JP3040569B2 - 連続焼鈍による表面処理原板の製造方法 - Google Patents

連続焼鈍による表面処理原板の製造方法

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JP3040569B2 JP3344090A JP34409091A JP3040569B2 JP 3040569 B2 JP3040569 B2 JP 3040569B2 JP 3344090 A JP3344090 A JP 3344090A JP 34409091 A JP34409091 A JP 34409091A JP 3040569 B2 JP3040569 B2 JP 3040569B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は錫メッキやクロム酸処理
などの表面処理が施される表面処理原板の硬さレベルが
テンパー度で3〜4の表面処理用原板を連続焼鈍で製造
する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】錫メッキやクロム酸処理などの表面処理
が施される表面処理原板の硬さレベルがテンパー度で3
〜4の表面処理用原板(以下それぞれT−3,T−4と
記す)は、従来は10〜40℃/sの加熱速度で加熱し
600〜700℃で20〜30sec均熱し10〜20
℃/sで500℃まで冷却し20〜40℃/sで室温ま
で冷却するような焼鈍時間が約2分も掛かる連続焼鈍炉
により製造されていたが、この場合は(1)焼鈍時間が
長く焼鈍炉内に滞留するコイルの長さが1000m以上
にもおよび設備長が長くなり連続焼鈍装置の建設費が高
くなる,(2)このような炉は、設備の設置スペースを
短くするためハースロールを上下に配置しその間を鋼帯
が上下しながら通過する縦パス型炉が採用されている。
そのため、より軟質なメッキ原板を製造するのに効果的
な例えば700℃を越えるような高温焼鈍では鋼板の強
度が大きく低下し絞り(しわ)が発生するようになり通
板出来なくなる。従って、高温焼鈍が出来ず、軟質な鋼
板の製造が難しくなる。(3)このような炉の場合は、
加熱、均熱帯には、高温の炉が用いられるので板厚が変
わった場合とか加熱均熱温度が変わった場合には温度の
追従が遅れ所定の温度になるまで時間が掛かるので調整
コイルを通過させ温度調整を行う必要が生じる。従っ
て、生産性のロスやエネルギーロス等を回避しようとす
れば板厚や設定温度の変化がなるべく少ないように通板
の順番をスケジューリングする必要があり製品の納期管
理や在庫増の問題が生じる。以上(1),(2),
(3)等の問題がある。
【0003】一方、短時間連続焼鈍法に付いても考案及
び研究がなされており、特公昭36−10052号公
報、特公昭36−21155号公報、特公昭40−30
20号公報、特公昭46−19781号公報、及び、
「Recrystallization ’90 Ed
ited by Chandra The Miner
als,Metals & Materials So
ciety,1990」の文献(以下文献1と記す。)
がある。しかし、特公昭36−21155号公報は20
0〜300℃でコイルとして巻き取らねばならず酸化の
問題、巻き取り設備の問題、巻き取ったコイルの冷却方
法或いは冷却時のコイル内外周の不均一冷却の問題があ
る。又、特公昭40−3020号公報はテンパー度が6
以上の製造方法で、特公昭46−19781号公報はH
R30Tが72以上の極めて硬質な材質の表面処理原板を製
造する方法で、これらの方法ではT−3〜T−4の製造
は不可能である。特公昭36−10052号公報は急速
加熱を行い均熱を殆ど行わず急冷する焼鈍時間が約15
secの短時間焼鈍法であるが、この方法の大きな問題
点は同公報の表1に示されているように得られる材質の
硬さがHR30Tで65とテンパー度が5(以下T−5と記
す)のものしか出来ないことである。
【0004】又、文献1で紹介されている内容は、1)
リムド鋼の熱延板を脱炭焼鈍し、C含有量を0.005
%にした鋼を用い70%の冷間圧延を行い、0.2se
c(約3500℃/s)で加熱し0.1secの均熱を
行い水スプレーで急冷した結果、0.5sec,0.3
sec加熱(約2000℃/s〜3000℃/s)の場
合よりも顕著に再結晶温度が低下したことが、又、2)
0.5sec,0.3sec加熱(約2000℃/s〜
3000℃/s)の場合は、約830℃、800℃以上
にもなることが紹介されている。即ち、文献1の方法
は、熱延板を脱炭焼鈍し且つ加熱温度の温度制御が極め
て困難な0.2sec(約3500℃/s)の加熱速度
即ち0.01secの様な極めて微かな加熱時間のバラ
ツキで実に35℃もの温度バラツキとなるような実用化
が極めて困難な加熱速度条件とが必要であり、実用に供
するには適しない方法であることがわかる。以上のよう
に、コンパクトで高温焼鈍が可能で通板のスケジューリ
ングの自由度の大きい超急速加熱短時間焼鈍の従来法で
は、軟質材の製造が出来なかったり、実験室レベルでは
出来ても(文献1の方法)経済的にも工業的にも実機化
が不可能な方法しかまだ無いのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明で解決しようと
する課題は、高温焼鈍が可能で、通板のスケジューリン
グの自由度が大きく、コンパクトで設備費の小さい超急
速加熱短時間焼鈍設備で、T−3〜T−4の製造が可能
な連続焼鈍による表面処理原板の製造方法を提供する事
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するため、成分含有量、熱延条件、冷間圧延条
件、連続焼鈍条件について総合的に検討し、本発明の製
造方法を見いだしたものである。本発明の要旨は下記の
通りである。 (1)C :0.020〜0.070% Mn:0.05〜0.60% P :0.001〜0.025% S :0.001〜0.025% Sol Al:0.012〜0.090% N :≦0.0035% T.O:≦0.0070% 残部不可避的不純物及び鉄よりなる鋼片を、通常の熱間
圧延条件で加熱、熱間圧延を行い、巻き取り熱延鋼帯と
し、85%以上の冷間圧延を行い、その後、連続焼鈍に
て少なくとも500℃以上の温度域を300〜2000
℃/sで650〜850℃に加熱し3秒以下の保定を行
い、40〜500℃/sの冷却速度で550℃以下まで
冷却し、550〜400℃の間で2〜15秒間滞在せし
め、室温まで冷却する事を特徴とする連続焼鈍による表
面処理原板の製造方法。
【0007】(2)C :0.020〜0.080% Mn:0.05〜0.60% P :0.001〜0.025% S :0.001〜0.025% Sol Al:0.020〜0.100% N :≦0.0070% T.O:≦0.0070% 残部不可避的不純物及び鉄よりなる鋼片を、加熱し、熱
間圧延を行い、660℃〜750℃の範囲の巻き取り温
度(以下C.Tと記す)で巻き取り熱延鋼帯とし、85
%以上の冷間圧延を行い、その後、連続焼鈍にて少なく
とも500℃以上の温度域を300〜2000℃/sで
650〜850℃に加熱し3秒以下の保定を行い、40
〜500℃/sの冷却速度で550℃以下まで冷却し、
550〜400℃の間で2〜15秒間滞在せしめ、室温
まで冷却する事を特徴とする連続焼鈍による表面処理原
板の製造方法
【0008】以下に本発明について詳細に述べる。本発
明者等は、前記課題を解決するため、その製造方法につ
いて、成分含有量、熱延条件、冷間圧延条件、連続焼鈍
条件について総合的に検討し、連続焼鈍の加熱に於い
て少なくとも500℃以上の温度域を300〜2000
℃/sで650〜850℃に加熱すること、再結晶焼
鈍後の結晶粒径を大きくするために、発明の(1)とし
てC:0.020〜0.070%,N:≦0.0035
%、とし、低温で巻き取ることを可能とする方法、発明
の(2)としてC:0.020〜0.0800%,so
lAl:0.020〜0.100%,N:≦0.007
0%,残部不可避的不純物及び鉄よりなる鋼片を、加熱
し、660℃〜750℃の範囲のC.Tで巻き取り熱延
鋼帯とするC,N含有量の規制を大幅に緩和させる方
法、均熱後の冷却を40〜500℃/sの冷却速度で
550℃以下まで冷却し、550〜400℃の間で2〜
15秒間滞在せしめ固溶のC含有量を低減させる方法、
の、、の3点を主ポイントとすることにより、C
含有量が発明の(1)としてC:0.020〜0.07
0%,発明の(2)としてC:0.020〜0.080
%と通常の製鋼法で容易に得られるC含有量の鋼に於い
ても極めてコンパクトな連続焼鈍設備でT−3〜T−4
の製造が可能となることを初めて見いだしたものであ
る。
【0009】図1は、本発明のポイントの「連続焼鈍
の加熱に於いて少なくとも500℃以上の温度域を30
0〜200℃/sで650〜850℃に加熱すること」
の効果を示した図である。本発明の方法で製造したC含
有量が0.05%、90%の冷間圧延率で圧延した板厚
が0.25mmの冷延板を、図2に示すヒートサイクル
で加熱速度(αH)と均熱温度(T)を変え、時間(t)
を0.1sec、均熱後の冷却を300℃/sの冷却速
度で500℃まで冷却し、520〜450℃の間で5秒
間滞在せしめ、室温まで冷却した鋼板の組織を調査し、
再結晶の完了する温度を求め、その結果を示した図であ
る。
【0010】図1から、加熱速度を300℃/s以上と
する事により再結晶完了温度が顕著に低下することがわ
かる。このことから、均熱時間が殆どないようなコンパ
クトな連続焼鈍設備でT−3〜T−4を製造するには、
本発明のポイントの連続焼鈍の加熱に於いて300℃
/s以上の超急速加熱することが極めて重要であること
がわかる。尚、文献1では、約1700℃/s(t1
0.5sec)程度の加熱速度では再結晶完了温度が8
00〜830℃と著しく上昇しているが、図1に示す結
果は、大きく異なった結果となっている。この理由に付
いては、今後の詳細な検討が必要であるが、冷間圧延率
が70%であるのに対し90%と大幅に高くなっている
こと、又、成分、特にT.O含有量が0.0375%と
高いリムド鋼の熱延板を脱炭焼鈍した素材を供試鋼とし
たこと、等の条件の違いによる影響によりこのように異
なったのではないかと考えられる。
【0011】尚、このように300℃/s以上で加熱す
ることにより、従来の20℃/sより軟質な材質が得ら
れるメカニズムに付いては必ずしも充分に解明できてい
ないが、 A.超急速加熱の場合は、再結晶のスタート時に於ける
サブグレインの粒界の移動速度並びに粒成長時の粒界の
移動速度が極めて速いので、粒界への偏析元素の粒界へ
の移動が追従しなくなり粒界の移動を妨げる偏析元素が
少なくなる。その結果、超急速加熱を行うことにより再
結晶がより低温で起こるとともに粒成長も容易となりよ
り軟質材が得られるようになった。尚、冷間圧延率、成
分、等はこのサブグレインの生成並びに大きさ等に影響
を与えているのではないかと考えられる。
【0012】B.超急速加熱の場合は、再結晶〜粒成長
の間の時間があまりにも短いので再結晶前、途中、粒成
長の段階に於いてAlNの微細析出が殆ど起こらなくな
る。その結果、超急速加熱を行うことにより再結晶がよ
り低温であるとともに粒成長も容易となりより軟質材が
得られるようになった。等の効果によるものではないか
と推察される。尚、これらのA,Bの効果は、連続焼鈍
の加熱に於いて少なくとも500℃以上の温度域を30
0℃/s以上で650〜850℃に加熱することで得ら
れた。
【0013】本発明のポイントのは、ポイントの超
急速加熱効果を発揮させるための成分並びに熱延条件で
ある。発明の(1)としてC:0.020〜0.070
%,N:≦0.0035%、とすることを主要条件とす
る低温で巻き取ることを可能とする方法で、C含有量が
0.070%超になるとCの悪影響が大きくなりすぎ、
又、N含有量が0.0035%超になると超急速加熱で
も微細なAlNが析出し始めるようになる、等C,N含
有量を規制する必要がある。発明の(2)としてC:
0.020〜0.080%,sol Al:0.020
〜0.100%,N:≦0.0070%,残部不可避的
不純物及び鉄よりなる鋼片を、加熱し、660℃〜75
0℃の範囲のC.Tで巻き取り熱延鋼帯とする方法で、
660℃〜750℃の範囲のC.Tで巻き取ることによ
りCは粗大セメンタイトとして凝集析出させマトリック
スを純化させ、NをAlNとして粗大析出させ悪影響を
緩和させることにより、C,N含有量の規制を大幅に緩
和させることをポイントとする方法である。
【0014】本発明のポイントのは、本発明のポイン
ト、の方法等で再結晶焼鈍時加熱、均熱時に結晶粒
を充分に大きく成長させた後、引き続き行われる均熱後
の冷却を40〜500℃/sの冷却速度で550℃以下
まで冷却し、550〜400℃の間で2〜15秒間滞在
せしめることである。冷却条件をこのように規制するこ
とにより、均熱時に多量に再固溶していた固溶Cを約4
0〜50ppm以下にすることが可能となる。その結
果、、、の総合効果でT−3〜T−4の表面処理
原板の製造が可能となる。
【0015】以下に製造条件について詳細に述べる。C
は、前述のようにT−3〜T−4の硬度に大きく影響す
る元素で、超急速加熱焼鈍時の再結晶焼鈍後の結晶粒径
に影響を与える重要な元素である。発明の(1)の方法
では、C含有量が0.070%超になるとT−3〜T−
4の硬度が得られなくなるのでC含有量の上限を0.0
70%とし、発明の(2)の方法では、C含有量が0.
080%超になるとT−3〜T−4の硬度が得られなく
なるのでC含有量の上限を0.080%とした。尚、C
量が0.020%未満では転炉でのCの吹き下げが必要
となる。その結果、溶鋼中のT.O含有量が高くなり鋼
中の介在物が増加し製品の加工性が劣化するようにな
る。又、それを回避する方法として、製鋼工場での脱ガ
スによる脱炭処理方法があるが処理費が高くなりすぎる
等の問題があるので、下限のC含有量を0.020%と
した。
【0016】Mn含有量は、0.60%超になるとT−
3〜T−4の硬度が得られなくなるので0.60%を上
限値とした。尚、0.05%未満は通常の製造法では得
られないので下限値を0.05%とした。P含有量は、
0.025%超になるとT−3〜T−4の硬度が得られ
なくなるので0.025%を上限値とした。尚、0.0
01%未満は通常の製造法では得られないので下限値を
0.001%とした。S含有量は、0.025%超にな
るとT−3〜T−4の硬度が得られなくなるので0.0
25%を上限値とした。尚、0.001%未満は通常の
製造法では得られないので下限値を0.001%とし
た。
【0017】sol Alは、発明の(1)の方法で
は、sol Al含有量が0.090%超になると、超
急速加熱焼鈍を行ってもsol Alが多いため微細な
AlNが多く析出するようになるので0.090%を上
限値とした。尚、0.012%未満では、脱酸不足のた
めT.O含有量が高くなり0.0070%以下とする事
ができなくなるので下限値を0.012%とした。又、
本発明の(2)の方法では、高温巻き取りによりNをA
lNとして固定するために必要な元素であるので、so
l Al含有量が0.020%未満となるとsol Al
が不足しNを粗大なAlNとして十分に析出させること
が出来なくなり、微細なAlNが析出するようになり、
再結晶焼鈍時に結晶粒を微細化し材質を硬くしT−3〜
T−4の硬度が得られなくなるので、下限のsol A
l量を0.020%とした。又、0.100%超になる
と固溶強化により材質が硬化しT−3〜T−4の硬度が
得られなくなるので0.100%を上限値とした。
【0018】N含有量は、発明の(1)の方法では、N
含有量が0.0035%超になると、超急速加熱焼鈍を
行ってもNが多いため微細なAlNが析出するようにな
るので0.0035%を上限値とした。又、本発明の
(2)の方法では、高温巻き取りによりNをAlNとし
て固定するためにN含有量が多くても軟質な材質が得ら
れるが、N含有量が0.0070%超になるとAlNの
析出量が多くなりすぎ材質を硬くしT−3〜T−4の硬
度が得られなくなるので0.0070%を上限値とし
た。尚、N含有量は低いほど軟質な鋼板が得られるので
特に下限値を規制する必要はない。
【0019】T.O含有量は、0.0070%超になる
とスラブの表層付近に気泡が発生し、メッキ原板の表面
傷などが増え良好な製品が得られなくなるので0.00
70%を上限値とした。尚、下限値は、特に規制する必
要がないので規制しなかった。熱延条件は、発明の
(1)の方法としては特に規制する必要がなく通常の熱
延条件でよい。発明の(2)の方法としたのは熱延の巻
き取り時にCとNを無害化する為の重要な工程で、C.
Tが660℃未満の巻き取り温度では材質が硬化しT−
3〜T−4の硬度が得られなくなるので660℃を下限
値とした。又、巻き取り温度が750℃超ではスケール
が異常に厚くなり酸洗性が大幅に劣化するようになるの
で750℃を上限値とした。尚、熱延の加熱条件は、特
に規制する必要がなく通常行われる加熱条件でよいが、
より軟質な鋼板を得るには、1150℃以下の加熱温度
(SRTと記す)が好ましい。
【0020】冷間圧延時の冷間圧延率は、85%未満で
は再結晶焼鈍時の再結晶温度が高くなり材質が硬くなり
T−3〜T−4が得られ難くなると共にメッキ製品は板
厚が薄いので85%未満の冷間圧延率では熱延板の板厚
が薄くなりすぎ熱間圧延が困難となるので、下限値を8
5%とした。尚、上限値は特に規制する必要がないので
規制しなかった。連続焼鈍時の再結晶焼鈍の加熱速度
は、本発明の最も重要なポイントで、その効果並びにそ
のメカニズムは先に推察した通りである。加熱速度が3
00℃/s未満では超急速加熱効果が得られず材質が硬
化しT−3〜T−4の硬度が得られなくなるので300
℃/sを下限値とした。尚、2000℃/s超の加熱速
度ではあまりにも加熱速度が速すぎるため加熱の到達温
度の制御が不安定となり安定した品質が得難くなるので
2000℃/sを上限とした。
【0021】再結晶焼鈍時の焼鈍温度は、650℃未満
では超急速加熱焼鈍でも充分な再結晶が起こらずT−3
〜T−4の硬度が得られなくなるので650℃を下限値
とした。尚、焼鈍温度が850℃超になると均熱帯を通
過する時に鋼板が軟化し延び易くなり通板性が悪くなる
ので850℃を上限値とした。再結晶焼鈍時の均熱時間
は、超急速加熱焼鈍では均熱時間がなくとも充分な再結
晶と粒成長が生じT−3〜T−4の硬度が得られるので
均熱時間の下限値は規制する必要がない。尚、均熱時間
の上限を3secとしたのは、本発明の目的である「設
備費を大きく軽減し得る極めてコンパクトな連続焼鈍設
備でT−3〜T−4の製造が可能な連続焼鈍による表面
処理原板を製造する方法」の思想から外れるようになる
ので3secを上限値とした。
【0022】再結晶焼鈍後の冷却は、本発明の重要なポ
イントの1つで、T−3〜T−4を得るためには均熱後
の冷却時に、図3から、550〜400℃の間で2秒以
上の間滞在せしめる必要があることがわかる。尚、滞在
時間が15秒超では、設備長が長くなり過ぎ、本願の発
明の方法の主旨であるコンパクトな設備を提供すること
から外れるようになるので15秒以下とした。
【0023】図3は、本発明の方法で製造したC含有量
が0.05%、90%の冷間圧延率で圧延した板厚が
0.25mmの冷延板を、図2に示すヒートサイクルで
αH:1000℃/s、T1:710℃、t1:0.1s
ec、均熱後の冷却を300℃/sの冷却速度でT2
で冷却し、T2〜T3の温度域を10℃/sでtoa秒間
滞在せしめ、300℃/sで室温まで冷却して焼鈍した
鋼板に1.2%の調質圧延を施し表面処理原板を造り、
その鋼板のHR30Tを測定し、その結果を示した図であ
る。この図3から、均熱後の冷却に於いて、500〜4
00℃の間での2〜15秒の極短時間の間滞留させる効
果は極めて顕著で、微か2〜3秒の滞在でもHR30Tが大
きく低下している。又、T3の温度が300℃と本願の
発明の範囲を外れると殆ど軟化が生じないこともわか
る。このようにHR30Tが急激に低下するのは、再結晶焼
鈍の均熱時に多量に再固溶していた固溶Cが、550〜
400℃の間での2秒以上の滞留中に、顕著に低下する
ためである。
【0024】尚、550℃までの冷却条件は、500℃
/s超では急速冷却の制御性が劣化するようになるの
で、又、40℃/s未満では冷却時間が長くなり設備長
が長くなるようになり、本願の発明の方法の主旨である
コンパクトな設備を提供することから外れるようになる
ので40〜500℃/sに規制した。更に、550〜4
00℃の間での2〜15秒の滞留後の冷却条件は、特に
規制する必要がなく速やかに冷却すれば良い。調質圧延
は通常行われている0.5〜2.0%を必要に応じ施せ
ばよい。
【0025】
【実施例】以下に本発明の効果を実施例により説明す
る。表1に示す成分、熱延条件で2.5mmの熱延鋼帯
を製造し、冷間圧延率90%で冷間圧延した0.25m
mの冷延鋼板を図2に示すヒートサイクルで表2に示す
温度、時間及びαc2が300℃/sの条件で連続焼鈍を
施し、1.2%の調質圧延を施し、表面処理原板を得
た。得られた表面処理原板の硬度(HR30T)を測定し、
その結果を表2に示す。鋼Aは、本願の発明の(1)の
方法での範囲内の製造条件のもので、鋼B,Cは本願の
発明の(2)での方法の範囲内の製造条件のもので、鋼
D,Eは本願の発明の方法の範囲外の製造条件のもので
ある。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】試料1,2,3,4,5,6は、本発明の
方法の実施例で、何れもT−3〜T−4の硬度範囲(H
R30T=58±3〜61±3)のメッキ原板が得られてい
る。試料1は、表1に示すようにC,N量等の成分、熱
延条件、並びに焼鈍条件を本発明の(1)での方法の範
囲内での実施例である。本発明の(1)の方法であれば
HR30Tが59.0とT−3〜T−4の硬度範囲のメッキ
原板が得られることがわかる。試料2.3,4,5,
6,は、表1,2に示すように主としてC,N量並びに
焼鈍条件を本発明の(2)の方法の範囲内で変化させた
実施例である。本発明の(2)の方法の範囲内であれば
何れもT−3〜T−4の硬度範囲のメッキ原板が得られ
ることがわかる。試料7はC.Tが低い本発明の(1)
の方法のC,N量が高く外れた比較例で、T−3〜T−
4の硬度範囲のメッキ原板が得られなくなることがわか
る。
【0029】試料8は、本発明の(2)の方法の焼鈍後
の550〜400℃の間の滞在時間(toa)が1秒と
低く外れた比較例で、T−3〜T−4の硬度範囲のメッ
キ原板が得られなくなることがわかる。試料9は、本発
明の(2)の方法のC,N量が高く外れ且つ加熱速度が
20℃/sと従来法と同じレベルで更に焼鈍後の550
〜400℃の間の滞在時間(toa)も殆ど無かった比
較例で、T−3〜T−4の硬度範囲のメッキ原板が得ら
れなかった。試料10は、焼鈍時の均熱時間が30se
cと長い現在工業的に行われている連続焼鈍条件の従来
例である。
【0030】
【発明の効果】以上に本発明について詳細に説明した
が、本発明によれば、高温焼鈍が可能で、通板のスケジ
ューリングの自由度が大きく、コンパクトで設備費の小
さい超急速加熱短時間の連続焼鈍設備で、T−3〜T−
4の表面処理原板の製造が可能となり、その工業的価値
は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続焼鈍の加熱速度と硬度との関係を示す図、
【図2】調査実験並びに実施例に用いた連続焼鈍のヒー
トサイクルを示す図、
【図3】均熱後の冷却条件とHR30Tとの関係を示す図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土井 雅博 兵庫県姫路市広畑区富士町1番地 新日 本製鐵株式会社 広畑製鐵所内 (56)参考文献 特開 昭55−54526(JP,A) 特開 昭61−295325(JP,A) 特開 昭53−99715(JP,A) 特開 平5−156365(JP,A) 特開 平4−236722(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/46,8/02 C22C 38/00 - 38/58

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C :0.020〜0.070% Mn:0.05〜0.60% P :0.001〜0.025% S :0.001〜0.025% Sol Al:0.012〜0.090% N :≦0.0035% T.O:≦0.0070% 残部不可避的不純物及び鉄よりなる鋼片を、通常の熱間
    圧延条件で加熱、熱間圧延を行い、巻き取り熱延鋼帯と
    し、85%以上の冷間圧延を行い、その後、連続焼鈍に
    て少なくとも500℃以上の温度域を300〜2000
    ℃/sで650〜850℃に加熱し3秒以下の保定を行
    い、40〜500℃/sの冷却速度で550℃以下まで
    冷却し、550〜400℃の間で2〜15秒間滞在せし
    め、室温まで冷却する事を特徴とする連続焼鈍による表
    面処理原板の製造方法
  2. 【請求項2】C :0.020〜0.080% Mn:0.05〜0.60% P :0.001〜0.025% S :0.001〜0.025% Sol Al:0.020〜0.100% N :≦0.0070% T.O:≦0.0070% 残部不可避的不純物及び鉄よりなる鋼片を、加熱し、熱
    間圧延を行い、660℃〜750℃の範囲の巻き取り温
    度で巻き取り熱延鋼帯とし、85%以上の冷間圧延を行
    い、その後、連続焼鈍にて少なくとも500℃以上の温
    度域を300〜2000℃/sで650〜850℃に加
    熱し3秒以下の保定を行い、40〜500℃/sの冷却
    速度で550℃以下まで冷却し、550〜400℃の間
    で2〜15秒間滞在せしめ、室温まで冷却する事を特徴
    とする連続焼鈍による表面処理原板の製造方法
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