JP2819209B2 - スチレン系合成樹脂からなるプラスチック廃棄物の改良リサイクル法 - Google Patents

スチレン系合成樹脂からなるプラスチック廃棄物の改良リサイクル法

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  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】本発明は、合成樹脂製品のリサイクル法
に関し、特にスチレン系樹脂製品の改良リサイクル法に
関するものである。
【0002】
【発明の背景】合成樹脂は、製品それ自体のみならず、
食料や衣料を含めて種々の製品の包装又は梱包の材料に
至るまでありとあらゆる製品に広範囲にわたって使用さ
れている。従って、ある種の製品が製造されれば、その
後に製造工場、流通機構、ユーザー等から様々なプラス
チック廃棄物が発生することになる。現代のユーザーの
旺盛な需要欲求を満たすために多種類の製品が製造され
るような現在に至っては、あらゆる場所でのプラスチッ
ク廃棄物の発生は避けられない。これらのプラスチック
廃棄物は、産業廃棄物として、また家庭廃棄物としてま
すます増加する傾向にあり、その処分がメーカーや流通
業者、また地方自治体の厄介な問題になっていることは
周知の事実である。現在、産業廃棄物の大半は廃棄物処
理業者によて地中に埋められたり又は他の方法で処分さ
れ、他方、家庭廃棄物は地方自治体の廃棄物処理場にお
いて焼却されたり或いは地中に埋められている。いずれ
にしても、プラスチック廃棄物は空気や地下水の汚染源
であり、その処分は環境汚染を引き起こす。従って、も
しこれらのプラスチック廃棄物を何等かの形で再生して
リサイクルすることができれば、社会に対して多大な貢
献をなすことができることは明らかである。
【0003】現在、産業廃棄物の中である種のプラスチ
ック廃棄物は、回収再生してリサイクルしようとする試
みがなされている。例えば、スーパーを初めとして生鮮
食品市場では、包装や梱包の材料として使用されたスチ
レン系樹脂例えば発泡ポリスチレンからなる同一品種の
プラスチック廃棄物が大量に回収される。また、ワープ
ロや電気機器の製品を扱う流通業界では、それらのケー
シング材として使用されたABS樹脂からなるプラスチ
ック廃棄物が大量に回収される。これらの製品を製造す
る生産会社でも、同様なプラスチック廃棄物が大量に発
生する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらのスチレン系樹
脂からなるプラスチック廃棄物の従来のリサイクル法で
は、ポリスチレンやABS樹脂が二百数十度で溶解する
性質を利用して、廃棄物を水洗→脱水→粉砕→分離又は
減容→溶融押出のプロセスを経てペレット化してリサイ
クルする方法が行われている。発泡ポリスチレンは、比
較的純粋なポリスチレンであって、あらゆる合成樹脂の
中でも最もリサイクルに適したものである。しかしなが
ら、その表面に付着したラベル等の異物は、最初の水洗
工程では取り除かれないので、250kg/hの処理能
力に対して6人がかりで手で除去している状況である。
それでも、押出機の出口のスクリーンが目詰まりを起こ
してしばしばスクリーンの交換を行わなければならな
い。また、ABSについて言えば、多くの用途で金属メ
ッキを行ったり、取り外しにくい金属部品を取り付けた
りして使用しているが、そのまま加熱溶融してリサイク
ルしたのでは、金属片が局部的に集まったりして、著し
く物性を落すばかりか、流動を阻害して成形して再利用
することは不可能となり、道路舗装の充填材など著しく
価値の低いものとなる。本発明は、このような従来技術
の欠点を打破することを目的とするものであって、スチ
レン系樹脂からなるプラスチック廃棄物を経済的に再生
して良品質のリサイクル生成物を得ることができる改良
方法を提供するものである。
【0005】
【発明の概要】本発明によれば、回収して集めたスチレ
ン系合成樹脂からなるプラスチック廃棄物を加温下に該
合成樹脂用の溶剤中に溶解させて溶液を形成し、かくし
て得た溶液をろ過してラベル等の付着異物を除去し、ろ
液を1〜75トルの減圧下に200〜300℃程度の温
度で加熱して溶剤を蒸発分離し、そして得られたプラス
チック溶融物を押出してペレット化することによってプ
ラスチック廃棄物が再生される。他方、使用した溶剤
は、上記の真空蒸発分離後に冷却水コンデンサー、ブラ
イン又は冷媒冷却コンデンサーによって凝縮分離し、更
に真空蒸留により精製し、これをリサイクルして次のプ
ラスチック廃棄物の溶解のために溶剤として再使用され
る。本発明の方法に従ってペレット化されたスチレン系
リサイクル生成物は、溶剤中への溶解によって付着異物
等が分離されているために良好な色調を有するものであ
る。また、本発明の方法によって透明性の廃棄物を再生
すると、極めて良好な透明性を有するリサイクル生成物
が得られる。
【0006】即ち、本発明の方法は、スチレン系合成樹
脂からなるプラスチック廃棄物を加温下に該合成樹脂用
の溶剤中に溶解させて溶液を形成し、かくして得た溶液
をろ過してラベル等の付着異物を除去し、ろ液を1〜7
5トルの減圧下に200〜300℃程度の温度で加熱し
て溶剤を蒸発分離し、そして得られたプラスチック溶融
物を押出によってペレット化して回収し、この際に蒸発
分離した溶剤は凝縮回収し、蒸留にかけてキャリオーバ
ーしてきた低分子量合成樹脂を除去した後にプラスチッ
ク廃棄物の溶解用の溶剤として再使用することからなる
プラスチック廃棄物のリサイクル法である。
【0007】
【発明の具体的な説明】ここで添付図面を参照しなが
ら、本発明のプラスチック廃棄物のリサイクル法を説明
する。再生しようとする回収されたプラスチック廃棄物
は、先ず粉砕機1に供給される。プラスチック廃棄物が
例えば電気機器製品用のABS樹脂からなるケーシング
材である場合には、それは、水洗、脱水そして乾燥後に
粉砕機1に供給される。また、発泡ポリスチレンの場合
には、これは、溶解槽の効率を高めるために減容器にお
いて予め加熱減容した後に粉砕機1に供給される。粉砕
されたプラスチック廃棄物はブロアー2によって発生さ
れる空気圧によって導管3を経て分級セパレーター4に
送られ、ここで合成樹脂よりも比重の大きい砂、金属粉
等が分離される。得られた合成樹脂粉末は、次いで、溶
解槽5に導入される。溶解槽5はジャケット6によって
包囲され、またその内部にはスクリュー型羽根を備えた
モーター付勢撹拌棒7が設けられている。溶解槽5は、
ジャケット6に熱媒体を通すことによって室温から75
℃程度の温度に保温される。
【0008】溶解槽5に供給された樹脂粉末を溶解させ
るために、溶剤タンク34からポンプ35によって溶剤
が溶解槽内に導入される。この溶剤は、再生しようとす
る樹脂の溶解に適した溶剤であって、常圧で75〜17
5℃の沸点を有するものが好ましい。樹脂粉末が発泡ポ
リスチレンである場合には、トルエン及びエチルベンゼ
ンが最適溶剤である。導入される溶剤の量は、一般に
は、樹脂の重量の10〜50%の範囲内である。
【0009】溶解槽5において樹脂粉末と溶剤との混合
物を常温から75℃程度の温度で撹拌維持すると、樹脂
の溶液が生成する。生成した樹脂溶液はギヤポンプ8で
昇圧した後に二重導管9を経て葉状ろ過器10に送ら
れ、ここで溶液から不溶性の異物が除去される。次い
で、異物が除去された樹脂溶液は、自動又は手動式の圧
力コントロールニードル弁11に送られここで減圧され
てから多管式熱交換器12で予熱され、次いで真空脱揮
槽13に入る。真空脱揮槽13は、200〜300℃程
度の温度に維持するために、高温熱媒体を流通させるジ
ャケット14によって包囲されている。真空脱気槽13
に入った樹脂溶液は、入口ノズル15を経て脱気槽内を
分散降下する。真空脱揮槽13は、ジャケット14を通
る高温熱媒体によって加熱されると共に真空ポンプ28
によって30〜50トル程度の高真空下に維持されてい
るので、入口ノズル15から分散降下する樹脂溶液中の
溶剤はほぼ完全に揮発され、かくして樹脂溶液は100
%樹脂溶融物となって槽の底部に落ちてそこに集まる。
【0010】脱揮槽13の底部に集まった樹脂溶融物
は、ギヤポンプ又はスクリューポンプ16で加圧され、
そして熱媒体で保温された二重導管17を経てダイ18
に送られ、ここでダイのノズルから押し出されてひも状
成形物を形成する。このひも状成形物は、次いで、水冷
槽19で冷却されてから巻取装置20に巻き取られる。
巻き取られたひも状成形物は、随時に巻き戻されて切断
装置21でペレットに切断されそしてペレット貯蔵装置
22で収集される。かくして回収された樹脂ペレットは
必要に応じてリサイクルされる。
【0011】脱揮槽13から抜き出された溶剤蒸気は、
熱媒体で保温した二重導管23を経て冷却水コンデンサ
ー24に次いで導管25を経てブライン又は冷媒冷却コ
ンデンサー26に送られ、ここでほぼ完全に凝縮分離さ
れる。かくして回収された溶剤は、粗溶剤タンク32に
集められ次いで蒸留塔33に送られ、ここで溶剤が精製
されると共に、キャリオーバーしてきた低分子量の樹脂
が除去される。精製された溶剤は、溶剤タンク34に送
られる。かくして回収され精製された溶剤は、ポンプ3
5を経て溶解槽5に再循環され、ここで合成樹脂粉末の
溶剤として再使用される。
【0012】冷却水コンデンサー24及びブライン又は
冷媒冷却コンデンサー26でそれぞれ溶剤蒸気を凝縮分
離した後に残ったガスは、導管25及び27を経て真空
ポンプ28で吸い出されてガス収集器29に集められ
る。収集されたガスは、導管30を経て有臭物回収装置
31に送られ、ここで有臭物が除去されてから大気中に
放出される。
【0013】
【実施例】本発明を次の実施例によって説明するが、こ
れは本発明の1つの面を例示するに過ぎない。図1に示
す有効内容積21リットルの溶解槽5のジャケット6の
温度を予め70℃に設定した。発泡ポリスチレンを18
0〜200℃に加熱して減容した後に粉砕器1に供給
し、次いで粉砕された発泡ポリスチレンをブロアー2の
空気圧によって分級セパレーター4に送った。分級した
5.6kgの発泡ポリスチレン粉末を溶解槽5に供給
し、そして撹拌しながら2.8kgのトルエンを供給す
ると、約15分でポリスチレン溶液が生成した。
【0014】得られたポリスチレン溶液を、230℃の
温度及び30トルの真空度に予め設定した直径10cm
で高さ80cmの真空脱揮槽13に約6時間にわたって
供給した。得られたポリスチレン溶融物を脱揮槽13か
ら抜き出し、そしてギヤポンプ16及び二重導管17を
経てダイ18に供給してそのノズルから押し出すと、透
明度が極めて良好なひも状成形品が得られた。このひも
状成形品をカッターで切断してペレット化すると、色が
ほとんどないバージンに近いポリスチレンペレットが得
られた。
【0015】真空ポンプ28の前のコンデンサー24及
び26で凝縮液として回収した粗溶剤を粗溶剤タンク3
2に集めた。この粗溶剤を蒸留塔33において約65℃
の温度で75トルの真空下に蒸留した。得られた精製溶
剤を溶剤タンク34に送り、そして溶剤として再使用し
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従ったプラスチック廃棄物の改良リサ
イクル法を実施するための1つの概略フロシートであ
る。
【符号の説明】
1 粉砕機 2 ブロアー 4 分級セパレーター 5 溶解槽 12 熱交換器 13 脱揮槽 24 冷却水コンデンサー 26 冷媒冷却コンデンサー 28 真空ポンプ 29 ガス収集器 31 有臭物回収装置 32 粗溶剤タンク 33 蒸留塔 34 溶剤タンク
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 105:26 C08L 25:00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発泡ポリスチレン又は、ABS樹脂から
    選択されたスチレン系合成樹脂からなるプラスチック廃
    棄物を先ず粉砕し、しかる後該合成樹脂用の溶剤により
    加温下に溶解し、かくして得た溶液をろ過して樹脂に
    した異物を除去し、ろ液を1〜75トルの減圧下に2
    00〜300℃程度の温度で加熱して溶剤を蒸発分離
    し、そして得られたプラスチック溶融物を押出によって
    ペレット化して回収し、この際に蒸発分離した溶剤は凝
    縮回収し、蒸留にかけてキャリオーバーしてきた低分子
    量合成樹脂を除去した後にプラスチック廃棄物の溶解用
    の溶剤として再使用することからなるプラスチック廃棄
    物のリサイクル法。
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