JP2824287B2 - セメント混和材 - Google Patents

セメント混和材

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明はセメント混和材に関し、詳しくは、高強度や
高耐久性を与えるセメント混和材であり、一般土木建築
構造物やコンクリート製品など、常温又は常圧蒸気養生
条件下で使用されるモルタル又はコンクリートに使用す
るセメント混和材に関する。
<従来の技術とその課題> 近年、海洋開発等の進展に伴い、耐塩性や耐硫酸塩性
等のモルタル又はコンクリートの開発が重要視され始め
ているが、これらを解決する手段として高炉スラグを利
用する方法がある。
この高炉スラグを利用する方法は、高炉スラグが、浸
透してくる塩素イオンや硫酸イオンをエトリンガイトや
フリーデル塩の形で固定し、それ以上の浸透を防止する
ことは良く知られていることであり、セメントと高炉ス
ラグの合計100重量部に対し、高炉スラグを40重量部以
上配合することが推奨されている。
しかしながら、通常、高炉セメント用に使用される高
炉スラグの粒度は、ブレーン値で4,000cm2/g前後のもの
であり、このような、粗い高炉スラグを使用しても、強
度を向上させる効果は得にくい。
また、コンクリートの高強度化を図る方法として、例
えば、セッコウ類を比較的多量に使用し、蒸気養生を行
う方法が提案されている(特公昭56−40104号公報)。
また、常温においても、II型無水セッコウを適量使用す
る方法が提案されている(特開昭55−100249号公報)。
しかしながら、セッコウ類を主体とした高強度化の場
合は、セメント中のカルシウムアルミネートが安定なエ
トリンガイト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O)として固
定されるので、特に、塩素イオンの浸透に対してはフリ
ーデル塩(3CaO・Al2O3・CaCl2・10H2O)として化学吸
着する能力を失うので、顕著な耐塩性の改善が期待でき
ないなどの課題があった。
本発明者らは、種々検討を重ねた結果、特定の成分を
用いることにより、前記の課題を解決し、高強度や高耐
久性のセメント混和材が得られる知見を得て本発明を完
成するに至った。
<課題を解決するための手段> 即ち、本発明は、セメント100重量部に対して、0.5〜
15重量部の非晶質アルミナとCaSO4換算で1〜25重量部
のセッコウ類とを有効成分とするセメント混和材。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明における、非晶質アルミナ(以下アルミナ類と
いう)とは、X線回折で、幅の広い、ぼけた回折環を与
えるもの、ピークが認められないもの、ピークが認めら
れても、完全な液体のX線回折ハロと結晶質による回折
像の中間の状態に対応する像を与えたり、ピークがブロ
ードであったり、結晶化した場合のピーク強度より小さ
いピークである非晶質又は低結晶質のものである。
そして、アルミナゾルやゲル、もしくは、アルミナゾ
ル等やアルミを加工する際に生じるアルミスラッジと呼
ばれる非晶質の水酸化アルミニウムを200〜500℃の温度
で乾燥したものが使用できる。
アルミナゾル等は、多量の水分を含んでおり、これら
を使用する場合は、そのままの状態か、あるいは、水を
少し加えて湿式粉砕して使用することが、乾燥するより
経済的であり好ましい。
なお、熱処理条件によって生成可能な、水酸化アルミ
ニウムとアルミナとの中間に位置するベーマイトなど
は、本発明のアルミナ類に含まれるものである。
アルミナ類の粉末度は、ブレーン値で2,500cm2/g以上
が好ましい。ブレーン値が高いほど、耐塩性や強度を改
善する効果が大きく好ましい。
アルミナ類の使用量は、モルタル又はコンクリート中
のセメント100重量部に対し、0.5〜15重量部が好まし
く、1.0〜10重量部がより好ましい。0.5重量部未満では
その使用効果が小さく、15重量部を越えると、耐塩性の
改善効果の伸びが小さくなる傾向がある。アルミナ類の
使用量が少量であれば、セッコウ類の高強度化を促進
し、アルミナ類の比率が高くなると、耐塩性が向上す
る。
本発明におけるセッコウ類とは、アルミナ類の反応性
を高め、耐塩性の改善が可能であり、石膏類の比率が高
くなると、セッコウ類単独使用より高強度が得られるも
のである。
セッコウ類は、具体的には、二水、半水、II型無水及
びIII型無水セッコウを示し、天然産のものや、リン酸
セッコウ、排脱セッコウ及び弗酸セッコウ等の化学セッ
コウ又はそれらを熱処理して得られたものが使用可能で
あり、通常含まれる不純物の種類や量には影響されない
ものである。その中でも、高強度化の面から、II型無水
セッコウが、特に、常温又は常圧蒸気養生条件下では最
も優れており、通常、未反応物を残さないようにするた
め、ブレーン値で3,000cm2/g以上に粉砕したものの使用
が好ましい。
さらに、II型無水セッコウは、弗酸発生工程から多量
に副生するので、そのままで、又は、CaCO3、Ca(OH)
及びCaOなどでfree−H2SO4分を中和したものを使用す
ることが最も便利である。
なお、セメントにセッコウ類を添加する場合、半水セ
ッコウやIII型無水セッコウは使用量によって偽凝結が
生ずる場合がある。その場合、セメント100重量部に対
し、多くても0.3重量部の範囲で、クエン酸、リンゴ
酸、酒石酸、グルコン酸及びヘプトン酸等の有機酸又は
それらの塩類を配合することにより偽凝結を抑えること
ができ、耐塩性や強度等に支障を与えないで使用するこ
とができる。
セッコウ類の使用量は、セメント100重量部に対し、C
aSO4換算で1〜25重量部が好ましく、2〜15重量部がよ
り好ましい。1重量部未満では使用効果が小さく、25重
量部を越えると、耐塩性の効果の伸びが小さくなり、経
済的に好ましくない。
さらに、本発明のセメント混和材にポゾラン物が併用
できる。
ここで、ポゾラン物とは、シリカヒューム、ケイソウ
土、アエロジル、ワラ灰等硅化木の焼成灰、高炉スラグ
及びフライアッシュ等、ポゾラン反応を容易に生じ易い
ものである。
この中で、高炉スラグやフライアッシュは細かいほど
好ましく、ブレーン値で4,000cm2/g以上、特に、6,000
〜10,000cm2/g程度の微粉末がより好ましい。
ポゾラン物の使用量は、セメント100重量部に対し、
1〜20重量部が好ましく、2〜10重量部がより好まし
い。1重量部未満では、使用効果が小さく、15重量部を
越えて使用しても、耐塩性や強度の改善効果に対する伸
びが期待できない。
本発明のセメント混和材を使用してモルタル又はコン
クリートを製造するにあたり、各種減水剤や膨張材など
の混和剤又は混和材が併用でき、特に、高性能減水剤は
高強度を得るためその併用は好ましい。
高性能減水剤とは、多量に添加しても凝結の過遅延や
過度の空気連行を伴わない、分散能力の大きな界面活性
剤であって、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮
合物の塩、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物
の塩、高分子量リグニンスルホン酸塩及びポリカルボン
酸塩等を主成分とするものである。具体的には、例え
ば、花王(株)製商品名「マイティ150」、電気化学工
業(株)製商品名「FT−500」、ポゾリス物産(株)製
商品名「NL−4000」等が挙げられる。
高性能減水剤の使用量は、特に限定されるものではな
いが、固形分換算でセメント100重量部に対し、0.2〜2
重量部程度が好ましい。
なお、本発明のセメント混和材が混合されるセメント
としては、普通・早強・超早強・中庸熱・白色等の各種
ポルトランドセメント、これら、ポルトランドセメント
にシリカやフライアッシュを混合した混合セメントが使
用可能である。
本発明のセメント混和材の製造方法は、各々の成分を
適正なブレーン値に調整したものを混合しても良いし、
シリカヒューム、ケイソウ土、アエロジル及び硅化木の
焼却灰等のように、充分に市販品のままで細かく、活性
の高いものはそのまま混合することもでき、さらに、各
々の成分を混合しておいて粉砕しても良い。
また、モルタル又はコンクリートへのセメント混和材
の添加方法も、混練時各成分を別々に同時に添加しても
良いし、セメントに予め混合しておいても、混合物とし
てから添加しても良く、さらに、各成分を混練水に分散
してスラリー状態で添加しても良い。特に、アルミナゾ
ルなどは、多量の水分を含んでいるため、混練水に分散
し、スラリー状として使用することが好ましい。
<実施例> 以下、実施例にて本発明を説明する。
実施例1 表−1に示すコンクリート配合を用いて、表−2に示
すように、アルミナ類とセッコウ類と併用して、常圧蒸
気養生し、コンクリートの圧縮強度と塩素イオンの浸透
性試験を行なった。
常圧蒸気養生は、20℃で4時間前養生をしたφ10×20
cmの供試体を、15℃/hで65℃まで昇温し、4時間保持し
た後自然放冷とした。
圧縮強度は翌日脱型後の1日強度とし、塩素イオンの
浸透性は、脱型後直ちに3%NaCl水溶液に浸漬して、材
令6ケ月後、供試体の中央部をφ10×1cmに切り出し、2
00℃で乾燥後、全量微粉砕して蛍光X線分析で定量し、
浸漬した塩素イオン量を測定した。結果を表−2に併記
する。
なお、セメント混和材は、セメント100重量部に対す
る重量部で、砂と容積で置きかえた。セッコウ類はCaSO
4換算で添加し、セッコウ類−ハと−ニを添加する場合
は、試薬一級のクエン酸をセメント100重量部に対し、
0.05重量部併用して偽凝結を抑えた。
<使用材料> セメント:普通ポルトランドセメント、電気化学工業
(株)製 砂 :新潟県姫川産川砂 砕石 : 〃 砕石 減水剤 :高性能減水剤、電気化学工業(株)製商品名
「デンカFT−500」主成分ナフタレンスルホン酸ホルム
アルデヒド縮合物 アルミナ類−A:非晶質のアルミナ、アルミを加工した際
のアルミスラッジ(揮発成分85%、不揮発成分5%、Al
2O39.5%、非晶質水酸化アルミニウム固形分14.5%、%
は重量%)を270℃で乾燥し粉砕、ブレーン値2,500cm2/
g 〃 −B: 〃 9,000cm2/g 〃 −C:低結晶質アルミナ、アルミナ類Aの原料
のアルミスラッジを400℃で乾燥し粉砕、ブレーン値2,5
00cm2/g 〃 −D: 〃 6,000 〃 セッコウ類−イ:II型無水セッコウ(弗酸セッコウ)ブ
レーン値6,000cm2/g 〃 −ロ:二水セッコウ(排脱セッコウ)ブレー
ン値6,500cm2/g 〃 −ハ:半水セッコウ、排脱セッコウを150℃
で処理、ブレーン値10,000cm2/g以上 〃 −ニ:III型無水セッコウ、排脱セッコウを20
0℃で熱処理、ブレーン値10,000cm2/g以上 表−2から明らかなように、アルミナ類とセッコウ類
を併用すると、アルミナ類の使用量が多いほど、耐塩性
を改善する効果が顕著となり、適当量使用することによ
り、セッコウ類単独使用より、圧縮強度が高くなること
が示される。
実施例2 実験No.1−1〜1−7の材令1日の供試体中央部をφ
10×2cmに切断し、ブラウンクラッシャーのクリアラン
スを調節し、0.125mmの篩全通になるまで粉砕し、その
全量を3%NaSO4水溶液1中に入れ、20℃で3日間養
生後、濾過し、水洗し、200℃で乾燥し、蛍光X線分析
によって化学吸着した硫酸イオンを定量した。
なお、吸着した硫酸イオンの量は、実験No.1−1の浸
漬前のものをブランクとして差し引いた。結果を表−3
に示す。
アルミナ類の量を増加させるにしたがい、硫酸イオン
の吸着量が多くなることが示され、浸透してくる硫酸イ
オンを喰い止める作用の大きいことが示される。
実施例3 表−1に示す配合のコンクリートを用い、該コンクリ
ート中のセメント100重量部に対し、セッコウ類−イを
6重量部と、表−4に示すアルミナ類を併用し、φ10×
20cmの供試体を作成し、蒸気養生しないで28日間標準養
生し、圧縮強度を、また、その後、実施例1と同様に、
浸透した塩素イオン量を測定した。結果を表−4に併記
する。
表−4から明らかなように、非晶質の水酸化アルミニ
ウムをセッコウ類に適量添加することにより、標準養生
においても、圧縮強度や耐塩性を改善する効果が大き
い。
実施例4 実施例1実験No.1−5の配合を用い、ポゾラン物の種
類と、セメント100重量部に対する添加量を表−5のよ
うに変化させたこと以外は、実施例1と同様に行い、圧
縮強度と浸透した塩素イオン量を測定した。結果を表−
5に併記する。
なお、ポゾラン物を添加することにより、スランプが
小さくなる場合は、単位水量のみ増加し、スランプが規
定範囲内に入るようにした。
<使用材料> ポゾラン物−a:シリカヒューム、日本重化学工業(株)
製商品名「SFパウダー」 〃 −b:アエロジル、日本アエロジル(株)製商
品名「アエロジル50」 〃 −c:ケイソウ土、昭和化学工業(株)製商品
名「ラヂオライトSPF」粉砕品、63μ以下 〃 −d:ワラ灰、稲ワラの焼却灰 〃 −e:高炉スラグ、川鉄リバーメント社製、ブ
レーン値6,500cm2/g 〃 −f:フライアッシュ、常盤火力産業(株)
製、ブレーン値6,500cm2/g 上記以外は実施例1と同様。
表−5から明らかなように、各種ポゾラン物質を適量
併用することにより、より高強度、より高耐塩性が得ら
れる。
実施例5 実験No.1−2、1−17及び4−5に示す配合のコンク
リートを用い、外径300mm、厚さ60mmで、長さ4mのPC杭
(曲げモーメント用)と、1mのPC杭(圧縮用)を、常法
により成形し、実施例1と同様の蒸気養生条件で養生し
て作成した。その後、材令7日まで気乾養生し、曲げ試
験及び圧縮試験を行なった。結果を表−6に示す。
なお、PC抗の配筋は、ストレート筋は、高周波熟練
(株)製PC鋼棒φ13mm×4本とφ11mm×4本、スパイラ
ル筋は、φ3mmの鉄線を10cm間隔で入れ、PC鋼棒の初期
緊張応力は10,150kgf/cm2となるようにした。
実施例6 実施例5で使用したコンクリートを用い、実施例5と
同様の蒸気養生条件で、常法による遠心力成型を行って
ヒューム管を作成し、気乾養生、材令7日で外圧強度試
験を行なった。結果を表−7に示す。
なお、ヒューム管は内径100mm、厚さ82mm、長さ2,430
mmで、配筋は、ストレート筋の鉄筋比0.26%、スパイラ
ル筋はダブルで1.49%のA型管である。
実施例7 実施例5のコンクリートを使用して、常法により遠心
力成型し、実施例1と同様の蒸気養生条件でポールを作
成し、その後気乾養生7日で曲げ試験を行なった。結果
を表−8に示す。
なお、ポールはひびわれ設計荷重が350kgf、破壊設計
荷重が700kgf以上の、長さ13m、未口径190mmのA型で、
PC鋼棒φ7.4mm×8本、RC補強筋φ7.4mm×4本のストレ
ート筋、スパイラル筋はφ3mmの鉄線をピッチ100mm間隔
で設置した。
また、PC鋼棒の初期緊張応力度は10,150kgf/cm2で行
なった。
<発明の効果> 以上、実施例で示したようにアルミナ類とセッコウ類
を併用することにより、強度、耐塩性及び耐硫酸塩性等
が改善し、さらに、ポゾラン物を併用することにより、
その効果は大きくなり、例えば、コンクリートパイル、
ヒューム管及びポール等のコンクリート製品や一般の土
木建築構造物の高強度や高耐久性を容易に得ることがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 22/06 C04B 22/14 C04B 28/02 - 28/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セメント100重量部に対して、0.5〜15重量
    部の非晶質アルミナとCaSO4換算で1〜25重量部のセッ
    コウ類とを有効成分とするセメント混和材。
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