JP2821955B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、記録手段から被記録材
へインクを吐出させて記録を行なうインクジェット記録
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機
能を有する記録装置、あるいはコンピューターやワード
プロセッサ等を含む複合型電子機器やワークステーショ
ンの出力機器として用いられる記録装置は、画像情報に
基づいて用紙やプラスチック薄板等の被記録材に画像を
記録していくように構成されている。前記記録装置は、
記録方式により、インクジェット式、ワイヤドット式、
サーマル式、レーザービーム式等に分けることができ
る。

【０００３】被記録材の搬送方向（副走査方向）と交叉
する方向に主走査する記録方式を採るシリアルタイプの
記録装置においては、被記録材を所定の記録位置にセッ
トした後、被記録材に沿って移動するキャリッジ上に搭
載した記録手段によって画像を記録（主走査）し、１行
分の記録を終了した後に所定量の紙送り（ピッチ搬送）
を行ない、その後に次の行の画像を記録（主走査）する
という動作を繰り返すことにより、被記録材全体の画像
記録が行なわれる。一方、被記録材の搬送方向の副走査
のみで記録するラインタイプの記録装置においては、被
記録材を所定の記録位置にセットし、一括して１行分の
記録を行なった後、所定量の紙送り（ピッチ送り）を行
ない、さらに、次の行の記録を一括して行なうという動
作を繰り返すことにより、被記録材全体の画像記録が行
なわれる。

【０００４】インクジェット式の記録装置（インクジェ
ット記録装置）は、記録手段（記録ヘッド）から被記録
材にインクを吐出して記録を行なうものであり、記録手
段のコンパクト化が容易であり、高精細な画像を高速で
記録することができ、普通紙に特別の処理を必要とせず
に記録することができ、ランニングコストが安く、ノン
インパクト方式であるため騒音が少なく、しかも、多色
のインクを使用してカラー画像を記録するのが容易であ
るなどの利点を有している。中でも、紙幅方向に多数の
吐出口を配列したラインタイプの記録手段を使用するラ
イン型の装置は、記録の一層の高速化が可能である。

【０００５】特に、熱エネルギーを利用してインクを吐
出するインクジェット式の記録手段（記録ヘッド）は、
エッチング、蒸着、スパッタリング等の半導体製造プロ
セスを経て、基板上に製膜された電気熱変換体、電極、
液路壁、天板などを形成することにより、高密度の液路
配置（吐出口配置）を有するものを容易に製造すること
ができ、一層のコンパクト化を図ることができる。一
方、被記録材の材質に対する要求も様々なものがあり、
近年では、通常の被記録材である紙や樹脂薄板（ＯＨＰ
等）などの他に、薄紙や加工紙（ファイリング用のパン
チ孔付き紙やミシン目付き紙、任意な形状の紙など）な
どを使用ことが要求されるようになってきた。

【０００６】インクジェット記録装置においては、微細
な吐出口からインクを吐出するように構成されているた
め、吐出口付近で乾燥増粘したインク、紙粉やゴミ、あ
るいは気泡などによって吐出口に目詰まりが生じ、吐出
不良の原因となる場合がある。この吐出口の目詰まりを
解消（回復）する手段として、回復系を設けることが行
なわれている。前記回復系は、記録領域外の所定位置
（通常、ホームポジション）に配設されており、記録手
段の吐出口を密閉状態で覆うキャップと該キャップ内に
負圧を発生させて吐出口からインクを吸引するためのポ
ンプで構成されている。前記ポンプで吸引された排イン
クは排インクタンク内に溜められる。前記回復系（通常
前記ポンプ）と前記排インクタンクとは排インクチュー
ブによって連結され、その両端はジョイントによって接
続されている。

【０００７】また、前記記録手段（記録ヘッド）に対し
てはインクタンク（通常、交換可能なカートリッジタイ
プ）からインク供給チューブを通してインクが供給さ
れ、該インク供給チューブの両端は記録ヘッドおよびイ
ンクタンクにジョイントによって接続されている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
インクジェット記録装置では、回復系と排インクタンク
を連結する排インクチューブは比較的見難い位置に配設
されており、また、その接続部が外れても記録動作等に
影響が及ばないため、ユーザーは排インクチューブの接
続部の外れに気付かずに使用し続けることが考えられ
る。もし、気付かずに使用し続けると、記録装置内外に
排インクが漏出してインク汚れが生じるおそれがある。

【０００９】本発明はこのような課題に鑑みてなされた
ものであり、本発明の目的は、上記排インクチューブの
接続部が外れたことを容易にかつ迅速に感知することが
でき、排インクによるインク汚れを未然に防止し得るイ
ンクジェット記録装置を提供することである。

【００１０】

【課題解決のための手段】本発明は、記録手段から被記
録材へインクを吐出させて記録を行なうインクジェット
記録装置において、回復系と排インクタンクを連結する
排インクチューブの少なくとも一方の接続部が、インク
タンクと記録手段を連結するインク供給チューブの接続
部に近接して設けられ、この近接した接続部で排インク
チューブとインク供給チューブを一体化する構成とする
ことにより、上記目的を達成するものである。

【００１１】

【作用】上記構成によれば、排インクチューブがその接
続部で外れた場合には、インク供給チューブも外れるこ
とになるため、記録を行なうことができなくなる。その
ため、ユーザーは直ちに異常を感知することができ、し
たがって、記録動作を中断するなどして処置を講ずるこ
とができ、回復系からのインク漏出は確実に回避され
る。

【００１２】

【実施例】以下図面に従って本発明の実施例を具体的に
説明する。図５は本発明を適用するのに好適なインクジ
ェット記録装置の要部構成を示す模式的斜視図である。
図５において、記録手段（記録ヘッド）１はキャリッジ
２に搭載されており、該キャリッジ２はガイドレール
３、４に沿って移動可能に案内支持されている。前記キ
ャリッジ２はキャリッジモーター５によりタイミングベ
ルト６を介して往復駆動される。用紙やプラスチック薄
板等から成るシート状の被記録材７は、搬送モーター
（紙送りモーター）８で駆動される搬送ローラ対９およ
びこれと協働する保持ローラ対１０により、所定の経路
に沿って、所定のタイミングおよび所定のピッチで矢印
ｆ方向に搬送（紙送り）される。

【００１３】この被記録材７が記録ヘッド１の吐出口形
成面と対面する記録位置で平坦に保持されている間に、
キャリッジ２を移動させて被記録材７を主走査しながら
インクを吐出させて記録を行ない、１行分の記録が終了
すると、被記録材７を矢印ｆ方向に記録幅分ピッチ送り
し、次の記録幅の記録を行なう。記録ヘッド１は、通常
キャリッジ２に交換可能に搭載されるが、場合によって
は、該キャリッジ２と一体に構成することもできる。

【００１４】キャリッジ２の移動範囲内であって、記録
領域外の所定位置（例えば、ホームポジション）には、
記録ヘッド１の吐出口を密閉（キャッピング）するため
のキャップ１１を有する回復系１２が配設されている。
この回復系１２は、非記録時に前記キャップ１１で吐出
口を密閉することによりインク乾燥によるインクの増粘
や固着を防止するとともに、キャッピング状態で内部に
装着された吸引ポンプ１３を作動することにより、吐出
口からインクを吸引し、吐出口内の固着インク、紙粉等
の塵埃、気泡などを除去して吐出不良を回復させるため
のものである。すなわち、前記キャップ１１の内部は前
記吸引ポンプ１３に連結されており、吐出口に目詰まり
等の吐出不良が発生した時、該吐出口をキャッピングし
た状態で吸引ポンプ１３を作動させることにより、該吐
出口からインクを吸引して吐出状態を回復させ得るよう
に構成されている。

【００１５】また、装置本体側にはインクカートリッジ
１４が設置されている。図示の例ではインクカートリッ
ジ１４の内部には、記録ヘッド１にインクを供給するた
めのインクタンク１５の部分と前記回復系１２からの排
インクを導入し貯留するための排インクタンク１６の部
分が設けられている。インクタンク１５と記録ヘッド１
はインク供給通路（インク供給チューブ１７またはこれ
を一部として含むインク通路）で連結され、回復系１２
と排インクタンク１６は排インクタンク通路（排インク
チューブ１８）で連結されている。

【００１６】前記記録手段（記録ヘッド）１は、熱エネ
ルギーを利用してインクを吐出するインクジェット記録
手段であって、熱エネルギーを発生するための電気熱変
換体を備えたものである。また、前記記録手段１は、前
記電気熱変換体によって印加される熱エネルギーにより
生じる膜沸騰による気泡の成長、収縮によって生じる圧
力変化を利用して、吐出口よりインクを吐出させ、記録
を行なうものである。

【００１７】図６は、前記記録手段（記録ヘッド）１の
インク吐出部２０の構造を模式的に示す部分斜視図であ
る。図６において、被記録材７と所定の隙間（例えば、
約０．５〜２．０ミリ程度）をおいて対面する吐出口形
成面２１には、所定のピッチで複数の吐出口２２が形成
され、共通液室２３と各吐出口２２とを連通する各液路
２４の壁面に沿ってインク吐出用のエネルギーを発生す
るための電気熱変換体（発熱抵抗体など）２５が配設さ
れている。本例においては、記録ヘッド１は、前記吐出
口２２がキャリッジ２の走査方向と交叉する方向に並ぶ
ような位置関係で、該キャリッジ２に搭載されている。
こうして、画像信号または吐出信号に基づいて対応する
電気熱変換体２５を駆動（通電）して、液路２４内のイ
ンクを膜沸騰させ、その時に発生する圧力によって吐出
口２２からインクを吐出させる記録ヘッド１が構成され
ている。

【００１８】図１は本発明を適用したインクジェット記
録装置の一実施例の要部構成を示す平面図であり、図２
は図１中の矢印線２−２の方向の下方から見た回復系１
２の下面斜視図であり、図３は図１中の矢印線３−３の
上方から見たインクカートリッジ１４の上面斜視図であ
る。

【００１９】図１において、記録手段（記録ヘッド）１
を搭載したキャリッジ２はガイドレール３、４に案内支
持され、前記キャリッジモーター５を駆動制御すること
により、矢印ＡーＢ方向に往復移動する。記録ヘッド１
の吐出口形成面２１に対向する位置にプラテン１９が配
設されている。被記録材７は、プラテン１９に密着した
状態で、キャリッジ２の移動（主走査）とともに記録ヘ
ッド１の所定の吐出口２２から吐出されるインクによっ
て記録される。記録ヘッド１の移動範囲であって記録領
域を外れた位置には、該記録ヘッド１と対向するように
して回復系１２が配設されている。回復系１２の前面に
は不図示の駆動源により矢印ＣーＤ方向に移動可能なキ
ャップ１１が装着されており、記録していない時や吐出
口２２からインクを吸引して回復動作を行なう時には、
図１に示したように、キャップ１１は前進駆動されて吐
出口形成面２１に密着し、吐出口２２を密閉する。

【００２０】前記インクカートリッジ１４のインクタン
ク１５から記録ヘッド１へインクを供給するための供給
通路の一部（記録ヘッド１側）を形成する可撓性のイン
ク供給チューブ１７は、その一端が記録ヘッド１に接続
されており、その中間部は固定部材２６によって固定さ
れている。前記インク供給チューブ１７の他端は、図１
および図２に示すように、回復系１２のところでジョイ
ント２７に接続されている。

【００２１】図１および図２において、回復系１２の内
部に装着されたポンプ１３は、そのピストン２８を不図
示の駆動機構で上下に駆動することにより、キャップ１
１を通して吐出口２２からインクを吸引し、さらに排出
する。２９はキャップ１１内部とポンプ１３を連結する
チューブである。記録ヘッド１から吸引された排インク
は、前記チューブ２９を通りポンプ１３へと吸い込まれ
る。吸い込まれた排インクは、ポンプ１３の下部に設け
られたジョイント３０に接続された排インクチューブ１
８の孔１８Ａ（図２）を通して排インクタンク１６へ流
れる。すなわち、回復系１２から排インクタンク１６へ
排インクを導びくための排インク通路は前記排インクチ
ューブ１８で形成されている。

【００２２】図１〜図３において、インクカートリッジ
１４内部は、記録ヘッド１へインクを供給するためのイ
ンクタンク１５と前記排インクを導入するための排イン
クタンク１６に別れている。供給用のインクタンク１５
内のインクは袋状の可撓性タンク内に注入貯留されてお
り、この可撓性タンクのインク出口はジョイント３１に
接続されている。また、排インクタンク１６の内部には
インク吸収体が充填されており、排インクが吸収体に保
持され外部に漏れ難くなっている。排インクタンク１６
にはジョイント３２が設けてあり、前記排インクチュー
ブ１８の孔１８Ａの他端が前記ジョイント３２に接続さ
れている。したがって、ポンプ１３から排出される排イ
ンクは、ジョイント３０→排インクチューブ１８→ジョ
イント３２を通して、排インクタンク１６内へ流れ込
む。

【００２３】図１〜図３において、インクタンク１５と
回復系１２との間には、インク供給チューブ通路の一部
を形成するインク供給チューブ３３が設けられている。
すなわち、インクタンク１５に設けられた前記ジョイン
ト３１は、インク供給チューブ３３の孔３３Ａに接続さ
れている。このインク供給チューブ３３の孔３３Ａの他
端は、図２に示すように、回復系１２のところに設けら
れたジョイント３４に接続されている。このジョイント
３４は回復系１２のところに設けられたパイプ３５に接
続しており、該パイプ３５の他端は前記ジョイント２７
に接続している。このジョイント２７には、前述のごと
く、前記インク供給チューブ１７の一端が接続されてい
る。したがって、インクタンク１５内のインクは、ジョ
イント３１→インク供給チューブ３３の孔３３Ａ→ジョ
イント３４→パイプ３５→ジョイント２７→インク供給
チューブ１７を通して、記録ヘッド１へ供給される。

【００２４】そこで、インクカートリッジ１４に設けら
れた前記ジョイント３１および３２、すなわち、インク
タンク１５の出口ジョイント３１と排インクタンク１６
の入口ジョイント３２は、図示のように、隣接して設け
られている。さらに、回復系１２に設けられた前記ジョ
イント３０および３４、すなわち、排インクチューブ１
８の入口側が接続されるジョイント３０とインク供給チ
ューブ３３の出口側（回復系側）が接続されるジョイン
ト３４も、図示のように、隣接して設けられている。な
お、図示の例では、インクタンク１５から記録ヘッド１
へのインク供給チューブ（インク供給通路）は、インク
供給チューブ３３、パイプ３５およびインク供給チュー
ブ１７の３つの通路を順次接続することにより構成され
ている。そして、前記排インクチューブ１８と前記イン
ク供給チューブ３３（インク供給通路の一部）の２つの
チューブは、図示のように、眼鏡状の断面をした１つの
チューブ部材によって形成されている。このようなチュ
ーブ部材は、通常のチューブと同様に、押し出し成形等
によって容易に作ることができる。なお、上記排インク
チューブ１８とインク供給チューブ３３は、それぞれ単
独のチューブを接着等で固着することにより、一体化す
ることも可能である。

【００２５】以上説明した実施例によれば、排インクチ
ューブ１８の孔１８Ａが排インクタンク１６のジョイン
ト３２から外れた場合には、インク供給チューブ３３の
孔３３Ａもインクタンク１５のジョイント３１から外れ
てしまい、インクの供給ができなくなり記録不能にな
る。同様に、排インクチューブ１８の孔１８Ａが回復用
ポンプ１３のジョイント３０から外れた場合には、イン
ク供給チューブ３３の孔３３Ａも回復系１２の位置に設
けたジョイント３４から外れてしまい、インク供給がで
きなくなり記録不能になる。したがって、ユーザーは、
この記録不能によって異常発生を直ちに感知することが
でき、記録動作を停止するなどして、記録再開までに必
要な処置を講ずることができるので、記録装置内外へイ
ンクが漏れ出すことを効果的に防止することができる。

【００２６】図４は本発明を適用したインクジェット記
録装置の他の実施例の要部構成を示す平面図である。図
１の実施例では、回復系１２のところに設けたパイプ３
５（図２）を通して記録ヘッド１へインクを供給するよ
うに構成したが、図４の実施例では、インク供給チュー
ブ１７を通してインクタンク１５から記録ヘッド１へ直
接的にインクを供給するように構成されている。すなわ
ち、インク供給チューブ１７の一端はインクタンク１５
のジョイント３１に接続され、他端は記録ヘッド１に接
続されている。そして、前記インク供給チューブ１７の
インクタンク１５との接続部の近傍部分は、排インクチ
ューブ１８の排インクタンク１６との接続部の近傍部分
と一体化されている。

【００２７】図４の実施例は、上記の点で図１〜図３の
実施例と相違するが、その他の部分では実質上同じ構成
をしており、それぞれ対応する部分を同一符号で示し、
それらの詳細説明は省略する。図４の実施例によって
も、排インクチューブ１８の孔１８Ａが排インクタンク
１６のジョイント３２から外れた場合には、インク供給
チューブ１７もインクタンク１５のジョイント３１から
外れてしまい、インクの供給ができなくなり記録不能に
なる。したがって、前述の実施例の場合と同様、ユーザ
ーは、この記録不能によって異常発生を直ちに感知する
ことができ、記録動作を停止するなどして、記録再開ま
でに必要な処置を講ずることができるので、記録装置内
外へインクが漏れ出すことを効果的に防止することがで
きる。

【００２８】なお、図１の実施例では、排インクチュー
ブ１８はジョイント３０からジョイント３２までの全範
囲でインク供給チューブ３３と一体化したが、この一体
化する部分は、隣接するジョイント３０とジョイント３
４、あるいは隣接するジョイント３２とジョイント３１
の近傍、すなわち、少なくとも１箇所のチューブ接続部
の近傍のみで両チューブ１８、３３を一体化するだけで
もよい。

【００２９】なお、前述の実施例では、記録手段（記録
ヘッド）１をキャリッジ２に搭載し、被記録材７に沿っ
て主走査するシリアルタイプのインクジェット記録装置
を例に挙げて説明したが、本発明は、被記録材の記録幅
の全体または一部に対応するライン型の記録手段を用い
るラインタイプのインクジェット記録装置の場合にも、
同様に適用することができ、同様の効果を達成し得るも
のである。

【００３０】また、前述の実施例では、１個の記録ヘッ
ド１で記録する場合を例示したが、本発明は、異なる色
で記録する複数の記録手段を備えたカラーインクジェッ
ト記録装置、あるいは色彩が同じで濃度が異なるインク
で記録する複数の記録ヘッドを用いる階調記録用のイン
クジェット記録装置など、インクを使用する記録装置で
あれば、記録ヘッドの数にも関係なく、同様に適用する
ことができ、同様の作用効果を達成し得るものである。

【００３１】なお、本発明は、インクジェット記録装置
であれば、例えば、ピエゾ素子等の電気機械変換体等を
用いる記録手段（記録ヘッド）を使用するものに適用で
きるが、中でも、熱エネルギーを利用してインクを吐出
する方式のインクジェット記録装置において優れた効果
をもたらすものである。かかる方式によれば、記録の高
密度化、高精細化が達成できるからである。

【００３２】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第４７２３１２９号明細書、同第４７４０
７９６号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行なうのが好ましい。この方式は、所謂オンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体（インク）
が保持されているシートや液路に対応して配置されてい
る電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越
える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号
を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギー
を発生せしめ、記録手段（記録ヘッド）の熱作用面に膜
沸騰させて、結果的にこの駆動信号に一対一対応し液体
（インク）内の気泡を形成出来るので有効である。

【００３３】この気泡の成長、収縮により吐出用開口を
介して液体（インク）を吐出させて、少なくとも一つの
滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即
時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性
に優れた液体（インク）の吐出が達成でき、より好まし
い。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第４
４６３３５９号明細書、同第４３４５２６２号明細書に
記載されているようなものが適している。尚、上記熱作
用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第４３１３１
２４号明細書に記載されている条件を採用すると、更に
優れた記録を行なうことができる。

【００３４】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成（直線状液流路又は直角液流路）の他
に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示
する米国特許第４５５８３３３号明細書、米国特許第４
４５９６００号明細書を用いた構成も本発明に含まれる
ものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開
示する特開昭５９年第１２３６７０号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭５９年第１３８４６１号公報に基づいた
構成としても本発明は有効である。すなわち、記録ヘッ
ドの形態がどのようなものであっても、本発明によれ
ば、記録を確実に効率よく行なうことができるようにな
るからである。

【００３５】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても、本発明は有効に適用できる。そのよ
うな記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組み合わせ
によってその長さを満たす構成や、一体的に形成された
１個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。加え
て、上例のようなシリアルタイプのものでも、装置本体
に固定された記録ヘッド、あるいは装置本体に装着され
ることで装置本体との電気的な接続や装置本体からのイ
ンクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録
ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。

【００３６】また、本発明に記録装置の構成として設け
られる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助
手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できる
ので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、
記録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニン
グ手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは
別の加熱素子或はこれらの組み合わせによる予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行なう
ことも安定した記録を行なうために有効である。

【００３７】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば、単色のインクに対応して１個
のみが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複
数のインクに対応して複数個数設けられるものであって
もよい。すなわち、例えば、記録装置の記録モードとし
ては、黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、
記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせに
よるか、いずれでもよいが、異なる色の複色カラー又
は、混色によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装
置にも本発明は極めて有効である。

【００３８】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するもの、あるいは、インクジェット方式で
は、インク自体を３０℃以上７０℃以下の範囲内で温度
調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように
温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付
与時にインクが液状をなすものであればよい。加えて、
積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態か
ら液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめ
ることで防止するか、または、インクの蒸発防止を目的
として放置状態で固化するインクを用いるかして、いず
れにしても、熱エネルギーの記録信号に応じた付与によ
ってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、
記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等
のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質の
インクを使用する場合も本発明は適用可能である。

【００３９】このような場合のインクは、特開昭５４−
５６８４７号公報あるいは特開昭６０−７１２６０号公
報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔
に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変
換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明
においては、上述した各インクに対して最も有効なもの
は、上述した膜沸騰方式を実行するものである。

【００４０】さらに加えて、本発明によるインクジェッ
ト記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理
機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダ
等と組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有す
るファクシミリ装置の形態を採るもの等であってもよ
い。

【００４１】

【発明の効果】以上の説明から明らかなごとく、本発明
によれば、記録手段から被記録材へインクを吐出させて
記録を行なうインクジェット記録装置において、回復系
と排インクタンクを連結する排インクチューブの少なく
とも一方の接続部が、インクタンクと記録手段を連結す
るインク供給チューブの接続部に近接して設けられ、こ
の近接した接続部で排インクチューブとインク供給チュ
ーブを一体化する構成としたので、排インクチューブの
接続部が外れた場合には、記録不能になることによって
これを容易にかつ迅速に感知することができ、排インク
によるインク汚れを未然に防止し得るインクジェット記
録装置が提供される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用したインクジェット記録装置の一
実施例の要部構成を示す平面図である。

【図２】図１中の線２−２から見た回復系の一部破断下
面斜視図である。

【図３】図１中の線３−３から見たインクカートリッジ
の上面斜視図である。

【図４】本発明を適用したインクジェット記録装置の他
の実施例の要部構成を示す平面図である。

【図５】本発明を適用するのに好適なインクジェット記
録装置の構成を示す模式的斜視図である。

【図６】図５中の記録手段（記録ヘッド）のインク吐出
部の構造を模式的に示す部分斜視図である。

【符号の説明】

１ 記録手段（記録ヘッド） ２ キャリッジ ５ キャリッジモーター ７ 被記録材 ８ 搬送モーター １１ キャップ １２ 回復系 １３ ポンプ １４ インクカートリッジ １５ インクタンク １６ 排インクタンク １７ インク供給チューブ １８ 排インクチューブ ２０ インク吐出部 ２１ 吐出口形成面 ２２ 吐出口 ２５ 電気熱変換体 ３３ インク供給チューブ ３５ パイプ

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 記録手段から被記録材へインクを吐出
   させて記録を行なうインクジェット記録装置において、
   回復系と排インクタンクを連結する排インクチューブの
   少なくとも一方の接続部が、インクタンクと記録手段を
   連結するインク供給チューブの接続部に近接して設けら
   れ、この近接した接続部で排インクチューブとインク供
   給チューブを一体化することを特徴とするインクジェッ
   ト記録装置。
2. 【請求項２】 前記記録手段が、インク吐出用の熱エ
   ネルギーを発生するための電気熱変換体を備えているイ
   ンクジェット記録手段であることを特徴とする請求項１
   の記録装置。
3. 【請求項３】 前記記録手段が、前記電気熱変換体に
   よって印加される熱エネルギーによりインクに生じる膜
   沸騰を利用して、吐出口よりインクを吐出させることを
   特徴とする請求項２のインクジェット記録装置。