JP2821770B2 - 細菌毒素中和能を付与した育児用粉乳 - Google Patents
細菌毒素中和能を付与した育児用粉乳Info
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Description
【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、コレラ菌、毒性大腸菌、サルモネラ菌等に
より産生される細菌性エンテロトキシンを中和する能力
を優する特定の成分を配合することよりなる、細菌毒素
中和能を付与した育児用粉乳に関する。
より産生される細菌性エンテロトキシンを中和する能力
を優する特定の成分を配合することよりなる、細菌毒素
中和能を付与した育児用粉乳に関する。
従来の技術的背景 乳児期、特に新生児期の乳児は免疫不全状態にあるの
で感染症に罹患し易く、さらには、コレラ菌、毒性大腸
菌、サルモネラ菌等が産生する細菌毒素により下痢症を
生じ易いといわれている。
で感染症に罹患し易く、さらには、コレラ菌、毒性大腸
菌、サルモネラ菌等が産生する細菌毒素により下痢症を
生じ易いといわれている。
一般に、母乳中には免疫グロプリン、補体、ラクトフ
ェリン及びリゾチーム等の感染防御物質が含有されてい
て、これらの物質が乳児の感染症を防御するのに有効に
作用することが知られている。
ェリン及びリゾチーム等の感染防御物質が含有されてい
て、これらの物質が乳児の感染症を防御するのに有効に
作用することが知られている。
したがつて、従来、育児用調製粉乳においては、母乳
に含まれる上記ラクトフェリン又はリゾチーム等を配合
することにより、感染防御能を付与している。しかしな
がら、上記配合による粉乳を与えた人工栄養児は、母乳
栄養児に比較していまだ感染症に罹患し易く、更には、
細菌毒素による下痢症をも生じ易いといわれている。
に含まれる上記ラクトフェリン又はリゾチーム等を配合
することにより、感染防御能を付与している。しかしな
がら、上記配合による粉乳を与えた人工栄養児は、母乳
栄養児に比較していまだ感染症に罹患し易く、更には、
細菌毒素による下痢症をも生じ易いといわれている。
その原因として、次のことが考えられる。
本来、牛乳中には、コレラ菌、毒性大腸菌、サルモネ
ラ菌等の産生する細菌毒素の中和因子としてのk−カゼ
イン、ラクトフェリン、シアリルラクトース等が含まれ
ているものの、その量は母乳に比べて著しく少なく、更
に、牛乳を原料として育児用粉乳を製造する際、その製
造過程中の殺菌工程・UF、DF処理工程・脱塩工程等にお
いて上記因子が一部除去あるいは失活される。更に、在
来の育児用粉乳ではその原料である牛乳成分を栄養的に
母乳成分に近づける目的でガゼインタンパク質の減量と
乳清タンパク質の増量が行われていることから、粉乳中
のk−カゼインの量も減少するに至っている。このた
め、在来の育児用粉乳は、コレラ菌、毒性大腸菌、サル
モネラ菌等の産生する細菌毒素に対する中和能が母乳に
比べて著しく劣っている。
ラ菌等の産生する細菌毒素の中和因子としてのk−カゼ
イン、ラクトフェリン、シアリルラクトース等が含まれ
ているものの、その量は母乳に比べて著しく少なく、更
に、牛乳を原料として育児用粉乳を製造する際、その製
造過程中の殺菌工程・UF、DF処理工程・脱塩工程等にお
いて上記因子が一部除去あるいは失活される。更に、在
来の育児用粉乳ではその原料である牛乳成分を栄養的に
母乳成分に近づける目的でガゼインタンパク質の減量と
乳清タンパク質の増量が行われていることから、粉乳中
のk−カゼインの量も減少するに至っている。このた
め、在来の育児用粉乳は、コレラ菌、毒性大腸菌、サル
モネラ菌等の産生する細菌毒素に対する中和能が母乳に
比べて著しく劣っている。
ところで、最近、シアル酸を育児用粉乳に配合するこ
とが提案されたが(特開昭61−152233号公報)、これ
は、新生児の脳等の組織形成に関与するN−アセチルノ
イラミン酸の合成能を高めることを目的としたものであ
る。また、高糖類含有タンパク質を育児用粉乳に配合す
ることも知られているが(特公昭40−21234号公報)、
このものは主として乳児の腸内菌叢を占めるビフィズス
菌の発育を促進させることを目的としたものである。
とが提案されたが(特開昭61−152233号公報)、これ
は、新生児の脳等の組織形成に関与するN−アセチルノ
イラミン酸の合成能を高めることを目的としたものであ
る。また、高糖類含有タンパク質を育児用粉乳に配合す
ることも知られているが(特公昭40−21234号公報)、
このものは主として乳児の腸内菌叢を占めるビフィズス
菌の発育を促進させることを目的としたものである。
上述のごとく、優れた細菌毒素中和能を付与した育児
用粉乳は、現在のところ未だ提供されていない。
用粉乳は、現在のところ未だ提供されていない。
発明が解決しようとする課題 本発明は、シアル酸結合ペプチド及び/又はシアル酸
結合オリゴ糖を配合することにより、優れた細菌毒素中
和能を優する育児用粉乳を提供することを課題とする。
結合オリゴ糖を配合することにより、優れた細菌毒素中
和能を優する育児用粉乳を提供することを課題とする。
課題を解決するための手段 本発明は、シアル酸結合ペプチド及び/又はシアル酸
結合オリゴ糖を配合してなる細菌毒素中和能を付与した
育児用粉乳に関する。
結合オリゴ糖を配合してなる細菌毒素中和能を付与した
育児用粉乳に関する。
本発明におけるシアル酸結合ぺプチドは牛乳等の乳由
来のシアル酸結合蛋白質をプロテアーゼで処理して得ら
れるものが好ましい。
来のシアル酸結合蛋白質をプロテアーゼで処理して得ら
れるものが好ましい。
乳からシアル酸結合蛋白質は公知の方法で得ることが
できる。シアル酸結合蛋白質にはκ−カゼイン、ラクト
フェリン等がある。また、乳由来のシアル酸結合蛋白質
としては、これらを含有する生乳、還元乳を用いてもよ
い。
できる。シアル酸結合蛋白質にはκ−カゼイン、ラクト
フェリン等がある。また、乳由来のシアル酸結合蛋白質
としては、これらを含有する生乳、還元乳を用いてもよ
い。
本発明では、このシアル酸結合蛋白質にプロテアーゼ
を作用させ、得られた生成物を分画することによってシ
アル酸結合ペプチドを分取することができる。
を作用させ、得られた生成物を分画することによってシ
アル酸結合ペプチドを分取することができる。
上記プロテアーゼには、エンドペプチターゼに属する
ものが用いられ、このような酵素としては、ペプシン、
トリプシン、キモトリプシン、プロナーゼ、レンネツ
ト、パンクレアチン、フイシン等がある。
ものが用いられ、このような酵素としては、ペプシン、
トリプシン、キモトリプシン、プロナーゼ、レンネツ
ト、パンクレアチン、フイシン等がある。
酵素反応は、上記のシアル酸結合蛋白質をエンドぺプ
チターゼの至適pH、至適温度とし、エンドペプチターゼ
の1種または数種を加え、数十分〜数時間反応を行な
う。
チターゼの至適pH、至適温度とし、エンドペプチターゼ
の1種または数種を加え、数十分〜数時間反応を行な
う。
得られた反応生成物の分画は、ゲル濾過、イオン交換
クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー
等の分画手段の1種もしくは2種以上を組合せて行う。
クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー
等の分画手段の1種もしくは2種以上を組合せて行う。
なお、本発明では、乳として牛乳以外に羊乳、山羊乳
等が用いられる。
等が用いられる。
シアル酸結合ペプチドの1種であるグリコマクロペプ
チド(以下、GMPと略記する)の製法について述べると
次のとおりである。
チド(以下、GMPと略記する)の製法について述べると
次のとおりである。
κ−カゼイン、生乳、還元乳あるいはカゼインをpH5.
5〜6.5に調整し、レンネツトを蛋白質当り1/5000〜1/50
(重量)の割合で添加し、温度30〜45℃で30分〜3時間
反応させ、得られた反応液を加熱してレンネツトを失活
させ、40℃に冷却する。これに塩化カルシウム等をカル
シウムとして5mモル以上添加するとGMP以外の成分が沈
澱するので、上澄を分取して濃縮し、必要に応じて透析
等により脱塩後、乾燥することによって高純度のGMPを
得ることができる。このGMPの分子量は約8000〜9000で
あり、シアル酸が結合していることはTBA法によって確
認した。
5〜6.5に調整し、レンネツトを蛋白質当り1/5000〜1/50
(重量)の割合で添加し、温度30〜45℃で30分〜3時間
反応させ、得られた反応液を加熱してレンネツトを失活
させ、40℃に冷却する。これに塩化カルシウム等をカル
シウムとして5mモル以上添加するとGMP以外の成分が沈
澱するので、上澄を分取して濃縮し、必要に応じて透析
等により脱塩後、乾燥することによって高純度のGMPを
得ることができる。このGMPの分子量は約8000〜9000で
あり、シアル酸が結合していることはTBA法によって確
認した。
シアル酸結合オリゴ糖としては、糖鎖の末端にシアル
酸を有するオリゴ糖であればどのようなオリゴ糖であっ
ても使用することができる。すなわち、化学的に合成さ
れたシアル酸結合オリゴ糖であってもよいしあるいは天
然物から抽出されたシアル酸結合オリゴ糖であってもよ
い。このようなシアル酸結合オリゴ糖としては、例えば
特開昭59−181497号公報に開示された方法により得られ
るシアルリルラクトース、特開昭61−12695号公報に開
示されたシアル酸誘導体、さらにGD3、GM1、GM3等のガ
ングリオシッド特有の糖鎖もこの目的に使用し得る。
酸を有するオリゴ糖であればどのようなオリゴ糖であっ
ても使用することができる。すなわち、化学的に合成さ
れたシアル酸結合オリゴ糖であってもよいしあるいは天
然物から抽出されたシアル酸結合オリゴ糖であってもよ
い。このようなシアル酸結合オリゴ糖としては、例えば
特開昭59−181497号公報に開示された方法により得られ
るシアルリルラクトース、特開昭61−12695号公報に開
示されたシアル酸誘導体、さらにGD3、GM1、GM3等のガ
ングリオシッド特有の糖鎖もこの目的に使用し得る。
これらのシアル酸結合オリゴ糖の内で上述のシアルリ
ルラクトースは乳中に大量に含まれており、本発明の目
的から特に好ましい。
ルラクトースは乳中に大量に含まれており、本発明の目
的から特に好ましい。
本発明では、上記のようにして得られるシアル酸結合
ペプチド、例えばGMP、あるいはシアル酸結合オリゴ
糖、例えばシアルリルラクトースを単独あるいは混合し
て育児用粉乳に添加する。
ペプチド、例えばGMP、あるいはシアル酸結合オリゴ
糖、例えばシアルリルラクトースを単独あるいは混合し
て育児用粉乳に添加する。
育児用粉乳への添加の手段は、育児用粉乳にこれらの
シアル酸結合ペプチドあるいはシアル酸結合オリゴ糖を
直接添加し、混合してもよく、また育児用粉乳の原料の
カゼイン、ホエー糖に水溶液の状態で加え乾燥を行って
もよい。
シアル酸結合ペプチドあるいはシアル酸結合オリゴ糖を
直接添加し、混合してもよく、また育児用粉乳の原料の
カゼイン、ホエー糖に水溶液の状態で加え乾燥を行って
もよい。
上記シアル酸結合ペプチド及びシアル酸結合オリゴ糖
の育児用粉乳に対する配合量は、シアル酸結合ペプチド
単独では3mg重量%以上、またシアル酸結合オリゴ糖単
独でも3mg重量%以上を配合することが、母乳に近似し
た細菌毒素中和能を付与するうえで好ましい。また、両
者を併用して配合する場合には、両者の細菌毒素中和能
を勘案してそれらの配合比率・配合量を決めるとよい。
の育児用粉乳に対する配合量は、シアル酸結合ペプチド
単独では3mg重量%以上、またシアル酸結合オリゴ糖単
独でも3mg重量%以上を配合することが、母乳に近似し
た細菌毒素中和能を付与するうえで好ましい。また、両
者を併用して配合する場合には、両者の細菌毒素中和能
を勘案してそれらの配合比率・配合量を決めるとよい。
因に、これらのシアル酸結合ペプチド及びシアル酸結
合オリゴ糖は乳由来の物質であって、安全性の点で問題
がないので上記配合量の上限には制限がない。
合オリゴ糖は乳由来の物質であって、安全性の点で問題
がないので上記配合量の上限には制限がない。
本発明でいう育児用粉乳には、育児用調製粉乳、未熟
児用粉乳、フォローアップミルク、治療用特殊粉乳、そ
の他の人工哺育に用いる粉乳類を包含する。
児用粉乳、フォローアップミルク、治療用特殊粉乳、そ
の他の人工哺育に用いる粉乳類を包含する。
次に、シアル酸結合ペプチドとしてGMP、シアル酸結
合オリゴ糖としてシアルリルラクトースをそれぞれ配合
した育児用粉乳の細菌毒素中和能を試験した結果を示
す。
合オリゴ糖としてシアルリルラクトースをそれぞれ配合
した育児用粉乳の細菌毒素中和能を試験した結果を示
す。
(1) チャイニーズハムスター卵巣細胞態変化活性測
定に用いるコレラトキシン、毒性大腸菌エンテロトキシ
ン濃度の決定 抗原性の異なる2種のエンテロトキシンLT−I(CFA/
IE.coliより得た)、IT−II(CFA/II E.coliより得た)
を産生する2種の毒性大腸菌(都立衛生研究所より分譲
された血清型H−10407−P株、Pb−176株)をCAYE培地
にて振盪培養した。この培養液を遠心分離し、得られた
上清を1/10〜1/1000まで段階的に希釈し、それぞれの希
釈液を氷上に置いたLab−Tek8チャンバー(フローラボ
ラトリーズ製)に入れた。またコレラトキシンCT(リス
タバイオロジカルラボラトリーズ製)についても同様に
希釈し、Lab−Tek8チャンバー(以下8チャンバーと略
記する)に入れた。次いで8チャンバーの各穴に1%牛
胎児血清を含むダルベッコ培地(FCS/DMEM)を440μ
入れた。これに10%FCS/DMEM中で培養したチャイニーズ
ハムスター卵巣K1細胞〔CHO−K1細胞(ATCCCCL6)〕を5
000cells/mlになるように10%FCS/DMEM中に懸濁させた
細胞懸濁液を50μ入れ、5%CO2の濃度のインキュベ
ーター中で37℃で一夜培養した。その後培地を捨て、リ
ン酸緩衝整理食塩水〔PBS(−)〕でチャンバー内を洗
浄し、さらにチャンバー内の細胞をメタノールに10分間
浸し、固定し、ギムザ染色液で細胞を染色し、風乾し
た。
定に用いるコレラトキシン、毒性大腸菌エンテロトキシ
ン濃度の決定 抗原性の異なる2種のエンテロトキシンLT−I(CFA/
IE.coliより得た)、IT−II(CFA/II E.coliより得た)
を産生する2種の毒性大腸菌(都立衛生研究所より分譲
された血清型H−10407−P株、Pb−176株)をCAYE培地
にて振盪培養した。この培養液を遠心分離し、得られた
上清を1/10〜1/1000まで段階的に希釈し、それぞれの希
釈液を氷上に置いたLab−Tek8チャンバー(フローラボ
ラトリーズ製)に入れた。またコレラトキシンCT(リス
タバイオロジカルラボラトリーズ製)についても同様に
希釈し、Lab−Tek8チャンバー(以下8チャンバーと略
記する)に入れた。次いで8チャンバーの各穴に1%牛
胎児血清を含むダルベッコ培地(FCS/DMEM)を440μ
入れた。これに10%FCS/DMEM中で培養したチャイニーズ
ハムスター卵巣K1細胞〔CHO−K1細胞(ATCCCCL6)〕を5
000cells/mlになるように10%FCS/DMEM中に懸濁させた
細胞懸濁液を50μ入れ、5%CO2の濃度のインキュベ
ーター中で37℃で一夜培養した。その後培地を捨て、リ
ン酸緩衝整理食塩水〔PBS(−)〕でチャンバー内を洗
浄し、さらにチャンバー内の細胞をメタノールに10分間
浸し、固定し、ギムザ染色液で細胞を染色し、風乾し
た。
顕微鏡により、一つの試料について200〜400個の細胞
を観察し、紡錘型に変形した細胞数の割合が数えて各毒
素の各濃度当りのCHO−K1細胞の形態変化率を算出し
た。
を観察し、紡錘型に変形した細胞数の割合が数えて各毒
素の各濃度当りのCHO−K1細胞の形態変化率を算出し
た。
CTでは10μg/ml、LT−I、LT−IIでは培養上清そのも
のでCHO−K1細胞を少なくとも70%以上形態変化させ得
ることが判明した。以下の実験では、この濃度の各毒素
を用いることとした。
のでCHO−K1細胞を少なくとも70%以上形態変化させ得
ることが判明した。以下の実験では、この濃度の各毒素
を用いることとした。
(2) CHO−K1細胞形態変化阻止活性の測定 次の検体A〜Cについてエンテロトキシンに対する細
胞形態変化の阻止活性を確認した。
胞形態変化の阻止活性を確認した。
A 母乳(初乳、泌乳1ヶ月時) B 育児用粉乳13%調乳液 C 育児用粉乳13%調乳液にシアル酸結合ペプチドと
してGMP、シアル酸結合オリゴ糖としてシアリルラクト
ース(SL)をそれぞれ粉乳当り1、3、10mg重量%添加
したもの 10μg/mlのCTおよびLT−I、LT−IIの培養上清をそれ
ぞれ10μづつ、氷上に置いた8チャンバーに入れ、こ
れに各検体を必要濃度にPBS(−)に溶解した液を60μ
加え振盪し反応させた。
してGMP、シアル酸結合オリゴ糖としてシアリルラクト
ース(SL)をそれぞれ粉乳当り1、3、10mg重量%添加
したもの 10μg/mlのCTおよびLT−I、LT−IIの培養上清をそれ
ぞれ10μづつ、氷上に置いた8チャンバーに入れ、こ
れに各検体を必要濃度にPBS(−)に溶解した液を60μ
加え振盪し反応させた。
その後各チャンバーに1%FCS/DMEMを440μ、CHO−
K1細胞懸濁液50μ入れ振盪し、5%CO2インキュベー
ター中で一夜培養した。その後メタノール固定、ギムザ
染色を行い、形態変化率を測定した。CT、LT−I、LT−
II各毒素に対する各検体の形態変化率を第1〜3図に示
す。GMP及びSLを添加した育粉(育児用粉乳)は無添加
育粉にくらべて形態変化阻止効果高く、その阻止率はGM
P及びSLの添加量が多い程高く、次第に母乳の阻止率に
近くなる。
K1細胞懸濁液50μ入れ振盪し、5%CO2インキュベー
ター中で一夜培養した。その後メタノール固定、ギムザ
染色を行い、形態変化率を測定した。CT、LT−I、LT−
II各毒素に対する各検体の形態変化率を第1〜3図に示
す。GMP及びSLを添加した育粉(育児用粉乳)は無添加
育粉にくらべて形態変化阻止効果高く、その阻止率はGM
P及びSLの添加量が多い程高く、次第に母乳の阻止率に
近くなる。
この結果から、GMP、シアルリルラクトース配合育児
用粉乳とも母乳と同様にCHO−K1細胞に対するCT、LT−
I、LT−IIの毒性を中和していることが確認された。
用粉乳とも母乳と同様にCHO−K1細胞に対するCT、LT−
I、LT−IIの毒性を中和していることが確認された。
次に本発明の実施例を示す。
実施例1 ホエー粉52.7kg、ビタミンとミネラル成分1kg及びGMP
3gを水500kgに溶解し、この溶液に脱脂乳239kgを加え、
さらに植物油23.9kgを混合し、均質化した。
3gを水500kgに溶解し、この溶液に脱脂乳239kgを加え、
さらに植物油23.9kgを混合し、均質化した。
得られた溶液を殺菌し、常法により濃縮、乾燥して粉
乳100kgを得た。
乳100kgを得た。
実施例2 カゼイン6.8kg、ホエー粉70.6kg、ビタミンとミネラ
ル成分1kg及びシアリルラクトース3gを水700kgに溶解し
た後、これに植物油23.9kgを混合して均質化した。得ら
れた溶液を殺菌し、常法により濃縮し、乾燥して粉乳10
0kgを得た。
ル成分1kg及びシアリルラクトース3gを水700kgに溶解し
た後、これに植物油23.9kgを混合して均質化した。得ら
れた溶液を殺菌し、常法により濃縮し、乾燥して粉乳10
0kgを得た。
発明の効果 本発明によると、シアル酸結合ペプチド及び/又はシ
アル酸結合オリゴ糖を育児用粉乳に配合することによっ
てコレラ菌、毒性大腸菌、サルモネラ菌等によって産生
される細菌性エンテロトキシンを中和して無毒化するこ
とができる。この結果、これらの細菌の毒素によって惹
起される人工栄養児の下痢症を有効に防止することがで
きる。しかも安全性の面からも何ら問題がない。したが
つて、優れた利点を有する育児用粉乳を提供することが
できる。
アル酸結合オリゴ糖を育児用粉乳に配合することによっ
てコレラ菌、毒性大腸菌、サルモネラ菌等によって産生
される細菌性エンテロトキシンを中和して無毒化するこ
とができる。この結果、これらの細菌の毒素によって惹
起される人工栄養児の下痢症を有効に防止することがで
きる。しかも安全性の面からも何ら問題がない。したが
つて、優れた利点を有する育児用粉乳を提供することが
できる。
第1図は、コレラトキシン誘導性のCHO−K1細胞形態変
化に対する阻止効果を、第2図は、毒性大腸菌由来LT−
I誘導性のCHO−K1細胞形態変化に対する阻止効果を、
第3図は、毒性大腸菌由来LT−II誘導性のCHO−K1細胞
形態変化に対する阻止効果をそれぞれ示す。
化に対する阻止効果を、第2図は、毒性大腸菌由来LT−
I誘導性のCHO−K1細胞形態変化に対する阻止効果を、
第3図は、毒性大腸菌由来LT−II誘導性のCHO−K1細胞
形態変化に対する阻止効果をそれぞれ示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堂迫 俊一 埼玉県浦和市北浦和5丁目15番39―616 号 (72)発明者 井戸田 正 埼玉県川越市大字古谷上6083番地7 川 越グリンパークL1―207 (56)参考文献 特開 昭62−166841(JP,A) 特開 昭59−184197(JP,A) 特公 昭40−21234(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A23C 1/00 - 23/00
Claims (3)
- 【請求項1】シアル酸結合ペプチド及び/又はシアル酸
結合オリゴ糖を配合してなる細菌毒素中和能を付与した
育児用粉乳。 - 【請求項2】シアル酸結合ペプチドが牛乳由来のグリコ
マクロペプチドである請求項(1)に記載の育児用粉
乳。 - 【請求項3】シアル酸結合オリゴ糖がシアリルラクトー
スである請求項(1)に記載の育児用粉乳。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1184140A JP2821770B2 (ja) | 1989-07-17 | 1989-07-17 | 細菌毒素中和能を付与した育児用粉乳 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1184140A JP2821770B2 (ja) | 1989-07-17 | 1989-07-17 | 細菌毒素中和能を付与した育児用粉乳 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0349648A JPH0349648A (ja) | 1991-03-04 |
JP2821770B2 true JP2821770B2 (ja) | 1998-11-05 |
Family
ID=16148072
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1184140A Expired - Lifetime JP2821770B2 (ja) | 1989-07-17 | 1989-07-17 | 細菌毒素中和能を付与した育児用粉乳 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2821770B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07299524A (ja) * | 1994-05-02 | 1995-11-14 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 流体軸受の製造装置 |
US7951410B2 (en) | 2003-04-14 | 2011-05-31 | Mead Johnson Nutrition Company | Enteral compositions containing caseinoglycomacropeptide having an enhanced concentration of sialic acid |
US20080003329A1 (en) * | 2006-06-30 | 2008-01-03 | Ricardo Rueda | Enriched infant formulas |
CN103478251B (zh) * | 2013-07-23 | 2015-03-25 | 东北农业大学 | 一种含唾液酸婴儿配方奶粉的制备方法 |
JP7338978B2 (ja) * | 2019-02-01 | 2023-09-05 | 雪印メグミルク株式会社 | 乳幼児用栄養組成物 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59184197A (ja) * | 1983-04-01 | 1984-10-19 | Snow Brand Milk Prod Co Ltd | シアル酸結合オリゴ糖の調製法 |
JPH0685684B2 (ja) * | 1986-01-17 | 1994-11-02 | 雪印乳業株式会社 | ガングリオシド添加粉乳 |
-
1989
- 1989-07-17 JP JP1184140A patent/JP2821770B2/ja not_active Expired - Lifetime
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