JP2817962B2 - クロロプレン系防振ゴム - Google Patents

クロロプレン系防振ゴム

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は低動倍率を有するクロロプレン系防振ゴムに
関する。
(従来の技術) 従来より、自動車や産業機械などの振動や騒音を防止
するために防振ゴムが使用されている。こうした防振ゴ
ムの特性としては、当然のことながら振動伝達率(τ)
が小さいこと、すなわち防振性能に優れることが要求さ
れている。
一般に、防振ゴムの振動伝達率と加振周波数(ω)の
関係は一次元振動系から次式で表わされる。
ここで、m:支持体の重量、KD:動的バネ定数、tanδ:
損失係数である。
特に、防音が問題となる高周波領域(80Hz以上)で
は、上式は τ∝KD と近似でき、τを小さくするためにはKDを小さくする必
要がある。
防振ゴムではバネ定数を特定の値に設定するので、動
倍率(KD/KS)が高周波領域での防振特性の指標とされ
(KSは静的バネ定数を表わす)、動倍率の低いゴム材ほ
どすぐれた防振特性を持つことになる。
防振ゴム材としては天然ゴムを含め各種ゴム材が適材
適所に使われているが、極めて低い動倍率(すなわち1
に近い)を発現するゴム材としては天然ゴムに限られる
のが現状であった。
クロロプレンは良好なゴム物性と耐劣化性を兼ね備え
た合成ゴムであるが、これまで動倍率が低い、たとえば
動倍率1.5以下の防振ゴムを配合設計することは困難で
あり、クロロプレンゴムの本来有するすぐれた特性を保
持しつつ低動倍率を有するゴム材の開発が望まれてい
る。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、動倍率1.5以下の低動倍率を有するクロロ
プレン系防振ゴムを提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明者は、こうしたゴム材料の開発について検討し
た結果、クロロプレンモノマーと、カルボキシル基含有
ビニルモノマーを共重合して得られる共重合体が上記の
目的を達成する材料であることを見い出し、本発明に至
ったものである。
即ち、本発明はクロロプレンモノマーとカルボキシル
基含有ビニルモノマーを共重合して得られる共重合体を
30重量%以上含むクロロプレン系重合体を加硫してな
り、動倍率が1.5以下であることを特徴とするクロロプ
レン系防振ゴムである。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明で用いる共重合体を構成するカルボキシル基を
含むビニルモノマーとしては、例えばアクリル酸、メタ
クリル酸、マレイン酸、フマル酸等があげられ、共重合
体を製造する場合全モノマー量の0.1〜5モル%、好ま
しくは0.5〜2.6モル%が用いられる。
本発明で用いるクロロプレンモノマーとカルボキシル
基含有ビニルモノマーの共重合体(以下しばしば「クロ
ロプレン共重合体」という)として、これらのモノマー
のほかに必要に応じて、クロロプレンモノマーと共重合
可能なモノマー、例えば、2,3−ジクロロブタジエン−
1,3、1−クロロブタジエン−1,3、スチレン、硫黄、ア
クリロニトリル、メタクリル酸メチル等より選ばれる1
種類以上のモノマーを、全モノマー量に対し、10重量%
を越えない範囲でクロロプレンモノマーに代えて用いて
重合した共重合体も含まれる。
本発明で用いる共重合体を得る際、重合方法には特に
制限はなく、例えば従来の技術が示す様に酸性雰囲気で
乳化重合を行えばよい。
以下乳化重合について説明する。
乳化剤としては、例えば炭素数が6〜18であるアルキ
ルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、β−ナフタレ
ンスルホン酸のホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル等が用いられる。
連鎖移動剤は特に限定されずアルキルメルカプタン、
ジアルキルザントゲンジスルフィド等が用いられ、重合
開始剤は通常のラジカル重合に用いられるものでよく、
例えば過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム等が用いられ
る。
重合温度及びモノマーの転化率については特に制約す
るものではないが、重合温度については、0〜60℃で好
ましくは20〜50℃、モノマー転化率は60〜90%の範囲に
入るように行えばよい。
重合停止剤は、通常用いられる停止剤、例えばチオジ
フェニルアミン、4−tert−ブチルカテコール、ジエチ
ルヒドロキシルアミン等が用いられる。
本発明による低動倍率を有する防振ゴムは上記のクロ
ロプレン共重合体を用いることによって得られるが、防
振特性(動倍率)が許容される範囲で他の汎用のクロロ
プレンゴムを併用してもよい。この場合、防振特性が実
用上有意に改良されるという尺度から、上記クロロプレ
ン共重合体の使用割合は少なくとも30重量%以上であ
る。
本発明で用いるクロロプレン共重合体は、加硫するに
必要な加硫剤、更には加硫促進剤、老化防止剤、軟化
剤、充てん剤などの一般のゴム薬品とともに加硫して使
われるが、当然のことながら本発明の防振特性を損なわ
ない範囲で適宜選定し、添加する。そしてより一層動倍
率の低いクロロプレン系防振ゴムを得る場合には、充て
ん剤としてFTカーボンブラック、MTカーボンブラック等
を用いることが好ましい。
(実施例) 以下比較例と共に実施例を示して本発明をさらに詳し
く説明するが、本発明はこれらの実施例により限定をう
けるものではない。
本実施例で用いたクロロプレンモノマーと、カルボキ
シル基含有ビニルモノマーとの共重合体を得るための重
合は、5の4ツ口フラスコを用い、窒素雰囲気中重合
温度40℃で過硫酸カリウムを連続的に滴下しながら行な
った。カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、メ
タクリル酸及びアクリル酸を用いた。
共重合体の重合処方を表1に示した。
モノマーの転化率が約85%に達した時点で、重合停止
剤としてジエチルヒドロキシルアミンを仕込みモノマー
全量に対して100ppm添加して重合を停止させた。
得られた共重合体乳化液に2%NaOH水溶液を添加して
そのpHを9.0とし、スチームストリッピング法にて未反
応モノマーを除去した。さらに5%酢酸水溶液を添加し
てpHを7.0に合わせた後凍結ドラムで凝固し水洗、乾燥
を行った。
比較例で用いたクロロプレン単独重合体及びクロロプ
レン共重合体は、カルボキシル基含有ビニルモノマーを
加えないで、表1に示す処方で実施例と同様の方法によ
り作製した。
実施例1〜5及び比較例1、2について、本発明によ
るクロロプレン系防振ゴムを得るための配合処方を表2
に示した。
なお、混練方法及び加硫方法は次の通りである。
表面温度50℃に調整したミキシングロールに表1に記
載した共重合体又は単独重合体を巻き付け、これに表2
に示す種々の配合薬品を逐次添加した。混練終了後、ロ
ールでシート状にし、温度160℃、時間20分の条件でプ
レス加硫を行い試験片を作製した。
防振特性の指標となる動倍率は、粘弾性スペクトロメ
ータVES−F III型(岩本製作所製)を使って周波数100H
z、振巾0.1%の条件で測定した貯蔵弾性率E′と、低伸
長応力測定(JIS−K6301)から求まる静的せん断弾性率
GSの値から、次式により求め表3に記載した。
動倍率=E′/3・GS 尚、実施例6、7は、実施例4で用いた共重合体IVと
比較例1で用いた単独重合体Iを50対50、及び30対70の
重量割合でロールブレンドし、以下実施例1〜5と同様
の手順に従い、加硫した場合である。
表3に示す動倍率の測定値から明らかなように、実施
例1〜7は比較例1、2に比べて動倍率が低く、従来の
クロロプレンゴムでは達成することができなかった防振
特性を有している。
(発明の効果) 実施例からも明らかなように、本発明によるクロロプ
レン共重合体を必須成分とする防振ゴムは低い動倍率を
有し、とりわけ自動車用マウント用防振ゴムとして好適
である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クロロプレンモノマーとカルボキシル基含
    有ビニルモノマーを共重合して得られる共重合体を30重
    量%以上含むクロロプレン系重合体を加硫してなり、動
    倍率が1.5以下であることを特徴とするクロロプレン系
    防振ゴム。
JP21136289A 1989-08-18 1989-08-18 クロロプレン系防振ゴム Expired - Lifetime JP2817962B2 (ja)

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