JP2820243B2 - 多孔性土木建築材料の保護方法 - Google Patents

多孔性土木建築材料の保護方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、多孔性土木建築材料の保護方法に関する。
さらに詳しくは、打ち放しコンクリート、軽量コンクリ
ート、プレキャストコンクリート、軽量気泡コンクリー
ト(ALC)、モルタル、石綿セメント板、ケイ酸カルシ
ウム板、パルプセメント板、木毛セメント板、石こうボ
ード、ハードボード、しっくい、れんが、ブロック、タ
イル、石こうプラスター、ドロマイトプラスター、天然
石、人工石、ガラスウール等無機質材料を主成分とする
多孔性土木建築材料および木材、合板、パーチクルボー
ド等有機質材料を主成分とする多孔性土木建築材料の表
面に防水性と撥水性を兼ね備えた層を形成させ、もって
該材料の耐水性を高める該土木建築材料の保護方法に関
する。
なお上記多孔性土木建築材料を以下単に「材料」とい
うことがある。
(従来の技術) (発明が解決しようとする問題点) 一般に、上記した多孔性土木建築材料が自然環境にさ
らされた場合、日光による劣化の他に、水による劣化も
非常に大きいものがある。例えば、風雨による水が材料
中に浸透し、その結果材料が劣化したり、侵入した水が
冬期の凍結により体積膨脹し材料の表面にヒビ割れが生
じたり、はなはだしい場合は、材料そのものが破壊に至
ることがある。また、空気中の腐食性物質が、雨水とと
もに材料中に侵入して材料を損ねたり、チリ、ホコリ等
が付着して表面を汚す、あるいはカビが発生する等水が
原因となって材料の美粧性が阻害されるという問題が生
じていた。
その他、材料中の水可溶性物質が表面にしみ出してエ
フロ現象を起こすという問題もある。
従来、かかる多孔性土木建築材料について、水が原因
で引き起こされる前記の劣化および美粧性の阻害を防止
する方法としては、 1)ペイント等の塗装材を塗布し、材料を撥水性にする
方法。
2)パラフィンオイル、シリコンオイル等撥水性を有す
る化合物を塗布する方法。
3)メトキシトリメチルシラン、ジメトキシジメチルシ
ラン、トリメトキシメチルシラン、エトキシトリメチル
シラン、ジエトキシジメチルシランなどの一般式 Rn−Si−(OR)4-n(式中、nは1、2、3) で表される加水分解性オルガノシラン化合物を塗布する
方法等、主として材料の表面に撥水性、防水性を与える
方法が知られている。
しかしながら1)の方法は、イ)塗膜の割れや剥離が
発生しやすく、短期間のうちに撥水効果の低下をまね
く。ロ)これらの塗装材には、水蒸気透過性の低いもの
が多く、塗装前に材料中に侵入した水や、ひびや割れ目
その他塗り残し部等の防水機能のない部位から侵入した
水が水蒸気として大気中に放出されることがないため、
材料中に封じ込められ、その結果、材料の劣化、凍結に
よる破壊等が生ずる。
2)の方法では、イ)塗布剤は、ごく表面にしか浸透
しないため、表面に傷がついたり、屋外暴露等により劣
化した場合には、急速に撥水効果が損なわれてしまう。
ロ)材料とのなじみが悪く、特に垂直な面の場合、塗布
後長期間のうちには、薬剤が液だれを起こし、上部より
撥水効果が失われてくる。ハ)耐アルカリ性が悪く、短
期間のうちに、撥水効果が失われてしまう。ニ)ホコ
リ、チリ等汚れがつき易い。
等の欠点がある。
3)の方法は、塗布された材料が、水に対する撥水性
と通気性を併せ持つため、優れた方法ではあるが、使用
するシラン化合物が比較的低分子量であるために、一旦
は材料中に浸透するものの、蒸気圧が高いため水と反応
して撥水層を形成する前に飛散する傾向があり、防水効
果の劣ったものとなる。
以上のごとく、いずれの方法も撥水効果の長期安定性
という点では、満足すべきものではない。
(問題点を解決するための手段) 上述の撥水効果の長期安定性に関する問題点を解決す
るための手段として、特開昭56−27475号公報には、R2
−Si−(OR1で表されるオルガノアルコキシシラン
化合物を塗布する前に、保護すべき多孔性材料の表面を
予め、高圧−冷水法および蒸気噴射法等により処理して
おく方法が開示されている。さらに特開昭63−103879号
公報には、撥水性にすべき建築材料の一部を、有機ケイ
素化合物の溶液を塗布する前に、故意に液状の水と接触
させることを特徴とする方法が開示されている。これら
の方法によれば、かかる前処理を施さない場合に比べ
て、薬剤がより深部まで浸透し、長期にわたり撥水効果
が安定して得られるというものである。
また、本発明者らはオルガノアルコキシシラン化合物
に代えて、その低縮合物であるシロキサンオリゴマーを
用い、溶剤としてアルコール、エーテル、ケトンのうち
水と混合可能な有機溶剤に溶解し、これを塗布すれば、
前述のように、予め材料の表面を水で処理する等の操作
を施さなくとも薬剤が材料中に深く浸透し、大気中への
飛散もなく材料の吸水性を長期にわたり防止できること
を見出した。(「多孔性無機質土木建築材料の吸水防止
方法」として平成1年7月6日特許出願。特願平1−17
6588) しかしながら、この方法では、吸水防止効果について
は顕著な効果が認められるものの、撥水効果について
は、長期的には十分満足のいくものとはいい難い。そこ
で本発明者らは、さらに、防水効果に加えて、撥水効果
を長期にわたり安定して持続させるために鋭意検討した
結果、本発明に到達した。
即ち本発明の要旨は、多孔性土木建築材料の表面に下
式(I)で表される。
(式中、R1はC1〜C18の飽和アルキル基、R2はC1〜C5
飽和アルキル基を示し、nは1〜6の整数を示す。) 有機ケイ素化合物の有機溶剤溶液を塗布し含浸させ、
多孔性土木建築材料の吸水性を防止し、その後下式(I
I)で表される (式中、R3はC1〜C18の飽和アルキル基、Xは水酸基,C1
〜C18の飽和アルキル基またはC1〜C5のアルコキシ基を
示し、mは7〜18の整数を示す。) 有機ケイ素化合物の低重合物の有機溶剤溶液を塗布
し、該土木建築材料に撥水性を付与することを特徴とす
る多孔性土木建築材料の保護方法である。
本発明において、吸水防止剤として用いられる有機ケ
イ素化合物は、前述の式(I)で表されるオルガノアル
コキシシランおよびその低縮合物であるオリゴマーおよ
びそれらの混合物が用いられる。これらを単独で用いる
か、混合して用いるか、またその際の混合比等は、前述
の種々の多孔性土木建築材料の浸透性、通気性等諸性質
を勘案して適宜選択すべきである。前記オリゴマーより
も縮合度の高い高縮合物を塗布した場合には、縮合物の
粘度が高くなるため、材料中への浸透性が乏しくなり、
望ましくない。
即ち一般式(I)で表される化合物を塗布することに
より、 イ)薬剤がすみやかに材料の深部まで浸透し、 ロ)材料中に通常存在する微量の水分と反応し、 ハ)材料の表面から一定の深さまでの層に撥水性を付与
し、 ニ)薬剤の大気中への飛散もなく、 その結果、材料の持つ通気性を阻害することなしに、耐
候性、耐アルカリ性等がすぐれた吸水防止層を形成する
ことができる。
さらに本発明の特徴は、上記の吸水防止効果を付与し
た材料に、引き続き有機ケイ素化合物の低重合物の有機
溶剤溶液を塗布し、該材料の通気性を阻害することな
く、また外観を損なうことなく、撥水性を付与すること
である。
撥水性を付与するために有機ケイ素化合物としては、
下記一般式(II)で表される (式中、R3はC1〜C18の飽和アルキル基、Xは水酸基,C1
〜C18の飽和アルキル基またはC1〜C5のアルコキシ基を
示し、mは7〜18の整数を示す。) 有機ケイ素化合物の低重合物およびそれらの混合物が用
いられる。
上記低重合物の重合度に関しては、あまりに重合度が
高すぎると材料の通気性が損なわれるので望ましくな
い。また重合度が低すぎると内部に浸透しすぎて所望の
撥水効果が得られず好ましくない、したがって重合度と
しては、m=7〜18のものが好適に用いられる。
かかる処理を施すことにより該土木建築材料は、厚い
防水防止層と強力な撥水層を併せ持つこととなり、より
安定した撥水性を長期にわたり持続させることが可能と
なる。
これにより該材料は、その外観を損なうことなく水の
侵入を防止することができると共にチリ、ホコリの付
着、カビの発生を防止し、エフロを防止し、材料の美粧
性を保持することができる。
本発明で用いられる一般式(I)で表される化合物お
よび一般式(II)で表される低重合物は、有機溶剤に溶
解させて使用する。
有機溶剤としては、これらの化合物を均一に溶かすも
のであれば特に限定されるものではないが、その例をあ
げると前者の溶剤としては、エタノール、n−プロパノ
ール、iso−プロパノール、tert−ブタノールなどのア
ルコール類,エチレングリコールモノメチルエーテル、
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリ
コールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−
ジオキサン、などのエーテル類,アセトン、メチルエチ
ルケトンなどのケトン類,脂肪族ナフサ、ミネラルスピ
リットなどのアルカン類,トルエン、キシレン、ソルベ
ントナフサ、芳香族ナフサなどの芳香族炭化水素類,ト
リクロルエチレン、パークロルエチレンなどのハロゲン
化炭化水素類,酢酸エチルなどのエステル類およびこれ
らの混合物が挙げられる。
上記した有機溶剤中における本発明の一般式(I)で
表される化合物の濃度は、2〜20%の範囲がよく、さら
に好ましくは3〜10%の範囲のものが好結果を与える。
一方後者の溶剤としては、前者の溶剤をそのまま用い
ることができる。
施工に際しては、用いる溶剤は前者後者共に同一の場
合が便利であるが、特に同一でなければならないという
ことはない。
有機溶剤中における一般式(II)で表される化合物の
濃度は、均一に溶解させるには通常1〜10%の範囲で用
いられる。
低濃度の場合には、複数回の重ね塗りをすることによ
り所期の目的を達成することができる。
通常溶剤として用いるアルコール類としては、エタノ
ール、イソプロパノール,ケトン類としては、アセト
ン、メチルエチルケトン,アルカン類としては、ミネラ
ルスピリッド、脂肪族ナフサ,芳香族炭化水素類として
は、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、芳香族ナ
フサが好適に用いられる。
次に本発明の実施態様について述べる。
多孔性土木建築材料への塗布方法としては、通常用い
られる方法、例えば刷毛塗り、ローラー塗り、吹き付け
などにより行うことができる。
その際の塗布量としては、材料によって異なるが、吸
水防止用として下塗りするには溶液状態で10〜1000g/m2
が適量である。かくすることにより一般式(I)で表さ
れる化合物は、土木建築材料中の水分と反応し、該材料
と一体化した1〜20mmという厚い吸水防止層を形成する
こととなる。引き続き、撥水性付与用として一般式(I
I)で表される低重合物を溶液状態で10〜500g/m2上塗り
することにより、強力な撥水性を有する層を該材料に形
成することとなる。
以上詳細に述べたように、本発明の方法を実施するこ
とにより、水に起因する種々の問題から該土木建築材料
を保護することが可能となり、その結果、前記数々の優
れた結果を得ることができる。
(実施例) 以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発
明は、これらにより何等限定されるものではない。
実施例における耐候性試験、撥水性、吸水性、汚れテ
ストの測定方法は以下のとおりである。
耐候性試験 :供試体をJIS A−1415に準じサンシャ
インウェザオメーターにて3000時間処理する。処理後の
供試体について、表面の撥水性および吸水量を試験す
る。
表面の撥水性:供試体の表面に水滴を垂らし、水滴の状
態を観察する。
○ 水玉となりコロコロと転がる。
△ 水玉となるが、少し付着した状態となる。
× 水玉とならず、モルタル表面が濡れ色とな
る。
純水の吸水量:供試体を5cmの深さの純水中に浸漬し、
1週間後に取りだし直ちにガーゼで表面の余分の水を拭
き取り重量を測定する。
吸水量(g)=浸漬後の重量(g)−浸漬前の重量
(g) 汚れテスト :供試体塗布面に汚染物としてクレヨン
(赤)およびインク(黒)を適量塗り、その後クレヨン
についてはシンナーにて、インクは中性洗剤水および水
にて洗浄し、汚れの残り程度を試験する。
○ 汚れなし。
△ 少し残る。
× 残る。
実施例−1 JIS A−6910に準じたモルタル板(70×70×20mm)
を25℃、65%RHの恒温恒湿下に1週間置いた後、式
(I)におけるR1がメチル基、R2がエチル基、n=1で
ある有機ケイ素化合物のイソプロパノール10%溶液を塗
布量100g/m2で全面に刷毛で下塗りした。2時間放置し
た後、式(II)におけるR3がiso−ブチル基、Xがiso−
ブチル基、m=15〜17である有機ケイ素化合物の低重合
物を濃度5%になるようにイソプロパノールに溶かし、
この溶液を塗布量50g/m2で全面に上塗りし、これをもう
1度25℃、65%RHの恒温恒湿槽内にて1週間養生した後
供試体とした。この供試体を表−1に示す各種性能につ
いて試験した。結果を表−1に示す。
実施例−2〜5 JIS A−6910に準じたモルタル板(70×70×20mm)
を25℃、65%RHの恒温恒湿下に1週間置いた後、表−1
に示すR1、R2、nを有する式(I)で表される有機ケイ
素化合物を同じく表−1に示す溶剤で10%溶液としたも
のを塗布量100g/m2で実施例−1と同様に全面に下塗り
し、2時間放置して乾燥した。引き続き表−1に示す
R3、X、mを有する式(II)で表される有機ケイ素化合
物の低重合物を所定の溶剤に溶解し、5%溶液としたも
のを塗布量50g/m2で全面に上塗りした。これをもう1度
25℃、65%RHの恒温恒湿槽内にて1週間養生した後供試
体とした。この供試体を表−1に示す各種性能について
試験した。結果を表−1に示す。
比較例−1 実施例−1で用いたのと同じ式(I)で表される有機
ケイ素化合物を用い、そのイソプロパノール溶液の塗布
量を150g/m2とし、式(II)で表される有機ケイ素化合
物の低重合物の上塗りをしない以外は実施例−1と同様
にして供試体を作成した。この供試体を表−1に示す各
種性能について試験した。結果を表−1に示す。
(発明の効果) 本発明は、多孔性土木建築材料について、水が原因で
引き起こされる劣化を防止する該土木建築材料の保護方
法に関する。
本発明を実施することにより多孔性土木建築材料は、
厚い吸水防止層と強力な撥水層を併せもつこととなり、
材料の通気性を阻害することなく、材料固有の外観を変
えることなく長期にわたり安定した撥水性を有し、チ
リ、ホコリの付着を防止し、カビの発生、エフロの発生
を抑え美粧性に優れたものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B05D 1/00 - 7/26 C04B 41/00 - 41/72

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多孔性土木建築材料の表面に下式(I)で
    表される (式中、R1はC1〜C18の飽和アルキル基、R2はC1〜C5
    飽和アルキル基を示し、nは1〜6の整数を示す。) 有機ケイ素化合物の有機溶剤溶液を塗布し含浸させ、そ
    の後下式(II)で表される (式中、R3はC1〜C18の飽和アルキル基、Xは水酸基,C1
    〜C18の飽和アルキル基またはC1〜C5のアルコキシ基を
    示し、mは7〜18の整数を示す。) 有機ケイ素化合物の低重合物の有機溶剤溶液を塗布する
    ことを特徴とする多孔性土木建築材料の保護方法。
  2. 【請求項2】一般式(I)で表される化合物および一般
    式(II)で表される化合物を溶解させる有機溶剤がアル
    コール類、ケトン類、アルカン類および芳香族炭化水素
    類より選ばれたものである請求項(1)記載の方法。
  3. 【請求項3】アルコール類がエタノールまたはイソプロ
    パノールである請求項(2)記載の方法。
  4. 【請求項4】アルカン類がミネラルスピリットである請
    求項(2)記載の方法。
  5. 【請求項5】芳香族炭化水素類がソルベントナフサであ
    る請求項(2)記載の方法。
  6. 【請求項6】有機溶剤中における一般式(I)で表され
    る化合物の濃度が2〜20%であり、一般式(II)で表さ
    れる化合物の濃度が1〜10%である請求項(1)記載の
    方法。
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