圧力軸方向断面積当たり200kgf/cm2もの低
い圧力で塑性変形が行われることは成形型の耐久性など
実用的な観点からみると好ましい事実である。
(二次圧力の影響) 第9図は動的なアップ・セットにおける二次圧力と磁
気特性との関係を示す特性図である。ただし、二次圧力
はモールド・キャビティの圧力軸方向断面積当たりの圧
力である。なお、一次圧力から二次圧力への切り替えは
一次圧力下でのビレットの塑性変形速度がピークを過ぎ
さえすれば塑性変形速度が10-4mm/sオーダーまで低下す
る期間であれば磁気特性への影響を無視することができ
る。
二次圧力は磁気特性の中、固有保磁力HCJと最大エネ
ルギー積BHmaxに影響する。二次圧力が200kgf/cm2以下
では固有保磁力HCJが低下する。一方、二次圧力400kgf/
cm2以上では残留磁束密度Brや角形性の低下により最大
エネルギー積BHmaxが低下する。従って二次圧力は200〜
400kgf/cm2程度、とくに好ましくは250〜300kgf/cm2
ある。
なお、一次圧力はビレットと電極との安定な電気的接
続を確保するための最低値が必要であるが加圧系の関係
から実質的には二次圧力P2×0.2〜0.5程度が望ましい。
(真空度の影響) 第10図は動的なアップ・セットにおける真空度と磁気
特性の関係を示す特性図である。
真空度1.2〜10-2Torrの範囲で磁気特性への影響はな
い。なお、大気中であっても固有保磁力HCJをはじめと
する磁気特性への影響は少ないが、成形型の耐久性を確
保するためには真空度1.2〜10-2Torr程度にした方が有
利である。
実施例3 実施例1と全く同一の条件を基準とし、合金組成(Nd
量)と磁気特性との関係を実施例にて説明する。
第11図は動的なアップ・セットにけるNd量に対する磁
気特性の関係を示す特性図である。Nd量12原子%では塑
性変形が可能であるが、塑性変形を結晶化温度〜750℃
で行うことができない。したがって結晶粒の著しい粗大
化を招き、固有保磁力HCJや残留磁束密度Brが低下す
る。また、残留応力によって脆くなり実用可能な磁石と
はならない。一方Nd量15原子%を越えるとモールド・キ
ャビティと電極との間隙にNdの滲みによるバリの発生が
甚だしくなるため離型性が低下したり、或いはまた4π
Isの低下に起因する残留磁束密度Brが低下する。従って
Nd量は12〜15原子%とすることが好ましい。
実施例4 実施例1と全く同一の条件を基準とし、薄片の粒子
径、ビレットの相対密度、キャビティの圧力軸方向断面
積Sとビレット圧力軸方向断面積S0との比の関係を実施
例にて説明する。
第12図は動的なアップ・セットにおける薄片の粒子径
に対する磁気特性の関係を示す特性図である。53μm以
下の場合は固有保磁力HCJが低下する。従って薄片の粒
子径はできるだけ53μm以下の微粉を含まないものが好
ましい。
第13図は動的なアップ・セットにおけるピレットの相
対密度に対する磁気特性の関係を示す特性図である。相
対密度95%以上では固有保磁力HCJと最大エネルギー線B
Hmaxが低下し易い。従ってビレットの相対密度は95%以
下とすることが好ましい。なお、相対密度が80%以下で
はビレットの圧縮強度が低下し、塑性変形時に破壊する
場合があるので好ましくない。
第14図は動的なアップ・セットにおけるキャビティの
圧力軸方向断面積Sとビレットの圧力軸方向断面積S0
の比S/S0に対する磁気特性の関係を示す特性図である。
S/S0が2以下では十分な磁気異方化ができないが2〜
3であれば実用上十分な磁気異方性磁石とすることがで
きる。
発明の効果 以上詳述したように本発明は希土類鉄系磁石の製造方
法に関し、塑性変形時の応力または歪の方向と結晶の磁
化容易軸とが特定の方位関係を形成するという現象を利
用した磁気異方性磁石の製造方法において、動的なアッ
プ・セット加圧法により、少ない圧力で短時間に、所謂
最終形状の高性能磁気異方性磁石を得るものである。こ
の方法は製造プロセスが極めて単純であるばかりか、電
流値の制御,圧力制御がそれぞれ1度限りであり、加え
て成形型への負荷が極めて軽微であるなどの特徴があ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は動的なアップ・セット動作を示す要部断面図、
第2図は動的なアップ・セット加工時の塑性変形と温度
変化とを示す特性図、第3図は磁化曲線を示す特性図、
第4図は一次電流値と通電時間・磁気特性との関係を示
す特性図、第5図はビレット側電極の電気比抵抗と体積
比熱との比と通電時間・磁気特性との関係を示す特性
図、第6図はビレットのピーク温度と結晶粒の平均粒子
径との関係を示す特性図、第7図は結晶粒の平均粒子径
と固有保磁力との関係を示す特性図、第8図は一次圧力
と磁気特性との関係を示す特性図、第9図は二次圧力と
磁気特性との関係を示す特性図、第10図は真空度と磁気
特性との関係を示す特性図、第11図はNd量と磁気特性と
の関係を示す特性図、第12図は薄片の粒子径と磁気特性
との関係を示す特性図、第13図はビレットの相対密度と
磁気特性との関係を示す特性図、第14図はキャビティの
圧力軸方向断面積Sとビレットの圧力軸方向断面積S0
の比S/S0に対する磁気特性の関係を示す特性図である。 1……ビレット、2,2′……電極、3……ダイ。

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電気比抵抗[p(Ωcm)]と体積比熱[比
    重s×比熱c(cal/℃・g)]との比が10-4〜10-2の一
    対のセラミックス電極と非導電性セラミックス・ダイと
    で形成したモールド・キャビィティ中に希土類鉄系合金
    のビレットを配置し、電極を介して該ビレットに一次圧
    力P1[(0.2〜0.5)×P2]と一次電流I1によるジュール
    熱とを付加し、更に二次圧力P2(キャビティの圧力軸方
    向断面積当たり200〜400kgf/cm2)で結晶化温度以上、7
    50℃以下の温度範囲で塑性変形せしめ、二次電流I2(>
    I1)の付加により最終形状の磁気異方性磁石とする希土
    類鉄系磁石の製造方法。
  2. 【請求項2】電極線端面にBN/有機高分子複合膜を形成
    し、放電により該複合膜の一部を絶縁破壊せしめたのち
    一次電流I1を付加する請求項1記載の希土類鉄系磁石の
    製造方法。
  3. 【請求項3】電極がビレット側に導伝性セラミックス
    を、反ビレット側にグラファイトを配置した構成である
    請求項1に記載の希土類鉄系磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】モールド・キャビティを形成するビレット
    側電極、および非伝導性ダイがサイアロン(Si6-ZAlZOZ
    N6-Z,z=1〜4.60)を有効成分とするセラミックスであ
    る請求項1または2記載の希土類鉄系磁石の製造方法。
  5. 【請求項5】希土類鉄系合金はNd、Prの少なくとも一方
    を13〜15原子%を含有し、且つ少なくとも500nm以下のR
    2TM14B(RはNd/Pr、TMはFe/Co)を主相とする超急冷粉
    末である請求項1記載の希土類鉄系磁石の製造方法。
  6. 【請求項6】希土類鉄系合金のビレットが53μm以上の
    粒子径を有する薄片状の超急冷粉末を直接固定化したも
    のである請求項1記載の希土類鉄系磁石の製造方法。
  7. 【請求項7】ビレットの相対密度が95%以下である請求
    項1記載の希土類鉄系磁石の製造方法。
  8. 【請求項8】キャビティの圧力軸方向断面積Sとビレッ
    トの圧力軸方向断面積S0との比S/S0が2〜3である請求
    項1記載の希土類鉄系磁石の製造方法。
  9. 【請求項9】磁気異方性磁石の磁化曲線がピニング型で
    ある請求項1記載の希土類系磁石の製造方法。
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