JP2816595B2 - 連続焼鈍による軟質表面処理用原板の製造方法 - Google Patents
連続焼鈍による軟質表面処理用原板の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は錫メッキやクロム酸処理などの表面処理が施
されるテンパー度3以下の軟質表面処理用原板を連続焼
鈍で製造する方法に関するものである。
されるテンパー度3以下の軟質表面処理用原板を連続焼
鈍で製造する方法に関するものである。
(従来の技術) 軟質表面処理用原板は、従来は箱焼鈍炉により製造さ
れていたが、この場合は焼鈍時間が長く製造コスト、生
産性において問題があった。
れていたが、この場合は焼鈍時間が長く製造コスト、生
産性において問題があった。
そのため、軟質表面処理用原板を連続焼鈍で製造する
方法が提案された。例えば、特開昭59−93826公報記載
の方法がある。同公報記載の方法は、冷却ロールにより
50〜500℃/秒で過時効処理温度まで急冷する方法で、
同公報によれば「従来のガスジェット冷却の際に必要な
過時効時間(5分〜10分)を大幅に減少させ、1分30秒
〜5分程度まで短縮できる」とある。しかし、この過時
効処理時間の1分30秒〜5分は、冷間圧延組織を再結晶
させ軟質化を図る上で最も重要である均熱時間(通常は
10〜30秒)に比べれば、まだまだ長過ぎ、設備費を減少
させることが可能となる短時間過時効処理の連続焼鈍に
よる軟質表面処理用原板の製造方法の実現が望まれてい
る。
方法が提案された。例えば、特開昭59−93826公報記載
の方法がある。同公報記載の方法は、冷却ロールにより
50〜500℃/秒で過時効処理温度まで急冷する方法で、
同公報によれば「従来のガスジェット冷却の際に必要な
過時効時間(5分〜10分)を大幅に減少させ、1分30秒
〜5分程度まで短縮できる」とある。しかし、この過時
効処理時間の1分30秒〜5分は、冷間圧延組織を再結晶
させ軟質化を図る上で最も重要である均熱時間(通常は
10〜30秒)に比べれば、まだまだ長過ぎ、設備費を減少
させることが可能となる短時間過時効処理の連続焼鈍に
よる軟質表面処理用原板の製造方法の実現が望まれてい
る。
(発明が解決しようとする課題) 本発明で解決しようとする課題は、過時効処理時間が
短く、設備費を軽減し得る短時間過時効処理の連続焼鈍
で軟質表面処理用原板を製造する方法を提供することで
ある。
短く、設備費を軽減し得る短時間過時効処理の連続焼鈍
で軟質表面処理用原板を製造する方法を提供することで
ある。
(課題を解決するための手段) 本発明者等は、過時効処理時間が短く、設備費を軽減
し得る短時間過時効処理の連続焼鈍法で軟質表面処理用
原板を製造する方法について、成分含有量、熱延条件、
連続焼鈍条件について総合的に検討し、連続焼鈍による
軟質表面処理用原板の製造方法を創案したものである。
し得る短時間過時効処理の連続焼鈍法で軟質表面処理用
原板を製造する方法について、成分含有量、熱延条件、
連続焼鈍条件について総合的に検討し、連続焼鈍による
軟質表面処理用原板の製造方法を創案したものである。
本発明の要旨とするところは、C:0.008〜0.060%,Mn:
0.05〜0.30%,P:0.001〜0.025%,S:0.002〜0.025%,so
l.Al:0.025〜0.100%,N≦0.0060%,残部鉄及び不可避
的不純物よりなる鋼片を加熱し、1200×C%+605≦C.T
(℃)≦730の範囲の巻き取り温度(C.Tと記す)で巻き
取り熱延鋼帯とし、冷間圧延を行い、その後、連続焼鈍
にて660〜750℃で3〜30秒の再結晶焼鈍を行い、650℃
以上の温度域より40℃/秒以上、好ましくは100〜500℃
/秒の冷却速度で200〜400℃の温度域まで冷却し、少な
くとも50℃以上の再加熱を行い、400〜520℃の温度に加
熱し、400〜520℃の温度域で5〜30秒間滞在させ、過時
効処理を行うことを特徴とする連続焼鈍による軟質表面
処理用原板の製造方法にある。
0.05〜0.30%,P:0.001〜0.025%,S:0.002〜0.025%,so
l.Al:0.025〜0.100%,N≦0.0060%,残部鉄及び不可避
的不純物よりなる鋼片を加熱し、1200×C%+605≦C.T
(℃)≦730の範囲の巻き取り温度(C.Tと記す)で巻き
取り熱延鋼帯とし、冷間圧延を行い、その後、連続焼鈍
にて660〜750℃で3〜30秒の再結晶焼鈍を行い、650℃
以上の温度域より40℃/秒以上、好ましくは100〜500℃
/秒の冷却速度で200〜400℃の温度域まで冷却し、少な
くとも50℃以上の再加熱を行い、400〜520℃の温度に加
熱し、400〜520℃の温度域で5〜30秒間滞在させ、過時
効処理を行うことを特徴とする連続焼鈍による軟質表面
処理用原板の製造方法にある。
以下に本発明について詳細に述べる。
本発明者等は、過時効処理時間が短く、設備費を軽減
し得る短時間過時効処理の連続焼鈍法で軟質表面処理原
板を製造する方法について、成分含有量、熱延条件、連
続焼鈍条件について総合的に検討し、再結晶焼鈍後の
結晶粒径を大きくするために成分含有量、熱延条件を適
切な条件にすること、結晶粒径の大きな鋼帯に適切な
条件の再加熱過時効処理(連続焼鈍で均熱後急冷した
後、過時効処理温度まで再加熱を行い、過時効処理を行
う処理)を施すことの2つを適切に組み合わせることに
より初めて可能となることを見出したものである。
し得る短時間過時効処理の連続焼鈍法で軟質表面処理原
板を製造する方法について、成分含有量、熱延条件、連
続焼鈍条件について総合的に検討し、再結晶焼鈍後の
結晶粒径を大きくするために成分含有量、熱延条件を適
切な条件にすること、結晶粒径の大きな鋼帯に適切な
条件の再加熱過時効処理(連続焼鈍で均熱後急冷した
後、過時効処理温度まで再加熱を行い、過時効処理を行
う処理)を施すことの2つを適切に組み合わせることに
より初めて可能となることを見出したものである。
再加熱過時効処理法において固溶Cを速やかに低減す
るためには、(1)再加熱過時効処理前の急冷直後の固
溶Cを70ppm以上、好ましくは100ppm以上と過剰に存在
せしめること、(2)急冷の終点温度を400℃以下でか
つ最高過時効処理温度よりも少なくとも50℃以上低い温
度とすること、(3)過時効処理は400〜520℃で少なく
とも5秒以上行うことが必要であることがわかった。
るためには、(1)再加熱過時効処理前の急冷直後の固
溶Cを70ppm以上、好ましくは100ppm以上と過剰に存在
せしめること、(2)急冷の終点温度を400℃以下でか
つ最高過時効処理温度よりも少なくとも50℃以上低い温
度とすること、(3)過時効処理は400〜520℃で少なく
とも5秒以上行うことが必要であることがわかった。
(1)の過剰の固溶Cは過時効処理中に結晶粒内に微
細且つ数多くのセメンタイトの核を生成させるのに不可
欠なもので、この結晶粒内の高密度のセメンタイトの核
は固溶Cが析出するのに必要なCの拡散距離を大幅に減
少させることになり、かくして固溶Cは速やかに低減
し、過時効処理時間を大幅に短縮することができる。
細且つ数多くのセメンタイトの核を生成させるのに不可
欠なもので、この結晶粒内の高密度のセメンタイトの核
は固溶Cが析出するのに必要なCの拡散距離を大幅に減
少させることになり、かくして固溶Cは速やかに低減
し、過時効処理時間を大幅に短縮することができる。
急冷直後の固溶Cを70ppm以上、好ましくは100ppm以
上と過剰に存在せしめるには、(1)−1)C含有量を
少なくとも80ppm以上とすること、(1)−2)均熱後
の結晶粒径を大きくすること、(1)−3)急冷開始温
度を650℃以上とすること、(1)−4)急冷の冷却速
度を少なくとも40℃/秒以上、好ましくは100℃/秒以
上とすること、が必要であることがわかった。
上と過剰に存在せしめるには、(1)−1)C含有量を
少なくとも80ppm以上とすること、(1)−2)均熱後
の結晶粒径を大きくすること、(1)−3)急冷開始温
度を650℃以上とすること、(1)−4)急冷の冷却速
度を少なくとも40℃/秒以上、好ましくは100℃/秒以
上とすること、が必要であることがわかった。
尚、再結晶焼鈍後の結晶粒径を大きくすることが急冷
後の過剰な固溶C量を確保するのに不可欠な理由は、均
熱後の鋼板に存在する多量の固溶Cは、急冷中でも結晶
粒界にセメンタイトとして析出し固溶C量を低減させて
しまうが、再結晶焼鈍後の結晶粒径を大きくすることに
よって、析出するのに必要なCの拡散距離(結晶粒界ま
での距離)が大きくなり、このため結晶粒界に析出する
固溶C量が減少し、かくして高い固溶C量を確保するこ
とが可能となるからである。再結晶焼鈍後の結晶粒径を
大きくすることは、特に結晶粒径が小さくなるような高
冷延率が施される錫メッキ等のメッキ用原板には極めて
重要で不可欠である。
後の過剰な固溶C量を確保するのに不可欠な理由は、均
熱後の鋼板に存在する多量の固溶Cは、急冷中でも結晶
粒界にセメンタイトとして析出し固溶C量を低減させて
しまうが、再結晶焼鈍後の結晶粒径を大きくすることに
よって、析出するのに必要なCの拡散距離(結晶粒界ま
での距離)が大きくなり、このため結晶粒界に析出する
固溶C量が減少し、かくして高い固溶C量を確保するこ
とが可能となるからである。再結晶焼鈍後の結晶粒径を
大きくすることは、特に結晶粒径が小さくなるような高
冷延率が施される錫メッキ等のメッキ用原板には極めて
重要で不可欠である。
(1)−2)均熱後の結晶粒径を大きくすることを可
能にする主要な条件は、1200×C%+605≦C.T(℃)≦
730の範囲の巻き取り温度、660〜750℃で3〜30秒の再
結晶焼鈍である。中でも1200×C%+605≦C.T(℃)≦
730の範囲を満たすC含有量とC.Tが最も重要な点であ
る。
能にする主要な条件は、1200×C%+605≦C.T(℃)≦
730の範囲の巻き取り温度、660〜750℃で3〜30秒の再
結晶焼鈍である。中でも1200×C%+605≦C.T(℃)≦
730の範囲を満たすC含有量とC.Tが最も重要な点であ
る。
以下に製造条件について詳細に述べる。
Cは、テンパー度を決める硬度に影響する、再結晶焼
鈍後の結晶粒径に影響を与え、急冷後の固溶C量を変化
させ、再加熱過時効処理後の固溶Cをも増減させる重要
な元素である。C量が0.008%未満ではC量の絶対量が
不足し、急冷後の固溶C量が少なくなり、再加熱過時効
処理後の固溶Cを増やし時効劣化量が増加し、かえって
硬度が増えるので、下限のC含有量を0.008%とした。
C含有量が0.060%超になるとテンパー度3(以下T−
3と記す。又、同様にテンパー度2.5,2,1はT−2.5,T−
2,T−1と記す。)の硬度が得られなくなるのでC含有
量の上限を0.060%とした。更に、C含有量は、1200×
C%+605≦C.T(%)≦730の範囲を満たさないとT−
3の硬度が得られなくなるので、この条件も満足させる
必要がある。
鈍後の結晶粒径に影響を与え、急冷後の固溶C量を変化
させ、再加熱過時効処理後の固溶Cをも増減させる重要
な元素である。C量が0.008%未満ではC量の絶対量が
不足し、急冷後の固溶C量が少なくなり、再加熱過時効
処理後の固溶Cを増やし時効劣化量が増加し、かえって
硬度が増えるので、下限のC含有量を0.008%とした。
C含有量が0.060%超になるとテンパー度3(以下T−
3と記す。又、同様にテンパー度2.5,2,1はT−2.5,T−
2,T−1と記す。)の硬度が得られなくなるのでC含有
量の上限を0.060%とした。更に、C含有量は、1200×
C%+605≦C.T(%)≦730の範囲を満たさないとT−
3の硬度が得られなくなるので、この条件も満足させる
必要がある。
Mn含有量は、0.30%超になるとT−3の硬度が得られ
なくなるので0.03%を上限値とした。尚、0.05%未満は
通常の製造法では得られないので下限値を0.05%とし
た。
なくなるので0.03%を上限値とした。尚、0.05%未満は
通常の製造法では得られないので下限値を0.05%とし
た。
P含有量は、0.025%超になるとT−3の硬度が得ら
れなくなるので0.025%を上限値とした。尚、0.001%未
満は通常の製造法では得られないので下限値を0.001%
とした。
れなくなるので0.025%を上限値とした。尚、0.001%未
満は通常の製造法では得られないので下限値を0.001%
とした。
S含有量は、0.025%超になるとT−3の硬度が得ら
れなくなるので0.025%を上限値とした。尚、0.002%未
満は通常の製造法では得られないので下限値を0.002%
とした。
れなくなるので0.025%を上限値とした。尚、0.002%未
満は通常の製造法では得られないので下限値を0.002%
とした。
sol.Alは、NをAlNとして固定するために必要な元素
で、sol.Al含有量が0.025%未満となるとNをAlNとして
十分に固定出来なくなり、再結晶焼鈍中に微細なAlNが
析出し、再結晶粒を微細化し、材質を硬くし硬質なブリ
キ原板が得られなくなるので、下限のsol.Al量を0.025
%とした。又、0.100%超になると材質が硬化しT−3
の硬度が得られなくなるので0.100%を上限値とした。
で、sol.Al含有量が0.025%未満となるとNをAlNとして
十分に固定出来なくなり、再結晶焼鈍中に微細なAlNが
析出し、再結晶粒を微細化し、材質を硬くし硬質なブリ
キ原板が得られなくなるので、下限のsol.Al量を0.025
%とした。又、0.100%超になると材質が硬化しT−3
の硬度が得られなくなるので0.100%を上限値とした。
N含有量は、0.0060%超になると焼鈍後の結晶粒が細
かくなり所望の硬度が得られなくなるので0.0060%以下
とした。尚、N含有量は低いほど軟質な鋼板が得られる
ので下限は特に規制する必要はない。
かくなり所望の硬度が得られなくなるので0.0060%以下
とした。尚、N含有量は低いほど軟質な鋼板が得られる
ので下限は特に規制する必要はない。
熱延条件は、CとNを無害化し均熱後の結晶粒径を大
きくするための重要な工程で、そのための主要な条件
は、1200×C%+605≦C.T(℃)≦730の範囲の巻き取
り温度である。巻き取り温度が1200×C%+605≦C.T
(℃)を満たさない場合は、均熱後の結晶粒径を大きく
することが出来なくなり、材質が硬化しT−3の硬度が
得られなくなる。又、巻き取り温度が730℃超ではスケ
ールが異常に厚くなり、酸洗性が大幅に劣化するように
なるので上記の熱延条件に規制した。尚、熱延の加熱条
件は、特に規制する必要がなく通常行われる加熱条件で
よいが、より軟質な鋼板を得るには、1150℃以下の加熱
温度(SRTと記す)が好ましい。
きくするための重要な工程で、そのための主要な条件
は、1200×C%+605≦C.T(℃)≦730の範囲の巻き取
り温度である。巻き取り温度が1200×C%+605≦C.T
(℃)を満たさない場合は、均熱後の結晶粒径を大きく
することが出来なくなり、材質が硬化しT−3の硬度が
得られなくなる。又、巻き取り温度が730℃超ではスケ
ールが異常に厚くなり、酸洗性が大幅に劣化するように
なるので上記の熱延条件に規制した。尚、熱延の加熱条
件は、特に規制する必要がなく通常行われる加熱条件で
よいが、より軟質な鋼板を得るには、1150℃以下の加熱
温度(SRTと記す)が好ましい。
連続焼鈍時の再結晶焼鈍条件は、焼鈍温度が660℃未
満であったり、均熱時間が3秒未満の場合は結晶粒径を
大きくすることが出来なくなり材質が硬化しT−3の硬
度が得られなくなる。又、均熱温度が750℃超になると
均熱帯を通過する時に鋼板が軟化し延びてしまい、形状
不良を起こし通板できなくなる。均熱時間が30秒超にな
ると生産性が悪くなるので、再結晶焼鈍は660〜750℃で
3〜30秒と規制した。
満であったり、均熱時間が3秒未満の場合は結晶粒径を
大きくすることが出来なくなり材質が硬化しT−3の硬
度が得られなくなる。又、均熱温度が750℃超になると
均熱帯を通過する時に鋼板が軟化し延びてしまい、形状
不良を起こし通板できなくなる。均熱時間が30秒超にな
ると生産性が悪くなるので、再結晶焼鈍は660〜750℃で
3〜30秒と規制した。
再結晶焼鈍後の冷却条件並びに過時効条件は、再加熱
過時効処理法において固溶Cを速やかに低減させるため
の最も重要な条件であり、そのポイントは、(1)再加
熱過時効処理前の急冷直後の固溶Cを70ppm以上、好ま
しくは100ppm以上と過剰に存在せしめること、(2)急
冷の終点温度を400℃以下で且つ最高過時効処理温度よ
りも少なくとも50℃低い温度とすること、(3)過時効
処理は400〜520℃の温度域で少なくとも5秒間以上行う
ことが必要である。
過時効処理法において固溶Cを速やかに低減させるため
の最も重要な条件であり、そのポイントは、(1)再加
熱過時効処理前の急冷直後の固溶Cを70ppm以上、好ま
しくは100ppm以上と過剰に存在せしめること、(2)急
冷の終点温度を400℃以下で且つ最高過時効処理温度よ
りも少なくとも50℃低い温度とすること、(3)過時効
処理は400〜520℃の温度域で少なくとも5秒間以上行う
ことが必要である。
(1)の過剰の固溶Cは過時効処理中に結晶粒内に微
細且つ数多くのセメンタイトの核を生成させるのに不可
欠なもので、この結晶粒内の高密度のセメンタイトの核
は固溶Cが析出するのに必要なCの拡散距離を大幅に減
少させることになり、固溶Cは速やかに低減し、過時効
処理時間を大幅に低減することができる。
細且つ数多くのセメンタイトの核を生成させるのに不可
欠なもので、この結晶粒内の高密度のセメンタイトの核
は固溶Cが析出するのに必要なCの拡散距離を大幅に減
少させることになり、固溶Cは速やかに低減し、過時効
処理時間を大幅に低減することができる。
急冷直後の固溶Cを70ppm以上、好ましくは100ppm以
上と過剰に存在せしめるには、(1)−1)C含有量を
少なくとも80ppm以上とすること、(1)−2)均熱後
の結晶粒径を大きくすること、(1)−3)急冷開始温
度を650℃以上とすること、(1)−4)急冷の冷却速
度を少なくとも40℃/秒以上、好ましくは100℃/秒以
上とすること、が必要であることがわかった。
上と過剰に存在せしめるには、(1)−1)C含有量を
少なくとも80ppm以上とすること、(1)−2)均熱後
の結晶粒径を大きくすること、(1)−3)急冷開始温
度を650℃以上とすること、(1)−4)急冷の冷却速
度を少なくとも40℃/秒以上、好ましくは100℃/秒以
上とすること、が必要であることがわかった。
従って、再結晶焼鈍後の冷却条件並びに過時効条件
は、650℃以上の温度域より40℃/秒以上、好ましくは1
00〜500℃/秒の冷却速度で200〜400℃の温度域まで冷
却し、少なくとも50℃以上の再加熱を行い、400〜520℃
の温度に加熱し、400〜520℃の温度域で5〜30秒間滞在
させ過時効処理を行うこととした。
は、650℃以上の温度域より40℃/秒以上、好ましくは1
00〜500℃/秒の冷却速度で200〜400℃の温度域まで冷
却し、少なくとも50℃以上の再加熱を行い、400〜520℃
の温度に加熱し、400〜520℃の温度域で5〜30秒間滞在
させ過時効処理を行うこととした。
尚、冷却速度の上限を500℃/秒としたのは500℃/秒
超の冷却速度では急冷の終点温度の制御性が悪くなるの
で上限を500℃/秒とし、急冷の終点温度を200℃とした
のは急冷の終点温度を200℃より低下させても材質の軟
質化効果が飽和するばかりではなく400℃までの再加熱
に要するエネルギーコストが高くなるので急冷の終点温
度を200℃とした。又過時効処理時間の上限を30秒とし
たのは、これを超えると設備投資額が増えコストが上昇
するためである。
超の冷却速度では急冷の終点温度の制御性が悪くなるの
で上限を500℃/秒とし、急冷の終点温度を200℃とした
のは急冷の終点温度を200℃より低下させても材質の軟
質化効果が飽和するばかりではなく400℃までの再加熱
に要するエネルギーコストが高くなるので急冷の終点温
度を200℃とした。又過時効処理時間の上限を30秒とし
たのは、これを超えると設備投資額が増えコストが上昇
するためである。
(実施例) 以下に本発明の効果を実施例により説明する。
第1表に示す成分、熱延条件で2.3mmの熱延鋼帯を製
造し、冷間圧延した0.25mmの冷延鋼板を第1図に示すヒ
ートサイクルで第2表に示す温度、時間条件で連続焼鈍
を施し、錫メッキ原板を得た。得られた錫メッキ原板を
240℃×3秒の錫メッキのリフロー処理のシミュレーシ
ョン処理した後、硬度(HR30T)を測定し、その結果を
第2表に示す。
造し、冷間圧延した0.25mmの冷延鋼板を第1図に示すヒ
ートサイクルで第2表に示す温度、時間条件で連続焼鈍
を施し、錫メッキ原板を得た。得られた錫メッキ原板を
240℃×3秒の錫メッキのリフロー処理のシミュレーシ
ョン処理した後、硬度(HR30T)を測定し、その結果を
第2表に示す。
鋼A,B,D,E,Fは本発明の範囲内の製造条件のもので、
鋼C,Gは本発明の範囲外の製造条件のものである。尚、
表中のC.T*は本発明の下限のC.Tを算出したものであ
る。
鋼C,Gは本発明の範囲外の製造条件のものである。尚、
表中のC.T*は本発明の下限のC.Tを算出したものであ
る。
試料1,2,4,5,6,8,11,13,15は本発明の実施例で、何れ
もHR30T≦58.5の軟質な錫メッキ原板が得られている。
もHR30T≦58.5の軟質な錫メッキ原板が得られている。
試料1,2,4,5,6は第1表に示すようにC量,C,T,SRTを
本発明の範囲内で変化させた実施例である。本発明の下
限のC.T以上のものは軟質化していることがわかる。
本発明の範囲内で変化させた実施例である。本発明の下
限のC.T以上のものは軟質化していることがわかる。
試料8,11,13,15は鋼Eを用い、第2表に示すように焼
鈍条件を本発明の範囲内で変化させた実施例である。本
発明の焼鈍条件の範囲内であれば軟質なT−3の錫メッ
キ原板が得られることがわかる。
鈍条件を本発明の範囲内で変化させた実施例である。本
発明の焼鈍条件の範囲内であれば軟質なT−3の錫メッ
キ原板が得られることがわかる。
試料3,7,9,10,12,14,16,17,18は比較例で、何れもHR3
0T>58.5で軟質な錫メッキ原板が得られていない。
0T>58.5で軟質な錫メッキ原板が得られていない。
試料3はC.Tが低く、試料7はC量が高く、本発明の
下限のC.T*を外れた比較例で、C.Tが下限を下回ると軟
質な錫メッキ原板が得られなくなることがわかる。
下限のC.T*を外れた比較例で、C.Tが下限を下回ると軟
質な錫メッキ原板が得られなくなることがわかる。
試料9はS.Tが低い、試料10はTsが低い、試料12はα
1が低い、試料14は第1図(b)に示すように過時効処
理前に再加熱を行わないサイクルの、試料16はα3が高
いために520〜400℃の滞在時間が約2秒と短い、試料17
はTrが高い、試料18はTrが低い条件の比較例で、連続焼
鈍条件が本発明の範囲外の場合は軟質なT−3の錫メッ
キ原板が得られず、本発明の焼鈍方法の効果がようわか
る。
1が低い、試料14は第1図(b)に示すように過時効処
理前に再加熱を行わないサイクルの、試料16はα3が高
いために520〜400℃の滞在時間が約2秒と短い、試料17
はTrが高い、試料18はTrが低い条件の比較例で、連続焼
鈍条件が本発明の範囲外の場合は軟質なT−3の錫メッ
キ原板が得られず、本発明の焼鈍方法の効果がようわか
る。
(発明の効果) 以上、本発明について詳細に説明したが、本発明によ
れば過時効処理時間が短く設備費を軽減し得る短時間過
時効処理の連続焼鈍で軟質表面処理用原板の製造が可能
となり、その工業的価値は大である。
れば過時効処理時間が短く設備費を軽減し得る短時間過
時効処理の連続焼鈍で軟質表面処理用原板の製造が可能
となり、その工業的価値は大である。
第1図は実施例に用いた連続焼鈍のヒートサイクルを示
す図で、(a)のサイクルIは再加熱過時効処理の、
(b)のサイクルIIは再加熱過時効処理のないヒートサ
イクルを示す図である。
す図で、(a)のサイクルIは再加熱過時効処理の、
(b)のサイクルIIは再加熱過時効処理のないヒートサ
イクルを示す図である。
Claims (1)
- 【請求項1】C:0.008〜0.060%,Mn:0.05〜0.30%,P:0.0
01〜0.025%,S:0.002〜0.025%,sol.Al:0.025〜0.100
%,N≦0.0060%,残部鉄及び不可避的不純物よりなる鋼
片を加熱し、1200×C%+605≦C.T(℃)≦730の範囲
の巻き取り温度(C.Tと記す)で巻き取り熱延鋼帯と
し、冷間圧延を行い、その後、連続焼鈍にて660〜750℃
で3〜30秒の再結晶焼鈍を行い、650℃以上の温度域よ
り40℃/秒以上の冷却速度で200〜400℃の温度域まで冷
却し、少なくとも50℃以上の再加熱を行い、400〜520℃
の温度に加熱し、400〜520℃の温度域で5〜30秒間滞在
させ、過時効処理を行うことを特徴とする連続焼鈍によ
る軟質表面処理用原板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19141590A JP2816595B2 (ja) | 1990-07-19 | 1990-07-19 | 連続焼鈍による軟質表面処理用原板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19141590A JP2816595B2 (ja) | 1990-07-19 | 1990-07-19 | 連続焼鈍による軟質表面処理用原板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0480346A JPH0480346A (ja) | 1992-03-13 |
JP2816595B2 true JP2816595B2 (ja) | 1998-10-27 |
Family
ID=16274232
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19141590A Expired - Fee Related JP2816595B2 (ja) | 1990-07-19 | 1990-07-19 | 連続焼鈍による軟質表面処理用原板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2816595B2 (ja) |
-
1990
- 1990-07-19 JP JP19141590A patent/JP2816595B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0480346A (ja) | 1992-03-13 |
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