JP2825330B2 - 製袋用二軸延伸ポリアミドフィルム - Google Patents

製袋用二軸延伸ポリアミドフィルム

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JP2825330B2 JP25047890A JP25047890A JP2825330B2 JP 2825330 B2 JP2825330 B2 JP 2825330B2 JP 25047890 A JP25047890 A JP 25047890A JP 25047890 A JP25047890 A JP 25047890A JP 2825330 B2 JP2825330 B2 JP 2825330B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、主として、食品包装に用いられる製袋用二
軸延伸ポリアミドフィルムに関するものである。
(従来の技術) 従来、二軸延伸ポリアミドフィルムは、高強度、高ガ
スバリア性、耐ピンホール性、透明性、易印刷性などの
良好な諸特性から液体スープ、ハンバーグ、ハム、コン
ニャク、カレー、漬物、もちなどを始め、液体や固体の
食品包材として広く用いられている。特にレトルト食品
用袋(熱水ボイル処理用袋)としての利用も多い。
この場合、二軸延伸ポリアミドフィルムは、他の低融
点樹脂層をその上に形成して折りたたみ、三辺を熱融着
して三方シール袋として使用されるが、これは一般に二
軸延伸ポリアミドフィルムにウレタン系の接着層を塗布
し、次いでポリエチレン(PE)或はポリプロピレン(P
P)をラミネートした後、PE又はPP層をシール面として
熱シールされ三方シール袋に製袋されている。
この袋は自動給袋機にかけ、 (A)液状、固状それら混合物を袋の中に詰める 給袋、袋充填プロセス、 (B)袋ごと高温ボイル殺菌されるプロセス、 を経て市場に出されるが、従来かかる用途に用いられ
る二軸延伸ポリアミドフィルムを用いた三方シール袋
は、食品を袋充填される以前に放置される状況下で(特
に環境にもよるが)コーナー部が袋状平面に対しそれぞ
れ逆方向に起き上がり、馬の鞍状の三次元形態(いわゆ
る逆カール現象)変形を生じ、かかる三方シール袋へ食
品を自動充填する(A)のプロセスを経る際に自動給袋
が出来ないトラブルを生じ易かった。さらに自動充填時
にはトラブルが少ないものでも、充填された袋を高温ボ
イル殺菌する(B)のプロセスを経る際に、(A)の逆
カール方向とは反対方向に、または同方向にさらに大き
な逆カールする現象が生じ易く、商品を売り場に並べた
際に外観が著しくそこなわれ、さらには印刷部分が見に
くくなったり商品を積み重ねることが難しかったり、商
品価値が大幅に低下する等のトラブルが生じ易かった。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、食品用、包装用フィルムとして用いられる
三方シール袋の製袋時および充填後の高温ボイル処理時
の袋のカール現象を低減し、食品等の高速自動給袋充填
時のトラブルを大幅に低減するとともに、最終製品袋の
形状を適正に保ち得る製袋用二軸延伸ポリアミドフィル
ムを提供しようとするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明は、上記の課題を解決するものであり,その要
旨は,次のとおりである。
主として、ε−カプロラクタムを重合して得られるポ
リアミドからなり、下記,,,式を同時に満足
する製袋用二軸延伸ポリアミドフィルム。
a≦3.0 …… 〔a;最大熱水収縮率(%)〕 0.5≦b/c≦1.5 …… 〔b;MD熱水収縮率(%)〕 〔c;TD熱水収縮率(%)〕 d≦1.5 …… 〔d;熱水収縮率斜差(%)〕 e≦1.5 …… 〔e;吸湿伸び斜差(%)〕 本発明において用いられる主として、ε−カプロラク
タムを重合して得られるポリアミドとしては、ナイロン
6,ε−カプロラクタムを主成分とし、ヘキサメチレンジ
アミンとアジピン酸又はイソフタル酸とのナイロン塩
や、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とのナイロン
塩などを少量共重合させた共重合体などが挙げられる。
さらにこれらの重合体のほかに、各種帯電防止剤、耐ブ
ロッキング剤、各種安定剤等作用効果のわかった公知の
物質を含有していてもよい。また、フィルムの表面に
は、必要に応じてコロナ放電処理、コーティング、印刷
等が行なわれていてもよい。
前記逆カール現象を解決するためには、上記,,
,式を同時に満足したフィルムを得る必要がある。
先ずの最大熱水収縮率であるが、この値が3.0より
大きいとフィルムを他の低融点樹脂とラミネートした
り、コートしたりする際の加工時に寸法変化が大きくな
ってしまい、フィルムの平面性が損なわれたり、製品を
高温ボイル処理した際にラミネートフィルム間ではがれ
(デラミ)が生じたり、目標とする正確な中間製品寸法
が得られなくなってしまい加工トラブルを生じてしま
う。
次に、MD方向の熱水収縮率bと、TD方向の熱水収縮率
cとがの関係を満足する必要がある。この値は、フィ
ルムの熱的な寸法安定性の均一度を評価する尺度であ
り、MD方向あるいはTD方向など一方方向のみの熱水収縮
率が他方向のものに比べ極端に大きかったり、小さかっ
たりして、式の範囲を越えたものになった場合には、
他の樹脂フィルムとラミネートする際や他の樹脂をコー
トする加工の際に、一方方向への収縮が大きくなり、フ
ィルムの平面性が損なわれたり、加工方向が限定されて
しまい利用価値が低く商品性に劣ったものとなる。
次に熱水収縮斜差dであるが、これは製袋後食品等を
充填した後に高温ボイル処理された場合の袋のカール性
をはかる尺度であるが、この値が大きいと最終商品とし
ての袋のカール性が大きいものとなる。dは式のよう
に1.5以下が商品価値を維持する上で必要である。さら
にはdは1.3以下が好ましい。
次に吸湿伸び斜差eであるが、これはポリアミドフィ
ルムを他の低融点樹脂フィルムとラミネートしたり、同
樹脂をコートした後三方シール袋に加工後、食品等を充
填してゆく際に袋がカールして充填作業が円滑に進まな
いトラブル発生の有無をはかる尺度であり、eの値が
式のように1.5を越えた場合には、袋のカールが大きく
袋充填作業の際にトラブルを発生し易いものである。さ
らにeは1.3以下が好ましい。
本発明の2軸延伸ポリアミドフィルムは、上記,
,,式を同時に満足するものであるが、さらに次
の特性を併せ持った場合に一層好ましいものとなる。す
なわち、ポリアミドフィルムのMD及びTD方向の熱水収縮
率bとcが、それぞれ b≦2.7 …… c≦2.7 …… を満足することが好ましい。この範囲を越えたものは前
記カール性が悪く、特に高温ボイル処理後の製品袋の商
品価値を減ずるものとなるに加え、印刷時や他の樹脂と
のラミネートの際の熱収縮が大きく、最終製品のフィル
ム巾をコントロールすることが難しい。また、さらに高
温でボイル処理する際、ラミネートされた樹脂との熱収
縮率が大きく、ラミネート部位がはがれてしまういわゆ
るデラミ現象が生じ易い。
本発明でいう熱水収縮率及び同斜差は次のように測定
する。
二軸延伸により得られたフィルムを20℃、65%相対湿
度雰囲気下で、MD方向とTD方向とをそれぞれ直交軸とし
て各々25cmの角形の大きさに切り出す。切り出した角形
フィルムの中心を決め直径20cmの円をボールペン等非水
溶性のインクで描き、MD方向,TD方向にそれぞれ直線を
描き、さらにMD方向をY軸、TD方向をX軸とする直交座
標系の第1から第4象限をそれぞれX線から測って5度
間隔に直線を描く。この試料を100℃の熱水中で5分間
処理した後、再び20゜、65%相対湿度雰囲気中で2時間
放置後、各方向の長さを測定し熱水収縮率を得る。この
中で最大の大きさを最大熱水収縮率とする。また、TD方
向から測って45度と135度の各方向の熱水収縮率の差の
絶対値を熱水収縮率斜差とする。
一方吸湿伸びは、20℃、30%相対湿度雰囲気下で熱水
収縮率の測定と同じ手順で試料を得、20℃、90%の相対
湿度下で2時間吸湿させた後の各方向の吸湿伸び率を測
定する。吸湿伸び率のうち最大の大きさを最大吸湿伸び
率とする。
また、TD方向から測って45度と135度の各方向の吸湿
伸び率の差の絶対値を吸湿伸び斜差とする。
本発明のフィルムは、一例として、MD、TD方向へのバ
ランスのとれた延伸方法および両方向へのバランスのと
れた熱セットおよび緩和処理によって得られるものであ
るが特に製法に限定はない。
(作用) 本発明の諸物性を満足するフィルムは三方シール袋に
加工した際の袋カールを防止し、袋に食品など内容物を
充填する場合のトラブルを防止できる。さらに内容物を
充填した後高温ボイル処理した後の袋カールを防止し、
商品価値を高めることができる。さらにラミネートされ
た他の樹脂とのデラミを防止できる。
(実施例) 以下に本発明の実施例を示す。
なお、MDとは、フィルムの巻き長さ方向を示しタテと
も呼ぶ。またTDとは、それに直角な方向を示しヨコとも
呼ぶ。
実施例中の (1)ラミネート三方袋カール性の良否判定 (2)高温ボイル処理適性判定 は、以下のように行った。
(1)ラミネート三方袋カール性の良否判定 ポリ−ε−カプロアミドから成る二軸延伸された厚さ15
μm、巾820mmのポリアミドフィルムを、延伸後巻取ら
れた二軸延伸原反(以下ミルロールと呼ぶ)からスリッ
トし切りだした。ミルロールからスリットする位置は、
図1のように原反巾Lに対し、Iなる位置を中心として
820mmのフィルム巾をスリットした。各テストフィルム
において、サンプリングの(I/L)の値は0.60と一定と
した。
上述のようにスリットした厚さ15μm、巾820mmの二
軸延伸ポリアミドフィルムに、住友重機(株)製ECラミ
ネータを用いて、ウレタン系AC剤(東洋モートン(株)
EL−443 A/B)を塗布後、330℃で厚さ15μmのPE樹脂を
押し出し、一方基材ナイロンフィルムと反対側から厚さ
40μmのLLDPEフィルムを供給しポリアミドラミネート
加工を行ない、ナイロン/PE/LLDPEの3層ラミネートフ
ィルムを得た。
このラミネート加工品を西部機械(株)(名古屋市守
山区)の高速自動製袋機を用いて、巻き長さ方向に平行
(タテ)に半分に折りたたみつつ、タテ方向に各両端40
mmずつを150℃で連続的に熱シールし、それに垂直方向
(ヨコ)に150mm間隔に断続的に20mm巾を177℃で熱シー
ルし、400mm巾の半製品を得た。これをタテ方向に平行
に半分に切断し、さらに20mm巾のヨコ方向のシール部を
半分に切断して、長さ200mm(内一方の端、40mm巾がシ
ール部)、巾150mm(内、両端に10mm巾のシール部)の
三方シール袋をいわゆる半折2丁取製袋して得た。
このシール袋を100枚重ね、束にして、各100束を段ボ
ール箱につめ、20℃、65%の相対湿度下で1カ月保存し
た後、同シール袋のカール性を以下の様に評価した。
保存したシール袋1束(100袋)を平板上に置き、40m
m巾シール部の2カ所の角の平板面からの高さHを測
る。次にこのシール袋1束を裏がえして同様に測り、4
点の高さデータのうち最も大きい値をHmとする。一方カ
ールのない部分(例えば袋束の中央部など)の高さを測
りHoとする。これより、変形率[(Hm−Ho)×100/Ho]
を求め以下のような基準で評価した。
◎・・・変形率 0〜20%未満 ○・・・変形率 20〜45%未満 ×・・・変形率 45〜110%未満 ××・・・変形率 110%以上 (2)高温ボイル処理適性の判定 前述した三方シール袋に水300mlを充填し、脱気後袋
口を10mm巾でヒートシールした。この水充填シール袋を
沸騰水中で実質的に袋内の水が100℃に達した後、30分
間ボイルを続け、その後充分水冷し、水切り後20℃、65
%の相対湿度下で1昼夜放置した。この水充填袋を平板
上に置き、袋全体のねじれの程度を以下のように目視評
価した。
◎・・・全くねじれがない。
○・・・水充填部にシワはないが、袋全体にわずか
なねじれが認められる。
×・・・水充填部の対角線上にシワが認められ、さ
らに袋全体にねじれが認められる。
××・・・水充填部の対角線上に深くシワが認めら
れ、さらに袋全体のねじれが著しい。
実施例1〜6、比較例1〜5 相対粘度が2.8のポリ−ε−カプロアミドチップをT
ダイを装着した200mm径の押出機を用いて260℃に加熱溶
融して押出、15℃に表面温度をコントロールした径1.5m
の冷却ロールにて急冷固化し、厚さ約150μmの実質的
に無配向の未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルム
を調湿槽に導き6.0%の水分含有率のフィルムとした
後、190℃の温度でタテ(MD)3.0倍、ヨコ(TD)3.3倍
に同時二軸延伸した後、表1に示した種々セット、リラ
ックス条件にて処理した後捲取り、フィルム原反(ミル
ロール)を採取した。また、延伸されたフィルムに対す
る吸湿処理は、第6セットゾーン(第6S)及びそれに続
くフィルム冷却部(F冷部)に蒸気を吹き込み行なっ
た。
得られたフィルムの物性及びラミネート後の諸特性は
前述したように評価し良否を判定した。
ラミネート三方袋カール性と高温ボイル処理後の袋カ
ール性の両方の特性とも同時に満足するものを総合評価
として○とし、両方または一方でも悪いものを×と評価
した。
結果は表1に示した。比較例4では一部デラミも生じ
た。
実施例7〜9、比較例6〜9 実施例1と同様に、実質的に無配向の未延伸フィルム
を得た。この未延伸フィルムを、0.3%の水分率で延伸
機に導き、60℃の温度でタテ(MD)3.0倍、ヨコ(TD)
3.3倍に同時二軸延伸した後、表2に示した種々、セッ
ト、リラックス条件にて処理して捲取り、フィルム原反
(ミルロール)を採取した。また、延伸されたフィルム
に対する吸湿処理は、第6セットゾーン(第6S)及びそ
れに続くフィルム冷却部(F冷部)で実施例6と同様に
行なった。得られたフィルムの物性及びラミネート後の
諸特性は前述したように評価し、良否を判定した。
結果を表2に示した。
実施例10〜12、比較例10、11 相対粘度が、3.0のポリ−ε−カプロアミドから実施
例1と同様に未延伸フィルムを得、複数のロール群より
なる縦延伸機に導き、表3に示した条件で縦延伸した
後、この延伸フィルムをテンター式横延伸機に導き、表
3に示した条件で横延伸した後、表3に示した各種セッ
ト条件でセットし延伸フィルムを得た。また、延伸され
たフィルムに対する吸湿処理は、第4セットゾーン(第
4S)およびそれに続くフィルム冷却ゾーン(F冷部)で
蒸気を吹き込み行なった。
得られたフィルムの物性およびラミネート後の諸特性
は、前述したように評価し良否を判定した。
結果は表3に示した。比較例11では一部デラミも生じ
た。
(発明の効果) 本発明は、原料フィルムの熱水収縮率におけるフィル
ム面内の分布および吸湿伸び率におけるフィルム面内の
分布を特定の範囲内にコントロールすることにより、食
品用、包装用フィルムとして用いられる三方シール袋の
製袋時および充填後の高温ボイル処理時の袋のカール現
象を低減し、食品等の高速自動給袋充填時のトラブルを
大幅に低減するとともに、最終製品袋の形状を適正に保
ち得ることによって、商品価値を格段に向上しうる効果
を与える。
【図面の簡単な説明】
図1は延伸後フィルムを巻き取ったミルロールを示す。 図中1はフィルム、2は金属製のロールを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−74635(JP,A) 特開 平2−103122(JP,A) 特開 昭61−244527(JP,A) 特開 昭55−21258(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29C 55/12 - 55/16 C08J 5/18

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主として、ε−カプロラクタムを重合して
    得られるポリアミドからなり、下記,,,式を
    同時に満足する製袋用二軸延伸ポリアミドフィルム。 a≦3.0 …… 〔a;最大熱水収縮率(%)〕 0.5≦b/c≦1.5 …… 〔b;MD熱水収縮率(%)〕 〔c;TD熱水収縮率(%)〕 d≦1.5 …… 〔d;熱水収縮率斜差(%)〕 e≦1.5 …… 〔e;吸湿伸び斜差(%)〕
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