JP2817719B2 - 共役ジエンスルホン化物およびその製造方法 - Google Patents

共役ジエンスルホン化物およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水溶性または親水
性の共役ジエンスルホン化物重合体を得るのに有用な共
役ジエンスルホン化物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、水溶性および/または親水性
単量体としては、アクリル酸もしくはメタクリル酸など
のカルボキシル基を有する単量体、あるいはアリルスル
ホン酸もしくはビニルスルホン酸などのスルホキシル基
を有する単量体などが知られている。また、前記単量体
のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩についても、
ラジカル重合可能なことが知られている。これらの単量
体は、単独であるいは他の単量体と共重合することによ
って、水溶性重合体あるいは親水性重合体として広く工
業的に生産されている。例えば、ポリアクリル酸は、炭
酸カルシウムの分散剤として使われたり、一部架橋する
ことによって吸水性ゲルとして利用されている。
【0003】また、ゴムや樹脂の改質を目的として、他
のビニル単量体とアクリル酸やメタクリル酸を共重合し
た例が数多く知られている。さらに、ラテックスの改質
においても、アクリル酸やメタクリル酸を共重合するこ
とが行われている。しかしながら、これらのアクリル酸
やメタクリルなどの酸性単量体は、ラジカル重合性に富
んでいるものの弱酸性であり、得られる重合体は、界面
活性剤として使用する場合、乳化力が弱いという欠点を
有している。他方、ビニルスルホン酸、アリルスルホン
酸、またはイソブチレンと三酸化イオウとを反応させて
得られるメタクリルスルホン酸などは、強酸性のスルホ
ニル基を有するビニル単量体であり、その重合体は、強
酸性であり乳化力に優れるが、単量体自体はラジカル重
合性に乏しいという欠点を有していて、重合体収率が低
く、分子量が低いものしか得られない。
【0004】これに対し、p−スチレンスルホン酸ナト
リウムなどのスチレン系単量体〔例えば、東ソー(株)
製、スピロマー〕、あるいは一般式 で表されるメタクリル酸エステル系単量体〔例えば、三
洋化成(株)製、エレミノールRS−30〕のようなス
ルホニル基を有する単量体も開発されている。これらの
単量体は、強酸性であり、かつラジカル重合性について
も優れているが、単量体の分子量が大きく、単位重量あ
たりのスルホニル基が少なく、しかも合成ルートが多段
階を経るために製造工程が複雑になり、コスト高とな
る。このため、得られる重合体のイオン交換容量も低
く、工業的生産性が劣り、コスト高となり、使用用途が
自ずと制限されてくる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これら従来
技術の問題点を背景になされたもので、重合転化率が高
く、しかも得られるスルホン化物重合体は、強酸性を示
すスルホニル基を有し、イオン交換容量が多く、かつ高
分子量の重合体を得ることが可能な共役ジエンスルホン
化物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式
(I)で表される共役ジエンスルホン化物を提供するも
のである。 〔一般式(I)中、Xは、水素原子、アルカリ金属原
子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基もしくはア
ミノ基である。〕 また、本発明は、共役ジエンの環状スルホン酸エステル
に、塩基性化合物または塩基性化合物の水溶液および/
もしくはアルコール溶液を反応させる上記共役ジエンス
ルホン化物の製造方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】ここで、本発明の共役ジエンスル
ホン化物は、共役ジエンを該ジエンの二つの二重結合を
残したまま、スルホン基を導入した化合物である。本発
明において、スルホン化物に使用される共役ジエンは、
2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)が挙げ
られる。
【0008】この共役ジエンのスルホン化物を製造する
には、例えば共役ジエンの二重結合を下記に示す方法で
スルホン化して製造することができる。すなわち、共役
ジエンに三酸化イオウをスルホン化剤として用い、日本
化学会編集、実験化学講座に示されているような公知の
条件でスルホン化することができる。この場合のスルホ
ン化剤としては、通常、三酸化イオウ単独のほか、三酸
化イオウと電子供与性化合物との錯体が使用される。こ
こで、電子供与性化合物としては、N,N−ジメチルホ
ルムアミド、ジオキサン、ジブチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類;ピリ
ジン、ピペラジン、トリメチルアミン、トリエチルアミ
ン、トリブチルアミンなどのアミン類;ジメチルスルフ
ィド、ジエチルスルフィドなどのスルフィド類;アセト
ニトリル、エチルニトリル、プロピルニトリルなどのニ
トリル化合物などが挙げられ、このうちでもN,N−ジ
メチルホルムアミド、ジオキサンが好ましい。
【0009】スルホン化剤の量は、共役ジエン1モルに
対して、通常、三酸化イオウ換算で0.1〜10モル、
好ましくは0.5〜3モルであり、0.1モル未満では
反応収率が低く、一方10モルを超えると未反応三酸化
イオウが多くなり、アルカリで中和したのち、多量の硫
酸ナトリウムを生じ、純度が低下するため好ましくな
い。このスルホン化の際には、スルホン化剤である三酸
化イオウに不活性な溶媒を使用することもでき、この溶
媒としては、例えばクロロホルム、ジクロロエタン、テ
トラクロロエタン、テトラクロロエチレン、ジクロロメ
タンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、ニトロ
ベンゼンなどのニトロ化合物;液体二酸化イオウ、プロ
パン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンな
どの脂肪族炭化水素が挙げられる。これらの溶媒は、適
宜、2種以上混合して使用することができる。
【0010】このスルホン化の反応温度は、通常、−7
0〜200℃、好ましくは−30〜50℃であり、−7
0℃未満ではスルホン化反応が遅くなり経済的でなく、
一方200℃を超えると副反応を起こし、生成物が黒色
化する場合があり好ましくない。かくて、共役ジエンに
三酸化イオウが環状に結合した環状中間体(共役ジエン
の環状スルホン酸エステル、一般名称スルトン、以下
「環状中間体」という)が生成する。本発明の前記一般
式(I)表されるスルホン化物は、この環状中間体に塩
基性化合物を作用させることにより、この環状結合をス
ルホン基が結合した二重結合に変化させることによって
得られる(以下「二重結合化」という)。
【0011】この塩基性化合物としては、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ
金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエト
キシド、カリウムメトキシド、ナトリウム−t−ブトキ
シド、カリウム−t−ブトキシドなどのアルカリ金属ア
ルコキシド;メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブ
チルリチウム、sec−ブチルリチウム、アミルリチウ
ム、プロピルナトリウム、メチルマグネシウムクロライ
ド、エチルマグネシウムブロマイド、プロピルマグネシ
ウムアイオダイド、ジエチルマグネシウム、ジエチル亜
鉛、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニ
ウムなどの有機金属化合物;アンモニア水、トリメチル
アミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリ
ブチルアミン、ピリジン、ピペラジンなどのアミン類;
ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、亜鉛な
どの金属化合物を挙げることができる。これらの塩基性
化合物は、1種単独で使用することも、また2種以上を
併用することもできる。これらの塩基性化合物の中で
は、アルキル金属水酸化物が好ましく、特に水酸化ナト
リウムが好ましい。
【0012】塩基性化合物の使用量は、共役ジエン1モ
ルに対して、通常、0.1〜3モル、好ましくは0.5
〜3モルであり、0.1モル未満では、環状結合の二重
結合化が促進されず、環状化合物のままで残ったり、下
記一般式(II) で表されるヒドロオキシオレフィンを生
成し、重合性能をほとんど有しない化合物が生成する。 一方、10モルを超えると、未反応アルカリが多く残り
製品の純度が低下し好ましくない。この環状中間体の二
重結合化の際には、前記塩基性化合物を水溶液の形で使
用することもでき、あるいは塩基性化合物に不活性な有
機溶媒に溶解して使用することもできる。
【0013】この有機溶媒としては、前記各種の有機溶
媒のほか、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの方向族
炭化水素化合物;メタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール、エチレングリコールなどのアル
コール類などが挙げられる。これらの溶媒は、適宜、2
種以上混合して使用することができる。塩基性化合物を
水溶液または有機溶媒溶液として使用する場合には、塩
基性化合物濃度は、通常、1〜70重量%、好ましくは
10〜50重量%程度である。
【0014】また、二重結合化の反応温度は、通常、−
30〜150℃、好ましくは−10〜70℃、より好ま
しくは0〜50℃で行われ、また常圧、減圧あるいは加
圧下の何れでも実施することができる。さらに、二重結
合化の反応時間は、通常、0.1〜24時間、好ましく
は0.5〜5時間である。また、この二重結合化に際し
ては、環状中間体に水あるいはアルコールを加えたの
ち、脱水反応や脱アルコール反応によっても、目的とす
る一般式(I)で表されるスルホン化物が得られる。
【0015】なお、このようにして得られるスルホン化
物のカチオン種は、特に限定されるものでないが、水溶
性にするためには、水素、アルカリ金属、アルカリ土類
金属、アンモニウム、アミンなどが好ましい。前記アル
カリ金属としては、ナトリウム、カリウムなどを、アミ
ンとしてはメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミ
ン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミ
ン、ブチルアミンジブチルアミン、トリブチルアミンな
どのアルキルアミン、エチレンジアミン、ジエチレント
リアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアミン、
モルホリン、ピペリジンなどを、アルカリ土類金属とし
てはカルシウム、マグネシウムなどを例示することがで
きる。また、これらのカチオン種は、種々のイオン交換
技法により他種のカチオン種と相互に交換することが可
能である。
【0016】以上の一般式(I)で表される本発明の共
役ジエンスルホン化物は、重合することにより、共役ジ
エンスルホン化物重合体が得られるが、この重合に際し
ては該共役ジエンスルホン化物のほかに、これと共重合
可能な他の単量体(以下「他の単量体」という)を99
重量%以下、好ましくは1〜98重量%、さらに好まし
くは10〜90重量%程度共重合することも可能であ
る。この共重合可能な他の単量体としては、スチレン、
α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチ
レンなどの芳香族化合物;アクリル酸メチル、アクリル
酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘ
キシル、メタクリル酸メチル、2−ヒドロキシエチルア
クリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルなどのア
クリル酸あるいはメタクリル酸のアルキルエステル類;
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、
フマル酸、イトコン酸などのモノもしくはジカルボン酸
またはジカルボン酸の無水物;ブタジエン、イソプレ
ン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1−クロル−
1,3−ブタジエンなどの脂肪族共役ジエン;アクリロ
ニトリル、メタアクリロニトリルなどのビニルシアン化
合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルメチルエチ
ルケトン、ビニルメチルエーテル、酢酸ビニル、ギ酸ビ
ニル、アリルアセテート、メタアリルアセテート、アク
リルアミド、メタアクリルアミド、N−メチロールアク
リルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリ
シジル、アクロレイン、アリルアルコールなどが使用さ
れるが、好ましくはメタクリル酸、アクリル酸、アクリ
ルアミドおよびスチレンスルホン酸ナトリウムの群から
選ばれた少なくとも1種の単量体である。
【0017】前記共役ジエンスルホン化物重合体は、前
記一般式(I)で表されるスルホン化物、さらに必要に
応じてこれと共重合可能な他の単量体とを、例えば水あ
るいは有機溶媒などの重合用溶媒の存在下に、ラジカル
重合開始剤、連鎖移動剤などを使用してラジカル重合す
る。ここで、ラジカル重合に使用される重合用有機溶媒
としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパ
ノールなどのアルコール類;キシレン、トルエン、ベン
ゼンなどの芳香族炭化水素;ブタン、ペンタン、ヘキサ
ン、シクロヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素を
挙げることができる。これらの重合用溶媒のなかでは、
水またはメタノールが好ましい。ラジカル重合開始剤と
しては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸ア
ンモニウムなどの過硫酸塩系開始剤;過酸化水素などの
無機系開始剤;クメンハイドロパーオキサイド、イソプ
ロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタン
ハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドな
どの有機過酸化物;あるいはアゾビスイソブチロニトリ
ルなどのアゾ系開始剤で代表される有機系開始剤を挙げ
ることができる。
【0018】このラジカル重合開始剤の使用量は、単量
体の総計量100重量部に対して、好ましくは0.01
〜10重量部、特に好ましくは0.1〜5重量部であ
る。連鎖移動剤としては、t−ドデシルメルカプタン、
オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタ
ン、オクチルメルカプタン、t−ヘキシルメルカプタ
ン、n−ヘキシルメルカプタンなどのメルカプタン類;
四塩化炭素、臭化エチレンなどのハロゲン系化合物が、
通常、単量体の総計量100重量部に対して0.001
〜10重量部程度使用される。なお、ラジカル重合を促
進させるために、例えばピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫
酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、グ
ルコース、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレー
ト、L−アスコルビン酸およびその塩、亜硫酸水素ナト
リウムなどの還元剤;グリシン、アラニン、エチレンジ
アミン四酢酸ナトリウムなどのキレート剤を併用するこ
ともできる。
【0019】ラジカル重合に際しては、前記ラジカル開
始剤、連鎖移動剤などのほかに、必要に応じて各種電解
質、pH調整剤などを併用し、単量体の総計量で100
重量部に対して水50〜1,000重量部、あるいは有
機溶媒50〜1,000重量部と、前記ラジカル開始
剤、連鎖移動剤などを前記範囲内の量で使用して、重合
温度−50〜200℃、好ましくは0〜150℃、特に
好ましくは5〜80℃、重合時間0.1〜40時間の重
合条件下でラジカル重合される。前記スルホン化物を主
成分とする単量体の添加方法は特に制限されるものでは
なく、一括添加法、連続添加法あるいは分割添加法など
の任意の方法が採用される。なお、得られるスルホン化
物重合体の最終的な重合転化率は、10%以上、特に3
0%以上であることが好ましい。また、本発明の重合方
法は、前述のラジカル重合に限定されるものではなく、
従来公知のアニオン重合によっても、前記スルホン化物
重合体を得ることができる。
【0020】このようにして得られるスルホン化物重合
体は、下記一般式(III)、一般式(IV) および/または
一般式(V)で表される繰り返し構造単位を有する。
【0021】
【化1】
【化2】
【化3】
【0022】〔一般式(I)中、Xは、水素原子、アル
カリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基
もしくはアミノ基である。〕 このようにして得られるスルホン化物重合体のポリスチ
レンスルホン酸ナトリウム換算重量平均分子量は、用い
られる用途によって一義的に決めることはできないが、
通常、500〜5,000,000、好ましくは1,0
00〜500,000である。
【0023】本発明の共役ジエンスルホン化物より得ら
れるスルホン化物重合体は、イオン交換法あるいは中和
反応などにより酸型またはアルカリ金属、アルカリ土類
金属、アンモニウム、アミンなどの塩に相互に交換する
ことができる。また、前記スルホン化物重合体は、重合
に先立ち、スルホン化物に塩が形成されていない場合に
は、次いで水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモ
ニア水などのごときアルカリ水溶液中で中和され、ここ
でスルホン基の少なくとも一部が塩を形成している水溶
性または親水性の重合体の塩が得られる。ここで、スル
ホン化物重合体のスルホン基に塩を形成させるためのカ
チオン種、すなわちスルホン化物のカチオン種は、特に
限定されるものでないが、水溶性にするためには、前述
の水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモ
ニウム、アミンなどが好ましい。また、これらのカチオ
ン種は、種々のイオン交換技法により他種のカチオン種
と相互に交換することが可能である。
【0024】かくして水溶性(共)重合体塩の水溶液が
調製されるが、本発明においては、必要に応じて水溶液
からこれらの塩を分離乾燥することによって固形の水溶
性(共)重合体塩を得ることができる。なお、スルホン
基の中和の度合は、(共)重合体塩が水溶性または水分
散性となる範囲内で適宜選択すればよく、さらにスルホ
ン基がそれぞれ異なった塩を形成していてもよい。
【0025】本発明の共役ジエンスルホン化物、あるい
はこれから得られるスルホン化物重合体の構造は、赤外
線吸収スペクトルによってスルホン基の吸収より確認で
き、これらの組成比は電位差、電導度などの酸・アルカ
リ滴定により知ることができる。また、核磁気共鳴スペ
クトルによりアルキル基やオレフィン性水素などの存在
によってその構造を確認することができる。
【0026】本発明の共役ジエンスルホン化物から得ら
れるスルホン化物重合体は、セメント分散剤、コンクリ
ート分散剤、炭酸カルシウム分散剤、石炭分散剤、石膏
分散剤、ピグメント分散剤、石油・石炭混合物分散剤な
どの分散剤;炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリ
カなどのスケール防止剤、防蝕剤などの水処理剤;吸水
ゲル;反応性乳化剤、繊維染色剤などに使用することが
できる。また、前記共役ジエンスルホン化物重合体は、
単独重合体または他の単量体との共重合体とすることに
よって親水性を高めた樹脂、ゴムの帯電防止、繊維の着
色性改良などの多くの用途に使用することが可能であ
る。
【0027】
【実施例】以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はない。また、実施例中、%および部は、特に断らない
限り重量基準である。 実施例1 内容積1リットルの四つ口フラスコをチッ素置換したの
ち、あらかじめ脱水、脱酸素処理を施した塩化メチレン
400mlを入れ、次に脱水、脱酸素処理を施したジオ
キサン31mlを加え撹拌しながら5〜10℃に冷却し
た。次に、三酸化イオウ15ml(28.8g=0.3
6モル)を滴下し、三酸化イオウとジオキサンの錯体を
形成させた。さらに、15分間反応させた。この溶液に
イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)24.
5g(0.36モル)を溶かした塩化メチレン溶液15
0mlを1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに30
分間撹拌を続けた。
【0028】次に、水酸化ナトリウム14.4gを溶解
させた水溶液100mlを加え、フラスコ内圧を減圧に
し、徐々にウォーターバスで加熱し、溶媒およびジオキ
サンを留出させ、除去し、乾固させることによって、生
成物(粗2−メチル−1,3−ブタジエン−1−スルホ
ン酸ナトリウム)50.2gを得た。この生成物を30
0ccの水に溶解させたのち、トルエン200ccを加
え激しく振とうし、トルエン可溶分を抽出し、水溶液を
乾固した。
【0029】次に、このようにして得られた2−メチル
−1,3−ブタジエン−1−スルホン酸ナトリウム(以
下「MBSN」という)2gを、30mlの耐圧ビンに
入れ、チッ素置換したのち、過硫酸ナトリウム0.06
gを加え、70℃の回転重合槽で2時間重合を行った。
重合体の重合転化率は65%であり、ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー(GPC)分析の結果、ポリス
チレンスルホン酸ナトリウム換算重量平均分子量(以下
「重量平均分子量」という)は20,000であり、ま
たスルホン酸基を滴定により定量したところ5.5ミリ
当量/gであった。得られた重合体の核磁気共鳴スペク
トル( 1H−NMR)を図1に、また赤外吸収スペクト
ルを図2に示す。図1〜2より、本実施例の重合体は、
下記の繰り返し構造単位を主成分にしていることが判明
した。 (式中、m、nは、重量平均分子量に対応する繰り返し
構造単位数を表し、核磁気共鳴スペクトルにより、m:
nの比は約54:46であることが判明した。)
【0030】実施例2 実施例1で合成したMBSNとメタクリル酸との共重合
を実施した。すなわち、MBSN13g(0.076モ
ル)と、メタクリル酸6.5g(0.076モル)と
を、100mlの耐圧ビンに入れ、水58.5gおよび
過硫酸カリウム0.20gを加えたのち、打栓し、70
℃で5時間重合を行った。重合体の重合転化率は74%
であり、重量平均分子量は28,500であった。得ら
れた重合体をセルロースチューブで透析し、低分子量分
を除去したのち、核磁気共鳴スペクトル( 1H−NM
R、図3)および赤外吸収スペクトル(図4)を測定し
た。図3の核磁気共鳴スペクトルより、両者の共重合組
成比を求めたところ、MBSN/メタクリル酸(モル
比)=29/71であった。
【0031】実施例3〜5 実施例2のメタクリル酸の代わりに、アクリル酸、アク
リルアミドおよびスチレンスルホン酸ナトリウムを用
い、実施例2と同様に共重合を実施した。結果を表1〜
2に示す。
【0032】実施例2〜5および図3〜10から明らか
なように、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)およ
び赤外吸収スペクトルにおいて、スルホン化物(MBS
N)と他の単量体との重合体の吸収が認められる。ま
た、実施例1のMBSN単独重合体と実施例5のスチレ
ンスルホン酸ナトリウムの共重合体のGPCチャートを
図11に示す。図11から明らかなように、MBSNの
単独重合体は赤外吸収スペクトル(RI)の検出器によ
って検出されるが、紫外線吸収スペクトル(UV、波長
254nm)の検出器では検出されないことが分かる。
一方、実施例5のMBSNとスチレンスルホン酸ナトリ
ウムとの共重合体は、RIとUVとで検出され、相似形
をしている。このことは、単独重合体の混合物であれば
UV検出器においてMBSNの単独重合体が検出され
ず、スチレンスルホン酸ナトリウムの単独重合体のみが
検出されるためRIとUVでは、全く違った形となる。
このように、本発明である実施例5のGPCチャートに
おいて、RIとUVで検出されたものが相似形をしてい
るという事実は、共重合体であることを示すものであ
る。
【0033】比較例1 市販試薬であるビニルスルホン酸ナトリウムを用い、実
施例1と同様に重合を行った。重合体の重合転化率は3
2%、重合体の重量平均分子量は約1,000であっ
た。
【0034】比較例2 市販試薬であるアリルスルホン酸ナトリウムを用い、実
施例1と同様に重合を行った。重合体の重合転化率は4
7%、重合体の重量平均分子量は約400であった。実
施例1と比較例1〜2の対比から明らかなように、本発
明のスルホン化物は、重合転化率が高く、かつ得られる
重合体の分子量が高いという特徴を有し、従来公知のビ
ニルスルホン酸ナトリウムやアリルスルホン酸ナトリウ
ムなどに比較して工業原料として優れていることが分か
る。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】実施例6 実施例1の塩化メチレン400mlの代わりに、ジオキ
サン400mlを用い、20℃にて三酸化イオウと反応
させて錯体を形成させた。次に、この溶液にイソプレン
24.5g(0.36モル)を溶かしたジオキサン溶液
150mlを1時間かけて滴下した。滴下終了後、さら
に30分間撹拌を続けた。次に、1.6モル/lの濃度
のn−ブチルリチウムのヘキサン溶液を30分間かけて
滴下し、さらに30℃にて12時間反応させた。反応終
了後、メタノール300mlを加えたのち、溶媒を除去
し、乾固させ、生成物(2−メチル−1,3−ブタジエ
ン−1−スルホン酸リチウム)45.1gを得た。この
生成物を、実施例1と同様に重合を行ったところ、重合
転化率は9.8%であり、GPC分析の結果、重量平均
分子量は9,000であった。
【0038】実施例7 実施例1の水酸化ナトリウムの濃度を50%水溶液に変
えた。水酸化ナトリウム水溶液を加えたのち、40℃に
て5時間撹拌した。生成した沈澱をろ過し、沈澱を真空
乾燥することによって無色粉末62.5gを得た。この
スルホン化物の核磁気共鳴スペクトル( 1H−NMRお
よび13C−NMR)を図12〜13に、同赤外吸収スペ
クトルを図14に、さらに同DSCチャートを図15に
それぞれ示す。このスルホン化物を用いて、実施例1と
同様に重合を行ったところ、重合転化率は71%、重量
平均分子量41,000の重合体を得た。
【0039】実施例8 実施例7と同様に、反応器中に水酸化ナトリウム水溶液
を加えたのち、図16に示した装置を取りつけ、反応系
に存在する水を塩化メチレンとともに共沸させ、冷却し
たのち、塩化メチレンのみ反応系に戻す操作を24時間
繰り返したところ、反応系より取り出される水の量は一
定になった。生成した沈澱を真空乾燥することによっ
て、無色粉末65.7gを得た。実施例1と同様に重合
を行い、重合転化率75%、重量平均分子量40,00
0の重合体を得た。
【0040】比較例3 実施例1の水酸化ナトリウム水溶液の代わりに、蒸溜水
500mlを加え、40℃にて5時間撹拌したのち、−
600mmHgに減圧し、加熱することによって有機溶
媒を全て除去し、総量200gの水溶液まで濃縮した。
この水溶液中の固形分は22.6%であった。この溶液
に固形分100部に対し、3部に相当する過硫酸カリウ
ムを加え、実施例1と同様に重合を行ったが、重合体は
全く得られなかった。Izuvest.Akad.Na
uk.SSSR,Ser,Khim.1327(197
9)に記載されているように、水単独では2−メチル−
4−ヒドロキシ−2−ブテン−1−スルホン酸が生じ、
目的とする共役ジエンのスルホン化物が得られないため
と推定される。
【0041】
【発明の効果】本発明の共役ジエンスルホン化物は、重
合転化率が高く、かつ得られる重合体の分子量が高いと
いう特徴を有している。また、得られる共役ジエンスル
ホン化物重合体は、強酸性を示すスルホニル基を有し、
イオン交換容量が多く、かつ高分子量の重合体を容易に
製造することができ、各種の分散剤、乳化剤、水処理剤
などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】スルホン化物重合体の核磁気共鳴スペクトル(
1H−NMR)である。
【図2】スルホン化物重合体の赤外吸収スペクトルであ
る。
【図3】スルホン化物共重合体の核磁気共鳴スペクトル
1H−NMR)である。
【図4】スルホン化物共重合体の赤外吸収スペクトルで
ある。
【図5】スルホン化物共重合体の核磁気共鳴スペクトル
1H−NMR)である。
【図6】スルホン化物共重合体の赤外吸収スペクトルで
ある。
【図7】スルホン化物共重合体の核磁気共鳴スペクトル
1H−NMR)である。
【図8】スルホン化物共重合体の赤外吸収スペクトルで
ある。
【図9】スルホン化物共重合体の核磁気共鳴スペクトル
1H−NMR)である。
【図10】スルホン化物共重合体の赤外吸収スペクトル
である。
【図11】スルホン化物(共)重合体のGPCチャート
である。
【図12】共役ジエンのスルホン化物の核磁気共鳴スペ
クトル( 1H−NMR)である。
【図13】共役ジエンのスルホン化物の核磁気共鳴スペ
クトル(13C−NMR)である。
【図14】共役ジエンのスルホン化物の赤外吸収スペク
トルである。
【図15】共役ジエンのスルホン化物のDSCチャート
である。
【図16】本発明に使用される反応装置の概略図であ
る。
フロントページの続き (72)発明者 石川 克廣 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本 合成ゴム株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表される共役ジエン
    スルホン化物。 〔一般式(I)中、Xは、水素原子、アルカリ金属原
    子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基もしくはア
    ミノ基である。〕
  2. 【請求項2】 共役ジエンの環状スルホン酸エステル
    に、塩基性化合物または塩基性化合物の水溶液および/
    もしくはアルコール溶液を反応させる請求項1記載の共
    役ジエンスルホン化物の製造方法。
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