JP2817320B2 - 架橋ポリオレフィン材料の製造方法 - Google Patents

架橋ポリオレフィン材料の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、高圧電力ケーブルの絶縁体などに用いられ
る架橋ポリオレフィン材料において、酸化防止剤のブル
ーミング現象の生じにくい材料を容易に提供しうる、架
橋ポリオレフィン材料の製造方法の改良に関するもので
ある。
(材料の技術) 架橋ポリオレフィン材料、特に架橋ポリエチレン材料
は、良好な電気性能、高温での耐変形性。高度の耐薬品
性などの優秀な特性を有しており、高圧電力ケーブルの
絶縁体などに使用されている。
この材料は、ポリオレフィン、酸化防止剤及び架橋剤
とを主要構成分として含み、通常これらの成分が混合さ
れたペレットなどの形態で供給される。
(発明が解決しようとする課題) このようなペレットは、混合後に即座に成形加工され
る場合にはよいが、そうでない場合に酸化防止剤がペレ
ットの表面に析出する、いわゆるブルーミング現象を生
じ、その表面に酸化防止剤の粉末をまぶしたような状態
となる。
この粉末は容易にペレットなどの表面から取れ、押出
機の材料供給部分などに付着しあるいは材料中に入るこ
とで局部的な酸化防止剤の過少あるいは過多を引き起こ
す。
そのために、材料混合後の使用までの時間を制限した
り、ブルーミング現象が生じにくいように低温度でペレ
ットなどを保管したりするといったような対策が用いら
れている場合があるが、管理が煩雑であるとの問題があ
った。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討
した結果、ポリオレフィンと酸化防止剤などの混合時
に、予め少量の有機過酸化物を添加、反応させて、酸化
防止剤をポリオレフィンの分子鎖に化学的に結合させる
ことにより、酸化防止剤がブルーミング現象しにくくな
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は; ポリオレフィンと酸化防止剤と架橋剤とを主要構成
分として含む架橋ポリオレフィン材料の各構成分の混合
時に、予めポリオレフィンと酸化防止剤と少量の有機過
酸化物とを酸化防止剤の融点以上でかつ該有機過酸化物
の反応温度以上の温度で混合し、該少量の有機過酸化物
を反応せしめた後、架橋剤を混合ないし含浸などの方法
により添加することを特徴とする、架橋ポリオレフィン
材料の製造方法を提供し、かつ、 ポリオレフィンとしてポリエチレンを用いる点に、
また 有機過酸化物として過酸化ジアルキルを用いる点
に、また 酸化防止剤としてチオビスフェノール系を用いる点
に、また 架橋ポリオレフィン材料がペレットの形態で供給さ
れる点にも特徴を有する。
さらに、本発明を具体的に説明する。
本発明に使用する酸化防止剤としては、例えば4,4′
−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノー
ル)、2,2′−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メ
チルフェノール)、ジラウリル−3,3′−チオジプロピ
オネート、ジステアリル3,3′−チオジプロピオネー
ト、テトラキス〔メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−
ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
メタン、ペンタエリスリトールテトラキス(β−ラウリ
ルチオプロピオネート)、n−オクタデシル−3−
(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネートなどを単独であるいは2種以上を混
合して用いることができる。好ましくはチオビスフェノ
ール系酸化防止剤、特に好ましくは4,4′−チオビス
(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)を挙げるこ
とができる。
上記酸化防止剤の添加量は、ポリオレフィンを酸化防
止するのに充分な量であれば特に制限されないが、一般
に、ポリオレフィン100重量部に対して0.05〜5重量部
を用いることができる。
また、少量で使用される有機過酸化物としては、例え
ばジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイ
ド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)
ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキシン−3、α、α′−ビス(t−ブチルパー
オキシ−m−イソプロピル)ベンゼンなどを用いること
ができるが、好ましくは過酸化ジアルキル、特に好まし
くはジクミルパーオキシドを挙げることができる。
上記有機過酸化物の添加量は、使用した酸化防止剤を
ポリオレフィンの分子鎖にグラフト化など化学的に結合
させるのに充分な範囲の少量に留める必要があり、使用
した酸化防止剤の添加量及びポリオレフィンの種類など
により必ずしも一定しないが、一般にポリオレフィン10
0重量部に対して0.01〜1.0重量部、好ましくは0.05〜0.
6重量部である。
この有機過酸化物0.01重量部以下では酸化防止剤のブ
ルーム現象抑制効果が見られず、また、1.0重量部以上
ではポリオレフィン自体の架橋反応が進行してしまい、
このポリオレフィン架橋材料を成形、例えば押出成形し
た場合の押出外観が悪化する。
使用するポリオレフィン材料としては、特に制限され
ないが、一般にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブ
テン−1、ポリメチルペンテン−1などを単独にあるい
はそれらの組み合わせを挙げることができる。好ましく
は高密度、中密度、低密度のポリエチレンである。
上記ポリオレフィンと酸化防止剤と少量の有機過酸化
物とを、該酸化防止剤の融点以上でかつ該有機過酸化物
の反応温度以上の温度で混合し、該少量の有機過酸化物
を反応せしめて該酸化防止剤をポリオレフィンにグラフ
ト化など化学的に結合することに特徴がある。
ここで言う有機過酸化物の反応温度とは、10分間でそ
の有機過酸化物の半量が反応する温度を指す。
この場合に、この混合・反応温度は、使用した酸化防
止剤の融点及び有機過酸化物の反応温度以上であれば特
に制限されないが、一般に、160〜220℃程度で行うこと
ができる。
次に、このように混合が終了した後に、架橋剤を添加
する。
この際に、架橋剤の添加方法としては特に制限されな
いが、一般的に混合あるいは含浸の方法により行うこと
ができる。この添加の温度は、架橋剤の架橋反応が余り
起こらない程度の低い温度、例えば40〜130℃程度で行
うことが好ましい。
使用する架橋剤としては、ポリオレフィンを架橋する
ものなら特に制限されないが、好ましくは前記有機過酸
化物を使用する。また、この架橋剤は、前段階で使用し
た有機過酸化物と同じであってもなくても良いが、操作
の簡便性及び得られる成形品の物性管理の点からは同じ
有機過酸化物の使用が有利である。
架橋ポリオレフィン材料の形態は、粉末状でも、ペレ
ット状などの予備成形体でも任意の形態でよいが、電線
被覆等の押出被覆品に用いる場合などには、ペレット状
が好ましい。
本発明の架橋ポリオレフィン材料には、必要に応じ
て、他の熱安定性、紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤、充填
剤、着色剤、他のゴム、樹脂などを配合できる。
また、本発明の架橋ポリオレフィン材料は、電線(ケ
ーブル)の絶縁体などの押出成形品に限らず、射出成形
品、チューブ、圧縮成形品、発泡成形品など、架橋ポリ
オレフィン材料を要する用途に広く適用できる。
(作用) 有機過酸化物は、高温下において分解反応を生じてラ
ジカルを発生させる。本発明において、このラジカルが
ポリオレフィン、酸化防止剤の双方に働いて酸化防止剤
をポリオレフィンの分子鎖にグラフト化させる。
このグラフト化された酸化防止剤は、ポリオレフィン
の分子鎖に化学的に強固に固定されてしまい、例えば有
機溶剤などで抽出操作をしても容易には抽出されなくな
る。
このような作用により、酸化防止剤のブルーミング現
象を抑制することができる。
(実施例) 本発明を実施例により具体的に説明するが、これらは
本発明の範囲を限定するものでない。
ポリエチレン(住友化学(株)製 G−808)100重量
部に対して、酸化防止剤〔4,4′−チオビス(6−t−
ブチル−3−メチルフェノール):商品名スミライザー
−WX−R(住友化学(株)製〕を0.2重量部及び所定量
の有機過酸化物を添加し、180℃で10分間混合し、下記
第1表に示す配合物を作成した。
これらの配合物を直径約5mm、長さ約3mmの円筒状にペ
レット化し、次にこの配合物100重量部に対して、1.5重
量部の架橋剤としてのジクミルパーオキシドを含浸さ
せ、供試材料とした。
これらのペレットを50℃の温度下で10日間放置し、ペ
レット表面にブルームしてきた酸化防止剤を測定した。
また、これらの材料を30mm押出機で棒状に押出し、押
出された材料の外観を観察した。
その結果を同様に第1表に示す。
実施例1〜3及び比較例1の結果より、本発明の架橋
ポリエチレン材料は、通常の架橋ポリエチレン材料に比
べて酸化防止剤のブルーム現象が生じ難くなっているの
が判る。
また、実施例1と比較例2との結果より、有機過酸化
物は0.01重量部以下ではブルーム現象抑制効果がなく、
また、0.05重量部以上が望ましいことが判る。
さらに、実施例3及び比較例3の結果より、有機過酸
化物は、1.0重量部以上では架橋ポリエチレン材料を押
出した場合の押出外観が悪化するために、0.6重量部以
下が望ましいことが判る。
押出外観が悪化するのは、ポリエチレン自体の架橋反
応が進んでしまうためである。
なお、実施例4〜5の結果より、ジクミルパーオキシ
ド以外の過酸化ジアルキルを用いても、同様の効果が得
られることが判る。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明の架橋ポリオレフィン材
料の製造方法によると、材料の保管時における酸化防止
剤のブルーミング現象を抑制することが可能となり、ブ
ルーミングした酸化防止剤が押出機の材料供給部などに
付着し、また、材料中に入ることで生じる酸化防止剤の
局部的な過多あるいは過少を防ぐことが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 23/00 - 23/36

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィンと酸化防止剤と架橋剤とを
    主要構成分として含む架橋ポリオレフィン材料の各構成
    分の混合時に、予めポリオレフィンと酸化防止剤と少量
    の有機過酸化物とを酸化防止剤の融点以上でかつ該有機
    過酸化物の反応温度以上の温度で混合し、該少量の有機
    過酸化物を反応せしめた後、架橋剤を混合ないし含浸な
    どの方法により添加することを特徴とする、架橋ポリオ
    レフィン材料の製造方法。
  2. 【請求項2】ポリオレフィンがポリエチレンであること
    を特徴とする、請求項(1)記載の架橋ポリオレフィン
    材料の製造方法。
  3. 【請求項3】有機過酸化物が過酸化ジアルキルであるこ
    とを特徴とする、請求項(1)〜(2)のいずれかに記
    載の架橋ポリオレフィン材料の製造方法。
  4. 【請求項4】酸化防止剤がチオビスフェノール系である
    ことを特徴とする、請求項(1)〜(3)のいずれかに
    記載の架橋ポリオレフィン材料の製造方法。
  5. 【請求項5】架橋ポリオレフィン材料がペレットの形態
    で供給されることを特徴とする、請求項(1)〜(4)
    のいずれかに記載の架橋ポリオレフィン材料の製造方
    法。
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